【文献】
J.C.SALAMONE, et al,Polymerization of Vinylpyridinium Salts.XIII. Preparation of 4-Vinyl-N-Methylpyridinium p-Styrenesulfonate Charge Transfer Ion-Pair Comonomer,Journal of Polymer Science:Polymer Letter Edition[online],米国,John Wiley & Sons, Inc.,1985年12月31日,Vol.23,P.655-659,[平成27年 4月14日検索],インターネット<URL:http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/pol.1985.130231210/pdf>,URL,http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/pol.1985.130231210/pdf
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
スチレンスルホン酸、又はスチレンスルホン酸のピリジン塩、又は双方の混合物である、モノマーの溶液を有機溶剤中で製造する方法であって、前記溶液が、カチオン交換膜の製造に適しており、以下;
a)スチレンスルホネートの金属塩の第一懸濁液を前記有機溶剤中で形成する工程、
b)ピリジニウム塩を、前記第一懸濁液に添加して、混合物懸濁液を形成する工程、
c)前記混合物懸濁液を反応させて、スチレンスルホン酸、又はスチレンスルホン酸のピリジン塩、又は双方の混合物であるモノマーの溶液を前記有機溶剤中で、金属塩の副生成物沈殿物を生じる条件下で形成する工程、
d)場合により、揮発性ピリジン副生成物及び他の揮発性種を、前記溶液から、該有機溶剤の5質量%未満を揮発する条件下で除去する工程、並びに
e)反応溶液を、場合により副生成物沈殿物から分離した後に採取する工程
を含む、前記方法。
前記有機溶剤が、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン又はジメチルスルホキシドからなる群から選択される、請求項1または2に記載の方法。
少なくとも1つの第二のモノマーが、2−スルホエチルメタクリレート(2−SEM又は2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)又はアクリル酸である、請求項8または9に記載の方法。
少なくとも1つの第二のモノマーが、スチレン、ビニルトルエン、4−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、アルファ−メチルスチレン;メタクリル酸無水物、メタクリル酸、n−ビニル−2−ピロリドン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニル−トリス−(2−メトキシエトキシ)シラン、塩化ビニリデン,フッ化ビニリデン、ビニルメチルジメトキシシラン、2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート、マレイン酸無水物、グリシジルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、メチルメタクリレート、エポキシシクロヘキシル−ポリヘドラルオリゴメリックシルセスキオキサン、グリシジル−ポリヘドラルオリゴメリックシルセスキオキサン、メタクリルポリヘドラルオリゴメリックシルセスキオキサン、アクリロポリヘドラルオリゴメリックシルセスキオキサン、トリススルホン酸エチルポリヘドラルオリゴメリックシルセスキオキサン、トリスルホンサンイソブチルポリヘドラルオリゴメリックシルセスキオキサンからなる群から選択される、請求項8または9に記載の方法。
前記架橋剤が、ジビニルベンゼン又はエチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、イソブチレングリコールジメタクリレート、オクタビニルポリヘドラルオリゴメリックシルセスキオキサン、オクタビニルジメチルシリルポリヘドラルオリゴメリックシルセスキオキサン、ビニルポリヘドラルオリゴメリックシルセスキオキサン、オクタビニルポリヘドラルオリゴメリックシルセスキオキサン、トリシラノールエチルポリヘドラルオリゴメリックシルセスキオキサン、トリシラノールイソブチルポリヘドラルオリゴメリックシルセスキオキサン、トリシラノールイソオクチルポリヘドラルオリゴメリックシルセスキオキサン、オクタシランポリヘドラルオリゴメリックシルセスキオキサン、オクタヒドロポリヘドラルオリゴメリックシルセスキオキサンである、請求項8または9に記載の方法。
前記重合開始剤が、有機ペルオキシド、2,2’−アゾビス[2,(2−イミダゾリン−2−イル)−プロパン]ジヒドロクロリド、a,a’−アゾイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオアミニジン)ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス[2,(2−イミダゾリン−2−イル)−プロパン]、又はジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)からなる群から選択される、請求項8または9に記載の方法。
【技術分野】
【0001】
本出願は、2010年10月15日に提出した米国仮出願第61/393770号及び61/393754号の権利を主張するものである。
【0002】
本発明の実施態様は、カチオン交換膜を製造するために適した溶液を含むモノマーを製造するための方法、これらの溶液から製造されたカチオン交換膜、並びにそれらの製造方法を提供する。
【0003】
カチオン交換膜は、電位又は化学ポテンシャル下でカチオンを輸送する。カチオン交換膜は、負の電荷及び移動性の正に荷電したカチオンを固定させる。イオン交換膜の特性は、固定されたイオン基の量、タイプ及び分布によって調整される。強酸カチオンイオン交換膜は、通常、荷電した基としてスルホン酸基を有し、一方で弱酸膜については、カルボン酸が、典型的に固定された荷電した基を生じる。
【0004】
イオン交換膜の最も重要な適用の中では、逆電気透析における電力発生源としての、及び燃料電池におけるセパレータとしての、電気透析(ED)による水の淡水化である。他の適用は、電気メッキ及び金属仕上げ産業における金属イオンの回復、並びに食品及び飲料産業における種々の適用を含む。
【0005】
電気透析は、イオン及びいくつかの荷電した有機物を、対になったアニオン及びカチオンの選択性膜を通して、直流電圧の原動力下で移動することによって水を淡水化する。ED装置は、セルの向かい合う壁として配置された導電性及び実質的に水不浸透性のアニオン選択性膜及びカチオン選択性膜からなる。隣接するセルはセル対を形成する。膜スタックは、多くの、時に数百のセル対からなり、かつEDシステムは、多くのスタックからなってよい。それぞれの膜スタックは、該スタックの一方の末端でDC(直流)陽極を有し、かつ他方の末端でDC陰極を有する。DC電圧下で、イオンは、反対側の電荷の電極に移動する。
【0006】
セル対は、2つのタイプのセル対、希釈セル及び濃縮セルからなる。一例として、2つのセルを形成する通常のカチオン交換膜壁及び2つのアニオン交換膜壁を有するセル対が考えられる。すなわち、第一のアニオン交換膜及びカチオン交換膜は希釈セルを形成し、かつカチオン交換膜及び第二のアニオン交換膜は濃縮セルを形成する。希釈セルにおいて、カチオンは、陽極に面したカチオン交換膜を通過するが、しかし陰極に面した方向で濃縮セルの対のアニオン交換膜によって止められる。同様に、アニオンは、陰極に面した希釈セルのアニオン交換膜を通過するが、陽極に面した隣接する対のカチオン交換膜によって止められる。この方法において、希釈セル中の塩は取り除かれ、かつ隣接する濃縮セルにおいてカチオンは、一方向から出て、カチオンは反対の方向から出る。スタックにおけるフローは、希釈フロー及び濃縮フローが、別々に維持され、かつ脱塩水流が、希釈フローから製造されるように配置される。
【0007】
EDプロセスにおいて、材料は、通常、電場の方向で膜表面で形成され、通常プロセス効率を低減しうる。この効果を抑制するために、電気透析反転(EDR)が開発され、かつ目下の使用の第一の方法である。EDRにおいて、電極は、規則的に、例えば15分〜60分毎に極性が逆になる。希釈フロー及び濃縮フローは、さらに同時に切り換えられ、濃度は希釈フローになり、希釈は濃度フローになる。この方法で、汚れた付着物は取り除かれ、かつ流される。
【0008】
いったん希釈セルにおいて濃度が約2000ミリグラム/リットル(mg/l)未満まで落ちると、電気抵抗は、電力要求がますます高価になるレベルである。これを克服するために、及び高い品質の水を製造することを可能にするために、電気脱イオン(EDI)(時に連続電気脱イオン(CEDI)と言われる)を開発した。この方法において、セルは、イオン交換媒体で、通常イオン交換樹脂ビーズで満たされる。イオン交換媒体は、溶液よりも伝導性がある。イオンは、濃縮セルに移すための膜表面に前記ビーズによって輸送される。EDIは、純水を製造することができ、そして供給濃度が十分に低減される場合により少ない電力でEDを可能にする。
【0009】
水の脱塩化のためのEDプロセスは、ROに対して利点を有する。それらは、操作費用を減少する前処理をほとんど要求しない。それらは、より高い生産水回収及びより高い塩水濃度を有し、すなわちより少ない塩水で解決できる。
【0010】
一価の選択膜は、最初に一価のイオンを移動する。一価の選択カチオン交換膜は、最初にナトリウム、カリウム等を移動する。同様に、一価の選択アニオン膜は、イオン、例えば塩化物、臭化物、窒化物等を移動する。
【0011】
逆浸透(RO)は、膜プロセスによって海水から淡水を製造させる。電気透析(ED)が、汽水及び排水の脱塩化のために使用される一方で、それは、一般に海水の使用のためには非常に高価であると考えられる。ROと競合させるために、ED及びEDRは、1オーム−cm
2未満、有利には0.8オーム−cm
2未満、及び最も有利には0.5オーム−cm
2未満の膜抵抗を要求する。90%より大きい、より有利には95%より大きい、及び最も有利には98%より大きいイオン透過選択性が所望される。膜は、長い耐用年数を有し、かつ物理的に強く、及び化学的に耐久性があり、費用がかからない必要がある。
【0012】
逆電気透析(RED)は、異なる塩分濃度の2つの溶液を混合することによって生じた自由エネルギーを電力に変換する。塩分濃度の差が大きくなればなるほど、電力発生の可能性は高くなる。例えば、研究者は、死海の水及び淡水又は海水を使用してREDを研究している。オランダにおける研究者は、海及び海水に入り込んだ川の水を混合している。RED膜は、有利には、低い電気抵抗及び高い共イオン選択性及び長い耐用年数、許容できる強度及び寸法安定性、並びに重要な低い費用を有する。
【0013】
ポリマー電解膜(PEM)は、電解液として、及び陽極からの水素と陰極に供給された酸素とを直接物理的に混合することを妨げるためのセパレータとして供給するイオン交換膜のタイプである。PEMは、付着した、又はPEMを製造するポリマーの一部として、負に荷電した基、通常スルホン酸基を含む。プロトンは、1つの固定された負の電荷から他にジャンプすることによって膜を通して移動して、膜を浸透する。
【0014】
PEMの要求は、化学安定性、熱安定性及び電気化学安定性、並びに膨張される場合に及び機械的応力下で適切な機械安定性及び強度を含む。他の要求は、低い抵抗力、直接メタノール燃料電池(DMFC)における低い又は有利には全くないメタノール輸送、及び低い費用を含む。
【0015】
双極膜は、時に薄い中性層間で、積層された又は一緒に結合されたカチオン交換膜及びアニオン交換膜から製造される。電場水下ではH+イオン及びOH−イオンに分けられる。ヒドロキシルイオンは、アニオン交換膜を通して輸送され、かつH+イオンはカチオン交換層を通して輸送され、かつそれぞれのセルにおいて塩基及び酸を形成する。有機酸は、双極膜を使用しても製造される。
【0016】
イオン交換膜の開発は、競合効果を解決するための性質の最適化を要求する。水の脱塩化のためのイオン交換膜は、伝統的に、成功と見なされるべき4つの主な特徴を満たす必要がある。それらは、以下である;
操作中のポテンシャル落差を低減し、かつエネルギー効率を増加する低い電気抵抗
高い透過選択性 − すなわち、対イオンに対しては高い透過性であり、しかし対イオンに対してはほぼ不浸透性である
高い化学安定性 − pH0〜14及び化学物質を酸化することに耐えるための能力
機械的応力 − 膜は、モジュール又は他の加工装置中に、製造される間、取り扱われる応力に耐えることができなければならない。膜に接している液体が濃度又は温度を変化する場合に、膜は、操作における良好な寸法安定性を有し、過度に膨張又は収縮しない。
【0017】
膜の開発者は、イオン交換膜を製造するために使用される提供された化学物質のために、より薄い膜が、より低い抵抗を与え、かつ装置の単位体積毎により多くの膜面積も可能にすることを認識している。しかしながら、より薄い膜は、環境効果からの寸法変化、例えばそれらの接触する液体のイオン濃度における変化又は操作温度変化をより受けやすい。さらに、欠陥を有さない膜を開発及び製造することは、より薄い膜の場合についてより困難であり、それというのも、膜の厚さが膜形成において生じてよい欠陥を含む、より厚い膜のためであるために、膜製造中のより少ない誤差限界があるからである。
【0018】
p−スチレンスルホネートのアルカリ金属塩を、p−β−ハロエチルベンゼンスルホン酸とアルカリ金属水酸化物との反応によって産業的に製造できることは公知であり、その際ハロは、Cl又はBrであってよい。かかるp−スチレンスルホネートのアルカリ金属塩が、イオン交換膜調合物におけるラジカル重合によって共重合される場合に、それらのp−スチレンスルホネートのアルカリ金属塩が、高いイオン交換応力及び低い含水率を有するカチオン交換膜(CEM)を製造するために典型的な非プロトン性溶剤、例えばN−メチルピロリドン(NMP)中で優れた溶解性を有することが必須であり、その結果、該膜が、単極膜として、及び塩分解プロセス中に酸及び塩基を効率的に及び経済的に製造するための電気透析(ED)スタックにおける高い効率を有する双極膜の一部として使用されうる。
【0019】
米国特許第4,029,640号は、アンモニウムp−スチレンスルホネートを製造するための方法、又はアルカリ金属p−スチレンスルホネートを二重分解することによる反応を含むそれらのポリマー、又はアルコールもしくは親水性有機溶剤と水との混合物である媒体中で無機アンモニウム塩を有するそれらのポリマーを開示している。しかしながら、この方法は、p−スチレンスルホネートのアルカリ金属塩の溶解性によって制限され、媒体の100部に対して40部未満まで制限される。言い換えれば、媒体100部中で無機アンモニウム塩2〜20部で制限されることが好ましい。これは、含水率70%未満を有するためにカチオン交換膜を設計するための膜調合物の能力を厳しく制限した。これは、p−スチレンスルホネートの塩、架橋剤及び溶剤の混合物を使用する一工程ラジカル重合から製造されるべきである場合に、極めて低い効率のCEMに変換した。
【0020】
米国特許第5,203,982号は、重合可能なモノマーの混合物の均一な溶液を重合することによって製造されたカチオン交換膜を請求しており、前記混合物は、1つ以上の水溶性の、モノマーのスチレンスルホネートアンモニウム塩及びジビニルベンゼンを含み、前記混合物は、1つ以上の相互溶剤中で、前記1つ以上のスチレンスルホネートアンモニウム塩及びジビニルベンゼンを含み、前記1つ以上の相互溶剤は、前記溶液の約20体積%〜約60体積%を有し、かつ前記重合可能なモノマーの重合混合物を実質的に膨張することによって特徴付けられ、前記1つ以上の相互溶剤は、市販の純粋な状態で約100℃以上の沸点を有する溶剤からなる群から選択される。
【0021】
米国特許第6,344,584号の実施例3において、リチウムスチレンスルホネート(LiSS)及びLiSSの45%までの溶解性のNMPを使用して製造された高容量CEMを開示しており、またその調合物において、混合物の全体の質量で、29%ジビニルベンゼン(DVB、80%ジビニル含有率、Dow Chemicals)である。
【0022】
全ての前記実施例は、使用される一般式のスルホン化されたスチレンの塩が、溶剤中で制限された溶解性を有し、かつ従って、非常に高い容量、高い効率、及び低い含水率の、前記の全てを基礎とするCEMを得ることが困難であることを証明する。
【0023】
この発明者の驚くべきことに、塩化ピリジニウムを、スチレンスルホネートのナトリウムイオンをイオン交換するために使用して、ピリジニウムスチレンスルホネート及び塩化ナトリウム塩を、NMP又はNMP/DVB混合物中で製造し、続いて副生成物の塩化ナトリウムを濾過する場合に、生成物のピリジニウムスチレンスルホネートの非常に良好なNMP溶解性が得られた。従って、pHの全ての範囲で安定でもあり、双極EDスタック又はWhey EDスタックの構成単位としての使用に適している、スチレンスルホン側鎖を基礎とする、高容量及び高効率のCEMを製造することが可能である。
【0024】
膜特性における改良も所望される。発明者は、有機溶剤中でスチレンスルホネートモノマーの純度及び溶解性を高めるため、及び得られた溶液の含水率を低減するための単純な直接法を見出している。かかる溶液で改良したカチオン交換膜が製造されており、かつ改良された膜を製造することが示されている。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】膜試験セル及び関連する電極の構成を示す図。
【0026】
要約
本明細書において記載されているのは、スチレンスルホン酸
、又はスチレンスルホン酸のピリジン塩、又は双方の混合物
である、モノマーの溶液を有機溶剤中で製造する方法であり、該溶液はカチオン交換膜の製造に適しており、以下;
a)スチレンスルホネートの金属塩の第一懸濁液を前記有機溶剤中で形成する工程、
b)ピリジニウム塩、有利には塩化物塩を、前記第一懸濁液に添加して、混合物懸濁液を形成する工程、
c)前記混合物懸濁液を反応させて、スチレンスルホン酸
、又はスチレンスルホン酸のピリジン塩、又は双方の混合物
であるモノマーの溶液を前記有機溶剤中で、金属塩の副生成物沈殿物を生じる条件下で形成する工程(該溶液は、カチオン交換膜の製造に適している)、
d)場合により、揮発性ピリジン副生成物及び他の揮発性種、例えば水を、前記溶液から、該有機溶剤の約5質量%未満を揮発する条件下で除去する工程、並びに
e)反応溶液を、有利には副生成物沈殿物から分離した後に採取する工程
を含む。
【0027】
本発明の実施態様は、金属塩副生成物の沈澱後に、製造されたモノマー溶液中でスチレンスルホネート約50質量%までを含む。
【0028】
本発明の実施態様は、金属塩副生成物の沈澱後に、製造されたモノマー溶液中でスチレンスルホネート約
70質量%までを含む。
【0029】
本発明の溶液は、電気透析のためのカチオン交換膜を製造するための新規の方法において使用される。
【0030】
前記膜は、適した多孔質基材を選択すること、それぞれ、以下;
a)スチレンスルホネートの金属塩の第一懸濁液を前記有機溶剤中で形成する工程、
b)ピリジニウム塩、有利には塩化物塩を、前記第一懸濁液に添加して、混合物懸濁液を形成する工程、
c)前記混合物懸濁液を反応させて、スチレンスルホン酸
、又はスチレンスルホン酸のピリジン塩、又は双方の混合物
であるモノマーの溶液を前記有機溶剤中で、金属塩の副生成物沈殿物を生じる条件下で形成する工程(該溶液は、カチオン交換膜の製造に適している)、
d)場合により、揮発性ピリジン副生成物及び他の揮発性種、例えば水を、前記溶液から、該有機溶剤の約5質量%未満を揮発する条件下で除去する工程、並びに
e)反応溶液を、有利には副生成物沈殿物から分離した後に採取する工程を含む方法によって製造されるスチレンスルホン酸又はスチレンスルホン酸のピリジン塩又は双方の混合物、及び場合による少なくとも1つの第二のモノマー、場合により架橋モノマー、及び重合開始剤を含む溶液で基材の多孔質領域を飽和する溶液で基材の多孔質領域を飽和することを含む方法によって製造される。
【0031】
一実施態様において、多孔質基材は、工程a.〜e.によって製造されたスチレンスルホン酸、又はスチレンスルホン酸のピリジン塩、又は双方の混合物の1つ以上のモノマー、中性モノマー、多機能架橋モノマー、及び重合開始剤で飽和され、続いて、溶液で飽和した多孔質の体積を残しながら基材の表面から過剰な溶液を取り除き、熱、紫外線光又は電離放射線の適用によって、場合により実質的に全ての酸素の不在で、重合を開始して、実質的に完全に基材の孔を充填する架橋したイオン転移ポリマーが形成される。
【0032】
ミクロ孔支持体は、有利には、ポリプロピレン、高分子量ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン又はポリフッ化ビニリデンのミクロ孔膜を含む。支持体は、有利には、約55ミクロン以下の厚さ、より有利には25ミクロン以下の厚さである。
【0033】
詳細な説明
スチレンスルホン酸又はその金属塩は、カチオン交換膜を製造するために使用される。国際出願番号PCT/US 10/46777号(参照をもって全体に組み込まれたものとする)は、多孔質基材の孔中で1つ以上の単官能イオノゲンモノマーと、少なくとも1つの多官能モノマーとを重合することによって製造されたイオン交換膜を製造する方法を記載している。スチレンスルホネートで10/46777号の出願の教示を適用すること、又は他のイオン交換生成物を製造することを所望する当業者は、できるだけ純粋な材料を望んでおり、かつモノマーの高い溶液濃度を使用する可能性がある。これらの性質は、高濃度のイオン交換スルホネート基を有する材料を製造する。
【0034】
NaSS、ナトリウムスチレンスルホネートは、N−メチルピロリドン(NMP)及び他の非プロトン性溶媒中で約5.6%(w/w)まで制限された溶解性を有することが当業者によく知られている。これは、低い抵抗の漏れのないカチオン交換膜を製造する、膜を開発する科学者の能力を制限する。発明者は、本明細書において記載されている本発明のプロセスを使用することによって、NMP中で約45%(w/w)までの溶解性の溶液を、優れたカチオン交換膜を製造する能力に置き換えて製造できることを発見している。
【0035】
発明者は、高純度スチレンスルホン酸(SSA)及びピリジニウムスチレンスルホネート(PSS)が、本明細書における方法によって得られてよいことを発見している。記載された方法において、スチレンスルホネートの金属塩は、塩化ピリジニウム(塩酸ピリジンCAS番号628−13−7)と反応される。ナトリウムスチレンスルホネート(4−スチレンスルホン酸ナトリウム塩;CAS番号2695−37−6)が好ましいモノマーである。
【0036】
ある場合において、ナトリウムスチレンスルホネート(Spinomer NaSS−Tosoh Corporation Tokyo Japan)を、N−メチルピロリドン(NMP)中で溶解し、塩化ピリジンを添加して溶解する。その溶液を、数時間80℃を超えて加熱し、そして水及びピリジンを蒸発して、副生成物を沈澱した塩化ナトリウムの濾過後に、透明な金に着色した溶液を得る。長時間の冷蔵庫中での放置に対して、核磁気共鳴(NMR)解析によってスチレンスルホン酸として同定される針状の結晶を取り除く。
【0037】
前記反応が還流下で80℃未満の温度で行われる場合に、透明な緑がかった黄色の溶液が、NaClの沈澱及び濾過後に得られ、かつ冷蔵で放置した後に形成された結晶は、ピリジニウムスチレンスルホネートであることが見出される。
【0038】
反応の条件を適合することによって、SSAとPSSとの混合物を形成してよい。少量のNaSSが同様に残ってよい。
【0039】
好ましいスチレンスルホネート金属塩は、ナトリウムである。カリウムカルシウム及びマグネシウム塩が使用されてよい。
【0040】
記載されている方法において、溶剤の好ましいクラスは、双極性非プロトン溶媒である。制限されることなく、適した溶剤のいくつかの例は、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホアミド又は−トリアミドを含む。最も好ましい溶剤は、N−メチルピロリドンである。
【0041】
ピリジン対イオンは、ハロゲン化物、すなわち臭化物、フッ化物、又はヨウ化物であってよい。好ましい対イオンは塩化物である。適したピリジンは、制限されることなく、次の例、2−メチルピロリドン、2−プロピルピリジンもしくは3−プロピルピリジン、又は2−ブチルピリジンもしくは4−第三級ブチルピリジンが使用されてよい。
【0042】
少なくとも1つの第二のモノマーは、2−スルホエチルメタクリレート(2−SEM又は2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)又はアクリル酸である。場合により、少なくとも1つの第二のモノマーは、スチレン、ビニルトルエン、4−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、アルファ−メチルスチレン;メタクリル酸無水物、メタクリル酸、n−ビニル−2−ピロリドン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニル−トリス−(2−メトキシエトキシ)シラン、塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン、ビニルメチルジメトキシシラン、2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート、マレイン酸無水物、グリシジルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、メチルメタクリレート、エポキシシクロヘキシル−POSS(登録商標) cage mixture(EP)(EP04080)、グリシジル−POSS(登録商標) cage mixture(EP0409)、メタクリルPOSS(登録商標) Cage Mixture(MA0735)、Acrylo POSS(登録商標) Cage Mixture (MA0736)、トリススルホン酸エチルPOSS(登録商標)(SA1532)、Trisulfonic Acid Isobutyl POSS(登録商標)(SA1533)からなる群から選択される。
【0043】
これらの少なくとも1つの架橋剤は、ジビニルベンゼン又はエチレングリコールジメタクリレートである。
【0044】
場合により、少なくとも1つの架橋剤は、プロピレングリコールジメタクリレート、イソブチレングリコールジメタクリレート、Octa−vinyl POSS(登録商標)(OL1160)、Octavinyldimethylsilyi POSS(登録商標)(OL1163)、Vinyl POSS(登録商標)Mixture(OL1170)、OctaVinyl POSS(登録商標)(OL1160), Trisilabolethyl POSS(登録商標)(SO1444)、Trisilanolisobutyl POSS(登録商標)(O1450)、Trisilanolisooctyl POSS(登録商標)(SO1455)、Octasilane POSS(登録商標)(SH1310)、又はOctahydro POSS(登録商標)(SH1311)[Hybrid Plastics Hattiesberg MS]である。
【0045】
重合開始剤は、有利には、有機ペルオキシド、2,2’−アゾビス[2,(2−イミダゾリン−2−イル)−プロパン]ジヒドロクロリド、a,a’−アゾイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオアミニジン)ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス[2,(2−イミダゾリン−2−イル)−プロパン]、又はジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)からなる群から選択される。
【0046】
発明者は、架橋剤、例えばジビニルベンゼンを、モノマー溶液のゲル形成を生じずに調整されたスチレンスルホンイオン溶液を合成する間に、モノマー溶液に添加してもよい事実に驚かされた。この工程で架橋剤を添加することができることによって、膜を形成するプロセスは単純化される。
【0047】
見出した重要性は、反応の副生成物が除去できるべきであり、かつスチレンスルホネートが、通常周囲の操作温度、例えば約20℃〜30℃で溶液中で残っていることである。より高い温度は、溶解性を増加するために使用されてよい。ナトリウムスチレンスルホネート及び塩化ピリジンの好ましい組合せは、不溶性塩化ナトリウム沈殿物及び可溶性スルホネートピリジニウム塩を製造する。以下によって制限されることなく、ピリジニウム塩は、良好な重合反応性に置き換える良好な重合反応性に置き換える高められた溶解性を提供し、従ってよりタイトな(ピンホールのない)膜フィルム形成を提供する。
【0048】
前記反応は、種々の結果を可能にする。例えば、ナトリウムスチレンスルホネートと塩化ピリジニウムとのモル比が1未満である場合に、ナトイウム及びピリジニウムの対イオンの混合物が生じる。塩化ピリジニウムのモル過剰量を使用することによって、完全な反応が保証され、かつ過剰な塩化ピリジニウムは、ピリジンの揮発によって取り除かれてよい。
【0049】
膜の開発及び製造の当業者は、この簡便な研究室での方法が、他の研究室スケールの方法に適用されてよく、かつ連続製造まで達せられてよい。
【0050】
例えば、基材の孔の充填又は飽和は、わずかに高い温度(>40℃)で行われて、空気の溶解性を低減し、又はこの工程は、調合物溶液に沈められた基材試料の穏やかな真空処理後に行われてよい。基材試料を、予め浸漬し、そしてポリエステル又は同様のシート上に置き、そして被覆シートで覆い、そして滑らかにして、空気の気泡を取り除いてよい。いくつかの予め浸漬した小片を、層状にし、そしてポリエステル又は同様のシート上に置き、そして被覆シートで覆い、そして滑らかにして、空気の気泡を取り除いてよい。
【0051】
炉中で加熱するよりも、飽和した基材のサンドイッチを、十分な温度で及び必要な時間加熱した表面上に置いて、重合を開始し、そして完了してよい。重合反応の開始のための代わりの方法を使用してもよい。紫外線光又は電離放射線、例えばガンマ放射線又は電子ビーム放射線を、重合反応を開始するために使用してもよい。
【0052】
低い抵抗は、脱塩化するために要求される電気エネルギーを減少し、かつ操作費用を低減する。特定の膜抵抗は、オーム−センチメートル(Ω cm)で測定される。より簡便な工学測定は、オーム−cm
2(Ω cm
2)である。面積抵抗は、電極溶液中のそれらの間の公知の範囲の膜試料を有する公知の範囲の2つの電極を有するセルを使用することによって測定されてよく、白金又は黒色グラファイトが典型的に使用される。電極は、膜に触れない。膜面積抵抗は、定位置に膜を有する試験結果から、膜を有さない電極抵抗を引くことによって評価される。抵抗は、膜によって分けられた2つのよく撹拌されたチャンバーを有するセルにおいて電圧対電流曲線を測定することによって測定されてもよい。カロメル電極は、膜を全体にわたった電位降下を測定する。電位降下対電流の傾斜は湾曲し、電圧及び測定した電流を変動することによって得られてよい。電気化学インピーダンスを使用してもよい。この方法において、代わりの電流は、膜全体に適用される。単一周波数での測定は、膜の電気化学的特性に関連するデータをもたらす。周波数及び振幅変動を使用することによって、詳細な構造の情報が得られてよい。本明細書において、抵抗を、実験の節において記載されている方法によって定義する。
【0053】
見かけの透過選択性は、電気透析中の共イオンに対する対イオンの相対輸送を言う。理想のカチオン交換膜について、正に荷電したイオンのみが、膜を通過し、1.0の透過性をもたらす。見かけの透過選択性は、種々の濃度の一価の塩の溶液を分離する間、膜全体の電位を測定することによって見出される。本明細書において使用される方法及び計算は、実施例の節において記載されている。
【0054】
これらの当初の目的を満たすために、発明者は、付着した荷電させたイオン基を有する架橋させたポリマーがミクロ孔膜基材の孔中で含まれる、複合体イオン交換膜のタイプを開発した。多孔質の膜基材は、有利には、約155ミクロン未満の厚さ、より有利には約55ミクロン未満の厚さである。
【0055】
約45%より多い多孔性を有する基材膜が好ましく、約60%より多い多孔性を有する基材膜がより好ましい。最も好ましい実施態様において、基材膜は、約70%より多い多孔性を有する。好ましい基材膜は、約0.05ミクロン〜約10ミクロンの定格孔サイズを有し、約0.1ミクロン〜約1.0ミクロンの範囲がより好ましい。最も好ましい多孔質基材は、約0.1ミクロン〜約0.2ミクロンの定格孔サイズを有する。
【0056】
ミクロ孔膜支持体は、ポリオレフィン、ポリオレフィンのブレンド、ポリフッ化ビニリデン、又は他のポリマーから製造されてよい。好ましい基材の種類は、主に電池セパレータとしての使用のために製造された薄いポリオレフィン膜を含む。より好ましい基材の種類は、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)から製造された薄い電池セパレータである。
【0057】
所望のイオン交換膜を製造するために、発明者は、基材の孔において架橋したポリマーを重合することによって、基材の孔中で架橋した荷電したポリマーを置く方法を開発した。前記方法は、荷電したモノマー、多官能モノマー、(例えば架橋剤)及び重合開始剤の溶液で多孔質基材を飽和することを含む。本明細書において、無機モノマーの用語は、共有的に付着した少なくとも1つの荷電した基を有するモノマー種を意味する。荷電した基は、正に荷電するか、又は負に荷電してよい。一実施態様において、架橋したポリマーは、多官能荷電モノマーを重合することによって製造される。重合は、熱によって、又はUV光によって、有利には重合開始剤、例えばラジカル開始剤で開始される。単官能モノマーは、重合反応を進展するための単一の部位を有するモノマーである。多官能モノマーは、1より多い重合反応を有し、網状ポリマー又は架橋したポリマーを形成しうる。
【0058】
次の研究室の方法は、抵抗性及び透過選択性試験のための小片を製造することによって調合物及びプロセス効果を調べるために使用される。多孔質膜基材の直径43mmの小片をダイカットした。透明なポリエステルシート少量のより大きいディスク(直径50mm又は100mm)もダイカットした。105mmのアルミニウム秤量ボートを、典型的に、小片のセットを保持するために使用した。その小片を、2つのポリエステルフィルムのディスク間でサンドイッチした。最初に、基材の小片を、モノマー溶液で完全に湿潤して、試験試料を製造した。これは、アルミニウムボートに調合した溶液を添加し、そして層状にした基材の小片を有するポリエステルフィルムのディスクを溶液中に浸漬することによって行い、その結果多孔質の支持体を飽和させた。飽和した支持体を、モノマー溶液から取り出し、そして一片のポリエステルフィルム上に置いた。例えば簡便な道具、例えば小さいガラス棒で小片をならす又は押しつぶすことによって、又は帯によって、気泡を小片から取り除いた。そして第二のポリエステルディスクを、第一の小片の頂部で層状にし、そしてならして、小片と底部及び上部のポリエステルフィルム層との間の完全な表面接触を有した。そして第二の多孔質基材を、上部ポリエステルフィルム上で層状にし、そしてポリエステルフィルムの層の上の飽和、平滑化及び付加を繰り返して、2つの小片及び3つの保護ポリエステルフィルム層の多層サンドイッチをもたらした。典型的な実験操作は、10以上の飽和させた基材の小片の層の多層サンドイッチを有する。アルミニウムボートの縁を、必要である場合に、ディスク/小片の組立を保持するために縮めてよい。
【0059】
そしてボート及び組立を、シール可能なバッグ、典型的にジップロックポリエチレンバッグに置き、バッグをシールする前に不活性ガス、通常窒素の低い正圧に置いた。ボート及び小片組立を含むバッグを、80℃で約60分まで炉中に置く。そしてバッグを取り出し、そして冷却し、反応したカチオン交換膜の小片を、0.5N NaCl溶液中に40℃〜50℃で少なくとも30分間置いた。18時間までのNaCl浸透を十分に見出した。
【0060】
実施例
次の実施例は、目的の膜の開発において費やされた努力の範囲を例示することを意図する。その発見は、所望の特徴を有するイオン交換膜が製造され、かつ他の実験で改良が可能である事を示すことをもたらした。これらの結果は、膜開発及び関連する技術の当該技術分野への開発の方向を例示すること及び示すことを意図し、本明細書において開示された事項の範囲を制限しない。
【0061】
次の実施例において、一般の初期処理手順を使用した;
NaSSの秤量した質量を溶剤に添加して、懸濁液又はスラリーを形成し、そして塩化ピリジニウムを添加し、他の成分(発明者によって計画された他の荷電した及び/又は中性モノマー、架橋モノマー、開始剤及び移動剤)を添加し、そしてその混合物を加熱し、及び又は反応させて、透明な着色した溶液を形成した。
【0062】
実施例1
ピリジニウムスチレンスルホネート及びCEMの製造
8ozのジャーを、61.1gのNaSS、29.92gの塩化ピリジニウム、44.38gのNMP、47.25gのDVB−80及び0.42gのMEHQで満たした。この混合物を、76℃まで100分間還流で加熱し、そして18時間撹拌しながらゆっくりと加熱させ、そして15℃で真空ポンプアスピレータを使用して濾過した。収率:133.45gの透明な緑がかった黄色の溶液。濾過したNaClを、70時間90℃の炉中で乾燥した;質量:41.68g。
【0063】
前記で得られた溶液の50.43gに、0.35gmのVazo−64(DuPont)を添加した。Teklon HPIP、APorous H6A、Celgard EZ2090、Celgard EZ2590、Solupor 10P05A及びSolupor 16P10Aの小片を、それぞれ45分間浸漬し、そしてそれらを、Mylarディスク間でサンドイッチし、そしてサンドイッチ中のあらゆる気泡を圧することによって取り除いた。そのサンドイッチをアルミニウム秤量皿の内部に置き、ディスクを、Ziploc(登録商標)又は同様のシール可能なプラスチックバッグ中に置き、そして窒素ガスで加圧した。Ziploc(登録商標)バッグを、45分間90℃の炉中に置いた。
【0064】
実施例1は、0.296モルのNaSS及び0.259モルの塩化ピリジニウムで開始する。最終の溶液は、総計で少なくとも0.259モルのスチレンスルホネートのピリジニウム塩を含む133.5グラムとなる。ピリジニウム塩は、263のモル質量有し、133.5グラムの溶液中で0.259×263=68.3グラムであり、又は溶液に対して51%である。スチレンスルホネートイオンに基づいて、MW=183.2であり、40.6%のスルホネートイオンがある。
【0065】
それぞれの膜の小片を製造し、そしてコンディショニングのために0.5N NaCl(水溶液)中に置いた。Solartron電気化学試験を、以前に記載したように設定し、そして使用して、抵抗性及び見かけの透過選択性を得た。
【0066】
表1は、CEMのオーム cm
2での面積抵抗及びその見かけの透過選択性%を示す:
【表1】
【0067】
実施例2
PySS、2−SEM DVB、AA及びNMPの混合物から製造したCEM:
7.38gのアクリル酸で満たした40mlバイアル中で、7.6gのNMPを溶解し、7.4gのDVB−80及び0.15gのVazo−64(DuPont)を添加して、無色透明な淡い黄色い溶液を得た。
【0068】
20.09gのドープしたVazo−64に、実施例1からの溶液を、2.6gの前記からの溶液及び3.10gの2−SEM(2−スルホエチルメタクリレート、Evan Chemetics)を添加した。室温で均一な混合物になるまで撹拌した。Teklon HPIP、APorous H6A、Celgard EZ2090、Celgard EZ2590、Solupor 10P05A及びSolupor 16P1OAの小片を、Mylarディスク間でサンドイッチし、そしてサンドイッチ中のあらゆる気泡を圧することによって取り除いた。そのサンドイッチをアルミニウム秤量皿の内部に置き、ディスクを、Ziploc(登録商標)バッグ中に置き、そして窒素ガスで加圧した。Ziploc(登録商標)バッグを、45分間90℃の炉中に置いた。
【0069】
それぞれの膜の小片を製造し、そしてコンディショニングのために0.5N NaCl(水溶液)中に置いた。Solartron電気化学試験を、記載したように設定し、そして使用して、抵抗性及び見かけの透過選択性を得た。
【0070】
Solartron電気化学試験及び以前に記載した設定を使用した。
【0071】
表2は、CEMのオーム cm
2での面積抵抗及びその見かけの透過選択性を示す:
【表2】
【0072】
実施例3
ピリジニウムスチレンスルホネート(PySS)の合成
8ozのジャー中で50.22gのNaSSに、26.40gの塩化ピリジニウム及び26.30gのNMPを添加した。その溶液を40〜75℃で6時間撹拌及び還流しながら加熱し、そして18時間撹拌しながらゆっくりと冷却させた。沈澱したNaClを、室温で真空ポンプアスピレータを使用して濾過した。収率:61gの透明な緑がかった黄色の溶液。濾過したケークは、6日間80℃の炉中での乾燥後に、31.10gの重さであった。
【0073】
透明な緑がかった黄色い溶液を、冷蔵庫中で一昼夜保持し、いくつかのフレーク状の結晶が形成した。結晶を、真空ポンプアスピレータを使用して濾過した;58.5gの残りの溶液及び2.6グラムの沈澱した結晶を得た。
【0074】
この実施例において、最初に0.244モルのNaSSがある。これが、スルホネートイオンとして考慮される場合に、NW=183.2であり、そして61.1グラムの最終の透明な溶液中で73%のスルホネートがある。
【0075】
実施例4
実施例3からのNMP溶液中で20.03gのSySSを、4ozのジャー中に注ぎ、そしてこれに、3.57gのDVB−80、3.8gの塩化ビニルベンジル(VBC)、1.91gのNMP及び0.17gのVazo 64を添加した。Teklon HPIP及び16P10Aの小片を、30分間混合物中で浸漬し、そしてそれらを、ポリエステル(Mylar)シートディスク間でサンドイッチし、そしてMylarディスク間のあらゆる気泡を、加圧することによって取り除き、そしてサンドイッチを、アルミニウム秤量皿の内側に置いた。そのディスクを、Ziploc(登録商標)バッグ中に置き、窒素ガスで加圧し、そして1時間90℃の炉中に置いた。
【0076】
その試料をバッグから取り出し、そしてエタノール、イソプロパノール、エタノールでそれぞれ30分間洗浄し、そして0.5N NaCl中に80℃で条件付けるために30分間置き、新しい0.5N NaCl中に80℃で条件付けるための30分間を繰り返し、そして室温で新しいNaCl溶液で繰り返した。
【0077】
表3は、CEMのオーム cm
2での面積抵抗及びその見かけの透過選択性%を示す:
【表3】
【0078】
実施例5
24.34gのNaSS、11.82gの塩化ピリジニウム、及び15.05gのNMPを含む4ozのジャーを、60℃で20分間、撹拌しながら加熱し、そして45℃で90分間冷却させた。その溶液を、105℃まで15分で加熱し、そして還流せずに95℃まで冷却した。その温度を約95℃で次の75分間維持し、そして52℃まで冷却し、続いて真空濾過によって、30mlの透明な黄色い溶液を得た。濾過したケーク、すなわちNaCl副生成物は、60時間80℃の炉中での乾燥後に、16.82gの重さであった。前記の13.32gの透明な黄色い液体に、3.82gのDVB及び0.1gのVazo−64を添加した。もう一度溶液を真空濾過して、19.01gの黄色い透明な混合物を得た。Teklon HPIP、APorous H6A、Celgard EZ2090、Celgard EZ2590の小片を、ポリエステルシート間でサンドイッチし、そしてポリエステルシート間のあらゆる気泡を圧することによって取り除いた。そのサンドイッチを、Ziplocバッグ中に置いたアルミニウム秤量皿に置き、窒素ガスで加圧し、そして60分間80℃の炉中に置いた。膜の小片を製造し、そしてコンディショニングのために0.5N NaCl(水溶液)中に置いた。
【0079】
表4は、CEMのオーム cm
2での面積抵抗及びその見かけの透過選択性%を示す(Astom−Japan製の125mmの市販のカチオン交換膜CMXも示す):
【表4】
【0080】
実施例6
実施例5において製造した最終的な溶液の2gを、実施例1からの溶液及び0.273gのVazo−64に添加して、合計42.127gの混合物を得た。この混合物の13.0gに、7.6gのNMP中で7.38gのアクリル酸(AA)及び7.4gのDVB(80%ジビニル)及び0.15gのVazo−64から製造した混合物の2.33gを添加した。
【0081】
Teklon HPIP、APorous H6A、Celgard EZ2090、Celgard EZ2590、Solupor 1OP05A及びSolupor 16P1OAの小片を、それぞれ25分間浸漬し、そしてそれらを、Mylarディスク間でサンドイッチし、そしてサンドイッチ中のあらゆる気泡を圧することによって取り除いた。そのサンドイッチをアルミニウム秤量皿の内部に置き、ディスクを、Ziplocバッグ中に置き、そして窒素ガスで加圧した。Ziploc(登録商標)バッグを、60分間80℃の炉中に置いた。
【0082】
膜の小片を製造し、そしてコンディショニングのために0.5N NaCl(水溶液)中に置いた。
【0083】
表5は、CEMのオーム cm
2での面積抵抗及びその見かけの透過選択性%を示す(Astom−Japan製の125mmの市販のイオン交換膜CMXも示す):
【表5】
【0084】
実施例7
50.10gのNaSS、24.01gの塩化ピリジニウム、44.65gのNMP及び25.50gのDVB(80%ジビニル)を含む8ozのジャーを50℃〜70℃で6時間、還流しながら加熱し、そして28℃まで冷却した。沈澱したNaClを、15℃で真空ポンプアスピレータを使用して濾過した。収率:108.50gの透明な緑がかった黄色の溶液を得た。濾過したNaClケークは、70時間80℃の炉中での乾燥後に、24.43gの重さであった。
【0085】
前記で得られた溶液の50.43gを二重濾過し、1.09gのVazo−64を添加した。その溶液を、Teklon HPIP、APorous H6A、Celgard EZ2090、Celgard EZ2590、Solupor 1OP05A及びSolupor 16P1OAの小片に45分使用した。そしてその小片を、Mylarディスク間でサンドイッチし、Mylarシート間の気泡を加圧によって取り除き、そしてサンドイッチをアルミニウム秤量皿の内側に置き、その皿を、Ziplocバッグに置いて、窒素で加圧した。そのバッグを、1時間80℃の炉中に置いた。膜の小片を製造し、そしてコンディショニングのために0.5N NaCl(水溶液)中に置いた。
【0086】
表6は、CEMのオーム cm
2での面積抵抗及びその見かけの透過選択性を示す(Astom−Japan製の125mmの市販のイオン交換膜CMXも示す):
【表6】
【0087】
沈澱した結晶の構造
40mlのバイアル中で、12.1gのNaSSを、5.85gの塩化ピリミジン及び10.90gのNMPと合した。その混合物を、80〜90℃でバイアルを開いて100分間加熱し、そして2時間撹拌しながらゆっくりと冷却させた。それを室温で真空ポンプアスピレータを使用して濾過した。収率:133.45gの透明な緑がかった黄色の溶液。NaCl沈殿物を濾過したケークは、70時間90℃の炉中での乾燥後に、5.63gの質量を有した。その溶液を冷蔵庫中で35日間貯蔵した後に、少量のフレーク結晶と混合された針状の結晶を観察した。その結晶を溶液から濾過し、そしてそれらをシクロヘキサンで洗浄し、そして乾燥した。7.5gの母液体から0.17gを得た。針状の結晶を、NMR解析した。
【0088】
結晶を、DMSO−d6中で溶解し、そしてChampaign、IllinoisのSpectral Data Service, Inc.製の400MHzプロトンNMR装置中で調べた。スルホン酸からのプロトンの単独のピークの見本は、4.074ppmを示した。
【0089】
他の40mlのバイアルに、12.1gのNaSS、5.83gの塩化ピリジニウム、10.02gのNMPを添加し、そして3時間バイアルを閉じて50〜70℃まで加熱した。頂部で透明な溶液は、透明で緑がかった色に変わった。それを2時間撹拌しながらゆっくりと冷却させ、そして室温で真空ポンプアスピレータを使用して濾過した。収率:12gの透明な緑がかった溶液。冷蔵庫中で22日間貯蔵した後に、透明なフレーク状の結晶が、少量の針状の結晶と合わせて観察された。その溶液からの結晶を濾過し、そしてシクロヘキサンで洗浄し、そして乾燥して、0.14gを得た。フレーク状の結晶を、NMR解析した。結晶を、DMSO−d6中で溶解し、そしてChampaign、IllinoisのSpectral Data Service, Inc.製の400MHzプロトンNMR装置中で調べた。データは、4.074ppmでスルホン酸からのプロトンの単独ピークの不在を示し、ピリジニウムスチレンスルホネート結晶の明確なサインを形成した。
【0090】
実施例8
ピリジニウムスチレンスルホネート及びCEMの製造
8ozのジャーを、61.1gのNaSS、29.92gの塩化ピリジニウム、44.38gのNMP、47.25gのDVB−80及び0.42gのMEHQで満たした。この混合物を、76℃まで100分間還流で加熱し、そして18時間撹拌しながらゆっくりと加熱させ、そして15℃で真空ポンプアスピレータを使用して濾過した。収率:133.45gの透明な緑がかった黄色の溶液。濾過したNaClを、70時間90℃の炉中で乾燥した;質量:41.68g。
【0091】
前記で得られた溶液の50.43gに、0.35gmのVazo−64(DuPont)を添加した。Teklon HPIP、APorous H6A、Celgard EZ2090、Celgard EZ2590、Solupor 1OP05A及びSolupor 16P1OAの小片を、それぞれ45分間浸漬し、そしてそれらを、Mylarディスク間でサンドイッチし、そしてサンドイッチ中のあらゆる気泡を圧することによって取り除いた。そのサンドイッチをアルミニウム秤量皿の内部に置き、ディスクを、Ziplocバッグ中に置き、そして窒素ガスで加圧した。Ziplocバッグを、45分間90℃の炉中に置いた。
【0092】
実施例1は、0.296モルのNaSS及び0.259モルの塩化ピリジニウムで開始する。最終の溶液は、総計で少なくとも0.259モルのスチレンスルホネートのピリジニウム塩を含む133.5グラムとなる。ピリジニウム塩は、263のモル質量有し、133.5グラムの溶液中で0.259×263=68.3グラムであり、又は溶液に対して51%である。スチレンスルホネートイオンに基づいて、MW=183.2であり、40.6%のスルホネートイオンがある。
【0093】
それぞれの膜の小片を製造し、そしてコンディショニングのために0.5N NaCl(水溶液)中に置いた。Solartron電気化学試験を、以前に記載したように設定し、そして使用して、抵抗性及び見かけの透過選択性を得た。
【0094】
これらの実施例において使用される多孔質機材を、以下の表7で示す;
【表7】
【0095】
表8は、CEMのオーム cm
2での面積抵抗及びその見かけの透過選択性%を示す:
【表8】
【0096】
実施例9
PySS、2−SEM DVB、AA及びNMPの混合物から製造したCEM:
7.38gのアクリル酸で満たした40mlバイアル中で、7.6gのNMPを溶解し、7.4gのDVB−80及び0.15gのVazo−64(DuPont)を添加して、無色透明な淡い黄色い溶液を得た。
【0097】
20.09gのドープしたVazo−64に、実施例1からの溶液を、2.6gの前記からの溶液及び3.10gの2−SEM(2−スルホエチルメタクリレート、Evan Chemetics)を添加した。室温で均一な混合物になるまで撹拌した。Teklon HPIP、APorous H6A、Celgard EZ2090、Celgard EZ2590、Solupor 1OP05A及びSolupor 16P1OAの小片を、Mylarディスク間でサンドイッチし、そしてサンドイッチ中のあらゆる気泡を圧することによって取り除いた。そのサンドイッチをアルミニウム秤量皿の内部に置き、ディスクを、Ziplocバッグ中に置き、そして窒素ガスで加圧した。Ziplocバッグを、45分間90℃の炉中に置いた。
【0098】
それぞれの膜の小片を製造し、そしてコンディショニングのために0.5N NaCl(水溶液)中に置いた。Solartron電気化学試験を、記載したように設定し、そして使用して、抵抗性及び見かけの透過選択性を得た。
【0099】
Solartron電気化学試験及び以前に記載した設定を使用した。
【0100】
表9は、CEMのオーム cm
2での面積抵抗及びその見かけの透過選択性を示す:
【表9】
【0101】
実施例10
ピリジニウムスチレンスルホネート(PySS)の合成
8ozのジャー中で50.22gのNaSSに、26.40gの塩化ピリジニウム及び26.30gのNMPを添加した。その溶液を40〜75℃で6時間撹拌及び還流しながら加熱し、そして18時間撹拌しながらゆっくりと冷却させた。沈澱したNaClを、室温で真空ポンプアスピレータを使用して濾過した。収率:61gの透明な緑がかった黄色の溶液。濾過したケークは、6日間80℃の炉中での乾燥後に、31.10gの重さであった。
【0102】
透明な緑がかった黄色い溶液を、冷蔵庫中で一昼夜保持し、いくつかのフレーク状の結晶が形成した。結晶を、真空ポンプアスピレータを使用して濾過した;58.5gの残りの溶液及び2.6グラムの沈澱した結晶を得た。
【0103】
この実施例において、最初に0.244モルのNaSSがある。これが、スルホネートイオンとして考慮される場合に、NW=183.2であり、そして61.1グラムの最終の透明な溶液中で73%のスルホネートがある。
【0104】
実施例11
実施例3からのNMP溶液中で20.03gのSySSを、4ozのジャー中に注ぎ、そしてこれに、3.57gのDVB−80、3.8gの塩化ビニルベンジル(VBC)、1.91gのNMP及び0.17gのVazo 64を添加した。Teklon HPIP及び16P1OAの小片を、30分間混合物中で浸漬し、そしてそれらを、Mylarディスクでサンドイッチし、そしてMylarディスク間の気泡を、加圧することによって取り除き、そしてサンドイッチを、アルミニウム秤量皿の内側に置いた。そのディスクを、Ziplocバッグ中に置き、窒素ガスで加圧し、そして1時間90℃の炉中に置いた。
【0105】
その試料をバッグから取り出し、そしてエタノール、イソプロパノール、エタノールでそれぞれ30分間洗浄し、そして0.5N NaCl中に80℃で条件付けるために30分間置き、新しい0.5N NaCl中に80℃で条件付けるための30分間を繰り返し、そして室温で新しいNaCl溶液で繰り返した。
【0106】
表10は、CEMのオーム cm
2での面積抵抗及びその見かけの透過選択性%を示す:
【表10】
【0107】
実施例12
24.34gのNaSS、11.82gの塩化ピリジニウム、及び15.05gのNMPを含む4ozのジャーを、60℃で20分間、撹拌しながら加熱し、そして45℃で90分間冷却させた。その溶液を、105℃まで15分で加熱し、そして還流せずに95℃まで冷却した。その温度を約95℃で次の75分間維持し、そして52℃まで冷却し、続いて真空濾過によって、30mlの透明な黄色い溶液を得た。濾過したケーク、すなわちNaCl副生成物は、60時間80℃の炉中での乾燥後に、16.82gの重さであった。 前記の13.32gの透明な黄色い液体を取り、3.82gのDVB及び0.1gのVazo−64を添加した。もう一度溶液を真空濾過して、19.01gの黄色い透明な混合物を得た。Teklon HPIP、APorous H6A、Celgard EZ2090、Celgard EZ2590の小片、Mylarシート間の気泡を加圧によって取り除いた。そのサンドイッチを、Ziplocバッグ中に置いたアルミニウム秤量皿に置き、窒素ガスで加圧し、そして60分間80℃の炉中に置いた。膜の小片を製造し、そしてコンディショニングのために0.5N NaCl(水溶液)中に置いた。
【0108】
表11は、CEMのオーム cm
2での面積抵抗及びその見かけの透過選択性%を示す(Astom−Japan製の125mmの市販のカチオン交換膜CMXも示す):
【表11】
【0109】
実施例13
実施例5において製造した最終的な溶液の2gを、実施例1からの溶液及び0.273gのVazo−64に添加して、合計42.127gの混合物を得た。この混合物の13.0gに、7.6gのNMP中で7.38gのアクリル酸(AA)及び7.4gのDVB(80%ジビニル)及び0.15gのVazo−64から製造した混合物の2.33gを添加した。
【0110】
Teklon HPIP、APorous H6A、Celgard EZ2090、Celgard EZ2590、Solupor 1OP05A及びSolupor 16P1OAの小片を、それぞれ25分間浸漬し、そしてそれらを、Mylarディスク間でサンドイッチし、そしてサンドイッチ中のあらゆる気泡を圧することによって取り除いた。そのサンドイッチをアルミニウム秤量皿の内部に置き、ディスクを、Ziplocバッグ中に置き、そして窒素ガスで加圧した。Ziplocバッグを、60分間80℃の炉中に置いた。
【0111】
膜の小片を製造し、そしてコンディショニングのために0.5N NaCl(水溶液)中に置いた。
【0112】
表12は、CEMのオーム cm
2での面積抵抗及びその見かけの透過選択性%を示す(Astom−Japan製の125mmの市販のイオン交換膜CMXも示す):
【表12】
【0113】
実施例14
50.10gのNaSS、24.01gの塩化ピリジニウム、44.65gのNMP及び25.50gのDVB(80%ジビニル)を含む8ozのジャーを50℃〜70℃で6時間、還流しながら加熱し、そして28℃まで冷却した。沈澱したNaClを、15℃で真空ポンプアスピレータを使用して濾過した。収率:108.50gの透明な緑がかった黄色の溶液を得た。濾過したNaClケークは、70時間80℃の炉中での乾燥後に、24.43gの重さであった。
【0114】
前記で得られた溶液の50.43gを二重濾過し、1.09gのVazo−64を添加した。その溶液を、Teklon HPIP、APorous H6A、Celgard EZ2090、Celgard EZ2590、Solupor 1OP05A及びSolupor 16P1OAの小片に45分使用した。そしてその小片を、Mylarディスク間でサンドイッチし、Mylarシート間の気泡を加圧によって取り除き、そしてサンドイッチをアルミニウム秤量皿の内側に置き、その皿を、Ziplocバッグに置いて、窒素で加圧した。そのバッグを、1時間80℃の炉中に置いた。膜の小片を製造し、そしてコンディショニングのために0.5N NaCl(水溶液)中に置いた。
【0115】
表13は、CEMのオーム cm
2での面積抵抗及びその見かけの透過選択性を示す(Astom−Japan製の125mmの市販のイオン交換膜CMXも示す):
【表13】
【0116】
実施例15
実施例3からの最終NMP溶液の16gを、4ozのジャー中に注ぎ、そしてこれに、4.10gのDVB−80、0.64gのEP0409(Hybrid Plastics、Glycidyl−POSS(登録商標)(CAS番号68611−45−0)、及び0.103gのVazo 64を添加した。16P10A基材の小片を、30分間混合物中で浸漬し、そしてそれらを、Mylarディスクでサンドイッチし、そしてMylarディスク間の気泡を、加圧することによって取り除き、そしてサンドイッチを、アルミニウム秤量皿の内側に置いた。そのディスクを、Ziploc(登録商標)バッグ中に置き、窒素ガスで加圧し、そして1時間90℃の炉中に置いた。
【0117】
その試料をバッグから取り出し、そしてエタノール、イソプロパノール、エタノールでそれぞれ30分間洗浄し、そして0.5N NaCl中に80℃で条件付けるために30分間置き、新しい0.5N NaCl中に80℃で条件付けるための30分間を繰り返し、そして室温で新しいNaCl溶液で繰り返した。
【0118】
表14は、製造されたCEMのΩ cm
2での面積抵抗及びその見かけの透過選択性%を示す:
(Astom−Japan製の125mmの市販のイオン交換膜CMXの小片も示す)
【表14】
【0119】
これらの実施例の結果から、発明者は、本発明の方法を使用して薄いカチオン膜が、より厚く存在するカチオン交換膜と同等に製造されうることを示していることを見出すことができる。より薄い膜の使用は、膜分子の単位体積毎のより多い生産性を提供する。
【0120】
使用した略語;
AA アクリル酸
NaSS ナトリウムスチレンスルホネート
PySS ピリジニウムスチレンスルホネート
NMP N−メチルピロリドン
DVB ジビニルベンゼン
MEHQ ヒドロキノンモノメチルエーテル
CEM カチオン交換膜
2−SEM 2−スルホエチルメタクリレート
EP0409 グリシジル−POSS(登録商標)
POSS(登録商標) 多面体オリゴマーシルセキオキサン(silsequioxanes)。
【0121】
膜面積抵抗及び見かけの透過選択性の特徴のための実験手順
膜抵抗及び対イオン輸送数(透過選択性)を、電気化学セルを使用して測定することができる。このベンチトップ試験は、試料の小片を使用して非常に効果的な及び急速な実験で提供した。装置及び手順をここに記載する。
【0122】
実験準備
(1)Solartron1280電気化学測定装置
Solartron1280電気化学測定装置は、セルの2つの面上で2つの白金電極間で電流を適用することを可能にし、膜全体の電圧降下を測定することを可能にする。それは、4つのコネクタを有する:作用電極(WE)、対電極(CE)、基準電極(RE1及びRE2)。CE及びWEを、電流を適用するために使用し、RE1及びRE2を、電圧降下を測定するために使用する。
【0123】
(2)基準電極
膜の特徴化のために使用される基準電極(
図1における挿入を参照)は、R&D研究室で製造される。1/4’’ガラス管を軟化し、そして示された形まで曲げ、そして引っ張る。多孔質プラグを、先端に挿入し、低い速度まで溶液のフローを調整する。
【0124】
銀/塩化銀ワイヤを、日毎の試験について新たに製造する。2〜3mAの電流を、電力供給及びアンペアメーターによって、0.1N HCl溶液中で浸漬した白金ワイヤ陰極及び銀ワイヤ陽極に供給し、そして調整した。数分後に、銀ワイヤは、黒く代わりはじめ、表面上でAgCl層の形成を示す。基準電極管の内側で使用した溶液は、1.0M KCl溶液である。溶液が、多孔質の先端を介して漏れ、KClの一定の添加が、実験中必要である(20分毎)。
【0125】
(3)膜試験セル
図1は、膜の抵抗性及び対イオン透過選択性を測定するための実験のために使用される詳細な電気化学試験セルの構造を示す。膜を、ダイカッターを使用してディスクに切断する。基準電極を、試験膜全体の電圧降下を監視するために使用し、そして2つの白金ディスクを、膜を通した電流を提供するために使用する。セルの円柱形の経路は、7.0cm
2の断面積を有する。
【0126】
(4)溶液
全ての溶液は、それらの有効数字によって示される量的レベルで製造されることを要求する。これらは、0.500N NaCl、1.0N HCl及び1.0N NaOH(苛性の、プラスチック容器又はメスフラスコを使用する)を含む。0.5N NaSO
4を使用して、塩素ガスの発生なしに電極区画を提供する。
【0127】
3−III. 測定手順
(1)抵抗測定
ここで、抵抗は、面積抵抗Ω−cm
2をいう。測定は、3つの工程を含む。
(a)電極位置の設定:測定前に、基準電極の水平な位置を設定する。基準電極を設定するために、堅いプラスチックディスクを、膜の代理として使用する。それぞれの基準電極を調節して、プラスチックディスクにちょうど触れさせ、その位置を、2つの調整ネジで固定する。
(b)溶液伝導性の測定:プラスチックディスクを取り出し、そして2つの基準電極を、別個に0.50mmプラスチックブロックを移動することによって1.0cm移動した。2つの基準電極間の電圧降下を、適用した時点で、Solartron1280によって電流を記録する(10〜50mA)。2つの基準電極の距離(1.00cm)、電流密度(10.00mA)及び電圧(0.1mVまでの精度)を使用して、典型的に溶液(0.50N NaCl)の伝導性を得た。
(c)膜抵抗性の測定:そして膜試料を、試料スライダーに置き、そして電圧及び電流を再度測定する。膜の抵抗性は、手順(b)に置いて測定した溶液抵抗性より低い剛性の抵抗性である。
【0128】
(2)対イオン透過選択性(輸送数)
測定手順は以下である:
(a)基準電極の位置を、抵抗測定の部によって記載されたように設定する。基準電極の位置は、おおよそであってよく、それというのも、この試験において測定された電圧は、距離に理論的に依存しないからであるが、しかしその位置はできるだけ再現可能な陽に配置されることが推奨される。
(b)溶液:スライダーで試料膜を据え付けた後に、試験膜によって分けられた堅いセル中で0.500N NaClを、及びセルの左側で0.250N NaClを注ぐ。
(c)電圧の測定:電圧を、白金電極に取り付けた電圧メーターを使用して(電流を適用せずに)測定し、そしてデータを、スプレッドシートに記入して、対イオン透過選択性を得た。
【0129】
3−IV. 試料計算:
C=伝導性(ジーメンス/cm)
p=抵抗(オーム/cm)
R=固有抵抗(オーム−cm
2又はΩ・cm
2)
A=面積(cm
2)
U、V=測定された電圧(mV)
I=測定された電流(mA)
L=基準電極間の距離。
【0130】
(1)10.00mA及び33.1mAの電流での0.500M NaClの伝導性は、1.00cmの基準電極の距離について測定し、溶液の伝導性は以下である:
【数1】
【0131】
(2)膜の計算値の面積抵抗は、溶液の提供を控除するために必要である。38.0mVの測定された電位を有するCMX膜について、面積抵抗は以下である:
【数2】
【0132】
(3)カチオン(+)又はアニオン(−)膜の透過選択性(輸送数)T
±は、以下:
【数3】
によって得られ、それは
【数4】
に再整理される。
【0133】
Vが、基準電極によって測定された電圧である場合に、Rは、ガス定数(8.314ジュール・K
-1・モル
-1)であり、Tは溶液のケルビン温度であり、Rはファラデー定数(96480クーロン/モル)であり、かつa
R及びa
Lは、セルにおける膜の2つの面上での溶液の濃度(アクティビティフォーマット(activity format))である。