特許第5889927号(P5889927)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5889927差動インダクタを用いたフィードバック増幅器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5889927
(24)【登録日】2016年2月26日
(45)【発行日】2016年3月22日
(54)【発明の名称】差動インダクタを用いたフィードバック増幅器
(51)【国際特許分類】
   H03F 3/191 20060101AFI20160308BHJP
【FI】
   H03F3/191
【請求項の数】7
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-7594(P2014-7594)
(22)【出願日】2014年1月20日
(65)【公開番号】特開2015-95895(P2015-95895A)
(43)【公開日】2015年5月18日
【審査請求日】2014年1月20日
(31)【優先権主張番号】10-2013-0136735
(32)【優先日】2013年11月12日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】513303968
【氏名又は名称】エフシーアイ インク
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】特許業務法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヨー,ヘー ヨン
【審査官】 白井 亮
(56)【参考文献】
【文献】 特表2006−521748(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/021295(US,A1)
【文献】 米国特許第06211738(US,B1)
【文献】 米国特許第06201287(US,B1)
【文献】 特開2012−191600(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03F 3/191
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のインダクタ(L)及び第2のインダクタ(L)を含み、前記第1のインダクタ(L)と前記第2のインダクタ(L)の一端がそれぞれ共通の駆動電源(Vcc)と連結される差動インダクタ部;
第1の入力端、第1の増幅端、第1の電流引出端を含み、前記第1のインダクタ(L)の他端と前記第1の増幅端が連結され、前記第1の入力端に第1の入力電圧(VIN)が印加されると、前記第1の入力電圧(VIN)の位相が反転されて増幅された第1の出力電圧(VOUT1)を前記第1の増幅端に出力する第1の増幅器;及び
第2の入力端、第2の増幅端、第2の電流引出端を含み、前記第2のインダクタ(L)の他端と前記第2の増幅端が連結され、前記第2の入力端と前記第1の増幅端が連結され、前記第2の入力端に前記第1の出力電圧(VOUT1)である第2の入力電圧が印加されると、前記第2の入力電圧の位相が反転されて増幅された第2の出力電圧(VOUT2)を前記第2の増幅端に出力する第2の増幅器;
を含み、前記第2の増幅器の出力が前記差動インダクタ部を経由して前記第2の増幅器にフィードバックされることを特徴とするフィードバック増幅器。
【請求項2】
前記差動インダクタ部は、
前記第1のインダクタ(L)の他端と前記第2のインダクタ(L)の他端との間に共振のための第1のキャパシタ(C)を含むことを特徴とする請求項1に記載のフィードバック増幅器。
【請求項3】
前記第1の増幅器の前記第の増幅端と、前記第2の増幅器の前記第2の入力端との間の直流をブロッキングするための第2のキャパシタ(C);
をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のフィードバック増幅器。
【請求項4】
前記差動インダクタ部は、
記第2の出力電圧(VOUT2)である第3の入力電圧が前記第2のインダクタ(L印加されると、前記第2のインダクタ(L)にカップリングされた前記第1のインダクタ(L)から前記第3の入力電圧の位相が反転されたフィードバック電圧を第1の出力端を経由して前記第2の入力端に出力することを特徴とする請求項1に記載のフィードバック増幅器。
【請求項5】
前記第2の増幅器は、
記第2の入力端に前記フィードバック電圧である第4の入力電圧が印加されると、前記第4の入力電圧の位相が反転されて増幅された電圧を前記第2の増幅端に出力することを特徴とする請求項に記載のフィードバック増幅器。
【請求項6】
前記第1のキャパシタ(C)は、
前記第1のインダクタ(L)、前記第2のインダクタ(L)との共振でループを形成することを特徴とする請求項に記載のフィードバック増幅器。
【請求項7】
前記第1の電流引出端と前記第2の電流引出端は、共通のグラウンドに連結されてカスケードを形成することを特徴とする請求項1に記載のフィードバック増幅器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施例は、差動インダクタを用いたフィードバック増幅器(Feedback Amplifier)に関する。
【背景技術】
【0002】
以下で記述する内容は、単純に本実施例と関連する背景情報のみを提供するだけで、従来技術を構成するものではないことを明らかにしておく。
【0003】
図1は、従来の差動増幅器の回路図である。従来の差動増幅器(Differential Amplifier)は、図1の(a)、(b)及び(c)に示したように、差動インダクタ(Differential Inductor)(第1のインダクタ(L)、第2のインダクタ(L))を、増幅器の電圧ゲインを作るための負荷としてのみ使用した。
【0004】
図2は、差動インダクタによる相互インダクタンス効果を示した図である。図2では、差動増幅器の第1のインダクタ(L)と第2のインダクタ(L)との間のインダクタンスである相互インダクタンス(Mutual Inductance)によって一側のインダクタである第2のインダクタ(L)に電流が流れると、反対側のインダクタである第1のインダクタ(L)に電流が反対方向に誘起されることを示す。
【0005】
このような従来の差動増幅器がより高いゲインを得るためには、差動インダクタ(第1のインダクタ(L)、第2のインダクタ(L))のQ(Quality Factor)を高めることによってより広い面積を使用したり、トランジスタ(TR)のサイズと電流を高める方向に設計されなければならない。すなわち、このような差動増幅器では、差動インダクタのQを高めたり、トランジスタのGmコンダクタンス(Conductance)を高めなければ増幅器のゲインを高めることができないという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本実施例は、差動インダクタの相互インダクタンスを用いてフィードバックループを具現し、高いQ(High Q)又は高いゲイン(High Gain)を得るようにするフィードバック増幅器を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本実施例の一側面によると、第1のインダクタ(L)及び第2のインダクタ(L)を含み、前記第1のインダクタ(L)と前記第2のインダクタ(L)の一端がそれぞれ駆動電源(Vcc)と連結される差動インダクタ部;及び第2の入力端、第2の増幅端、第2電流引出端を含み、前記第2の入力端は、電圧入力端(IN2)及び前記第1のインダクタ(L)の他端と連結され、前記第2のインダクタ(L)の他端と前記第2の増幅端が連結され、前記第2の入力端に入力電圧が印加されると、前記入力電圧の位相が反転されて増幅された出力電圧(VOUT2)を前記第2の増幅端に出力する第2の増幅器;を含み、前記第2の増幅器の出力が前記差動インダクタ部を経由して前記第2の増幅器にフィードバックされることを特徴とするフィードバック増幅器を提供する。
【0008】
また、本実施例の他の側面によると、第1のインダクタ(L)及び第2のインダクタ(L)を含み、前記第1のインダクタ(L)と前記第2のインダクタ(L)の一端がそれぞれ駆動電源(Vcc)と連結される差動インダクタ部;第1の入力端、第1の増幅端、第1の電流引出端を含み、前記第1のインダクタ(L)の他端と前記第1の増幅端が連結され、前記第1の入力端に第1の入力電圧(VIN)が印加されると、前記第1の入力電圧(VIN)の位相が反転されて増幅された第1の出力電圧(VOUT1)を前記第1の増幅端に出力する第1の増幅器;及び第2の入力端、第2の増幅端、第2の電流引出端を含み、前記第2のインダクタ(L)の他端と前記第2の増幅端が連結され、前記第2の入力端と前記第1の増幅端が連結され、前記第2の入力端に前記第1の出力電圧(VOUT1)である第2の入力電圧が印加されると、前記2の入力電圧の位相が反転されて増幅された第2の出力電圧(VOUT2)を前記第2の増幅端に出力する第2の増幅器;を含み、前記第2の増幅器の出力が前記差動インダクタ部を経由して前記第2の増幅器にフィードバックされることを特徴とするフィードバック増幅器を提供する。
【発明の効果】
【0009】
以上説明したように、本実施例によると、差動インダクタの相互インダクタンスを用いてフィードバックループを具現し、高いQ又は高いゲインを得るようにするという効果がある。
【0010】
また、本実施例によると、インダクタのQを高めたり、トランジスタのGmコンダクタンスを高めるように増幅器を設計する必要なく、フィードバックループを具現するように差動インダクタと増幅器を連結することによってゲインを高めることができるという効果がある。すなわち、インダクタの高いQや高いGmコンダクタンスのための電流や面積を増加させることなく大きなゲインを出すことができ、フィルターとして用いる場合、高いQのフィルター特性を得られるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】従来の差動増幅器の回路図である。
図2】差動インダクタによる相互インダクタンス効果を示した図である。
図3】本実施例に係る差動インダクタを用いたフィードバック増幅器の回路図である。
図4】本実施例の他の側面に係るフィードバック増幅器の回路図である。
図5】本実施例に係るフィードバック増幅器を用いる場合の効果を説明するためのグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本実施例を添付の図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
図3は、本実施例に係る差動インダクタを用いたフィードバック増幅器の回路図である。
【0014】
本実施例に係るフィードバック増幅器300は、差動増幅器であって、アナログ集積回路(IC、Integrated Circuit)を構成する基本的な機能ブロックのうちの一つである演算増幅器と比較器ICの入力端として使用することができる。フィードバック増幅器300は、一つないし複数の入出力端子を有することができ、二つの入力信号の差を増幅する機能を有する。フィードバック増幅器300は、BJT(Bipolar Junction Transistor)やMOSFET(Metal―Oxide―Semiconductor Field―Effect Transistor)に具現することができる。フィードバック増幅器300は、エミッタ結合差動対(Emitter―Coupled Differential Pair)又はソース結合差動対(Source―Coupled Differential Pair)、定電流源(Constant―Current Source)、能動負荷(Active Load)などのブロックで構成することができる。
【0015】
本実施例に係るフィードバック増幅器300は、反転特性を有する第2の増幅器320と反転特性を有する差動インダクタ部330とを組み合わせてフィードバックループ(Feedback Loop、例えば、正帰還ループ(Positive Feedback Loop)を具現し、結果的に高い電圧のゲインを得る回路に具現される。
【0016】
本実施例に係るフィードバック増幅器300が具現するフィードバックループは正帰還ループであることが望ましいが、必ずしもこれに限定されることはない。正帰還ループとは、増幅器でゲインを増加させるために出力の一部を入力にフィードするフィードバック方式を意味する。また、正帰還ループでのフィードバックによってゲインが増加する。一方、負帰還(Negative Feedback Loop)とは、増幅器での安定度及び帯域特性を増加させるために、出力の一部を入力に送り返してゲインを低下させるフィードバック方式をいう。
【0017】
本実施例に係るフィードバック増幅器300は、第1の増幅器310、第2の増幅器320及び差動インダクタ部330を含む。フィードバック増幅器300に含まれた構成要素は、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0018】
以下、説明の便宜上、第1の増幅器310に含まれたゲート(Gate)、ドレイン(Drain)、ソース(Source)をそれぞれ‘第1の入力端’、‘第1の増幅端’、‘第1の電流引出端’と称する。また、第2の増幅器320に含まれたゲート、ドレイン、ソースを‘第2の入力端’、‘第2の増幅端’、‘第2の電流引出端’と称する。第1の増幅器310と第2の増幅器320に含まれたゲートは、ソースとドレインとの間の電流の流れを制御する。第1の増幅器310と第2の増幅器320に含まれたドレインは、ソースで供給されたキャリアがチャンネル領域を通過して素子の外側に放出される端子を意味する。第1の増幅器310と第2の増幅器320に含まれたソースは、電流を運ぶキャリアを供給する。ここで、第1の増幅器310の第1の電流引出端と第2の増幅器320の第2の電流引出端は、共通のグラウンド(Ground)に連結されてカスケード(Cascade)を形成する。
【0019】
以下、第1の増幅器310について説明する。第1の増幅器310は、NチャンネルのMOSFETに具現されることが望ましいが、必ずしもこれに限定されることはない。第1の増幅器310は、第1の入力端、第1の増幅端、第1の電流引出端を含む。第1の増幅器310の第1の増幅端は、差動インダクタ部330の第1のインダクタ(L)の他端と連結される。図3に示したように、第1の増幅器310の第1の増幅端と差動インダクタ部330の第1のインダクタ(L1)の他端との接点を‘第1の出力端(OUT1)’と称することができる。‘第1の出力端(OUT1)’はOM(Output Minus)を意味する。
【0020】
第1の増幅器310は、第1の入力端に第1の入力電圧(VIN)が印加されると、第1の入力電圧(VIN)の位相が反転されて増幅された第1の出力電圧(VOUT1)を第1の増幅端に出力する。第1の増幅端は、第1出力端(OUT1)と連結される。すなわち、第1の増幅器310は、第1の入力端に第1の入力電圧が印加される場合にチャンネルを形成する。その後、第1の増幅器310は、第1の増幅端に位相が反転されて増幅された第1の出力電圧(VOUT1)を印加して電流を流す。第1の増幅器310は、第1の入力端に第1の入力電圧(VIN)が印加されるとき、フィードバック増幅器300の最初の増幅のみに関与し、その後、第2の増幅器320と差動インダクタ部330によってフィードバックループが形成される。
【0021】
以下、第2の増幅器320について説明する。第2の増幅器320は、NチャンネルのMOSFETに具現されることが望ましいが、必ずしもこれに限定されることはない。第2の増幅器320は、第2の入力端、第2の増幅端、第2の電流引出端を含む。第2の増幅器320の第2の増幅端は、差動インダクタ部330の第2のインダクタ(L)の他端と連結される。図3に示したように、第2の増幅器320の第2の増幅端と差動インダクタ部330の第2のインダクタ(L)の他端との接点を‘第2の出力端(OUT2)’と称することができる。‘第2の出力端(OUT2)’は、‘OP(Output Plus)’を意味する。
【0022】
第2の増幅器320の第2の入力端は、第1の増幅器310の第1の増幅端(第1の出力端(OUT1)と連結される。第2の増幅器320は、第2の入力端に第1の出力電圧(VOUT1)である第2の入力電圧(VIN2)が印加されると、第2の入力電圧(VIN2)の位相が反転されて増幅された第2の出力電圧(VOUT2)を第2の増幅端に出力する。第2の増幅端は、第2の出力端(OUT2)と連結される。ここで、第1の増幅器310の第1の入力端に印加される第1の入力電圧(VIN)と第2の増幅器320の第2の増幅端から出力される第2の出力電圧(VOUT2)の位相は同一である。
【0023】
フィードバック過程のための第2の増幅器320の動作を説明すると、第2の増幅器320の第2の入力端と差動インダクタ部330の第1のインダクタ(L)の他端が連結される。第2の増幅器320は、第2の入力端に差動インダクタ部330の第1のインダクタ(L)から出力されるフィードバック電圧である第4の入力電圧が印加されると、第4の入力電圧の位相が反転されて増幅された電圧を第1の出力端(OUT1)に出力する。
【0024】
第1の出力端(OUT1)と第2の増幅器320の第2の入力端との間の直流をブロッキングするための第2のキャパシタ(C)を含む。すなわち、第2のキャパシタ(C)により、第2の増幅器320の第2の入力端には直流電流が印加されない。
【0025】
以下では、差動インダクタ部330について説明する。差動インダクタ部330は、並列に連結された第1のインダクタ(L)及び第2のインダクタ(L)を含む。差動インダクタ部330は、第1のインダクタ(L)と第2のインダクタ(L)の一端がそれぞれ駆動電源(Vcc)と連結される。ここで、差動インダクタ部330は、変圧器(Transformer)に含まれた構成要素であり得る。すなわち、変圧器は、差動インダクタ部330を含むことができ、変圧器の一部のみを差動インダクタ部330として使用することができる。
【0026】
このような差動インダクタ部330の動作によってフィードバック増幅器300のフィードバックループを形成することができ、差動インダクタ部330でLC共振した負荷(Load)をフィードバック増幅器が使用することができる。また、差動インダクタ部330を含む変圧器の動作によってフィードバック増幅器300のフィードバックループを形成することができ、差動インダクタ部330でLC共振した負荷をフィードバック増幅器300で使用することができる。
【0027】
差動インダクタ部330は、第1のインダクタ(L)と第2のインダクタ(L)との間のインダクタンスである相互インダクタンスによって第2のインダクタ(L)に電流が流れると、反対側のインダクタである第1のインダクタ(L)に電流が反対方向に誘起される。
【0028】
差動インダクタ部330の第2のインダクタ(L)の他端は、第2の増幅器320の第2の増幅端と連結される。差動インダクタ部330は、第2のインダクタ(L)に第2の出力端(OUT2)から出力される第2の出力電圧(VOUT2)である第3の入力電圧が印加されると、第2のインダクタ(L)にカップリングされた第1のインダクタ(L)から第3の入力電圧の位相が反転されたフィードバック電圧(第3の出力電圧)を第1の出力端(OUT1)に出力する。差動インダクタ部330の第1のインダクタ(L)からフィードバック電圧(第3の出力電圧)を出力するとき、差動インダクタ部330が持つ損失率が反映される。
【0029】
差動インダクタ部330の第1のインダクタ(L)の他端と第2のインダクタ(L)の他端との間に共振(Resonance)のための第1のキャパシタ(C)を含む。第1のキャパシタ(C)は、第1のインダクタ(L)と第2のインダクタ(L)との共振のための共振キャパシタである。第1のキャパシタ(C)は、差動インダクタ部330でループを形成するように共振する。このとき、第1のキャパシタ(C)の容量は、差動インダクタ部330が共振するように設定することができる。
【0030】
すなわち、差動インダクタ部330は、第2の増幅器320によって増幅が発生した場合、ループを形成するために共振を行うものであって、このとき、LC共振した負荷は、第1の出力端(OUT1)を経由して再び第2の増幅器320に入力することができる。
【0031】
本実施例に係るフィードバック増幅器300は、第2の増幅器320の出力が差動インダクタ部330を経由して第2の増幅器320にフィードバックされるようにするフィードバックループを具現する。このとき、フィードバック増幅器300は、第2の増幅器320の出力が差動インダクタ部330を経由して第2の増幅器320にフィードバックされる度に差動インダクタ部330から位相が反転された電圧を出力するので、電圧に対するゲインが徐々に増加し、フィードバック増幅器300は正帰還ループを具現するようになる。
【0032】
また、フィードバック増幅器300では、第2の増幅器320の容量によって第2の増幅器320の出力が差動インダクタ部330を経由して第2の増幅器320にフィードバックされる。すなわち、フィードバック増幅器300は、第2の増幅器320の容量だけフィードバックされ得るものであって、第2の増幅器320の容量を超える場合、第2の増幅器320の容量だけの増幅が行われ得る。
【0033】
以下では、フィードバック増幅器300が反転増幅器である第2の増幅器320と反転特性を有する差動インダクタ部330を用いてフィードバックループを具現し、高いゲインを得る過程について説明する。フィードバック増幅器300の差動インダクタ部330は、第2のインダクタ(L)の他端と第2の増幅器320の第2の増幅端である第2の出力端(OUT2)と連結される。差動インダクタ部330は、第2のインダクタ(L)に第2の出力端(OUT2)から出力される第2の出力電圧(VOUT2)である第3の入力電圧が印加されると、第2のインダクタ(L)にカップリングされた第1のインダクタ(L)から第3の入力電圧の位相が反転されたフィードバック電圧(第3の出力電圧)を第1の出力端(OUT1)に出力する。このとき、差動インダクタ部330の第1のインダクタ(L)からフィードバック電圧(第3の出力電圧)を出力するとき、差動インダクタ部330が持つ損失率が反映される。すなわち、第1のインダクタ(L)と第2のインダクタ(L)との間のインダクタンスである相互インダクタンスによって第2のインダクタ(L2)に電流が流れると、反対側のインダクタである第1のインダクタ(L)に電流が反対方向に誘起される。第2のインダクタ(L)と第1のインダクタ(L)は磁気的にカップリングされているので、第2のインダクタ(L)に電流が流れると、反対方向の電流が第2のインダクタ(L)に誘起される。
【0034】
以下では、フィードバック増幅器300が行うフィードバック過程について説明する。
【0035】
差動インダクタ部330の第1のインダクタ(L)の他端は第1の出力端(OUT1)に連結される。第1の出力端(OUT1)は、第2の増幅器320の第2の入力端と連結されている。フィードバック増幅器300に備えられた第2の増幅器320は、第1の出力端(OUT1)を経由して第2の入力端に差動インダクタ部330の第1のインダクタ(L)から出力されるフィードバック電圧である第4の入力電圧が印加されると、第4の入力電圧の位相が反転されて増幅された電圧を第2の増幅端に出力する。第2の増幅端は第2の出力端(OUT2)と連結される。
【0036】
フィードバック増幅器300の全体動作について整理すると、以下の通りである。
【0037】
フィードバック増幅器300は、『フィードバック増幅器300に備えられた第1の増幅器310の第1の入力端に第1の入力電圧(VIN)が印加される。→第1の増幅器310の第1の増幅端に第1の入力電圧の位相が反転されて増幅された第1の出力電圧(VOUT1)を出力する。→(第1の出力端(OUT1)を経由して)第2の増幅器320の第2の入力端に第1の出力電圧(VOUT1)である第2の入力電圧(VIN2)が印加される。→第2の増幅器320の第2の増幅端に第2の入力電圧(VIN2)の位相が反転されて増幅された第2の出力電圧(VOUT2)を出力する。→(第2の出力端(OUT2)を経由して)差動インダクタ部330の第2のインダクタ(L)に第2の出力電圧(VOUT2)である第3の入力電圧が印加される。→差動インダクタ部330の第1のインダクタ(L)から第3の入力電圧の位相が反転されたフィードバック電圧を出力する。→(第1の出力端(OUT1)を経由して)第2の増幅器320の第2の入力端にフィードバック電圧である第4の入力電圧が印加される。→第2の増幅器320の第2の増幅端から第4の入力電圧の位相が反転されて増幅された電圧を出力する。→上述した過程を第2の増幅器320の容量だけ繰り返したフィードバックループを形成する』動作を行う。
【0038】
図4は、本実施例の他の側面によるフィードバック増幅器の回路図である。
【0039】
本実施例の他の側面によるフィードバック増幅器300は、差動インダクタ部330及び第2の増幅器320のみを含んで具現することができる。すなわち、図4の(a)、(b)に示したように、フィードバック増幅器300は、差動インダクタ部330及び第2の増幅器320のみを含んで具現することができる。差動インダクタ部330と第2の増幅器320の具体的な説明は図3を参照して説明したものと同一であるので、それについての記載は省略する。
【0040】
図4の(a)及び(b)に示したように、第2の増幅器320の第2のインダクタ(L)の他端と第2の増幅端が連結される。第2の増幅器320の第2の入力端は電圧入力端(IN2)と連結される。電圧入力端(IN2)を経由して第2の増幅器320の第2の入力端に入力電圧が印加されると、入力電圧の位相が反転されて増幅された出力電圧(VOUT2)を第2の増幅端に出力することができる。第2の増幅端は、第2の出力端(OUT2)と連結される。第2の増幅器の出力は、差動インダクタ部330を経由して第2の増幅器320にフィードバックされる。第2の増幅器320の第2の入力端と電圧入力端(IN2)との間の直流をブロッキングするための第2のキャパシタ(C)を含む。
【0041】
差動インダクタ部330は、図4の(a)に示したように、第1のインダクタ(L)及び第2のインダクタ(L)のみを含んで具現することができる。すなわち、差動インダクタ部330は、第1のキャパシタ(C)を含まない状態でフィードバック増幅器300を具現することができる。一方、差動インダクタ部330は、図4の(b)に示したように、第1のインダクタ(L)、第2のインダクタ(L)及び第1のキャパシタ(C)を含んで具現することができる。
【0042】
図5は、本実施例に係るフィードバック増幅器を用いる場合の効果を説明するためのグラフである。
【0043】
図5に示したように、差動インダクタ部330に含まれた差動インダクタである第1のインダクタ(L)、第2のインダクタ(L)を一般増幅器に適用する場合、(a)のようなゲインが示される。その一方、差動インダクタ部330に含まれた第1のインダクタ(L)、第2のインダクタ(L)を本実施例に係るフィードバック増幅器300に適用する場合、正帰還ループの具現によって結果的に図5の(b)のようなゲインが示される。
【0044】
したがって、(a)と(b)を比較すると、フィードバック増幅器300で正帰還ループによるゲインカーブ(Gain Curve)である(b)の場合、一般的な差動増幅器のゲインカーブに比べてゲインとQが増加することが分かる。
【0045】
以上の説明は、本実施例の技術思想を例示的に説明したものに過ぎなく、本実施例の属する技術分野で通常の知識を有する者であれば、本実施例の本質的な特性から逸脱しない範囲で多様な修正及び変形が可能であろう。したがって、本実施例は、本実施例の技術思想を限定するためのものではなく、説明するためのものであって、このような実施例によって本実施例の技術思想の範囲が限定されることはない。本実施例の保護範囲は、下記の特許請求の範囲によって解釈しなければならなく、それと同等な範囲内の全ての技術思想は、本実施例の権利範囲に含まれるものと解釈しなければならない。
【符号の説明】
【0046】
300:フィードバック増幅器
310:第1の増幅器
320:第2の増幅器
330:差動インダクタ部
図1
図2
図3
図4
図5