(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態に係るコネクタ1は、
図1等で示すように、ハウジング3とケース5とケースカバー(基板支持体)7とを備えて構成されている。
【0015】
ハウジング3には、回動支軸部(回動支持軸)9と被係止部11と端子(コンタクト)13が収容される(複数の)端子収容室15とが設けられている。
【0016】
ケース5には、回動軸受け部17と係止部19とハウジング3が収容されるハウジング収容部21とが設けられている。そして、回動軸受け部17にハウジング3の回動支軸部9が係合してハウジング3がケース5に対して回動し(
図8、
図9等参照)、ケース5の係止部19にハウジング3の被係止部11が係止され、ケース5がハウジング3に一体的に設置されるように構成されている(
図11、
図12等参照)。
【0017】
また、コネクタ1(ケースカバー7等)には、基板23が設置されるようになっている(
図9等参照)。基板23は、たとえば、平板状に形成されており、複数の被接触部25が設けられている(
図6等参照)。
【0018】
端子13は、
図2で示すように、接触部材(接触部)27と、付勢部材(付勢部)29とを備えて構成されている。付勢部材29は、接触部材27が基板23の被接触部25に接触して被接触部25を押すように接触部材27を付勢するようになっている。
【0019】
ケースカバー7は、
図8、
図11等で示すように、ケース5に一体的に設置され基板23を一体的に支持するようになっている。また、ケースカバー7には、補強リブ31が設けられている。補強リブ31は、端子ハウジング設置状態になったときに基板23の被接触部25が端子13の接触部材27で押されることによる基板23の撓みを防止するためのものである。ここで、端子ハウジング設置状態とは、ハウジング3の端子収容室15に端子13が収容されハウジング3の回動支軸部9がケース5の回動軸受け部17に係合してハウジング3がケース5に対して回動しハウジング3の被係止部11がケース5の係止部19に係止された状態をいう(
図11〜
図13参照)。
【0020】
端子13の接触部材27が被接触部25を押す方向(接触部材27の押圧方向)から見ると、
図14で示すように、補強リブ31は、「ロ」字状(格子状)に形成されている。接触部材27が被接触部25を押している部位(接触部材27と被接触部25とがお互いに接触している部位)が、補強リブ31の内側に存在している。
【0021】
ここで、コネクタ1について例を掲げてさらに詳しく説明する。
【0022】
説明の便宜のために、コネクタ1やこの構成部品(ハウジング3等)における一方向を幅方向とし、幅方向に直交する他の一方向を長手方向とし、幅方向と長手方向とに直交する方向を高さ方向とする。
【0023】
基板23の被接触部25は、金属等の導電性材料で薄膜状に形成されている。被接触部25は、平板状に構成されている基板本体部33の厚さ方向の一方の面に設けられている。基板本体部33は、絶縁性の材料で構成されている。被接触部25が薄膜状に形成されているので、被接触部25が設けられている基板本体部33の厚さ方向の一方の面は平面状になっている。
【0024】
各被接触部25はお互いが離れて設けられており、たとえば、幅方向と長手方向とにならんで、行列状に配置されている(
図1、
図6等参照)。また、基板23は、この厚さ方向が上下方向になり、上面に各被接触部25が存在している。
【0025】
端子13は、
図2等で示すように、筐体(箱部)35と接触部材27と付勢部材29とを備えて構成されている。筐体35と接触部材27と付勢部材29とは、金属等の導電性材料で構成されている。
【0026】
筐体35は、薄板の素材をプレス加工することで形成されており、矩形な筒状の接触部材係合部37と、ケーブル係止部39とを備えて構成されている。接触部材27は、筐体35の接触部材係合部37に係合しており、筐体35に対して所定の距離だけ移動自在になっている。付勢部材29は、接触部材27が筐体35から突出(高さ方向下側に突出)するように接触部材27を付勢している。端子13が単体で存在しているときには、接触部材27は、筐体35に設けられている突出側ストッパ41に当接し筐体35に対して最も突出した位置(最突出位置)に存在している(
図2(a)参照)。
【0027】
この最突出位置にある状態から筐体35の内部に引っ込む方向(上方向)に接触部材27が押されると、付勢部材29が弾性変形し、接触部材27が筐体35の内部に引っ込む方向に移動するようになっている。なお、接触部材を27さらに押すと、接触部材27が筐体35から突出していない最も引っ込んだ位置(最引っ込み位置)に存在するようになっている。
【0028】
付勢部材29は、たとえば、圧縮コイルバネで構成されており、筐体35の内側に設けられており、一端部が接触部材27に係合(当接)し他端部が筐体35のストッパ43に当接している。そして、接触部材27を
図3の右方向に付勢している。
図3に示す状態では、接触部材27が最突出位置に存在している。筐体35を固定した状態で接触部材27が
図3の左側に押されると、付勢部材29が圧縮されて弾性変形し、接触部材27が最引っ込み位置側(
図3の左側)に移動するようになっている。
【0029】
また、ケーブル係止部39をカシメることで、電線等のケーブルCBが、ケーブル係止部39(筐体35)に一体的に設置されるようになっている。筐体35に設置されたケーブルCBは、筐体35の上側から上方に延出するようになっている。なお、端子13において、接触部材27と付勢部材29とを一体成形した構成であってもよい。
【0030】
ハウジング3は、樹脂等の絶縁性材料によって一体成形されており、
図1や
図4等で示すように、直方体状に形成されたハウジング本体部45と回動支軸部9と被係止部11とを備えて構成されている。ハウジング本体部45には、端子収容室15が設けられている。
【0031】
回動支軸部9は、長手方向の一端部であって高さ方向の上端のところに設けられている。また、回動支軸部9は、円柱状に形成されており、ハウジング本体部45からこの幅方向の両側に突出している。
【0032】
端子収容室15は、端子13の筐体35とほぼ同形状な貫通孔で構成されており、ハウジング本体部45をこの高さ方向に貫通している。端子収容室15内には、ランス47と端子係止部49とが設けられている。そして、ケーブルCBが設置された端子13が、
図3において、ハウジング3から離れてハウジング3の左側に存在している状態から、端子13を右側に移動して、ハウジング3の端子収容室15に挿入すると、次のようにして、端子13がハウジング3に一体的に設置されるようになっている。
【0033】
まず、端子13の筐体35の接触部材係合部37によってランス47が弾性変形する。端子13をさらに右に移動すると、端子13の接触部材係合部37に設けられている被係止部51が、端子係止部49に突き当たり、ランス47が復元し、端子13がハウジング3に一体的に設置されるようになっている。
【0034】
なお、端子13をハウジング3に設置し終えた状態では、ケーブルCBは、ハウジング3から上方に延出している。端子13の接触部材27がハウジング本体部45から突出し最突出位置に位置している。端子収容室15は、基板23の被接触部25の数と同じ数だけ存在しており、各端子13のそれぞれが各端子収容室15のそれぞれを収容されるようになっている。
【0035】
また、ハウジング本体部45には、
図4等で示すように、被係止部11が設けられている。被係止部11は、ハウジング本体部45の長手方向の他端部に設けられている。また、被係止部11は、弾性部53と突起部55とを備えて構成されている。
【0036】
ケース5は、樹脂等の絶縁性材料によって一体成形されており、
図5等で示すように、「ロ」字状のケース本体部57と回動軸受け部17と係止部19とハウジング収容部21とを備えて構成されている。
【0037】
回動軸受け部17は、ケース本体部57の長手方向の一端部であって上下方向の上端から突出している突出辺に設けられている一対の「U」字状の切り欠き59で構成されている。一対の切り欠き59は、ケース本体部57の両端部に設けられている。
【0038】
係止部19は、ケース本体部57の長手方向の他端部に設けられている凹部(たとえば貫通孔)61で構成されている。
【0039】
ケースカバー7は、樹脂等の絶縁性材料によって一体成形されており、
図7等で示すように、ケースカバー本体部(基板支持体本体部)63と補強リブ31とを備えて構成されている。
【0040】
ケースカバー本体部63は、平板状の底板部65と、底板部65の外周から起立している板状の側板部67とを備えている。なお、底板部65の厚さ方向は上下方向になっており、側板部67は、底板部65の縁(周辺部)から上方に突出している。
【0041】
ケースカバー本体部63には、基板23(基板23の厚さ方向の他方の面;被接触部25が設けられている面とは反対側の面)と接触して基板23を支持する基板支持部(第1の基板支持部)69が設けられている。これにより、端子13の接触部材27で押された基板23が、第1の基板支持部69で支持されるようになっている。
【0042】
第1の基板支持部69は、
図12等で示すように、側板部67の上面の内側に形成されている段差(凹部)で形成されている。そして、第1の基板支持部69は、被接触部25から離れたところで基板23を支持するようになっている。
【0043】
さらに、基板支持部69で基板23を支持している状態で、ケースカバー7にケース5を一体的に設置すると、基板23の周辺部がケースカバー7とケース5とで挟まれて、ケースカバー7とケース5と基板23とが一体化するようになっている。
【0044】
また、基板23は、第1の基板支持部69に加えて板状の補強リブ(第2の基板支持部)31によっても支持されている(
図12等)。補強リブ31は、ケースカバー本体部63から突出して設けられている(底板部65の上面から上方に突出して設けられている)。そして、補強リブ31の先端(上端)が基板23(基板23の下面)と接触して基板23を支持するようになっている。また、補強リブ31は、被接触部25の近傍で基板23を支持するようになっている。
【0045】
端子ハウジング設置状態(
図12等参照)を、基板23の厚さ方向から見ると、各端子13のそれぞれの位置と、各被接触部25のそれぞれの位置とがお互いに重なっている。そして、各端子13のそれぞれが各被接触部25のそれぞれを押圧している。
【0046】
なお、端子ハウジング設置状態では、端子13の接触部材27が、基板23の上方から基板23(被接触部25)を下に向かって押している。
【0047】
また、基板23が端子13で押されケースカバー7で支持されている状態(端子ハウジング設置状態;
図12等参照)を基板23の厚さ方向(接触部材27の押圧方向)から見ると、接触部材27と被接触部25との接触部位が、補強リブ31でほぼ囲まれている。すなわち、端子設置状態を基板23の厚さ方向から見ると、「ロ」字状(
図14参照)や「コ」字状(
図15参照)の補強リブ31の内側に接触部材27と被接触部25との接触部位が存在している。これにより、補強リブ31と接触部材27と被接触部25との接触部位とで、両端支持梁(中央部が端子13の接触部材27で押され、両端部が補強リブ31からの反力を受ける梁)が形成されており、基板23を補強リブ31が安定して支持することができるようになっている。
【0048】
すでに理解されるように、端子ハウジング設置状態等の、接触部材27が被接触部25に接触している状態では、接触部材27は、最突出位置と最引っ込み位置との中間の位置に存在しており、接触部材27の一部(被接触部25側の部位)が、筐体35から突出しており、接触部材27が被接触部25の接触して接触部材27と被接触部25とがお互いに電気的に接続されている。
【0049】
また、端子13は、被接触部25の数と同じ数だけ存在しており、各端子13のそれぞれが各被接触部25のそれぞれを押圧するようになっている。すなわち、1つの被接触部25に対して1つの端子13が係合して押圧する構成が、被接触部25(端子13)の数と同じ数存在している。
【0050】
ここで、コネクタ1の組み立て手順を説明する。
【0051】
図1で示すように、ハウジング3、ケース5、基板23、ケースカバー7、端子13がお互いに離れている状態を初期状態とする。
【0052】
まず、上記初期状態において、各端子13にケーブルCBを設置し、ケーブルCBが設置された各端子13をハウジング3の端子収容室15に設置する(
図3参照)。
【0053】
続いて、ケースカバー7に基板23を設置しさらにケース5を設置する。これにより、ケースカバー7のたとえば係止部(図示せず)にケース5のたとえば被係止部(図示せず)が係止され、ケース5と基板23とケースカバー7とが一体化する。
【0054】
続いて、ハウジング3の回動支軸部9をケース5の回動軸受け部17係合させる(
図8〜
図11参照)。
【0055】
続いて、ハウジング3を、回動支軸部9を中心にして
図8で示す矢印の方向の回動し、ハウジング3の被係止部11をケース5の係止部19に係止する(
図11〜
図13参照)。
【0056】
これにより、ハウジング3がケース5に嵌合され、コネクタ1の組み立てが終了し、コネクタ1が、上述した端子ハウジング設置状態になる。
【0057】
コネクタ1によれば、基板23の被接触部25が端子13の接触部材27で押されることによる基板23の撓みを防止するための補強リブ31が設けられているので、接触部材27で押されても基板23が変形することがなく、接触部材27の押圧力を一定に保つことができ、接触部材27と被接触部25とが安定した状態で接触し、端子13の接触部材27と基板23の被接触部25との間の安定した導通を確保することができる。
【0058】
また、補強リブ31によって基板23の撓みを防止することで、基板23の撓みによる端子接点部(接触部材27と被接触部25との接触部)の動きを防ぐことができるので、基板23の被接触部25等における微動摩耗の発生を抑制することができ、端子13の接触部材27と基板23の被接触部25との間の電気抵抗値の上昇が抑制される。
【0059】
また、コネクタ1によれば、接触部材27が被接触部25を押している部位が、「ロ」字状の補強リブ31の近傍で「ロ」字状の補強リブ31の内側に存在しているので、基板23の撓みを一層安定して無くすことができる。
【0060】
ところで、
図14で示すように補強リブ31を「ロ」字状に形成せず、別の形状に形成してもよい。
【0061】
たとえば、
図15で示すように、補強リブ31を「H」字状に形成してもよい。
図15で示す補強リブ31は、接触部材27が被接触部25を押す方向(接触部材27の押圧方向;上下方向)から見ると、中央部位71と第1の側方部位73と第2の側方部位75とで形成された「H」字状に形成されている。そして、端子ハウジング設置状態で、接触部材27が被接触部25を押している部位(接触部材27と被接触部25とがお互いの接触している部位)が、第1の側方部位73と第2の側方部位75との間に存在している。
【0062】
なお、接触部材27が被接触部25を押す方向から見た補強リブ31も形状を、上述したように「コ」字状に形成してもよい。そして、端子ハウジング設置状態で、接触部材27が被接触部25を押している部位が、補強リブ31の内側に存在するようにしてもよい。
【0063】
また、
図16で示すように、上下方向から見たときに、補強リブ31が、直線状の伸びている第1の延伸部位77(77A)と、この第1の延伸部位77Aから所定の距離だけ離れて第1の延伸部位77Aと平行に延びている第2の延伸部位77(77B)とを備えた形態になっていてもよい。そして、端子ハウジング設置状態で、接触部材27が被接触部25を押している部位が、第1の延伸部位77(77A)と第2の延伸部位77(77B)との間に存在していてもよい。
【0064】
また、
図17で示すように、補強リブ31を円筒状に形成してあってもよいし、各補強リブ31を補助リブ79でお互いにつないでもよい。なお、補助リブ79は、ケースカバー本体部63の底板部65にも接続されているものとする。
【0065】
さらに、補強リブ31とケースカバー本体部63の側板部67とを、補助リブ81でお互いにつないでもよい。なお、補助リブ79は、ケースカバー本体部63の底板部65にも接続されているものとする。また、補助リブ79,81の高さ(底板部65からの起立高さ)は、補強リブ31の起立高さよりも低くなっているものとする。
【0066】
また、
図14、
図15、
図16で示す場合においても、
図17で示す場合と同様にして補助リブ79,81を設けてもよい。
【0067】
さらに、端子ハウジング設置状態を上下方向から見たときに、接触部材27が被接触部25を押している部位と、補強リブ31の少なくとも一部とがお互いに重なっていてもよい。
【0068】
また、
図18のように、補強リブ31がケースカバー本体部63の外側に設けられていてもよい。
【0069】
なお、上述したコネクタ1は、被接触部が設けられている基板と、接触部材とこの接触部材が前記被接触部を押すように前記接触部材を付勢する付勢部材とを備えた端子と、前記基板を支持するとともに前記被接触部が前記接触部材で押されることによる前記基板の撓みを防止するための補強リブが設けられている基板支持体とを有するコネクタの例である。