(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
保持すべき基板の下面と対向する保持面を有する基板保持手段を第1の回転数にて回転させつつ、前記基板保持手段の周囲を取り囲むカップの上端を前記基板保持手段よりも低くして洗浄液供給ノズルから前記保持面に洗浄液を供給し、回転する前記保持面から飛散した洗浄液によって前記カップの外側上面を洗浄するカップ上面洗浄工程と、
前記基板保持手段を第1の回転数よりも大きな第2の回転数にて回転させつつ、前記洗浄液供給ノズルから前記保持面に洗浄液を供給し、回転する前記保持面から飛散した洗浄液によって前記カップの周囲のカップ外領域を洗浄するカップ外領域洗浄工程と、
を備え、
前記カップ外領域洗浄工程では、洗浄液を供給する前記洗浄液供給ノズルを前記保持面の上方にて前記基板保持手段の一端側と他端側との間で往復移動させることを特徴とする洗浄処理方法。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0019】
図1は、本発明に係る洗浄処理方法によって洗浄される対象となる基板処理装置1の平面図である。また、
図2は、基板処理装置1の縦断面図である。この基板処理装置1は、半導体の基板Wを1枚ずつ処理する枚葉式の処理装置であり、円形のシリコンの基板Wに薬液処理および純水を用いたリンス処理を行ってから乾燥処理を行う。なお、
図1はスピンチャック20に基板Wが保持されていない状態を示し、
図2はスピンチャック20に基板Wが保持されている状態を示している。
【0020】
基板処理装置1は、チャンバー10内に、主たる要素として基板Wを水平姿勢(法線が鉛直方向に沿う姿勢)に保持するスピンチャック20と、スピンチャック20に保持された基板Wの上面に処理液を供給するための上面処理液ノズル30と、スピンチャック20の周囲を取り囲む処理カップ40と、を備える。また、チャンバー10内における処理カップ40の周囲には、チャンバー10の内側空間を上下に仕切る仕切板15が設けられている。なお、本明細書において、処理液は、薬液および純水の双方を含む総称である。
【0021】
チャンバー10は、鉛直方向に沿う側壁11、側壁11によって囲まれた空間の上側を閉塞する天井壁12および下側を閉塞する床壁13を備える。側壁11、天井壁12および床壁13によって囲まれた空間が基板Wの処理空間となる。また、チャンバー10の側壁11の一部には、チャンバー10に対して基板Wを搬出入するための搬出入口およびその搬出入口を開閉するシャッターが設けられている(いずれも図示省略)。
【0022】
チャンバー10の天井壁12には、基板処理装置1が設置されているクリーンルーム内の空気をさらに清浄化してチャンバー10内の処理空間に供給するためのファンフィルタユニット(FFU)14が取り付けられている。ファンフィルタユニット14は、クリーンルーム内の空気を取り込んでチャンバー10内に送り出すためのファンおよびフィルタ(例えばHEPAフィルタ)を備えており、チャンバー10内の処理空間に清浄空気のダウンフローを形成する。ファンフィルタユニット14から供給された清浄空気を均一に分散するために、多数の吹出し孔を穿設したパンチングプレートを天井壁12の直下に設けるようにしても良い。
【0023】
スピンチャック20は、鉛直方向に沿って延びる回転軸24の上端に水平姿勢で固定された円板形状のスピンベース21と、スピンベース21の下方に配置されて回転軸24を回転させるスピンモータ22と、スピンモータ22の周囲を取り囲む筒状のカバー部材23と、を備える。円板形状のスピンベース21の外径は、スピンチャック20に保持される円形の基板Wの径よりも若干大きい。よって、スピンベース21は、保持すべき基板Wの下面の全面と対向する保持面21aを有している。
【0024】
スピンベース21の保持面21aの周縁部には複数(本実施形態では4個)のチャック部材26が立設されている。複数のチャック部材26は、円形の基板Wの外周円に対応する円周上に沿って均等な間隔をあけて(本実施形態のように4個のチャック部材26であれば90°間隔にて)配置されている。複数のチャック部材26は、スピンベース21内に収容された図示省略のリンク機構によって連動して駆動される。スピンチャック20は、複数のチャック部材26のそれぞれを基板Wの端縁に当接させて基板Wを挟持することにより、当該基板Wをスピンベース21の上方で保持面21aに近接した水平姿勢にて保持することができるとともに(
図2参照)、複数のチャック部材26のそれぞれを基板Wの端縁から離間させて挟持を解除することができる。
【0025】
スピンモータ22を覆うカバー部材23は、その下端がチャンバー10の床壁13に固定され、上端がスピンベース21の直下にまで到達している。カバー部材23の上端部には、カバー部材23から外方へほぼ水平に張り出し、さらに下方に屈曲して延びる鍔状部材25が設けられている。複数のチャック部材26による挟持によってスピンチャック20が基板Wを保持した状態にて、スピンモータ22が回転軸24を回転させることにより、基板Wの中心を通る鉛直方向に沿った回転軸CXまわりに基板Wを回転させることができる。なお、スピンモータ22の駆動は制御部9によって制御される。
【0026】
上面処理液ノズル30は、ノズルアーム32の先端に吐出ヘッド31を取り付けて構成されている。ノズルアーム32の基端側はノズル基台33に固定して連結されている。ノズル基台33は図示を省略するモータによって鉛直方向に沿った軸のまわりで回動可能とされている。ノズル基台33が回動することにより、上面処理液ノズル30の吐出ヘッド31はスピンチャック20の上方の処理位置と処理カップ40よりも外側の待機位置との間で水平方向に沿って円弧状に移動する。上面処理液ノズル30には、複数種の処理液(少なくとも純水を含む)が供給されるように構成されている。処理位置にて上面処理液ノズル30の吐出ヘッド31から吐出された処理液はスピンチャック20に保持された基板Wの上面に着液する。また、ノズル基台33の回動によって、上面処理液ノズル30はスピンベース21の保持面21aの上方にて揺動可能とされている。
【0027】
一方、回転軸24の内側を挿通するようにして鉛直方向に沿って下面処理液ノズル28が設けられている。下面処理液ノズル28の上端開口は、スピンチャック20に保持された基板Wの下面中央に対向する位置に形成されている。下面処理液ノズル28にも複数種の処理液が供給されるように構成されている。下面処理液ノズル28から吐出された処理液はスピンチャック20に保持された基板Wの下面に着液する。
【0028】
また、基板処理装置1には、上面処理液ノズル30とは別に二流体ノズル60が設けられている。二流体ノズル60は、純水などの洗浄液と加圧した気体とを混合して液滴を生成し、その液滴と気体との混合流体を基板Wに噴射する洗浄ノズルである。二流体ノズル60は、ノズルアーム62の先端に図示省略の液体ヘッドを取り付けるとともに、ノズルアーム62から分岐するように設けられた支持部材に気体ヘッド64を取り付けて構成されている。ノズルアーム62の基端側はノズル基台63に固定して連結されている。ノズル基台63は図示を省略するモータによって鉛直方向に沿った軸のまわりで回動可能とされている。ノズル基台63が回動することにより、二流体ノズル60はスピンチャック20の上方の処理位置と処理カップ40よりも外側の待機位置との間で水平方向に沿って円弧状に移動する。液体ヘッドには純水などの洗浄液が供給され、気体ヘッド64には加圧された不活性ガス(本実施形態では窒素ガス(N
2))が供給される。処理位置にて二流体ノズル60から噴出された洗浄液の混合流体はスピンチャック20に保持された基板Wの上面に吹き付けられる。
【0029】
スピンチャック20を取り囲む処理カップ40は、互いに独立して昇降可能な内カップ41、中カップ42および外カップ43を備えている。内カップ41は、スピンチャック20の周囲を取り囲み、スピンチャック20に保持された基板Wの中心を通る回転軸CXに対してほぼ回転対称となる形状を有している。この内カップ41は、平面視円環状の底部44と、底部44の内周縁から上方に立ち上がる円筒状の内壁部45と、底部44の外周縁から上方に立ち上がる円筒状の外壁部46と、内壁部45と外壁部46との間から立ち上がり、上端部が滑らかな円弧を描きつつ中心側(スピンチャック20に保持される基板Wの回転軸CXに近づく方向)斜め上方に延びる第1案内部47と、第1案内部47と外壁部46との間から上方に立ち上がる円筒状の中壁部48とを一体的に備えている。
【0030】
内壁部45は、内カップ41が最も上昇された状態で、カバー部材23と鍔状部材25との間に適当な隙間を保って収容されるような長さに形成されている(
図9参照)。中壁部48は、内カップ41と中カップ42とが最も近接した状態で、中カップ42の後述する第2案内部52と処理液分離壁53との間に適当な隙間を保って収容されるような長さに形成されている。
【0031】
第1案内部47は、滑らかな円弧を描きつつ中心側(基板Wの回転軸CXに近づく方向)斜め上方に延びる上端部47bを有している。また、内壁部45と第1案内部47との間は、使用済みの処理液を集めて廃棄するための廃棄溝49とされている。第1案内部47と中壁部48との間は、使用済みの処理液を集めて回収するための円環状の内側回収溝50とされている。さらに、中壁部48と外壁部46との間は、内側回収溝50とは種類の異なる処理液を集めて回収するための円環状の外側回収溝51とされている。
【0032】
廃棄溝49には、この廃棄溝49に集められた処理液を排出するとともに、廃棄溝49内を強制的に排気するための図示省略の排気液機構が接続されている。排気液機構は、例えば、廃棄溝49の周方向に沿って等間隔で4つ設けられている。また、内側回収溝50および外側回収溝51には、内側回収溝50および外側回収溝51にそれぞれ集められた処理液を基板処理装置1の外部に設けられた回収タンクに回収するための回収機構(いずれも図示省略)が接続されている。なお、内側回収溝50および外側回収溝51の底部は、水平方向に対して微少角度だけ傾斜しており、その最も低くなる位置に回収機構が接続されている。これにより、内側回収溝50および外側回収溝51に流れ込んだ処理液が円滑に回収される。
【0033】
中カップ42は、スピンチャック20の周囲を取り囲み、スピンチャック20に保持された基板Wの中心を通る回転軸CXに対してほぼ回転対称となる形状を有している。この中カップ42は、第2案内部52と、この第2案内部52に連結された円筒状の処理液分離壁53とを一体的に備えている。
【0034】
第2案内部52は、内カップ41の第1案内部47の外側において、第1案内部47の下端部と同軸円筒状をなす下端部52aと、下端部52aの上端から滑らかな円弧を描きつつ中心側(基板Wの回転軸CXに近づく方向)斜め上方に延びる上端部52bと、上端部52bの先端部を下方に折り返して形成される折返し部52cとを有している。下端部52aは、内カップ41と中カップ42とが最も近接した状態で、第1案内部47と中壁部48との間に適当な隙間を保って内側回収溝50内に収容される。また、上端部52bは、内カップ41の第1案内部47の上端部47bと上下方向に重なるように設けられ、内カップ41と中カップ42とが最も近接した状態で、第1案内部47の上端部47bに対してごく微小な間隔を保って近接する。さらに、上端部52bの先端を下方に折り返して形成される折返し部52cは、内カップ41と中カップ42とが最も近接した状態で、折返し部52cが第1案内部47の上端部47bの先端と水平方向に重なるような長さとされている。
【0035】
また、第2案内部52の上端部52bは、下方ほど肉厚が厚くなるように形成されており、処理液分離壁53は上端部52bの下端外周縁部から下方に延びるように設けられた円筒形状を有している。処理液分離壁53は、内カップ41と中カップ42とが最も近接した状態で、中壁部48と外カップ43との間に適当な隙間を保って外側回収溝51内に収容される。
【0036】
外カップ43は、中カップ42の第2案内部52の外側において、スピンチャック20の周囲を取り囲み、スピンチャック20に保持された基板Wの中心を通る回転軸CXに対してほぼ回転対称となる形状を有している。この外カップ43は、第3案内部としての機能を有する。外カップ43は、第2案内部52の下端部52aと同軸円筒状をなす下端部43aと、下端部43aの上端から滑らかな円弧を描きつつ中心側(基板Wの回転軸CXに近づく方向)斜め上方に延びる上端部43bと、上端部43bの先端部を下方に折り返して形成される折返し部43cとを有している。
【0037】
下端部43aは、内カップ41と外カップ43とが最も近接した状態で、中カップ42の処理液分離壁53と内カップ41の外壁部46との間に適当な隙間を保って外側回収溝51内に収容される。また、上端部43bは、中カップ42の第2案内部52と上下方向に重なるように設けられ、中カップ42と外カップ43とが最も近接した状態で、第2案内部52の上端部52bに対してごく微小な間隔を保って近接する。さらに、上端部43bの先端部を下方に折り返して形成される折返し部43cは、中カップ42と外カップ43とが最も近接した状態で、折返し部43cが第2案内部52の折返し部52cと水平方向に重なるように形成されている。
【0038】
また、内カップ41、中カップ42および外カップ43は互いに独立して昇降可能とされている。すなわち、内カップ41、中カップ42および外カップ43のそれぞれには個別に昇降機構(図示省略)が設けられており、それによって別個独立して昇降される。このような昇降機構としては、例えばボールネジ機構やエアシリンダなどの公知の種々の機構を採用することができる。
【0039】
仕切板15は、処理カップ40の周囲においてチャンバー10の内側空間を上下に仕切るように設けられている。仕切板15は、処理カップ40を取り囲む1枚の板状部材であっても良いし、複数の板状部材をつなぎ合わせたものであっても良い。また、仕切板15には、厚さ方向に貫通する貫通孔や切り欠きが形成されていても良く、本実施形態では上面処理液ノズル30および二流体ノズル60のノズル基台33,63を支持するための支持軸を通すための貫通穴が形成されている。
【0040】
仕切板15の外周端はチャンバー10の側壁11に連結されている。また、仕切板15の処理カップ40を取り囲む端縁部は外カップ43の外径よりも大きな径の円形形状となるように形成されている。よって、仕切板15が外カップ43の昇降の障害となることはない。
【0041】
また、チャンバー10の側壁11の一部であって、床壁13の近傍には排気ダクト18が設けられている。排気ダクト18は図示省略の排気機構に連通接続されている。ファンフィルタユニット14から供給されてチャンバー10内を流下した清浄空気のうち、処理カップ40と仕切板15と間を通過した空気は排気ダクト18から装置外に排出される。
【0042】
基板処理装置1に設けられた制御部9のハードウェアとしての構成は一般的なコンピュータと同様である。すなわち、制御部9は、各種演算処理を行うCPU、基本プログラムを記憶する読み出し専用のメモリであるROM、各種情報を記憶する読み書き自在のメモリであるRAMおよび制御用ソフトウェアやデータなどを記憶しておく磁気ディスクなどを備えて構成される。制御部9のCPUが所定の処理プログラムを実行することによって、基板処理装置1の各動作機構が制御部9に制御され、基板処理装置1における処理が進行する。
【0043】
次に、上記の構成を有する基板処理装置1における動作について説明する。基板処理装置1における一般的な基板Wの処理手順の概略は、基板Wの表面に薬液を供給して所定の薬液処理を行った後、純水を供給して純水リンス処理を行い、その後基板Wを高速回転させて振り切り乾燥処理を行うというものである。基板Wの処理を行う際には、スピンチャック20に基板Wを保持するとともに、処理カップ40が昇降動作を行う。薬液処理を行うときには、例えば外カップ43のみが上昇し、外カップ43の上端部43bと中カップ42の第2案内部52の上端部52bとの間に、スピンチャック20に保持された基板Wの周囲を取り囲む開口が形成される(
図7参照)。この状態にて基板Wがスピンチャック20とともに回転され、上面処理液ノズル30および下面処理液ノズル28から基板Wの上面および下面に薬液が供給される。供給された薬液は基板Wの回転による遠心力によって基板Wの上面および下面に沿って流れ、やがて基板Wの端縁部から側方に向けて飛散される。これにより、基板Wの薬液処理が進行する。回転する基板Wの端縁部から飛散した薬液は外カップ43の上端部43bによって受け止められ、外カップ43の内面を伝って流下し、外側回収溝51に回収される。
【0044】
また、純水リンス処理を行うときには、例えば、内カップ41、中カップ42および外カップ43の全てが上昇し、スピンチャック20に保持された基板Wの周囲が内カップ41の第1案内部47によって取り囲まれる(
図9参照)。この状態にて基板Wがスピンチャック20とともに回転され、上面処理液ノズル30および下面処理液ノズル28から基板Wの上面および下面に純水が供給される。供給された純水は基板Wの回転による遠心力によって基板Wの上面および下面に沿って流れ、やがて基板Wの端縁部から側方に向けて飛散される。これにより、基板Wの純水リンス処理が進行する。回転する基板Wの端縁部から飛散した純水は第1案内部47の内壁を伝って流下し、廃棄溝49から排出される。なお、純水を薬液とは別経路にて回収する場合には、中カップ42および外カップ43を上昇させ、中カップ42の第2案内部52の上端部52bと内カップ41の第1案内部47の上端部47bとの間に、スピンチャック20に保持された基板Wの周囲を取り囲む開口を形成するようにしても良い(
図8参照)。
【0045】
また、振り切り乾燥処理を行うときには、内カップ41、中カップ42および外カップ43の全てが下降し、内カップ41の第1案内部47の上端部47b、中カップ42の第2案内部52の上端部52bおよび外カップ43の上端部43bのいずれもがスピンチャック20に保持された基板Wよりも下方に位置する。この状態にて基板Wがスピンチャック20とともに高速回転され、基板Wに付着していた水滴が遠心力によって振り切られ、乾燥処理が行われる。
【0046】
このような処理液を基板Wに供給しての表面処理を行うときに、回転する基板Wから飛散した処理液の大半は処理カップ40によって回収されるものの、一部はミスト状となって処理カップ40の外部にまで飛散することがある。処理カップ40の外部に飛散した処理液は処理カップ40の外側上面や仕切板15にまで到達して付着する。ここで処理カップ40の外側上面とは、最も外側に位置する外カップ43の上端部43bの外側上面43dである。処理カップ40の外側上面43dや仕切板15の上面に付着した処理液が乾燥するとパーティクルなどを発生する汚染源となるおそれがある。
【0047】
このため、本実施形態においては、以下のようにして処理カップ40の外側上面43dおよび仕切板15の上面を洗浄している。
図3は、本発明に係る洗浄処理方法の手順を示すフローチャートである。本実施形態の洗浄処理は、基板処理装置1に基板Wが存在していない状態で行うものであり、例えば処理ロット間のタイミングにて行うのが好ましい。
【0048】
まず、処理カップ40の外側上面43dの洗浄処理を行う(ステップS1)。基板処理装置1に基板Wが存在していないとき、すなわちスピンチャック20が基板Wを保持していない状態にて、内カップ41、中カップ42および外カップ43の全てが最も下方にまで下降する。これにより、内カップ41の第1案内部47の上端部47b、中カップ42の第2案内部52の上端部52bおよび外カップ43の上端部43bのいずれもがスピンチャック20のスピンベース21の保持面21aよりも下方に位置することとなる(
図2の状態)。この状態にてスピンモータ22の駆動によってスピンチャック20のスピンベース21が回転軸CXのまわりに回転する。ステップS1におけるスピンベース21の回転数は250rpm〜350rpm(第1の回転数)であり、その値は制御部9によって制御されている。
【0049】
スピンベース21を250rpm〜350rpmにて回転させつつ、処理カップ40の上端(上端部47b、上端部52bおよび上端部43b)をスピンベース21の保持面21aよりも低くし、上面処理液ノズル30のノズル基台33がノズルアーム32を回動させて吐出ヘッド31をスピンベース21の上方に移動させる。そして、回転するスピンベース21の保持面21aに吐出ヘッド31から洗浄液(本実施形態では純水)を供給する。
【0050】
このときに、
図4に示すように、制御部9の制御によってノズル基台33がノズルアーム32を揺動し、純水を供給する吐出ヘッド31をスピンベース21の上方で往復移動させる。この往復移動は、例えば円板形状のスピンベース21の径方向に沿った一端側と他端側との間で吐出ヘッド31を繰り返し移動させるようにすれば良い。また、往復移動は、吐出ヘッド31を絶えず移動させる連続往復移動に限定されるものではなく、吐出ヘッド31が上記一端側にて暫時停止した後に他端側に移動して暫時停止し、しかる後に再び一端側に移動して暫時停止することを繰り返す間欠往復移動であっても良い。
【0051】
回転するスピンベース21の保持面21aに純水を供給すると、遠心力によって保持面21aの端縁部から側方に向けて純水が飛散される。そして、スピンベース21の保持面21aよりも処理カップ40の上端の方が低いため、
図5に示すように、回転する保持面21aから飛散した純水は処理カップ40の外側上面43d(詳細には外カップ43の外側上面43d)に降り注ぐこととなる。飛散した純水が降り注ぐことにより、処理カップ40の外側上面43dに付着していた処理液が洗い流されて外側上面43dが洗浄される。
【0052】
吐出ヘッド31がスピンベース21の径方向に沿った一端側の上方に位置しているときには、当該一端側に近い処理カップ40の外側上面43dに降り注ぐ純水の量が多くなってその領域の良好な洗浄が行われる。一方、吐出ヘッド31がスピンベース21の他端側の上方に位置しているときには、当該他端側に近い処理カップ40の外側上面43dに降り注ぐ純水の量が多くなり、その領域の良好な洗浄が行われる。このようにして、上面処理液ノズル30の吐出ヘッド31がスピンベース21の上方で往復移動することにより、処理カップ40の外側上面43dの全体にわたって良好な洗浄が行われることとなる。
【0053】
処理カップ40の外側上面43dの洗浄処理を行った後、仕切板15およびチャンバー10の側壁11の洗浄処理を行う(ステップS2)。このときにも、基板Wを保持していないスピンチャック20の周囲において内カップ41、中カップ42および外カップ43の全てが最も下方にまで下降した状態にて、スピンベース21が回転軸CXのまわりに回転する。ステップS2におけるスピンベース21の回転数は350rpm〜450rpm(第2の回転数)であり、ステップS1における第1の回転数よりも大きい。すなわち、ステップS1からステップS2に移行するときには、制御部9がスピンベース21の回転数のみを高くしているのである。
【0054】
処理カップ40の上端(上端部47b、上端部52bおよび上端部43b)をスピンベース21の保持面21aよりも低くした状態にて、スピンベース21を350rpm〜450rpmにて回転させつつ、吐出ヘッド31から保持面21aに純水を供給する。このときには、上記ステップS1におけるのと同様に、純水を供給する吐出ヘッド31をスピンベース21の上方で往復移動させる。
【0055】
回転するスピンベース21の保持面21aに純水を供給すると、遠心力によって保持面21aの端縁部から側方に向けて純水が飛散される。このときに、スピンベース21の保持面21aよりも処理カップ40の上端の方が低く、またステップS1のカップ上面洗浄のときよりもスピンベース21の回転数が大きいためにより強い遠心力が純水に作用する。その結果、
図6に示すように、回転する保持面21aから飛散した純水はステップS1よりもさらに遠くの仕切板15の上面およびチャンバー10の側壁11に降り注ぐこととなる。スピンベース21から飛散した純水が降り注ぐことにより、仕切板15の上面およびチャンバー10の側壁11が洗浄される。
【0056】
また、ステップS1におけるカップ上面洗浄と同様に、吐出ヘッド31がスピンベース21の径方向に沿った一端側の上方に位置しているときには、当該一端側に近い仕切板15および側壁11に降り注ぐ純水の量が多くなる。一方、吐出ヘッド31がスピンベース21の他端側の上方に位置しているときには、当該他端側に近い仕切板15および側壁11に降り注ぐ純水の量が多くなる。このようにして、吐出ヘッド31がスピンベース21の上方で往復移動することにより、仕切板15の上面およびチャンバー10の側壁11の全体にわたって良好な洗浄が行われることとなる。
【0057】
次に、処理カップ40の内側の洗浄処理を行う(ステップS3)。処理カップ40は、互いに独立して昇降可能な内カップ41、中カップ42および外カップ43を備えており、これら内カップ41、中カップ42および外カップ43の内側面が案内部として機能する。すなわち、処理カップ40には高さ方向に沿って複数の案内部が設けられている。カップ内洗浄を行うときには、基板Wを保持していないスピンチャック20の周囲において外カップ43、中カップ42および内カップ41が順次に上昇する。そして、スピンモータ22の駆動によってスピンチャック20のスピンベース21が回転軸CXのまわりに回転する。ステップS3におけるスピンベース21の回転数は100rpm〜200rpm(第3の回転数)であり、ステップS1における第1の回転数よりも小さい。
【0058】
外カップ43の内側を洗浄するときには、
図7に示すように、外カップ43のみが上昇する。これにより、外カップ43の上端部43bがスピンベース21の保持面21aよりも高くなり、外カップ43の上端部43bと中カップ42の上端部52bとの間に、スピンベース21の保持面21aの周囲を取り囲む開口が形成される。その結果、第3案内部として機能する外カップ43がスピンベース21の保持面21aと同じ高さにてその周囲を取り囲むこととなる。この状態にてスピンベース21を100rpm〜200rpmで回転させつつ、吐出ヘッド31から保持面21aに純水を供給する。また、上記ステップS1,S2におけるのと同様に、純水を供給する吐出ヘッド31をスピンベース21の上方で往復移動させる。
【0059】
スピンベース21を回転させつつ、吐出ヘッド31から保持面21aに純水を供給することにより、遠心力によって保持面21aの端縁部から外カップ43の内側に向けて純水が飛散される。
図7に示すように、スピンベース21の保持面21aから飛散した純水は、外カップ43の内側面と同時に中カップ42の外側上面にも降り注ぐこととなる。これにより、外カップ43の内側面および中カップ42の外側上面が洗浄されることとなる。また、上記と同様に、吐出ヘッド31がスピンベース21の上方で往復移動することにより、外カップ43の内側全体が良好に洗浄されることとなる。
【0060】
また、中カップ42の内側を洗浄するときには、
図8に示すように、外カップ43および中カップ42が上昇する(内カップ41のみが下降している)。これにより、外カップ43の上端部43bおよび中カップ42の上端部52bがスピンベース21の保持面21aよりも高くなり、中カップ42の上端部52bと内カップ41の上端部47bとの間に、スピンベース21の保持面21aの周囲を取り囲む開口が形成される。その結果、中カップ42の第2案内部52がスピンベース21の保持面21aと同じ高さにてその周囲を取り囲むこととなる。この状態にてスピンベース21を100rpm〜200rpmで回転させつつ、吐出ヘッド31から保持面21aに純水を供給する。また、上記と同様に、純水を供給する吐出ヘッド31をスピンベース21の上方で往復移動させる。
【0061】
スピンベース21を回転させつつ、吐出ヘッド31から保持面21aに純水を供給することにより、遠心力によって保持面21aの端縁部から中カップ42の内側に向けて純水が飛散される。
図8に示すように、スピンベース21の保持面21aから飛散した純水は、中カップ42の内側面と同時に内カップ41の外側上面にも降り注ぐこととなる。これにより、中カップ42の内側面(第2案内部52)および内カップ41の外側上面が洗浄されることとなる。また、吐出ヘッド31がスピンベース21の上方で往復移動することにより、中カップ42の内側全体が良好に洗浄されることとなる。
【0062】
さらに、内カップ41の内側を洗浄するときには、
図9に示すように、外カップ43、中カップ42および内カップ41の全てが上昇する。これにより、外カップ43の上端部43b、中カップ42の上端部52bおよび内カップ41の上端部47bの全てがスピンベース21の保持面21aよりも高くなり、内カップ41の第1案内部47がスピンベース21の保持面21aと同じ高さにてその周囲を取り囲むこととなる。この状態にてスピンベース21を100rpm〜200rpmで回転させつつ、吐出ヘッド31から保持面21aに純水を供給する。また、純水を供給する吐出ヘッド31をスピンベース21の上方で往復移動させる。
【0063】
スピンベース21を回転させつつ、吐出ヘッド31から保持面21aに純水を供給することにより、遠心力によって保持面21aの端縁部から内カップ41の内側に向けて純水が飛散される。
図9に示すように、スピンベース21の保持面21aから飛散した純水は、内カップ41の内側面(第1案内部47)に降り注ぐ。これにより、内カップ41の内側面が洗浄されることとなる。また、吐出ヘッド31がスピンベース21の上方で往復移動することにより、内カップ41の内側全体が良好に洗浄されることとなる。
【0064】
このように、ステップS3では、内カップ41、中カップ42および外カップ43の内側面によって形成される3つの案内部のそれぞれがスピンベース21の保持面21aと同じ高さとなるようにして各案内部を洗浄するようにしている。
【0065】
以上のようにして処理カップ40の内側の洗浄処理が終了した後、乾燥処理を行う(ステップS4)。乾燥処理を行うときには、ステップS1,S2と同様に、内カップ41、中カップ42および外カップ43の全てが最も下方にまで下降し、処理カップ40の上端(上端部47b、上端部52bおよび上端部43b)がスピンベース21の保持面21aよりも低くなる。また、上面処理液ノズル30の吐出ヘッド31は処理カップ40よりも外側の待機位置にまで移動する。この状態にてスピンモータ22の駆動によってスピンチャック20のスピンベース21が回転軸CXのまわりに高速回転する。ステップS4の乾燥処理時におけるスピンベース21の回転数は約2500rpm(第4の回転数)であり、ステップS2における第2の回転数よりも顕著に大きい。
【0066】
図10は、スピンベース21の回転による乾燥処理を示す図である。保持面21aの周縁部に複数のチャック部材26を設けたスピンベース21が高速回転することにより、チャンバー10内に渦状の気流が形成される。このスピンベース21の回転にともなって生じた気流が吹き付けられることにより、処理カップ40の外側上面43d、仕切板15の上面およびチャンバー10の側壁11が乾燥される。
【0067】
また、スピンベース21の回転と併せて、二流体ノズル60から処理カップ40の外側上面43dに不活性ガス(本実施形態では窒素ガス(N
2))の吹き付けを行う。このときには、二流体ノズル60への液体の供給を行うことなく、気体ヘッド64に不活性ガスを供給し、気体ヘッド64から不活性ガスのみを吐出する。また、二流体ノズル60のノズル基台63がノズルアーム62を揺動し、不活性ガスを噴出する気体ヘッド64を処理カップ40および仕切板15の上方で移動させるようにしても良い。スピンベース21の回転によって生じた気流に加えて、二流体ノズル60から不活性ガスを吹き付けることにより、処理カップ40の外側上面43dおよび仕切板15の乾燥効率を高めることができる。
【0068】
本実施形態においては、スピンチャック20のスピンベース21を250rpm〜350rpm(第1の回転数)にて回転させつつ、スピンベース21の周囲を取り囲む処理カップ40の上端をスピンベース21の保持面21aよりも低くして上面処理液ノズル30から保持面21aに洗浄液を供給している。そして、回転するスピンベース21の保持面21aから飛散した洗浄液によって処理カップ40の外側上面43dを洗浄している。
【0069】
また、スピンベース21を第1の回転数よりも大きな350rpm〜450rpm(第2の回転数)にて回転させつつ、上面処理液ノズル30からスピンベース21の保持面21aに洗浄液を供給し、回転する保持面21aから飛散した洗浄液によって処理カップ40よりも外側の仕切板15およびチャンバー10の側壁11を洗浄している。
【0070】
スピンチャック20、処理カップ40、上面処理液ノズル30などの基板処理装置1の要素は、いずれも本来は基板Wに対して表面処理を行うために使用するものであって、スピンチャック20に基板Wを保持している状態で動作することを前提としたものである。すなわち、チャンバー10内に設けられたこれらの各要素は基板W以外のものを洗浄することを目的として設けられたものではない。
【0071】
本実施形態では、基板Wを保持していないスピンチャック20を回転させつつ、スピンベース21の保持面21aに上面処理液ノズル30から洗浄液を供給し、回転するスピンベース21から遠心力によって飛散した洗浄液により処理カップ40の外側上面43d、仕切板15およびチャンバー10の側壁11を洗浄している。すなわち、本実施形態のようにすれば、専用の洗浄機構を設けることなく、処理カップ40の外側上面43dおよび周囲を洗浄することができるのである。
【0072】
また、本実施形態においては、制御部9の制御によってスピンベース21の回転数を調整するだけで処理カップ40の外側上面43dの洗浄から処理カップ40の周囲のカップ外領域の洗浄に移行することができる。よって、特別な専用機構を設けることなく、処理カップ40の外側上面43dおよび周囲を順次に洗浄することができる。また、ステップS3にて処理カップ40の内側を洗浄するときにも、スピンベース21の回転数を微調整することにより、上下に隣り合う2つのカップの内側面および外側面を順次に洗浄することができる。例えば、
図7の状態にて、スピンベース21の回転数を高くすることにより中カップ42の外側上面の洗浄から外カップ43の内側面の洗浄に移行することができ、同様に
図8の状態にて、スピンベース21の回転数を高くすることにより内カップ41の外側上面の洗浄から中カップ42の内側面の洗浄に移行することができる。
【0073】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、この発明はその趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記実施形態においては、ステップS1〜S3で使用する洗浄液を純水としていたが、これに限定されるものではなく、薬液を純水で希釈した液を洗浄液として用いるようにしても良い。
【0074】
また、上記実施形態では、スピンベース21の保持面21aに洗浄液を供給する洗浄液供給ノズルとして上面処理液ノズル30を用いていたが、これに代えて、ステップS1〜S3で二流体ノズル60からスピンベース21に洗浄液を供給するようにしても良い。なお、二流体ノズル60も本来は基板Wに対して表面処理を行うためのものであって、基板W以外の要素を洗浄するために設けられているものではない。
【0075】
また、ステップS2では、スピンベース21の回転数を高くして仕切板15およびチャンバー10の側壁11の洗浄処理を行っていたが、仕切板15を設けていない場合であっても処理カップ40と側壁11との間に設けられた各種要素を洗浄することができる。すなわち、ステップS2では、回転するスピンベース21の保持面21aから飛散した洗浄液によって処理カップ40の周囲のカップ外領域を洗浄する形態であれば良い。
【0076】
また、上記実施形態においては、処理カップ40に互いに独立して昇降可能な内カップ41、中カップ42および外カップ43を備えていたが、3つのカップが一体に構成されて昇降するものであっても良い。3つのカップが高さ方向に沿って多段に一体に積層されている場合には、ステップS3でそれぞれのカップが順次にスピンベース21の保持面21aを取り囲むように昇降移動するようにすれば良い。さらに、処理カップ40はスピンベース21を取り囲む1段のカップのみを備えるものであっても良い。
【0077】
また、上記実施形態においては、二流体ノズル60から処理カップ40の外側上面43dに窒素ガスを吹き付けていたが、これに代えて他の種類の不活性ガス(例えば、アルゴン(Ar))を吹き付けるようにしても良いし、不活性ガス以外の気体(例えば、空気)を吹き付けるようにしても良い。
【0078】
また、基板洗浄装置1によって処理対象となる基板は半導体基板に限定されるものではなく、液晶表示装置などのフラットパネルディスプレイに用いるガラス基板であっても良い。