(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
センサ装着部を有する本体ケースと、前記センサ装着部に接続された測定部と、この測定部に接続された制御部と、この制御部に接続された前記センサ装着部へのセンサ装着を検出する検知部と、前記制御部に接続された記憶部と、を備え、前記測定部は、その入力側を、前記センサ装着部への接続、第1の基準抵抗への接続、第2の基準抵抗への接続、のいずれかに切り換えるスイッチ部に接続し、
前記制御部は、測定準備モードと測定モードを有するとともに、測定準備モードでは、次の(チェック03)、(チェック04)を実施して前記測定部の異常の有無を判定する構成とし、この測定準備モードで異常なしと判定された時には、前記測定モードとして前記測定部の入力側を前記センサ装着部側へと接続する構成とした生体試料測定装置。
(チェック03)前記スイッチ部により前記測定部の入力側を前記第1の基準抵抗へ接続して第1の測定値を求め、この第1の測定値が前記記憶部に記憶された第1の基準範囲内であるか否かを判定する。
(チェック04)前記スイッチ部により前記測定部の入力側を前記第2の基準抵抗に接続して第3の測定値を求め、この第3の測定値が前記記憶部に記憶された第3の基準範囲内であるか否かを判定する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1の実施の形態)
以下、本発明の第1の実施の形態における生体試料測定装置について、図面を用いて説明する。
【0016】
図1に示すように、たとえば血液から血糖値を測定する生体試料測定装置の一例である測定器の本体ケース1は、ほぼ長方形状に形成されている。本体ケース1の先端側には、センサの一例となる血糖値センサ2の接続端子3を挿入するセンサ装着部4が設けられている。また本体ケース1の上面には、測定器の電源を入り切りする電源ボタン5、測定結果などを表示する表示部6、血糖値センサ2を本体ケース1から外すための排出レバー7が設けられている。
【0017】
つまり、血糖値センサ2の接続端子3をセンサ装着部4に装着し、その状態で、血糖値センサ2の先端側の点着部8に血液を点着すれば、その時の血糖値は、
図2の測定部9によって測定され、表示部6に表示される。
【0018】
図2は、測定器の電気的な制御ブロック図であり、センサ装着部4はスイッチ部10を介して測定部9に接続され、この測定部9は制御部11に接続されている。また、この制御部11は記憶部12が接続されている。この記憶部12には、
図3に示す、製造時における、基準値PA1と基準値PA2、および基準値PA1の閾値A1と基準値PA2の閾値A2が記憶されている。なお、制御部11には、表示部6が接続されているとともに、電源ボタン5を介して電池13が接続されている。
【0019】
測定部9の入力側には、スイッチ14を介してセンサ装着部4が接続されており、またスイッチ15を介して基準抵抗16の一方側が接続されている。この基準抵抗16の他方側はグランドに接続されている。
【0020】
なお、スイッチ14、スイッチ15は、本実施の形態のスイッチ部10を構成し、それぞれが制御部11に接続されていて、この制御部11により入り切りが制御される。この制御部11は、測定の準備を行う測定準備モードと、血糖値の測定を行う測定モードとを備えている。
【0021】
また、センサ装着部4内には、センサ挿入検知部17が設けられ制御部11に接続されている。
【0022】
本実施の形態においては、血糖値の実測定が開始される前に、制御部11が備えている測定準備モードにおいて、測定部9の異常の有無を判定する。
【0023】
具体的には、制御部11は、判定のための測定を2箇所で実施し、この2箇所の測定値から測定部9の測定特性を示す特性線LB(
図3に表示)を求める。そして、この現在の特性線LBと製造時の特性線LA(
図3に表示)のズレと傾きの違いを、判定のために測定を実施した2箇所で判定する。
【0024】
この2箇所での判定により、現在の測定部9が製造時の特性を維持していること、つまり測定部9に異常がないことを確認する。
【0025】
以下、詳細な説明を
図2〜
図4を用いて行う。
【0026】
血糖値を測定する時には、測定者は、電源ボタン5を押して測定器の電源をONにし(
図4のステップS1)、血糖値センサ2の接続端子3をセンサ装着部4に装着する。すると、センサ挿入検知部17が血糖値センサ2の挿入を検知し、制御部11に通知する(
図4のステップS2)。
【0027】
なお、測定器の電源の制御は、センサ挿入検知部17が血糖値センサ2の挿入を検知することにより、測定器の電源をONにする構成であってもよい。
【0028】
制御部11は、測定準備モードとなり、測定部9の異常有無について判定を開始する。この異常有無の判定について、まず
図3を用いて説明する。
【0029】
ここで、血糖値の測定は、よく知られているように、血糖値センサ2の点着部8において、血液と試薬(図示せず)を反応させ、この反応電流を電流電圧回路(図示せず)により電圧変換し、この電圧をAD変換回路(図示せず)によりデジタルのADカウント値とする。そして、このADカウント値に対応する電流値(血糖値を算出する元となる値)を求めて血糖値を算出する。
図3は、このADカウント値を縦軸とし、電流値(血糖値を算出する元となる値)を横軸としている。
【0030】
製造時において、測定器は、血糖値センサ2に代えて、例えば100kΩ、75kΩ、33kΩの3つの抵抗で測定が行われ、それぞれの値(ADカウント値、具体的には
図3の白丸で示したADカウント値X、Y、Zの3点)が決められる。そして、この3点(ADカウント値X、Y、Z)の値から求めた近似直線が製造時における測定部9の特性線LA(
図3において一点鎖線で表示)とされる。なお、75kΩとは、本実施の形態の血糖値センサを用いて健康な人の測定をした時の標準的な血糖値(たとえば、90mg/dL)と対応させた値である。
【0031】
実測定において、測定器は、測定部9の特性線LAを用いてADカウント値を電流値に変換し、制御部11が温度補正などの補正を行い、血糖値を算出する。
【0032】
本実施の形態においては、実測定の前に、判定のための測定を、基準点P1(75kΩ)、基準点P2(∞Ω、つまり測定部9の入力側がオープンな状態)の2箇所で実施し、この2箇所の基準点P1、基準点P2で測定部9の異常有無の判定を行う。
【0033】
このため、製造時において、基準点P1(75kΩ)の測定値を基準値PA1(=ADカウント値Y)、基準点P2(∞Ω)の測定値を基準値PA2(つまり、特性線LAと縦軸の交点)とし、特性線LAとともに、記憶部12に予め記憶しておく。記憶しておくデータは、基準値PA1、基準値PA2の測定値そのものではなくても、演算することにより求めることが可能な他の数値でもよい。例えば、特性線LAの傾きと切片の値(=基準値PA2)、もしくは、基準値PA1、基準値PA2とは異なる他の2点以上の測定値でもよい。
【0034】
そして、チェックAで基準点P1、チェックBで基準点P2の判定を行う。
【0035】
まずチェックAでは、基準点P1(75kΩ)で、測定部9の現在の特性が製造時の特性線LAからどれだけオフセットしているか(どれだけズレているか)を判定する。
【0036】
具体的には、制御部11が、スイッチ部10のスイッチ14をOFF、スイッチ15をONにして、測定部9の入力側を基準抵抗16(75kΩ)へ接続し、測定部9で基準抵抗16を測定し測定値PB1(ADカウント値)を求める(
図4のステップS3)。
【0037】
通常であれば、測定値PB1は、基準値PA1と同じ値となるが、たとえば、測定部9のAD変換回路(図示せず)等が、測定状態の温度による温度ドリフト等の外的な影響因子によりの影響を受けた時には、
図3に示すように、製造時の基準値PA1に対してオフセットした値となることがある。
【0038】
ここで、制御部11の異常判定部18は、基準値PA1から上下に閾値A1分の大きさで定義した正常範囲(第1の基準範囲)に、測定値PB1が入っているか否かを判定する(
図4のステップS4)。
【0039】
もし、測定値PB1が正常範囲外の時には、現在の測定部9の特性は製造時の特性と異なっており正常な測定ができないとして、制御部11は、表示部6に、例えば<メータが故障しました><販売店に連絡下さい。0120−01−0123>との表示を行い、測定者に測定器が故障した旨を知らせ、販売店あるいはカスタマーサービスへの連絡を促す(
図4のステップS5)。
【0040】
その後、制御部11は、所定のエラー情報(たとえば、エラー内容、発生日時)を記憶部12に保存し(
図4のステップS6)、測定モードに移行することなく処理を終了する(
図4のステップS7)。
【0041】
これに対して測定値PB1が正常範囲内の時には、制御部11は、測定値PB1から基準値PA1を減じてオフセット値を算出し、このオフセット値を記憶部12に一時保存する(
図4のステップS8)。
【0042】
このように、チェックAではスイッチ部10により測定部9の入力側を基準抵抗16へ接続して第1の測定値PB1を求め、この第1の測定値PB1が記憶部12に記憶された第1の基準範囲内であるか否かを判定する。
【0044】
このチェックBでは、基準点P2(∞Ω、つまり測定部9の入力側がオープンな状態)で、測定部9の特性を示す傾きが製造時の特性線LAの傾きと同じか否かを判定する。
【0045】
具体的には、制御部11が、スイッチ部10のスイッチ14をOFF、スイッチ15をOFFにして、測定部9の入力側をオープン状態とし、測定部9でこのオープン状態を測定し測定値PB2(ADカウント値)を求める(
図4のステップS9)。
【0046】
このため、基準抵抗16を測定した測定値PB1と、この測定値PB2を結んだ線が、測定部9の現在の特性を表す特性線LBとなる。
【0047】
この特性線LBの傾きが製造時の特性線LAの傾きと同じか否かを判定する。
【0048】
具体的には、制御部11は、この測定値PB2に対して、記憶部12に一時保存しているチェックAで求めたオフセット値で補正(減算)し、測定値PB2aを求める(
図4のステップS10)。
【0049】
そして、制御部11の異常判定部18は、基準値PA2から上下に閾値A2の大きさで定義した正常範囲(第2の基準範囲)に、補正した測定値PB2aが入っているか否かを判断する(
図4のステップS11)。
【0050】
測定値PB2aが正常範囲の時には、この
図3に示すように、現在の特性線LBをオフセット値で補正する(減算する)と、製造時の特性線LAと一致する、あるいは正常範囲内となる。つまり、この時の状態は、特性線LBの傾きが製造時の特性線LAの傾きと同じ、あるいはほぼ同じであり、現在の測定部9は、製造時の特性からオフセットした状態ではあるが、製造時の特性を維持している。つまり、現在の測定部9に異常はなく、制御部11は、血糖値測定が可能な状態であると判定する。
【0051】
このように、チェックBでは、スイッチ部10により測定部9の入力側をオープン状態として第2の測定値PB2aを求め、この第2の測定値PB2aが記憶部12に記憶された第2の基準範囲内であるか否かを判定する。
【0052】
もし測定値PB2aが正常範囲外の時には、特性線LBの傾きが製造時の特性線LAの傾きと異なっている、つまり、現在の測定部9の特性は製造時の特性と異なっており正常な測定ができないとして、制御部11は
図4のステップS5〜ステップS6を実施して、測定モードに移行することなく処理を終了する(
図4のステップS7)。
【0053】
これに対して測定値PB2aが正常範囲内の時には、チェックBは正常に終了し(
図4のステップS11)、測定前の他のエラーチェック(従来技術で行われているエラーチェック、たとえば、環境温度チェック、ハードウェアの動作チェック、記憶部12のチェック)を実施した後(
図4のステップS12)、制御部11は、測定モードに切り替わる。なお、
図4のステップS12でエラーが発生した場合には、
図4のステップS5〜ステップS7の処理が実施され、測定が終了する。
【0054】
その後、測定モードでは、制御部11は、スイッチ部10のスイッチ14をON、スイッチ15をOFFとして、測定部9の入力側をセンサ装着部4に接続するとともに、表示部6に「測定準備完了。センサに血液を点着して下さい」との旨を表示する。そして、血糖値センサ2に血液が点着されると、通常の血糖値測定が実施される(
図4のステップS13)。
【0055】
最後に、制御部11は、測定された血糖値を表示部6に表示し(
図4のステップS14)、血糖値を記憶部12に保存して(
図4のステップS15)、測定を終了する(
図4のステップS7)。
【0056】
さてここで、
図4のステップS11の測定準備モードにおけるチェックBにおいては、たとえば測定部9のAD変換回路(図示せず)等が、測定器を落下させた衝撃、あるいは経年使用による部品の劣化等の外的な影響因子に測定部9が影響を受けている時がある。この時、
図5に示すように、チェックAの測定値PC1(抵抗が75kΩ)は、閾値A1で定義した正常範囲に入っているが、チェックBの測定値PC2a(オープン状態の測定値PC2を
図4のステップS8〜ステップS10で補正した値)は、基準値PA2に対する閾値A2で定義した正常範囲から外れた状態となることがある。
【0057】
この時は、チェックAの測定値PC1、チェックBの測定値PC2を結んだ特性線LCの傾きは、製造時の特性線LAの傾きと異なり、この状態では、特性線LCをオフセット値で補正して特性線LCaとしても、特性線LCaは、もはや製造時の特性線LAとは一致しない。このため、血糖値センサ2を装着し血糖値を測定しても、正しい血糖値が得られない。
【0058】
この時、制御部11は、現在の測定部9が製造時の特性を維持していないと判断して
図4のステップS5〜ステップS6のエラー処理を実施し、その後の血糖値の測定を中止する(
図4のステップS7)。
【0059】
以上説明したように、本実施の形態においては、測定器の異常有無を判定するために、基準点P1(75kΩ)、基準点P2(∞Ω)の2箇所で測定を実施し、この2箇所の測定値から現在の測定部9の特性線LBを求める。そして、この現在の特性線LBと製造時の特性線LAのズレと傾きの違いを、前記の2箇所で判定する。この2箇所での判定により、制御部11は、現在の測定部9が製造時の特性を維持している、つまり測定部9に異常がないことを確認する。
【0060】
これにより、実際の測定を行う前に、現在の測定部9に異常がないことを判定することができる。
【0061】
つまり、従来のように、事前に別途、専用の管理チップを装着する手間を掛けることがなく、単に、血糖値センサ2をセンサ装着部4に装着しただけで、その都度、測定器の異常の有無を判定でき、その結果として、使い勝手の良い生体試料測定装置を提供することができる。
【0062】
なお、本実施の形態においては、測定器の異常有無を判定するために、上述のように、基準点P1(75kΩ、つまり基準抵抗16)、基準点P2(∞Ω、つまり測定部9の入力側がオープンな状態)の2箇所(複数箇所)で測定および確認を行う。
【0063】
すなわち、測定箇所の1つを、基準点P2(∞Ω)のようにオープンな状態での測定および確認としている。このため、1つの基準抵抗を設けた構成で、2箇所での測定および確認を行うことができ、簡易な構成で測定器の異常有無を判定できる。
【0064】
さらに本実施の形態においては、チェックBの閾値A2で定義した正常範囲(第2の基準範囲)は、チェックAの閾値A1で定義した正常範囲(第1の基準範囲)よりも小さくしている。このため、より正確に測定器の動作判定ができる。
【0065】
すなわち、たとえば測定状態の温度による温度ドリフト等の外的な影響因子に影響されると、上述のごとく、測定部9の測定値は一時的にオフセットした状態となるが、このオフセット状態は、上述したごとく、オフセット値を求めることにより補正可能である。このため、チェックAにおいては閾値A1で定義した正常範囲を大きく設定している。これにより、温度ドリフト等の外的な影響因子に対して、より広範囲に対応できる。
【0066】
これに対して、チェックBにおいては、閾値A2で定義した正常範囲を小さく設定している。これにより、特性線LCの傾きと、製造時の特性線LAの傾きとを厳格に比較している。つまり、上述したごとく、測定部9において、現在の特性線LCの傾きが、製造時の特性線LAの傾きと異なってしまった場合には、もはや、正確な血糖値を求めることはできないので、この傾きの判定を厳格に行っている。
【0067】
このため、チェックAで外的な影響因子に対して広範囲に対応しつつ、正確な血糖値を得ることができる。
【0068】
その結果として、より正確に測定器の動作判定ができ、使い勝手の良い生体試料測定装置を提供することができる。
【0069】
(第2の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態においては、測定器の異常有無を判定するために、上述のごとく、基準点P1(75kΩ、つまり基準抵抗16)、基準点P2(∞Ω、つまり測定部9の入力側がオープンな状態)の2箇所で測定および確認を行い、測定部9に異常がないことを確認する。すなわち、2箇所(複数箇所)で測定および確認を行うことを特徴とするものである。
【0070】
本発明の第2の実施の形態における生体試料測定装置では、第1の実施の形態で行う基準点P2(∞Ω、つまり測定部9の入力側がオープンな状態)における測定および確認に替えて、
図3、
図5に示すように、他の基準点P3(たとえば、100kΩ)を設けて、基準点P1と基準点P3の2箇所で測定および確認を行う。
【0071】
具体的には、
図2に示すように、測定部9の入力側に、スイッチ19を介して基準抵抗20(基準点P3に対応する抵抗で100kΩ)の一方側を接続し、この基準抵抗20の他方側をグランドに接続する。
【0072】
スイッチ19は、スイッチ14、スイッチ15とともに、スイッチ部10を構成し、それぞれが制御部11に接続されていて、スイッチ14、15、19は制御部11によりそれぞれ個別に入り切りを制御される。なお、記憶部12には、基準抵抗20(100kΩ)の測定値の正常範囲(第3の基準範囲)として、
図3および
図5に示す閾値A3を記憶しておく。
【0073】
以上の構成により、制御部11は、スイッチ部10を用いて、測定部9の入力側を、センサ装着部4への接続、基準抵抗16(75kΩ)への接続、基準抵抗20(100kΩ)のいずれかに切り換えることができる。
【0074】
したがって、上述した基準点P1と基準点P2の場合と同様に、基準点P1と基準点P3で測定および確認を行うことができ、測定器の異常有無を判定することができる。
【0075】
すなわち、本実施の形態では、以下の2つのチェックを行う。
【0076】
1つ目のチェックでは、スイッチ部10により測定部9の入力側を第1の基準抵抗16へ接続して第1の測定値PB1を求め、この第1の測定値PB1が憶部12に記憶された第1の基準範囲内であるか否かを判定する。
【0077】
2つ目のチェックでは、スイッチ部10により測定部9の入力側を第2の基準抵抗20に接続して第3の測定値PB3を求め、この第3の測定値PB3が記憶部12に記憶された第3の基準範囲内であるか否かを判定する。