(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5889838
(24)【登録日】2016年2月26日
(45)【発行日】2016年3月22日
(54)【発明の名称】パイプ切断設備の切粉除去装置
(51)【国際特許分類】
B23D 33/00 20060101AFI20160308BHJP
B23D 21/00 20060101ALI20160308BHJP
B23Q 11/00 20060101ALI20160308BHJP
【FI】
B23D33/00 H
B23D21/00 Z
B23Q11/00 M
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-132445(P2013-132445)
(22)【出願日】2013年6月25日
(65)【公開番号】特開2015-6708(P2015-6708A)
(43)【公開日】2015年1月15日
【審査請求日】2015年3月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000215006
【氏名又は名称】津根精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095430
【弁理士】
【氏名又は名称】廣澤 勲
(72)【発明者】
【氏名】津根 良孝
【審査官】
齊藤 彬
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−213855(JP,A)
【文献】
特開平11−300695(JP,A)
【文献】
実開昭57−075923(JP,U)
【文献】
特開昭49−127286(JP,A)
【文献】
特開2002−126942(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23D 33/00
B23D 21/00 − 21/12
B23Q 11/00
B26D 7/18
WPI
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被切断パイプを切断刃で所定長さに寸法切りするパイプ切断設備の切粉除去装置において、
先端部に噴射口が設けられたエアブローノズルと、前記エアブローノズルを移動させる駆動手段とを備え、
前記切断刃による切断が行われるとき、前記駆動手段により、前記エアブローノズルの先端部を、定位置にクランプされた前記被切断パイプの切り離し側の開口端から内側に挿入し、前記噴射口を切断位置よりも奥側に配置させ、前記エアブローノズルが、前記噴射口から前記切り離し側の開口端の方向にエアを噴射し、
前記切断刃が前記被切断パイプを横切る途中、前記エアブローノズルの位置に達する前に、前記駆動手段により、前記エアブローノズルの先端部を切断位置よりも外側に退避させることを特徴とするパイプ切断設備の切粉除去装置。
【請求項2】
前記駆動手段は、前記切断刃が前記被切断パイプを横切る途中、直径方向の半分以上の部分が切断されたタイミングで、前記エアブローノズルの先端部を前記切断位置よりも外側に退避させる請求項1記載のパイプ切断設備の切粉除去装置。
【請求項3】
前記駆動手段は、前記エアブローノズルの先端部を前記切断位置よりも外側に退避させるタイミングを、前記被切断パイプを横切る前記切断刃の位置に基づいて制御する請求項1又は2記載のパイプ切断設備の切粉除去装置。
【請求項4】
前記エアブローノズルは、パイプ材の先端部に前記噴射口が設けられたものであり、前記駆動手段には、前記パイプ材を前記被切断パイプの軸心に対して平行に支持する支持部と、前記支持部を前記被切断パイプの軸心に対して平行に移動させる第一移動機構と、前記支持部を前記被切断パイプの軸心に対して垂直に移動させる第二移動機構とが設けられている請求項1乃至3のいずれか記載のパイプ切断設備の切粉除去装置。
【請求項5】
前記エアブローノズルが噴射するエアを制御するエア制御手段を備え、前記エア制御手段は、エア噴射の開始及び停止を、前記被切断パイプを横切る前記切断刃の位置に基づいて制御する請求項1乃至3のいずれか記載のパイプ切断設備の切粉除去装置。
【請求項6】
前記エアブローノズルが噴射するエアを制御するエア制御手段を備え、前記エア制御手段は、エア噴射の開始及び停止を、前記エアブローノズルの位置に基づいて制御する請求項1乃至3のいずれか記載のパイプ切断設備の切粉除去装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被切断パイプを切断刃で所定長さに寸法切りするパイプ切断設備の切粉除去装置に関する。
【背景技術】
【0002】
金属製のパイプ等を丸鋸盤等で切断すると、パイプ等の内側に切粉が入り込んで堆積する。切粉をそのまま残留させると、切断刃が堆積した切粉を切り込むことになるため、パイプ切断面の粗度が悪くなったり、切れ曲がりが発生したりする。また、切断刃にチッピングが発生したり、切断刃が異常に摩耗して寿命が短くなったりする。そこで、既存のパイプ切断設備に切粉除去装置を付設し、被切断パイプの内側に切粉が残留するのを防止する対策が行われている。
【0003】
従来、例えば特許文献1に開示されているように、被切断パイプの切断中、被切断パイプの切り離し側の端部からエアを吸引することによって切粉を除去する切粉除去装置があった。この切粉除去装置は、切粉吸引口を有するパイプ端閉塞盤、パイプ端閉塞盤を往復移動させる駆動手段、及び一端がパイプ端閉塞盤の切粉吸引口に接続された切粉吸引管を備え、切粉吸引管の他端に吸気装置が接続され、起動手段の駆動によりパイプ端閉塞盤が切断中の被切断パイプの切り離し側の端部に気密に圧接し、被切断パイプ内部の空間が吸気装置によりエア吸引され、パイプ内部の切粉がエア吸引の気流に乗って除去される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−126942号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の切粉除去装置は、全体として構成が複雑である。また、被切断パイプが長い場合、エア吸引の負荷が重くなるので、被切断パイプの内側に十分な気流を発生させるためには、ハイパワーの吸引装置を設ける必要がある。したがって、装置が比較的高価になりやすいという問題があった。
【0006】
また、パイプ端閉塞盤を被切断パイプの切り離し側の端部に気密に圧接させため、被切断パイプの径に合わせて、サイズの異なるパイプ端閉塞盤(又はパイプ端閉塞盤の当接面に貼り付ける弾性パッド)を複数用意し、適宜交換しなければならない。さらに、切粉吸引管やダクトホースの内側に切粉が詰まったり、金属製の切粉が樹脂製のダクトホースの内壁を傷つけて穴が開いてしまったりするので、メンテナンスに手間が掛かっていた。
【0007】
本発明は、上記背景技術に鑑みて成されたものであり、様々な形状の被切断パイプに対して使用することができ、構造がシンプルで比較的安価で構成できるパイプ切断設備の切粉除去装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、被切断パイプを切断刃で所定長さに寸法切りするパイプ切断設備の切粉除去装置であって、先端部に噴射口が設けられたエアブローノズルと、前記エアブローノズルを移動させる駆動手段とを備え、
前記切断刃による切断が行われるとき、前記駆動手段により、前記エアブローノズルの先端部を、定位置にクランプされた前記被切断パイプの切り離し側の開口端から内側に挿入し、前記噴射口を切断位置よりも奥側に配置させ、前記エアブローノズルが、前記噴射口から前記切り離し側の開口端の方向にエアを噴射し、
前記切断刃が前記被切断パイプを横切る途中、前記エアブローノズルの位置に達する前に、前記駆動手段により、前記エアブローノズルの先端部を切断位置よりも外側に退避させることを特徴とするパイプ切断設備の切粉除去装置である。
【0009】
前記駆動手段は、前記切断刃が前記被切断パイプを横切る途中、直径方向の半分以上の部分が切断されたタイミングで、前記エアブローノズルの先端部を前記切断位置よりも外側に退避させる。また、前記駆動手段は、前記エアブローノズルの先端部を前記切断位置よりも外側に退避させるタイミングを、前記被切断パイプを横切る前記切断刃の位置に基づいて制御することが好ましい。
【0010】
また、前記エアブローノズルは、パイプ材の先端部に前記噴射口が設けられたものであり、前記駆動手段には、前記パイプ材を前記被切断パイプの軸心に対して平行に支持する支持部と、前記支持部を前記被切断パイプの軸心に対して平行に移動させる第一移動機構と、前記支持部を前記被切断パイプの軸心に対して垂直に移動させる第二移動機構とが設けられている。
【0011】
また、前記エアブローノズルが噴射するエアを制御するエア制御手段を備え、前記エア制御手段は、エア噴射の開始及び停止を、前記被切断パイプを横切る前記切断刃の位置に基づいて制御することが好ましい。あるいは、前記エアブローノズルが噴射するエアを制御するエア制御手段を備え、前記エア制御手段は、エア噴射の開始及び停止を、前記エアブローノズルの位置に基づいて制御することが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明のパイプ切断設備の切粉除去装置によれば、切断時に被切断パイプの内側に入り込む切粉がエア噴射の気流に乗って除去され、切断刃が堆積した切粉を切り込むことがなくなるので、切断の精度が向上し、パイプ切断面の仕上がりもきれいにすることができる。また、切断刃のチッピングや異常な摩耗も発生しにくくなり、切断刃の寿命を長くすることができる。
【0013】
エアブローノズルからのエア噴射は、被切断パイプが長い場合でも、切り離し部分の長さが一定以下であればそれほど負荷が重くならないので、ローパワーの送風装置を使用することができ、その他の部分の構造もシンプルなので、切粉除去装置を含むシステム全体を安価に構成することができる。
【0014】
エアブローノズルは1種類で様々な径の被切断パイプに対応できるので、作業前の段取り替えの手間が最小限に抑えられる。また、特許文献1の切粉除去装置のように、各部のエア配管の内部が詰まったりする問題が発生しないので、メンテナンスも容易である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明のパイプ切断設備の切粉除去装置の一実施形態を示す斜視図である。
【
図2】パイプ切断設備の内部構造を説明する平面図(a)、正面図(b)である。
【
図3】第二移動機構の構成を説明する模式図である。
【
図4】エアブローノズルの噴射口が切断位置より奥側にある状態での切粉の動きを説明する横断面図(a)、正面図(b)である。
【
図5】エアブローノズルの噴射口が切断位置より外側に退避した状態での切粉の動きを説明する横断面図(a)、正面図(b)である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明のパイプ切断設備の切粉除去装置の一実施形態について、図面に基づいて説明する。この実施形態の切粉除去装置10は、
図1に示すように、円筒状の被切断パイプWを切断刃12で所定長さに寸法切りする一般的なパイプ切断設備14に取り付けられている。
【0017】
パイプ切断設備14の筺体内部には、例えば
図2に示すように、切断刃12と、切断刃12が通過する所定位置に被切断パイプWを保持するためのクランプ機構を備え、さらに図示しないパイプ搬入機構を備えている。被切削パイプWは、軸心が切断刃12の移動方向と直角になるように配され、パイプ搬入機構により、被切削パイプWの軸心の方向(
図2(a)では紙面の上側から下側に向かう方向、
図2(b)では紙面の奥から手前に向かう方向)に搬入される。
【0018】
搬入された被切削パイプWは、先端部がクランプ機構に保持される。クランプ機構は、基台16上面の側端部に取り付けられ、基準水平面18aを形成する水平面ブロック18と、基台16の側面に取り付けられ、基台16上面から突出して基準水平面18aと直交する基準側面20aを形成する側面ブロック20とを備え、さらに、基準水平面18aと自己の下面22aとの間に被切削パイプWを挟んでクランプする昇降クランプブロック22と、基準側面20aと自己の側面24aとの間に被切削パイプWを挟んでクランプする横動クランプブロック24とで構成されている。各ブロック18,20,22,24は、ちょうど切断刃12が通過する位置(切断位置)に設けられ、それぞれ切断位置を挟んで両側に分割されている。
【0019】
被切削パイプWは、図示しない搬入機構により切断位置に向けて送られ、クランプ機構により先端部が所定位置に保持され、切断刃12が幅方向に横切ることによって切断される。切断された後、被切削パイプWは、クランプ機構による保持が解除され、切断刃12が切断前の初期位置に戻ると、搬入機構により所定ピッチだけ切断位置の方向に送られ、切り離された部分が押し出され、新しい先端部がクランプ機構により保持され、同じ動作を繰り返す。
【0020】
パイプ切断設備14の筺体は、
図1に示すように、クランプ機構に近い部分が搬出口14aとして開口し、搬出用シュート26が設けられている。被切削パイプWの切り離された部分は、1回の切断が終了する毎に搬出用シュート26上に落下し、搬出口14aから搬出される。
【0021】
切粉除去装置10は、
図1に示すように、搬出口14a近傍に設置されおり、エアブローノズル28と、エアブローノズル28を移動させるための駆動手段30とで構成されている。なお、
図1では切粉除去装置10の内部構造が見えているが、安全性や防塵性を確保するため、使用状態では全体をフード等で覆うことが好ましい。
【0022】
エアブローノズル28は、金属製の細長いパイプ材28aの先端部に噴射口28bが設けられたもので、パイプ材28aの基端部に、エア搬送用ホース32を介して図示しない送風装置が接続されている。噴射口28bは、パイプ材28aの基端部の方向にエアを噴射する構造になっている。エアブローノズル28は、送風装置からエアが連続又は間欠供給され、被切断パイプWの切断を行う間、噴射口28bからエアを噴射し続けるようになっている。
【0023】
駆動手段30は、エアブローノズル28を支持する支持部34、支持部34を移動させるための第一及び第二移動機構36,38を備えている。支持部34は、パイプ材28aの基端部が固定され、パイプ材28aを被切断パイプの軸心に対して略平行に支持する。第一移動機構36は、可動板39の上面に設置されたスライドレール40(スライダ40a、レール40b)を備え、スライダ40aの上面に支持部34が取り付けられ、レール40bが被切断パイプWの軸心に対して略平行に配置され、支持部34をレール40bに沿って移動させるものである。第二移動機構38は、パイプ切断設備14の筺体側面に設けたガイドレール42に可動板39の端部をスライド可能に取り付けたものであり、可動板39を被切断パイプWの軸心に対して略垂直に移動させるものである。この第一及び第二移動機構36,38により、エアブローノズル28の先端部を、クランプ機構に保持された被切断パイプWの切り離し側の開口端Waから内側に挿入し、また外側に退避させることができる。
【0024】
ここで、第二移動機構38のガイドレール42の設置方法について説明する。被切断パイプWは、
図2に示すクランプ機構により、基準水平面18aと基準側面20aに接する定位置に保持される。定位置の原点P0は、基準水平面18aと基準側面20aとが交差する点となる。例えば、大径の被切断パイプWを保持した様子と小径の被切断パイプWを保持した様子とを重ねると、
図3のように表わされる。
【0025】
詳しくは後で説明するが、エアブローノズル28を被切断パイプWの内側に挿入する際、エアブローノズル28の位置は、被切断パイプWが大径か小径かにかかわらず、軸心よりも右側寄りの点P1(基準側面20aから離れた側)とすることが好ましい。したがって、この実施形態のガイドレール42は、基準水平面18aに対して角度θ=30〜45度だけ傾けて設けられ、エアブローノズル28が、原点P0を通る角度θの直線上を移動できるようになっている。
【0026】
次に、パイプ切断設備14で切断作業が行われるときの切粉除去装置10の動作の一例を説明する。エアブローノズル28の先端部の初期位置は、被切断パイプWの軸心に対して垂直方向の位置が点P1であり、軸心方向の位置が、被切断パイプWの切り離し側の開口端Waから外側に退避した点である。
【0027】
まず、被切削パイプWの先端部がクランプ機構に保持されると、駆動手段30の駆動により、エアブローノズル28の先端部を被切断パイプWの開口端Waから内側に挿入し、噴射口28bを切断位置よりも奥側に配置させる。すると、切断刃12が被切断パイプWを横切る方向に移動して切断作業を開始する。
【0028】
図4は、切断刃12による切断点A1,A2が、被切断パイプWの直径方向の半分まで達していない状態を示している。エアブローノズル28は、切断刃12とは十分離れている。上側の切断点A1で発生する切粉K1は、被切断パイプWの内側に入り込むが、噴射口28bから噴射されたエアの気流に乗って吹き飛ばされ、開口端Waの外側に除去される。したがって、下側の切断点A2において切粉K1に切断刃12が切り込むという問題は発生しない。下側の切断点A2で発生する切粉K2は、被切断パイプWの内側に入り込むことなく、そのまま下方に落下する。
【0029】
さらに切断刃12が進行し、切断点A1,A2が被切断パイプWの直径方向の半分を超えると、切断刃12がエアブローノズル28に近づく。そして、切断刃12がエアブローノズル28に接触する前に、駆動手段30の駆動により、エアブローノズル28の先端部を被切断パイプWの開口端Waから外側に退避させ、初期位置に戻る。上側の切断点A1で発生する切粉K1は、
図5に示すように、被切断パイプWの内側に入り込み、被切断パイプWの内壁面の傾斜により最下部(幅方向の中央部分)に集まって堆積する。切粉K1が堆積する位置は切断点A2よりも低いので、切断点A2において切粉K1に切断刃12が切り込むという問題は発生しない。切断点A2で発生する切粉K2は、被切断パイプWの内側に入り込むことなく、そのまま下方に落下する。
【0030】
切断刃12が被切断パイプWを横切って切断が終了し、被切削パイプWは、クランプ機構による保持が解除され、切断刃12が初期位置に戻ると、切り離された部分が搬出口28bから搬出され、1目回の切断作業が終了する。
【0031】
ここまでの説明では、
図5の状態では「エアブローノズル28の先端部が被切断パイプWの開口端Waから外側に退避し、初期位置にある」とした。しかし、切断の動作及び切粉除去の動作を支障なく行うためには、「エアブローノズル28の先端部が切断位置よりも外側に退避している」としてもよく、必ずしも「被切断パイプの外側まで退避」しなくてもよい。後者の場合は、切断刃12が被切断パイプWを横切って切断した後、「クランプ機構のクランプ解除前に被切断パイプWの外側の初期位置まで退避する」という動作を行って、切り離された部分の搬出を可能にする。
【0032】
2回目以降の動作もほぼ同様である。まず、被切断パイプWが搬入機構により所定ピッチだけ切断位置の方向に送られ、クランプ機構により新しい先端部が所定位置に保持されると、切粉除去装置10が上記の動作を繰り返す。
【0033】
以上説明したように、切粉除去装置10は、切断時に被切断パイプWの内側に入り込む切粉K1が除去され、切断刃12が切粉K1を切り込むことがなくなるので、切断の精度が向上し、パイプ切断面の仕上がりもきれいにすることができる。また、切断刃12のチッピングや異常な摩耗も発生しにくくなり、切断刃12の寿命を長くすることができる。
【0034】
エアブローノズル28からのエア噴射は、被切断パイプWが長い場合でも、切り離し部分の長さが一定以下であればそれほど負荷が重くならないので、ローパワーの送風装置を使用することができ、その他の部分の構造もシンプルなので、切粉除去装置10を含むシステム全体を安価に構成することができる。
【0035】
また、エアブローノズル28は、1種類で様々な径の被切断パイプWに対応できるので、交換の手間が最小限に抑えられ、第二移動機構38により、エアブローノズル28の初期位置の設定を変更するだけでよい。また、特許文献1の切粉除去装置のように、切粉吸引管やその他ダクトホースの内部が詰まったりする問題が発生しないので、メンテナンスも容易である。
【0036】
なお、本発明のパイプ切断設備の切粉除去装置は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、エアブローノズルの噴射口は、被切断パイプ内の切断位置よりも奥側から切り離し側の開口端の方向にエア噴射できるように形成されていればよく、噴射口の数や形状は自由に変更できる。また、パイプ材の長さは、製品の長さ(被切断パイプから切り離される部分の長さ)に合わせて変更することができ、製品の長さが非常に短い場合は、パイプ材を省略して噴射口の部分だけでエアブローノズルを構成してもよい。
【0037】
駆動手段は、エアブローノズルを移動させ、エアブローノズルの先端部を、クランプ機構に保持された被切断パイプの切り離し側の開口端から内側に挿入し、また外側に退避させる動作が可能なものであれば、上記の駆動手段30以外の構成に変更することができる。例えば、多軸のロボットアーム等を使用してもよい。また、エアブローノズルの先端部を被切断パイプの内側から退避させるタイミングは、切断刃の位置情報に基づいて制御するのが好ましい。例えば、パイプ切断設備から切断刃の位置を示す座標情報を取得したり、切断刃の位置をセンサで検出したりする方法が考えられる。
【0038】
上記の切粉除去装置30では、被切断パイプWの切断を行う間、噴射口28bからエアを噴射し続けるようになっているが、エアの無駄使いを少なくするため、エアを制御するエア制御手段を付設し、噴出口28bの付近に切粉があるときにエア噴射を開始し、切粉がなくなるとエア噴射を停止するようにすることができる。例えば、エア噴射の開始及び停止を、被切断パイプを横切る切断刃の位置情報に基づいて制御したり、エアブローノズルの位置情報に基づいて制御したりする方法が好適である。
【0039】
また、被切断パイプの断面の形状は、円形、四角形、多角形等、特に限定されない。
【符号の説明】
【0040】
10 切粉除去装置
12 切断刃
14 パイプ切断設備
28 エアブローノズル
28a パイプ材
28b 噴射口
30 駆動手段
34 支持部
36 第一移動機構
38 第二移動機構
W 被切断パイプ
Wa 切り離し側の開口端
A1,A2 切断点
K1,K2 切粉