(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
Pレンジを含む複数のシフトレンジのうちの1つのシフトレンジを選択するシフトレバーと、前記シフトレバーをPレンジにおいて保持しかつディテント解除ボタンの操作によりその保持を解除するディテント機構とを備える自動変速機用シフトレバー装置に設けられ、前記シフトレバーをPレンジにおいて保持した前記ディテント機構の解除動作を規制しかつ車両のブレーキ操作に連動して前記ディテント機構の解除動作の規制を解除するシフトロック装置であって、
前記ディテント機構の作動部材の解除動作を規制するロック位置とその規制を解除するアンロック位置とに移動可能に設けられたシフトロック部材と、
前記シフトロック部材をアンロック方向へ付勢する弾性部材と、
前記車両のブレーキ操作に連動するプランジャを有するアクチュエータと、
前記アクチュエータのプランジャにより前記シフトロック部材のアンロック方向への移動を規制する規制位置とその移動を許容する許容位置とに移動されるストッパ部材と
を備えており、
前記シフトレバーのPレンジにおいて、前記シフトロック部材を、前記ディテント機構の作動部材によってロック位置に保持する構成とし、
前記シフトレバーのPレンジにおいて、前記シフトロック部材を、前記ディテント機構の作動部材の復帰動作を利用してアンロック位置からロック位置へ移動させる構成とした
ことを特徴とするシフトロック装置。
Pレンジを含む複数のシフトレンジのうちの1つのシフトレンジを選択するシフトレバーと、前記シフトレバーをPレンジにおいて保持しかつディテント解除ボタンの操作によりその保持を解除するディテント機構とを備える自動変速機用シフトレバー装置に設けられ、前記シフトレバーをPレンジにおいて保持した前記ディテント機構の解除動作を規制しかつ車両のブレーキ操作に連動して前記ディテント機構の解除動作の規制を解除するシフトロック装置であって、
前記ディテント機構の作動部材の解除動作を規制するロック位置とその規制を解除するアンロック位置とに移動可能に設けられたシフトロック部材と、
前記シフトロック部材をアンロック方向へ付勢する弾性部材と、
前記車両のブレーキ操作に連動するプランジャを有するアクチュエータと、
前記アクチュエータのプランジャにより前記シフトロック部材のアンロック方向への移動を規制する規制位置とその移動を許容する許容位置とに移動されるストッパ部材と
を備えており、
前記弾性部材によりアンロック方向へ移動される前記シフトロック部材を、前記ストッパ部材によってアンロック位置で停止させる構成とした
ことを特徴とするシフトロック装置。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。
【0015】
[実施形態1]
実施形態1を説明する。まず、自動変速機用シフトレバー装置(以下、「シフトレバー装置」という)の基本的構成から説明する。
図1はシフトレバー装置を示す正面図、
図2は同じく左側面図、
図3は同じく右側面図である。また、図中、矢印UPは車両上方、RHは車両右方向、FRは車両前方をそれぞれ示している。なお、シフトレバー装置の基本的構成は、特開2013−1346号公報に記載されたシフトレバー装置のシフトロック装置を除いた基本的構成と同様であるから、概略を説明するにとどめる。
【0016】
図1〜
図3に示すように、シフトレバー装置10は、車体側部材(図示省略)に固定されるベースブラケット12を備えている。ベースブラケット12の上面側にはシフトパネル13が配置されている。ベースブラケット12には、シフトレバー15がシフト軸16(
図2参照)を介して前後方向をシフト方向として回動可能に支持されている。シフトレバー15の一端側(上端側)は、シフトパネル13(詳しくは、前後方向に延びる長孔状の開口部)を通して上方すなわち車室側に突出されている。
【0017】
前記シフトレバー15のレバー本体17は中空軸状に形成されている。レバー本体17の上端部にはシフトノブ18が取り付けられている。また、レバー本体17の下端部には、前方へ突出するコントロールレバー20が設けられている(
図3参照)。コントロールレバー20には、図示しない自動変速機に連係されたシフトケーブルが連結される。シフトレバー15のシフト操作は、シフトケーブルを介して自動変速機に伝達される。また、シフトレバー15のシフトレンジとしてのパーキングレンジ(Pレンジ)、リバースレンジ(Rレンジ)、ニュートラルレンジ(Nレンジ)、ドライブレンジ(Dレンジ)、セカンドレンジ(2レンジ)、ローレンジ(Lレンジ)は、前側から後側へ向ってストレート状をなすように順に配置されている。シフトレバー15は、これらのシフトレンジのうちの1つのシフトレンジを選択する。
【0018】
前記シフトレバー装置10は、前記シフトレバー15をPレンジにおいて保持しかつシフトボタン26(
図1参照)の操作によりその保持を解除するディテント機構22を備えている。ディテント機構22は、ディテントロッド23、シフトボタン26、ディテント部28(
図2参照)等により構成されている。ディテントロッド23は、前記レバー本体17の中空部内に軸方向に移動可能に配置されている。ディテントロッド23の下端部には、グルーブドピンからなるロックピン24(
図2参照)が設けられている。ディテントロッド23は、スプリング(図示省略)により下方へ弾性的に付勢されている。なお、ロックピン24を有するディテントロッド23は本明細書でいう「作動部材」に相当する。
【0019】
前記シフトボタン26(
図1参照)は、前記シフトノブ18に対して押し込み操作可能に配置されている。前記ディテント機構22は、シフトボタン26の押し込み操作により前記ディテントロッド23がスプリング(図示省略)の付勢に抗して引き上げ可能に構成されている。また、シフトボタン26の押し込み操作を解除すると、シフトボタン26がスプリング(図示省略)の付勢により押し戻されるとともに、前記ディテントロッド23がスプリング(図示省略)の付勢により押し下げられるすなわち復帰される。なお、シフトボタン26は本明細書でいう「ディテント解除ボタン」に相当する。
また、前記ディテント部28(
図2では部分的に示されている)は、前記ベースブラケット12に形成されており、前記ディテントロッド23のロックピン24を移動可能に収容する開口孔により形成されている。ディテント部28の下縁部には、ロックピン24が係合又は当接する階段状のディテント溝(図示省略)が形成されている。
【0020】
前記ディテント機構22は、前記シフトレバー15のPレンジにおいて、ディテントロッド23のロックピン24がPレンジに対応するディテント溝部に係合することによりシフトレバー15がPレンジに保持すなわちロックされるようになっている。また、シフトボタン26が押し込み操作され、ディテントロッド23が引き上げられたときには、Pレンジに対応するディテント溝部に対するロックピン24の係合が解除すなわちアンロックされる。これにより、シフトレバー15をPレンジ以外のシフトレンジにシフト操作することができる。また、Pレンジ以外のシフトレンジからPレンジへシフト操作するときには、シフトボタン26を押し込み操作した状態で、シフトレバー15をPレンジへシフト操作した後、シフトボタン26の押し込み操作を解除すると、ディテントロッド23がスプリングにより押し下げられ、ロックピン24がPレンジに対応するディテント溝部に係合する。これにより、シフトレバー15がPレンジに保持すなわちロックされる。
【0021】
前記した基本的構成を備えるシフトレバー装置10には、シフトレバー15をPレンジにおいて保持したディテント機構22の解除動作を規制しかつ車両のブレーキ操作に連動してディテント機構22の解除動作の規制を解除するシフトロック装置30が設けられている(
図2参照)。
【0022】
次に、シフトロック装置30について説明する。
図4はシフトロック装置の周辺部を示す左側面図、
図5はシフトロック装置を分解して示す斜視図、
図6はシフトロック装置を概略的に示す左側面図、
図7は同じく背面図である。
図5に示すように、シフトロック装置30は、シフトロックリンク32、リンクスプリング34、ソレノイド36、リンクストッパ38等により構成されている。
【0023】
前記シフトロックリンク32は、前記ベースブラケット12に支持軸40を介して回動可能に支持されている(
図4参照)。支持軸40は、前記シフト軸16の下方近くにおいてシフト軸16と平行状をなすように配置されている。また、シフトロックリンク32は、支持軸40側から下方へ延びるレバー部42と、レバー部42の後側縁に形成されたアーム部44とを有している。
図6及び
図7に示すように、レバー部42の下端部は、Pレンジのシフトレバー15の保持位置にあるディテントロッド23のロックピン24の上方に対向する規制部43となっている。
【0024】
前記アーム部44は、レバー部42の後側縁に沿って延びている(
図6参照)。また、アーム部44は、アーム部44から左側へはみ出す幅広状に形成されている(
図7参照)。また、アーム部44の下端部は、規制部43より下方へ延びている。アーム部44の下端部には、前方(
図6において左方)へ緩やかに上方へ折り返すように延びるカム部45が形成されている。なお、シフトロックリンク32は本明細書でいう「シフトロック部材」に相当する。
【0025】
前記リンクスプリング34は、捩じりコイルスプリングからなり、前記ベースブラケット12と前記シフトロックリンク32との間に介装されている(
図6参照)。リンクスプリング34のコイル部は、前記支持軸40に嵌装されている。リンクスプリング34の一方の端末部はベースブラケット12に掛止され、その他方の端末部はシフトロックリンク32に掛止されている。また、リンクスプリング34は、シフトロックリンク32をアンロック方向(
図6中、矢印Y参照)へ弾性的に付勢している。なお、リンクスプリング34は本明細書でいう「弾性部材」に相当する。
【0026】
前記ソレノイド36は前記ベースブラケット12に配置されている(
図4参照)。ソレノイド36は、前記支持軸40よりも後側(
図4において右側)において、プランジャ37を前方すなわちシフトロックリンク32の上端部に向けた状態で配置されている。ソレノイド36には、内蔵のソレノイドコイルへの通電に応じてプランジャ37が引き込まれるプル型の電磁式ソレノイドが用いられている。ソレノイド36は、前記シフトレバー15がPレンジに位置している状態で車両のブレーキ操作すなわちブレーキペダルの踏み込み操作に基づいて、図示しない制御装置(ECU)により作動すなわち通電がオンされることにより、プランジャ37が引き込まれる(後退される)ようになっている。また、車両のブレーキ操作の解除に基づいて制御装置(ECU)により通電がオフされることにより、プランジャ37がソレノイドスプリング47(後述する)の付勢により押し出される(進出される)ようになっている。なお、ソレノイド36は本明細書でいう「アクチュエータ」に相当する。
【0027】
前記リンクストッパ38は、前記ソレノイド36のプランジャ37の先端に取り付けられている(
図4参照)。リンクストッパ38は、四角形ブロック状に形成されており、コイルスプリングからなるソレノイドスプリング47により進出方向(前方)に付勢されている(
図6参照)。ソレノイドスプリング47は、プランジャ37に嵌装されており、ソレノイド(詳しくはソレノイド本体)36とリンクストッパ38との間に介装されている。また、ソレノイド36のオフ状態(非通電状態)におけるリンクストッパ38の進出位置がシフトロックリンク32のアンロック方向への移動を規制する規制位置に相当する(
図6中、実線38参照)。また、ソレノイド36のオン状態(通電状態)におけるリンクストッパ38の後退位置がシフトロックリンク32のアンロック方向への移動を許容する許容位置に相当する(
図6中、二点鎖線38参照)。なお、リンクストッパ38は本明細書でいう「ストッパ部材」に相当する。
【0028】
前記シフトロックリンク32と前記リンクストッパ38との対向部の間には、相互に係脱可能なロック側係合手段及びアンロック側係合手段が設けられている。
図8はロック側係合手段及びアンロック側係合手段を示す分解斜視図である。
図8に示すように、ロック側係合手段は、シフトロックリンク32に設けられた係止部50と、リンクストッパ38に設けられかつ係止部50に係脱可能に設けられた係合部52とからなる。係止部50は、シフトロックリンク32のアーム部44の後側面の上端部に、左右方向に延びる三角柱状に突出されている。係止部50の上面は、平面からなる係止面51となっている。また、係合部52は、リンクストッパ38の先端面(前面)の下半部よりも先方へ段付状に張り出す上半部により形成されている。係合部52の下面は、係止部50の係止面51に対応する平面からなる係合面53となっている。係止部50(詳しくは係止面51)と係合部52(詳しくは係合面53)との係合(当接)により、シフトロックリンク32のアンロック方向への回動が制限される。また、係止部50(詳しくは係止面51の後端部)と受止部55(後述する)の前面との当接により、リンクストッパ38が規制位置に保持される(
図6参照)。
【0029】
図8に示すように、前記リンクストッパ38の先端面の下半部と下面とのなす隅角部により受止部55が形成されている。受止部55の下面(リンクストッパ38の下面)は、平面からなる受止面56となっている。また、前記シフトロックリンク32のアーム部44の後側面には、前記係止部50の下側に連続する段付状の当接部57が形成されている。当接部57の段付面(上面)は、受止部55の受止面56に対応する平面からなる当接面58となっている。受止部55(詳しくは受止面56)と当接部57(詳しくは当接面58)との係合(当接)により、シフトロックリンク32及びリンクストッパ38がアンロック位置に停止される(
図12又は
図13参照)。なお、受止部55と当接部57とはアンロック側係合手段を構成している。また、係止面51と当接面58とは、平面状の壁面59を介して階段状につながっている(
図8参照)。
【0030】
図5に示すように、前記リンクストッパ38の一側面(左側面)には、ロック解除ピン60が突出されている。また、前記シフトパネル13には、シフトロック解除ボタン62が押し込み操作可能に設けられている。シフトロック解除ボタン62は、下方へ逆L字状に延びるロック解除アーム63を有している。ロック解除アーム63の下端部には、前下がり状の斜面64が形成されている。ロック解除アーム63の斜面64は、前記規制位置におけるリンクストッパ38のロック解除ピン60の前側に近接されている(
図4参照)。シフトロック解除ボタン62を押し込み操作することにより、ロック解除アーム63の斜面64がリンクストッパ38のロック解除ピン60に摺動接触し、リンクストッパ38とともにソレノイド36のプランジャ37がソレノイドスプリング47の付勢に抗して押し込まれる。これにより、ロック位置にあるシフトロックリンク32の係止部50に対するリンクストッパ38の係合部52の係合を解除することができる。すなわち、手動によりシフトロック装置30のシフトロックを解除することができる。なお、シフトロック解除ボタン62の押し込み操作を解除すると、シフトロック解除ボタン62がスプリング(図示省略)の付勢により押し戻される。
【0031】
次に、前記シフトロック装置30を備えたシフトレバー装置10の動作について説明する。
いま、シフトレバー15がPレンジにあり、ディテント機構22によりシフトレバー15がPレンジに保持されているものとする(
図2及び
図4参照)。また、ソレノイド36はオフ状態にあり、リンクストッパ38が規制位置に位置されている。この状態(「シフトロック状態」という)では、
図6及び
図7に示すように、ディテントロッド23のロックピン24は、シフトロックリンク32のアーム部44とカム部45との間に形成されたU字状の凹状部46に位置している。すなわち、ディテント機構22のディテントロッド23のロックピン24によって、シフトロックリンク32がロック位置に保持されている。このとき、シフトロックリンク32の係止部50は、リンクストッパ38の係合部52に隙間C1(
図6参照)を介して対面している。また、ソレノイドスプリング47により付勢されるリンクストッパ38の受止部55の前面が係止部50の後端部に弾性的に当接することにより、リンクストッパ38が規制位置に保持されている。
【0032】
前記シフトロック状態(
図6及び
図7参照)において、車両の運転に際し、ブレーキ操作しないで、運転者がシフトボタン26(
図1参照)を押し込み操作したときには、ディテントロッド23の引き上げにともない、ロックピン24がシフトロックリンク32の凹状部46から離れる。これにより、シフトロックリンク32がリンクスプリング34の付勢力によりアンロック方向(
図6中、矢印Y参照)へ回動されようとする。しかし、直ぐにリンクストッパ38の係合部52(詳しくは係合面53(
図8参照))にシフトロックリンク32の係止部50(詳しくは係止面51(
図8参照))が係合(当接)することにより、シフトロックリンク32のアンロック方向への回動が制限される(
図9参照)。
このため、シフトボタン26の押し込み操作により引き上げられる途中のディテントロッド23のロックピン24がシフトロックリンク32の規制部43に当接することにより、それ以上のディテントロッド23の引き上げ操作が規制される(
図10参照)。すなわち、ディテント機構22の解除動作が規制される。このため、シフトレバー15をPレンジから他のシフトレンジへのシフト操作することができない。なお、規制位置(進出位置)にあるリンクストッパ38の係合部52(詳しくは係合面53(
図8参照))とシフトロックリンク32の係止部50(詳しくは係止面51(
図8参照))との間には、所定の係り代A(
図9参照)が設定されている。なお、係り代Aを小さく設定することにより、ソレノイド36の作動ストロークを短縮し、ソレノイド36の小型化を図ることができる。
【0033】
また、前記シフトロック状態(
図6参照)において、車両のブレーキ操作に連動してソレノイド36がオンされると、リンクストッパ38がプランジャ37とともに引き込まれる(
図6中、二点鎖線38参照)。これにより、リンクストッパ38が許容位置へ後退されるため、シフトロックリンク32の係止部50に対するリンクストッパ38の係合部52の係合が解除される。続いて、運転者がシフトボタン26(
図1参照)を押し込み操作すると、ディテントロッド23の引き上げにともない、ロックピン24がシフトロックリンク32の凹状部46から離れる。これにともない、シフトロックリンク32がリンクスプリング34の付勢力によりアンロック方向(
図6中、矢印Y参照)へ回動される(
図11参照)。このとき、ロックピン24に沿ってシフトロックリンク32のカム部45が摺動する。また、リンクストッパ38が許容位置(後退位置)にあるため、リンクストッパ38の係合部52にシフトロックリンク32の係止部50が係合しない。詳しくは、リンクストッパ38の係合部52とシフトロックリンク32の係止部50との間に隙間C2(
図11参照)が設定されているため、係合部52に係止部50が係合しない。
【0034】
そして、アンロック方向(
図6中、矢印Y参照)へ回動される前記シフトロックリンク32のシフトロックリンク32の当接部57がリンクストッパ38の受止部55に係合することにより、シフトロックリンク32がアンロック位置で停止される(
図12参照)。この状態(アンロック状態)では、シフトボタン26(
図1参照)の押し込み操作により引き上げられる途中のディテントロッド23のロックピン24は、シフトロックリンク32の規制部43に当接することなく引き上げられる。すなわち、ディテント機構22によるシフトレバー15の保持が解除される。したがって、シフトレバー15をPレンジから他のシフトレンジへのシフト操作することができる。なお、許容位置(後退位置)にあるリンクストッパ38の受止部55(詳しくは受止面56(
図8参照))とシフトロックリンク32の当接部57(詳しくは当接面58(
図8参照))との間には、所定の係り代B(
図12参照)が設定されている。
【0035】
また、シフトロックリンク32がアンロック位置で停止された以降であれば、ソレノイド36をオフしてもよい。すなわち、ソレノイド36のオフ状態(非通電状態)では、プランジャ37に対してソレノイドスプリング47の付勢力が作用しているのみである。したがって、ソレノイドスプリング47によりリンクストッパ38が進出されようとしても、リンクストッパ38の係合部52(詳しくは先端面(前面))がそれに対向するシフトロックリンク32の壁面59に弾性的に当接するため、リンクストッパ38はそれ以上進出することができない。
【0036】
また、前記アンロック状態(
図12参照)において、シフトレバー15がPレンジ以外のシフトレンジにおいて、シフトボタン26(
図1参照)の押し込み操作によりディテントロッド23が引き上げられた状態でPレンジにシフト操作された後(
図13中、二点鎖線24(23)参照)、シフトボタン26の押し込み操作を解除する。すると、ディテントロッド23がスプリング(図示省略)によりシフトレバー15の保持位置へ押し下げられるにともない、ロックピン24がPレンジに対応するディテント溝部(図示省略)に係合される。また、ディテントロッド23の押し下げ(復帰動作)にともない、ロックピン24がシフトロックリンク32のカム部45の先端部に当接する(
図13中、実線24(23)参照)。その後、ロックピン24の下動により、ロックピン24に沿ってカム部45が前方へ摺動されることにより、シフトロックリンク32がリンクスプリング34の付勢に抗してロック位置へ回動される。そして、最終的には、ロックピン24がシフトロックリンク32の凹状部46に位置することにより、シフトロックリンク32がロック位置に保持される結果、前記シフトロック状態(
図6参照)となる。これにともない、リンクストッパ38は、ソレノイドスプリング47の付勢により規制位置(進出位置)に戻される。
【0037】
また、ソレノイド36のオフ状態(非通電状態)では、リンクストッパ38を有するプランジャ37にソレノイドスプリング47の付勢力が作用しているのみである。したがって、シフトロックリンク32のアンロック位置からロック位置への回動に際し、シフトロックリンク32の係止部50の後端部(詳しくは係止面51と第1壁面59とのなす隅角部)がリンクストッパ38の受止部55(詳しくは前面)に干渉しても、リンクストッパ38がソレノイドスプリング47の付勢に抗して後退方向へ押しやられる。そして、係止部50が係合部52を通過し終えると、リンクストッパ38がソレノイドスプリング47の付勢により進出位置(規制位置)へ戻される(
図6参照)。
【0038】
前記シフトロック装置30によると、シフトレバー15がPレンジにおいてディテント機構22により保持された状態で、シフトロックリンク32がロック位置にあるときは、そのシフトロックリンク32によりディテント機構22のディテントロッド23のロックピン24の解除動作が規制される。また、リンクストッパ38が規制位置にあるときは、リンクスプリング34の付勢によるシフトロックリンク32のアンロック位置への移動が規制される。このため、シフトレバー15をPレンジから他のシフトレンジへシフト操作することができない。この状態で、車両のブレーキ操作に連動してソレノイド36が作動されると、ソレノイド36のプランジャ37と共にリンクストッパ38が許容位置に移動される。また、シフトロックリンク32がリンクスプリング34の付勢によりアンロック位置へ移動される。このため、シフトボタン26の操作によりディテント機構22によるシフトレバー15の保持を解除することで、シフトレバー15をPレンジから他のシフトレンジへシフト操作することができる。
【0039】
ところで、ソレノイド36によりリンクストッパ38を規制位置に移動させることにより、リンクスプリング34の付勢によるシフトロックリンク32のアンロック位置への移動が規制され、また、ソレノイド36によりリンクストッパ38を許容位置に移動させることにより、リンクスプリング34の付勢によるシフトロックリンク32のアンロック位置への移動が許容される。したがって、ソレノイド36は、リンクスプリング34の付勢によるシフトロックリンク32のアンロック位置への移動を規制する規制位置とその移動を許容する許容位置とにリンクストッパ38を移動させるのに必要な推力を有していればよく、従来例のようにシフトロックリンクを移動させるのに必要な推力に比べて、小さい推力を有していればよい。このため、シフトロック装置30のソレノイド36の小型化を可能とすることができる。ひいては、シフトロック装置30の小型化及び低コスト化を図ることができる。
【0040】
また、ソレノイド36のプランジャ37の作動ストロークも短縮することができることによっても、シフトロック装置30のソレノイド36の小型化を可能とすることができる。また、ソレノイド36のプランジャ37によりリンクストッパ38が一体的に移動されるものの、そのプランジャ37にピン等で連結された部材(例えば、従来例のシフトロックリンク32)が存在しないので、作動音を低減することができる。
【0041】
また、シフトロックリンク32とリンクストッパ38との間に設けられたロック側係合手段の係止部50と係合部52との係合により、シフトロックリンク32のアンロック方向(
図6中、矢印Y参照)への移動を規制することができる。
【0042】
また、シフトレバー15のPレンジにおいて、ディテント機構22のディテントロッド23のロックピン24を利用してシフトロックリンク32をロック位置に保持することができる。
【0043】
また、シフトレバー15のPレンジにおいて、ディテント機構22のディテントロッド23のロックピン24の復帰動作を利用して、シフトロックリンク32をアンロック位置からロック位置へ移動させることができる。
【0044】
また、リンクストッパ38によって、リンクスプリング34によりアンロック方向(
図6中、矢印Y参照)へ移動されるシフトロックリンク32をアンロック位置で停止させることができる。
【0045】
[実施形態2]
実施形態2を説明する。本実施形態は、前記実施形態1に変更を加えたものであるから、その変更部分について説明し、重複する説明は省略する。
図14はロック側係合手段及びアンロック側係合手段を示す分解斜視図である。
図14に示すように、本実施形態は、前記実施形態1におけるリンクストッパ38の係合部52の係合面53(
図8参照)を、凸型の円弧面からなる係合面53Aに変更したものである。これにより、リンクストッパ38がプランジャ37の軸回りにがたついたとしても、リンクストッパ38の係合部52の係合面53Aに対するシフトロックリンク32の係止部50の係止面51の係合を確実化することができる。
【0046】
[実施形態3]
実施形態3を説明する。本実施形態は、前記実施形態1に変更を加えたものであるから、その変更部分について説明し、重複する説明は省略する。
図15はロック側係合手段及びアンロック側係合手段を示す分解斜視図である。
図15に示すように、本実施形態は、前記実施形態1におけるリンクストッパ38の係合部52の係合面53(
図8参照)の中央部に、半球状に突起部54を形成したものである。これにより、リンクストッパ38がプランジャ37の軸回りにがたついたとしても、リンクストッパ38の係合部52の突起部54に対するシフトロックリンク32の係止部50の係止面51の係合を確実化することができる。
【0047】
[実施形態4]
実施形態4を説明する。本実施形態は、前記実施形態1に変更を加えたものであるから、その変更部分について説明し、重複する説明は省略する。
図16はロック側係合手段及びアンロック側係合手段を示す左側面図である。
図16に示すように、本実施形態は、前記実施形態1におけるリンクストッパ38(
図8参照)の係合部52(係止面53を含む)が省略されている。このため、前記リンクストッパ38の平面からなる前面71と平面からなる下面72とのなす隅角部により係合部と受止部とを兼用する係合部兼受止部70が形成されている。また、係合部兼受止部70の下面72は、係止面と受止面を兼用する係合面兼受止面72(下面と同一符号を付す)となっている。
【0048】
したがって、シフトロックリンク32の係止部50(詳しくは係止面51)とリンクストッパ38の係合部兼受止部70(詳しくは係合面兼受止面72)との係合(当接)により、シフトロックリンク32がロック位置に保持される(
図17参照)。また、シフトロックリンク32の当接部57(詳しくは当接面58)とリンクストッパ38の係合部兼受止部70(詳しくは係合面兼受止面72)との係合(当接)により、シフトロックリンク32及びリンクストッパ38がアンロック位置に停止される(
図19参照)。なお、係合部兼受止部70と係止部50とはロック側係合手段を構成し、係合部兼受止部70と当接部57とはアンロック側係合手段を構成している。
【0049】
一方、シフトロックリンク32の係止部50には、係止面51の上面の前部から立ち上がる平面からなる壁面74が形成されている。壁面74には、前記ソレノイドスプリング47により付勢されるリンクストッパ38の係合部兼受止部70の前面71が弾性的に当接可能になっている。以下、壁面59を「第1壁面59」といい、壁面74を「第2壁面74」という。
【0050】
次に、前記シフトロック装置30の動作について説明する。
シフトロック状態では、
図17に示すように、ディテントロッド23のロックピン24は、シフトロックリンク32の凹状部46に位置している。すなわち、ディテント機構22のディテントロッド23のロックピン24によって、シフトロックリンク32がロック位置に保持されている。また、ソレノイド36はオフ状態にあり、リンクストッパ38が規制位置に位置されている。また、シフトロックリンク32の係止部50(詳しくは係止面51)とリンクストッパ38の係合部兼受止部70(詳しくは係合面兼受止面72)との係合(当接)により、シフトロックリンク32がロック位置に保持される。また、ソレノイドスプリング47により付勢されるリンクストッパ38の係合部兼受止部70の前面71が係止部50の第2壁面74に弾性的に当接することにより、リンクストッパ38が規制位置に保持される。なお、規制位置(進出位置)にあるリンクストッパ38の係合部兼受止部70(詳しくは係合面兼受止面72)とシフトロックリンク32の係止部50(詳しくは係止面51)との間には、所定の係り代A1(
図17参照)が設定されている。
【0051】
前記シフトロック状態(
図17参照)において、車両の運転に際し、ブレーキ操作しないで、運転者がシフトボタン26(
図1参照)を押し込み操作したときには、ディテントロッド23の引き上げにともない、ロックピン24がシフトロックリンク32の凹状部46から離れる。これにより、シフトロックリンク32がリンクスプリング34の付勢力によりアンロック方向(
図17中、矢印Y参照)へ回動されようとする。しかし、リンクストッパ38の係合部兼受止部70(詳しくは係合面兼受止面72)にシフトロックリンク32の係止部50(詳しくは係止面51)が係合(当接)しているため、シフトロックリンク32のアンロック方向への回動が制限される。
【0052】
このため、シフトボタン26の押し込み操作により引き上げられる途中のディテントロッド23のロックピン24がシフトロックリンク32の規制部43に当接することにより、それ以上のディテントロッド23の引き上げ操作が規制される(
図18参照)。すなわち、ディテント機構22の解除動作が規制されるため、シフトレバー15をPレンジから他のシフトレンジへのシフト操作することができない。
【0053】
また、前記シフトロック状態(
図17参照)において、車両のブレーキ操作に連動してソレノイド36がオンされると、リンクストッパ38がプランジャ37とともに引き込まれる(
図17中、二点鎖線38参照)。これにより、リンクストッパ38が許容位置へ後退されるため、シフトロックリンク32の係止部50に対するリンクストッパ38の係合部兼受止部70の係合が解除される。続いて、運転者がシフトボタン26(
図1参照)を押し込み操作すると、ディテントロッド23の引き上げにともない、ロックピン24がシフトロックリンク32の凹状部46から離れる。これにともない、シフトロックリンク32がリンクスプリング34の付勢力によりアンロック方向(
図17中、矢印Y参照)へ回動される。
【0054】
そして、アンロック方向へ回動される前記シフトロックリンク32のシフトロックリンク32の当接部57がリンクストッパ38の係合部兼受止部70に係合することにより、シフトロックリンク32がアンロック位置で停止される(
図19参照)。この状態(アンロック状態)では、シフトボタン26(
図1参照)の押し込み操作により引き上げられる途中のディテントロッド23のロックピン24は、シフトロックリンク32の規制部43に当接することなく引き上げられる。すなわち、ディテント機構22によるシフトレバー15の保持が解除される。したがって、シフトレバー15をPレンジから他のシフトレンジへのシフト操作することができる。なお、許容位置(後退位置)にあるリンクストッパ38の係合部兼受止部70(詳しくは係合面兼受止面72)とシフトロックリンク32の当接部57(詳しくは当接面58)との間には、所定の係り代B1(
図19参照)が設定されている。
【0055】
また、シフトロックリンク32がアンロック位置で停止された以降であれば、ソレノイド36をオフしてもよい。すなわち、ソレノイド36のオフ状態(非通電状態)では、プランジャ37に対してソレノイドスプリング47の付勢力が作用しているのみである。したがって、ソレノイドスプリング47によりリンクストッパ38が進出されようとしても、リンクストッパ38の係合部兼受止部70(詳しくは前面71)がそれに対向するシフトロックリンク32の第1壁面59に弾性的に当接するため、リンクストッパ38はそれ以上進出することができない。
【0056】
また、前記アンロック状態(
図19参照)において、シフトレバー15がPレンジ以外のシフトレンジにおいて、シフトボタン26(
図1参照)の押し込み操作によりディテントロッド23が引き上げられた状態でPレンジにシフト操作された後(
図20中、二点鎖線24(23)参照)、シフトボタン26の押し込み操作を解除する。すると、ディテントロッド23がスプリング(図示省略)によりシフトレバー15の保持位置へ押し下げられるにともない、ロックピン24がPレンジに対応するディテント溝部(図示省略)に係合される。また、ディテントロッド23の押し下げ(復帰動作)にともない、ロックピン24がシフトロックリンク32のカム部45の先端部に当接する(
図20中、実線24(23)参照)。その後、ロックピン24の下動により、ロックピン24に沿ってカム部45が前方へ摺動されることにより、シフトロックリンク32がリンクスプリング34の付勢に抗してロック位置へ回動される。そして、最終的には、ロックピン24がシフトロックリンク32の凹状部46に位置することにより、シフトロックリンク32がロック位置に保持される結果、前記シフトロック状態(
図17参照)となる。これにともない、リンクストッパ38は、ソレノイドスプリング47の付勢により規制位置(進出位置)に戻される。
【0057】
また、ソレノイド36のオフ状態(非通電状態)では、リンクストッパ38を有するプランジャ37にソレノイドスプリング47の付勢力が作用しているのみである。したがって、シフトロックリンク32のアンロック位置からロック位置への回動に際し、シフトロックリンク32の係止部50の後端部(詳しくは係止面51と第1壁面59とのなす隅角部)がリンクストッパ38の係合部兼受止部70の前面71に干渉しても、リンクストッパ38がソレノイドスプリング47の付勢に抗して後退方向へ押しやられる。そして、係止部50が係合部兼受止部70を通過し終えると、リンクストッパ38がソレノイドスプリング47の付勢により進出位置(規制位置)へ戻される(
図17参照)。
【0058】
[実施形態5]
実施形態5を説明する。本実施形態は、前記実施形態4に変更を加えたものであるから、その変更部分について説明し、重複する説明は省略する。
図21はロック側係合手段及びアンロック側係合手段を示す左側面図、
図22はロック側係合手段の作用説明図である。
図21に示すように、本実施形態は、前記実施形態4におけるシフトロックリンク32の第2壁面74が、第1壁面59の高さ59hよりも低い高さ74hに設定されている。また、シフトロックリンク32は、リンクストッパ38の材質に比べて、摩耗しにくい材質により形成されている。シフトロックリンク32及びリンクストッパ38が樹脂製である場合、例えばシフトロックリンク32にはガラス入りナイロン樹脂が用いられ、リンクストッパ38にはポリアセタール樹脂が用いられる。なお、シフトロックリンク32及びリンクストッパ38は樹脂製に限らず、少なくともシフトロックリンク32を金属製としてもよい。
【0059】
シフトロックリンク32のアンロック位置からロック位置への回動に際し、シフトロックリンク32の係止部50の後端部がリンクストッパ38の係合部兼受止部70の前面71に対して干渉して摺動することにより、リンクストッパ38の係合部兼受止部70の前面71の下部に摩耗が生じる(
図22中、二点鎖線71a参照)。なお、
図22では、係合部兼受止部70の前面71の摩耗状態を示す二点鎖線71aが誇張して表示されている。
【0060】
しかし、シフトロック状態において、リンクストッパ38がソレノイドスプリング47により付勢されることにより、リンクストッパ38が初期位置(
図22中、実線38参照)よりも前方(
図22において左方)へ移動される。すなわち、係合部兼受止部70の前面71(詳しくは摩耗により後退した前端面71a)が係止部50の第2壁面74に弾性的に当接される(
図22中、二点鎖線38参照)。これにより、リンクストッパ38が規制位置に保持される。このため、規制位置(進出位置)にあるリンクストッパ38の係合部兼受止部70(詳しくは係合面兼受止面72)とシフトロックリンク32の係止部50(詳しくは係止面51)との間の係り代A1が確保される。したがって、リンクストッパ38の係合部兼受止部70の前面71に摩耗が生じても、長期に亘って、リンクストッパ38の係合部兼受止部70(詳しくは係合面兼受止面72)とシフトロックリンク32の係止部50(詳しくは係止面51)との係合関係を継続することができる。
【0061】
本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更が可能である。例えば、アクチュエータとしては、ソレノイド36に限らず、ロータリー式ソレノイド、電動式シリンダ等を用いることができる。また、ソレノイド36のプランジャ37とリンクストッパ38とを一体化しても良い。また、ソレノイド36のプランジャ37自体をリンクストッパとして用いることも可能である。また、前記実施形態では、シフトレバー15のPレンジにおいて、シフトロックリンク32を、ディテント機構22のディテントロッド23のロックピン24によってロック位置に保持する構成としたが、ロック側係合手段の係止部50と係合部52との係合によってシフトロックリンク32をロック位置に保持してもよい。また、ロック側係合手段に代えて、シフトロックリンク32をロック位置に保持する専用の保持手段を設けてもよい。また、前記実施形態では、シフトレバー15のPレンジにおいて、シフトロックリンク32を、ディテント機構22のディテントロッド23のロックピン24の復帰動作を利用してアンロック位置からロック位置へ移動させる構成としたが、シフトロックリンク32をアンロック位置からロック位置へ移動させる専用の位置変更手段を設けてもよい。また、前記実施形態では、リンクスプリング34によりアンロック方向へ移動されるシフトロックリンク32を、リンクストッパ38によってアンロック位置で停止させるためのアンロック側係合手段を設けたが、アンロック側係合手段に代えて、シフトロックリンク32をアンロック位置で停止させるストッパ部材をベースブラケット12に設けてもよい。