(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
バーナの燃焼排気を、熱交換用の伝熱管を収容するケーシング内に通してから排出させることにより、前記燃焼排気と前記伝熱管内を流れる液状体との熱交換を行う熱交換器を備えた給湯器であって、
前記ケーシングは、
絞り成形品であって、上部が開口する箱状に形成されたケーシング本体と、
絞り成形品であって、前記ケーシング本体の上方に位置し、下部が開口する箱状に形成された上側ケーシングと、
前記ケーシング本体の上部開口に対して前記上側ケーシングの下部開口を合わせるように、前記ケーシング本体と前記上側ケーシングとを前記上部開口と前記下部開口の全周にわたって互いに固定する固定部と
を備え、
前記ケーシング本体の側壁には、前記伝熱管の両端部を固定する伝熱管固定部が設けられた
ことを特徴とする給湯器。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、熱交換器は給湯器の能力に応じて大きさの号数が決められている。それ故、ケースを号数ごとに別部品で製造する必要があった為、作業が非常に面倒であった。更に熱交換器の号数に応じてケース部品をそれぞれ用意しなければならない為、部品コストがかかるという問題点もあった。また号数ごとにケースを製造する度に、フレームの枠組みに鉄板を溶接しなければならない為、溶接コストがかかるという問題点もあった。
【0005】
本発明の目的は、熱交換器の製造の効率化を図ることができ、かつ製造にかかるコストを節約できる給湯器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に係る給湯器は、バーナの燃焼排気を、熱交換用の伝熱管を収容するケーシング内に通してから排出させることにより、前記燃焼排気と前記伝熱管内を流れる液状体との熱交換を行う熱交換器を備えた給湯器であって、前記ケーシングは
、絞り成形品であって、上部が開口する箱状に形成されたケーシング本体と
、絞り成形品であって、前記ケーシング本体の上方に位置し、下部が開口する箱状に形成された上側ケーシングと、前記ケーシング本体の上部開口に対して前記上側ケーシングの下部開口を合わせるように、前記ケーシング本体と前記上側ケーシングとを前記上部開口と前記下部開口の全周にわたって互いに固定する固定部とを備え、前記ケーシング本体の側壁には、前記伝熱管の両端部を固定する伝熱管固定部が設けられたことを特徴とする。
【0007】
また請求項2に係る発明の給湯器は、請求項1に記載の発明の構成に加え、前記ケーシング本体に前記上側ケーシングが固定された状態において、前記伝熱管は、前記ケーシング本体内と前記上側ケーシング内との間を往復するように屈曲して設けられていることを特徴とする。
【0008】
また請求項3に係る発明の給湯器は、請求項2に記載の発明の構成に加え、前記伝熱管は、前記ケーシング本体と前記上側ケーシングとの間を跨ぐ位置に、螺旋状に屈曲する螺旋部を備えたことを特徴とする。
【0009】
また請求項4に係る発明の給湯器は、請求項1に記載の発明の構成に加え、前記伝熱管は、前記ケーシング本体に前記上側ケーシングが固定された状態において、前記ケーシング本体内に配策される下側伝熱管と、前記上側ケーシング内に配策される上側伝熱管とを備えたことを特徴とする。
【0010】
また請求項5に係る発明の給湯器は、請求項4に記載の発明の構成に加え、前記下側伝熱管と前記上側伝熱管との間の隙間には、前記隙間を狭める為の遮蔽部材が設けられている。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る発明の給湯器では、ケーシングは、ケーシング本体に対して上側ケーシングを固定部において固定した構造である。ケーシング本体及び上側ケーシングは何れ
も絞り成形品である。故に従来製法に比べて溶接部分が少ない上、製造が非常に容易となる。また、異なった号数の熱交換器を製造する際には、ケーシング本体及び上側ケーシングのうち何れか一方の絞り深さを変えることによって、他方の部品を共通して使用できる。さらにケーシング本体の部品共通化を図ることによって、異なった号数の熱交換器を効率的に製造できる。さらに溶接部分が少ないので、製造にかかるコストを節約できる。
【0012】
【0013】
【0014】
また請求項4に係る発明の給湯器では、請求項1に記載の発明の効果に加え、ケーシング本体に上側ケーシングが固定された状態では、ケーシング本体内に下側伝熱管が配策され、上側ケーシング内に上側伝熱管が配策されている。これによりケーシング内の上下にそれぞれ伝熱管を配策できるので、伝熱管の伝熱面積を大きくとることができる。
【0015】
また請求項5に係る発明の給湯器では、請求項4に記載の発明の効果に加え、ケーシングの固定部には伝熱管を取り付けることができないので、下側伝熱管と上側伝熱管との間の隙間は各伝熱管が作り出す隙間に比して大きくなる。隙間が大きいままでは、ケーシング内を流れるバーナの燃焼排気はその隙間を素通りしてしまうので熱効率が低下する。本態様はこの隙間に遮蔽部材を設けている。これによりその隙間を狭めることができるので、バーナの燃焼排気がケーシング内を素通りするのを防止できる。故に熱交換器による熱交換を良好に保持できる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態である給湯器1について、図面に基づいて説明する。これらの図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられるものである。以下に記載されている装置の構造などは、特に特定的な記載がない限り、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。なお以下説明において、
図1の上方、下方、左方、右方を、夫々、給湯器1の上方、下方、前方、後方とする。
図2,
図3の上方、下方、左斜め下方、右斜め上方、右斜め下方、左斜め上方を、夫々、副熱交換器7の上方、下方、後方、前方、右方、左方とする。
図4の上方、下方、右方、左方、紙面奥行き方向、紙面手前方向を、夫々、副熱交換器7の上方、下方、後方、前方、右方、左方とする。
【0018】
先ず、給湯器1の構成について説明する。
図1に示すように、給湯器1は器具2を備えている。器具2は略直方体状の金属製の筐体である。器具2の内部には燃焼室3が設けられている。燃焼室3の下方にはファン4が設けられている。ファン4にはモータ4Aが接続されている。器具2の下部には給気口(図示略)が設けられている。ファン4は給気口を通して外気を燃焼用空気として取り込む。器具2の前面上部には排気口10が設けられている。排気口10は熱交換後の燃焼排気を排出する。給気口及び排気口10の位置はこれらの位置に限定されない。
【0019】
燃焼室3内には下から上に向かって順に、バーナ5、主熱交換器6、副熱交換器7が各々設けられている。バーナ5は燃料ガスと一次空気の混合ガスを燃焼する。一次空気はファン4から供給される。主熱交換器6はバーナ5から流れる燃焼排気中の顕熱を主に回収する。副熱交換器7は燃焼排気中の潜熱を主に回収する。主熱交換器6は熱伝導性に優れた銅製であるのが好ましい。副熱交換器7はドレンに対する耐食性材料が好ましい。
【0020】
器具2の底部には、入水口11、出湯口12、及びガス供給口13に加え、図示しない風呂側入水口、及び風呂側出湯口等が各々設けられている。入水口11には水道水が入水する。出湯口12からは給湯器1で加熱された湯が流出する。ガス供給口13にはガスが供給される。風呂側入水口には風呂から循環して流れる湯水が入水する。風呂側出湯口からは給湯器1で加熱された湯が流出する。風呂側出湯口から流出した湯は風呂に流れる。入水口11には給水管16の上流側端部が接続されている。給水管16には水側制御ユニット(図示略)が設けられている。水側制御ユニットは水流センサ及び水ガバナを備える。給水管16は上方に延設されている。給水管16の下流側端部は、例えば副熱交換器7の左側壁24に設けられた一般給湯側の入水管66Aに接続されている。その左側にある副熱交換器7の出湯管67Aには流出管17が接続されている。なお入水管66Aと出湯管67Aは一般給湯用の伝熱管65(
図3参照)と連通するものである。なお後述するが、副熱交換器7の右側にも風呂側給湯用の伝熱管61〜63(
図3参照)と連通する入水管68A及び出湯管69Aも設けられている。
【0021】
流出管17の下流側端部は、主熱交換器6の入水管(図示略)に接続されている。主熱交換器6の出湯管(図示略)には、出湯管19の上流側端部が接続されている。出湯管19は下方に延設されている。出湯管19の下流側端部は、器具2の底部に設けられた出湯口12に接続されている。ガス供給口13にはガス制御弁9が設けられている。ガス制御弁9はガス量を制御する。ガス制御弁9にはガス管18が接続されている。ガス管18の下流側端部はバーナ5のガス供給口13に接続されている。器具2内には制御装置(図示略)が設けられている。制御装置は給湯器1の燃焼動作を制御する。
【0022】
次に、副熱交換器7の構造について、
図2〜
図4を参照して説明する。
図2に示すように、副熱交換器7はケーシング15を備える。ケーシング15は左右方向に長い略直方体状の金属製の筐体である。ケーシング15は、下側ケーシング30と上側ケーシング20とを備える。下側ケーシング30はケーシング15の下側、上側ケーシング20はケーシング15の上側に位置する。下側ケーシング30と上側ケーシング20とは何れもプレス加工による絞り成形品である。
【0023】
先ず、上側ケーシング20の構造について説明する。
図2,
図4に示すように、上側ケーシング20は底面が開口する略直方体の箱状である。上側ケーシング20は、背壁21、前壁22、右側壁23、左側壁24、及び天壁25を備える。各壁同士の境界部分はR状に屈曲されている。上側ケーシング20の下部には鍔部27が設けられている。鍔部27は、背壁21、前壁22、右側壁23、及び左側壁24の各下端部を外方に向けてR状に屈曲して形成されている。鍔部27は下側ケーシング30の上部に設けられた後述する鍔部37と溶接で接合される部分である。上側ケーシング20の深さは、給湯器1の号数に応じて調節される。上側ケーシング20はプレス加工による絞り成形品であるので、種々の深さのものを容易に製造できる。
【0024】
次に、下側ケーシング30の構造について説明する。
図3に示すように、下側ケーシング30は上面が開口する略直方体の箱状である。下側ケーシング30は、背壁31、前壁32、右側壁33、左側壁34、及び底壁35を備える。各壁同士の境界部分はR状に屈曲されている。下側ケーシング30の上部には鍔部37が設けられている。鍔部37は、背壁31、前壁32、右側壁33、及び左側壁34の各上端部を外方に向けてR状に屈曲して形成されている。鍔部37は上側ケーシング20の下部に設けられた鍔部27と溶接により接合される部分である。鍔部37の外方に延出する一端部には垂直上方に突出する枠部38が設けられている。枠部38は、鍔部37の上面に載置された上側ケーシング20の鍔部27の外周端に当接する。それ故、枠部38は、下側ケーシング30の鍔部37に対して、上側ケーシング20の鍔部27の位置ズレを防止できる。
【0025】
図3に示すように、下側ケーシング30の内側には仕切壁41が立設されている。仕切壁41は右側壁33と左側壁34とに対して平行かつ右側壁33寄りに配置されている。仕切壁41はケーシング15の内側空間を二つの領域に仕切る。仕切壁41の右側は風呂側領域42、仕切壁41の左側は給湯側領域43である。風呂側領域42は風呂の給湯用に利用される。給湯側領域43は風呂以外の一般給湯用に利用される。本実施例では風呂側領域42は給湯側領域43よりも狭いが逆でもよい。風呂側領域42と給湯側領域43との容積比率は、風呂側の給湯能力と、それ以外の一般給湯用の給湯能力とに応じて適宜決定すればよい。風呂側領域42には、後述する3本の伝熱管61〜63が収容される。給湯側領域43には3本の伝熱管65が収容される。なお風呂側領域42側の構成と、給湯側領域43側の構成とは互いに同じである。それ故、本実施形態では、風呂側領域42側の構成を中心に説明する。
【0026】
図3に示すように、背壁31には、右側開口45と左側開口46とが設けられている。右側開口45は略長方形状に形成され、風呂側領域42に対応する位置に設けられている。左側開口46も略長方形状に形成され、給湯側領域43に対応する位置に設けられている。右側開口45及び左側開口46の各サイズは、例えば風呂側領域42及び給湯側領域43の各容積に各々対応している。前壁32には、右側開口47と左側開口48とが設けられている。右側開口47は略長方形状に形成され、風呂側領域42に対応する位置に設けられている。左側開口48も略長方形状に形成され、給湯側領域43に対応する位置に設けられている。
【0027】
図4に示すように、右側壁33には流入口51〜53と、流出口55〜57とが設けられている。流入口51〜53は右側壁33の後ろ側に、流出口55〜57は右側壁33の前側に位置する。流入口51〜53は下から上に向かう方向に、所定間隔を空けて縦一列に並んでいる。流出口55〜57も下から上に向かう方向に、所定間隔を空けて縦一列に並んでいる。流入口51は後述する伝熱管61に水を流入させる。流入口52は後述する伝熱管62に水を流入させる。流入口53は後述する伝熱管63に水を流入させる。流出口55は伝熱管61を流れて熱交換された湯を流出させる。流出口56は伝熱管62を流れて熱交換された湯を流出させる。流出口57は伝熱管63を流れて熱交換された湯を流出させる。
【0028】
ここで、流入口53と流出口57との各位置は、右側壁33の上端部に設けられた鍔部27付近よりも下方にある。これは鍔部27付近がR状に屈曲しており、他部位に比べて剛性が高くて加工し難いからである。なお詳述しないが、左側壁34(
図3参照)にも、右側壁33側と同様に、給湯側領域43に収容された3本の伝熱管65に対応する3つの流入口(図示略)と3つの流出口(図示略)とが各々設けられている。
【0029】
図3に示すように、右側壁33には、さらに分流部68と合流部69とが設けられている。分流部68は右側壁33の後ろ側に位置する。分流部68は流入口51〜53(
図4参照)を外側から覆っている。分流部68には入水管68Aが接続されている。合流部69は右側壁33の前側に位置する。合流部69は流出口55〜57(
図4参照)を外側から覆っている。合流部69には出湯管69Aが接続されている。
【0030】
上記構成において、給水管16(
図1参照)から流れる水は入水管68Aに流れる。入水管68Aから分流部68内に流れた水は流入口51〜53に各々分流され、3本の伝熱管61〜63に流れる。伝熱管61〜63を流れて熱交換された湯は、流出口55〜57から流出して合流部69内で合流される。合流部69内で合流された湯は出湯管69Aから流出管17(
図1参照)に流れ、主熱交換器6に供給される。なお詳述しないが、左側壁34にも、
図1に示すように、給湯側領域43に収容された3本の伝熱管65に対応する分流部66と合流部67とが各々設けられている。分流部66には入水管68Aが接続され、合流部67には出湯管67Aが接続されている。水の流れは右側壁33側と同じである。
【0031】
次に、伝熱管61〜63の配置構成について、
図3,
図4を参照して説明する。ここでは風呂側領域42に収容される伝熱管61〜63の配置構成について説明する。給湯側領域43に収容される3本の伝熱管65の配置構成は、伝熱管61〜63の配置構成と同じであるので説明を省略する。
【0032】
図4に示すように、下側ケーシング30の風呂側領域42内には、3本の伝熱管61〜63が収容されている。伝熱管61は風呂側領域42の下側、伝熱管62は風呂側領域42の上下方向における略中央、伝熱管63は風呂側領域42の上側に位置する。伝熱管61の上流側端部は流入口51に接続され、下流側端部は流出口55に接続されている。伝熱管62の上流側端部は流入口52に接続され、下流側端部は流出口56に接続されている。伝熱管63の上流側端部は流入口53に接続され、下流側端部は流出口57に接続されている。
【0033】
次に、伝熱管61〜63の形状について、
図4を参照して説明する。伝熱管61は流入口51から流出口55までの間において左右方向にクランク状に屈曲して設けられている。伝熱管62も流入口52から流出口56までの間において左右方向にクランク状に屈曲して設けられている。伝熱管61,62は水平面に対して平行な面においてそれぞれの位置が保持されている。
【0034】
他方、伝熱管63は流入口53から流出口57までの間において、下側ケーシング30内と上側ケーシング20内との間を往復するように屈曲して設けられている。具体的には、伝熱管63は、延出部71と、第1螺旋部72と、延出部73と、第2螺旋部74と、延出部75とを備える。延出部71は、流入口51から左方に延出する部分である。第1螺旋部72は、延出部71の下流側端部から上方から見て時計回りに上方に螺旋を描きながら屈曲する部分である。延出部73は、第1螺旋部72の下流側端部から後方に直線状に延出する部分である。第2螺旋部74は、延出部73の下流側端部から上方から見て時計回りに下方に螺旋を描きながら屈曲する部分である。延出部75は、第2螺旋部74の下流側端部から流出口57まで延出する部分である。
【0035】
図4に示すように、延出部71,75は下側ケーシング30内に位置する。延出部73は上側ケーシング20内に位置する。第1螺旋部72と第2螺旋部74とは、下側ケーシング30内と上側ケーシング20内との間を跨ぐように位置する。それ故、
図3に示すように、上側ケーシング20を取り付ける前の下側ケーシング30の風呂側領域42では、伝熱管63の一部が下側ケーシング30の鍔部37から上方に突出している。
【0036】
次に、上側ケーシング20と下側ケーシング30との接合方法について説明する。先ず、
図3に示す下側ケーシング30に対して上側ケーシング20を被せる。
図4に示すように、下側ケーシング30の鍔部37の上面に、上側ケーシング20の鍔部27の下面を合わせる。このとき鍔部27の外周端は鍔部37の枠部38の内面に当接する。それ故、下側ケーシング30に対して上側ケーシング20がずれるのを防止できる。そして鍔部27と鍔部37とを溶接によって接合する。鍔部27と鍔部37とを溶接によって接合した部分を接合部28とする。上側ケーシング20と下側ケーシング30とは接合部28において固定される。こうして箱状のケーシング15が完成する。
【0037】
次に、ケーシング15内における燃焼排気の流れについて説明する。なお、風呂側領域42における燃焼排気の流れと、給湯側領域43における燃焼排気の流れとは同じであるので、前者についてのみ説明する。
図1に示すように、バーナ5の燃焼排気は、主熱交換器6を通過した後、副熱交換器7のケーシング15内に流入する。
図3,
図4に示すように、燃焼排気は、下側ケーシング30の背壁31に設けられた右側開口45からケーシング15内に流入する。燃焼排気は3本の伝熱管61〜63の隙間を流れ、前壁32に設けられた右側開口47から外部に流出し、器具2の排気口10(
図1参照)から大気中に放出される。
【0038】
ここで、接合部28は、鍔部27と鍔部37とを溶接によって接合した部分である。鍔部27,37付近は、何れも金属板をR状に屈曲させた部分であるので、他部位に比べて剛性が高い。それ故、伝熱管61〜63の流入口51〜53と、流出口55〜57との各位置は、接合部28付近から離れた位置にある。この場合、接合部28付近において、燃焼排気が素通りしてしまう空間ができてしまうのであるが、
図4に示すように、本実施形態ではその空間を螺旋状の伝熱管63の一部で埋めている。
【0039】
具体的に言うと、伝熱管63の第1螺旋部72と第2螺旋部74とが、接合部28付近の空間を上下方向に跨いでいる。これにより接合部28付近を通過する燃焼排気を、伝熱管63の第1螺旋部72と第2螺旋部74とに接触させることができる。さらに第1螺旋部72と第2螺旋部74とは螺旋状になっているので、燃焼排気と伝熱管との接触面積をより多く確保できる。これにより副熱交換器7の熱交換の能力を向上できる。
【0040】
また本実施形態では、下側ケーシング30の右側壁33に3本の伝熱管61〜63を取り付けている。そして伝熱管63を螺旋状にして上側ケーシング20内を配策させている。それ故、上側ケーシング20内の空間を熱交換用の空間として活用できる。これにより副熱交換器7の熱交換の能力を向上できる。
【0041】
また本実施形態では、伝熱管63の第1螺旋部72と第2螺旋部74とは、上下方向に沿った螺旋状である。それ故、給湯器1の不使用時においては、伝熱管63内の水をその螺旋部分に沿って落下させることができる。これより伝熱管63内に水が溜まることを防止できるので、伝熱管63の腐食等を防止できる。
【0042】
以上説明したように、本発明の第1実施形態の給湯器1は副熱交換器7を備える。副熱交換器7のケーシング15は、プレス加工による絞り成形品で形成した2部品を溶接して製造されている。それ故、サイズの異なる給湯器の号数に対応する副熱交換器7を製造する際に、下側ケーシング30の部品の共通化を図ることができる。さらに深さの違う上側ケーシング20を付け替えるだけでよいので、効率的に製造することができる。さらに従来に比べて接合する部分が少ないので、溶接コストを削減できる。
【0043】
また本実施形態では、上側ケーシング20と下側ケーシング30との接合部28付近は、他部位に比べて剛性が高いために、伝熱管61〜63を取り付けることができない。本実施形態は、伝熱管63の一部を螺旋状にしてその接合部28付近の空間を埋めている。これにより接合部28付近を通過する燃焼排気を、伝熱管63の螺旋部分に接触させることができる。従って副熱交換器7の熱交換の能力を向上できる。
【0044】
次に、本発明の第2実施形態である給湯器の副熱交換器70について、
図5、
図6を参照して説明する。第2実施形態の副熱交換器70は、接合部28付近の空間を遮蔽板100で狭めることによって、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。そこで、副熱交換器70の構造について、第1実施形態の副熱交換器7と異なる点を中心に説明する。第1実施形態と共通する部品、部材等については、第1実施形態と同じ符号を付して説明する。
【0045】
図5,
図6に示すように、副熱交換器70は第1実施形態と同じケーシング15を備える。ケーシング15の下側ケーシング30の内側には仕切壁41が立設されている。仕切壁41の右側は風呂側領域42、仕切壁41の左側は給湯側領域43である。仕切壁41の風呂側領域42側に対向する面には遮蔽板100が略水平に設けられている。遮蔽板100の高さ位置は、ケーシング15の接合部28付近の空間と同じ高さ位置である。なお仕切壁41の給湯側領域43に対向する面にも遮蔽板101が略水平に設けられている。遮蔽板101の高さ位置も、ケーシング15の接合部28付近の空間と同じ高さ位置である。
【0046】
次に、上側ケーシング20に取り付けられる流入口81及び流出口85について説明する。
図6に示すように、上側ケーシング20の右側壁23には、流入口81と流出口85とが設けられている。流入口81は右側壁23の後ろ側に、流出口85は右側壁23の前側に位置する。
図5に示すように、流入口81には給水管16の下流側端部が接続されている。流出口85には流出管17の上流側端部が接続されている。
【0047】
図5に示すように、流入口81は、給水管16から供給される水を後述する上側伝熱管91に流入させる。流出口85は、上側伝熱管91を流れて熱交換された湯を流出管17に流出させる。
図6に示すように、流入口81と流出口85との各位置は、右側壁33の下端部に設けられた鍔部27付近よりも上方に離れている。鍔部27付近はR状に屈曲しており、他部位に比べて剛性が高くて加工し難いからである。なお詳述しないが、左側壁24にも、右側壁23側と同様に、給湯側領域43側に配置される上側伝熱管111に対応する流入口(図示略)と流出口(図示略)とが各々設けられている。
【0048】
次に、下側ケーシング30に取り付けられる流入口82〜84及び流出口86〜88について説明する。
図6に示すように、下側ケーシング30の右側壁33には、流入口82〜84と、流出口86〜88とが設けられている。流入口82〜84は右側壁33の後ろ側に、流出口86〜88は右側壁33の前側に位置する。流入口82〜83は上から下に向かう方向に、所定間隔を空けて縦一列に並んでいる。流出口86〜88も上から下に向かう方向に、所定間隔を空けて縦一列に並んでいる。
【0049】
流入口82は後述する下側伝熱管92に水を流入させる。流入口83は後述する下側伝熱管93に水を流入させる。流入口84は後述する下側伝熱管94に水を流入させる。流出口86は下側伝熱管92を流れて熱交換された湯を流出させる。流出口87は下側伝熱管93を流れて熱交換された湯を流出させる。流出口88は下側伝熱管94を流れて熱交換された湯を流出させる。
【0050】
流入口82と流出口86との各位置は、右側壁33の上端部に設けられた鍔部27付近よりも下方に離れている。鍔部27付近はR状に屈曲しており、他部位に比べて剛性が高くて加工し難いからである。なお詳述しないが、左側壁34にも、右側壁33側と同様に、給湯側領域43に収容された3本の下側伝熱管112に対応する3つの流入口(図示略)と3つの流出口(図示略)とが各々設けられている。
【0051】
図5に示すように、下側ケーシング30の右側壁33にはさらに分流部105と合流部106とが設けられている。分流部105は右側壁33の後ろ側に位置する。分流部105は流入口82〜84を外側から覆うようにして設けられている。分流部105には入水管105Aが接続されている。入水管105Aは給水管16の途中に接続される。合流部106は右側壁33の前側に位置する。合流部106は流出口86〜88を外側から覆うようにして設けられている。合流部106には出湯管106Aが接続されている。出湯管106Aは流出管17の途中に接続されている。
【0052】
上記構成において、給水管16を流れる水の一部は、入水管105Aから分流部105に流入し、流入口82〜84に各々分流され、3本の下側伝熱管92〜94に流れる。下側伝熱管92〜93を流れて熱交換された湯は流出口86〜88から流出して合流部106内で合流される。合流部106内で合流された湯は出湯管106Aから流出管17に流れ、主熱交換器6に供給される。なお詳述しないが、左側壁34にも、右側壁33側と同様に、給湯側領域43に収容された3本の下側伝熱管112に対応する分流部と合流部(図示略)とが各々設けられている。
【0053】
次に、上側伝熱管91、及び下側伝熱管92〜94の形状について、
図5,
図6を参照して説明する。上側伝熱管91は、上側ケーシング20の流入口81から流出口85までの間において左右方向にクランク状に屈曲して設けられている。下側伝熱管92は、下側ケーシング30の流入口82から流出口86までの間において左右方向にクランク状に屈曲して設けられている。下側伝熱管93は、下側ケーシング30の流入口83から流出口87までの間において左右方向にクランク状に屈曲して設けられている。下側伝熱管94は、下側ケーシング30の流入口84から流出口88までの間において左右方向にクランク状に屈曲して設けられている。上側伝熱管91、及び下側伝熱管92〜94は水平面に対して平行な面においてそれぞれの位置が保持されている。上側伝熱管91は、遮蔽板100よりも上方に位置している。下側伝熱管92〜94は、遮蔽板100よりも下方に位置している。
【0054】
次に、副熱交換器70のケーシング15内における燃焼排気の流れについて説明する。なお、風呂側領域42における燃焼排気の流れと、給湯側領域43における燃焼排気の流れとは同じであるので、前者についてのみ説明する。
図5,
図6に示すように、バーナ5の燃焼排気は、主熱交換器6を通過した後、副熱交換器70のケーシング15内に流入する。風呂側領域42において、燃焼排気は、下側ケーシング30の背壁31に設けられた右側開口45からケーシング15内に流入する。燃焼排気は、上側伝熱管91、及び下側伝熱管92〜94の隙間を流れ、前壁32に設けられた右側開口47から外部に流出し、器具2の排気口10から大気中に放出される。
【0055】
ここで、第2実施形態では、
図6に示すように、接合部28付近の空間は、遮蔽板100によって狭められている。これにより燃焼排気は、遮蔽板100によって上下に分流されるので、接合部28付近の空間を素通りすることなく、上側伝熱管91、及び下側伝熱管92〜94の何れかに接触させることができる。従って、このような副熱交換器70でも、第1実施形態と同様に、熱交換の能力を向上できる。
【0056】
以上説明したように、本発明の第2実施形態の給湯器は副熱交換器70を備える。副熱交換器70は、ケーシング15の接合部28付近の空間を、遮蔽板100によって埋めている。これにより接合部28付近を通過する燃焼排気を、上側伝熱管91、及び下側伝熱管92〜94の何れかに接触させることができる。従って副熱交換器7の熱交換の能力を向上できる。
【0057】
なお本発明は上記第1,第2実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。上記第1,第2実施形態では、副熱交換器7,70を一例として説明しているが、主熱交換器6に本発明の構成を適用してもよい。
【0058】
また上記第1,第2実施形態は、主熱交換器6及び副熱交換器7,70を備える潜熱回収型給湯器であるが、通常の給湯器にも適用可能である。
【0059】
また上記第1,第2実施形態に記載の各伝熱管の本数は、上記実施形態に限定されない。
【0060】
また上記第1実施形態では、伝熱管63を螺旋状にしているが、上下方向に略直線状に延出してもよい。