特許第5890223号(P5890223)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5890223
(24)【登録日】2016年2月26日
(45)【発行日】2016年3月22日
(54)【発明の名称】燃料電池システム
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/0662 20160101AFI20160308BHJP
   H01M 8/04 20160101ALI20160308BHJP
【FI】
   H01M8/06 S
   H01M8/04 N
   H01M8/04 J
【請求項の数】7
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2012-80558(P2012-80558)
(22)【出願日】2012年3月30日
(65)【公開番号】特開2013-211166(P2013-211166A)
(43)【公開日】2013年10月10日
【審査請求日】2014年10月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000109026
【氏名又は名称】ダイニチ工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】横尾 直樹
(72)【発明者】
【氏名】柴崎 則久
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 直紀
(72)【発明者】
【氏名】水野 洋平
(72)【発明者】
【氏名】水野 康
(72)【発明者】
【氏名】山本 暁
【審査官】 根本 徳子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−110674(JP,A)
【文献】 特開2007−059212(JP,A)
【文献】 特開2008−189506(JP,A)
【文献】 特開2005−216615(JP,A)
【文献】 特開2007−324014(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/04−8/06
C01B 3/00−3/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電を行う電池モジュールと、前記電池モジュールから排出される排ガスが流通する排ガス流路と、前記電池モジュールから排出される排ガスを浄化する排ガス浄化装置と、を備えた燃料電池システムであって、前記排ガス浄化装置は、排ガス流路の下流に設けられ、排ガスを浄化する浄化触媒と、底板と、前記底板に接合され少なくとも一部が排ガス浄化装置の外部に突出する複数の突出部と、を備えることを特徴とする燃料電池システム。
【請求項2】
前記複数の突出部は、前記底板の同一面側から前記底板に接合されていることを特徴とする請求項1記載の燃料電池システム。
【請求項3】
前記排ガス浄化装置は、前記浄化触媒によって浄化された排ガスを排出する浄化排ガス流路を更に含み、前記底板は一枚板から成り、前記浄化排ガス流路は前記底板において前記複数の突出部と同一平面側から接合されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の燃料電池システム。
【請求項4】
前記排ガス浄化装置は、前記浄化触媒によって浄化された排ガスを排出する浄化排ガス流路を更に含み、前記底板は、前記浄化触媒によって浄化された排ガスを排出する浄化排ガス流路が一体形成された一枚板から成ることを特徴とする、請求項1または2に記載の燃料電池システム。
【請求項5】
前記複数の突出部は、少なくとも前記浄化触媒を加熱するヒータを含むことを特徴とする、請求項1乃至4のいずれかに記載の燃料電池システム。
【請求項6】
前記複数の突出部は、少なくとも前記浄化触媒温度を検知する触媒温度検知部を含むことを特徴とする、請求項1乃至5のいずれかに記載の燃料電池装置。
【請求項7】
前記底板は、前記排ガス浄化装置と前記排ガス流路とを接合するための接合部材であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の燃料電池装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は燃料ガスと酸化剤ガスを用いて発電を行う燃料電池装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、燃料ガスと酸素含有ガスを燃料電池スタックに供給して発電を行う燃料電池システムが提案されている。
【0003】
燃料電池システムに供給される燃料ガスは完全に電気化学的反応によって消費されるとは限らず、未反応の燃料ガスを含むオフガスが、燃料電池システムの外部に排出される。また、内部に燃焼機構を備える燃料電池システムにおいては、燃焼排ガスに未燃成分が含まれている場合がある。
【0004】
特許文献1では、燃料電池システムの排ガス中に含まれる環境影響成分を浄化して安全に燃料電池システムの外部に排出するために、燃料電池システムの排気経路中に排ガス浄化装置として浄化触媒を設け、浄化触媒を通過した排ガスを装置外に排出するようにしている。
【0005】
さらに、この浄化触媒はある温度に達すると浄化作用が活性化するため、特許文献2では、排ガス浄化装置にヒータを設け、予め浄化触媒が排ガスを処理することのできる温度に昇温させてから原燃料供給手段、酸素含有ガス供給手段および燃料電池セルで使用されなかった余剰の燃料ガスを燃焼させるための着火装置を作動させることにより、排ガスを浄化している。
【0006】
このような排ガス浄化装置の形状として、特許文献3のような形状が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−238446号公報
【特許文献2】特開2010−192272号公報
【特許文献3】特開2009−110675号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、排ガス浄化装置は、電池モジュールから排出される排ガスに含まれている一酸化炭素、水素、メタン等の未燃成分を除去することを目的としているため、排ガス浄化装置において意図しない部分から未燃成分の浄化が不完全な状態の排ガスが漏れることは好ましくない。また、燃料電池システムは、排ガスに含まれる熱エネルギーも回収して利用することを特徴としていることから、たとえ十分に浄化された排ガスであっても、熱エネルギーを回収する前に排ガス浄化装置において意図しない部分から排ガスが漏れることは、発電効率の低下に繋がるため好ましくない。
【0009】
このような排ガス浄化装置は、浄化触媒を加熱するヒータや浄化触媒の温度を検知するセンサなどの機能部品が内部に設けられている。そして、これらの機能部品と外装を構成する外装部材を溶接などにより接合して形成されている。そのため、機能部品と外装部材との接合箇所におけるガス漏れ箇所の有無を確認する気密検査が必要となる。具体的には、容器上の冶具に接合加工部材を組み付けて、冶具容器の内部に圧力をかけて容器内の低下の有無を調べる方法や、水に浸水させた状態で接合加工部材にガスを送り、接合箇所からの気泡発生の有無を調べる方法などが知られている。そして、接合不良が見つかった場合には、不良箇所を修正して再度検査が行われる。接合箇加工を施した箇所が多いと、その分気密検査を実施する手間が必要となる。例えば、排ガス浄化装置の外装部材である底板と周壁とに、機能部品の接合加工を施した場合、底板と周壁部とについてそれぞれ気密検査を実施する手間が必要となる。
【0010】
単体での気密検査が困難な部品に接合加工を施した場合、当該部品と他の部品を組み立ててから気密検査を行うことになるが、一箇所でも接合不良が発見された場合には全てを分解して最初から組み立て直さなければならなかったり、分解する手間がかかるため廃棄処分になったりすることもあるため、部品単体での気密検査が容易であり、さらには製造工程の早い段階で気密検査できるような接合構造であることが望ましい。
【0011】
本発明は、上記課題を解決するためのもので、接合加工工程を施す外装部材点数を削減して製造時の作業性を向上させ、また、気密検査工程の手間の軽減を図ることが可能な排ガス浄化装置を備える燃料電池システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、発電を行う電池モジュールと、電池モジュールから排出される排ガスが流通する排ガス流路と、電池モジュールから排出される排ガスを浄化する排ガス浄化装置と、を備えた燃料電池システムであって、排ガス浄化装置は、排ガス流路の下流に設けられ、排ガスを浄化する浄化触媒と、底板と、前記底板に接合され少なくとも一部が排ガス浄化装置の外部に突出する複数の突出部と、を備えることを特徴とする燃料電池システムである。
【0013】
また、複数の突出部は、底板の同一面側から底板に接合されていることを更に特徴としてもよい。
【0014】
また、排ガス浄化装置は、浄化触媒によって浄化された排ガスを排出する浄化排ガス流路を更に含み、底板は一枚板から成り、浄化排ガス流路は底板において複数の突出部と同一平面側から接合されていることを更に特徴としてもよい。
【0015】
また、底板は、浄化触媒によって浄化された排ガスを排出する浄化排ガス流路が一体形成された一枚板から成ることを更に特徴としてもよい。
【0016】
また、複数の突出部は、少なくとも浄化触媒を加熱するヒータを含むことを更に特徴としてもよい。
【0017】
また、複数の突出部は、少なくとも浄化触媒温度を検知する触媒温度検知部を含むことを更に特徴としてもよい。
【0018】
また、底板は、前記排ガス浄化装置と前記排ガス流路とを接合するための接合部材であることを更に特徴としてもよい。
【発明の効果】
【0019】
上述のように構成することにより、排ガス浄化装置の接合工程が一箇所に集中するので組み立ての作業性を向上させ、かつ気密検査に要する手間を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の燃料電池システムのブロック図である。
図2】本発明の燃料電池システムのブロック図である。
図3】本発明の第1実施形態における排ガス浄化装置の断面図である。
図4】本発明の第1実施形態における排ガス浄化装置の底板および複数の突出部の斜視図である。
図5】本発明の第1実施形態における排ガス浄化装置と排ガス流路の取付構造を示した図である。
図6】本発明の第2実施形態における排ガス浄化装置の断面図である。
図7】本発明の第2実施形態における排ガス浄化装置の底板および複数の突出部を含む斜視図である。
図8】本発明の第2実施形態における排ガス浄化装置と排ガス流路の取付構造を示した図である。
図9】本発明の第3実施形態における排ガス浄化装置の断面図である。
図10底板以外に突出部が接合されている排ガス浄化装置の構造を示す断面である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下本発明の一実施例を図面により説明する。
【第1実施形態】
【0022】
図1および図2は燃料電池システム1の概略図を示す。燃料電池システム1は、発電を行う電池モジュール2、電池モジュール2から排出される排ガスに含まれている一酸化炭素、水素、メタン等の未燃成分を除去し浄化する排ガス浄化装置3、排ガス浄化装置3を通過した排ガスから熱媒体を用いて熱を回収する熱回収装置4、熱媒体循環路30、熱回収装置4によって回収された熱を蓄熱する蓄熱タンク31、を備えている。熱媒体としては例えば水を用いることができ、この場合、熱回収装置4において昇温された水を、温水として蓄熱タンク31に蓄えることができる。
【0023】
燃料電池システム1は、水素含有燃料を用いて燃料ガスを発生させる改質装置5と、改質装置5に原燃料として水素含有燃料を供給する水素含有燃料供給路18と、排ガス流路12と、酸化剤ガス流路13と、改質装置5に改質水を供給する改質水供給路17と、燃料ガス及び酸化剤ガスを用いて発電を行う燃料電池セルの集合体であるセルスタック6と、を備えている。なお、図2は概略を示すものであって、各構成要素の構造、形状、および位置関係を限定するものではない。例えば、セルスタック6を構成するセルの形状はプレート状でもよいし、筒状でもよい。セルスタックの形状は、複数のセルが直列、並列、または直並列に接続されたものであってもよい。
【0024】
改質装置5は、内部に改質触媒を充填して構成されており、水蒸気改質法、部分酸化法、または、自己熱改質法、あるいはこれらの組合せ等により、水素を生成することができる。
【0025】
水素含有燃料としては、例えば、炭化水素系燃料を用いることができる。炭化水素系燃料として、分子中に炭素と水素とを含む化合物(酸素等、他の元素を含んでもよい)若しくはそれらの混合物が用いられる。炭化水素系燃料として、例えば、炭化水素類、アルコール類、エーテル類、バイオ燃料が挙げられる。これらの炭化水素系燃料は従来の石油・石炭等の化石燃料由来のもの、合成ガス等の合成系燃料由来のもの、バイオマス由来のものを適宜用いることができる。具体的には、炭化水素類として、メタン、エタン、プロパン、ブタン、天然ガス、LPG(液化石油ガス)、都市ガス、タウンガス、ナフサ、灯油、軽油が挙げられる。アルコール類として、メタノール、エタノールが挙げられる。エーテル類として、ジメチルエーテルが挙げられる。バイオ燃料として、バイオガス、バイオエタノール、バイオディーゼル、バイオジェットが挙げられる。
【0026】
酸化剤として、例えば、空気、純酸素ガス(通常の除去手法で除去が困難な不純物を含んでもよい)、酸素富化空気を用いることができる。
【0027】
改質装置5とセルスタック6の間には燃料ガス供給路9が設けられており、改質装置5で生成された燃料ガスは、燃料ガス供給路9を介してセルスタック6の各セルのアノード6aに供給される。酸化剤ガスは、酸化剤ガス供給路13を介してセルスタック6のカソード6cに供給される。セルスタック6で反応しなかった燃料ガス及び酸化剤ガスは、燃焼部10で燃焼され、その燃焼による排ガスの熱によって改質装置5が加熱される。
【0028】
排ガス流路12の下流端部、排気管15が設けられ、セルスタック6で反応しなかった燃料ガス、または酸化剤、あるいはそれらの燃焼による排ガスはこの排気管15を通って、下流に接続される排ガス浄化装置3に流入する。なお図2においては、電池モジュール2は、改質装置5、セルスタック6、および、燃焼部10を含んで構成される例を示したが、これに限るものではない。たとえば、改質水を気化させるための気化器、原燃料に含まれる硫黄成分を除去する脱硫器を含んでもよい。あるいは、改質装置5を電池モジュール2から独立して設けてもよい。
【0029】
図3は、本発明における排ガス浄化装置3の第1実施形態の断面図を示す。排ガス浄化装置3は、燃料電池システム1の排ガス流路12の下流に接続されており、排ガス浄化装置に流通する排ガスから一酸化炭素、水素、メタン等の未燃成分を除去して排ガスを浄化する浄化触媒20、浄化触媒20が収納される浄化触媒ケース21と、浄化触媒20を加熱するヒータ22と、触媒温度検知部23と、底板24を含んで構成される。
【0030】
排ガス流路12から排ガス浄化装置3に流れ込んだ流体は、ヒータ22によって浄化作用が活性化する温度まで昇温された浄化触媒20を通過し、未燃成分が浄化される。
【0031】
ヒータ22は、金属製のヒータパイプの内部にニクロム線が埋設されるとともに絶縁粉末であるマグネシアが充填されたシーズヒータにより構成され、端部にはヒータ端子22cが設けられている。第1実施形態においては、ヒータ端子22cおよび触媒温度検知部23は、底板24を貫通して排ガス浄化装置3の外部に突出している。つまり、第1実施形態における排ガス浄化装置3は、ヒータ22の一部(一対のヒータ端子22c)として2箇所、触媒温度検知部23の一部として1箇所、合計して3箇所の突出部を備えていることになる。なお、本発明における突出部とは、排ガス浄化装置3において、底板24から排ガス浄化装置3の外部に突出した部分をいう。よって、突出部の数とは、突出している箇所の数であって、底板24から突出した構成部品の数をいうものではない。
【0032】
浄化触媒20は、例えば白金・パラジウム等の貴金属系触媒やマンガン・鉄等の卑金属系触媒など一般的に知られているものを用い、排ガス中に含まれる一酸化炭素等の有害成分を浄化分解することで排ガスを浄化するものであり、加熱されることで活性化し効率よく有害成分を浄化分解することができる。また、浄化触媒20の形状も特に限定するものではなく、触媒ケース21内に納まるものであればハニカムタイプ、ペレットタイプ、金属発泡体等を用いることができるので、排ガス浄化装置3の設計の際に適宜選択すればよい。
【0033】
触媒温度検知部23は、触媒温度検知部23の温度検知点が浄化触媒20に埋没するように底板24から挿入して配置されている。触媒温度検知部23によって取得された温度は、ヒータ22の出力制御に用いられる。
【0034】
触媒ケース21は略円筒状の筒体であって、下端を外側に折り返して第1フランジ21aが形成され、上端には排気管15に接続するための接続部材27を備えている。接続部材27は、全周に亘ってビス孔27aを有しており、このビス孔27aを介して排気管15にビス止めをすることにより、排ガス浄化装置3が排気管15に取り付けられる。なお、接続部材27は、溶接によって浄化触媒ケース21の上端に取り付てもよいし、浄化触媒ケース21と一体的に成形してもよい。
【0035】
ここで、上述の第1実施形態における排ガス浄化装置3の製造工程について説明する。
【0036】
まず、底板24は、図4に示すように、一枚板である円形のステンレス平板に絞り加工によって段差を付けたもので、平板中央に、第1凹部24a、第2凹部24b、および、鍔部24cを形成して、底板24が成形される。鍔部24cの外周には立ち上がり部24eが設けられている。
【0037】
次に、第1凹部24aに浄化排ガス流路25、ヒータ22、触媒温度検知部23を溶接によって接合する。浄化排ガス流路25、ヒータ22、および、触媒温度検知部23は、底板24において同じ面側(第1凹部24a)から溶接する。つまり、一度の溶接工程で溶接が必要な部品を取り付けることができるため、作業性に優れることとなる。また、気密検査においては、底板24のみ実施すれば足りるため、検査に要する手間を削減することができる。
【0038】
なお、浄化排ガス流路25は熱回収装置4が連結される側から接合し、ヒータ22は浄化触媒が位置する側から接合しようとすると、底板24における接合面を裏返す作業を行わなければならない。そこで、底板24において同じ面側から溶接するようにすれば、接合面を裏返すことなく溶接が必要な部品を取り付けることができるため、より作業性に優れることとなる。
【0039】
ここで、図10を用い、底板24以外に突出部が接合されている場合に起こりうる問題について具体的に説明する。図10に示す排ガス浄化装置は、排ガス浄化装置3の外装部材の一つである底板24に、排ガス浄化装置3の機能部品の一つであるヒータ22が接合され、また、排ガス浄化装置3の外装部材の一つである浄化触媒ケース21の側壁に、排ガス浄化装置3の機能部品の一つである触媒温度検知部23が接合されている。この場合、ヒータ22を接合した底板24について気密検査を実施し、また、触媒温度検知部23を接合した浄化触媒ケース21についても気密検査を実施することになる。
【0040】
また、例えば、浄化触媒ケース21自体が複数の外装部材を接合することによって形成されているものと仮定する。このとき、浄化触媒ケース21の接合部分と、触媒温度検知部23の接合部分について一括して気密検査を実施しようとすると、ガス漏れ箇所の特定が困難になる場合がある。また、例えば浄化触媒ケース21に気密欠陥があった場合、浄化触媒ケース21の形状によっては、その気密欠陥を補修するために触媒温度検知部23も取り外さなくてはならない場合がある。そのため、浄化触媒ケース21の気密検査を実施し、それに合格したものについて触媒温度検知部23について再び気密試験を実施することになる。つまり、浄化触媒ケース21について、2回の気密検査を実施することになる。しかし、浄化触媒ケース21自体が複数の外装部材を接合することによって形成されている場合であっても、本発明のように、触媒温度検知部23が底板24に接合されている場合は、浄化触媒ケース21については、1回だけ気密検査を実施するだけで済むことになる。
【0041】
そして、浄化排ガス流路25、ヒータ22、および、触媒温度検知部23の接合が完了すると、底板24の上に浄化触媒ケース21を載置する。このとき、第1フランジ21aを第2凹部24bに合わせると、鍔部24cとの段差により浄化触媒ケース21が位置決めされるようになっている。そして、底板24と浄化触媒ケース21の第1フランジ21aとを溶接によって接合する。
【0042】
なお、このように、第1凹部24aと高さを違えた第2凹部24bを形成することにより、底板24と浄化触媒20との間に空間を形成することができる。本実施形態においては、触媒温度検知部23は底板24の排ガスに接しない側の面に設置されたが、この空間に触媒温度検知部23を設けてもよい。この場合、取得される浄化排ガス温度から浄化触媒温度を推察することができる。
【0043】
最後に、浄化触媒ケース21に浄化触媒20を充填して排ガス浄化装置3を完成させる。なお、浄化触媒20が浄化触媒ケース21内で流動することによって、浄化触媒20が砕けたり、浄化触媒20が排ガス浄化装置3の下流に流出しないように、浄化触媒固定部材26によって浄化触媒20を固定することが好ましい。浄化触媒固定部材26としては、金網、パンチング板等の排ガスの流通を妨げない部材を用いることができる。
【0044】
完成した排ガス浄化装置3は排ガス流路12(排気管15)へ取り付けられる。図5は排ガス浄化装置3の排ガス流路12(排気管15)への取付方法を示した図である。排ガス浄化装置3は電池モジュール2の底面8aから延びる排気管15に取り付けられる。排気管15は下流端にビス孔15bが設けられたフランジ15aを有しているので、排気管15のフランジ15aと排ガス浄化装置3の取付金具27を合わせてビス孔15b、27aをビス止めして排気管15に排ガス浄化装置3が固定される。
【0045】
これにより、接合加工工程を削減して製造時の作業性を向上させることが可能となり、また、気密検査工程の手間の軽減を図ることができる。
【0046】
なお、底板24は、第1凹部24a、第2凹部24b、鍔部24c、および、立ち上がり部24eの一部または全部を個別の部品として加工し、接合によって底板24を作成してもよい。気密検査の手間を軽減する観点から、少なくとも、第1凹部24a、第2凹部24b、および、鍔部24cは、絞り加工によって一体成形することが、より好ましい。また、例えば、製造設備として底板24に対して浄化触媒ケース21の位置決めをするための専用冶具を備えている場合においては、底板24の第1凹部24a、第2凹部24b、および、鍔部24cの少なくとも一部は省略することができる。
【第2実施形態】
【0047】
図6は、本発明における排ガス浄化装置3の第2実施形態の断面図を示す。第2実施形態は、第1凹部24aの中央に、浄化触媒20で浄化した排ガスを熱回収装置4へ供給するための浄化排ガス流路25が一体的に形成されている点で第1実施形態と異なる。第2実施形態においては、ヒータ端子22cおよび触媒温度検知部23は、底板24を貫通して排ガス浄化装置3の外部に突出している。つまり。第2実施形態における排ガス浄化装置3は、ヒータ22の一部(一対のヒータ端子22c)として2箇所、触媒温度検知部23の一部として1箇所、合計して3箇所の突出部を備えていることになる。
【0048】
なお、第2実施形態においては、ヒータ22は浄化触媒20に埋没せずに、浄化触媒20の上流に設けられている形態を示す。排ガス流路12から排ガス浄化装置3に流れ込んだ流体は、ヒータ22を通過して高温となった後、浄化触媒20を通過する。つまり、浄化触媒20は、排ガスが持つ熱によって活性温度に維持される。
【0049】
ここで、上述の第2実施形態における排ガス浄化装置3の製造工程について説明する。
【0050】
まず、底板24は、図7に示すように、一枚板である円形のステンレス平板に絞り加工によって段差を付けたもので、平板中央に、第1凹部24a、および、第1凹部24aの周縁に鍔部24cが形成され、底板24が成形される。鍔部24cの外周には立ち上がり部24eが設けられている。
【0051】
鍔部24cは、全周に亘ってビス孔24dを有しており、このビス孔24dを介して排気管15にビス止めをすることにより、排ガス浄化装置3が電池モジュール2に取り付けられる。つまり、底板24は、排ガス浄化装置3の底面を形成するとともに、排ガス浄化装置3を電池モジュール2へ取り付ける際の取付板の役割を持っている。
【0052】
次に、第1凹部24aに、ヒータ22と触媒温度検知部23を溶接して接合する。底板24において、接合箇所が両面にわたって存在すると、裏返して接合面を変える作業を行わなければならない。しかし、ヒータ22、触媒温度検知部23は、底板24において同じ面側(第1凹部24a)上に溶接されるため、一度の溶接工程で溶接が必要な部品を取り付けることができるため、作業性に優れることとなる。また、気密検査においては、底板24のみ実施すればたりるため、検査に要する手間を削減することができる。
【0053】
そして、ヒータ22、触媒温度検知部23の溶接が完了すると、底板24の上に浄化触媒ケース21を載置する。浄化触媒ケース21は略円筒状の筒体であって、下端を外側に折り返して第1フランジ21aが形成されている。このとき、第1フランジ21aを第1凹部24aに合わせると、鍔部24cとの段差により浄化触媒ケース21が位置決めされるようになっている。
【0054】
最後に、浄化触媒ケース21に浄化触媒20を充填して排ガス浄化装置3を完成させる。なお、浄化触媒20が浄化触媒ケース21内で流動することによって、浄化触媒20が砕けたり、浄化触媒20が排ガス浄化装置3の下流に流出しないように、浄化触媒固定部材26によって浄化触媒20を固定することが好ましい。浄化触媒固定部材26としては、金網、パンチング板等の排ガスの流通を妨げない部材を用いることができる。
【0055】
完成した排ガス浄化装置3は排ガス流路12(排気管15)へ取り付けられる。図8は排ガス浄化装置3の排ガス流路12(排気管15)への取付方法を示した図である。排ガス浄化装置3は、排気管15の下流端から挿入される。排気管15は、下流端部にビス孔15bが設けられたフランジ15aを有しているので、排気管15のフランジ15aと排ガス浄化装置3の鍔部24cを合わせてビス孔15b、24dをビス止めすることにより、排気管15に排ガス浄化装置3が固定される。このとき、浄化触媒ケース21の第1フランジ21aは、排気管15のフランジ15aと排ガス浄化装置3の鍔部24cに挟まれて、鍔部24cに強く押し付けられて密着した状態となる。つまり、第1フランジ21aと底板24は溶接により接合されていなくても、排ガス浄化装置3を電池モジュール2に取り付けられることで気密を保持することができるため、第1フランジ21aと底板24の接合工程が不要となる。
【0056】
このように、第1フランジ21aと底板24は接合を必要としないが、数箇所をスポット溶接しても構わない。スポット溶接することにより、底板24から触媒浄化ケースが脱落するのを防ぐことができるため、組み立てた排ガス浄化装置3を保管する際には有効である。
【0057】
ここで、例えば図10のように、浄化触媒ケース21の側壁に触媒温度検知部23を接合した場合、ヒータ22が浄化触媒ケース21から突出しているため、触媒ケース21が排気管15内に嵌り込むような構造をとることができない。しかし、第2実施形態に係る排ガス浄化装置3は、排ガス浄化装置3の内部から外部に突出する複数の部材を底板24に集約することができることから、排ガス浄化装置3は、電池モジュール2の底面8aから延びる排気管15の下流端から挿入された常態で取り付けられる。
【0058】
これにより、第1フランジ21aと底板24の接合加工工程が不要となるため、接合加工工程を削減して製造時の作業性を向上させることが可能となり、また、気密検査工程の手間の軽減を図ることができる。更には、排気管15と排ガス浄化装置3との連結部分からのガス漏れをより一層抑制することが可能な形態で、排気管15と排ガス浄化装置3とを固定することができる。
【0059】
なお、底板24は、第1凹部24a、鍔部24c、および、立ち上がり部24eの一部または全部を個別の部品として加工し、接合によって底板24を作成してもよい。気密検査の手間を軽減する観点から、少なくとも、第1凹部24a、および、鍔部24cは、絞り加工によって一体成形することが、より好ましい。また、例えば、製造設備として底板24に対して浄化触媒ケース21の位置決めをするための専用冶具を備えている場合においては、底板24の第1凹部24a、および、鍔部24cの少なくとも一部を省略することができる。
【第3実施形態】
【0060】
図9は、本発明における排ガス浄化装置3の第3実施形態の断面図を示す。ヒータ22は浄化触媒ケース21の内側壁に設置され、ヒータ配線が外部に導出されている点で、第1および第2実施形態と異なる。なお、ヒータ配線の保護のため、ヒータ配線の一部は保護部材である配線導出管22dに覆われ、底板24に接合され、排ガス浄化装置3の外部へ突出している。また、ガス漏れ防止のため、配線導出部22d内はシール部材22eによって封止されている。第3実施形態においては、ヒータ配線導出部22dおよび触媒温度検知部23が、底板24を貫通して排ガス浄化装置3の外部に突出している。つまり、第3実施形態における排ガス浄化装置3は、ヒータ22の一部であるヒータ配線導出部22dとして1箇所、触媒温度検知部23の一部として1箇所、合計して2箇所の突出部を備えていることになる。
【0061】
このような実施形態においても、接合加工を施す部品点数を削減して、接合加工工程を削減して製造時の作業性を向上させることが可能となり、また、気密検査工程の手間の軽減を図ることができる。
【0062】
なお、図7では底板24は第1凹部24aと鍔部24cからなり、第2凹部24bを備えてはいないため、触媒ケース21の第1フランジ21aは第1凹部24a上に載置され、第1凹部24aと鍔部24cとの段差により触媒ケース21の位置ズレが防止される。このように底板24は、浄化排ガス流路25、ヒータ22、触媒温度検知部23が同じ平面側に形成または溶接されるようになっていればよく、その形状に関しては適宜変更可能である。ただし、底板24がまったく凹凸のない平板であると触媒ケース21を載置する位置決めが困難であるため、作業性向上の観点から触媒ケース21の位置決めができるような凹凸を有していることが好ましい。
【0063】
図示の実施形態はあくまで本発明を例示するものであり、本発明は、説明した実施形態により直接的に示されるものに加え、特許請求の範囲内で当業者によりなされる各種の改良・変更を包含するものであることは言うまでもない。
【0064】
例えば、第1〜第3実施形態として、円筒形状の浄化触媒ケース21を円形状の底板24を例示したが、これに限らず、電池モジュール2の排気管15および熱回収装置4との間でガス漏れが生じないように連結可能な形状であればよい。例えば、排ガス流動方向から見て多角形断面の浄化触媒ケースであってもよい。この場合の底板は、浄化触媒ケースと同じ多角形板でもよいし、浄化触媒ケースの下流端部と異なる形状であってもよい。
【0065】
また、第1〜第3実施形態として、それぞれ異なるヒータ22の配置例を示したが、これに限らず、各々のヒータを他の実施形態に適用することができる。また、ヒータの発熱部自体の形状としては、例えば、棒状であってもよいし、排ガスの流動方向に対して略垂直に位置する平面的な形状であってもよい。
【0066】
また、図3および図5において、ヒータ22、触媒温度検知部23等の一部が、排ガス浄化装置3内に挿入された状態で底板24に接合された形態を示したが、それらの機能を害さない範囲で、ヒータ22、触媒温度検知部23等の一部または全部を保護部材で覆ってもよい。その場合、当該保護部材が底板24に接合される。一例としては、図6において、触媒温度検知部23の温度検知点が浄化触媒20に埋没するように底板24から挿入して配置されている形態を示したが、温度検知部23は、内部に熱電対を備えた鞘管を含んで成るものであってもよい。この場合、鞘管が底板24に接合される。そのため、熱電対の異常が原因で触媒温度検知部23の修理が必要なときは、鞘管から熱電対を引き出して新しいものと交換すればよく、容易に交換が可能となる。
【符号の説明】
【0067】
2 電池モジュール
3 排ガス浄化装置
4 熱回収装置
20 浄化触媒
22 ヒータ
23 触媒温度検知部
24 底板
25 浄化排ガス流路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10