【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様により、シェルと交換可能なマウスピースとを含む電気加熱式喫煙システムを提供し、シェルは、電源及び電気回路を含み、マウスピースは、液体ストレージ部分と、液体ストレージ部分の中にそこの液体と接触するために延びる第1の端部と第2の端部とを有する毛細管芯と、毛細管芯の第2の端部を加熱するための少なくとも1つの加熱要素と、空気出口と、毛細管芯の第2の端部と空気出口の間のエーロゾル形成チャンバとを含み、シェル及びマウスピースが係合した時に、少なくとも1つの加熱要素は、回路を通じて電源と電気接続し、回路は、ユーザが吸煙を開始した時に少なくとも1つの加熱要素に電流パルスを供給するように配列され、空気の流れルートが、少なくとも1つの空気入口からエーロゾルチャンバを通って空気出口まで形成され、この流れルートは、加熱要素及び毛細管芯の第2の端部の周囲に空気流を流す。
【0007】
少なくとも1つの空気入口は、シェル又はマウスピースに設けることができる。使用時に、液体は、毛細管芯の毛細管作用によって液体ストレージ部分から加熱要素に向けて移送される。加熱要素に作動されると、毛細管芯の第2の端部の液体は、加熱要素によって気化され、過飽和蒸気が形成される。過飽和蒸気は、混合されて、少なくとも1つの空気入口からエーロゾル形成チャンバまで空気流中で運ばれる。エーロゾル形成チャンバにおいて、蒸気は、凝縮してエーロゾルを形成し、これは、空気出口に向けて運ばれてユーザの口の中に入る。
【0008】
本発明による電気加熱式喫煙システムは、いくつかの利点を提供する。第1に、交換可能なマウスピースが少なくとも1つの加熱要素、液体ストレージ部分、及び芯を収容するので、潜在的に液体と接触する全ての要素は、マウスピースが交換される時に替えられる。異なるマウスピース、例えば、異なる液体を使用するものの間でシェルにおける二次汚染がないことになる。更に、液体ストレージ部分内の液体は、液体が劣化する危険性が有意に低減されるように、酸素(酸素が一般的に毛細管芯を通じて液体ストレージ部分に進入できないために)及び一部の実施形態では光から保護される。従って、高レベルの衛生を維持することができる。第2に、マウスピース構造は、液体ストレージ部分から漏れる危険性が少ないことを意味し、これは、従来技術の電気加熱式喫煙システムの多くに対しては当て嵌まらない。それによって液体の無駄が防止されるが、マウスピースの分解による無許可ユーザの液体へのアクセスも困難にする。また、マウスピースが適切な間隔で交換される場合、加熱要素が液体で詰まる可能性が殆どない。第3に、ユーザが吸煙を開始した時に回路が電流パルスを供給するので、加熱要素及び毛細管芯の第2の端部の周囲に空気が流され、エーロゾル化が最適化される。最後に、液体と加熱要素の間に延びる毛細管芯を使用すると、マウスピースの構造を比較的簡単にすることができる。好ましくは、システムに1つだけの毛細管機構が存在する。
【0009】
少なくとも1つの加熱要素は、単一の加熱要素を含むことができる。代替的に、少なくとも1つの加熱要素は、1つよりも多くの加熱要素、例えば、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、又はそれよりも多くの加熱要素を含むことができる。1つ又は複数の加熱要素は、毛細管芯の第2の端部において液体を最も有効に揮発させるように適切に配置することができる。
少なくとも1つの加熱要素は、好ましくは電気抵抗性材料を含む。適切な電気抵抗性材料は、以下に限定されるものではないが、ドープされたセラミックのような半導体、電気「伝導性」セラミック(例えば、ケイ化モリブデンなど)、カーボン、グラファイト、金属、金属合金、及びセラミック材料及び金属材料で作られた複合材料を含む。そのような複合材料は、ドープ又は非ドープセラミックで構成することができる。適切なドープセラミックの例は、ドープされたシリコンカーバイドを含む。適切な金属の例は、チタン、ジルコニウム、タンタル、及び白金族からの金属を含む。適切な金属合金の例は、ステンレス鋼、ニッケル−、コバルト−、クロム−、アルミニウム−、チタン−、ジルコニウム−、ハフニウム−、ニオブ−、モリブデン−、タンタル−、タングステン−、錫−、ガリウム−、マンガン−、及び鉄−含有合金、及びニッケル、鉄、コバルト、ステンレス鋼、Timeta1、及び鉄−マンガン−アルミニウムベース合金ベースの超合金を含む。複合材料において、電気抵抗性材料は、任意的に、エネルギ移送の動力学及び必要とされる外部物理化学特性次第で絶縁材料に埋め込むか、又はそれを用いて封入又は被覆するか、又はその逆にすることができる。適切な複合加熱要素の例は、US−A−5,498,855、WO−A−03/095688、及びUS−A−5,514,630に開示されている。
【0010】
少なくとも1つの加熱要素は、あらゆる適切な形態を取ることができる。例えば、少なくとも1つの加熱要素は、US−A−5,388,594、US−A−5,591,368、及びUS−A−5,505,214に説明されているような加熱ブレードの形態を取ることができる。代替的に、少なくとも1つの加熱要素は、EP−A−1,128,741に説明されているような異なる導電性部分を有するケーシング又は基体か、又はWO−A−2007/066374に説明されているような電気抵抗性金属チューブの形態を取ることができる。代替的に、少なくとも1つの加熱要素は、ディスク(端部)加熱器、又はディスク加熱器と加熱ニードル又はロッドとの組合せとすることができる。代替的に、少なくとも1つの加熱要素は、不活物質の2層間で絶縁された金属エッチ箔の形態を取ることができる。その場合、不活物質は、全体がポリイミド又はマイカ箔であるカプトンを含むことができる。代替的に、少なくとも1つの加熱要素は、毛細管芯の第2の端部周囲に巻かれる材料のシートの形態を取ることができる。シートは、あらゆる適切な材料、例えば、鉄−アルミニウムベースの合金、鉄−マンガン−アルミニウムベースの合金、又はTimeta1で作ることができる。シートの形状は、矩形とするか、又は毛細管芯の第2の端部周囲に巻かれた時にコイル状構造を形成するパターン化形状とすることができる。他の代替物は、加熱ワイヤ又はフィラメント、例えば、Ni−Cr、白金、タングステン、又はEP−A−1,736,065に説明されているような合金ワイヤ、又は加熱プレートを含む。
好ましい実施形態では、少なくとも1つの加熱要素は、毛細管芯の第2の端部を取り囲むワイヤのコイルを含む。その実施形態では、好ましくは、ワイヤは、金属ワイヤである。より好ましくは、ワイヤは、金属合金ワイヤである。加熱要素は、毛細管芯の第2の端部を完全に又は部分的に取り囲むことができる。
【0011】
少なくとも1つの加熱要素は、伝導の手段によって毛細管芯の第2の端部で液体を加熱することができる。加熱要素は、芯の第2の端部に少なくとも部分的に接触することができる。代替的に、加熱要素からの熱は、熱伝導要素の手段によって液体に伝導させることができる。代替的に、少なくとも1つの加熱要素は、使用中に電気加熱式喫煙システムを通して吸引される入ってくる外気に熱を移送することができ、これは、次に、対流によって液体を加熱する。外気は、システムを通過する前に加熱することができる。代替的に、外気は、WO−A−2007/078273に説明されているように、最初に芯の第2の端部を通して吸引され、次に加熱することができる。
【0012】
好ましくは、電気回路は、ユーザが吸煙していることを示す空気流を検出するセンサを含む。センサは、電気機械デバイスとすることができる。代替的に、センサは、機械デバイス、光学デバイス、光学機械デバイス、及び微小電気機械システム(MEMS)ベースのセンサのいずれかとすることができる。その場合、好ましくは、電気回路は、ユーザが吸煙したことをセンサが感知した時に少なくとも1つの加熱要素に対して電流パルスを供給するように配列される。好ましくは、電流パルスの期間は、気化されることが望ましい液体の量に応じて予め設定される。電気回路は、この目的に対して好ましくはプログラマブルである。
代替的に、電気回路は、ユーザが吸煙を開始するための手動操作スイッチを含むことができる。電流パルスの期間は、好ましくは、気化されることが望ましい液体の量に応じて予め設定される。電気回路は、この目的に対して好ましくはプログラマブルである。
【0013】
好ましくは、少なくとも1つの空気入口は、シェルに存在する。代替的に、少なくとも1つの空気入口は、マウスピースに存在する場合がある。一実施形態では、少なくとも1つの空気入口は、2つの空気入口を含む。代替的に、3つ、4つ、5つ、又はそれよりも多くの空気入口が存在する場合がある。好ましくは、1つよりも多くの空気入口が存在する場合、空気入口は、シェルの周りに又はマウスピースの周りで離間している。好ましい実施形態では、電気回路は、ユーザが吸煙していることを示す空気流を検出するセンサを含み、かつ少なくとも1つの入口は、センサ上流のシェルに存在する。空気入口は、空気の流れルートが、エーロゾル化を最適化するために加熱要素及び毛細管芯の第2の端部の周囲に空気流を流すように適切に位置する。
【0014】
好ましくは、電源は、シェルに収容されたセルを含む。電源は、リチウムイオンバッテリ又はその変形の1つ、例えば、リチウムイオンポリマーバッテリとすることができる。代替的に、電源は、ニッケル金属水素化物バッテリ又はニッケルカドミウムバッテリ又は燃料セルとすることができる。その場合、好ましくは、電気加熱式喫煙システムは、電力セルのエネルギが使い尽くされるまで喫煙者が使用可能である。
代替的に、電源は、外部充電部分によって充電可能な回路を含むことができる。その場合、好ましくは、回路は、充電された時に所定回数の吸煙のための電力を供給し、その回数の後では、回路は、外部充電部分に再接続する必要がある。適切な回路の例は、1つ又はそれよりも多くのコンデンサ又は再充電可能なバッテリである。
【0015】
好ましくは、シェルは、加熱要素が作動された時を示すための吸煙インジケータを更に含む。電気回路が、ユーザが吸煙していることを示す空気流を検出するセンサを含む実施形態では、インジケータは、ユーザが吸煙していることを示す空気流をセンサが感知した時に作動させることができる。電気回路が手動操作スイッチを含む実施形態では、インジケータは、そのスイッチによって作動させることができる。
好ましくは、シェル及びマウスピースは、係合時に解除可能に互いに固定されるように配置される。
【0016】
液体ストレージ部分は、好ましくは補充不可能である。すなわち、液体ストレージ部分の液体が使い尽くされた時に、マウスピース全体が交換される。代替的に、液体ストレージ部分は、補充可能とすることができる。その場合は、マウスピースは、液体ストレージ部分のある一定回数の補充後に取り替えることができる。好ましくは、液体ストレージ部分は、所定回数の吸煙のための液体を保持するように配置される。
【0017】
液体は、毛細管作用によって毛細管芯を通して液体を搬送させる粘性を含む物理特性を有する。液体は、電気加熱式喫煙システムで使用するのに適する沸点を有し、すなわち、沸点が高すぎる場合には、加熱要素は、液体を毛細管芯の第2の端部で気化させることができないことになるが、沸点が低すぎる場合には、液体は、たとえ加熱要素が作動されなくても気化する場合がある。液体は、好ましくは、加熱時に液体から放出される揮発性タバコ香味化合物を含むタバコ含有材料を含む。代替的に又はそれに加えて、液体は、非タバコ材料を含むことができる。液体は、水分、溶剤、エタノール、植物性抽出物、及び天然又は人工香味料を含むことができる。好ましくは、液体は、更に、エーロゾル形成剤を含む。適切なエーロゾル形成剤の例は、グリセリン及びプロピレングリコールである。潜在的に適切なエーロゾル形成剤の付加的な例は、EP−A−0,277,519及びUS−A−5,396,911に説明されている。
【0018】
液体ストレージ部分は、好ましくは容器である。例えば、容器は、EP−A−0,893,071に説明されたような容器とすることができる。好ましくは、液体ストレージ部分は、電気加熱式喫煙システムに1つだけの毛細管機構(毛細管芯)が存在するように、いずれの多孔性材料も含まない。これは、マウスピースの構造を簡単にかつ全体システムを低保守に維持する。好ましくは、容器は、不透明であり、それによって光による液体の劣化を制限する。
電気加熱式喫煙システムは、少なくとも1つの加熱要素を含む噴霧器を更に含むことができる。この加熱要素に加えて、噴霧器は、1つ又はそれよりも多くの圧電素子のような電気機械要素を含むことができる。追加的に又は代替的に、噴霧器はまた、静電気、電磁気、又は空気圧効果を使用する要素を含むことができる。
【0019】
毛細管芯は、繊維状又はスポンジ状構造を有することができる。例えば、毛細管芯は、喫煙システムの縦方向にほぼ整列した複数の繊維又はより線、又は喫煙システムの縦方向に沿ってロッド形状に形成されたスポンジ状材料を含むことができる。芯の構造は、複数の小さな内腔又はチューブを形成し、それを通して液体を毛細管作用により液体ストレージ部分から加熱要素まで搬送することができる。毛細管芯は、あらゆる適切な材料又は材料の組合せを含むことができる。適切な材料の例は、繊維又は焼結粉末の形態のセラミック又はグラファイトベースの材料である。毛細管芯は、密度、粘性、表面張力、及び蒸気圧のような異なる液体物理特性で使用されるように、あらゆる適切な毛管性及び多孔性を有することができる。
【0020】
シェルは、あらゆる適切な材料又は材料の組合せを含むことができる。適切な材料の例は、金属、合金、プラスチック、又はこれらの材料の1つ又はそれよりも多くを含有する複合材料を含む。好ましくは、この材料は、軽量かつ非脆性である。
マウスピースは、あらゆる適切な材料又は材料の組合せを含むことができる。適切な材料の例は、食品又は薬剤用途に適する熱可塑性材料、例えば、ポリプロピレン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、及びポリエチレンを含む。
好ましくは、電気加熱式喫煙システムは、携帯型である。電気加熱式喫煙システムは、従来のシガー又はシガレットに匹敵するサイズを有することができる。
【0021】
本発明の第2の態様により、電源と電気回路とを有するシェルと係合して電気加熱式喫煙システムを形成するためのマウスピースを提供し、マウスピースは、液体ストレージ部分と、液体ストレージ部分の中にそこの液体と接触するために延びる第1の端部と第2の端部とを有する毛細管芯と、毛細管芯の第2の端部を加熱するための少なくとも1つの加熱要素と、空気出口と、毛細管芯の第2の端部と空気出口の間のエーロゾル形成チャンバとを含み、シェル及びマウスピースが係合した時に、少なくとも1つの加熱要素は、回路を通じて電源と電気接続し、回路は、ユーザが吸煙を開始した時に少なくとも1つの加熱要素に電流パルスを供給するように配列され、空気の流れルートが、少なくとも1つの空気入口からエーロゾルチャンバを通って空気出口まで形成され、流れルートは、空気流を加熱要素及び毛細管芯の第2の端部の周囲に流す。
好ましい実施形態では、少なくとも1つの加熱要素は、毛細管芯の第2の端部を取り囲むワイヤのコイルを有する。その実施形態では、好ましくは、ワイヤは、金属合金ワイヤである。
【0022】
本発明により、本発明の第2の態様のマウスピースと係合するように配置されたシェルも提供する。
本発明の第3の態様により、液体ストレージ部分と、液体ストレージ部分の中にそこの液体と接触するために延びる第1の端部と第2の端部とを有する毛細管芯と、毛細管芯の第2の端部を加熱するための少なくとも1つの加熱要素と、空気出口と、毛細管芯の第2の端部と空気出口の間のエーロゾル形成チャンバとを有するマウスピースと係合して電気加熱式喫煙システムを形成するためのシェルを提供し、シェルは、電源及び電気回路を含み、シェル及びマウスピースが係合した時に、少なくとも1つの加熱要素は、回路を通じて電源と電気接続し、回路は、ユーザが吸煙を開始した時に少なくとも1つの加熱要素に電流パルスを供給するように配列され、空気の流れルートが、少なくとも1つの空気入口からエーロゾルチャンバを通って空気出口まで形成され、この流れルートは、加熱要素及び毛細管芯の第2の端部の周囲に空気流を流す。
【0023】
好ましくは、電気回路は、ユーザが吸煙していることを示す空気流を検出するセンサを含む。
好ましくは、シェルは、更に、少なくとも1つの空気入口を含む。
本発明により、本発明の第3の態様のシェルと係合するように配置されたマウスピースも提供する。
本発明の1つの態様に関連して説明した特徴は、本発明の別の態様にも適用可能である。
添付図面を参照して本発明を単に一例として更に以下に説明する。