【文献】
Giulio Colavolpe 他,「Phase Noise Sensitivity and Compensation Techniques in Long-Haul Coherent Optical Links」,GLOBECOM 2010,米国,2010年12月
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記アナログ電気信号成分(eis(t)、eqs(t))を、前記位相変調された光信号(os(t))から導出するサブステップが、前記局部光信号(los(t))および前記位相変調された光信号(os(t))を重畳するステップを含む、
請求項5に記載の方法。
【背景技術】
【0002】
光データ送信においてデータ値は、位相変調された光送信信号によって送信され得る。光送信信号は、送信されるデータ値に依存して、および、それぞれの位相シフトキーイング(PSK)変調方法の信号点配置図によって、キャリア周波数をもつ光キャリア信号の位相を変調することにより生成される。信号点配置図の各々の点は、送信されることになる有限の1組のデータ値を表し、その1組のデータ値はデータシンボルと呼ばれる。データシンボルは、信号点配置図の対応する信号点により表され、信号点は、対応するシンボル位相値を有する。送信されることになるデータシンボルに応じて、それぞれの信号点およびシンボル位相値が導出される。シンボル位相値に対応する信号は、同相信号成分および直交信号成分の重畳と解釈され得るものであり、
− 両方の信号成分は同じ周波数を有し、
− 同相信号成分はゼロに等しい位相を有し、一方で直交信号成分は、π/2だけ同相信号成分の位相と異なる位相を有し、
− 2つの信号成分のそれぞれの振幅は、対応するシンボル位相値を決定する。
【0003】
光キャリア信号の位相は、その位相が、それぞれのデータシンボルを表す導出されたシンボル位相値に対応するように変調される。次いで生成される光信号は、光チャネルを介して送信される。
【0004】
受信側では送信された光信号が、光チャネルから受信され、コヒーレント受信機構を使用して復調され、受信された光信号は、キャリア周波数、および、送信側で使用される光キャリア信号の位相に理想的には等しい位相をもつ局部光信号と混合される。局部光信号は、受信側に存在する局部発振器により付与される。局部光信号との光信号の混合が、電気領域において同相信号成分および直交信号成分をもたらし、これらの信号成分が、電気領域において受信された信号を形成するように重畳され得る。
【0005】
硬判定検出機構を使用して、信号点配置図の点に関して、その点のシンボル位相値が、受信された電気信号により表される位相値に最も類似するかが判定され得る。このようにして、受信されるデータが、導出された信号成分から導出され得る。
【0006】
より高いデータレートでデータ値を送信するために、光信号の位相を変調するだけでなく光信号の振幅を変調することにもよって、PSKにおいて使用される位相変調の概念が拡張され得る。そのような組み合わされた位相および信号の変調は、直交振幅変調(QAM)としても知られている。
【発明を実施するための形態】
【0018】
光信号の位相変調を使用してデジタルデータを送信するとき、光信号は、それを介して光信号が送信される光チャネルにより引き起こされる波長分散を受ける場合がある。そのような波長分散は、信号の周波数f、光チャネルとして使用される光ファイバの長さL、および、光ファイバのタイプが知られている場合に仕様書シートにより提供され得る定数βによって決まる伝達関数として、周波数領域において説明され得る。したがって波長分散により引き起こされる、結果として得られる伝達関数H
DISPは、次式のように記述され得る。
【0020】
波長分散の影響を補償するために、受信された光信号は、その伝達関数が波長分散により引き起こされる伝達関数に対する逆関数であるデジタルフィルタにより、デジタル領域においてフィルタリングされ得る。
【0021】
受信された光信号から受信されたデータ値を導出するとき、光信号が光信号のキャリア周波数と本質的に同じ周波数を有する局部光信号と混合されるコヒーレント受信の方法は、一般によくある処置である。このことにより、ベースバンド光信号が得られる。
【0022】
コヒーレント受信のそのような方法のために、局部光信号は、送信側で光信号を生成するために使用される光キャリア信号の位相と同一である位相を有さなければならない。局部光信号が、光信号を生成するために使用される光キャリア信号に対する位相オフセットを有する場合、この位相オフセットは、導出される光ベースバンド信号内部に存在する位相誤差とみなされ得る。そのような位相誤差は、光ベースバンド信号が、波長分散を補償するデジタルフィルタによりフィルタリングされる場合に、振幅誤差に転換され得る。分散が補償された信号内部の残っている振幅誤差は、信号処理のさらなる段階では、残っている位相誤差を補償することが単に通常であり、振幅誤差を補償することは通常ではないので不利となる。したがって、光ベースバンド信号内部に存在する局部光信号の位相誤差が振幅誤差に転換されると、この振幅誤差は、処理の後の段階では完全には補償されない場合がある。このことは、受信された光信号を復調するときに誤りを含んで導出されるデータ値につながる。
【0023】
波長分散のデジタルフィルタにより引き起こされる振幅誤差への位相誤差の転移の詳細は、「Irshaad FatadinおよびSeb J. Savory、「Impact of phase to amplitude noise conversion in coherent optical systems with digital dispersion compensation」、Opt.Express 18、16273−16278(2010)」において確認され得る。
【0024】
局部光信号の位相誤差の不利点の影響を最小限に抑えるために、位相変調された光信号を復調する方法が提案され、局部光信号の位相誤差が、デジタルフィルタを使用して波長分散を補償する前に補償される。
【0025】
図1は、光チャネルから受信される光信号os(t)を示す。さらに
図1は、光信号os(t)のキャリア周波数と本質的に同じ周波数を有する局部光信号los(t)を示す。
【0026】
局部光信号los(t)は、
図1には示されない局部発振器により付与される。この局部発振器は、受信デバイスの一体部分であり得る。
【0027】
導出ステップDS1において、時間離散インデックスkを伴う時間離散電気信号des(k)が、受信される光信号os(t)から導出される。このことのために、局部光信号los(t)が使用される。時間離散電気信号des(k)は、時間離散電気信号des(k)がサンプリングレートf
sa1を有するように決定される。
【0028】
位相オフセットPOが、位相オフセット推定ステップPOE内部において局部光信号los(t)から導出される。
【0029】
位相補償ステップPCS内部において、導出された時間離散電気信号des(k)が、導出された位相オフセットPOにより修正される。このことが、修正された時間離散電気信号mdes(k)をもたらす。
【0030】
修正された時間離散電気信号mdes(k)は、波長分散補償CDCのステップ内部においてデジタルフィルタDFによりフィルタリングされ、そのことが、補償された時間離散電気信号cdes(k)をもたらす。
【0031】
前に概説されたように、
図1に示される提案される方法の利点は、位相補償ステップPCS内部において、局部光信号los(t)の位相誤差が最小限に抑えられ、そのことが、そのような位相誤差を補償された電気信号cdes(k)内部に存在する振幅誤差に転移させる波長分散補償CDCのステップの影響を低減するということである。
【0032】
補償された電気信号cdes(k)から、さらなる信号が、デジタル領域において残っている位相誤差を補償することにより導出され得る。残っている位相誤差を補償するそのようなステップは、
図1には示されていない。残っている位相誤差の補償後、結果として得られる信号は、送信側で使用されるPSKまたはQAMの変調機構によるデータ値においてのデータシンボルを導出するために使用され得る。
【0033】
図2は、局部光信号los(t)から位相オフセットPOを導出するための位相オフセット推定ステップPOEの異なるサブステップを示す。
【0034】
光位相振幅変換デバイスOCDを使用して、局部光信号los(t)内部に存在する位相成分が、生成された光振幅信号oas(t)に変換される。
【0035】
光位相振幅変換デバイスOCDとして使用され得るデバイスの例は、遅延干渉計、マイケルソン干渉計、または光フィルタである。好ましくは、光フィルタはノッチフィルタのような特性伝達関数を有し、局部発振器信号los(t)の周波数はフィルタの遷移域の内側にある。
【0036】
光振幅信号oas(t)は、フォトダイオードなどの光電変換デバイスOECDに光振幅信号oas(t)を付与することにより、アナログ電気振幅信号eas(t)に変換される。
【0037】
アナログデジタル変換器ADCによって、電気振幅信号eas(t)は、時間離散インデックスk’を伴う時間離散電気振幅信号deas(k’)に変換される。
【0038】
時間離散電気振幅信号deas(k’)は、サンプリングレートf
sa2でアナログデジタル変換器ADCにより生成される。時間離散信号deas(k’)から、位相オフセットPOが導出ステップPODにおいて導出される。
【0039】
時間離散信号deas(k’)が付与されるサンプリングレートf
sa2は、
図1に示されるような、電気領域においてのベースバンド信号des(k)を付与するために使用されるサンプリング周波数f
sa1と同じサンプリング周波数である必要はない。局部光信号los(t)の位相成分が、
図1に示される電気ベースバンド信号des(k)の信号周波数より著しく低いレートで変化するという事実の故に、サンプリングレートf
sa2は、サンプリングレートf
sa1より小さく選定され得る。したがって、
図2に例示されるように局部光信号los(t)の位相オフセットPOを決定することは明らかな利点であり、その理由は、
図2に例示されるようにPOを決定することにより、低減されたサンプリングレートf
sa2<f
sa1で動作するアナログデジタル変換器ADCが使用され得るものであり、そのことによって、
図2に例示されるようにPOを決定することのために、
図1に示される時間離散ベースバンド信号des(k)を生成するためのものより安価なアナログデジタル変換器ADCを使用することが可能になるからというものである。
【0040】
図3は、位相補償のステップPCSを詳細に示す。導出された時間離散電気ベースバンド信号des(k)が、修正された電気信号mdes(k)を得るためにデジタルフィルタDF1によりフィルタリングされる。デジタルフィルタDF1に付与される位相オフセットPOは、項
e
jdeas(k)
として、
図2に示される導出ステップPOD内部において導出されている。
【0041】
このために、時間離散電気振幅信号deas(k’)のサンプリングレートは、時間離散電気ベースバンド信号des(k)のサンプリングレートf
sa1に調整される。このことは、電気振幅信号deas(k)が電気ベースバンド信号des(k)と同じ時間離散インデックスkを有するという事実により
図3に例示される。
【0042】
電気ベースバンド信号des(k)は、局部光信号の決定された位相オフセットを補償するために、デジタルフィルタDF1内部で項e
−jdeas(k)が乗算される。
【0043】
電気ベースバンド信号des(k)のサンプリングレートf
sa1への電気振幅信号eas(k’)のサンプリングレートの調整は、アップサンプリングにより遂行され得る。
【0044】
図4は、
図2にすでに示された、アナログデジタル変換ADCのステップと位相オフセット導出PODのステップとの間で実行され得る振幅修正AMの追加的なステップを示す。導出された電気振幅信号deas(k’)は、局部光信号の光位相成分を光振幅信号に変換するために使用された、
図2に示される光変換デバイスOCDの非線形挙動により引き起こされる非線形性を受ける場合がある。そのような非線形性は、
図2に示される光位相振幅変換デバイスOCDの非線形挙動を補償する、あらかじめ規定されたコンパンダ機能によって電気振幅信号deas(k’)の振幅を修正することにより、振幅修正ステップAMにおいて補償される。
【0045】
図2の光変換デバイスOCDが線形挙動を有するが、1に等しくない傾きを有する線形関数によって作動する場合、振幅修正AMのステップは、定数係数による電気振幅信号deas(k’)のスケーリングを単に含むことが可能である。
【0046】
図5aは、時間離散電気信号des(k)を導出するためのステップDS1のサブステップを示す。混合ステップMIX内部において、アナログ電気同相信号成分eis(t)およびアナログ電気直交信号成分eqs(t)が、局部光信号los(t)を使用して、位相変調された光信号os(t)から導出される。アナログデジタル変換の次のステップADC内部において、アナログ電気信号成分eis(t)、IQS(t)は、生成されたそれぞれの時間離散電気信号成分deis(k)、deqs(k)に変換される。
【0047】
重畳SUSのさらなるステップ内部において、生成された時間離散電気信号成分deis(k)、deqs(k)が、時間離散電気信号des(k)をもたらすように重畳される。
【0048】
図5aは、重畳SUSのステップを詳細に示す。時間離散電気直交信号成分deqs(k)は、係数jが乗算され、次いで時間離散電気同相信号成分deis(k)に加算される。このことが、時間離散電気信号des(k)をもたらす。
図6は、前に
図5aに示された混合MIXのステップを実行するために使用され得る混合ユニットMIXUを示す。
【0049】
図6は、
式2
として振幅A
s(t)、周波数ω
s、および位相φ
sにより説明され得る電場ES(t)を有する、受信される光信号os(t)を示す。
【0050】
局部光信号los(t)は、
式1
として振幅A
l、周波数ω
l、および位相φ
lにより説明され得る電場EL(t)を有する。
【0051】
光信号os(t)が直線偏光子LPに付与される。直線偏光子LPは、結果として得られる光信号が、混合ユニットMIXUの2つの偏光ビームスプリッタPBS1、PBS2の主軸に対して45°の角度だけ回転させられる電場を有するように、光信号os(t)を偏光する。局部光信号los(t)が直線偏光子LPに付与され、直線偏光子LPは、後に続く1/4波長板QWPの速軸と一致して電場が整合されるように、光信号および電場を整合する。
【0052】
1/4波長板QWPは、入来する光信号の円偏光を引き起こし、そのことが、偏光ビームスプリッタPBS1、PBS2の主軸に対して、π/2の位相だけシフトされるそれぞれの成分をもたらす。偏光ビームスプリッタPBS1、PBS2の通過軸と整合される、1/4波長板QWPを離れるその光成分はπ/2だけシフトされ、一方で他の成分は位相シフトを経ない。
【0053】
直線偏光型のLPから生じる直線偏光された光信号os(t)は、偏光ビームスプリッタPBS1、PBS2に対して半反射鏡HRMにより分配される。さらに、1/4波長板QWPを離れる円偏光された光信号の2つの信号成分もまた、偏光ビームスプリッタPBS1、PBS2に対してこの半反射鏡HRMにより分配される。
【0054】
偏光ビームスプリッタPBS1に達する光信号は、偏光ビームスプリッタPBS1の通過軸と整合される偏光面内部にある光信号がフォトダイオードPDAに伝達されるように分けられる。偏光ビームスプリッタPBS1の反射軸と整合される偏光面内の、偏光ビームスプリッタPBS1に来る光信号は、フォトダイオードPDBへ反射される。フォトダイオードPDAに到達する光信号の電場は、電場EA(t)と説明され得る。フォトダイオードPDBに到達する光信号の電場は、電場EB(t)と説明され得る。
【0055】
偏光ビームスプリッタPBS2の通過軸に対応する偏光面と整合状態にある、偏光ビームスプリッタPBS2に来る光信号は、フォトダイオードPDDに伝えられる。偏光ビームスプリッタPBS2の反射軸と整合される偏光面内の、偏光ビームスプリッタPBS2に来る光信号は、フォトダイオードPDCへ反射される。
【0056】
フォトダイオードPDCに到達する光信号の電場は、電場EC(t)とみなされ得る。フォトダイオードPDDに到達する光信号の電場は、電場ED(t)とみなされ得る。
【0057】
フォトダイオードPDA、PDB、PDC、PDDに到達する電場は、次に下記で詳細に示されるように説明され得る。
【0058】
電場ES(t)は、半反射鏡HRMによる位相シフトを何も経ずに、偏光ビームスプリッタPBS1により知られる。したがって電場ES(t)は、位相シフトを受けない。電場EO(t)は、半反射鏡HRMによる反射に起因するπ/2だけの位相シフト、および、1/4波長板QWPにより引き起こされるπ/2だけの位相シフトを受ける。したがって電場EL(t)は、フォトダイオードPDAに到達する前に全体としてπだけの位相シフトを経る。したがって電場EA(t)は、
式7
のように説明され得る。
【0059】
電場ES(t)は、偏光ビームスプリッタPBS1内部での反射に起因して、フォトダイオードPDBに到達する前にπ/2だけの位相シフトを経る。電場EO(t)は、フォトダイオードPDBに到達する前に、半反射鏡でのπ/2だけの第1の位相シフト、および、偏光ビームスプリッタPBS1内部での反射の間のπ/2だけの第2の位相シフトを経る。したがって電場EB(t)は、
式8
のように記述され得る。
【0060】
電場ES(t)は、フォトダイオードPDCに到達する前に、半反射鏡HRMでの反射に起因するπ/2だけの位相シフト、および、偏光ビームスプリッタPBS2内部での反射の間のπ/2だけの位相シフトを経る。電場EL(t)は、フォトダイオードPDCに到達する前に、偏光ビームスプリッタPBS2内部での反射の間のπ/2だけの位相シフトを経る。したがって電場EC(t)は、
式9
のように記述され得る。
【0061】
電場ES(t)は、フォトダイオードPDDに到達する前に、半反射鏡HRMでのπ/2だけの位相シフトを経る。さらに電場EO(t)は、フォトダイオードPDDに到達する前に、1/4波長板QWP内部でのπ/2だけの位相シフトを経る。したがって電場ED(t)は、
式10
のように記述され得る。
【0062】
フォトダイオードPDA、PDB、PDC、PDDは、フォトダイオードPDA、PDB、PDC、PDDに到達する電場の強度に対応する電気信号をそれらのダイオードの出力で生成し、したがって各々のフォトダイオードPDA、PDB、PDC、PDDは、フォトダイオードPDA、PDB、PDC、PDDに到達する電気信号の二乗された大きさに相当する電気信号|E
A(t)|
2、|E
B(t)|
2、|E
C(t)|
2、|E
D(t)|
2を生成する。
【0063】
フォトダイオードPDBにより付与される電気信号|E
B(t)|
2が、フォトダイオードPDCにより付与される電気信号|E
C(t)|
2から減算される。このことが、次式のようであることが示され、次式のように説明され得る信号Q(t)をもたらす。
【0065】
さらに、フォトダイオードPDAにより付与される電気信号|E
A(t)|
2が、フォトダイオードPDDにより付与される電気信号|E
D(t)|
2から減算され、そのことが、次式のように導出され得る電気信号I(t)をもたらす。
【0067】
電気信号I(t)、Q(t)内部において、位相φ
l(t)は、
φ
l(t)=(ω
S−ω
L)・t+φ
S(t)−φ
L(t)
であることが示され得る。
【0068】
局部光信号los(t)の周波数ω
Lが光信号os(t)の周波数ω
Sに本質的に等しい場合、信号I(t)、Q(t)の位相φ
l(t)は、次式のように、光信号os(t)の位相φ
S(t)と局部光信号los(t)の位相φ
L(t)との間の差に簡約される。
【0070】
したがって信号I(t)は、光信号os(t)を局部光信号los(t)と混合することにより得られる光ベースバンド信号の電気同相信号成分I(t)=eis(t)とみなされ得る。さらに上記で解説された同じ理由で、信号Q(t)は、光信号os(t)を局部光信号los(t)と混合することにより得られる光ベースバンドの電気直交信号成分Q(t)=eqs(t)とみなされ得る。
【0071】
図7は、位相変調された光信号を復調するためのデバイスODを示す。
【0072】
光信号os(t)が、光インターフェースOIFで受信される。この光信号os(t)は、局部光信号los(t)とともに、前に
図6で説明されたような混合ユニットMIXUに付与される。局部光信号los(t)は、光デバイスODの一体部分であり得る局部発振器により付与される。
【0073】
混合ユニットMIXUは、電気同相信号成分eis(t)および電気直交信号成分eqs(t)を生成する。アナログデジタル変換器ADC1は、アナログ電気信号成分eis(t)、eqs(t)を、それぞれの時間離散電気信号成分deis(k)、deqs(k)に変換する。
【0074】
時間離散信号成分deis(k)、deqs(k)は、処理ユニットPUに付与される。処理ユニットPUは、直交信号成分deqs(k)にjの係数を乗算し、その乗算したものを電気同相信号成分deis(k)に加算することにより、時間離散信号成分deis(k)、deqs(k)を重畳する。このことが、時間離散電気ベースバンド信号des(k)をもたらす。
【0075】
局部光信号los(t)の何分の1かは光変換デバイスOCDに付与され、光変換デバイスOCDは、局部光信号los(t)の光位相成分を光振幅信号oas(t)に変換する。光電変換デバイスが、光振幅信号oas(t)を電気振幅信号eas(t)に変換する。アナログデジタル変換器ADC2が、電気振幅信号eas(t)を時間離散電気振幅信号deas(k’)に変換する。
【0076】
時間離散電気振幅信号deas(k’)は処理ユニットPUに付与され、処理ユニットPUは、局部光信号los(t)と、光信号os(t)を生成するために使用されるキャリア信号との間の位相オフセットを、項e
jdeas(k)として決定する。
【0077】
デジタルフィルタDF1を使用して、処理ユニットPUは、電気ベースバンド信号des(k)に項e
jdeas(k)を乗算することにより、局部光信号los(t)の位相オフセットを補償する。
【0078】
このことが、修正された電気信号mdes(k)をもたらす。デジタルフィルタDFを使用して、処理ユニットPUは、光チャネルにより引き起こされる波長分散を補償する。このことが、補償された電気信号CDS(k)をもたらす。
【0079】
図8は、光信号os(t)が偏波分割多重の概念を使用して2つの直交偏光面内部でデジタルデータを搬送する場合に使用され得る、拡張された光デバイスOD2を示す。
【0080】
受信される光信号os(t)は、偏光ビームスプリッタPBSにより、第1の偏光された光信号POS1(t)および第2の偏光された光信号POS2(t)に分けられる。
【0081】
偏光された光信号POS1(t)、POS2(t)の各々は、局部光信号los(t)を使用してそれぞれの電気信号成分ESC1、ESC2をもたらすために、それぞれの混合ユニットMIXU1、MIXU2により対処される。次いでそれぞれの電気信号成分ESC1およびESC2は、アナログデジタル変換器ADCにより、それぞれのデジタル電気信号成分DESC1、DESC2に変換される。離散電気信号成分DESC1、DESC2の各々の組から、それぞれの電気ベースバンド信号des1(k)、des2(k)が、前に
図7に関して説明されたものに対応する様式で導出される。電気ベースバンド信号des1(k)、des2(k)の各々は、前に
図7に関して詳細に説明されたように、局部光信号los(t)の位相誤差を補償するためにデジタルフィルタDF1によりフィルタリングされる。
【0082】
したがって各々の電気ベースバンド信号des1(k)、des2(k)から、それぞれの修正された電気信号mdes1(k)、mdes2(k)が得られる。次いでこれらの修正された信号は、光チャネルにより引き起こされる波長分散を補償するためにデジタルフィルタDFによりフィルタリングされる。このことが、それぞれの補償された電気信号cdes1(k)、cdes2(k)をもたらす。次いで偏波分割多重分離POLDEMのステップ内部においてこれらの信号は、定包絡線アルゴリズムなどのアルゴリズムによる等化を受けることが可能である。そのような等化は、信号cdes1(k)、cdes2(k)をフィルタリングする4つの有限インパルス応答フィルタにより実行され得るものであり、信号cdes1(k)、cdes2(k)からそれぞれのデータストリームが、送信側で使用されるPSKまたはQAMの信号点配置図によって導出され得る。有限インパルス応答フィルタのフィルタ係数は、「Digital Coherent Optical Receivers: Algorithms and Subsystems、Seb J. Savory、IEEE JOURNAL OF SELECTED TOPICS IN QUANTUM ELECTRONICS、第16巻、第5号、9月/10月 20102」において説明されているような定包絡線アルゴリズムを使用して決定され得る。
【0083】
デバイスODおよび/またはOD2は、
図1から
図8に関して説明された1つまたは複数の方法のさらなるステップを実行するようにさらに構成される。計算ステップではデバイスODおよび/またはOD2は、信号処理ユニットPUに、ならびに/または、
図7および
図8に明示的に示されない他のユニットに頼る場合がある。
【0084】
説明および図面は、本発明の原理を例示するものにすぎない。したがって、たとえ本明細書で明示的に説明されなくとも、または示されなくとも、本発明の原理を実施し、本発明の趣旨および範囲に含まれる様々な配置構成を当業者が考案可能になることが十分認識されるであろう。さらに、本明細書に列挙されるすべての例は、当技術分野の振興のために発明者により与えられる本発明の原理および概念を読者が理解する際に一助となるように、教育的な目的のものにすぎないことが明確に主として意図されるものであり、そのような具体的に列挙される実施例および条件への限定を伴わないと解釈されるべきである。さらに本発明の原理、態様、および実施形態、ならびにそれらの具体例を列挙する本明細書でのすべての記載は、それらの均等物を包含することが意図される。
【0085】
「デバイス」、「ユニット」、または「処理ユニット」と名付けられた任意の機能ブロックを含む、
図7および
図8に示される様々な要素の機能は、専用ハードウェア、および、適切なソフトウェアと共同したソフトウェアを実行可能なハードウェアの使用によって提供され得る。プロセッサにより提供される場合、機能は、単一の専用プロセッサにより、単一の共有プロセッサにより、または、それらのうちのいくつかが共有されている場合がある複数の個々のプロセッサにより提供され得る。さらに用語「処理ユニット」、「デバイス」、または「ユニット」を明示的に使用することは、ソフトウェアを実行可能なハードウェアを排他的に指すと解釈されるべきではなく、限定はしないが、デジタル信号プロセッサ(DSP)ハードウェア、ネットワークプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、ソフトウェアを記憶するための読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、および不揮発性記憶装置を暗黙に含み得る。従来の、および/または特注の他のハードウェアもまた含まれ得る。本明細書の任意のブロック図が、本発明の原理を実施する例示的な回路網の概念図を表すことは、当業者により十分認識されるはずである。