(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、特許文献1の着座センサはクッションパッドと一体化されているため、着座センサとクッションパッドとが常に接触した状態にある。したがって、人よりも軽い物がクッションパッドに置かれた場合であっても、その物の押圧力により着座センサが誤動作する可能性が高い傾向にある。
【0006】
そこで、本発明は、誤検知を低減し得る座席装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる課題を解決するため本発明は、クッションパッド及び前記クッションパッドの座面から加えられる荷重を検知する少なくとも1つの感圧スイッチを有する着座センサを備える座席装置であって、前記クッションパッドの下面には、前記感圧スイッチの上方を含む位置に凹部が形成され、前記着座センサは、前記凹部の底よりも下方に配置され、前記感圧スイッチの上方にあたる前記凹部の底部分と前記着座センサとの間には間隙が形成され、前記感圧スイッチの上方にあたる前記凹部の底部分以外の前記クッションパッドの下面の少なくとも一部に前記着座センサが直接的又は間接的に固定されることを特徴とする。
【0008】
このような座席装置では、クッションパッドの下面に形成される凹部の底よりも下方に配置される着座センサと、当該着座センサにおける感圧スイッチの上方にあたる凹部の底部分との間に間隙が形成される。このため、当該間隙が形成されていない場合に比べて、人よりも軽い荷物などが置かれた際にクッションパッドに加えられる荷重によって、感圧スイッチがオンとなるといったことを低減することができる。また、間隙の大きさによって、感圧スイッチの感度を調整することが可能にもなる。このように、電気的に誤検出を判断するといったことに依存しなくても、構造的に誤検出を低減することができる。一方、この座席装置では、感圧スイッチの上方にあたる凹部の底部分以外のクッションパッドの下面の少なくとも一部に着座センサが直接的又は間接的に固定されるため、当該クッションパッドの下面が、クッションパッドの上方に着座センサが動くことを防止するストッパーとして機能する。したがって、例えば、クッションパッドが振動等により上下動した場合であっても、その上下動に起因して着座センサとクッションパッドとが接触して感圧スイッチがオンとなることを未然に回避することができる。
【0009】
また、前記凹部は、前記クッションパッドの下面に形成される第1凹部と、前記第1凹部の底の一部に形成される第2凹部とからなり、前記感圧スイッチは、前記第2凹部の底から間隙を隔てて配置され、前記着座センサは、前記第1凹部の底の少なくとも一部に直接的又は間接的に固定されることが好ましい。
【0010】
このような座席装置では、感圧スイッチが第2凹部の底から間隙を隔てて配置されるため、上記と同様に、電気的に誤検出を判断するといったことに依存しなくても、構造的に誤検出を低減することができる。また、この座席装置では、第1凹部の底の少なくとも一部に直接的又は間接的に着座センサが固定されるため、第1凹部の底が、クッションパッドの上方に着座センサが動くことを防止するストッパーとして機能する。したがって、上記と同様に、クッションパッドの上下動に起因して着座センサとクッションパッドとが接触して感圧スイッチがオンとなることを未然に回避することができる。
【0011】
また、前記着座センサは、前記第1凹部の空間内又は前記第1凹部と前記第2凹部との空間内に収められることが好ましい。
【0012】
このような座席装置では、クッションパッドが載置部材の載置面に載置された場合、当該クッションパッドに荷重が加わるとクッションパッドの座面側と下面側との双方から押圧力を受ける。しかしながら、着座センサは凹部の空間内に収められるため、載置部材に対して非接触となる。したがって、着座センサの感圧スイッチは、底面側の押圧力の影響をおおむね受けることなく、座面側からの押圧力によってオンすることになる。一般に、クッションパッドの座面側と下面側との形状は相違しており、この相違に起因して、座面側から受ける押圧力と下面側から受ける押圧力とが不均一となる傾向にある。この点、上述のように感圧スイッチは座面側からの押圧力によってオンするようになっているので、座面側から受ける押圧力と下面側から受ける押圧力とが不均一であったとしても、その影響をおおむね受けることがない。したがって、感圧スイッチにおける感度の調整がし易くなる。
【0013】
また、前記感圧スイッチの上方にあたる前記凹部の底部分以外の少なくとも一部に接着される空間調整用スペーサをさらに備え、前記着座センサは、前記空間調整用スペーサの少なくとも一部に直接的又は間接的に固定されることが好ましい。
【0014】
このような座席装置では、凹部の底と感圧スイッチとの間隙が空間調整用スペーサの厚み分となる。したがって、上記と同様に、電気的に誤検出を判断するといったことに依存しなくても、構造的に誤検出を低減することができる。また、この座席装置では、空間調整用スペーサの少なくとも一部に着座センサが直接的又は間接的に固定されるため、空間調整用スペーサが、クッションパッドの上方に着座センサが動くことを防止するストッパーとして機能する。したがって、上記と同様に、クッションパッドの上下動に起因して着座センサとクッションパッドとが接触して感圧スイッチがオンとなることを未然に回避することができる。
【0015】
前記固定は、接着剤による固定であることが好ましい。
【0016】
このような固定であれば、凹部の開口が閉じられていない場合であっても、当該凹部の空間における定位置に着座センサを保持することができる。
【0017】
また、前記感圧スイッチは、第1絶縁シートと、可撓性を有し、前記第1絶縁シートよりも前記クッションパッドの座面側に配置される第2絶縁シートと、前記第1絶縁シート及び前記第2絶縁シートの間に介在し、少なくとも1つの開口が形成されるシート状のスペーサと、前記第1絶縁シート及び前記第2絶縁シートにおける前記スペーサ側の面にそれぞれ配置され、前記開口を介して互いに対向する一対の電極とを含み、前記スペーサにおける前記第2絶縁シートに対向する面の少なくとも一部は、前記第2絶縁シートから露出され、その露出部分が、前記感圧スイッチの上方にあたる前記凹部の底部分以外の少なくとも一部に接着剤で固定されることが好ましい。
【0018】
このような感圧スイッチでは、クッションパッドに荷重が加えられた場合、クッションパッドが変形してクッションパッドの座面側に配置される第2絶縁シートを押圧する。この第2絶縁シートは可撓性を有しているため、クッションパッドの押圧に応じて、第2絶縁シートと第1絶縁シートとの間に介在するスペーサの開口に入り込むように撓む。このように撓むことで、開口を介して互いに対向する一対の電極が電気的に接続されて導通状態となり、感圧スイッチがオンとなる。また、スペーサにおける第2絶縁シートに対向する面の少なくとも一部が第2絶縁シートから露出され、その露出部分が凹部の底の少なくとも一部に接着剤で固定される。このため、第2絶縁シートとスペーサとの接着を省略しても、第2絶縁シート及びスペーサを互いに定位置に配置可能となるため、接着剤のコストを抑えることができる。
【0019】
また、前記固定は、前記着座センサが、前記感圧スイッチの上方にあたる前記凹部の底部分以外の少なくとも一部に接触した状態で、前記着座センサの下方に設けられる部材と挟持されたことによる固定であることが好ましい。
【0020】
このような固定であれば、クッションパッドに接着剤を用いることを回避することができる。着座センサをクッションパッドに接着する場合、接着剤の種類によってはクッションパッドのクッション性を変化させてしまう可能性が生じ得る。したがって、このような可能性を回避しつつも、凹部の空間における定位置に着座センサを保持することができる。また、接着剤を用いた場合のようにクッションパッドと着座センサとが剥がれるといったことなく、当該クッションパッドと着座センサとを強固に固定することができる。
【0021】
また、前記着座センサは、前記クッションパッドの座面側となる前記感圧スイッチの少なくとも一部を覆うクッション部材をさらに有することが好ましい。
【0022】
一般に、クッションパッドの硬さは車種等の種類に応じて様々となるため、人の着座によりクッションパッドの弾性変形の程度は、当該クッションパッドの種類に応じて変わる。一方、この座席装置では、クッションパッドの座面側における感圧スイッチの少なくとも一部を覆うクッション部材があるため、このクッション部材が、クッションパッドの硬さにかかわらず同じように変形して、感圧スイッチを押圧することができる。したがって、クッション部材とクッションパッドとの間に間隙があっても適切に感圧スイッチをオンさせることが可能となる。また、クッション部材の厚みによって、感圧スイッチの感度を調整することが可能にもなる。
【0023】
また、前記感圧スイッチは、第1絶縁シートと、可撓性を有し、前記第1絶縁シートよりも前記クッションパッドの座面側に配置される第2絶縁シートと、前記第1絶縁シート及び前記第2絶縁シートの間に介在し、少なくとも1つの開口が形成されるシート状のスペーサと、前記第1絶縁シート及び前記第2絶縁シートにおける前記スペーサ側の面にそれぞれ配置され、前記開口を介して互いに対向する一対の電極とを含み、前記第1絶縁シートは、前記第2絶縁シートよりも硬質とされることが好ましい。
【0024】
このような座席装置によれば、第2絶縁シートが撓むとき、第1絶縁シートは第2絶縁シートよりも撓み量が小さくなるため、その第1絶縁シートに配置される電極の位置がおおむね保持される。このため、可撓性を有する第1絶縁シートを採用する場合に比べて、座面側からの押圧力が小さくても、第1絶縁シートに配置される電極と第2絶縁シートに配置される電極とが接触し易くなる。したがって、感圧スイッチ自体の感度をより一段と向上することができる。
【0025】
また、前記着座センサの下面の少なくとも一部に設けられる補強部材をさらに備えることが好ましい。
【0026】
このような座席装置によれば、着座センサの下方が空間となる場合であっても、着座センサ自体の耐久性を向上することができる。
【発明の効果】
【0027】
以上のように本発明に係る座席装置によれば、誤検知を低減することができる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明に係る座席装置の好適な実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0030】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態の座席装置1を示す斜視図である。
図1に示すように、本実施形態の座席装置1は、着座センサ7と、クッションパッド8とを主な構成要素として備える。
【0031】
図2は、着座センサ7の構造を示す斜視図である。着座センサ7は、第1電極シート10、第2電極シート20、スペーサ30及びクッション部材40を主な構成要素として備える。
【0032】
第1電極シート10は、第1絶縁シート11、複数の第1電極12A〜12D及び一対の端子13A,13Bを有する。第1絶縁シート11は、可撓性を有するフィルム状とされ、略矩形のメインブロックB1と、そのメインブロックB1の短手方向の一端に連結され、メインブロックB1よりも小さい略矩形のサブブロックB2とからなる。この第1絶縁シート11の材料としては、例えば、PET、PBT又はPEN等の樹脂を挙げることができる。
【0033】
第1電極12A〜12Dは、それぞれ略円形とされ、同一直線状に並ぶ状態で、第1絶縁シート11の一方の表面上に配置される。一対の端子13A,13Bは、それぞれ略四角形とされ、サブブロックB2のうち、第1電極12A〜12Dが配置されている面と同じ表面上に配置される。
【0034】
第1電極12Aと第1電極12Bとは第1配線14Aにより電気的に接続され、第1電極12Cと第1電極12Dとは第1配線14Bにより電気的に接続される。また、第1配線14Aと端子13Aとは第1配線14Cにより電気的に接続され、第1配線14Bと端子13Bとは第1配線14Dにより電気的に接続される。
【0035】
第2電極シート20は、第2絶縁シート21及び第2電極22A〜22Dを有する。第2絶縁シート21は、可撓性を有するフィルム状とされ、第1絶縁シート11におけるメインブロックB1と同形同大でなる。この第2絶縁シート21の材料としては、例えば、PET、PBT又はPEN等の樹脂を挙げることができる。
【0036】
第2電極22A〜22Dは、それぞれ略円形とされ、同一直線状に並ぶ状態で、第2絶縁シート21の一方の表面上に配置される。本実施形態では、第2電極22A〜22Dの大きさは、第1電極12A〜12Dと同じ大きさとされ、第2電極22A〜22Dの配置位置は、メインブロックB1に対する第1電極12A〜12Dの配置位置と相対的に同じとされる。
【0037】
第2電極22Aと第2電極22Bとは第2配線24Aにより電気的に接続され、第1電極22Cと第2電極22Dとは第2配線24Bにより電気的に接続される。また、第2配線24Aと第2配線24Bとは第2配線24Cにより電気的に接続される。
【0038】
スペーサ30は、第1絶縁シート11におけるメインブロックB1と同形同大でなり、複数の開口31A〜31Dを有する。このスペーサ30の材料としては、例えば、PET、PBT又はPEN等の樹脂を挙げることができる。これら開口31A〜31Dは、周縁が略円形の形状であり、開口31A〜31Dの直径は、第1電極12A〜12Dの直径よりも僅かに小さい状態とされる。また、開口31A〜31Dの配置位置は、メインブロックB1に対する第1電極12A〜12Dの配置位置と相対的に同じとされる。
【0039】
各開口31A〜31Dには、スペーサ30の外部と空間的に接続するスリット32A〜32Dが形成される。すなわち、各スリット32A〜32Dの一端は、対応する開口31A〜31Dと接続され、他端はスペーサ30の側方に開放される。
【0040】
クッション部材40は、圧力が加えられると潰れるように変形する弾性部材であり、例えば、多数の空孔が設けられたスポンジ状の樹脂、樹脂製の繊維が絡み合った不織布又はゴム等から形成される。本実施形態におけるクッション部材40は略直方体状とされ、その広面は第2絶縁シート21の広面よりも小さい面積とされる。
【0041】
図3は、着座センサ7を上側から見た様子及び着座センサ7の断面の様子を示す図である。具体的に
図3の(A)は、着座センサ7を上側から見た様子を示す図であり、
図3の(B)は、
図3の(A)におけるV−V線に沿った断面の様子を示す図である。
【0042】
図3の(B)に示すように、第1電極シート10はスペーサ30の一方の面に貼り付けられ、第2電極シート20はスペーサ30の他方の面に貼り付けられて、1つの構造体(以下、シート構造体という)SSBとされる。
【0043】
このシート構造体SSBでは、一対の絶縁シート11,21の一部分と、これらシート部分の間に介在するスペーサ30と、スペーサ30に設けられる開口31Aを介して対向する一対の電極12A,22Aとによって感圧スイッチSW1が構成される。本実施形態では、一対の電極12A,22Aは、開口31A内に収まる状態で所定距離を隔てて正対される。
【0044】
またシート構造体SSBでは、このような感圧スイッチSW1と同様にして、
図3の(A)に示す感圧スイッチSW2〜SW4が構成される。なお、各感圧スイッチSW1〜SW4の構成要素である絶縁シート及びスペーサは、本実施形態では、1枚の絶縁シート11、21及びスペーサ30の一部分となるが、それぞれ別体となっていても良い。
【0045】
さらにシート構造体SSBの第2絶縁シート21において、スペーサ30に対向される面とは逆側の面の略中央領域には、第2絶縁シート21を介して開口31A〜31Dを覆うクッション部材40が貼り付けられる。なお、この第2絶縁シート21の一面のうち、クッション部材40によって覆われていない領域は、第2絶縁シート21の周縁領域ARである。
【0046】
このように着座センサ7は、第1電極シート10、スペーサ30、第2電極シート20、クッション部材40をこの順に一体として積層した構造とされる。
【0047】
なお、本実施形態の座席装置1は、着座センサ7の耐久性を向上させる補強テープ50を備える。この補強テープ50は、例えば、布、紙又は金属等を基材とする粘着テープ等とされ、着座センサ7の下側となる第1絶縁シート11の一面(スペーサ30に対向される面とは逆側の面)に貼り付けられる。この補強テープ50は、第1絶縁シート11と同程度の大きさであっても、異なる大きさであっても良い。
【0048】
図4は、着座センサ7の等価回路を示す図である。
図4に示すように、感圧スイッチSW1と感圧スイッチSW2との組STA、及び、感圧スイッチSW3と感圧スイッチSW4との組STBは並列に接続される。また、これら組STA及びSTB同士は直列に接続され、一対の端子13A,13B間に配置される。
【0049】
図5は、座席装置1を上側から見た様子及び座席装置1の断面の様子を示す図である。具体的に
図5の(A)は、座席装置1を上側から見た様子を示す図であり、
図5の(B)は、
図5の(A)におけるW−W線に沿った断面の様子を示す図である。
【0050】
図5の(A)に示すように、クッションパッド8は、背もたれ部8A及び座部8Bを主な構成要素として備える。これら背もたれ部8Aと座部8Bとは、圧力が加わると潰れるように変形する弾性部材であり、例えば発泡ウレタン等から形成される。
【0051】
図5の(A)及び(B)に示すように、座部8Bの底には、例えばクッションパッド8の幅方向に沿って、溝状の第1凹部(以下、浅凹部という)61が1段目として形成される。また、この浅凹部61の底の一部には、浅凹部61の長手方向に沿って、浅凹部61の幅よりも狭い溝状の第2凹部(以下、深凹部という)62が2段目として形成される。
【0052】
図5の(B)に示すように、浅凹部61の深さDP1はシート構造体SSB及び補強テープ50の厚みTH1よりも大きい状態とされ、浅凹部61の空間SP1にはシート構造体SSB及び補強テープ50が収容される。第2絶縁シート21の周縁領域AR(
図3の(A))と、浅凹部61の底面とは接着剤ADにより貼り付けられ、着座センサ7がクッションパッド8に固定される。なお、
図5(B)に示される浅凹部61の側面と、シート構造体SSB及び補強テープ50の側面とは接触状態となっているが、間隙を有した状態となっていても良い。ただし、着座センサ7の位置ずれを防止する観点、及び、座部8Bと着座センサ7との固定状態を強化する観点では、シート構造体SSB及び補強テープ50の側面とが接触状態であるほうが好ましい。
【0053】
深凹部62の深さDP2はクッション部材40の厚みTH2よりも大きい状態とされ、深凹部62の空間SP2には深凹部62の底面とその底面に対向するクッション部材40の上面とに間隙GPがある状態でクッション部材40が収容される。なお、
図5(B)に示される深凹部62の側面と、クッション部材40の側面とは間隙を有した状態となっているが、接触状態となっていても良い。
【0054】
図5の(A)に示したように、この実施形態における浅凹部61及び深凹部62は、クッションパッド8に正規着座する人のヒップポイントHPよりも前方に形成される。このため、浅凹部61の空間SP1に収容される着座センサ7の各感圧スイッチSW1〜SW4は、クッションパッド8に正規着座する人のヒップポイントHPよりも前方に配置される。
【0055】
なお、「正規着座」とは、背中が背もたれに接触し、臀部が座部の奥深くに位置する状態で着座することを意味し、「ヒップポイント」とは、着座状態にある人の臀部のうち最も下側に出ている部位を意味する。
【0056】
図6は、クッションパッド8に正規着座する人からクッションパッド8の座部8Bが載置される載置部材PTに与えられる荷重の分布を3段階で示す概念図である。具体的にこの
図6では、クッションパッド8から最も高い押圧力を受ける領域が右斜線で示され、右斜線の領域よりも小さい押圧力を受ける領域が左斜線で示され、左斜線の領域よりも小さい押圧力を受ける領域が点で示される。なお、各段階におけるレンジ幅は同程度である。また、右斜線とは、紙面右上と紙面左下とを結ぶ線に沿った線であり、左斜線とは、紙面左上と紙面右下とを結ぶ線に沿った線である。
【0057】
クッションパッド8に正規着座する人から加わる荷重は、座部8Bの座面では、ヒップポイントに集中するものであるが、
図6に示すように、クッションパッド8が載置される台座では、ヒップポイントHPに比べて前方の方が大きくなる。
【0058】
これは、正規着座する人の臀部から前方向に延びる大腿部の重力が鉛直方向に働くことに加えて、臀部の重力が鉛直方向以外に前方向にも働くからであると考えている。この大腿部及び臀部の重力が前方向に働く力は、背もたれが背中を押す力であると考えている。すなわち、人がクッションパッド8に正規着座するとき、背もたれ部8A(
図5の(A))によって、その背もたれ部8Aに接触する背中が押され、背中にかかる力が人を前方に押すものと考えている。
【0059】
したがって、車両等における所定の載置部材に座席装置1が載置された場合、
図5の(A)に示されるように、ヒップポイントHPよりも前方に配置される感圧スイッチSW1〜SW4は、ヒップポイントHPの鉛直方向に配置される場合に比べて大きな押圧力を受ける。こうして、感圧スイッチSW1〜SW4の感度を向上することができる。
【0060】
また、感圧スイッチSW1〜SW4は、クッションパッド8における座部8Bの下面側に配置される。したがって、座部8Bの座面側に配置する場合に比べて、着座センサ7が配置されていることに起因する着座の違和感を低減することができる。
【0061】
また、クッションパッド8の幅方向の中心を通る鉛直平面VFを基準として、感圧スイッチSW1及びSW2は右側に、感圧スイッチSW3及びSW4は左側に配置される。クッションパッド8に着座する人の臀部は一般には鉛直平面VFを基準として左右に位置するのに対し、荷物は鉛直平面VFを基準として左右に位置するとは限らない。したがって、感圧スイッチSW1及びSW2と、感圧スイッチSW3及びSW4との双方を左側又は右側に配置する場合、あるいは、感圧スイッチSW1〜SW4を鉛直平面VF状に配置する場合に比べて、誤検知を抑制することができる。
【0062】
なお、鉛直平面VFの左側に配置される感圧スイッチSW1と、鉛直平面VFの右側に配置される感圧スイッチSW4とは、鉛直平面VFを基準として対称に配置されているほうが好ましい。鉛直平面VFの左側に配置される感圧スイッチSW2と、鉛直平面VFの右側に配置される感圧スイッチSW3とについても同様である。
【0063】
また、感圧スイッチSW1〜SW4は、クッションパッド8の幅方向へ同一線上に配置される。クッションパッド8に着座する人の骨盤は一般にはクッションパッド8の幅方向へ広がった状態にある。したがって、感圧スイッチSW1〜SW4を前後方向へ同一線上に配置する場合等に比べて、感圧スイッチSW1〜SW4の感度を向上することができる。
【0064】
図7は、感圧スイッチSW1がオンする様子を
図5の(B)と同じ視点で示す図である。
図7に示すように、載置部材PTに載置された座席装置1のクッションパッド8に人が着座した場合、クッションパッド8は、座部8Bの座面側と下面側との双方から押圧力が加わる(矢印参照)。
【0065】
本実施形態では、座部8Bの凹部61及び62の空間SP1及びSP2内に収容される着座センサ7と載置部材PTの載置面との間は空間となるため、着座センサ7は主に座面側からの押圧力を受ける。このような押圧力を受けたクッションパッド8では、クッション部材40上方にあるクッションパッド部位が撓むように変形してクッション部材40の上面と接触し、クッション部材40を押圧する。この押圧力によってクッション部材40が潰れるように変形し、この変形により第2絶縁シート21も押圧される。
【0066】
第2絶縁シート21は可撓性を有しているため、クッションパッド8の押圧に応じて、第2絶縁シート21と第1絶縁シート11との間に介在するスペーサ30の開口31Aに入り込むように撓む。このように撓むことで、開口31Aを介して互いに対向する第1電極12Aと第2電極22Aとが電気的に接続されて導通状態となる。こうして感圧スイッチSW1がオンとなる。
【0067】
なお、本実施形態における開口31Aには、開口を外部と連通するスリット32A(
図2)が形成される。このため、第1絶縁シート11及び第2絶縁シート21が撓むとき、開口31Aの空気は開口内に留まることなくスリット32Aを介して排出される。つまり、第1絶縁シート11及び第2絶縁シート21の撓みが開口31内の空気によって抑制されるといったことが回避される。したがって、スリット32Aが形成されていない場合に比べて、第1電極12Aと第2電極22Aが接触し易くなり、感圧スイッチSW1自体の感度を向上することができる。
【0068】
ところで、クッション部材40が潰れる厚さは、第1電極12Aと第2電極22Aとの間の距離の半分以上とされる関係にある場合、クッション部材40が撓まずに潰れる変形をすることのみによって、感圧スイッチSW1がオン可能となる。したがって、このような関係を採用した場合には、感圧スイッチSW1自体の感度をより一段と向上することができる。
【0069】
また、第1絶縁シート11は可撓性を有しているが、可撓性を有しない(荷重が加わっても変形しない)程度に硬質とされる第1絶縁シートを採用することができる。このような第1絶縁シートを採用した場合、第2絶縁シート21が撓むとき、第1絶縁シートは撓むことなく、その第1絶縁シートに配置される第1電極12Aの位置が保持される。このため、可撓性を有する第1絶縁シート11を採用する場合に比べて、座面側からの押圧力が小さくても第2電極22Aが第1電極12Aに接触し易くなり、感圧スイッチSW1自体の感度をより一段と向上することができる。ただし、硬質の程度は、少なくとも第2絶縁シート21よりも硬質であれば良い。なお、少なくとも第2絶縁シート21よりも第1絶縁シート11を硬質とする手法には、例えば、第2絶縁シート21の材料よりも硬質の材料で第1絶縁シート11を作製する手法、あるいは、第2絶縁シート21の厚みよりも大きい厚みで第1絶縁シート11を作製する手法などがある。第2絶縁シート21よりも硬質とする場合における第1絶縁シート11の材料としては、上述したPET、PBT又はPEN等の樹脂のほかに、金属などを挙げることができる。
【0070】
この感圧スイッチSW1に関して説明した事項は、他の感圧スイッチSW2〜SW4についても同様である。
【0071】
以上説明したように、本実施形態の座席装置1では、
図5の(B)に示したように、浅凹部61の開口面に鉛直となる空間内に、深凹部62の底から間隙GPを隔てて感圧スイッチSW1が配置される。
【0072】
この間隙GPがない場合、クッションパッド8に少しでも押圧力が加わっただけで感圧スイッチSW1がオンとなる傾向にある。したがって、本実施形態の座席装置1では、間隙GPがない場合に比べて、人よりも軽い荷物などが置かれた際にクッションパッド8に加わる押圧力によって、感圧スイッチSW1がオンとなるといったことを低減することができる。また、人が着座した際にクッションパッド8に加わる押圧力によって感圧スイッチSW1がオンとなるように、間隙GPの大きさで調整可能にもなる。このように、電気的に誤検出を判断するといったことに依存しなくても、構造的に誤検出を低減することができる。
【0073】
本実施形態の場合、感圧スイッチSW1が対向する深凹部62の底部分以外のクッションパッド8の下面(浅凹部61の底面)に着座センサ7が固定される。具体的には、第2絶縁シート21におけるスペーサ30に対向する面とは逆側の周縁領域AR(
図3の(A))と浅凹部61の底面とが間隙なく対向する状態とされる。
【0074】
このため、浅凹部61の底が、クッションパッド8の上方に着座センサ7が動くことを防止するストッパーとして機能することになる。したがって、例えば、クッションパッド8が振動等により上下動した場合であっても、その上下動に起因して着座センサ7とクッションパッド8とが接触して感圧スイッチSW1がオンとなるといったことを未然に回避することができる。
【0075】
また、本実施の形態の場合、第2絶縁シート21の周縁領域AR(
図3の(A))と、クッションパッド8とは接着剤ADにより接着されている。このため、浅凹部61の開口が閉じられていない場合であっても、当該浅凹部61の空間SP1の定位置に着座センサ7を保持することができる。
【0076】
ところで、クッションパッド8の硬さは車種等の種類に応じて様々となるため、人の着座によりクッションパッド8の弾性変形の程度は、当該クッションパッド8の種類に応じて変わる。本実施形態の場合、第2絶縁シート21におけるスペーサ30に対向する面とは逆側の面には、当該第2絶縁シート21を介して開口31Aを覆うクッション部材40が設けられる。
【0077】
このため、このクッション部材40が、クッションパッドの硬さにかかわらず同じように変形して、第2絶縁シート21をスペーサ30の開口31Aに入り込ませることができる。したがって、クッション部材40とクッションパッド8との間に間隙GPがあっても適切に絶縁シートを撓ませることが可能となる。また、クッション部材40の厚みによって、感圧スイッチSW1の感度を調整することが可能にもなる。
【0078】
また、本実施形態のクッションパッド8が載置部材の載置面に載置された場合、当該クッションパッド8に荷重が加わるとクッションパッド8の座面側と下面側との双方から押圧力を受ける。この点、本実施形態の着座センサ7は、浅凹部61及び深凹部62の空間SP1及びSP2内に収められ、当該着座センサ7の下側が空間となっているため、クッションパッド8が載置される載置部材に対して非接触となる。
【0079】
したがって、着座センサ7の感圧スイッチSW1は、下面側の押圧力の影響をおおむね受けることなく、座面側からの押圧力によってオンすることになる。一般に、クッションパッド8の座面側と下面側との形状は相違しており、この相違に起因して、座面側から受ける押圧力と下面側から受ける押圧力とが不均一となる傾向にある。この点、本実施形態の感圧スイッチSW1は座面側からの押圧力によってオンするようになっているので、座面側から受ける押圧力と下面側から受ける押圧力とが不均一であったとしても、その影響をおおむね受けることがない。したがって、感圧スイッチSW1における感度の調整がし易くなる。
【0080】
(第2実施形態)
第2実施形態について
図8を参照して詳細に説明する。なお、特に説明する場合を除き、第1実施形態と同一又は同等の構成要素については、同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
図8は、第2実施形態の座席装置2を、
図5の(B)と同様の視点から示す図である。
【0081】
図8に示すように、本実施形態の座席装置2は、第1実施形態の深凹部62とは異なる深凹部63を構成要素として備える点、及び、クッション部材40を省略した点で、第1実施形態の座席装置1と異なる。
【0082】
具体的に第1実施形態では、深凹部62がクッション部材40の厚みTH1よりも大きい深さDP1とされ、深凹部62の底面とその底面に対向するクッション部材40の上面とに間隙GPがある状態で、深凹部62の空間SP2にクッション部材40が収容された。
【0083】
これに対し本実施形態では、クッション部材40が省略されているため、深凹部63の深さDP3は第1実施形態の深凹部62の深さDP2(
図5の(B))よりも小さい状態にある。この深凹部63の空間は、深凹部63の底面とその底面に対向するクッション部材40の上面との間隙GPとされる。つまり、深凹部63は、深凹部63の底面とその底面に対向するクッション部材40の上面との間隙GPを得るために形成される。
【0084】
以上説明したように、本実施形態の座席装置2では、第2絶縁シート21を介して開口31Aの上方に深凹部62の空間が間隙GPとして位置する状態で、浅凹部61の空間SP1に第2絶縁シート21が配置される。
【0085】
このため、第1実施形態の座席装置1と同様に、人よりも軽い荷物などが置かれた際にクッションパッド8に加わる押圧力によって、感圧スイッチSW1がオンとなることを低減することができる。また、第1実施形態の座席装置1と同様に、間隙GPの大きさによって、人の着座時に感圧スイッチSW1がオンになるよう調整することができる。このように、電気的に誤検出を判断するといったことに依存しなくても、構造的に誤検出を低減することができる。
【0086】
また、本実施形態の座席装置2では、第1実施形態の場合と同様に、第2絶縁シート21におけるスペーサ30に対向する面とは逆側の周縁領域AR(
図3の(A))と浅凹部61の底面とが接着剤ADにより接着される。
【0087】
このため、浅凹部61の底が、クッションパッド8の上方に着座センサ7が動くことを防止するストッパーとして機能し、浅凹部61の開口が閉じられていない場合であっても、当該浅凹部61の空間SP1の定位置に着座センサ7を保持することができる。
【0088】
(第3実施形態)
第3実施形態について
図9を参照して詳細に説明する。なお、特に説明する場合を除き、第1実施形態と同一又は同等の構成要素については、同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
図9は、第3実施形態の座席装置3を、
図5の(B)と同様の視点から示す図である。
【0089】
図9に示すように、本実施形態の座席装置3は、第1実施形態における2段階の凹部61及び62に代えて1段階の凹部64を構成要素として備える点、及び、空間調整用スペーサ70を構成要素として新たに備える点で、第1実施形態の座席装置1と異なる。
【0090】
凹部64の形成位置及び形状は第1実施形態における浅凹部61と同じとされ、凹部64の深さDP4は、第1実施形態における浅凹部61の深さDP1(
図5の(B))と深凹部62の深さDP2(
図5の(B))とを合計した深さとされる。すなわち、第1実施形態における浅凹部61の空間SP1を深凹部62の底面位置にまで大きくした状態に相当する。
【0091】
空間調整用スペーサ70は略直方体形状でなり、クッションパッド8からの押圧力により変形しない硬質なものとされる。空間調整用スペーサ70の厚みはクッション部材40の厚みTH2(
図5の(B))よりも大きい状態とされ、当該空間調整用スペーサ70には、クッション部材40を収容するための貫通孔HLが形成される。
【0092】
このような空間調整用スペーサ70の一方の広面は接着剤AD1により凹部64の底面に固定され、他方の広面は接着剤AD2により第2絶縁シート21の周縁領域AR(
図3の(A))に固定される。こうして空間調整用スペーサ70は、凹部64の空間SP4を、第1実施形態における浅凹部61の空間SP1(
図5の(B))と深凹部62の空間SP2(
図5の(B))に相当する空間として形成する。
【0093】
以上説明したように、本実施形態の座席装置3では、空間調整用スペーサ70の貫通孔HLが第2絶縁シート21を介して開口31Aの上方に位置する状態で、凹部64の空間SP4に第2絶縁シート21が配置される。
【0094】
このため、開口31Aの上方には空間調整用スペーサ70の厚み分の空間(深凹部62の空間SP2(
図5の(B))に相当する空間)が形成される。したがって、この空間がない場合に比べて、人よりも軽い荷物などが置かれた際にクッションパッドに加わる押圧力によって、感圧スイッチSW1がオンになるといった誤検知を低減することができる。また、空間調整用スペーサ70の厚みによって、人の着座時に感圧スイッチSW1がオンになるよう調整することができる。このように、電気的に誤検出を判断するといったことに依存しなくても、構造的に誤検出を低減することができる。
【0095】
また、本実施形態の座席装置3では、第2絶縁シート21と凹部64の底部との間に空間調整用スペーサ70が介在するため、空間調整用スペーサ70が、クッションパッド8の上方に着座センサ7が動くことを防止するストッパーとして機能する。したがって、第1実施形態と同様に、クッションパッド8の振動等によって感圧スイッチSW1が誤検知することを回避することができる。
【0096】
さらに、本実施形態の座席装置3では、第2絶縁シート21におけるスペーサ30に対向する面とは逆側の面に、第2絶縁シート21を介して開口31Aを覆うクッション部材40が設けられる。このため、第1実施形態の場合と同様に、クッション部材40が、クッションパッド8の硬さにかかわらず同じように変形して、第2絶縁シート21をスペーサ30の開口31Aに入り込ませることができる。
【0097】
なお、このクッション部材40は省略されていてもよい。クッション部材40を省略した場合、感圧スイッチSW1の感度を向上させる観点では、空間調整用スペーサ70の厚みを第3実施形態の場合よりも小さくすることが好ましい。
【0098】
(第4実施形態)
第4実施形態について
図10を参照して詳細に説明する。なお、特に説明する場合を除き、第1実施形態と同一又は同等の構成要素については、同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
図10は、第4実施形態の座席装置4を、
図5の(B)と同様の視点から示す図である。
【0099】
図10に示すように、本実施形態の座席装置4は、第2絶縁シート21の周縁領域AR(
図3の(A))とクッションパッド8とを接着剤ADで接着せずに接触状態にしている点、保持部材80を構成要素として新たに備える点で、第1実施形態の座席装置1と異なる。
【0100】
この保持部材80は、浅凹部61の空間に収容されるシート構造体SSB及び補強テープ50を、当該浅凹部61の底面部分であるクッションパッド部位と挟持して保持する部材であり、当該浅凹部61の開口を塞いだ状態とされる。
【0101】
なお、保持部材80はクッションパッド8の一部として一体成形されていても良く、クッションパッド8とは異なる部材としてクッションパッド8に連結されていても良い。また、
図10に示す保持部材80の外側面と座部8Bの下面とが同一面となっているが、同一面となっていなくても良い。
【0102】
以上説明したように、本実施形態の座席装置4では、保持部材80が、シート構造体SSB及び補強テープ50をクッションパッド8と挟持する。このため、第2絶縁シート21の周縁領域AR(
図3の(A))と、クッションパッド8とを接着することなく、浅凹部61の空間SP1の定位置に着座センサ7(シート構造体SSB及び補強テープ50)を保持することができる。
【0103】
ところで、第2絶縁シート21の周縁領域AR(
図3の(A))と、クッションパッド8とを接着する場合、接着剤の種類によってはクッション部材40のクッション性を変化させてしまう可能性が生じ得る。本実施形態の座席装置4によれば、このような可能性を回避しつつも、浅凹部61の空間SP1の定位置に着座センサ7(シート構造体SSB及び補強テープ50)を保持することができる。
【0104】
なお、本実施形態の保持部材80は、第2実施形態の座席装置2又は第3実施形態の座席装置3に適用されても良い。第2実施形態の座席装置2又は第3実施形態の座席装置3に保持部材80を適用した場合、第2絶縁シート21の周縁領域AR(
図3の(A))と、クッションパッド8との接着剤ADは省略することができる。
【0105】
(第5実施形態)
第5実施形態について
図11を参照して詳細に説明する。なお、特に説明する場合を除き、第1実施形態と同一又は同等の構成要素については、同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
図11は、第5実施形態の座席装置5を、
図5の(B)と同様の視点から示す図である。
【0106】
図11に示すように、本実施形態の座席装置5は、第2絶縁シート21の周縁領域AR(
図3の(A))とクッションパッド8とを接着剤ADで接着せずに接触状態にしている点、保持部材90を構成要素として新たに備える点で、第1実施形態の座席装置1と異なる。
【0107】
この保持部材90は、浅凹部61の空間SP1に収容されるシート構造体SSB及び補強テープ50を、当該浅凹部61の底面部分であるクッションパッド部位と挟持して保持するものであり、一対の部材90A,90Bからなる。これら一対の部材90A,90Bは、可撓性を有し、浅凹部61の長手方向の両側部から浅凹部61の空間SP1に向けて突出しており、第4実施形態の保持部材80における感圧スイッチの下方となる部分を省略したものに相当する。
【0108】
なお、一対の部材90A,90Bはクッションパッド8の一部として一体成形されていても良く、クッションパッド8とは異なる部材としてクッションパッド8に連結されていても良い。また、
図11に示す一対の部材90A,90Bの外側面と座部8Bの下面とが同一面となっているが、同一面となっていなくても良い。
【0109】
以上説明したように、本実施形態の座席装置5では、保持部材90が、シート構造体SSB及び補強テープ50をクッションパッド8と挟持する。このため、第4実施形態と同様に、第2絶縁シート21の周縁領域AR(
図3の(A))と、クッションパッド8とを接着することなく、浅凹部61の空間SP1の定位置に着座センサ7(シート構造体SSB及び補強テープ50)を保持することができる。
【0110】
なお、本実施形態の保持部材90は、第2実施形態の座席装置2又は第3実施形態の座席装置3に適用されても良い。第2実施形態の座席装置2又は第3実施形態の座席装置3に保持部材80を適用した場合、第2絶縁シート21の周縁領域AR(
図3の(A))と、クッションパッド8との接着剤ADは省略することができる。
【0111】
(第6実施形態)
第6実施形態について
図12を参照して詳細に説明する。なお、特に説明する場合を除き、第1実施形態と同一又は同等の構成要素については、同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
図12は、第6実施形態の座席装置6を、
図5の(B)と同様の視点から示す図である。
【0112】
図12に示すように、本実施形態の座席装置6は、第2絶縁シート21とは異なる構造の第2絶縁シート101を構成要素として備える点で、第1実施形態の座席装置1と異なる。
【0113】
具体的に第1実施形態では、第2絶縁シート21が第1絶縁シート11のメインブロックB1(
図2)と同じ大きさとされ、当該第2絶縁シートの一方の面における周縁領域AR(
図3の(A))と浅凹部61の底面とが接着剤AD(
図5の(B))により貼り付けられた。
【0114】
これに対し本実施形態では、第2絶縁シート101は、第1絶縁シート11のメインブロックB1(
図2)よりも小さく、クッション部材40の外形と同程度の大きさとされる。つまり、第2絶縁シート101は、第1実施形態の第2絶縁シート21における周縁領域AR(
図3の(A))が省略された部位に相当する。したがって
図12に示すように、第2絶縁シート101に対向されるスペーサ30の一面の周縁領域は、当該第2絶縁シート101から露出した状態にあり、この露出部分と浅凹部61の底面とが接着剤ADにより貼り付けられる。
【0115】
以上説明したように、本実施形態の座席装置6では、スペーサ30の周縁領域が第2絶縁シート101から露出され、その露出領域と、浅凹部61の底面となるクッションパッド部位とが接着される。
【0116】
このため、第2絶縁シート101とスペーサ30との接着を省略しても、第2絶縁シート101及びスペーサ30を互いに定位置に配置可能となるため、接着剤のコストを抑えることができる。
【0117】
なお、本実施形態では、第2絶縁シート101を第1絶縁シート11よりも小さくすることで、スペーサ30の周縁領域が第2絶縁シート101から露出された。しかしながら、例えば、第1実施形態の第2絶縁シート21の周縁領域AR(
図3の(A))に1又は複数の貫通孔を設けることで、スペーサ30の周縁以外の領域が第2絶縁シート101から露出されていても良い。要するに、スペーサ30の一部が第2絶縁シートから露出状態にあれば良い。
【0118】
このようにスペーサ30の一部を第2絶縁シートから露出し、その露出部分とクッションパッド8とを接着する形態は、第1実施形態〜第5実施形態のいずれにも適用することができる。
【0119】
以上、本発明について、第1実施形態〜第6実施形態を例に説明したが、本発明はこれら実施形態に限定されるものではない。
【0120】
例えば、上記実施形態では、第2絶縁シート21が、第1凹部61の底又は空間調整用スペーサ70に接着固定又は挟持固定された。しかしながら、第2絶縁シート21の周縁領域AR(
図3の(A))等の少なくとも一部が、凹部61乃至64以外のクッションパッド8の下面に接着固定又は挟持固定されていても良い。また、着座センサ7の固定は、他の方法で固定されても良い。例えば、着座センサ7は、それぞれの感圧スイッチの周囲を貫通しクッションパッド8に刺される複数のピン等で、第1凹部61の底又は空間調整用スペーサ70に固定されても良い。
【0121】
また、上記実施形態では、補強テープ50が、テープ以外の補強部材に代替されても良い。また、補強テープ50は、第1絶縁シート11の全面に貼り付けられたが、一部の領域に貼り付けられていても良く、省略されても良い。ただし、第1絶縁シート11の下側が空間となる場合、着座センサ7の耐久性を向上させる観点では、補強部材が設けられているほうが望ましい。
【0122】
上記実施形態では、着座センサ7、第1電極シート10、第2電極シート20及びスペーサ30の形状は上記実施形態に限定されるものではなく、様々な形状を適用することができる。また、第1電極シート10及び第2電極シート20の電極と、スペーサ30の開口とが円形状とされたが、当該円形状以外の形状とすることもできる。
【0123】
また上記実施形態では、感圧スイッチの数が4つとされたが、3つ以下でも良く、5つ以上でも良い。
【0124】
また、上記実施形態では、感圧スイッチSW1と感圧スイッチSW2との組STA、及び、感圧スイッチSW3と感圧スイッチSW4との組STBが並列に接続され、これら組STA及びSTB同士は直列に接続された。しかしながら、感圧スイッチSW1〜SW4の全てが直列又は並列に接続されていても良い。
【0125】
また、上記実施形態では、第1電極12A〜12Dと第2電極22A〜22Dとの形状、大きさが一致しており、互いに完全に重なるものとされた。しかしながら、押圧力を検知できる範囲であれば、大きさや形状等が第1電極12A〜12Dと第2電極22A〜22Dとで異なっていても良く、互いに完全に重なっていなくても良い。
【0126】
また、上記実施形態では、感圧スイッチSW1〜SW4の開口31A〜31Dの大きさが同じとされたが、2種類以上の大きさを有する開口とされても良い。このようにした場合、大きい開口を有する感圧スイッチの絶縁シートは、小さい開口を有する感圧スイッチの絶縁シートよりも撓み易く、大きい開口を有する感圧スイッチの感度は、小さい開口を有する感圧スイッチに比べて向上する。一般に、人が着座した際にクッションパッド8に加わる押圧力は、クッションパッド8の幅方向の中心から離れるにつれて減少する傾向にある。したがって、例えば、クッションパッド8の幅方向の中心から、感圧スイッチSW2及びSW3に比べて遠くに配置される感圧スイッチSW1及びSW4の開口を、当該感圧スイッチSW2及びSW3の開口に比べて大きい状態とすれば、感圧スイッチSW1〜SW4の感度のばらつきを抑えることができる。
【0127】
また、上記実施形態では、絶縁シート21又は101を介してスペーサ30における開口31A〜31Dをまとめて覆うクッション部材40が適用された。しかしながら、開口31A〜31Dごとにそれぞれ個別に覆うクッション部材が適用されても良い。また、開口全体を覆うクッション部材40が適用されたが、例えば
図13に示すように、開口31A〜31Dの一部を覆うクッション部材41が適用されても良い。あるいは、図示しないが、開口31Aと31Dの一部を覆い、それ以外の開口31Bと31Dの全体を覆うクッション部材が適用されても良い。要するに、感圧スイッチSW1〜SW4(より詳細には絶縁シート21又は101を介して開口31A〜31D)の少なくとも一部を覆うクッション部材であれば良い。なお、上述したように、2種類以上の大きさを有する開口を適用した場合、種類が異なる開口ごとに、クッション部材が開口を覆う割合(開口に対するクッション部材の閉塞量)を相違させることで、感圧スイッチSW1〜SW4の感度を調整可能である。例えば、開口が大きい方の感圧スイッチと、開口が小さいほうの感圧スイッチとのいずれか一方の開口全体をクッション部材で覆い、その他方の開口の一部をクッション部材で覆う。このようにすれば、クッションパッド8から感圧スイッチSW1〜SW4に与えられる押圧力に相違があったとしても、これら感圧スイッチSW1〜SW4がオン状態となる均一性(バランス)を向上できる。
【0128】
また、上記実施形態では、少なくとも1つの貫通孔HLを有するシート状の空間調整用スペーサ70が適用された。しかしながら空間調整用スペーサ70の構造は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、棒状とされる一対の空間調整用スペーサを適用することができる。これら空間調整用スペーサを適用する場合、各空間調整用スペーサを第2絶縁シート21の周縁領域AR(
図3)の長手方向に接着剤AD2で固定し、浅凹部61の底に接着剤AD1で固定する。このように固定すれば、上記第3実施形態と同様に、空間調整用スペーサによって、浅凹部61の底と感圧スイッチSW1との間に間隙GPを得ることができる。別例として、錐台状とされる2以上の空間調整用スペーサを適用することができる。これら空間調整用スペーサを適用する場合、各空間調整用スペーサの底面又はこれに正対する平面を第2絶縁シート21の周縁領域AR(
図3)に所定間隔ごとに接着剤AD2で固定し、当該平面又は底面を浅凹部61の底に接着剤AD1で固定する。このように固定すれば、上記第3実施形態と同様に、空間調整用スペーサによって、浅凹部61の底と感圧スイッチSW1との間に間隙GPを得ることができる。
【0129】
なお、本発明に係る座席装置は、クッションパッド及びクッションパッドの座面から加えられる荷重を検知する少なくとも1つの感圧スイッチを有する着座センサを備えており、当該クッションパッドの下面には感圧スイッチの上方を含む位置に凹部が形成され、着座センサは凹部の底よりも下方に配置され、感圧スイッチの上方にあたる凹部の底部分と着座センサとの間には間隙が形成され、感圧スイッチの上方にあたる凹部の底部分以外のクッションパッドの下面の少なくとも一部に着座センサが直接的又は間接的に固定されるものであれば、当該座席装置の構成要素は、上述した以外にも適宜組み合わせることができる。