【実施例1】
【0013】
以下、本発明のラッピング端子絶縁カバーおよびジャンパー線配線方法の実施例について図面を参照して説明する。
本発明の一実施例によるラッピング端子絶縁カバーは、縦6mmの間隔で設けられた上下に隣接する2本の作業対象ラッピング端子122’へのジャンパー線配線作業時に使用するものであり、電気絶縁部材を用いて構成されているとともに、
図1(a),(b)に示すカバー部材10と、同図(c),(d)に示す支持部材20とを具備する。
【0014】
ここで、カバー部材10は、表面(ラッピング端子絶縁カバーを作業対象ラッピング端子122’に装着したときに絶縁板121と反対側になる面)および裏面が開口面とされた略矩形筒状のカバー本体11と、カバー本体11の左側面の表面側に取り付けられた矩形板状の回線管理表示札12とを備える。
【0015】
カバー本体11の横幅(ラッピング端子絶縁カバーを作業対象ラッピング端子122’に装着したときの横方向の長さ)、高さ(縦方向の長さ)および奥行き(表面から裏面までの長さ)は6mm、12mmおよび15mmとされている。
また、カバー本体11の開口面の横幅は、ジャンパー線1のラッピング作業およびアンラッピング作業時にラッピング工具のビットをカバー本体11内に挿入することができるように、ラッピング工具のビット径=5mmよりも大きくされている。
【0016】
回線管理表示札12は、作業対象の通信システムの管理番号を表示するためのものであり、たとえば
図1(b)に示す「回線管理No.8888888」は、作業対象の通信システムの管理番号が“8888888”であることを表示している。
【0017】
支持部材20は、薄い矩形板の上面(ラッピング端子絶縁カバーを作業対象ラッピング端子122’に装着したときに上側となる面)部および下面部を垂直に表面側に曲げて表面および両側面が開口面とされた左側面視コの字状の本体21を備える(
図1(d)参照)。
本体21の横幅(横方向の長さ)は、カバー本体11の横幅よりも小さくされている(たとえば、4mm)。
本体21の高さ(縦方向の長さ)は、カバー本体11の裏面側からカバー部材10を支持部材20の表面から挿入して支持部材20に取り付けたときに本体21の上下面部でカバー本体11を挟持することができるように、カバー本体11の高さ=6mmに本体21の上下面部の厚さを足した長さとされている。
本体21の奥行き(表面から裏面までの長さ)は、ラッピング端子122の長さ=20mmと同じにされている(
図2(a)参照)。
【0018】
本体21の裏面の横方向中央部には、2本の作業対象ラッピング端子122’をそれぞれ貫通させるための2個の貫通孔22が、縦6mmの間隔(ラッピング端子122の縦方向の間隔)で形成されている。
【0019】
また、本体21の裏面には、端子板120における2本の作業対象ラッピング端子122’の配列をそれぞれ示す2つの端子情報表示23が、表面側から見えるように2個の貫通孔22の上方にそれぞれ記されている。
たとえば、端子板120に、上端部にラッピング端子列を示す数字“1”〜“9”が左から順に表示されているとともに、左端部にラッピング端子行を示す文字“A”〜“H”,“J”,“K”が上から順に表示されているとすると、
図1(c)に示す端子情報表示23「03 A」および「03 B」は作業対象ラッピング端子122’が3列A行および3列B行のラッピング端子120であることをそれぞれ表示している。
【0020】
次に、本実施例によるラッピング端子絶縁カバーを用いて端子板120の3列A行および3列B行のラッピング端子120にジャンパー線1を1本ずつ接続するときの作業手順(ラッピング作業手順)について、
図2(a),(b)、
図3(a),(b)および
図4を参照して説明する。
【0021】
管理番号が“8888888”の通信システムについて、ジャンパー線1が未配線である端子板120の3列A行および3列B行のラッピング端子122にジャンパー線1を1本ずつ接続する場合には、ラッピング作業前に、回線管理データベースを参照してこの通信システムの管理番号“8888888”を表示する回線管理表示札12(回線管理No.8888888)を作成したのちに本体11の側面に取り付けたカバー部材10を用意するとともに、配線盤接続管理データベースを参照して2本の作業対象ラッピング端子122’の配列“3列A行”および“3列B行”をそれぞれ示す2つの端子情報表示23(03 A,03 B)を本体21の2つの貫通孔22の上方に記した支持部材20を用意する。
【0022】
作業員は、用意された支持部材20に記された端子情報表示23(03 A,03 B)を見て、3列A行および3列B行のラッピング端子122が作業対象ラッピング端子122’であることを確認したのち、2本の作業対象ラッピング端子122’を2個の貫通孔22に貫通させて、
図2(a)および
図3(a)に示すように2本の作業対象ラッピング端子122’に支持部材20を取り付ける。
【0023】
続いて、作業員は、用意されたカバー部材10のカバー本体11に取り付けられた回線管理表示札12(回線管理No.8888888)を見て、作業対象の通信システムの管理番号が「8888888」であることを確認したのち、カバー本体11の裏面側からカバー部材10を支持部材20の表面から挿入して、
図2(b)および
図3(b)に示すように支持部材20にカバー部材10を支持させる。
これにより、2本の作業対象ラッピング端子122’をカバー部材10で取り囲むことができるため、2本の作業対象ラッピング端子122’を隣接するラッピング端子122(この例では、2列A行、4列A行、2列B行、4列B行、2列C行、3列C行および4列C行のラッピング端子122)と電気的に絶縁することができるので、ラッピング工具の先端部の接触による電気的短絡を防止することができる。
【0024】
続いて、作業員は、ラッピング工具を用いて、
図3(c)に示すように2本の作業対象ラッピング端子122’に各ジャンパー線1の一端部をそれぞれ接続する。
【0025】
続いて、作業員は、
図4に示すようにカバー部材10を支持部材20から取り外し、2本のジャンパー線1をカバー部材10内に通したまま、2本のジャンパー線1の他端部を接続先の端子板120(作業対象ラッピング端子122’の端子板120と同一または他の端子板120)の2本のラッピング端子122(以下、「他の作業対象ラッピング端子」と称する。)までカバー部材10を2本のジャンパー線1の他端部と一緒に移動させたのち、カバー部材10から2本のジャンパー線1の他端部を引き抜く。
このとき、2本の他の作業対象ラッピング端子には、配線盤接続管理データベースを参照して接続先の端子板120の2本の他の作業対象ラッピング端子の配列をそれぞれ示す2つの端子情報表示23を本体21の2つの貫通孔22の上方に記した他の支持部材20が予め取り付けられているため、作業員は、同様の手順に従って、2本のジャンパー線1の他端部を2本の他の作業対象ラッピング端子にそれぞれ接続する。
【0026】
続いて、作業員は、カバー部材10を他の支持部材20から取り外したのち、2本のジャンパー線1をカバー部材10内に通したまま、カバー部材10を作業対象ラッピング端子122’と他の作業対象ラッピング端子との間に配線された2本のジャンパー線1の任意の位置(たとえば、2本のジャンパー線1の中央部付近)まで移動する。
カバー部材10は、2本のジャンパー線1に掛けられたままとされる。
【0027】
次に、本実施例によるラッピング端子絶縁カバーを用いてこの2本のジャンパー線1を取り外すときの作業手順(アンラッピング作業手順)について説明する。
【0028】
作業員は、2本のジャンパー線1に掛けられたままとされているカバー部材10に取り付けられている回線管理表示札12(回線管理No.8888888)を見て、作業対象の通信システムの管理番号が“8888888”であることを確認したのち、カバー部材10を移動させて2本の作業対象ラッピング端子122’に取り付けられたままとされている支持部材20に取り付ける。
このとき、作業員は、カバー部材10を支持部材20に取り付ける前に支持部材20に記された端子情報表示23(03 A,03 B)を見て、3列A行および3列B行のラッピング端子122が作業対象ラッピング端子122’であることを確認する。
これにより、従来ではアンラッピング作業時に問題となることが多かった作業員への作業対象箇所の指示間違いや作業員による作業対象箇所の誤認を防止することができる。
【0029】
続いて、作業員は、ラッピング工具を用いて、2本の作業対象ラッピング端子122’に配線されている2本のジャンパー線1の一端部を取り外す。
このとき、2本の作業対象ラッピング端子122’はカバー本体11で取り囲まれているため、ラッピング工具の先端部の接触による隣接するラッピング端子122との電気的短絡を防止することができるとともに、作業員のミスにより取り外したジャンパー線1がラッピング工具から外れても、外れたジャンパー線1の先端部が隣接するラッピング端子122に接触することによる電気的短絡を防止することができる。
【0030】
続いて、作業員は、カバー部材10を支持部材20から取り外したのちカバー部材10を他の作業対象ラッピング端子側に移動させて、同様の手順に従って、2本の他の作業対象ラッピング端子に配線されている2本のジャンパー線1の他端部を取り外して、アンラッピング作業を終了する。
【0031】
なお、アンラッピング作業を終了すると、作業員は、支持部材20および他の支持部材20を作業対象ラッピング端子122’および他の作業対象ラッピング端子から取り外してカバー部材10と共に回収する。
【0032】
以上では、作業対象ラッピング端子122’が2本の場合に使用するラッピング端子絶縁カバーについて説明したが、作業対象ラッピング端子122’が4本または6本の場合には、カバー部材20および支持部材20の代わりに高さを大きくしたカバー部材および支持部材を使用するとともに、支持部材に4個または6個の貫通孔22を形成したラッピング端子絶縁カバーを使用すればよい。