【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様によると、
添加剤(例えば、着色剤)と、2つ以上の鎖にエステル結合によって共有結合された脂肪族または芳香族トリまたはジカルボン酸を含むビヒクルと、を含む液体配合物を選択するステップと、
溶融加工装置において液体配合物を前記ポリマー材料と接触させるステップと
を備える、ポリマー材料に添加剤を導入する方法が提供される。
【0007】
活性化合物が、溶融加工中にポリマー材料の溶融粘度を高めるかどうかを評価するために、活性化合物を含む液体配合物と活性化合物を含まないがそれ以外は同一の液体配合物との間で比較を行うことが可能である。いずれの場合にも、活性化合物が使用されるとき、そのような活性化合物が使用されないときと比べて、ポリマー材料の溶融粘度が高いことを確認するために、溶融粘度を評価することができる。
【0008】
前記ポリマー材料は好適には合成熱可塑性ポリマーを含む。前記ポリマー材料は好適には、繊維に形成することができる。前記ポリマー材料は、縮合ポリマー、例えば水および/または担体の存在下にて解重合し得る、適切な官能基(限定されないが、ヒドロキシお
よびカルボン酸種を含み得る)を有する縮合ポリマーであり得る。前記ポリマー材料は、ポリエステル、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリカプロラクトン、ポリカーボネート、アクリルおよびアラミドであり得る。
【0009】
ポリアミドの例としては、脂肪族PA6およびPA6,6、半芳香族ポリフタルアミド(例えば、PA6T)および芳香族ポリアミドが挙げられ、そのアミド結合(−CO−NH−)の少なくとも85%が2つの芳香族環、たとえばパラ−アラミドに直接結合している。
【0010】
前記ポリマー材料は好適には、ポリ(エチレンテレフタレート)(PET)、ポリ(ブチレンテレフタレート)(PBT)、ポリ(トリメチレンテレフタレート)(PTT)、ポリ(エチレンナフタレート)(PEN)、ポリ(1,4−シクロ−へキシレンジメチレン)テレフタレート(PCT)、ポリ(エチレン−co−1,4−シクロ−へキシレンジメチレンテレフタレート)(PETG)、コポリ(1,4−シクロへキシレンジメチレン/エチレンテレフタレート)(PCTG)、ポリ(1,4−シクロへキシレンジメチレンテレフタレート−co−イソフタレート)(PCTA)、ポリ(エチレンテレフタレート−co−イソフタレート(PETA)、ポリ(乳酸(PLA)、ポリ(グリコール酸)(PGA)およびコポリマーのそのブレンドから選択され得るポリエステルを含む。前記ポリマー材料は好適には、PETを含み、さらに好適には、概ねPETからなる。
【0011】
ポリエステル、例えばPETなどの一般的な紡糸可能な縮合ポリマーは、250個まで、または200個までの反復単位(例えば、25,000まで、または20,000までの分子量)を有し得る。反復単位の数は、反復単位50〜200、適切には75〜200、好適には75〜125個の範囲であり得る。一般的な紡糸可能なポリマーは、約100個の反復単位を有し得る。縮合ポリマーは直鎖状であってもよく、紡糸および延伸プロセス中に誘発される、高レベルの配向および結晶化度を達成することができる。
【0012】
一般的な紡糸可能なポリエステルは、範囲0.62〜1dl/gのIVを有する。好適なポリエステルは、標準技術(例えばASTM D4603−03)を用いて測定した場合に、0.5〜1.2dl/gの範囲内のIVを有する。
【0013】
前記添加剤は、着色剤、安定剤、艶消剤、帯電防止剤、蛍光増白剤、加工助剤、光反射添加剤、汚れ防止添加剤、摩擦改質剤、酸化防止剤および燃焼防止添加剤から選択され得る。前記添加剤は好適には、着色剤を含む。前記着色剤は染料であっても、顔料であってもよい。染料が特に好適である。
【0014】
前記液体配合物は、前記添加剤(例えば、着色剤)を80%未満、適切には70%未満、好適には65%未満、さらに好適には60%未満含み得る。一般には、前記配合物は、前記添加剤(例えば、着色剤)を5〜80重量%含む。前記配合物中の添加剤(着色剤、安定剤、艶消剤、帯電防止剤、蛍光増白剤、加工助剤、光反射添加剤、汚れ防止添加剤、摩擦改質剤、酸化防止剤、殺虫剤および燃焼防止添加剤から選択される)の総量は、1%を超え、適切には2%を超え、好適には5%を超え;一般に添加剤の総量は5〜80重量%の範囲である。一実施形態において、添加剤の総量は、39〜60重量%の範囲であり得る。不確かさを避けるために、その重量%は、添加剤が液体配合物に組み込まれる前にそれと配合され得るビヒクル(またはその種の他のもの)を除く、添加剤の重量%を意味する。
【0015】
2種以上の添加剤が必要とされる場合がある(かつ、前記配合物に含まれ得る)。例えば、顧客の要求に対して色合わせを提供するために、染料および/または顔料の混合物が必要とされる場合がある。繊維に通常添加される他の添加剤としては、光反射添加剤、帯
電防止種または汚れ防止種、摩擦改質剤、酸化防止剤、燃焼防止添加剤等が挙げられる。これらは単独で添加してもよいし、または着色種と共に一緒に添加してもよい。
【0016】
この方法は、前記液体配合物を介して前記ポリマー材料に、上述の添加剤から選択される前記添加剤(好適には、着色剤)を10重量%未満、さらに適切には5重量%未満、好適には4重量%未満導入することを含み得る。少なくとも1重量%の前記添加剤(好適には、着色剤)が前記液体配合物を介して導入され得る。前記液体配合物を介して前記ポリマー材料に導入される、上述の添加剤から選択される添加剤の総量は、10重量%未満、さらに好適には5重量%未満であり得る。上述の方法を用いて導入される添加剤の一般的な量は通常、0.05〜3重量%の範囲である。
【0017】
前記液体配合物は、少なくとも20重量%のビヒクル、例えば1種類のビヒクルを含み得る。前記配合物は、ビヒクル、例えば1種類のビヒクルを60重量%以下含み得る。
ビヒクルは、好適には前記ポリマー材料との優れた相溶性を有する。ビヒクルとポリエステルとの相溶性は、成形品が形成された時に生じる曇りのレベルを調べることによって評価することができる。以下の具体的な実施例において更なる詳細が提供される。曇りのレベルは、以下の実施例7に記載のように評価される。ビヒクルは、前述の実施例に記載のように測定された場合に(1重量%にて)、曇りのレベルが50%未満、適切には30%未満、好適には20%未満、さらに好適には10%未満、特に5%未満であるようなビヒクルであってもよい。場合によっては、比較的不相溶性の担体を使用してもよい(例えば、ポリマー材料中で1重量%未満まで添加される)。色が明るい繊維を製造する場合に、これらを使用してもよい。別の熱可塑性ポリマーを調べる場合には、相溶性の他の尺度が使用され得る。
【0018】
好適なビヒクルは、室温に冷却すると、ポリマー成形品から過度に移動しない傾向がある。
好適な担体では、低いまたは最小限の曇り、例えばポリマー材料において5重量%までのレベルで50重量%未満の曇りが得られる。
【0019】
この方法は、前記配合物を介して、ポリマー材料に10%未満、好適には6%未満、さらに好適には4%未満のビヒクルを導入することを含み得る。導入される量は3重量%未満であり得る。
【0020】
溶解度の情報は、ビヒクルの構造から導き出すことができる。分散、極性および水素結合力を測定するための、3要素のハンセン(Hansen)パラメータへのヒルデブラント(Hildebrand)パラメータの分割を用いて、この方法で使用される最も好適なビヒクルの種類がどれか発見することができる。総溶解度パラメータは以下のように計算できる:
δ
t=(δ
d2+δ
p2+δ
h2)
1/2
式中、δ
tは総溶解度パラメータを表し、δ
dは、理想化化学構造において個々の官能基によってなされる分散寄与を表し、δ
dは、理想化化学構造において個々の官能基によってなされる極性寄与を表し、δ
hは、理想化化学構造において個々の官能基によってなされる水素結合寄与を表す。個々の化学基要素は、いくつかの参考文献から抜き出すことができる;例えば、ヴァン・クレベルン(Van Kreveln)D.W.およびホフタイザー(Hoftyzer)P.J.著、「化学構造とのポリマーの相関性の特性(Properties of polymer correlations with chemical structure)」、エルゼビア(Elsevier)1972およびハンセンC.M.ハンドブック(Hansen C.M.Handbook)−「ハンセン溶解度パラメータ(Hansen Solubility Parameters):ユーザー・ハンドブック(A User’s Handbook)」、CRCプレス
(CRC Press)1999]。
【0021】
次いで、ビヒクルとポリマー材料自体の総溶解度パラメータの差は計算することができ、差の値によって「相溶性」の尺度が得られる。10未満、好適には8未満、さらに好適には5未満の差から、ポリマー材料と相溶性である可能性を有するビヒクルが得られる。その差は、より高い溶解度パラメータをとり、より低いパラメータを引くことによって計算されることに留意すること。
【0022】
HLB値を用いて、最適なビヒクルの種類を決定することもできる。1〜22にあるHLB値から最適なビヒクルが得られる。HLB値は、種の理想化化学構造の分子量を測定し、次いで構造の親水性要素の分子量パーセンテージを測定することによって計算される。このパーセンテージ値を5で割ることによって、HLB値が得られる。
【0023】
ビヒクルは、ポリマー材料の分子量を下げおよび/または相対粘度および/または固有粘度を下げるために、溶融状態(その分解温度より下)にある前記ポリマー材料と、相互に作用できる、たとえば反応できる、タイプのものであってもよい。たとえばポリマー材料が溶融状態であり、ビヒクルをそのような状態であるポリマー材料と接触させる場合、ポリマー材料がポリエステルであるとき(好適であるが)、ビヒクルとポリマー材料は、エステル交換反応を受けることができる場合がある。
【0024】
一般的なビヒクルは、PVCを可塑化できるものであってもよい。前記ビヒクルは、適切には非水系であってもよい。前記ビヒクルは、鉱油系であってもよく、植物油系であってもよい。好適には、ビヒクルは、前記液体配合物と前記ポリマー材料との接触後、溶融加工中に実質的に分解しない。前記ビヒクルは、200〜500℃の範囲の沸点を有してもよく、適切には沸点はポリマー加工温度より少なくとも僅かに高い。
【0025】
前記ビヒクルは:
−アジピン酸ポリマー類;
−アジピン酸ポリマー類、たとえばアジピン酸エステルポリマーの誘導体(たとえばカルボン酸誘導体);
−クエン酸エステル類、たとえばクエン酸トリブチル等の、クエン酸アルキル;
−リン酸エステル類、たとえば、リン酸トリス(2−エチルヘキシル)およびリン酸2−エチルヘキシルジフェニル;
−フタル酸エステル類、たとえばフタル酸ジ(2−エチルヘキシル)やフタル酸ジオクチル等のC
4〜C
13フタル酸エステル類;
−セバシン酸エステル類;
−アゼライン酸エステル類;
−20〜70%の塩素化レベルを有する塩素化パラフィン類;
−エポキシ化油類(たとえば天然油)、たとえばエポキシ化大豆油やエポキシ化亜麻仁油;
−アセチル化水素化ひまし油類;
から選択され得る。
上記ビヒクルの混合物を配合物に使用してもよい。
【0026】
好適なビヒクルは、アジピン酸ポリマー類およびそれらの誘導体、リン酸エステル類、フタル酸エステル類およびフタル酸エステル−型構造物ならびにエポキシ化油から選択される。
【0027】
特に好適なビヒクルは、アジピン酸ポリマー類またはアジピン酸ポリマー類の誘導体であり、アジピン酸エステルポリマー類が特に好適である。
配合物は任意選択的に、貯蔵寿命を向上させ、かつ固形粒子の沈降を防ぐために使用される分散剤を含んでもよい。前記分散剤は、その機能が担体相との相溶性を付与する主鎖と、添加剤の表面に分散剤を固定するヘッド基(head group)とを含み得る。
【0028】
前記液体配合物は、前記分散剤を30重量%未満、好適には20重量%未満、さらに好適には10重量%未満、特に5重量%未満含み得る。添加剤が染料である場合には、分散剤が必要ないことがある。
【0029】
前記活性化合物は、ポリマー材料の溶融粘度を高めることによりその粘度プロフィールを変更するためおよび/または押出プロセスおよび紡糸プロセスを安定させるためおよび/または前記配合物および前記添加剤を使用して製造される繊維の特性を改良することにより、ポリマー材料と反応および/または相互に作用するように適切に準備される。前記活性化合物は、無水物、エポキシ、メラミン、オキサゾリン、オキサゾリノン、ラクタム類カルボジイミド類、ポリエポキシド類イソシアネート類ポリアシルラクタム類、リン酸エステル類等々を含む群から選択され得る。
【0030】
前記活性化合物が無水物であるとき、多官能性無水物であってもよい。例としては、芳香族酸無水物、環状脂肪族無水物、ハロゲン化酸無水物、ピロメリット酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロ−3−フラニル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)チオエーテル二無水物、ビスフェノール−A ビスエーテル二無水物、2,2−ビス(3.4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸、ハイドロキノンビスエーテル二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、3,4−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフタレン−コハク酸二無水物、ビシクロ(2,2)オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、テトラヒドロフラン−2,3,4,5−テトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、4,4’−オキシジフタル酸二無水物(ODPA)、およびエチレンジアミン四酢酸二無水物(EDTAh)などがある。
【0031】
好適な無水物としては、ピロメリット酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物およびテトラヒドロフラン−2,3,4,5−テトラカルボン酸二無水物などがある。最も好適には、多官能酸無水物はピロメリット酸二無水物である。
【0032】
ポリエポキシド構造としては、ビスフェノール−A−ジグリシジルエーテル、アジピン酸ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)、N,N−ジグリシジルベンズアミド(および関連種)、N,N−ジグリシジルナイリンおよび関連構造、N,Nジグリシジルヒダントイン、バルビツール酸、イソシアヌル酸またはウラシル種、N,N−ジグリシジルジイミド類、N,N−ジグリシジルイミダゾロン類、エポキシノボラック類、フェニルグリシジルエーテルジエチレングリコールジグリシジルエーテルあるいはエピコート(Epikote)製品たとえばエピコート(Epikote) 815またはエピコート(Epikote) 828などが挙げられよう。適切には、使用される種は、ポリマー加工温度で分解しないように、十分高い温度安定性を有する。ポリエステルの場合、これは一般に260〜300℃である。
【0033】
意外なことに、たとえば、酸無水物の使用は、液体担体の添加に伴うダイヘッド圧力低下を減少させ、容認できる引張特性を有する、液体配合物内に添加剤を組み込んだポリマー繊維材料の製造を可能にすることが分かっている。
【0034】
この方法において、前記ポリマー材料が溶融状態である場合に、液体配合物が好適には、前記ポリマー材料に添加される。前記ポリマー材料を押出機で溶融し、前記押出機またはその下流で前記液体配合物をポリマー材料と接触させてもよい。前記液体配合物は好適には、ポリマー材料に比較的高い圧力(5〜120バール)で注入される。混合手段は適切には、液体配合物とポリマー材料との混合を促進するために提供される。混合手段は、静的または動的ミキサーを使用することによって提供され得る。ポリマーの溶融相に液体配合物が添加される用途、つまり少量の低粘度流体が、多量の高粘度流体との混合を必要とする用途では、動的ミキサーが好適である。ミキサーの全長に沿ってかけられる分配的混合力が高く、必要な高せん断プロセスを可変式で適用することが可能になることから、キャビティートランスファーミキサーが特に好適である。液体配合物とポリマー材料との接触ポイントの下流に、ポリマー材料を紡糸して繊維を形成する紡糸手段があってもよい。一般的な同じセットアップを用いて、熱可塑性ポリマーから他の物品;例えばシートまたはフィルムを製造することができ、出口の手段は、関連するダイヘッドによる手段であるだろう。
【0035】
この方法で接触させる前記ポリマー材料は、反応器から直接供給してもよく、その反応器内でポリマー材料は重合反応で生成される。したがって、使用される前記ポリマー材料は適切には、ペレットまたは顆粒を含まない、あるいは他の単離されたポリマー材料は適切には、記述されるように前記ポリマー材料を液体配合物と接触させる装置に連結される重合反応器からの溶融ポリマー材料を含む。
【0036】
本発明の第2の態様に従えば、ポリマー材料に添加するための液体配合物が提供され、前記液体配合物は、ビヒクル、添加剤(たとえば着色剤)およびポリマー材料の溶融粘度を高めるために添加される活性化合物を含む。したがって、活性化合物は、溶融加工装置内で活性化合物とポリマー材料が接触した後、プロセス安定剤および/またはポリマー材料の粘度調節剤の役割を果たすことが可能である。
【0037】
前記液体配合物は、第1の態様の液体配合物のいずれの特徴を有してもよい。前記液体配合物は好適には、無水物、たとえばピロメリット酸二無水物、およびアジピン酸ポリマーまたはアジピン酸ポリマーの誘導体を含んでもよく、アジピン酸エステルポリマーが特に好適である、ビヒクルを含む。
【0038】
本発明の第3の態様によれば、溶融加工装置内で液体配合物がポリマー材料に組込まれるときにダイヘッド圧力低下を減少させるため、既述のタイプの活性化合物、たとえば、添加剤およびビヒクルも含む液体配合物中での多官能性酸無水物の使用が提供される。
【0039】
本発明の第4の態様に従って、添加剤(例えば、着色剤)を組み込んだポリマー材料を含む製品であって、以下の特徴を有するものが与えられる。
(a)ポリマー材料の溶融粘度を高めるために添加される活性化合物に由来する残留物。前記活性材料は、製品の製造中に、プロセス安定剤および/またはポリマー材料の粘度調節剤の役割を果たすように準備され得る;
(b)ポリマー材料中の遊離ビヒクルであって、前記ビヒクルは、製品の製造中に、添加剤をポリマー材料に送達するために使用された;
(c)バージンポリマーに近い機械的特性(たとえば引張強さ等の引張特性)を有する前記ポリマー材料。バージンポリマー材料に近い機械的特性は、適切には、バージンポリ
マーと同じ装置および/または実質的に同じ設定値および/またはプロセスパラメータで、製品を製造(たとえば紡糸)できることを意味する。
【0040】
ポリマー材料、添加剤および活性化合物は、第1の態様に従って記述された前述のいずれの特徴を有してもよい。
(a)に関し、前記残留物は、抽出およびその後の抽出物の分析、たとえば質量分析またはクロマトグラフ技術によって、検出され得る。製品の調製に使用される前記活性化合物が、二無水物、たとえばピロメリット酸二無水物を含むとき、製品の製造における二無水物の使用を確認するために、遊離酸、たとえば遊離テトラ酸が、記述通り検出され得る。あるいは、遊離酸、たとえば遊離テトラ酸が、最終的なポリマー物品の消化に続く分析により検出され得る。
【0041】
(b)に関し、遊離ビヒクル、たとえばアジピン酸エステルポリマー等のアジピン酸ポリマーまたはアジピン酸ポリマーの誘導体は、適切な技術、たとえば製品からの抽出に続いて質量分析またはクロマトグラフ技術により検出され得る。
【0042】
前記活性化合物は、幾つかの方法で、ポリマー材料の加工特性を改良し得る。たとえば、活性化合物は、エステル交換反応によって生じる分解生成物を化学的に結合することにより作用し得る。この分子量(および溶融粘度)の増加は、直鎖状または分岐したポリマー種の発生により生じ得る。
【0043】
好適には、前記製品は特徴(a)〜(c)の少なくとも2つを含み、さらに好適には3つ全てを含む。
第4の態様の前記製品は好適には繊維、特にポリエステル繊維である。
【0044】
第5の態様の前記製品は好適には、フィルム、シートまたはパイプ製品、特にエステル含有ポリマー製品である。一実施形態において、製品はポリカーボネートシートまたはフィルムを含み得る。
【0045】
本発明の第5の態様に従って、第4の態様の製品を組み込んだ物品を提供する。第4の態様の製品を織って、物品の少なくとも一部を形成することができる。その物品は衣類であることができる。
【0046】
第6の態様に従って、第1の態様に従って記載のようにポリマー材料に添加剤を導入するステップと、添加剤を含むポリマー材料を紡糸して、繊維を、適切にはかなり連続した長さの繊維、例えば5mまたは10mを超える繊維を製造するステップと、を含む方法が提供される。
【0047】
この方法は、その中でポリマー材料が製造される反応器から直接、押出機に前記ポリマー材料を送達することを含み得る。
好適には、前記ポリマー材料は、ポリエステル、例えばポリエチレンテレフタレートである。
【0048】
第7の態様に従って、
(a)ポリマー材料を押出すための押出機;
(b)第1の態様に従って記述される液体配合物を含有する容器;
(c)押出機内または押出機の下流で、容器から抜き取られた液体配合物をポリマー材料に注入するための、容器に作動可能に連結された注入手段;
(d)液体配合物とポリマー材料を混合するための混合手段;
を含むアセンブリが提供される。
【0049】
このアセンブリはさらに、重合反応において適切にはモノマーから前記ポリマー材料を製造するための重合反応器を含んでもよく、前記反応器は、反応器から押出機にポリマー材料を送達するために、押出機に作動可能に連結されている。
【0050】
このアセンブリはさらに、押出機の下流の紡糸手段と、前記液体配合物と接触させているポリマー材料を受けとるための、かつポリマー材料を紡糸して繊維を製造するための注入手段と、を含み得る。