(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記定期旅客機の離陸地上走行および上昇事象が、特定の範囲内の時間期間の間に特定のしきい値を超える振幅を有する正の加速度拡散によって定義される、請求項5に記載の方法。
前記着陸地上走行事象が、特定の範囲内の時間期間の間に特定の範囲内の振幅を有する正の加速度拡散と、特定の範囲内の時間期間の間に特定の範囲内の振幅を有する前記正の加速度拡散に時間的に近接する負の加速度拡散とによって定義される、請求項7に記載の方法。
前記加速度拡散波形と、定期旅客機の飛行事象を特徴付ける1つまたは複数の所定のパターンとを比較するステップをさらに含み、前記定期旅客機の運動事象を識別するステップが、さらに、所与の時間期間にわたって最小数の飛行事象が検出されるかどうかに基づく、請求項1に記載の方法。
前記定期旅客機の運動事象識別に基づいて前記モバイルデバイスの少なくとも1つの電話機能をイネーブルするステップまたはディセーブルするステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
モバイルデバイスにおいて定期旅客機の運動事象を識別するためのシステムであって、 1つまたは複数の加速度計から取得された校正済み3軸加速度計データからスカラー加速度信号を求め、
高周波数ノイズを低減するために前記スカラー加速度信号をフィルタリングし、
観測ウィンドウにわたって前記フィルタリングされたスカラー加速度信号の最大値と最小値との間の差を追跡する加速度拡散波形を生成するために前記フィルタリングされたスカラー加速度信号を処理し、
前記加速度拡散波形と、定期旅客機の運動事象を特徴付ける1つまたは複数の所定のパターンとを比較し、
前記比較が実質的な一致をもたらすかどうかに基づいて定期旅客機の運動事象を識別するように構成された、1つまたは複数のプロセッサと、
前記1つまたは複数のプロセッサに結合され、関連するデータおよび/または命令を記憶するように構成されたメモリ(108)とを備える、装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の特定の実施形態を対象とする以下の説明および関連する図面で、本発明の態様を開示する。本発明の範囲から逸脱することなく代替的な実施形態を考案することができる。さらに、本発明の関連する詳細を不明瞭にしないように、本発明のよく知られている要素は詳細に記載されないか、または省略される。
【0014】
「例示的な」という語は、「例、実例、または具体例としての役割を果たすこと」を意味するように本明細書において用いられている。「例示的な」として本明細書で説明する任意の実施形態は、必ずしも他の実施形態よりも好ましいか、または有利であると解釈されるべきではない。同様に、「本発明の実施形態」という用語は、本発明のすべての実施形態が、論じられた特徴、利点または動作モードを含むことを必要としない。
【0015】
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態の説明のみを目的とするものであり、本発明の実施形態を限定するものではない。本明細書で使用する単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が別段に明確に示すのでなければ、複数形をも含むものとする。「comprises(備える)」、「comprising(備える)」、「includes(含む)」および/または「including(含む)」という用語は、本明細書で使用される場合、記述する特徴、整数、ステップ、動作、要素および/または構成要素の存在を明示するものであって、1つまたは複数の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素および/またはそのグループの存在または追加を排除するものではないことがさらに理解されよう。
【0016】
さらに、多くの実施形態が、たとえばコンピューティングデバイスの要素によって実施すべき、一連のアクションに関して説明される。本明細書で説明する様々なアクションは、特定の回路(たとえば、特定用途向け集積回路(ASIC))によって、1つまたは複数のプロセッサによって実行されるプログラム命令によって、あるいは両方の組合せによって実行され得ることを認識されよう。さらに、本明細書で説明する一連のアクションは、実行時に、関連するプロセッサに本明細書で説明する機能を実行させるコンピュータ命令の対応するセットを記憶した、任意の形式のコンピュータ可読記憶媒体内で完全に具現化されるものと見なすことができる。したがって、本発明の様々な態様は、請求する主題の範囲内にすべて入ることが企図されているいくつかの異なる形式で具現化され得る。さらに、本明細書で説明する実施形態ごとに、任意のそのような実施形態の対応する形式について、本明細書では、たとえば、記載のアクションを実行する「ように構成された論理」として説明することがある。
【0017】
上記の「背景技術」で説明したように、定期旅客機上に存在するときに、パーソナル電子デバイスの移動電話機能を自動的に制御するための、単純で、正確で、ロバストで、省電力の機構を有することが望ましい。したがって、スカラー加速度波形分析(たとえば、3軸加速度計データから導出される)を使用して離陸および/または着陸などの定期旅客機の運動事象を検出するため、およびこれらの事象に基づいてモバイルデバイスを制御するためのシステムおよび方法を、本明細書で提供する。スカラー加速度の離陸および着陸信号レベルは、常時存在する地球の重力と比較すると比較的小さいことがあるが、スカラー加速度信号は、低帯域幅において離陸および着陸を検出するためにフィルタリングされ得、許容可能なレベルまでノイズが低減される。
【0018】
図1は、例示的な一実施形態による、離陸および/または着陸など、定期旅客機の運動事象を識別するための運動事象識別デバイス100を示す。図示のように、運動事象識別デバイス100は、加速度特徴抽出器106から情報を受信する運動事象識別プロセッサ102を含む。運動事象識別プロセッサ102はまた、関係するデータおよび/または命令を記憶するように構成されたメモリ108に結合される。1つまたは複数のプロセッサおよび/または他のハードウェア構成要素を含み得るかまたはそれらの一部であり得る加速度特徴抽出器106は、加速度計110から受信された加速度信号に従って動作する。いくつかの設計では、「任意運動」検出器104はまた、より複雑な加速度特徴抽出動作を実行する必要をなくすために、しきい値レベルの運動が存在するかどうか(すなわち、モバイルデバイスが「静止状態」か否か)を検出するために使用され得る。任意運動検出器104および加速度特徴抽出器106は、図示のように加速度計110を共有してもよく、または、各々が、それぞれの検出器の内部または外部のいずれかに、それ自体の加速度計を有してもよいことは諒解されよう。
【0019】
加速度計110は、典型的には、3つの異なる軸についての加速度データを与える3軸加速度計である。他の例には、複数の(たとえば、3つの)単軸加速度計が含まれ得る。さらに、加速度が導出され得る他のデバイスが使用され得るので、実施形態が、本明細書で明示的に説明する特定のデバイスに限定されるように解釈されるべきでないことは諒解されよう。
【0020】
加速度特徴抽出器106は、加速度計110からの加速度信号をモニタし、加速度を特徴付けるために様々な処理を実行する。加速度特徴抽出器106は、様々な方法で加速度を特徴付け得るが、特性化は、一般的に、ベクトル加速度信号から(たとえば、3軸加速度計データから)校正済みスカラー加速度信号を求めるステップと、高周波数ノイズをフィルタリングで除去するために所与の平均期間(たとえば、スカラー加速度平均化期間(Scalar Acceleration Averaging Period))にわたってスカラー加速度データの移動平均を生成するステップと、所与の観測ウィンドウ(たとえば、加速度拡散観測ウィンドウ期間(Acceleration Spread Observation Window Period))にわたって加速度拡散を計算するステップとを含む。加速度拡散は、観測ウィンドウの中の最大スカラー加速度値と最小スカラー加速度値との間の差に対応する。たとえば、デバイスの方向の任意の変更が、加速度拡散において1%未満の変化を生成する程度に、加速度計110が校正され得る。アプリケーションによっては、数十秒の程度のスカラー加速度平均化期間(たとえば、約12秒、または約1秒から約60秒の範囲内のいずれか)および1分ほどの程度の加速度拡散観測ウィンドウ期間(たとえば、約60秒、または約10秒から約180秒の範囲内のいずれか)が、定期旅客機の運動事象識別に対して良い結果を得る加速度拡散波形を与えることが発見された。しかしながら、他の移動平均期間および観測ウィンドウが、必要に応じて、特定のアプリケーションに応じて使用され得ることを諒解されたい。
【0021】
加速度特徴抽出器106は、抽出された加速度特徴情報(たとえば、加速度拡散波形)を出力し、この情報を運動事象識別プロセッサ102に与える。したがって、運動事象識別プロセッサ102は、他の運動事象(たとえば、歩行のステップ(pedestrial stepping)、自動車の加速など)と区別される、定期旅客機の離陸および着陸に特有の加速度拡散事象、またはそれらの組合せを認識するための様々なパターン照合技法を使用することなどによって、抽出された加速度特徴が定期旅客機の離陸または着陸に対応するかどうかを判断するように構成される。
【0022】
一般に、加速度拡散事象は、事象の間の加速度拡散の符号に応じて「正」または「負」であり得る。たとえば、加速度拡散は、観測ウィンドウ最小が、最大より前に発生する場合は正と見なされてよく、そうでない場合は負と見なされてよい。
【0023】
図2は、対応する正の加速度拡散波形内で検出され得る正の加速度拡散事象の一例を示す。図示のように、正の加速度拡散事象は、正の拡散事象期間T
+および正の拡散事象振幅A
+によって特徴付けられ得る。正の拡散事象期間T
+は、たとえば、加速度拡散振幅が所与の振幅しきい値A
Tより大きい値に到達する時点とそれがゼロに等しい値まで減少する時点との間の時間差として定義され得る。アプリケーションによっては、重力による加速度の数百分の1の程度の振幅しきい値(たとえば、約0.0125g
0のA
T)が、正の拡散事象を背景ノイズなどと区別するのに十分であることが発見されている。正の拡散事象振幅A
+は、正の拡散事象の間に到達する最大加速度拡散振幅値として定義され得る。正の拡散事象の開始後に加速度拡散振幅がゼロに等しくなる瞬間t
+もまた、いくつかの設計では正の拡散事象に対して定義され得る。
【0024】
図3は、対応する負の加速度拡散波形内で検出され得る負の加速度拡散事象の一例を示す。図示のように、負の加速度拡散事象は、負の拡散事象期間T
-および負の拡散事象振幅A
-によって特徴付けられ得る。負の拡散事象期間T
-は、たとえば、加速度拡散振幅が所与の振幅しきい値-A
Tより小さい値に到達する時点とそれがゼロに等しい値まで増加する時点との間の時間差として定義され得る。アプリケーションによっては、重力による加速度の数百分の1の程度の振幅しきい値(たとえば、約0.0125g
0の-A
T)が、負の拡散事象を背景ノイズなどと区別するのに十分であることが発見されている。負の拡散事象振幅A
-は、負の拡散事象の間に到達する最小加速度拡散振幅値として定義され得る。負の拡散事象の開始後に加速度拡散振幅がゼロに等しくなる瞬間t
-もまた、いくつかの設計では負の拡散事象に対して定義され得る。
【0025】
運動事象識別プロセッサ102は、基本的識別アルゴリズムならびに拡張識別アルゴリズムを含めて、1つまたは複数の加速度拡散事象の検出に基づいて離陸および着陸などの定期旅客機の運動事象を識別するための様々なアルゴリズムを実装し得る。たとえば、基本的検出アルゴリズムは、定期旅客機の離陸地上走行および上昇事象または着陸地上走行事象ならびにそれらの関連する静止期間を特徴付ける加速度パターンを探索することができる。拡張アルゴリズムは、さらに、着陸事象の前および離陸事象の後の特定の期間中に検出されるべき一定数の「飛行事象」を必要とすることがある。
【0026】
図4は、定期旅客機の離陸地上走行および上昇事象を検出するために使用され得る例示的な加速度拡散パターンを示す。図示のように、定期旅客機の離陸地上走行および上昇事象は、特定の範囲内に正の事象期間T
+と、特定の範囲内に正の事象振幅A
+とを有する正の拡散事象によって特徴付けられ得る。定期旅客機の離陸地上走行および上昇事象を検出するために指定された正の事象期間範囲は、最小離陸地上走行および上昇事象期間(Minimum Takeoff Ground Run and Climb Event Period)(T
Min)と最大離陸地上走行および上昇事象期間(Maximum Takeoff Ground Run and Climb Event Period)(T
Max)とによって定義され得る。同様に、定期旅客機の離陸地上走行および上昇事象を検出するために指定された正の事象振幅範囲は、最小離陸地上走行および上昇事象振幅(Minimum Takeoff Ground Run and Climb Event Amplitude)(A
Min)によって定義され得る。したがって、運動事象識別プロセッサ102は、それが、A
Minを満たすかまたは超える正の事象振幅A
+とともに、T
MinとT
Maxとの間に入る正の事象期間T
+を有する正の拡散事象を検出するときに、定期旅客機の離陸地上走行および上昇事象を識別することができる。
【0027】
アプリケーションによっては、重力による加速度の10分の1程度の最小離陸地上走行および上昇事象振幅(たとえば、約0.075g
0のA
Min)とともに使用される、数十秒程度の離陸地上走行および上昇事象期間(たとえば、約30秒のT
Minおよび約100秒のT
Max)が、適正な定期旅客機の離陸地上走行および上昇事象検出結果を得ることが発見されている。しかしながら、他の離陸地上走行および上昇事象期間および/または最小振幅が、必要に応じて、特定のアプリケーションに応じて使用され得ることを諒解されたい。
【0028】
したがって、運動事象識別プロセッサ102は、それが、離陸地上走行および上昇事象の加速度拡散パターンを検出するときに、定期旅客機の離陸事象を識別し得る。しかしながら、定期旅客機の離陸地上走行および上昇事象は、一般的に、定期旅客機が離陸の前に滑走路の端まで地上滑走し、続いて離陸地上走行を開始するための許可を待つときの、比較的小さいスカラー加速度変化の期間に対応する静止期間に次いで起こる。したがって、いくつかの設計では、運動事象識別プロセッサ102は、それが、
図4に示すように、最小持続時間の静止期間に次いで起こる離陸地上走行および上昇事象の加速度拡散パターンを検出するときに、定期旅客機の離陸事象を識別し得る。すなわち、運動事象識別プロセッサ102は、離陸地上走行および上昇事象であると思えるものが、最小離陸事象静止期間(Minimum Takeoff Event Quiescent Period)(ΔT
T)に次いで起こるものでない場合、さもなければ離陸地上走行および上昇事象であると思えるものに基づいて定期旅客機の離陸事象を宣言することを控え得る。アプリケーションによっては、数分程度の最小離陸事象静止期間(たとえば、約300秒のΔT
T)が、その後に検出された離陸地上走行および上昇事象が実際に定期旅客機の離陸事象に対応するかどうかについて、十分な確信を与えることが発見されている。しかしながら、他の静止期間の最小持続時間が、必要に応じて、特定のアプリケーションに応じて使用され得ることを諒解されたい。
【0029】
図5は、定期旅客機の着陸地上走行事象を検出するために使用され得る例示的な加速度拡散パターンを示す。図示のように、定期旅客機の着陸地上走行事象は、特定の範囲内の正の事象期間T
+、特定の範囲内の正の事象振幅A
+、特定の範囲内の負の事象期間T
-、および特定の範囲内の負の事象振幅A
-を有する、隣接する正および負の拡散事象によって特徴付けられ得る。定期旅客機の着陸地上走行事象を検出するために指定される正の事象期間範囲は、最小着陸正地上走行事象期間(T
+Min)と最大着陸正地上走行事象期間(T
+Max)とによって定義され得る一方で、定期旅客機の着陸地上走行事象を検出するために指定される正の事象振幅範囲は、最小着陸正地上走行事象振幅(A
+Min)と最大着陸正地上走行事象振幅(A
+Max)とによって定義され得る。同様に、定期旅客機の着陸地上走行事象を検出するために指定される負の事象期間範囲は、最小着陸負地上走行事象期間(T
-Min)と最大着陸負地上走行事象期間(T
-Max)とによって定義され得る一方で、定期旅客機の着陸地上走行事象を検出するために指定される負の事象振幅範囲は、最小着陸負地上走行事象振幅(A
-Min)と最大着陸負地上走行事象振幅(A
-Max)とによって定義され得る。したがって、運動事象識別プロセッサ102は、それが、1つまたは複数の隣接する正および負の拡散事象を検出するときに定期旅客機の着陸地上走行事象を識別し得、正の拡散事象は、A
+MinとA
+Maxとの間に入る正の事象振幅A
+とともにT
+MinとT
+Maxとの間に入る正の事象期間T
+を有し、負の拡散事象は、A
-MinとA
-Maxとの間に入る負の事象振幅A
-とともにT
-MinとT
-Maxとの間に入る負の事象期間T
-を有する。
【0030】
アプリケーションによっては、重力による加速度の百分の1から数百分の1程度の着陸正地上走行事象振幅範囲(たとえば、約0.036g
0のA
+Minおよび約0.070g
0のA
+Max)とともに使用される数十秒程度の着陸正地上走行事象期間(たとえば、約35秒のT
+Minおよび約85秒のT
+Max)、ならびに重力による加速度の百分の1から数百分の1程度の着陸負地上走行事象振幅範囲(たとえば、約-0.036g
0のA
-Minおよび約-0.070g
0のA
-Max)とともに使用される数十秒から数分程度の着陸負地上走行事象期間(たとえば、約35秒のT
-Minおよび約120秒のT
-Max)が、適正な定期旅客機の着陸地上走行検出結果を得ることが発見されている。しかしながら、他の着陸地上走行および上昇事象期間および/または振幅範囲が、必要に応じて、特定のアプリケーションに応じて使用され得ることを諒解されたい。
【0031】
したがって、運動事象識別プロセッサ102は、それが、着陸地上走行事象の加速度拡散パターンを検出するときに、定期旅客機の着陸事象を識別し得る。しかしながら、定期旅客機の着陸地上走行事象は、一般的に、定期旅客機が滑走路からそれのゲートまで地上滑走し、乗客を降ろすための準備が整うのを待つときの比較的小さいスカラー加速度変化の期間に対応する静止期間が後続する。したがって、いくつかの設計では、運動事象識別プロセッサ102は、それが、
図5に示すように、最小持続時間の静止期間が後続する着陸地上走行事象の加速度拡散パターンを検出するときに、定期旅客機の着陸事象を識別することができる。すなわち、運動事象識別プロセッサ102は、着陸地上走行事象であると思えるものに、最小着陸事象静止期間(Minimum Landing Event Quiescent Period)(ΔT
L)が後続しない場合、さもなければ着陸地上走行事象であると思えるものに基づいて定期旅客機の着陸事象を宣言することを控えることができる。アプリケーションによっては、1分から数分程度の最小着陸事象静止期間(Minimum Landing Event Quiescent Period)(たとえば、約90秒のΔT
L)が、前に検出された着陸地上走行事象が実際に定期旅客機の着陸事象に対応するかどうかについて、十分な確信を与えることが発見されている。しかしながら、他の静止期間最小持続時間が、必要に応じて、特定のアプリケーションに応じて使用され得ることを諒解されたい。
【0032】
上記で説明したように、拡張アルゴリズムは、何らかのそれ以外に識別される定期旅客機の運動事象の一体性を検証するために、いくつかの飛行事象の検出および使用をさらに含み得る。そのような飛行事象は、たとえば、定期旅客機の加速度ベクトルが全般に重力の加速度に整合されている飛行中の環境に典型的な、低周波数、大振幅スカラー加速度変化に関連する加速度拡散パターンから検出され得る。
【0033】
図6は、定期旅客機の飛行事象を検出するために使用され得る例示的な加速度拡散パターンを示す。図示のように、定期旅客機の飛行事象は、特定の範囲内の正の事象期間T
+、特定の範囲内の正の事象振幅A
+、特定の範囲内の負の事象期間T
-、および特定の範囲内の負の事象振幅A
-を有する、隣接する正および負の拡散事象によって特徴付けられ得る。定期旅客機の飛行事象を検出するために指定される正の事象期間範囲は、最小正飛行事象期間(T
+Min)と最大正飛行事象期間(T
+Max)とによって定義され得る一方で、定期旅客機の飛行事象を検出するために指定される正の事象振幅範囲は、最小正飛行事象振幅(A
+Min)と最大正飛行事象振幅(A
+Max)とによって定義され得る。同様に、定期旅客機の飛行事象を検出するために指定される負の事象期間範囲は、最小負飛行事象期間(T
-Min)と最大負飛行事象期間(T
-Max)とによって定義され得る一方で、定期旅客機の飛行事象を検出するために指定される負の事象振幅範囲は、最小負飛行事象振幅(A
-Min)と最大負飛行事象振幅(A
-Max)とによって定義され得る。したがって、運動事象識別プロセッサ102は、それが、1つまたは複数の隣接する正および負の拡散事象を検出するときに定期旅客機の飛行事象を識別し得、正の拡散事象は、A
+MinとA
+Maxとの間に入る正の事象振幅A
+とともにT
+MinとT
+Maxとの間に入る正の事象期間T
+を有し、負の拡散事象は、A
-MinとA
-Maxとの間に入る負の事象振幅A
-とともにT
-MinとT
-Maxとの間に入る負の事象期間T
-を有する。
【0034】
アプリケーションによっては、重力による加速度の数十分の1程度の正飛行事象振幅範囲(たとえば、約0.045g
0のA
+Minおよび約0.300g
0のA
+Max)とともに使用される数十秒から数分程度の正飛行事象期間(たとえば、約15秒のT
+Minおよび約150秒のT
+Max)、ならびに重力による加速度の数十分の1程度の負飛行事象振幅範囲(たとえば、約-0.045g
0のA
-Minおよび約-0.300g
0のA
-Max)とともに使用される数十秒から数分程度の負飛行事象期間(たとえば、約15秒のT
-Minおよび約150秒のT
-Max)が、適正な定期旅客機の飛行検出結果を得ることが発見されている。しかしながら、他の飛行事象期間および/または振幅範囲が、必要に応じて、特定のアプリケーションに応じて使用され得ることを諒解されたい。
【0035】
したがって、運動事象識別プロセッサ102は、それが、
図6に示すような飛行事象の加速度拡散パターンを検出するとき、定期旅客機の飛行事象を識別し得る。したがって、いくつかの設計では、運動事象識別プロセッサ102は、定期旅客機の離陸および着陸事象を他の運動事象と区別することにおいて、上記で説明した、定期旅客機の離陸地上走行および上昇事象または着陸地上走行事象ならびにそれらの関連する静止期間を特徴付ける加速度パターンを補足するために、検出された飛行事象情報を使用し得る。
【0036】
たとえば、運動事象識別プロセッサ102は、離陸地上走行および上昇加速度拡散パターン事象に続いて最大離陸飛行事象期間(Maximum Takeoff Flight Event Period)(T
FET)にわたって、定期旅客機の離陸事象であると思われるものに、最小数の離陸飛行事象(Minimum Number of Takeoff Flight Events)(N
FET)が後続しない場合、さもなければ定期旅客機の離陸事象であると思われるものに基づいて定期旅客機の離陸事象を宣言することを控え得る。同様に、運動事象識別プロセッサ102は、着陸加速度拡散パターン事象の前に最大着陸飛行事象期間(Maximum Landing Flight Event Period)(T
FEL)にわたって、定期旅客機の着陸事象であると思われるものに、最小数の着陸飛行事象(Minimum Number of Landing Flight Events)(N
FEL)が先行しない場合、そうでなければ定期旅客機の着陸事象であると思われるものに基づいて定期旅客機の着陸事象を宣言することを控え得る。アプリケーションによっては、数分程度の最大離陸飛行事象期間(たとえば、約300秒のT
FET)と連携する1個から数個程度の最小数の離陸飛行事象(たとえば、約2個のN
FET)、ならびに、数分程度の最大着陸飛行事象期間(たとえば、約480秒のT
FEL)と連携する1個から数個程度の最小数の着陸飛行事象(たとえば、約2個のN
FEL)が、所与の定期旅客機の離陸地上走行および上昇事象または着陸地上走行事象ならびにそれらの関連する静止期間が実際に定期旅客機の運動事象に対応しているかどうかについて、十分な確信を与えることが発見されている。しかしながら、他の飛行事象個数および/または期間が、必要に応じて、特定のアプリケーションに応じて使用され得ることを諒解されたい。
【0037】
離陸および着陸などの定期旅客機の運動事象の識別は、様々な識別後の活動において有用であり得る。たとえば、定期旅客機の運動事象識別は、定期旅客機に搭載されたモバイルデバイス(たとえば、モバイルデバイスがユーザの前のシートポケット、機内持ち込み手荷物、収納手荷物などの中にある場合)の移動電話機能を自動的にディセーブルすることを容易化するために使用され得る。このことは、しばしば、「機内モード」に入ることを指し、それによって、ユーザは、たとえば、音楽を聴くこと、ゲームをすること、または記憶された電子メールメッセージを見直すことは許容されるが、電話をすること、Bluetooth(登録商標)アクセサリを使用することなどは禁止される。通常、機内モードにおいて、移動局のワイヤレス通信機能だけが、動作不能であると表示される。したがって、運動事象識別プロセッサ102は、対応するモバイルデバイス(図示せず)に、飛行中に(たとえば、定期旅客機の離陸事象を識別後に)機内モードなどに入らせ、かつ/または飛行完了に続いて(たとえば、定期旅客機の着陸事象を識別後に)機内モードなどから出させるようにさらに構成され得る。
【0038】
加えて、運動事象識別プロセッサ102は、商用定期旅客機での旅行に関連する特定のコンテキスト情報または他のサービスを、ユーザまたは別のデバイスに与えるようにさらに構成され得る。たとえば、運動事象識別プロセッサ102は、対応するモバイルデバイス(図示せず)に、フライトの進捗またはタイミング情報を表示させ、自動的にスピーカーフォン機能をディセーブルさせ、あるいは更新された接続フライト情報を提供させるようにさらに構成され得る。
【0039】
図7は、例示的な一実施形態による、ストリームされた加速度計データから離陸事象および着陸事象などの定期旅客機の運動事象を識別する方法を示す。例示的な方法は、メモリと併せた1つまたは複数のプロセッサ(たとえば、加速度特徴抽出器106、運動事象識別プロセッサ102、およびメモリ108)、あるいは本明細書で説明する様々な他の手段によって実行され得る。
【0040】
図示のように、加速度計の測定値エラーは初期に求められ、推定されるスカラー加速度が、適正な程度に方向に依存しないことを確保するために、要求される規格に対して校正され得る(ブロック704)。たとえば、デバイスの方向の任意の変更が、加速度拡散において1%未満の変化を生成する程度に、1つまたは複数の加速度計が校正され得る。次いで、校正済み3軸加速度計データが、特定のサンプリング周波数で取得され、スカラー加速度信号が計算される(ブロック708)。スカラー加速度信号は、ノイズを低減するために低帯域幅でフィルタリングされ得(ブロック712)、加速度拡散波形が、最適化されたウィンドウ期間に対して生成され得る(ブロック716)。
【0041】
次いで、上記で説明したように、加速度拡散波形が、定期旅客機の運動事象を特徴付ける1つまたは複数の所定のパターンと比較され得(ブロック720)、いくつかの実施形態では、定期旅客機の飛行事象を特徴付ける1つまたは複数の所定のパターンと比較され得る(ブロック724)。次いで、その比較が、離陸パターンとの実質的な一致をもたらすときに離陸事象として(ブロック732)、またはその比較が、着陸パターンとの実質的な一致をもたらすときに着陸事象として(ブロック736)、定期旅客機の運動事象が識別され得る(判断728)。一致が発見されない場合、動作は、後続の時間ウィンドウにわたって、スカラー加速度信号を求めるステップに戻り得る(ブロック708)。飛行事象が考慮されるいくつかの実施形態では、定期旅客機の運動事象の識別は、さらに、最小数の飛行事象が所与の時間期間にわたって検出されるかどうかに基づくことができる。
【0042】
上記でより詳細に説明したように、1つまたは複数の所定のパターンは、定期旅客機の離陸地上走行および上昇事象が後続する静止期間を有する加速度拡散パターンを含み得る。定期旅客機の離陸地上走行および上昇事象は、たとえば、特定の範囲内の時間期間の間に特定のしきい値を超える振幅を有する正の加速度拡散によって定義され得る。1つまたは複数の所定のパターンはまた、静止期間が後続する着陸地上走行事象を有する加速度拡散パターンを含み得る。着陸地上走行事象は、たとえば、特定の範囲内の時間期間の間に特定の範囲内の振幅を有する正の加速度拡散と、特定の範囲内の時間期間の間に特定の範囲内の振幅を有する正の加速度拡散に時間的に近接する負の加速度拡散とによって定義され得る。
【0043】
上記で説明した方式での加速度拡散の使用は、有利なことに、定期旅客機の離陸事象および着陸事象などの定期旅客機の運動事象の効率的な識別を提供する。いくつかの実施形態では、定期旅客機の運動事象識別は、モバイルデバイスの少なくとも1つの電話機能をイネーブルまたはディセーブルするために使用され得る(ブロック740)。
【0044】
図8は、本明細書で説明する1つまたは複数の実施形態による運動事象識別を実装し得る例示的なワイヤレス通信デバイスを示す。図示のように、ワイヤレス通信デバイス800は、内臓または外部のハードウェアを使用して、様々なアクセサリデバイス802、ローカルエリアネットワーク804、広域ネットワーク806、衛星システム808などと通信可能であり得る。たとえば、送信経路上で、ワイヤレス通信デバイス800によって送信されるべきトラフィックデータは、エンコーダ822によって処理され(たとえば、フォーマットされ、エンコードされ、かつインターリーブされ)、出力チップを生成するために、(たとえば、WiFiまたはWWANに対する)適用可能な無線技術に従って、変調器(Mod)824によってさらに処理され(たとえば、変調され、チャネル化され、かつスクランブルされ)得る。次いで、送信機(TMTR)832は、出力チップを調整し(たとえば、アナログに変換し、フィルタリングし、増幅し、かつアップコンバートし)、被変調信号を生成し、その信号が1つまたは複数のアンテナ834を介して送信される。
【0045】
受信経路上で、アンテナ834は、モバイルアクセサリデバイス802(たとえば、Bluetooth(登録商標))、様々なアクセスポイント804(たとえば、WLAN)または806(たとえば、WWAN)、グローバルナビゲーション衛星システム(GNSS)808(たとえば、GPS)などによって送信された信号を受信し得る。次いで、受信機(RCVR)836は、1つまたは複数のアンテナ834から受信され信号を調整し(たとえば、フィルタリングし、増幅し、ダウンコンバートし、かつデジタル化し)、サンプルを提供することができる。復調器(Demod)826は、サンプルを処理し(たとえば、デスクランブルし、チャネル化し、かつ復調し)、シンボル推定値を提供することができる。デコーダ828は、シンボル推定値をさらに処理し(たとえば、デインタリーブし、かつデコードし)、デコードされたデータを提供することができる。エンコーダ822、変調器824、復調器826、およびデコーダ828は、モデムプロセッサ820を備え得る。これらのユニットは、通信のために使用される1つまたは複数の無線技術に従って処理するステップを実行し得る。
【0046】
1つまたは複数の実施形態によれば、ワイヤレス通信デバイス800は、
図1に示す運動事象識別デバイス100など、上記で説明したタイプの運動事象識別デバイス850をさらに含み得る。運動事象識別デバイス850は、それ自体の上でまたはコントローラ/プロセッサ840を介して働き、定期旅客機の離陸事象が識別されると、(たとえば、ワイヤレス通信デバイス800を機内モードに入らせて)図示の移動電話構成要素の1つ、一部、または全部の動作を自動的にディセーブルし、定期旅客機の着陸事象が識別されると、(たとえば、デバイス800を機内モードから出させて)それらの構成要素を自動的に再イネーブルするように働くことができる。追加または代替として、運動事象識別デバイス850は、拡張されたユーザ情報およびサービスを提供するために、商用定期旅客機での旅行に関連する一定のコンテキスト情報を提供し得る。
【0047】
情報および信号は、多種多様な技術および技法のいずれかを使用して表すことができることを当業者は諒解されよう。たとえば、上記の説明全体にわたって言及され得るデータ、命令、コマンド、情報、信号、ビット、シンボル、およびチップは、電圧、電流、電磁波、磁界または磁性粒子、光場または光学粒子、あるいはそれらの任意の組合せによって表され得る。
【0048】
さらに、本明細書で開示した実施形態に関連して説明した様々な例示的な論理ブロック、モジュール、回路、およびアルゴリズムステップは、電子ハードウェア、コンピュータソフトウェア、または両方の組合せとして実装できることを、当業者は諒解されよう。ハードウェアとソフトウェアのこの互換性を明確に示すために、様々な例示的な構成要素、ブロック、モジュール、回路、およびステップを、上記では概してそれらの機能に関して説明した。そのような機能をハードウェアとして実装するか、ソフトウェアとして実装するかは、特定の適用例および全体的なシステムに課される設計制約に依存する。当業者は、説明した機能を特定の適用例ごとに様々な方法で実装し得るが、そのような実装の決定は、本発明の範囲からの逸脱を生じるものと解釈すべきではない。
【0049】
本明細書で開示した実施形態と関連して説明した方法、シーケンス、および/またはアルゴリズムは、ハードウェアで、プロセッサによって実行されるソフトウェアモジュールで、またはその2つの組合せで直接実施され得る。ソフトウェアモジュールは、RAMメモリ、フラッシュメモリ、ROMメモリ、EPROMメモリ、EEPROMメモリ、レジスタ、ハードディスク、リムーバブルディスク、CD-ROM、または当技術分野で知られている任意の他の形態の記憶媒体中に常駐し得る。例示的な記憶媒体は、プロセッサが記憶媒体から情報を読み取り、記憶媒体に情報を書き込むことができるように、プロセッサに結合される。代替として、記憶媒体はプロセッサと一体であり得る。
【0050】
したがって、本発明の一実施形態は、3軸加速度計データを使用してモバイルデバイスにおいて定期旅客機の離陸または着陸を識別するための方法を組み込むコンピュータ可読媒体を含み得る。したがって、本発明は図示の例に限定されず、本明細書で説明した機能を実行するためのいかなる手段も、本発明の実施形態中に含まれる。
【0051】
上記の開示は本発明の例示的な実施形態を示すが、添付の特許請求の範囲によって規定される本発明の範囲から逸脱することなく、本明細書において様々な変更および修正を行えることに留意されたい。本明細書で説明した本発明の実施形態による方法クレームの機能、ステップおよび/または動作は、特定の順序で実行されなくてもよい。さらに、本発明の要素は、単数形で説明または請求されていることがあるが、単数形に限定することが明示的に述べられていない限り、複数形が企図される。