特許第5890164号(P5890164)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5890164
(24)【登録日】2016年2月26日
(45)【発行日】2016年3月22日
(54)【発明の名称】ヘッドアップディスプレイ装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 27/01 20060101AFI20160308BHJP
   B60K 35/00 20060101ALI20160308BHJP
   B60R 11/02 20060101ALI20160308BHJP
【FI】
   G02B27/01
   B60K35/00 A
   B60R11/02 C
【請求項の数】1
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2011-274715(P2011-274715)
(22)【出願日】2011年12月15日
(65)【公開番号】特開2013-125193(P2013-125193A)
(43)【公開日】2013年6月24日
【審査請求日】2014年11月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100105474
【弁理士】
【氏名又は名称】本多 弘徳
(74)【代理人】
【識別番号】100108589
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 利光
(72)【発明者】
【氏名】島田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 淳一
【審査官】 堀部 修平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−131651(JP,A)
【文献】 特開2003−262776(JP,A)
【文献】 特開2010−164498(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 27/01
B60K 35/00
G02B 7/00 − 7/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示器からの表示光を反射させて車両のウインドシールドへ導く駆動ミラーを備えたヘッドアップディスプレイ装置であって、
前記駆動ミラーは、
ケースの底面に固定されたベースプレートと、
該ベースプレートに立設されて互いに対向する一対の支持板部に回動可能に支持されたホルダと、
該ホルダに保持された反射ミラーと、
前記ホルダを回動させて前記反射ミラーの角度を変更させる駆動モータと、
前記支持板部における前記ホルダの支持箇所近傍に設けられて前記ケースの前記底面への前記ベースプレートの装着方向へ突出する位置決め突起と、
前記位置決め突起が挿し込まれて前記位置決め突起を所定位置に保持する前記ケースに形成された保持凹部と、を備えることを特徴とするヘッドアップディスプレイ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のウインドシールドの投射エリアに虚像を投射し、車両のアイポイントからウインドシールドを透して視認される車両の前景と投射した虚像とを重畳視認させるヘッドアップディスプレイ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、運転者が運転に際して求める情報の増加や多角化に伴って、特に、緊急度の高い情報などを車両のウインドシールド上に虚像表示させ、それを透して車両の前景と重畳視認させる、ヘッドアップディスプレイ(HUD)装置が自動車、列車等の車両に搭載されている。
【0003】
このヘッドアップディスプレイ装置としては、図9に示すように、表示光Lを出射する表示器1と、この表示器1からの表示光Lが入射されるケース2と、ケース2内に入射された表示光Lを反射してケース2に設けた開口部(図示略)に導くケース2内に収容された反射板4,5と、開口部を覆う透明板(図示略)とを備えている(例えば、特許文献1,2参照)。
【0004】
反射板5は、ホルダ7と、ベースプレート8と、ステップモータ9とを備えている。反射板5は、ホルダ7に保持されており、このホルダ7は、ベースプレート8に回動可能に支持されている。そして、反射板5は、ベースプレート8をケース2の底面にねじ止めすることで固定されている。ステップモータ9は、反射板5を保持しているホルダ7を回動させるもので、このステップモータ9によってホルダ7が回動されることで、反射板5の向きが変更される。これにより、反射板5は、ステップモータ9によってホルダ7が回動されることで、表示光の照射方向が変更される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−55940号公報
【特許文献2】特開2010−15037号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、光学部品を組み合わせた上記のヘッドアップディスプレイ装置では、各光学部品に位置ずれが生じていると、虚像の表示位置が大きくずれてしまう。特に、ステップモータ9によってホルダ7を回動させることで反射板5の投影角度を調整する機構部分では、ホルダ7を回動させる際に生じるトルクがベースプレート8に作用して撓みが生じることがある。すると、反射板5の角度にずれが生じ、虚像の表示位置がずれてしまうという問題があった。
【0007】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、虚像の表示位置のずれを極力抑えつつ表示光の投影角度の調整が可能なヘッドアップディスプレイ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述した目的を達成するために、本発明に係るヘッドアップディスプレイ装置は、下記(1)を特徴としている。
(1) 表示器からの表示光を反射させて車両のウインドシールドへ導く駆動ミラーを備えたヘッドアップディスプレイ装置であって、
前記駆動ミラーは、
ケースの底面に固定されたベースプレートと、
該ベースプレートに立設されて互いに対向する一対の支持板部に回動可能に支持されたホルダと、
該ホルダに保持された反射ミラーと、
前記ホルダを回動させて前記反射ミラーの角度を変更させる駆動モータと、
前記支持板部における前記ホルダの支持箇所近傍に設けられて前記ケースの前記底面への前記ベースプレートの装着方向へ突出する位置決め突起と、
前記位置決め突起が挿し込まれて前記位置決め突起を所定位置に保持する前記ケースに形成された保持凹部と、を備えること
【0009】
上記(1)の構成のヘッドアップディスプレイ装置では、ベースプレートの支持板部におけるホルダの支持箇所近傍の位置決め突起がケースの保持凹部に位置決めされて保持される。したがって、ホルダを回動させて反射ミラーの角度を変更すべく駆動する際のトルクによってベースプレートの支持板部が変形しようとしても、位置決め突起がケースの保持凹部に保持されているので、支持板部の変形が抑制される。
これにより、ベースプレートの支持板部が変形することによる反射ミラーの角度のずれを抑制することができ、よって、反射ミラーで反射されて車両のウインドシールドに映し出される虚像の表示位置のずれの発生を抑制することができる。
つまり、表示光の投影角度の調整を行う反射ミラーの位置精度を向上させ、虚像の表示位置のずれを極力抑えることができる
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、虚像の表示位置のずれを極力抑えつつ表示光の投影角度の調整が可能なヘッドアップディスプレイ装置を提供できる。
【0011】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明の実施形態に係るヘッドアップディスプレイ装置における表示器アッシー及び配線基板を取り外した状態の斜視図である。
図2図2は、本発明の実施形態に係るヘッドアップディスプレイ装置の分解斜視図である。
図3図3は、本発明の実施形態に係るヘッドアップディスプレイ装置におけるアッパーケースを外した状態の平面図である。
図4図4は、本発明の実施形態に係るヘッドアップディスプレイ装置におけるアッパーケースを外した状態の斜視図である。
図5図5は、ロアーケース及び駆動ミラーアッシーの分解斜視図である。
図6図6は、駆動ミラーアッシーの斜視図である。
図7図7は、ヘッドアップディスプレイ装置の断面図である。
図8図8は、破断させたヘッドアップディスプレイ装置の斜視図である。
図9図9は、従来のヘッドアップディスプレイ装置の横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る実施の形態の例を、図面を参照して説明する。
【0014】
なお、この実施の形態では、表示器としてAMVFD(Active Matrix Vacuum Fluorescent Display)等のVFD(蛍光表示管)を用いたヘッドアップディスプレイ装置について説明する。
【0015】
図1は、本発明の実施形態に係るヘッドアップディスプレイ装置における表示器アッシー及び配線基板を取り外した状態の斜視図、図2は、本発明の実施形態に係るヘッドアップディスプレイ装置の分解斜視図、図3は、本発明の実施形態に係るヘッドアップディスプレイ装置におけるアッパーケースを外した状態の平面図、図4は、本発明の実施形態に係るヘッドアップディスプレイ装置におけるアッパーケースを外した状態の斜視図、図5は、ロアーケース及び駆動ミラーアッシーの分解斜視図、図6は、駆動ミラーアッシーの斜視図、図7は、ヘッドアップディスプレイ装置の断面図、図8は、破断させたヘッドアップディスプレイ装置の斜視図である。
【0016】
図1及び図2に示すように、ヘッドアップディスプレイ装置10は、ケース11を有している。ケース11は、ロアーケース(ケース)12と、アッパーケース13とからなり、ロアーケース12の上部にアッパーケース13を組み付けることでケース11が構成される。
【0017】
図3及び図4に示すように、ロアーケース12には、表示器アッシー14と、平面ミラーアッシー15と、駆動ミラーアッシー(駆動ミラー)16とが組み付けられている。
【0018】
表示器アッシー14は、ロアーケース12の一端側に組み付けられている。平面ミラーアッシー15は、ロアーケース12の他端側に組み付けられている。また、駆動ミラーアッシー16は、ロアーケース12の一側部側に組み付けられている。
【0019】
図1及び図2に示すように、表示器アッシー14は、AMVFD(Active Matrix Vacuum Fluorescent Display)等のVFD(蛍光表示管)からなる表示器22と、ヒートシンク24と、ヒートシンクカバー25とを有しており、これらをネジ等の固定手段により一体化することで構成されている。この表示器アッシー14は、表示器22から表示光L(図3参照)を前面側へ照射する。そして、この表示器22から出射した表示光Lの照射経路が導光路Dとされている。
【0020】
表示器アッシー14は、配線基板31に実装されている。この配線基板31には、表示器アッシー14の表示器22を駆動させる駆動回路が設けられており、表示器アッシー14は、この配線基板31の表面側における一端側に実装されて一体化されている。これにより、配線基板31は、表示器アッシー14の表示器22からの表示光Lの照射方向に沿って延在されている。また、この配線基板31には、コネクタ32が実装されており、このコネクタ32の接続口32aが側方へ向けられている。
【0021】
ロアーケース12には、表示器アッシー14の前面側に、導光路Dを囲む角筒状に形成された導光枠34が設けられており、表示器アッシー14から照射された表示光Lが導光枠34を通してロアーケース12の他端側へ導かれる。また、ロアーケース12には、導光枠34の内周面及び導光枠34よりも表示光Lの照射方向前方側における底面に、照射方向に対して直交する方向に沿って形成された複数のゴースト防止リブ37が設けられている。これらのゴースト防止リブ37は、表示器アッシー14から照射される表示光Lの乱反射による虚像の発生を防止する。
【0022】
平面ミラーアッシー15は、平面ミラー41と、ベゼル42とを有しており、平面ミラー41は、ベゼル42によってロアーケース12に固定されている。この平面ミラーアッシー15は、表示器アッシー14の表示器22からの表示光Lの照射方向前方側に配置されており、その表示光Lの照射方向に対して斜め側方へ傾けられている。これにより、平面ミラーアッシー15は、その平面ミラー41によって、表示器22から照射された表示光Lを、ロアーケース12の一側部側の駆動ミラーアッシー16へ向かって反射させる。
【0023】
図5及び図6に示すように、駆動ミラーアッシー16は、例えば、凹面鏡等の非球面ミラーからなる反射ミラー51と、ホルダ52と、ベースプレート53と、ステップモータ(駆動モータ)54とを備えている。反射ミラー51は、ホルダ52に保持されており、このホルダ52は、ベースプレート53に、水平方向の軸線を中心として回動可能に支持されている。そして、駆動ミラーアッシー16は、ベースプレート53をロアーケース12の底面12dにねじ止めすることで、ロアーケース12に固定されている。ステップモータ54は、反射ミラー51を保持しているホルダ52を回動させるもので、このステップモータ54によってホルダ52が回動されることで、反射ミラー51の向きが変更される。
【0024】
この駆動ミラーアッシー16の反射ミラー51には、平面ミラーアッシー15の平面ミラー41で反射された表示光Lが導かれる。すると、反射ミラー51は、この表示光Lを上方へ向かって拡大反射させる。このとき、駆動ミラーアッシー16のステップモータ54によってホルダ52が回動されることで、表示光Lの照射方向が変更される。
【0025】
アッパーケース13は、ロアーケース12の上部にねじ止め等によって組み付けられることでケース11を構成し、これにより、ケース11内が遮光された状態となる。アッパーケース13は、反射ミラー51によって反射される表示光Lの導光箇所に開口部61を有しており、この開口部61には、表ガラス62が取り付けられている。
【0026】
ロアーケース12には、その周囲に、複数のブラケット12aが形成されており、これらのブラケット12aを車両のインストルメントパネルへねじ止めすることで、ヘッドアップディスプレイ装置10がインストルメントパネル内の所定の設置箇所に固定される。
【0027】
上記構成のヘッドアップディスプレイ装置10では、表示器アッシー14を構成する表示器22から照射された表示光Lが、ロアーケース12の導光路Dを通って平面ミラー41で反射され、さらに反射ミラー51で拡大反射された後、アッパーケース13の開口部61の表ガラス62を介して出射され、さらにインストルメントパネルの開口部を通ってウインドシールドで反射されて、運転者のアイレンジに導かれる。
【0028】
これにより、運転者は、車両のアイポイントからウインドシールドを透して視認される車両の前景と投射した虚像とを重畳視認することができる。
【0029】
次に、駆動ミラーアッシー16のロアーケース12への具体的な組み付け構造について説明する。
【0030】
図5から図8に示すように、ベースプレート53は、ロアーケース12の底面12dに固定される固定板部71を有しており、この固定板部71の両端部には、互いに対向する一対の支持板部72,73が立設されている。固定板部71には、位置決め孔75及び挿通孔76が形成されている。位置決め孔75には、ロアーケース12に形成された位置決めボス77が挿入され、これにより、ベースプレート53がロアーケース12の所定位置に位置決めされる。また、挿通孔76には、上方側からネジ78が挿入され、これらのネジ78をロアーケース12に設けられたネジ孔79へねじ込むことで、ベースプレート53がロアーケース12に固定される。
【0031】
一方側の支持板部72には、先端部近傍に、支持孔81が形成されている。また、支持板部72における支持孔81の近傍には、位置決め部82が形成されている。この位置決め部82は、支持板部72から側方へ突出しており、その先端部には、ロアーケース12へのベースプレート53の装着方向である下方側へ突出する位置決め突起83が形成されている。
【0032】
他方側の支持板部73には、先端部に、支持溝85が形成されている。また、支持板部73における支持溝85の近傍にも、位置決め部86が形成されている。この位置決め部86は、支持板部73から後方へ突出しており、その先端部には、ロアーケース12へのベースプレート53の装着方向である下方側へ突出する位置決め突起87が形成されている。
【0033】
ロアーケース12には、上方側が開放された保持凹部91,92が形成されている。これらの保持凹部91,92には、ロアーケース12の底面12dに取り付けられるベースプレート53の支持板部72,73に形成された位置決め部82,86のそれぞれの位置決め突起83,87が挿入されて強固に保持される。これにより、支持板部72の支持孔81及び支持板部73の支持溝85が所定位置に位置決めされる。
【0034】
また、位置決め突起83,87が挿入される保持凹部91,92は、その底面が、変形抑制壁91a,92a(図3参照)とされており、保持凹部91,92へ位置決め突起83,87が挿入されると、位置決め突起83,87の先端部が保持凹部91,92の底面からなる変形抑制壁91a,92aに当接し、よって、支持板部72の支持孔81及び支持板部73の支持溝85の高さ位置も位置決めされる。
【0035】
そして、保持凹部91,92へ位置決め突起83,87が挿入されて位置決め突起83,87の先端部が保持凹部91,92の底面からなる変形抑制壁91a,92aに当接することで、変形抑制壁91a,92aは、位置決め突起83,87に対して、ステップモータ54によってホルダ52が回動される際に生じるトルクの支持板部72,73への作用方向の前方側に隙間なく配置されることとなる。
【0036】
また、支持板部73には、その前方に、ステー部95が形成されている。このステー部95は、支持板部73に対して直交する方向へ屈曲されて形成されており、このステー部95に、ステップモータ54が固定されている。ステー部95には、窓部96が形成されており(図8参照)、この窓部96からステップモータ54の駆動軸54aが後方側へ突出されている。また、支持板部73には、その後方に、軸受部97が形成されている。この軸受部97には、ステップモータ54の駆動軸54aの先端部が回動可能に支持されている。ステップモータ54の駆動軸54aには、ラックギヤ98が取り付けられている。
【0037】
反射ミラー51を保持するホルダ52は、反射ミラー51の裏面を覆う裏面板部100と、反射ミラー51の周囲を囲う枠体101とを有しており、反射ミラー51は、ホルダ52の前面側から枠体101内へ嵌め込まれている。この枠体101には、その一側部に、支持軸102が設けられており、この支持軸102は、ベースプレート53の一方側の支持板部72に形成された支持孔81に挿し込まれて回動可能に支持されている。また、枠体101には、その他側部に、支持軸103が設けられており、この支持軸103は、ベースプレート53の他方側の支持板部73に形成された支持溝85に、その上方側から挿し込まれて回動可能に支持されている。これにより、反射ミラー51を保持するホルダ52が、ベースプレート53に、水平方向の軸線を中心として回動可能に支持される。
【0038】
他方の支持軸103の端部には、動力伝達部材105が固定されている。この動力伝達部材105には、その下端部に、ギヤ106が固定されており、このギヤ106がラックギヤ98に噛み合わされている。これにより、ステップモータ54が駆動して駆動軸54aが回転されると、その回転力がラックギヤ98からギヤ106へ伝達される。すると、動力伝達部材105が支持軸103の軸線を中心として回動され、よって、反射ミラー51を保持するホルダ52が、支持軸102,103の軸線である水平軸線を中心として回動される。これにより、反射ミラー51の向きが変更され、このとき、反射ミラー51で反射されてアッパーケース13の開口部61の表ガラス62を介して出射される表示光Lの投影角度が調整される。
【0039】
ここで、駆動ミラーアッシー16では、ステップモータ54が駆動し、反射ミラー51を保持しているホルダ52が回動されると、ベースプレート53の各支持板部72,73には、その回動方向にトルクが生じる。すると、このトルクによってベースプレート53の各支持板部72,73が撓み、反射ミラー51の角度にずれが生じて虚像の表示位置がずれてしまう。
【0040】
しかし、本実施形態に係るヘッドアップディスプレイ装置10では、反射ミラー51の角度を変更すべくステップモータ54によってホルダ52が回動された際に生じるトルクでベースプレート53の支持板部72,73が変形しようとしても、位置決め突起83,87がロアーケース12の保持凹部91,92に保持されているので、支持板部72,73に作用したトルクがロアーケース12に受け止められ、ベースプレート53の支持板部72,73の変形が抑制される。
【0041】
これにより、ベースプレート53の支持板部72,73が変形することによる反射ミラー51の角度のずれを抑制することができ、よって、反射ミラー51で反射されて車両のウインドシールドに映し出される虚像の表示位置のずれの発生を抑制することができる。
【0042】
つまり、本実施形態に係るヘッドアップディスプレイ装置10によれば、表示光Lの投影角度の調整を行う反射ミラー51の位置精度を向上させ、虚像の表示位置のずれを極力抑えることができる。
【0043】
特に、位置決め突起83,87に対して、ステップモータ54によってホルダ52が回動される際に生じるトルクの支持板部72,73への作用方向の前方側に、保持凹部91,92の底面からなる変形抑制壁91a,92aが隙間なく配置されているので、変形抑制壁91a,92aが位置決め突起83,87を受け止めることで、支持板部72,73の変形を確実に抑制することができる。
【0044】
尚、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【符号の説明】
【0045】
10 ヘッドアップディスプレイ装置
12 ロアーケース(ケース)
12d 底面
16 駆動ミラーアッシー(駆動ミラー)
22 表示器
51 反射ミラー
52 ホルダ
53 ベースプレート
54 ステップモータ(駆動モータ)
72,73 支持板部
83,87 位置決め突起
91,92 保持凹部
91a,92a 変形抑制壁
L 表示光
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9