(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5890227
(24)【登録日】2016年2月26日
(45)【発行日】2016年3月22日
(54)【発明の名称】ケース組み立て用シート、包装ケース及び包装体
(51)【国際特許分類】
B65D 5/52 20060101AFI20160308BHJP
【FI】
B65D5/52 L
B65D5/52 H
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-84653(P2012-84653)
(22)【出願日】2012年4月3日
(65)【公開番号】特開2013-212869(P2013-212869A)
(43)【公開日】2013年10月17日
【審査請求日】2015年1月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】591123252
【氏名又は名称】菱江産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000707
【氏名又は名称】特許業務法人竹内・市澤国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石井 誠
【審査官】
植前 津子
(56)【参考文献】
【文献】
英国特許出願公開第02247226(GB,A)
【文献】
実開平06−016227(JP,U)
【文献】
特開2010−149891(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/00−5/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に折れ線が形成された所定形状のプラスチックシートであって折れ線に沿ってシートを折り曲げることにより箱形の包装ケースに組み立てられるケース組み立て用シートにおいて、
包装ケース(1)の前面部(2)、左右側面部(3,4)又は後面部(5)の少なくとも一面に窓孔(16)が設けられ、この窓孔(16)内に、窓孔(16)の左右又は上下を跨ぐベルト部(17)が設けられ、
このベルト部(17)は、窓孔(16)内に位置する太幅部(17a)と太幅部(17a)から伸張して窓孔(16)の両縁部にそれぞれ連なる細幅部(17b,17b)とを有し、両細幅部(17b,17b)は太幅部(17a)の両側で当該太幅部(17a)から前記縁部に至る伸張方向と垂直に交差する方向に沿って食違いに位置をずらして配置され、太幅部(17a)の面内に両細幅部(17b,17b)の根元部からそれぞれの伸張方向とは逆方向に伸びた一対のスリット(17c,17c)が設けられ、両スリット(17c,17c)の端部に前記交差する方向と平行な折れ筋(17d,17d)がそれぞれ設けられた構成を有することを特徴とするケース組み立て用シート。
【請求項2】
請求項1に記載のケース組み立て用シート(1S)を用いて組み立てられた包装ケース。
【請求項3】
請求項2に記載の包装ケース(1)に物品が収納されてなる包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透明度の高いプラスチックにより成形されたシートを所定形状に打ち抜き、その表面に形成された折れ線に沿って折り曲げて組み立てられ、化粧品や日用品その他の物品を収納して販売や展示に供するのに好適なプラスチックシート製の包装ケース及びこれを組み立てるためのケース組み立て用シートの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
所定形状に形成されたシート材を折れ線に沿って組み立てられる包装ケースにおいて、例えば
図9に示されるような、ケース表面に包装される物品101に対応した形状の窓孔100aを形成し、この窓孔100aから物品101の一部をケース外側に突出させて包装する構成のものが知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−155925号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記図示した窓孔100aを有する包装ケース100は、ケースに収納された物品101の一部がケース外側に飛び出しているため高い展示効果が得られるが、包装ケース100が傾いたりケース内部で物品101が回転したりしたときに、物品101が窓孔101aを乗り越えて包装ケース100の外側に脱落する虞がある。
この場合、包装ケース100内で物品101に係合して物品101を保持する係合フラップを一体に設けたり別成形した係合板を包装ケース100内に収納したりすることが考えられるが、物品101を包装する際に、係合フラップを折り曲げ或いは係合板を収納して、これを物品101に係合させなければならないため包装に手間を要することとなり、また、係合板を包装ケース100とは別に成形したのでは材料費が嵩んでしまう。
【0005】
本発明は従来技術の有するこのような問題点に鑑み、所定形状に裁断された一枚のプラスチックシートを折り曲げて窓孔を有する包装ケースを構成し、物品を包装した状態でケースが傾いたり物品が回転したりしても物品が窓孔を乗り越えてケース外側に脱落し難く、ケース内に物品を安定的に収納して包装できるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため本発明は、表面に折れ線が形成された所定形状のプラスチックシートであって折れ線に沿ってシートを折り曲げることにより箱形の包装ケースに組み立てられるケース組み立て用シートにおいて、
包装ケースの前面部、左右側面部又は後面部の少なくとも一面に窓孔が設けられているとともに、この窓孔内に、窓孔の左右又は上下を跨ぐベルト部が設けられた構成を有することを特徴とする。
【0007】
これによれば、前記構成のケース組み立て用シートをその表面に付された折れ線に沿って折り曲げて、包装ケースに組み立てることができる。
組み立てられた包装ケースに物品を収納すれば、ケース表面に設けた窓孔から収納された物品が露出して、ケース外側から物品の質感を直に確認することができ、また、物品の一部が窓孔からケース外側に突出していれば包装された物品の展示効果を高めることができる。
窓孔内にはベルト部が一体に架設してあるので、ケースが傾いたり物品が回転したりしても、物品はその表面をベルト部で支持されてケース内部に保持され、物品が窓孔を乗り越えてケース外側に脱落することを、ベルト部で確実に防止することができる。
ベルト部は、包装する物品に対応して、物品が窓孔から脱落しないように、適宜な幅や外形のものを、窓孔内に一つ以上設けることができ、また、窓孔の左右縁部間に亘って設ける他、上下の縁部間に亘って設けることができる。
【0008】
前記構成のケース組み立て用シートにおいて、ベルト部は、窓孔内に位置する太幅部と太幅部から伸張して窓孔の両縁部にそれぞれ連なる細幅部とを有し、両細幅部は太幅部の両側で当該太幅部から前記縁部に至る伸張方向と垂直に交差する方向に沿って食違いに位置をずらして配置され、太幅部の面内に両細幅部の根元部からそれぞれの伸張方向とは逆方向に伸びた一対のスリットが設けられているとともに、両スリットの端部に前記交差する方向と平行な折れ筋がそれぞれ設けられた構成とすることができる。
【0009】
ベルト部が上記のように構成されていれば、その太幅部の面内に設けられた一対の折れ筋に沿って当該太幅部を回転させることが可能となり、太幅部を回転変位させることにより、窓孔内におけるベルト部の長さを伸ばすことができる。
従って、例えば包装ケースの奥行き幅よりも厚みのある物品であっても、これをその周側面を窓孔からケース外側に突出させて包装ケース内に収納し、前記長くしたベルト部で窓孔から外側に突出した物品の周側面を支持して、物品を窓孔から脱落させることなくケース内部に確実に保持することができる。
【0010】
前記構成において、ケース組み立て用シートを構成するプラスチックシートの材質としては、耐折性が良好なポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、或いはポリ乳酸などの生物由来性樹脂、その他の樹脂単体又はこれらの複合体からなるプラスチックシートを用いることができる。特にポリエステル製のシートは、透明性が良好で剛性が高い点で好ましく、中でも未延伸のポリエステル製シートは、より透明性が良好で且つ未延伸であるためシートの方向に関係なく強度が高い点で好ましい。
プラスチックシートの肉厚は、0.1〜0.8mmに設定することができる。0.1mmより薄いとシート面板の折れ曲がりや破損を来しやすくなり、0.8mmよりも厚いと折り曲げ加工に要する圧力は大となる。耐折性や剛性などを考慮すると、0.2〜0.6mmに設定することが好ましい。
プラスチックシートの表面に形成される、折れ線である折り曲げ罫線の種類は問わず、ミシン目などのスリットを断続させた罫線や凹穴状の押し罫線、V字やU字状、台形状の溝を断続又は連続させた罫線、溝内を二段溝状とした二段罫線、筋状の溝を平行に近接配置した罫線などプラスチックシートを罫線に沿って折り曲げることが可能な適宜な種類の罫線をケースの寸法やプラスチックシートの材質、剛性、厚みなどに応じて適宜に設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態の包装ケースに物品を収納した状態の正面側外観図である。
【
図3】
図2のシートを折り曲げて組み立てた状態の包装ケースの斜視図である。
【
図4】(A)、(B)はベルト部の伸長機能を説明するための図である。
【
図5】ベルト部を伸長させた状態の
図3の包装ケースの上部側外観図である。
【
図7】本発明の他の実施形態の包装ケースのシート展開図(A)と包装ケースの斜視図である。
【
図8】本発明のさらに他の実施形態の包装ケースのシート展開図(A)と包装ケースの斜視図である。
【
図9】従来の窓孔を備えた包装ケースの外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の一実施形態の包装ケースに物品を収納した状態の外観を示しており、この包装ケース1は、ケース組み立て用シート1Sを折り曲げて箱形に組み立てられ、その表面に設けられた窓孔16から包装された物品Gの一部を露出させて展示販売に供されるように構成したものである。
【0013】
ケース組み立て用シート1Sは、透明なプラスチックシートを所定形状に打抜き、その表面に複数の折れ線を付設して形成され、
図2に示されるように、包装ケース1の周側面となる前面部2、左右側面部3,4及び後面部5と糊代片6を各々縦折れ線7で区画し、前面部2と後面部の下端にそれぞれ連設した底フラップ8,8、左右側面部3,4の上下端に連設した差込み片9,10及び後面部5の上端に連設した蓋面部11と差込み片12を各々横折れ線13で区画するとともに、前面部2の面内に上下二段に略々コ字形の切り込み14、15を設けて形成してあり、当該シート1Sを折り曲げて包装ケース1を組み立てる際に、前記切り込み14、15で区画された部分をケース内方に折り曲げることにより、前面部2に窓孔16が設けられ、且つ窓孔16内の左右縁部間に前面部2と一体のベルト部17が架け渡されるように構成してある。
【0014】
詳しくは、前面部2に設けた略々コ字形の切り込み14,15の端部にはそれぞれ縦折れ線7,7が形成され、また、両切り込み14,15の面内にも縦折れ線7がそれぞれ形成されており、これら縦折れ線7で区画された部分を両切り込み14,15に沿ってケース内方に折り曲げることにより、両切り込み14,15の間の部分にベルト部17が形成されるように設けてある。
前面部2の上部中央には、陳列用のフックが貫通する通孔21が形成され、また、前後両面部2,5の下端に連設した底フラップ8,8の側部には斜め折れ線18を挟んで糊代面部19をそれぞれ突設してある。
【0015】
前記切り込み14,15の内部を折り曲げて形成されるベルト部17は、窓孔16の略中央に位置して窓孔16の左右縁部間に架設されるように設けられており、より詳しくは、
図4(A)に示されるように、ベルト部17は、窓孔16内に位置する太幅部17aと、太幅部17aから左右に伸張して窓孔16の縁部にそれぞれ連なる細幅部17b,17bとを有し、両細幅部17b,17bは太幅部17aの両側で、太幅部17aから窓孔16の前記縁部に至る左右伸張方向と垂直に交差する上下方向に沿って食違いに位置をずらした配置としてある。
また、太幅部17aの面内には、両細幅部17b,17bの根元部からそれぞれ左右への伸張方向とは逆方向に伸びた一対のスリット17c,17cが設けられ、両スリット17c,17cの端部に上下方向に沿って折れ筋17d,17dを平行に形成してある。両細幅部17b,17bと窓孔16の縁部側にも折れ筋17e,17eを形成してある。
そして、ベルト部17は、同図(B)に示されるように、太幅部17aを折れ筋17d,17dに沿って折り曲げ、両折れ筋17d,17dを軸に裏面側へ回転させると、窓孔16内におけるベルト17の長さを、元の長さ(L)よりも太幅部17aを反転させた分の長さ(L+α)だけ伸長させることができるようになっている。
【0016】
このように形成されたケース組み立て用シート1Sは以下のようにして包装ケース1に組み立てることができる。
先ず、糊代片6と糊代面部19,19に接着剤を塗布し、各縦折れ線7と横折れ線13を内折れ、斜め折れ線18を外折れさせた状態で、糊代片6を右側面部4の側端外面に接着して前記前後左右側面部2,3,4,5を一体の筒体となし、糊代面部19,19をそれぞれ左右側面部3,4の下端に連設させた差込み片10,10の外面に接着し、且つ底フラップ8,8を噛み合わせて形成されるケースの底面部で底部側開口を閉鎖し、さらに、左右側面部3,4の上端に連設させた差込み片9,9をケース内方に折り曲げてから蓋面部11を被せ、前記筒体の蓋部側開口を閉鎖して箱形のケースを組み上げる。
【0017】
そして、前面部2の切り込み14、15で区画された部分を、その表面に形成された各縦折れ線7に沿ってケース内方に折り曲げることにより、
図3に示されるように、ケースの前面部2に窓孔16を備え、且つ窓孔16内に当該窓孔16の左右縁部間を跨ぐベルト部17が配置された包装ケース1が組み立てられる。
【0018】
このように構成された本形態の包装ケース1によれば、包装ケース1の奥行き幅よりも厚みのある物品Gを包装するにあたり、予め前記の如くベルト部17の太幅部17aを回転し、
図5に示されるようにベルト部17の長さを伸長させておき、蓋面部11を開けてケース内部に物品Gを収納すれば、窓孔16からケース外側に突出する物品Gの周側面が伸長したベルト部17に接合し、物品Gはベルト部17で支持されてケース内部に安定的に保持される。
図6に示されるように、ベルト部17が窓孔16に面した物品Gの周側面を確実に支持するので、包装ケース1が傾いたり物品Gが回転したりしても、物品Gが窓孔16を乗り越えてケース外側に脱落するようなことはない。
【0019】
図7は本発明の他の実施形態のケース組み立て用シート1Sと包装ケース1の他の実施形態を示しており、これは、前面部2の面内を打抜いて並設する二つの窓孔16,16を形成し、両窓孔16,16内に、それぞれの窓孔16の略中央を左右に横断するベルト部17を一体に設けたものである。
また、
図8は本発明のさらに他の実施形態のケース組み立て用シート1Sと包装ケース1の他の実施形態を示しており、これは、前面部2の面内を打抜いて窓孔16を形成し、この窓孔16内に、窓孔16の略中央を左右に横断するベルト部17を一体に設けたものである。
図7及び
図8に示される包装ケース1によっても、ベルト部17で包装される物品の窓孔16に面する周側面部を支持し、物品が窓孔16を乗り越えてケース外側に脱落することを防止することが可能である。
【0020】
なお、図示したケース組み立て用シート1S及び包装ケース1は、本発明の実施形態の一例を示すものであり、本発明はこれらに限定されず、収納する物品の形態や包装の態様などに応じて他の適宜な形態で構成することが可能である。
実施の形態では、ケースの前面部2に窓孔16を形成したが、左右側面部3,4や後面部5、複数の面部に亘って窓孔16が形成されていてもよい。ベルト部17は、包装する物品の形状等に対応させて適宜な形態に設けることができる。窓孔16の上下を縦断するようにベルト部17を設けてもよい。糊代片5と糊代面部19を固着する手段は、接着剤の他、粘着剤、片面や両面粘着テープ等の他の適宜な手段を用いることができる。
【符号の説明】
【0021】
1 包装ケース、1S ケース組み立て用シート、2 前面部、3,4 左右側面部、5 後面部、6 糊代片、7 縦折れ線、8 底フラップ、9,10,12 差込み片、11 蓋面部、13 横折れ線、14,15 切り込み、16 窓孔、17 ベルト部、17a 太幅部、17b 細幅部、17c スリット、17d、17e 折れ筋、18 斜め折れ線、19 糊代面部、G 物品