(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
(第1実施例)
以下、工事現場の丁張りに取り付けられる丁張り用標示体について、図面を用いて詳細に説明する。なお、丁張りは、建物の建築作業や土地の造成作業など、様々な土木工事現場で使用されるものであるが、以下の実施例では、その一例として道路工事現場に設置される丁張りについて説明する。
【0020】
図1は、本発明の実施の形態に係る丁張り用標示体20が装着された丁張りを、道路工事現場に設置した状態を示す概要図である。なお、以下の説明で使用する方向で、道路の幅方向H、道路の進行方向R、上下方向とは、
図1で示す方向をいうものとする。
【0021】
道路1の舗装工事或いは補修工事などを行う場合、丁張り10は、道路1の進行方向Rに沿って所定の管理ポイント毎に、概ね10m〜20mの間隔を空けて設置される。この丁張り10は、道路1の側部(例えば、
図1で示す土手2)の地面に打ち込まれるようにして設置される。
【0022】
丁張り10は、
図1に示すように、複数の角形の木材を組み合わせて作られるものであり、
図1では、2本の水杭11a、11bと、水貫11cとで構成されている。なお、
図1において、角形に形成された水貫11cの上面を符号12、下面を符号13、道路1の進行方向Rにおける両側面を符号14a、14b、道路1の幅方向Hにおける先端面を符号15で示す。
【0023】
水杭11a、11bは、地面に略垂直に打ち込まれるものである。水貫11cは、道路1の設計上の路面に対し水平に配置され、測量された所定の高さ(例えば、出来上がり寸法から30cmの高さ)に水貫11cの上面12が位置するようにして取り付けられる。また、水貫11cの上面12には、施工幅や施工断面変化ポイントを明示するための釘Kが打ち込まれている。この釘Kには、隣り合う丁張り10の間に亘って、道路1の進行方向Rに沿って水糸Mが張られるようになる。この水糸Mも出来上がり寸法の基準線として使用される。
【0024】
これらの水杭11a、11bおよび水貫11cの木材は、各工事現場において寸法(厚さ、幅、長さ)が異なるものがそれぞれ用いられている。一般的に使用される水杭11a、11bには、厚さ45mm、幅45mm、長さ1000mmのものが使用されている。また、水貫11cには、厚さ18mm、幅45mm、長さ1800mmのものが使用されている。
【0025】
なお、丁張りには,上述した水杭11a、11bと水貫11c以外にも、斜めに配置される筋交い貫(図示せず)などが取り付けられることがある。この筋交い貫は、例えば土手2の傾斜・勾配を標示するために使用される。このように、丁張りには、工事現場の状況や工事内容に合わせて種々の貫材(本明細書では、水貫、筋交い貫などの総称とする)が組合せて使用されている。
【0026】
図1に戻って、このような丁張り10を設置する場合、水杭11a、11bは土手2に打ち込まれるが、水貫11cは、その先端部分Sが道路1と土手2の境界線3を超えて、道路1の内側に突出する態様で組み立てられる。同様に、釘Kおよび水糸Mも、境界線3よりも道路1の内側で張られるようになる。そのため、道路(特に、街灯のない夜間の道路)を通行する通行人等が水貫11cの先端部分Sにぶつかってしまい、丁張り10が破損するという事例が発生している。
【0027】
図2は、水貫11cの先端部分Sの拡大図であって、(A)は道路1の進行方向Rから見た正面図、(B)は(A)のX方向から見た側面図である。また、
図3は、先端部分Sに取り付けられる丁張り用標示体20を単体で示したものであり、(A)は裏側から見た分解斜視図、(B)は(A)の組立図であって、表側から見た斜視図である。さらに、
図4は、丁張り用標示体20の展開図であって、表側から見たものである。また、
図5は、水貫11cの先端面15に釘Kを打ち込んだ状態を示す正面図である。
【0028】
丁張り用標示体20は、
図1および
図2に示すように、水貫11cの先端部分Sの側面を覆うようにして取り付けられている。このように取り付けられた状態では、詳細は後述する反射シート材21の表面21aは、水杭11cの側面14a、14および水杭11cの先端面15を一体で覆い、水貫11cの上面12および下面13が開口するようにして配置される。
【0029】
丁張り用標示体20は、
図3および
図4に示すように、帯状に長尺に形成された反射シート材21と、この反射シート材21を水貫11cに固定するための固定部材22とで構成されている。また、固定部材22は、反射シート材21の長手方向の両側にそれぞれ取り付けられた表側固定具22aおよび裏側固定具22bと、2つの表側固定具21aにそれぞれ取り付けられるゴムバンド40a、40bとで構成されている。
【0030】
反射シート材21は、光源(例えば、ヘッドライト、自転車のライトなど)からの光を反射させ、通行人等が視認できるようにしたものである。本実施例の水貫11cは、地面から約30〜50cmの高さに取り付けられるものであり、光源からの光を通行人等の目の位置へ反射させる角度において、特に高い反射特性が得られるものが使用されている。
【0031】
この反射シート材21は、柔軟に変形するものであり、取り付けられる水貫11cの形状に合わせて自由に変形する。また、反射シート材21の配色は、単色(例えば、白色、黄色など)で構成されている。また、反射シート材21を2色で構成し、道路1の進行方向Rにおける進行車線側の色と、反対車線側の色とを異ならせて、道路1の進行方向Rに沿って配置された複数の丁張り用標示体20をデリネーターのような視線誘導標として使用するようにしてもよい。この場合、2つの異なる色の反射シート材を、丁張り用標示体のほぼ中央でウェルダー加工によって超音波溶着させてつなぎ合わせて形成することができる。
【0032】
この反射シート材21は、その全体を反射シート材として製作したものであってもよく、樹脂材料で形成された柔軟性を有するシート材の表面に反射材を貼り付けたものであってもよい。
【0033】
反射シート材21には、長手方向のほぼ中央部に長穴25が形成されている。また、反射シート材21の長穴25の上側および下側には、反射シート材21の上辺24aおよび下辺24bが長穴25に向かって凹んだ形状の逃げ部26がそれぞれ形成されている。さらに、反射シート材21の長手方向の両端部には、表側固定具21aおよび裏側固定具21bを取り付けるための2つの取付穴31がそれぞれ形成されている。
【0034】
表側固定具22aおよび裏側固定具22bは、樹脂材料で成形されたものであり、反射シート材21の表側および裏側から挟むようにして取り付けられる。この表側固定具22aには、上述した取付穴31に対応した位置に取付穴34が形成されており、同様に、裏側固定具22bには、この取付穴31、34に対応した位置に取付突起32が形成されている。この取付突起32を反射シート材21の取付穴31に挿通させ、表側固定具22aの取付穴34に嵌合させることによって、反射シート材21および表側固定具22a、裏側固定具22bが組み付けられる(
図3(B)参照)。
【0035】
また、表側固定具22aには、反射材表面21a側(
図2(B)で示す水貫11cの両側面側)から外側に向かって突出する引っ掛け部33が設けられている。この引っ掛け部33は、正面から見て丸形に形成されており、引っ掛け部33の基端部には、径方向にくびれたくびれ部33aが形成されている。このくびれ部33aには、
図2(B)および
図4に示すように、上下を逆にして互い違いに2本のゴムバンド40a、40bが引っ掛けられる。
【0036】
このゴムバンド40a、40bは、
図2(B)に示すように、水貫11cの上側部分または下側部分を通してそれぞれの引っ掛け部33に引っ掛けられ、この2つのゴムバンド40a、40bが水貫11cの断面における周方向の全体に巻き付けられるようになる。固定部材22は、このゴムバンド40a、40bの弾性によって水貫11cを締め付けており、これにより丁張り用標示体20が貫材11cに固定される。
なお、
図2(B)および
図4では、2本のゴムバンド40a、40bを設けているが、1本のゴムバンドで構成し、水貫11cの周方向に1周回して引っ掛け部33に引っ掛けるようにしてもよい。
【0037】
次に、丁張り用標示体20の取り付け方法について説明する。
取付方法としては、
図2(A)、
図2(B)に示すように、反射シート材21の長穴25を水貫11cの先端面にあてがった後に、水貫11cの両側面14a、14bに沿って折り曲げるようにして配置する。そして、両側面14a、14b側でそれぞれ突出する引っ掛け部33にゴムバンド40a、40bを引っ掛けて固定する。このように、作業者は、水貫11cの先端部分Sに丁張り用標示体20を容易に取り付けることができ、かつ、取り外しも容易に行うことができる。
【0038】
また、水貫11cの上面12側を覆っていないので、丁張り用標示体20を取り付けた後に、水貫11cの上面12に釘Kを打ち付け、水糸Mを張る作業を行うことができる。逆に、釘Kおよび水糸Mが先に取り付けられた状態であっても、固定部材22のゴムバンド40a、40bを水貫11cの周方向に巻き付けて固定するようにしているので、釘Kおよび水糸Mに干渉しないようにして、後から丁張り用標示体20を取り付けることができる。
【0039】
また、工事が完了した後には、丁張り用標示体20を取り外して、他の工事現場で再利用することができる。他の工事現場で使用される丁張りの貫材の寸法(角材の寸法)は様々であるが、本実施形態の丁張り用標示体20の構造であれば、ある程度の異なる寸法を許容することができるので、再利用が可能である。
【0040】
一方、
図5に示すように、釘Kを水貫11cの先端面15に打ち付けることもある。このとき、釘Kは、反射シート材21の長穴25部分から先端面15に打ち込むことができる。さらに、水糸Mを張る際に、水糸Mが反射シート材21と干渉することを防止するために、逃げ部26を設けている。なお、本実施形態では、逃げ部26を長穴25の上下にそれぞれ設けているが、釘Kおよび水糸Mの位置に合わせて、反射シート材21の上辺24a或いは下辺24bのいずれか一方或いは両方の位置に設けることもできる。
【0041】
本発明の実施の形態に係る丁張り用標示体20によれば、丁張り10に使用される水貫11cの両側面14a、14bおよび先端面15を一体で覆い、水貫11cの上面12および下面13が開口するようにして配置される反射シート材21と、反射シート材21に設けられ、水貫11cの周方向に巻き付ける態様で固定することで反射シート材21を水貫11cに取り付ける固定部材22とを備えているので、光源からの光を反射シート材21で反射させ、この反射光によって丁張り10が設置されている場所を通行人等に知らせて注意を促すことができる。特に、反射シート材21を水貫11cの両側面14a、14bに設けているので、通行人等の目線で目視することができる。
【0042】
また、反射シート材21は、水貫11cの上面12側が開口する(覆わない)ように配置されているので、水貫11cの上面12で基準寸法を測定する作業の妨げにならない。また、上面12に釘或いは水糸を設ける場合であっても、その取付作業および寸法測定作業の妨げにならない。この上面12側は、通行人等の目線で目視することができない場所であるため、反射材が配置されていなくても問題にはならない。
【0043】
さらに、反射シート材21は、水貫11cの下面13側が開口する(覆わない)ように配置されているので、雨水等が上側の開口から入り込んだとしても、下側の開口から抜け落ちるようになる。そのため、丁張り用標示体20と水貫11cとの間に雨水や泥水が溜まることがない。さらには、上下の開口から風が抜けるようになるので、反射シート材21が強風で飛ばされ難くなる。この下面13側は、通行人等の目線で目視することができない場所であるため、反射材が配置されていなくても機能的に問題にはならない。
【0044】
また、反射シート材21に設けられ、水貫11cの周方向に巻き付ける態様で固定することで反射シート材21を水貫11cに取り付ける固定部材22を備えているので、水貫11cの両側面14a、14bに反射シート材21を着脱可能に容易に取り付けることができる。特に、水貫11cに釘Kや水糸Mが既に取り付けられている状態であっても、周方向に巻き付けて固定することができるので、釘Kや水糸Mと干渉しないようにして、後から丁張り用標示体20を取り付けることができる。また、水貫11cの周方向に巻き付けて固定しているので、固定部材22の固定が外れない限り反射シート材21が強風で飛ばされるおそれがない。
【0045】
また、反射シート材21には、水貫11cの先端面15を覆う位置に長穴25が形成されており、この長穴25の上側および下側のいずれか一方または両方には、反射シート材21の上辺24aまたは下辺24bから長穴25に向かって凹んだ逃げ部26が形成されているので、水貫11cの先端面15に釘Kを打ち込む必要がある場合であっても対応することができる。また、逃げ部26を設けているので、大きさの異なる種々の貫材11cに丁張り用標示体20を取り付けるときであっても、水糸Mを張るときに水糸Mと反射シート材21とが干渉するおそれを少なくすることができる。
【0046】
さらに、固定部材22は、反射シート材21が水貫11cに配置された状態で、水貫11cの両側面14a、14b側でそれぞれ突出する引っ掛け部33と、水貫11cの周方向に巻き付けられ、両側面14a、14b側の引っ掛け部33にそれぞれ引っ掛けられるゴムバンド40a、40bとで構成されているので、ゴムバンド40a、40bを引っ掛ける作業だけで、容易に丁張り用標示体20を取り付けることができる。同様に、取り外しも容易に行うことができる。
【0047】
また、ゴムバンド40a、40bの弾性で締め付けて固定するようにしているので、角材を用いた様々な寸法の水貫11cにも取り付けることができる。そのため、工事完了後に他の工事現場で設置されている丁張りに取り付けて再利用することができる。
【0048】
以上、本発明の第1実施形態に係る標示部材について述べたが、本発明は既述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術思想に基づいて各種の変形および変更が可能である。
【0049】
例えば、本実施の形態では、丁張り用標示体20を水貫11cの先端部分Sに取り付けているが、他の貫材(例えば、筋交い貫)や水杭11a、11bの先端部分にも任意に取り付けることができる。これにより、反射シート材21の反射光で歩行者等に注意を促すことができる。
また、丁張り用標示体20は、先端部分Sのみならず、水貫11cが道路1側に突出する部分の全体を覆うように取り付けてもよい。さらに、本実施の形態では、道路工事の現場に使用される丁張り10について説明したが、建物の建築工事、宅地造成工事など、様々な土木工事現場で使用される丁張りにも使用することもできる。
【0050】
また、固定部材22の構造を様々に変形して構成することもできる。
図6は、丁張り用標示体の第1変形例であって、(A)は表面側から見た展開図、(B)の裏側から見た展開図である。なお、本実施形態と同一の構造・効果の部材には、同一の符号を付すことで詳細な説明を省略する。
【0051】
この第1変形例では、丁張り用標示体50の固定部材52は、いわゆる面ファスナーで構成されている。より詳細には、固定部材52は、反射シート材21の両端部に面ファスナーを構成するループ材52aが取り付けられ、このループ材52aから外側(水貫11cの周方向)に延びるフック材52bとで構成されている。フック材52bの長さは、水貫11cの周方向の全長よりも十分に長く形成されており、このフック材52bをループ材52aに固定することで、丁張り用標示体50を水貫11cに取り付ける。
【0052】
このような構造であっても、本実施の形態で説明した丁張り用標示体20と同様な作用効果を奏することができる。特に、面ファスナーの構造にすることで、丁張り用標示体50をさらに容易に着脱することができる。なお、面ファスナーの構造において、上述したループ材とフック材をそれぞれ逆にして構成することもできる。
【0053】
また、反射シート材21の裏面21bであって、ループ材52aの裏側には、水貫11cの側面14a、14bとの間で大きな摩擦係数を確保することができる摩擦部材53を設けている。これにより、丁張り用標示体50を水貫11cに取り付けた状態で、水貫11cに対する固定部材52の位置が容易にずれないようにすることができる。その結果、丁張り用標示体50をより確実に固定することができる。なお、このような摩擦部材53は、本実施形態の丁張り用標示体20や、後述する第2変形例の丁張り用標示体60にも設けることができる。
【0054】
図7は、丁張り用標示体の第2変形例であって、展開した状態を表面側から見た斜視図である。なお、本実施形態と同一の構造・効果の部材には、同一の符号を付すことで詳細な説明を省略する。
【0055】
この第2変形例では、反射シート材21の両端部を巻いた筒状部61をそれぞれ形成し、この筒状部61の内部に固定具62aを設けた構造になっている。この固定具62aには、反射シート材21の上辺24a側および下辺24b側のそれぞれに配置された係止爪63と、ゴムバンド40a、40bを取り付けるためのゴムバンド取付部64が設けられている。係止爪63は、反射シート材21の筒上部61を保持するとともに、水貫11cの周方向に巻き付けられたゴムバンド40a、40bが引っ掛けられるようになっている。このような構造であっても、本実施の形態で説明した丁張り用標示体20と同様な作用効果を奏することができる。
【0056】
なお、固定部材は、ゴムバンド、面ファスナー以外であっても、反射シート材21を水貫11cに固定できるものであれば、いずれの方法であってもかまわない。例えば、弾性のない紐を周方向にぐるぐる巻き付けて固く結んで取り付けることもできる。さらには、ホチキスのような針或いは小さな釘を反射シート材21の表面から打ち込んで固定するものであってもかまわない。さらには、接着剤等で反射シート材21を水貫11cに固着するものであってもよい。
【0057】
図8は、丁張り用標示体の第3変形例であって、展開した状態を表面側から見た斜視図である。なお、本実施形態と同一の構造・効果の部材には、同一の符号を付すことで詳細な説明を省略する。
【0058】
この第3変形例は、
図9に示すように、反射材を用いて文字や記号を表記した丁張り用標示体70である。より具体的には、一般的なシート材の表面に、矢印型反射材74を貼り付けたものである。これにより、通行人等に矢印型の反射光を認識させることができる。そのため、通行人等を矢印方向(例えば、道路の中央側)へ誘導し、通行人等が水貫11cとぶつかるおそれをさらに少なくすることができる。
その他、矢印以外であっても、注意を喚起することのできる文字等で反射材を作成し標示することもできる。これにより、通行人等の安全性を高めることができる。
【0059】
さらには、本実施形態では、光源からの光を反射させる反射シート材を用いているが、蛍光材、夜光材など、種々の材料を使用することもできる。また、反射シート材の代わりに、自ら発光可能なLED等をシート材の表面に埋め込むようにしてもよい。このLEDの電源には、ソーラーパネルを具備した太陽光発電、蓄電池、小型リチウムイオン電池など一般的な電源供給具を用いることができる。
【0060】
(第2実施例)
以下、本発明の第2実施形態に係る丁張り用標示体について、
図9〜
図12を用いて説明する。なお、以下の説明で、第1実施形態と同じ部品、構造であって同じ作用効果を奏するものについては同一の符号を付すことでその詳細な説明を省略する。また、
図1で示す道路工事現場への設置状態、各種方向についても第1実施形態と同じであるため説明を省略する。
【0061】
図9は、第2実施形態における丁張り用標示体120の展開図である。また、
図10(A)は
図9のY方向、(B)は
図9のZ方向から見た図である。
【0062】
丁張り用標示体120は、反射シート材21の長手方向の両端に、その端部を折り返した折り返し部122、123(固定部材)が形成されている。この折り返した端部は、超音波(高周波)溶着機によってウェルダー加工されており、上下方向に延びる溶着部124で溶着固定されている。これにより、折り返し部122、123のそれぞれの内側には、紙面上側から下側まで貫通する貫通穴部125が形成される。
【0063】
左側の折り返し部122の貫通穴部125には、
図9および
図10(A)に示すように、長尺な両面ファスナー140が挿通されている。この両面ファスナー140は、帯状に長尺に形成されており、可撓性を有し、表面側にループ材141a、裏面側にフック材141bが設けられている。この両面ファスナー140は、上下方向に間隔を空けて取り付けられる2つのハトメ126によって、折り返し部122(反射シート材21)で一体に取り付けられている。なお、上述した両面ファスナー140の表面と裏面のループ材141aとフック材141bは、当然に、裏表逆で構成してあっても構わない
【0064】
この両面ファスナー140の長手方向(
図9の紙面上下方向)の長さL(反射シート材21の上辺24aから上側の先端部143までの長さ)は、水貫11cの外周を少なくとも1周以上できる長さに形成されている。すなわち、使用される水貫11cの形状・大きさは種々のものがあるが、外周寸法が長いものであっても十分に1周以上できる長さLに形成されている。
【0065】
また、先端部143と逆側の端部は、
図9に示すように、反射シート材21の下辺24bよりも若干突出させている。このようにすることで、ハトメ126で両面ファスナー140を固定する作業を良好に行うことができ、突出させない場合と比較して両面ファスナー140の固定強度を十分に確保することができる。
【0066】
右側の折り返し部123には、左側の折り返し部122と同様に、紙面上側から下側まで貫通する貫通穴部125が形成されている。この貫通穴部125には、詳細は後述するが、水貫11cの先端部に取り付けられる際に、長尺な両面ファスナー140が挿通されるようになる。
【0067】
次に、丁張り用標示体120を水貫11cの先端部分に取り付ける作業について、
図11および
図12を用いて説明する。
図11は、取り付け前の状態、
図12は、取り付が完了した状態を示している。
【0068】
丁張り用標示体120は、
図11に示すように、取り付け前の状態において、両面ファスナー140の先端部143を右側の折り返し部123の貫通穴部125に通しておく。そして、この通した状態のまま、水貫11cの先端部分に上側から被せるようにして設置する。このとき、丁張り用標示体120の上側を塞ぐものがないため、水貫11cの上面12に既に釘Kが打ち付けられていても、取り付け作業になんら影響を及ぼさない。
【0069】
一方、水貫11cの先端面15に既に釘Kが打ち付けられている場合には(
図5参照)、水貫11cの先端面側から釘Kに長穴25を通すようにして設置する。このように、釘Kの有無に係わらず、丁張り用標示体120を水貫11cに容易に設置することができる。
【0070】
このように設置した後、両面ファスナー140の先端部143を引っ張り、両面ファスナー140を弛みなく水貫11cの外周に沿って巻き付けていく。両面ファスナーの長さLは水貫11cの外周長さよりも十分に長いので、両面ファスナー140を1周以上巻き付けた後に、両面ファスナー140の表面であるループ材141aに裏面であるフック材141bに押し当てて固定する。これにより、丁張り用標示体120を緩みなくしっかりと取り付けることができる。
【0071】
また、工事が完了した後には、この両面ファスナー140を逆の手順で取り外し、丁張り用標示体120を容易に取り外すことができる。そのため、取り外した丁張り用標示体120を他の工事現場で再利用することができる。
【0072】
本発明の第2実施形態に係る丁張り用標示体120によれば、反射シート材21の長手方向の両端部に貫通穴部125をそれぞれ形成し、一方の(左側の)貫通穴部125には、貫材11cの外周長さよりも長い両面ファスナー140が挿通された状態で固定されており、他方の(右側の)貫通穴部125には、貫材11cに取り付けるときに両面ファスナー140が挿通されるようになっているので、取り付け作業者は、第1実施形態の丁張り用標示体とは異なり、1つの両面ファスナー140を貫材11cの外周方向に沿って巻き付けるだけでよく、作業が簡単になる。そのため、着脱作業時間を短縮することができる。
【0073】
以上、本発明の第2実施形態に係る標示部材について述べたが、本発明は既述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術思想に基づいて各種の変形および変更が可能である。
【0074】
例えば、折り返し部122において、反射シート材21と両面ファスナー140とを2つのハトメ126で一体に固定しているが、ハトメ126以外の一般的な慣用技術を用いて固定してあっても構わない。例えば、リベット止めや、反射シート材21の上辺24aと下辺24bの部分を溶着して固定するようにしてもよい。
【0075】
また、溶着部124は、上述したウェルダー加工によって溶着されているが、他の方法で固定されていても構わない。例えば、接着、縫い合わせ、ハトメなど、他の一般的な慣用技術を用いて固定するものであってもよい。また、折り返し部122、123は、反射シート材21の端部を折り返して貫通穴部125を形成しているが、この貫通穴部125を別体で製作し、反射シート材21の端部に溶着して固定するものであってもかまわない。
【0076】
さらに、反射シート材21には、第1実施形態で変形例として示したような、種々の変形例(例えば、摩擦部材53の適用、表面側に矢印型反射材74を適用、道路の進行方向における2つの反射面の反射色を異ならせる、など)を第2実施形態にも適用することができる。
【解決手段】丁張り10に使用される貫材11cの両側面14a、14bおよび先端面15を一体で覆い、貫材11cの上面12側および下面13側が開口するようにして配置される反射シート材21と、反射シート材21に設けられ、貫材11cの周方向に巻き付ける態様で固定することで反射シート材21を貫材11cに取り付ける固定部材22とを備えた。