特許第5890168号(P5890168)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社シマノの特許一覧

<>
  • 特許5890168-リールシート本体 図000002
  • 特許5890168-リールシート本体 図000003
  • 特許5890168-リールシート本体 図000004
  • 特許5890168-リールシート本体 図000005
  • 特許5890168-リールシート本体 図000006
  • 特許5890168-リールシート本体 図000007
  • 特許5890168-リールシート本体 図000008
  • 特許5890168-リールシート本体 図000009
  • 特許5890168-リールシート本体 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5890168
(24)【登録日】2016年2月26日
(45)【発行日】2016年3月22日
(54)【発明の名称】リールシート本体
(51)【国際特許分類】
   A01K 87/08 20060101AFI20160308BHJP
   A01K 87/00 20060101ALI20160308BHJP
【FI】
   A01K87/08 B
   A01K87/00 630N
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2011-280201(P2011-280201)
(22)【出願日】2011年12月21日
(65)【公開番号】特開2013-128450(P2013-128450A)
(43)【公開日】2013年7月4日
【審査請求日】2014年9月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
(74)【代理人】
【識別番号】100120318
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 朋浩
(74)【代理人】
【識別番号】100117101
【弁理士】
【氏名又は名称】西木 信夫
(72)【発明者】
【氏名】岩田 壮司
(72)【発明者】
【氏名】橋本 浩志
(72)【発明者】
【氏名】和泉 裕
【審査官】 坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−67122(JP,A)
【文献】 実開昭59−94555(JP,U)
【文献】 特開2003−9729(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 87/00 − 87/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
釣用リールを保持するリールシートに採用され、塗装が施されるリールシート本体であって、
筒状に形成され、釣竿を構成するブランクが挿通されるパイプ部と、
当該パイプ部の外周面に上記ブランクの軸方向に沿って形成され、上記釣用リールの脚が載置されるシート面と、
当該シート面に設けられ、バッジその他装飾プレートが嵌め込まれるプレート装着部とを備え、
当該プレート装着部の底面は、上記ブランクの周方向に沿って湾曲され、且つ当該底面の隅部に連続して憩室部が形成されており、
当該憩室部の内壁面形状は、上記底面に付着した塗料が進入し保持されるように半円状に湾曲されているリールシート本体。
【請求項2】
上記憩室部は、上記底面隅部に沿って形成された溝からなる請求項1に記載のリールシート本体。
【請求項3】
上記溝の幅寸法が0.5mm〜2.0mm、深さ寸法が0.5mm〜1.0mmに設定されている請求項2に記載のリールシート本体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、釣竿の構成部品であって釣用リールが装着されるリールシートに関し、より具体的には、釣用リールの脚が載置されるリールシート本体の構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
釣用リールが装着される釣竿は、一般に釣用リールを固定するためのリールシートを備えている。リールシートの釣竿本体への装着態様は、釣竿本体の外周面に固定糸及び接着剤で固定されるタイプや、釣人が把持するグリップを兼ねる筒状に形成され、釣竿本体の外周面を囲繞するように嵌め合わされるタイプがある。従来のリールシートの構造はさまざまであるが、通常、リールシートは、リールシート本体及び釣用リールの脚を保持する一対のフードを備えている。リールシート本体はシート面を備えており、釣用リールの脚は、このシート面上に載置される。このシート面の両端部(一般に、釣竿本体の長手方向に沿う両端部)に上記一対のフードが配置されており、一方のフードが他方のフード側へスライドすることにより、釣用リールの脚が挟持されるようになっている(たとえば、特許文献1、非特許文献1参照)。
【0003】
リールシート本体が釣竿のグリップを兼ねる場合がある。その場合、釣人はリールシート本体を把持して釣竿を操作する。つまり、実釣において釣人の視線がリールシート本体に向く頻度は高い。このため、リールシートないし釣竿の製品開発において、従来からリールシート本体に特別の塗装その他のデザインが施されたり、エンブレムやバッジが付されることもあり、リールシートや釣竿の付加価値が向上されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−67121号公報
【特許文献2】特開2010−4838号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】2011 shimano fighing tackle catalogue p117〜p126
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、リールシート本体にエンブレムやバッジが付される場合、特に上記シート面にバッジ等が付される場合には、当該バッジ等がリールシート本体と一体的に形成されているように組み付けられている必要がある。すなわち、リールシート本体に塗布された塗料やバッジ等を貼り付ける接着剤が当該リールシートとバッジ等との境界から盛り上がったり、バッジ等に塗料や接着剤が付着しないように作業がなされるべきである。もっとも、リールシート本体のシート面に上記バッジが刻印等により形成されるならば、このような問題ないし要請は生じない。ところが、当該リールシート本体が他の種類の釣竿の部品(共用部品)として使用できなくなるという問題がある。
【0007】
本発明はかかる背景のもとになされたものであって、その目的は、予め所要の塗装等が施されている場合であっても、エンブレムやバッジがいわゆる後付作業により簡単且つ高精度に組み付けられる付加価値の高いリールシート本体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1) 本発明に係るリールシート本体は、釣用リールを保持するリールシートに採用され、塗装が施される。このリールシート本体は、筒状に形成され、釣竿を構成するブランクが挿通されるパイプ部を備える。当該パイプ部の外周面に、上記釣用リールの脚が載置されるシート面が上記ブランクの軸方向に沿って形成されている。当該シート面に、バッジその他装飾プレートが嵌め込まれるプレート装着部が設けられている。当該プレート装着部の底面は、上記ブランクの周方向に沿って湾曲され、且つ当該底面の隅部に連続して憩室部が形成されており、当該憩室部の内壁面形状は、上記底面に付着した塗料が進入し保持されるように半円状に湾曲されている。
【0009】
この発明に係るリールシート本体は、釣竿に設けられたリールシートに採用される。リールシート本体は典型的には金属又は樹脂により構成されるが、一般に、リールシート本体は塗装され、所定の色彩、模様等のデザインが施される。リールシート本体が塗装されたとき、塗料が上記プレート装着部に付着し、当該プレート装着部を区画する壁面に沿って垂下する。この垂下した塗料は、上記プレート装着部の底面隅部に集中する。この底面は湾曲していており、これに連続する憩室部の内壁面形状も湾曲しているから、上記塗料は、プレート装着部の底面に沿って流れて上記憩室部に速やかに進入する。したがって、リールシート本体に吹き付けられた塗料が、プレート装着部を区画する壁面に溜まることがない。
【0010】
バッジその他装飾プレートは、塗装されたリールシート本体のプレート装着部に嵌め込まれ、接着剤等によりプレート装着部に固着される。このとき、仮に上記塗料や接着剤がプレート装着部を区画する壁面に溜まるならば、バッジその他装飾プレートは、プレート装着部に対して傾いて固着したり、塗料や接着剤がバッジその他装飾プレートとプレート装着部との境界から滲み出てバッジその他装飾プレートを汚損してしまう可能性がある。しかし、本発明では、前述のように、プレート装着部を区画する壁面に塗料や接着剤が溜まることがないので、バッジその他装飾プレートは、汚損されることなくプレート装着部に簡単且つ綺麗に取り付けられる。
【0011】
(2) 上記憩室部は、上記底面隅部に沿って形成された溝から構成され得る。また、この溝の幅寸法は0.5mm〜2.0mm、深さ寸法は0.5mm〜1.0mmに設定されるのが好ましい。
【0012】
この構成では、憩室部が簡単に形成され得る。また、塗料及び接着剤を収容するための容量が大きくなり、プレート装着部を区画する壁面に塗料や接着剤が溜まることが一層確実に防止される。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、リールシート本体にバッジその他装飾プレートが簡単に且つ綺麗に装着され得る。その結果、付加価値の高いリールシート及びこれを装備した釣竿が簡単な作業で組み立てられる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本発明の一実施形態に係るリールシート本体10の正面図である。
図2図2は、リールシート本体10の平面図である。
図3図3は、リールシート本体10の底面図である。
図4図4は、リールシート本体10の右側面図である。
図5図5は、リールシート本体10の左側面図である。
図6図6は、リールシート本体10の縦断面図である。
図7図7は、図6における要部拡大図である。
図8図8は、図1におけるVIII−VIII断面図である。
図9図9は、図8における要部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の好ましい実施形態が、適宜図面が参照されつつ説明される。なお、本実施の形態は、本発明に係るリールシート本体の一態様にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で実施態様が変更されてもよいことは言うまでもない。
【0016】
<構成>
【0017】
図1は、本発明の一実施形態に係るリールシート本体10の正面図である。また、図2ないし図5は、それぞれ、リールシート本体10の平面図、底面図、右側面図及び左側面図である。さらに、図6はリールシート本体10の縦断面図である。
【0018】
このリールシート本体10は、釣竿に装着されるリールシートを構成する部品である。リールシートは、リールシート本体10と、このリールシート本体10に設けられた固定フード11及び図示されていない可動フードを備えている。図示されていない釣用リールは、リールシートに装着される。具体的には、釣用リールの脚が、リールシート本体10のシート面12上に載置され、当該脚の一方側が上記固定フード11に挿入される。そして、この固定フード11に対して上記可動フードがスライドすることによって、上記脚の他方側が可動フードに挿入される。つまり、上記脚が固定フード11及び上記可動フードによって挟持されることにより、釣用リールがリールシートに固定される。
【0019】
リールシート本体10は、全体として円筒状に形成されている。リールシート本体10は、典型的には樹脂からなる。もっとも、リールシート本体10がアルミニウム合金その他の金属や木材から構成されていてもよい。図示されていないが、リールシート本体10は、所要の塗料により塗装され、予め設計されたデザインが施される。
【0020】
釣竿を構成するブランク(不図示)は、リールシート本体10の内側に挿入される。このブランクの外径は、リールシート本体10の内径に対応しており、リールシート本体10は、がたつくことなくブランクに装着される。なお、図6が示すように、リールシート本体10の右端部15の内径が漸次拡大されている。この右端部15に、図示されていない化粧ナットが嵌め込まれ、ブランクとリールシート本体10の端部処理がなされている。
【0021】
図1及び図6が示すように、リールシート本体10は、円筒状に形成された主体部13(特許請求の範囲に記載された「パイプ部」に相当)を備え、この主体部13の後方(同図において右側)に固定フード11及びトリガ14が設けられている。このリールシート本体10は、実釣において釣人によって把持される。すなわち、当該釣竿において、リールシート本体10がグリップとして機能する。そのため、主体部13の下面に傾斜面16及び切欠部17が形成されており、いわゆる握り心地が向上されている。もっとも、傾斜面16及び切欠部17が省略されてもよい。
【0022】
上記固定フード11及びトリガ14は主体部13と一体的に形成されている。固定フード11及びトリガ14は、従来のものと同様の構成である。なお、このリールシート本体10は、いわゆるベイトリール用として構成されているためにトリガ14を備えている。したがって、スピニングリール用としてリールシート本体が構成される場合には、トリガ14は省略され得る。
【0023】
主体部13の左端部にねじ部18が形成されている。図示されていないナットがねじ部18に螺合される。このナットに上記可動フードが回転自在に連結されており、当該ナットが回転されることにより。可動フードは、案内溝19(図1参照)に沿ってスライドする。なお、この案内溝19は、ねじ部18の一部をリールシート本体10の長手方向、すなわち上記ブランクの軸方向に沿って切り欠かれることによって構成されている。したがって、上記ナットは、回転しながらリールシート本体10の長手方向に移動するが、このナットに回転自在に設けられた可動フードは、上記案内溝19によって回転が規制されつつ当該案内溝19に沿って真直にスライドする。つまり、可動フードは、固定フード11に対して接離可能であり、両者によって釣用リールの脚が挟持される。
【0024】
図7図6における要部拡大図である。図8は、図1におけるVIII−VIII断面図であり、図9図8における要部拡大図である。
【0025】
主体部13の外周面、具体的には主体部13の中央部上面にシート面12が形成されている。上記釣用リールの脚が、このシート面12に載置される。このシート面12は、リールシート本体10の長手方向、すなわち当該リールシート本体10に挿入されるブランクの軸方向に沿って延びている。
【0026】
このシート面12の後方(図6において右側)にプレート装着部20が形成されている。本実施形態では、このプレート装着部20は、主体部13の上面が削られることにより形成された凹部からなる。そして、このプレート装着部20に当該釣竿の名称等を表すバッジ、エンブレムその他装飾プレートが嵌め込まれるようになっている。典型的には、この装飾プレート等は、接着剤によりシート面12に固着される。プレート装着部20の深さd(図7参照)は、1.0mmに設定されている。もっとも、この深さdは、一般に0.5mm〜1.5mmの範囲で設定されるが、装飾プレートの形状によって任意に設定され得る。
【0027】
プレート装着部20は、図2が示すように楕円形に形成されている。図8及び図9が示すように、シート面12及びプレート装着部20を区画する底面21は、湾曲されている。シート面12は、上記ブランクの周方向(すなわちリールシート本体10の周方向)に沿って湾曲されており、シート面12と同心円を描くように底面21が湾曲形成されている。つまり、この底面21は、中央部がもっとも高く、当該中央部から周方向両側に向かって漸次傾斜するように形成されている。
【0028】
図8及び図9が示すように、プレート装着部20の底面21の隅部に憩室部22が形成されている。この憩室部22は、環状に形成されており、プレート装着部20の底面21の隅部を周回している。図9が示すように、憩室部22を区画する壁面23は、半円形を成すように湾曲している。つまり、憩室部22は、内壁面形状が半円形状の溝であり、リールシート本体10の塗装に用いられる塗料がプレート装着部20に付着した場合に、当該塗料が底面21を伝って憩室部22に流入し、憩室部22によって保持されるようになっている。
【0029】
この憩室部22を構成する溝の幅寸法aは、1.0mmに設定されている。また、憩室部22の深さ寸法bは、0.5mmに設定されている。この深さ寸法bは、憩室部22の内壁面形状が円形であるならば、当該内壁面の面取寸法(すなわちR寸法)である。もっとも幅寸法aは0.5mm〜2.0mm程度に設定され、深さ寸法bは0.5mm〜1.0mm程度に設定され得る。
【0030】
<作用効果>
【0031】
このリールシート本体10に塗装が施された場合、塗料がプレート装着部20に付着する。プレート装着部20に付着した塗料は、プレート装着部20を区画する壁面に沿って垂下する。特に、底面21に付着した塗料は、当該底面21が前述のように湾曲していることから(図9参照)、当該底面21を伝って隅部に集中する。当該隅部に集中した塗料は、憩室部22に進入し、保持される。つまり、リールシート本体10に吹き付けられた塗料は、憩室部22によって捉えられるので、プレート装着部20を区画する壁面に溜まることはない。その結果、リールシート本体10に装飾プレートが簡単に且つ綺麗に装着され、付加価値の高いリールシート及びこれを装備した釣竿が簡単な作業で組み立てられる。
【0032】
前述の装飾プレート等は、塗装されたプレート装着部20に嵌め込まれる。装飾プレート等は、接着剤等を介してプレート装着部20に固着されても良い。このとき、プレート装着部20を区画する壁面に接着剤が溜まることがないので、装飾プレート等は、汚損されることなくプレート装着部20に簡単に且つ綺麗に取り付けられる。すなわち、仮に上記塗料や接着剤がプレート装着部20を区画する壁面に溜まるならば、装飾プレート等は、プレート装着部20に対して傾いて固着したり、塗料や接着剤が装飾プレート等に付着して汚損することになるが、このリールシート本体10では、そのような不都合が生じない。
【0033】
また、上記プレート装着部20の底面21は、図9が示すように湾曲されている。このため、上記塗料等は、当該底面21に沿って流れて憩室部22に速やかに進入する。したがって、プレート装着部20を区画する壁面に塗料等が溜まることが確実に防止されるという利点がある。
【0034】
さらに、同図が示すように、上記憩室部22が上記底面21の隅部に沿って形成された溝からなるので、憩室部22が簡単に加工され得る。また、上記塗料等を収容するための容量が大きく設定され得るから、プレート装着部20を区画する壁面に塗料等が溜まることが、一層確実に防止される。
【符号の説明】
【0035】
10・・・リールシート本体
12・・・シート面
13・・・主体部
20・・・プレート装着部
21・・・底面
22・・・憩室部
23・・・壁面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9