特許第5889931号(P5889931)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5889931ラッピング端子絶縁カバーおよびジャンパー線配線方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5889931
(24)【登録日】2016年2月26日
(45)【発行日】2016年3月22日
(54)【発明の名称】ラッピング端子絶縁カバーおよびジャンパー線配線方法
(51)【国際特許分類】
   H01R 9/00 20060101AFI20160308BHJP
   H01R 43/033 20060101ALI20160308BHJP
   H01R 13/44 20060101ALI20160308BHJP
【FI】
   H01R9/00 B
   H01R43/033
   H01R9/00 C
   H01R13/44 Z
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-16509(P2014-16509)
(22)【出願日】2014年1月31日
(65)【公開番号】特開2015-144047(P2015-144047A)
(43)【公開日】2015年8月6日
【審査請求日】2015年2月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107467
【弁理士】
【氏名又は名称】員見 正文
(72)【発明者】
【氏名】井本 謙次
【審査官】 楠永 吉孝
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−193021(JP,A)
【文献】 特開2010−263314(JP,A)
【文献】 特開2010−140698(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 9/00
H01R 9/15〜 9/28
H01R 13/44
H01R 43/033
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁板(121)に格子状に設けられた多数本のラッピング端子(122)のうちの上下に隣接する複数本の作業対象ラッピング端子(122’)にラッピング工具を用いてジャンパー線(1)を1本ずつ接続する際に該複数本の作業対象ラッピング端子に装着して使用するためのラッピング端子絶縁カバーであって、
前記ラッピング端子絶縁カバーを前記複数本の作業対象ラッピング端子に装着するときに該複数本の作業対象ラッピング端子を取り囲むための略矩形筒状のカバー部材(10)と、
前記複数本の作業対象ラッピング端子に取り付けられる、かつ、前記ラッピング端子絶縁カバーを前記複数本の作業対象ラッピング端子に装着するときに前記カバー部材を支持するための支持部材(20)とを具備し、
前記ラッピング端子絶縁カバーを前記複数本の作業対象ラッピング端子に装着したときの前記カバー部材の前記絶縁板と反対側になる面を該カバー部材の表面とすると、該カバー部材の表面および裏面が開口面とされている、
ことを特徴とする、ラッピング端子絶縁カバー。
【請求項2】
前記カバー部材が、
表面および裏面が開口面とされた略矩形筒状のカバー本体(11)と、
該カバー本体の側面に取り付けられた、かつ、作業対象の通信システムの管理番号を表示するための回線管理表示札(12)と、
を備えることを特徴とする、請求項1記載のラッピング端子絶縁カバー。
【請求項3】
前記ラッピング端子絶縁カバーを前記複数本の作業対象ラッピング端子に装着したときの前記カバー本体の開口面の横方向の長さを該カバー本体の開口面の横幅とすると、前記カバー本体の開口面の横幅が、前記ラッピング工具のビット径よりも大きくされていることを特徴とする、請求項2記載のラッピング端子絶縁カバー。
【請求項4】
前記ラッピング端子絶縁カバーを前記複数本の作業対象ラッピング端子に装着したときの前記支持部材の前記絶縁板と反対側になる面を該支持部材の表面とし前記支持部材の上側となる面を該支持部材の上面とするとともに前記支持部材の縦方向の長さを該支持部材の高さとすると、
前記支持部材が、表面および両側面が開口面とされた側面視コの字状の本体(21)を備え、
前記本体の高さが、該本体の上下面部で前記カバー本体を挟持できる長さとされている、
ことを特徴とする、請求項2または3記載のラッピング端子絶縁カバー。
【請求項5】
前記本体の裏面に、前記複数本の作業対象ラッピング端子をそれぞれ貫通させるための複数個の貫通孔(22)が形成されていることを特徴とする、請求項4記載のラッピング端子絶縁カバー。
【請求項6】
前記ラッピング端子絶縁カバーを前記複数本の作業対象ラッピング端子に装着したときの前記カバー本体および前記本体の横方向の長さを該カバー本体および該本体の横幅とするとともに、前記本体の表面から裏面までの長さを該本体の奥行きとすると、
前記本体の横幅が、前記カバー本体の横幅よりも小さくされており、
前記本体の奥行きが、前記ラッピング端子の長さと同じにされている、
ことを特徴とする、請求項4または5記載のラッピング端子絶縁カバー。
【請求項7】
前記本体の裏面に、前記複数本の作業対象ラッピング端子の配列を示す端子情報表示(23)が、該本体の表面側から見えるように記されていることを特徴とする、請求項4乃至6いずれかに記載のラッピング端子絶縁カバー。
【請求項8】
請求項1乃至7いずれかに記載のラッピング端子絶縁カバーを用いて、絶縁板(121)に格子状に設けられた多数本のラッピング端子(122)のうちの上下に隣接する複数本の作業対象ラッピング端子(122’)と該多数本のラッピング端子のうちのまたは他の絶縁板に格子状に設けられた多数本の他のラッピング端子のうちの上下に隣接する複数本の他の作業対象ラッピング端子の間に複数本のジャンパー線(1)を1本ずつ配線するためのジャンパー線配線方法であって、
支持部材(20)および他の支持部材を前記複数本の作業対象ラッピング端子および前記複数本の他の作業対象ラッピング端子にそれぞれ取り付ける第1のステップと、
前記複数本の作業対象ラッピング端子を取り囲むようにカバー部材(10)を前記支持部材に支持させる第2のステップと、
ラッピング工具を用いて前記複数本の作業対象ラッピング端子に前記複数本のジャンパー線の一端部をそれぞれ接続する第3のステップと、
前記カバー部材を前記支持部材から取り外して前記複数本のジャンパー線を該カバー部材内に通したまま前記複数本の他の作業対象ラッピング端子まで移動させ、該カバー部材から該複数本のジャンパー線の他端部を引き抜いたのち、該複数本の他の作業対象ラッピング端子を取り囲むように該カバー部材を前記他の支持部材に支持させる第4のステップと、
前記ラッピング工具を用いて前記複数本の他の作業対象ラッピング端子に前記複数本のジャンパー線の他端部をそれぞれ接続する第5のステップと、
前記カバー部材を前記他の支持部材から取り外して、前記複数本のジャンパー線を前記カバー部材内に通したまま該カバー部材を該複数本のジャンパー線の任意の位置まで移動して、前記複数本の作業対象ラッピング端子と前記複数本の他の作業対象ラッピング端子との間に配線された該複数本のジャンパー線に該カバー部材を掛けたままとする第6のステップと、
を具備することを特徴とする、ジャンパー線配線方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラッピング工具を用いてラッピング端子間にジャンパー線を配線するために使用するのに好適なラッピング端子絶縁カバーおよびジャンパー線配線方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電力会社では通信回線を構成するために、図5に示すような中間配線盤(IDF:Intermediate Distribution Frame)110を使用している。
中間配線盤110の前面には、複数枚の端子板120が格子状に配置されている。また、各端子板120の絶縁板121の前面および後面には、多数本のラッピング端子122が等間隔(たとえば、縦横6mmの間隔)にかつ格子状にそれぞれ設けられている(図2(a)および図3(a)参照)。
【0003】
従来、中間配線盤110のジャンパー線配線作業においてラッピング工具を用いて作業対象のラッピング端子122(以下、「作業対象ラッピング端子122’」と称する。)にジャンパー線1(図4参照)を接続するラッピング作業(ジャンパー線接続作業)を行う際には、作業員は目視のみで作業対象箇所(作業対象の端子板120および作業対象ラッピング端子122’)を確認しているため、作業対象箇所を誤認するという問題があるとともに、ラッピング工具の先端部の作業対象外のラッピング端子122への接触による電気的短絡を防止するため、作業対象ラッピング端子122’に隣接するラッピング端子122の上部にビニールテープなどの絶縁物で養生をする必要があるという問題があった。
【0004】
また、ラッピング工具を用いてジャンパー線1のアンラッピング作業(ジャンパー線取外し作業)を行う際には、作業員への作業対象箇所の指示間違いや作業員による作業対象箇所の誤認が発生したり、取り外したジャンパー線1の作業対象外のラッピング端子122への接触による電気的短絡が発生したりすると、通信システムの停止により企業活動に重大な損失を与えるという問題があった。
【0005】
そのため、ラッピング工具の先端部の作業対象外のラッピング端子122への接触による電気的短絡を防止するために、作業対象外のラッピング端子122をセパレータにより区分するラッピング型配線盤が開発されている。
また、本出願人は、下記の特許文献1において、ラッピング端子の側面部を絶縁被覆可能に形成されるとともにラッピング端子に着脱自在に係止される一対の係止部と、弾性を有する絶縁部材によって帯板状に形成され、一対の係止部と長手方向両端部で接続されるとともに係止部によって係止されるラッピング端子の間に位置するラッピング端子の一の側面部を遮蔽可能に形成された遮蔽シート部とを備えた、かつ、ラッピング端子識別用の識別表示部を遮蔽シート部に備えさせた絶縁カバーを提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−140698号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述したラッピング型配線盤では、セパレータを取り付けるためにラッピング端子配置の間隔が大きくなるため、ラッピング端子群の収容効率が低下するという問題がある。
また、上記の特許文献1で提案した絶縁カバーでは、作業対象ラッピング端子122’のラッピング端子列の両隣のラッピング端子列に装着して使用する必要があるため、2つの絶縁カバーが必要であるという問題があるとともに、ラッピング端子識別用の識別表示がラッピング端子列の各ラッピング端子に対応するピン番号であるため、作業員による作業対象箇所の誤認を防止するには必ずしも十分ではないという問題がある。
【0008】
本発明の目的は、ラッピング工具を用いたジャンパー線配線作業を容易かつ正確に行わせることができるラッピング端子絶縁カバーおよびジャンパー線配線方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のラッピング端子絶縁カバーは、絶縁板(121)に格子状に設けられた多数本のラッピング端子(122)のうちの上下に隣接する複数本の作業対象ラッピング端子(122’)にラッピング工具を用いてジャンパー線(1)を1本ずつ接続する際に該複数本の作業対象ラッピング端子に装着して使用するためのラッピング端子絶縁カバーであって、前記ラッピング端子絶縁カバーを前記複数本の作業対象ラッピング端子に装着するときに該複数本の作業対象ラッピング端子を取り囲むための略矩形筒状のカバー部材(10)と、前記複数本の作業対象ラッピング端子に取り付けられる、かつ、前記ラッピング端子絶縁カバーを前記複数本の作業対象ラッピング端子に装着するときに前記カバー部材を支持するための支持部材(20)とを具備し、前記ラッピング端子絶縁カバーを前記複数本の作業対象ラッピング端子に装着したときの前記カバー部材の前記絶縁板と反対側になる面を該カバー部材の表面とすると、該カバー部材の表面および裏面が開口面とされていることを特徴とする。
ここで、前記カバー部材が、表面および裏面が開口面とされた略矩形筒状のカバー本体(11)と、該カバー本体の側面に取り付けられた、かつ、作業対象の通信システムの管理番号を表示するための回線管理表示札(12)とを備えてもよい。
前記ラッピング端子絶縁カバーを前記複数本の作業対象ラッピング端子に装着したときの前記カバー本体の開口面の横方向の長さを該カバー本体の開口面の横幅とすると、前記カバー本体の開口面の横幅が、前記ラッピング工具のビット径よりも大きくされていてもよい。
前記ラッピング端子絶縁カバーを前記複数本の作業対象ラッピング端子に装着したときの前記支持部材の前記絶縁板と反対側になる面を該支持部材の表面とし前記支持部材の上側となる面を該支持部材の上面とするとともに前記支持部材の縦方向の長さを該支持部材の高さとすると、前記支持部材が、表面および両側面が開口面とされた側面視コの字状の本体(21)を備え、前記本体の高さが、該本体の上下面部で前記カバー本体を挟持できる長さとされていてもよい。
前記本体の裏面に、前記複数本の作業対象ラッピング端子をそれぞれ貫通させるための複数個の貫通孔(22)が形成されていてもよい。
前記ラッピング端子絶縁カバーを前記複数本の作業対象ラッピング端子に装着したときの前記カバー本体および前記本体の横方向の長さを該カバー本体および該本体の横幅とするとともに、前記本体の表面から裏面までの長さを該本体の奥行きとすると、前記本体の横幅が、前記カバー本体の横幅よりも小さくされており、前記本体の奥行きが、前記ラッピング端子の長さと同じにされていてもよい。
前記本体の裏面に、前記複数本の作業対象ラッピング端子の配列を示す端子情報表示(23)が、該本体の表面側から見えるように記されていてもよい。
本発明のジャンパー線配線方法は、本発明のラッピング端子絶縁カバーを用いて、絶縁板(121)に格子状に設けられた多数本のラッピング端子(122)のうちの上下に隣接する複数本の作業対象ラッピング端子(122’)と該多数本のラッピング端子のうちのまたは他の絶縁板に格子状に設けられた多数本の他のラッピング端子のうちの上下に隣接する複数本の他の作業対象ラッピング端子の間に複数本のジャンパー線(1)を1本ずつ配線するためのジャンパー線配線方法であって、支持部材(20)および他の支持部材を前記複数本の作業対象ラッピング端子および前記複数本の他の作業対象ラッピング端子にそれぞれ取り付ける第1のステップと、前記複数本の作業対象ラッピング端子を取り囲むようにカバー部材(10)を前記支持部材に支持させる第2のステップと、ラッピング工具を用いて前記複数本の作業対象ラッピング端子に前記複数本のジャンパー線の一端部をそれぞれ接続する第3のステップと、前記カバー部材を前記支持部材から取り外して前記複数本のジャンパー線を該カバー部材内に通したまま前記複数本の他の作業対象ラッピング端子まで移動させ、該カバー部材から該複数本のジャンパー線の他端部を引き抜いたのち、該複数本の他の作業対象ラッピング端子を取り囲むように該カバー部材を前記他の支持部材に支持させる第4のステップと、前記ラッピング工具を用いて前記複数本の他の作業対象ラッピング端子に前記複数本のジャンパー線の他端部をそれぞれ接続する第5のステップと、前記カバー部材を前記他の支持部材から取り外して、前記複数本のジャンパー線を前記カバー部材内に通したまま該カバー部材を該複数本のジャンパー線の任意の位置まで移動して、前記複数本の作業対象ラッピング端子と前記複数本の他の作業対象ラッピング端子との間に配線された該複数本のジャンパー線に該カバー部材を掛けたままとする第6のステップとを具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明のラッピング端子絶縁カバーおよびジャンパー線配線方法は、以下に示す効果を奏する。
(1)ラッピング作業を行う際にラッピング端子絶縁カバーを作業対象ラッピング端子にのみ装着すればよいため、ラッピング工具を用いたジャンパー線配線作業を容易に行わせることができる。
(2)カバー部材に取り付けられた回線管理表示札および支持部材に記された端子情報表示でラッピング作業時に作業対象箇所が正しいか否かを確認できるとともに、配線されたジャンパー線にカバー部材を掛けたままとすることによりアンラッピング作業時にも回線管理表示札および端子情報表示で作業対象箇所が正しいか否かを確認できるため、作業対象箇所についての作業員への指示間違いや作業員による誤認を防止できるので、ラッピング工具を用いたジャンパー線配線作業を正確に行わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施例によるラッピング端子絶縁カバーが具備するカバー部材10および支持部材20の構成を示す図であり、(a)はカバー部材10の正面図であり、(b)はカバー部材10の左側面図であり、(c)は支持部材20の正面図であり、(d)は支持部材20の左側面断面図である。
図2図1に示したラッピング端子絶縁カバーを用いたジャンパー線1のラッピング作業手順について説明するための図である。
図3図1に示したラッピング端子絶縁カバーを用いたジャンパー線1のラッピング作業手順について説明するための図である。
図4図1に示したラッピング端子絶縁カバーを用いたジャンパー線1のラッピング作業手順について説明するための図である。
図5】中間配線盤110の前面の状態を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
上記の目的を、作業対象ラッピング端子を取り囲むためのカバー部材とカバー部材を支持するための支持部材とでジャンパー線配線作業時に作業対象ラッピング端子に装着するラッピング端子絶縁カバーを構成し、カバー部材に回線管理表示札を取り付けるとともに支持部材に端子情報表示を記すことにより実現した。
【実施例1】
【0013】
以下、本発明のラッピング端子絶縁カバーおよびジャンパー線配線方法の実施例について図面を参照して説明する。
本発明の一実施例によるラッピング端子絶縁カバーは、縦6mmの間隔で設けられた上下に隣接する2本の作業対象ラッピング端子122’へのジャンパー線配線作業時に使用するものであり、電気絶縁部材を用いて構成されているとともに、図1(a),(b)に示すカバー部材10と、同図(c),(d)に示す支持部材20とを具備する。
【0014】
ここで、カバー部材10は、表面(ラッピング端子絶縁カバーを作業対象ラッピング端子122’に装着したときに絶縁板121と反対側になる面)および裏面が開口面とされた略矩形筒状のカバー本体11と、カバー本体11の左側面の表面側に取り付けられた矩形板状の回線管理表示札12とを備える。
【0015】
カバー本体11の横幅(ラッピング端子絶縁カバーを作業対象ラッピング端子122’に装着したときの横方向の長さ)、高さ(縦方向の長さ)および奥行き(表面から裏面までの長さ)は6mm、12mmおよび15mmとされている。
また、カバー本体11の開口面の横幅は、ジャンパー線1のラッピング作業およびアンラッピング作業時にラッピング工具のビットをカバー本体11内に挿入することができるように、ラッピング工具のビット径=5mmよりも大きくされている。
【0016】
回線管理表示札12は、作業対象の通信システムの管理番号を表示するためのものであり、たとえば図1(b)に示す「回線管理No.8888888」は、作業対象の通信システムの管理番号が“8888888”であることを表示している。
【0017】
支持部材20は、薄い矩形板の上面(ラッピング端子絶縁カバーを作業対象ラッピング端子122’に装着したときに上側となる面)部および下面部を垂直に表面側に曲げて表面および両側面が開口面とされた左側面視コの字状の本体21を備える(図1(d)参照)。
本体21の横幅(横方向の長さ)は、カバー本体11の横幅よりも小さくされている(たとえば、4mm)。
本体21の高さ(縦方向の長さ)は、カバー本体11の裏面側からカバー部材10を支持部材20の表面から挿入して支持部材20に取り付けたときに本体21の上下面部でカバー本体11を挟持することができるように、カバー本体11の高さ=6mmに本体21の上下面部の厚さを足した長さとされている。
本体21の奥行き(表面から裏面までの長さ)は、ラッピング端子122の長さ=20mmと同じにされている(図2(a)参照)。
【0018】
本体21の裏面の横方向中央部には、2本の作業対象ラッピング端子122’をそれぞれ貫通させるための2個の貫通孔22が、縦6mmの間隔(ラッピング端子122の縦方向の間隔)で形成されている。
【0019】
また、本体21の裏面には、端子板120における2本の作業対象ラッピング端子122’の配列をそれぞれ示す2つの端子情報表示23が、表面側から見えるように2個の貫通孔22の上方にそれぞれ記されている。
たとえば、端子板120に、上端部にラッピング端子列を示す数字“1”〜“9”が左から順に表示されているとともに、左端部にラッピング端子行を示す文字“A”〜“H”,“J”,“K”が上から順に表示されているとすると、図1(c)に示す端子情報表示23「03 A」および「03 B」は作業対象ラッピング端子122’が3列A行および3列B行のラッピング端子120であることをそれぞれ表示している。
【0020】
次に、本実施例によるラッピング端子絶縁カバーを用いて端子板120の3列A行および3列B行のラッピング端子120にジャンパー線1を1本ずつ接続するときの作業手順(ラッピング作業手順)について、図2(a),(b)、図3(a),(b)および図4を参照して説明する。
【0021】
管理番号が“8888888”の通信システムについて、ジャンパー線1が未配線である端子板120の3列A行および3列B行のラッピング端子122にジャンパー線1を1本ずつ接続する場合には、ラッピング作業前に、回線管理データベースを参照してこの通信システムの管理番号“8888888”を表示する回線管理表示札12(回線管理No.8888888)を作成したのちに本体11の側面に取り付けたカバー部材10を用意するとともに、配線盤接続管理データベースを参照して2本の作業対象ラッピング端子122’の配列“3列A行”および“3列B行”をそれぞれ示す2つの端子情報表示23(03 A,03 B)を本体21の2つの貫通孔22の上方に記した支持部材20を用意する。
【0022】
作業員は、用意された支持部材20に記された端子情報表示23(03 A,03 B)を見て、3列A行および3列B行のラッピング端子122が作業対象ラッピング端子122’であることを確認したのち、2本の作業対象ラッピング端子122’を2個の貫通孔22に貫通させて、図2(a)および図3(a)に示すように2本の作業対象ラッピング端子122’に支持部材20を取り付ける。
【0023】
続いて、作業員は、用意されたカバー部材10のカバー本体11に取り付けられた回線管理表示札12(回線管理No.8888888)を見て、作業対象の通信システムの管理番号が「8888888」であることを確認したのち、カバー本体11の裏面側からカバー部材10を支持部材20の表面から挿入して、図2(b)および図3(b)に示すように支持部材20にカバー部材10を支持させる。
これにより、2本の作業対象ラッピング端子122’をカバー部材10で取り囲むことができるため、2本の作業対象ラッピング端子122’を隣接するラッピング端子122(この例では、2列A行、4列A行、2列B行、4列B行、2列C行、3列C行および4列C行のラッピング端子122)と電気的に絶縁することができるので、ラッピング工具の先端部の接触による電気的短絡を防止することができる。
【0024】
続いて、作業員は、ラッピング工具を用いて、図3(c)に示すように2本の作業対象ラッピング端子122’に各ジャンパー線1の一端部をそれぞれ接続する。
【0025】
続いて、作業員は、図4に示すようにカバー部材10を支持部材20から取り外し、2本のジャンパー線1をカバー部材10内に通したまま、2本のジャンパー線1の他端部を接続先の端子板120(作業対象ラッピング端子122’の端子板120と同一または他の端子板120)の2本のラッピング端子122(以下、「他の作業対象ラッピング端子」と称する。)までカバー部材10を2本のジャンパー線1の他端部と一緒に移動させたのち、カバー部材10から2本のジャンパー線1の他端部を引き抜く。
このとき、2本の他の作業対象ラッピング端子には、配線盤接続管理データベースを参照して接続先の端子板120の2本の他の作業対象ラッピング端子の配列をそれぞれ示す2つの端子情報表示23を本体21の2つの貫通孔22の上方に記した他の支持部材20が予め取り付けられているため、作業員は、同様の手順に従って、2本のジャンパー線1の他端部を2本の他の作業対象ラッピング端子にそれぞれ接続する。
【0026】
続いて、作業員は、カバー部材10を他の支持部材20から取り外したのち、2本のジャンパー線1をカバー部材10内に通したまま、カバー部材10を作業対象ラッピング端子122’と他の作業対象ラッピング端子との間に配線された2本のジャンパー線1の任意の位置(たとえば、2本のジャンパー線1の中央部付近)まで移動する。
カバー部材10は、2本のジャンパー線1に掛けられたままとされる。
【0027】
次に、本実施例によるラッピング端子絶縁カバーを用いてこの2本のジャンパー線1を取り外すときの作業手順(アンラッピング作業手順)について説明する。
【0028】
作業員は、2本のジャンパー線1に掛けられたままとされているカバー部材10に取り付けられている回線管理表示札12(回線管理No.8888888)を見て、作業対象の通信システムの管理番号が“8888888”であることを確認したのち、カバー部材10を移動させて2本の作業対象ラッピング端子122’に取り付けられたままとされている支持部材20に取り付ける。
このとき、作業員は、カバー部材10を支持部材20に取り付ける前に支持部材20に記された端子情報表示23(03 A,03 B)を見て、3列A行および3列B行のラッピング端子122が作業対象ラッピング端子122’であることを確認する。
これにより、従来ではアンラッピング作業時に問題となることが多かった作業員への作業対象箇所の指示間違いや作業員による作業対象箇所の誤認を防止することができる。
【0029】
続いて、作業員は、ラッピング工具を用いて、2本の作業対象ラッピング端子122’に配線されている2本のジャンパー線1の一端部を取り外す。
このとき、2本の作業対象ラッピング端子122’はカバー本体11で取り囲まれているため、ラッピング工具の先端部の接触による隣接するラッピング端子122との電気的短絡を防止することができるとともに、作業員のミスにより取り外したジャンパー線1がラッピング工具から外れても、外れたジャンパー線1の先端部が隣接するラッピング端子122に接触することによる電気的短絡を防止することができる。
【0030】
続いて、作業員は、カバー部材10を支持部材20から取り外したのちカバー部材10を他の作業対象ラッピング端子側に移動させて、同様の手順に従って、2本の他の作業対象ラッピング端子に配線されている2本のジャンパー線1の他端部を取り外して、アンラッピング作業を終了する。
【0031】
なお、アンラッピング作業を終了すると、作業員は、支持部材20および他の支持部材20を作業対象ラッピング端子122’および他の作業対象ラッピング端子から取り外してカバー部材10と共に回収する。
【0032】
以上では、作業対象ラッピング端子122’が2本の場合に使用するラッピング端子絶縁カバーについて説明したが、作業対象ラッピング端子122’が4本または6本の場合には、カバー部材20および支持部材20の代わりに高さを大きくしたカバー部材および支持部材を使用するとともに、支持部材に4個または6個の貫通孔22を形成したラッピング端子絶縁カバーを使用すればよい。
【符号の説明】
【0033】
1 ジャンパー線
10 カバー部材
11 カバー本体
12 回線管理表示札
20 支持部材
21 本体
22 貫通孔
23 端子情報表示
110 中間配線盤
120 端子板
121 絶縁板
122 ラッピング端子
122’ 作業対象ラッピング端子
図1
図2
図3
図4
図5