(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、界面活性剤を含む薬液水溶液を噴霧して粉塵を除去するように構成した場合には、薬液水溶液を散布した場所の地面に界面活性剤が残り、地面が滑りやすくなるなどの不都合が生じる。また、自走式重機に噴霧手段を搭載して移動可能に構成した場合には、任意の場所で適宜粉塵の除去作業が行える反面、任意の移動場所に界面活性剤が残ることになるため、場合によってはその適用自体が困難になるおそれもあった。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑み、薬液を用いることなく、効果的且つ効率的に、空気中に浮遊する粉塵の除去、粉塵の発生の抑止を可能にする帯電水粒子散布装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達するために、この発明は以下の手段を提供している。
【0009】
本発明
は、解体現場やトンネル掘削現場を含む土木建築分野で、空気中に浮遊する粉塵の除去に使用される帯電水粒子散布装置
であって、自ら移動可能に構成された支持構造体、あるいは移動体と一体ないし着脱可能に設けられた支持構造体と、前記支持構造体に取り付けて支持され、水粒子を生成し、該水粒子を誘導帯電方式で帯電させて帯電水粒子を生成しつつ噴出して上方から落下させることにより帯電水幕を形成
し、前記帯電水粒子と空気中に浮遊する粉塵との間に作用するグラディエント力によって当該粉塵を前記帯電水幕に補足させる帯電水粒子生成手段とを備えて構成されていることを特徴とする。
【0010】
この発明においては、帯電水粒子生成手段によって生成して噴出した帯電水粒子が上方から下方に落下することにより、この帯電水粒子からなる水幕(帯電水幕)を形成することができる。そして、このように帯電水幕を形成すると、帯電水幕の形成領域内の空気中に浮遊した粉塵(粒子)を帯電水粒子に電気的に吸着させて捕捉することができ、帯電水粒子とともに粉塵を落下させて空気中から除去することが可能になる。また、粉塵発生源などの粉塵発生抑止対象を帯電水幕の帯電水粒子で濡らすようにすると、帯電水粒子で電気的に捕捉されて粉塵発生抑止対象から粉塵が発生することを抑止することができる。
【0011】
また、帯電水粒子生成手段を取り付けて支持する支持構造体が自ら移動可能に構成、あるいは移動体に一体ないし着脱可能に設けられているため、任意の位置に移動して粉塵の除去、粉塵発生の抑止を行なうことができる。
【0012】
また、本発明の帯電水粒子散布装置においては、前記支持構造体が、門型構造あるいは片持ち構造で構成され、前記支持構造体の上部に噴出ノズルを配置した複数の前記帯電水粒子生成手段を備えるとともに、帯電水粒子生成用の給水ライン及び配線が前記支持構造体に設けられていることが望ましい。
【0013】
この発明においては、門型構造あるいは片持ち構造の支持構造体の上部に噴出ノズルを配置して複数の帯電水粒子生成手段が設けられているため、門型構造あるいは片持ち構造の支持構造体を移動し、噴出ノズルから帯電水粒子を噴出させることで、確実且つ容易に、任意の位置に帯電水幕を形成することができる。
【0014】
また、支持構造体に帯電水粒子生成用の給水ライン及び配線が設けられているため、任意の位置に支持構造体ひいては帯電水粒子生成手段を移動し、支持構造体に設けられた給水ラインと配線にそれぞれ給水源と電源を接続することで、容易に帯電水幕を形成することが可能になる。これにより、効率的に粉塵の除去、粉塵の発生抑止を行なうことができる。
【0015】
また、本発明の帯電水粒子散布装置においては、前記支持構造体が、トラス構造の一対の支柱部と、該一対の支柱部に架設され、前記帯電水粒子生成手段を支持する架設支持部とを備えるとともに、前記支柱部の下端側に走行ローラを備えて構成されていることが望ましい。
【0016】
この発明においては、支柱部の下端側に設けられた走行ローラによって支持構造体を自ら移動させることができ、粉塵発生源などに支持構造体とともに帯電水粒子生成手段を移動、配置して、効率的に粉塵の除去、粉塵の発生抑止を行なうことができる。
【0017】
さらに、本発明の帯電水粒子散布装置においては、前記支持構造体が前記支柱部及び/又は前記架設支持部にヒンジ構造を備えて折り畳み可能に構成されていることがより望ましい。
【0018】
この発明においては、支持構造体が折り畳み可能に構成されていることで、移設、展開、撤去、収納などを容易に行なえ、取扱性や保管性に優れた支持構造体にすることができる。
【0019】
さらに、本発明の帯電水粒子散布装置においては、前記帯電水粒子生成手段は、加圧供給された水を噴出しつつ前記水粒子を生成する噴出ノズル部と、所定の電圧が印加されて所定の電界を形成し、前記噴出ノズル部で生成した前記水粒子を前記電界によって帯電させて前記帯電水粒子にする誘導電極部と、前記誘導電極部に印加する電圧の基準電位を与える水側電極部とを備えて構成されていることが望ましい。
【0020】
この発明においては、帯電水粒子生成手段の噴出ノズル部で生成した水粒子を誘導電極部によって形成された電界によって帯電させることができ、容易に且つ確実に帯電水粒子を生成して噴出させることができる。
【0021】
また、帯電水粒子生成手段を複数備えた場合、基準電位を与える水側電極部を複数の帯電水粒子生成手段で共通の1つにすることも考えられるが、このように複数の帯電水粒子生成手段で水側電極部を供用すると、各帯電水粒子生成手段で生成される帯電水粒子(帯電水粒子群)の帯電効率が低下してしまう。
これに対し、この発明のように、各帯電水粒子生成手段が水側電極部を備えて構成されていると、確実に所望の比電荷の帯電水粒子を生成することができ、これにより、確実且つ効率的に、空気中に浮遊した粉塵の除去、粉塵の発生抑止を行なうことが可能になる。
【0022】
さらに、本発明の帯電水粒子散布装置において、前記帯電水粒子生成手段は、粒径が100〜300μmの前記水粒子を生成するように構成されていることが望ましい。
【0023】
ここで、帯電水粒子生成手段で生成する水粒子の粒径が100μmよりも小さいと、この水粒子を帯電させた後の帯電水粒子が蒸発しやすくなり、粉塵の除去や粉塵の発生抑止効果が発揮され難くなってしまう。また、生成する水粒子の粒径が300μmよりも大きいと、帯電水粒子生成手段で水粒子を帯電させて生成し噴出する帯電水粒子の数が少なくなってしまい、やはり、粉塵の除去や粉塵の発生抑止効果が十分に発揮されなくなってしまう。
【0024】
そして、この発明においては、帯電水粒子生成手段によって粒径が100〜300μmの水粒子を生成することで、ひいては、粒径が300μm以下であってクーロン力の作用によりさらに細かく分裂した様々な粒子径の帯電水粒子が生成されることで、さらに確実且つ効果的に、空気中に浮遊した粉塵の除去、粉塵の発生抑止を行なうことが可能になる。
【0025】
また、本発明の帯電水粒子散布装置においては、前記帯電水粒子生成手段で前記帯電水粒子を生成する際に印加する電圧が、−20kV〜20kVの範囲であることが望ましい。
【0026】
この発明においては、帯電水粒子生成手段で誘導帯電方式によって帯電水粒子を生成する際に印加する電圧を−20kV〜20kVの範囲にすることで、コロナ放電が発生することを防止できる。
【0027】
さらに、本発明の帯電水粒子散布装置においては、複数の帯電水粒子生成手段を備え、前記複数の帯電水粒子生成手段が同一平面上に配設されていることがより望ましい。
【0028】
この発明においては、複数の帯電水粒子生成手段が仮想的な同一平面上に配設されていることにより、言い換えれば、水粒子を電界によって帯電させて帯電水粒子にするための各帯電水粒子生成手段の誘導電極部の位置が一方向の同位置に配されていることにより、例えば隣り合う一方の帯電水粒子生成手段の誘導電極部で形成した電界が、他方の帯電水粒子生成手段に影響し、この他方の帯電水粒子生成手段で好適に帯電水粒子を生成することができ難くなることを防止できる。
【0029】
すなわち、例えば、複数の帯電水粒子生成手段を一方向の異なる位置にずれて配設した場合には、一方向の後方に配設された帯電水粒子生成手段の誘導電極部が形成する電界が、一方向の前方の帯電水粒子生成手段の誘導電極部が形成する電界に干渉し、好適に帯電水粒子を生成することができなくなるといった不都合を回避することができる。
【0030】
また、本発明の帯電水粒子散布装置においては、所定の電圧が印加されて所定の電界を形成し、前記水粒子を前記電界によって帯電させて前記帯電水粒子にするための前記帯電水粒子生成手段の誘導電極部が電極を絶縁被覆して形成されていることがさらに望ましい。
【0031】
この発明においては、水粒子を帯電させるために高電圧が印加される誘導電極部を、電極を絶縁被覆して形成することで、電気的短絡や放電の発生を防止することができる。
【0032】
さらに、本発明の帯電水粒子散布装置においては、複数の帯電水粒子生成手段を備え、所定の電圧が印加されて所定の電界を形成し、前記水粒子を前記電界によって帯電させて前記帯電水粒子にするための各帯電水粒子生成手段の誘導電極部と、前記誘導電極部に所定の電圧を印加するための電源とを繋ぐ複数の電圧印加用ラインにそれぞれ、電流制限手段が設けられていることが望ましい。
【0033】
この発明においては、1つの帯電水粒子生成手段で短絡が発生しても、他の帯電水粒子生成手段に流れる電流が制限され、他の帯電水粒子生成手段で短絡が生じることを防ぐことができる。
【0034】
また、本発明の帯電水粒子散布装置においては、前記帯電水粒子生成手段が1〜2L/minの前記帯電水粒子を生成するように構成されていることが望ましい。
【0035】
この発明においては、帯電水粒子生成手段によって1〜2L/minの帯電水粒子を生成することで、ある程度必要な帯電水粒子の給水量(散布水量)を確保しつつ、0.1mC/kg以上の高比電荷の帯電水粒子を安定的に生成することができ、確実且つ効果的に、空気中に浮遊した粉塵の除去、粉塵の発生抑止を行なうことが可能になる。
【0036】
さらに、本発明の帯電水粒子散布装置においては、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ウレタン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、ポリクロロトリフルオロエチレン樹脂、セラミックス、琺瑯の少なくとも1種の絶縁材で前記電極を絶縁被覆して前記誘導電極部が形成されていることがより望ましい。
【0037】
この発明においては、水粒子を帯電させるための誘導電極部の電極を絶縁被覆する絶縁材として、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ウレタン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、ポリクロロトリフルオロエチレン樹脂、セラミックス、琺瑯を用いることにより、絶縁被覆していない電極によって生成した帯電水粒子に対し、同等あるいはそれ以上の比電荷の帯電水粒子を生成することが可能になる。
【発明の効果】
【0038】
本発明の帯電水粒子散布装置においては、帯電水粒子生成手段によって帯電水粒子からなる帯電水幕を形成することができる。そして、この帯電水幕の形成領域内の空気中に浮遊した粉塵を帯電水粒子に電気的に吸着させて捕捉することができ、帯電水粒子とともに粉塵を落下させて空気中から除去することが可能になる。また、粉塵発生源などの粉塵発生抑止対象を帯電水幕の帯電水粒子で濡らすようにすると、帯電水粒子で電気的に捕捉されて粉塵発生抑止対象から粉塵が発生することを抑止することができる。
【0039】
よって、本発明の帯電水粒子散布装置によれば、単なる水粒子を散布する場合と比較し、帯電水粒子で粉塵を効率的に捕捉して除去することが可能になるとともに、帯電した水粒子を散布するため、界面活性剤を含む薬液水溶液を噴霧する場合のように界面活性剤などの薬液成分が残存して地面が滑りやすくなるなどの不都合を招くおそれもなく、好適に粉塵の除去、粉塵の発生抑止を行なうことが可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、
図1から
図5を参照し、本発明の一実施形態に係る帯電水粒子散布装置について説明する。ここで、本実施形態は、例えば解体現場やトンネル掘削現場、廃棄物処分場等で、空気中に浮遊する粉塵を除去したり、粉塵の発生自体を抑止するために用いて好適な帯電水粒子散布装置に関するものである。
【0042】
本実施形態の帯電水粒子散布装置Aは、
図1に示すように、自ら移動可能に構成された支持構造体1と、支持構造体1に取り付けて支持され、水粒子を生成し、この水粒子を誘導帯電方式で帯電させて帯電水粒子W1を生成しつつ噴出し、帯電水粒子W1を上方から下方に落下させて帯電水幕2を形成する帯電水粒子生成手段3とを備えて構成されている。
【0043】
また、本実施形態の支持構造体1は、トラス構造で形成され、一対の支柱部4、5と、一対の支柱部4、5の上端同士を連結するように架設された架設支持部6とを備えて門型に形成されている。さらに、各支柱部4、5の下端側に走行ローラ7が設けられ、これにより、支持構造体1は走行可能(自ら移動可能)とされている。なお、このように門型に形成した支持構造体1は、安定して立設させるためのサポート部材を別途備えて構成するようにしてもよい。
【0044】
さらに、この支持構造体1は、各支柱部4、5にヒンジ構造8が設けられ、このヒンジ構造で回動させることによって、折り畳み可能に構成されている。これにより、本実施形態の支持構造体1は、折り畳んでコンパクト化することができ、移設、展開、撤去、収納などが容易に行なえる。
【0045】
一方、帯電水粒子生成手段3は、支持構造体1の架設支持部6に取り付けて支持されている。また、本実施形態の帯電水粒子生成手段3は、
図2及び
図3に示すように、噴出ノズル部10と誘導電極部11と水側電極部12とを備えて構成されている。
【0046】
本実施形態の誘導電極部11は、導電性を有する金属などの部材(電極11a)を絶縁材11bで絶縁被覆して形成したものであり、リング状の電極本体部13と、この電極本体部13に一端を接続した棒状の連結部14とを備えて形成されている。また、誘導電極部11は、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ウレタン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、ポリクロロトリフルオロエチレン樹脂、セラミックス(アルミナセラミックス)、ガラス琺瑯の少なくとも1種を絶縁材11bに用いて形成されている。
【0047】
水側電極部12は、導電性を有する金属などの部材(電極12a)を用いて形成され、且つ本実施形態では、円筒状に形成されている。
【0048】
ここで、誘導電極部11や水側電極部12は、導電性を有する部材11a、12aとして、金属以外に、導電性を有する樹脂、繊維束、ゴムなどを用いて形成されていてもよく、また、これらを組み合わせた複合体を用いて形成されていてもよい。
【0049】
次に、噴出ノズル部10は、第1流路形成用部材15と第2流路形成用部材16と噴出ノズル17と噴出ノズル取付用部材18とを分離可能に一体に組み付けて形成されている。
【0050】
第1流路形成用部材15は、例えば塩化ビニル樹脂などの絶縁材(非導電性材)を用い、略円盤状に形成されている。また、その中央に中心軸線O1方向に延びて貫通する断面円形の水流通孔19を備えて形成されている。さらに、第1流路形成用部材15は、一面15a側の中央に、一面15aから中心軸線O1方向外側に突出する円筒状の配管接続部20が設けられ、この配管接続部20の内孔に連通して水流通孔19が配管接続部20の突端に開口形成されている。
【0051】
さらに、第1流路形成用部材15は、他面15b側の水流通孔19が配管接続部20側よりも大径で形成され、この大径部分が水側電極保持部21とされている。また、第1流路形成用部材15の水流通孔19の水側電極保持部21には、内面から径方向外側に凹み、周方向に延びる環状のシール材取付用凹部22が形成されている。さらに、第1流路形成用部材15には、水流通孔19を挟んで両外周縁側にそれぞれ、一面15aから他面15bに貫通するネジボルト挿通孔23が形成されている。
【0052】
第2流路形成用部材16は、第1流路形成用部材15と同様に、例えば塩化ビニル樹脂などの絶縁材を用い、略円盤状に形成されるとともに、その中央に中心軸線O2方向に延びて貫通する断面円形の水流通孔19を備えて形成されている。一方、第2流路形成用部材16は、第1流路形成用部材15よりも大径で形成され、第1流路形成用部材15が接する一面16aと反対の他面16b側の中央に、この他面16bから中心軸線O2方向外側に突出する円筒状の噴出ノズル取付部24が設けられている。そして、この噴出ノズル取付部24の内孔に連通して水流通孔19が噴出ノズル取付部24の突端に開口形成されている。また、噴出ノズル取付部24は、外周面に雄ネジ25の螺刻が施されている。
【0053】
さらに、第2流路形成用部材16は、一面16a側の水流通孔19が噴出ノズル取付部24側よりも大径で形成され、この大径部分が水側電極保持部26とされている。また、第2流路形成用部材16の水側電極保持部26は、第1流路形成用部材15の水側電極保持部21と同径で形成されるとともに、内面から径方向外側に凹み、周方向に延びる環状のシール材取付用凹部27を備えて形成されている。また、第2流路形成用部材16は、一面16aから他面16b側に向けて凹み、中心軸線O2を中心として周方向に延びる環状のシール材取付用凹部28を備えて形成されている。さらに、第2流路形成用部材16には、水流通孔19を挟んで両外周縁側にそれぞれ、一面16aから他面16b側に向けて凹む雌ネジ孔29が形成されている。また、外周縁側に一面16aから他面16bに貫通し、誘導電極部11の連結部14を挿通するための誘導電極挿通孔30が形成されている。
【0054】
さらに、第2流路形成用部材16には、誘導電極部11を固定支持するための電極固定部31が着脱可能に取り付けて具備されている。本実施形態において、この電極固定部31は、例えば塩化ビニル樹脂などの絶縁材を用いて略L字状に形成され、第2流路形成用部材16の他面16bに一端を接続し、他端を中心軸線O2側に向けて配設されている。また、本実施形態では、3つの電極固定部31が第2流路形成用部材16に取り付けられており、これら電極固定部31は、第2流路形成用部材16の中心軸線O2を中心として周方向に等間隔で配設されている。また、各電極固定部31は、他端に誘導電極部11の電極本体部13を係合させて保持するための係合凹部31aが形成されている。
【0055】
噴出ノズル17は、略円盤状に形成されるとともに、中央に水W2が流通するとともに先端から霧状に噴出させるためのノズル孔17aが形成されている。また、噴出ノズル17は、後端側に外面から径方向外側に突出し、周方向に延びて環状に繋がるフランジ部17bが設けられている。
【0056】
ここで、例えば、本実施形態の噴出ノズル17では、
図3に示すように、ノズル孔17aに加圧供給された水(供給水)W2が流通すると、先端側から水W2が旋回しながら噴出する。そして、ノズル孔17aから外側に略棒状を呈するように噴出した水W2が、旋回の運動エネルギーによって徐々にラッパ状に拡がってゆき、水W2の噴出中心軸O3方向のある位置で分裂して水粒子(水粒子群)W1となる。これにより、噴出ノズル17から水W1(W2)が霧状に噴出する。そして、本実施形態では、旋回の運動エネルギーによって水W2が分裂して水粒子W1となる位置が分裂帯電部Sとされている。
【0057】
次に、噴出ノズル取付用部材18は、略円筒状に形成され、先端側の内孔の径を噴出ノズル17の外径と略同等にし、後端側の内孔の径を第2流路形成用部材16の噴出ノズル取付部24の外径と略同等にして形成されている。また、噴出ノズル取付用部材18は、後端側の内孔の内面に雌ネジ33の螺刻が施されている。
【0058】
そして、本実施形態の帯電水粒子生成手段3を一体に組み付けて形成する際には、まず、第1流路形成用部材15と第2流路形成用部材16のシール材取付用凹部22、27、28にOリング(シール材)34を嵌め込んで取り付けるとともに、円筒状の水側電極部12の一端部側を第2流路形成用部材16の水側電極保持部26に嵌合させる。
【0059】
次に、第1流路形成用部材15の水側電極保持部21に水側電極部12の他端部側を嵌合させながら、第1流路形成用部材15の他面15bと第2流路形成用部材16の一面16aとが面接触するように、且つ互いの中心軸線O1、O2が同軸上に配されるように、第1流路形成用部材15を取り付ける。そして、このように第1流路形成用部材15と第2流路形成用部材16を配置すると、第1流路形成用部材15のネジボルト挿通孔23と第2流路形成用部材16の雌ネジ孔29が連通する。このネジボルト挿通孔23に挿通しつつネジボルト(不図示)を雌ネジ孔29に螺合させて締結することで、第1流路形成用部材15と第2流路形成用部材16とが分離可能に一体となる。これにより、第1流路形成用部材15の配管接続部20の端面から第2流路形成用部材16の噴出ノズル取付部24の端面に連通する水流通孔(水流通路)19が形成され、この水流通孔19内の所定位置に水側電極部12が配設される。
【0060】
次に、第2流路形成用部材16の噴出ノズル取付部24の雄ネジ25に、後端側の雌ネジ33を螺合させて噴出ノズル取付用部材18を第2流路形成用部材16の噴出ノズル取付部24に取り付ける。このとき、噴出ノズル取付用部材18の先端面に開口する内孔に噴出ノズル17を嵌め込み、噴出ノズル17のフランジ部17bを挟み込むようにして噴出ノズル取付用部材18を噴出ノズル取付部24に取り付ける。これにより、噴出ノズル17が水流通孔19の先端部分の所定位置に着脱可能に固定して取り付けられる。
【0061】
次に、3つの電極固定部31を第2流路形成用部材16に取り付ける。このとき、第2流路形成用部材16の誘導電極挿通孔30に連結部14を挿通した状態の誘導電極部11の電極本体部13を、各電極固定部31の他端の係合凹部31aに係合させる。これにより、誘導電極部11が3つの電極固定部31で固定して支持され、このように誘導電極部11を取り付けるとともに、リング状の電極本体部13が噴出ノズル17に対して所定の間隔をあけて配され、且つその中心位置が噴出ノズル17のノズル孔17a、及び水流通孔19と同軸上に配される。
【0062】
さらに、第1流路形成用部材15の配管接続部20に分岐管35を接続する(
図1参照)。また、水側電極部12にアースケーブルを接続して接地させ、誘導電極部11の連結部14の導電部材(電極11a)に電圧印加ケーブル(電圧印加用ライン)36を接続し、この電圧印加ケーブル36を介して誘導電極部11を電源37に接続する(
図4参照)。
【0063】
そして、上記のように構成した本実施形態の帯電水粒子生成手段3においては、ポンプユニットを駆動すると、例えば1Mpa程度の圧力で、配管を通じて噴出ノズル部10の水流通孔19に水W2が加圧供給され、噴出ノズル17のノズル孔17aから噴出する。
【0064】
また、水側電極部12がアースケーブルで接地され、誘導電極部11に対し例えば数kV〜数十kV程度の直流(交流またはパルス状)の所定の電圧を印加すると、電極本体部13の周囲に所定の外部電界が形成される。そして、ノズル孔17aから噴出した水W2が分裂帯電部Sで分裂分離して水粒子(水粒子群)W1が生成されるとともに、水粒子W1が電界によって帯電し、帯電水粒子(帯電水粒子群)W1として噴出する。ちなみに、誘導電極部11に直流電圧を印加した場合には、誘導電極部11の極性に応じて、正電荷と負電荷のいずれか一方の電荷で帯電した帯電水粒子W1が生成される。また、交流、パルス状で電圧を印加すると、交互に切り替わる誘導電極部11の極性に応じ、選択的に正電荷あるいは負電荷で帯電した帯電水粒子W1が生成される。すなわち、適宜選択的に、正に帯電した帯電水粒子W1、負に帯電した帯電水粒子W1を生成することができる。
【0065】
さらに、このとき、本実施形態の帯電水粒子生成手段3では、帯電水粒子W1を生成する際に印加する電圧を−20kV〜20kVの範囲にする。この印加電圧は、−20kV〜20kVの範囲の所定の一定電圧としてもよいし、−20kV〜20kVの範囲で変動させてもよい。そして、このように印加電圧を−20kV〜20kVの範囲にすると、コロナ放電が発生することが防止され、安全を確保しながら帯電水粒子W1の生成が行なえる。
【0066】
また、本実施形態の帯電水粒子生成手段3では、帯電水粒子生成手段3で生成する水粒子W1の粒径が100μmよりも小さいと、この水粒子W1を帯電させて生成した帯電水粒子W1が蒸発しやすくなる。また、生成する水粒子W1の粒径が300μmよりも大きいと、帯電水粒子生成手段3で水粒子W1を帯電させて生成し噴出する帯電水粒子W1の数が少なくなる。そして、本実施形態の帯電水粒子生成手段3では、粒径が100〜300μmの水粒子W1を生成するように構成され、ポンプユニットから1Mpa程度の圧力で水W2を加圧供給すると、粒径が200μm程度の帯電水粒子W1が生成される。
【0067】
さらに、本実施形態の帯電水粒子生成手段3では、1〜2L/minの帯電水粒子W1を生成する。ここで、
図5は、帯電水粒子生成手段3による帯電水粒子W1の散布水量(≒帯電水粒子生成手段3への給水量)と、生成した帯電水粒子W1の比電荷の関係を示している。そして、この
図5に示す通り、散布水量を1〜2L/minにすると、ある程度必要な散布水量が確保され、さらに、生成される帯電水粒子W1の比電荷が0.1mC/kg以上となり、この大きな比電荷で確実に帯電水粒子W1を生成できることが確認されている。
【0068】
また、本実施形態の帯電水粒子生成手段3においては、誘導電極部11が電極11aを絶縁材11bで絶縁被覆して形成されているため、誘導電極部11に水が接触して短絡や電荷の中和が生じるようなことがなく、安全を確保し、好適に帯電水粒子W1の生成が行なえる。
【0069】
さらに、表1は、噴出流量(散布水量)を1L/minとし、誘導電極部11で印加する印加電圧を+5kVとし、絶縁被覆を設けずに誘導電極部11を形成したケースと、各種絶縁材11bで絶縁被覆して誘導電極部11を形成したケースで、帯電水粒子W1の比電荷を計測した結果を示している。この結果から、絶縁材11bとしてポリアミド合成樹脂(ナイロン:登録商標)、ポリエチレン樹脂を用いると、絶縁被覆を設けずに形成したケースと比較し、大幅に比電荷が小さくなることが確認された。
【0070】
これに対し、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)、ウレタン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、ポリクロロトリフルオロエチレン樹脂、アルミナセラミックス、ガラス琺瑯を絶縁材11bとして用いると、絶縁被覆を設けずに形成したケースと同等、あるいはそれ以上の比電荷で帯電水粒子W1が生成されることが確認された。このことから、本実施形態の帯電水粒子生成手段3においては、このようなポリ塩化ビニル樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)、ウレタン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、ポリクロロトリフルオロエチレン樹脂、アルミナセラミックス、ガラス琺瑯の少なくとも1種を絶縁材7bとして用いて誘導電極部11を形成することで、短絡や電荷の中和を防止しつつ、好適に帯電水粒子W1の生成が行える。
【0072】
次に、本実施形態の帯電水粒子散布装置Aにおいては、
図1に示すように、上記構成からなる帯電水粒子生成手段3が、支持構造体1の上部の架設支持部6に取り付けられている。このとき、複数の帯電水粒子生成手段3は、架設支持部6の延設方向に所定の間隔をあけて並設されるとともに、それぞれ、噴出軸O3を下方に向けて配設されている。さらに、各帯電水粒子生成手段3は、噴出軸O3の方向を適宜調整可能に架設支持部6に支持されていることが望ましい。
【0073】
また、隣り合う帯電水粒子生成手段3の間隔がある程度狭くして配設する場合、複数の帯電水粒子生成手段3は、
図1及び
図3に示すように、各帯電水粒子生成手段3の噴出軸O3に直交する仮想的な同一平面H上に配して設けられていることが望ましい。
【0074】
また、支持構造体1の架設支持部6には、分岐管35(帯電水粒子生成用の給水ライン)が着脱可能に取り付けられており、この分岐管35が複数の帯電水粒子生成手段3の配管接続部20に接続されている。また、分岐管35には、給水源の給水車38に繋がる給水管39あるいは給水源の給水タンクなどに繋がる給水管40が着脱可能に接続されている。これにより、ポンプユニットの駆動とともに、給水管39(40)から分岐管35、分岐管35から各帯電水粒子生成手段3の水流通孔19に水W2が供給される。
【0075】
さらに、本実施形態の帯電水粒子散布装置Aにおいては、
図4に示すように、複数の帯電水粒子生成手段3がそれぞれ、一対の水側電極部12と誘導電極部11を備えて構成されるとともに、各帯電水粒子生成手段3の誘導電極部11と電源37とを繋ぐ各電圧印加ケーブル36に、電流制限手段41が設けられている。なお、本実施形態では、支持構造体1に、電圧印加ケーブル36やアースケーブルの帯電水粒子生成用の配線が予め着脱可能に取り付けて設けられている。
【0076】
また、電流制限手段41は、特に限定を必要とせず、例えば、
図4のように電流制限抵抗を用いたり、トランジスタやMOSFETのような3端子の能動素子を用いた電流制限回路で構成したり、定電流ダイオードを用いるなどして適宜構成すればよい。
【0077】
そして、上記構成からなる本実施形態の帯電水粒子散布装置Aにおいては、折り畳まれてコンパクトな状態の支持構造体1を、ヒンジ構造8で支柱部4、5を回動して伸ばし、門型に展開して立設する。このとき、各支柱部4、5の下端側に走行ローラ7が設けられているため、門型に展開した支持構造体1は、作業員が押すなどして容易に所望の位置まで移動させることができる。
【0078】
支持構造体1を所定の位置に移動した段階で、架設支持部6に取り付けられた分岐管35に給水管39(40)を接続し、各帯電水粒子生成手段3の誘導電極部11に所定の電圧を印加する。これにより、ポンプユニットを駆動すると、複数の帯電水粒子生成手段3のそれぞれの噴出ノズル部10の水流通孔19に水W2が加圧供給され、帯電水粒子W1が噴出する。また、複数の帯電水粒子生成手段3から噴出された帯電水粒子W1が上方から下方に落下することで、帯電水幕2が形成される。
【0079】
この帯電水幕2の形成領域内の空気中に浮遊した粉塵(粒子)が帯電水粒子W1に電気的に吸着して捕捉され、帯電水粒子W1とともに落下する。また、支持構造体1を移動させることで、粉塵発生源などの粉塵発生抑止対象の位置に比較的容易に帯電水粒子生成手段3が配置できる。そして、この粉塵発生抑止対象を帯電水幕2の帯電水粒子W1で濡らすように支持構造体1及び帯電水粒子生成手段3を配置すれば、帯電水粒子W1で電気的に捕捉して粉塵発生抑止対象から粉塵が発生すること自体が抑止される。
【0080】
したがって、本実施形態の帯電水粒子散布装置Aにおいては、帯電水粒子生成手段3によって生成して噴出した帯電水粒子W1が上方から下方に落下することにより、この帯電水粒子W1からなる帯電水幕2を形成することができる。そして、このように帯電水幕2を形成すると、帯電水幕2の形成領域内の空気中に浮遊した粉塵を帯電水粒子W1に電気的に吸着させて捕捉することができ、帯電水粒子W1とともに粉塵を落下させて空気中から除去することが可能になる。すなわち、帯電水粒子W1と粉塵との間に作用するクーロン力及び/グラディエント力の作用によって粉塵を補足することができる。
【0081】
また、粉塵発生源などの粉塵発生抑止対象を帯電水幕2の帯電水粒子W1で濡らすようにすると、粉塵発生抑止対象から粉塵が発生することを抑止することができる。すなわち、粉塵発生抑止対象の近傍周辺に達した帯電水粒子W1と粉塵発生抑止対象との間に作用するクーロン力により、帯電水粒子W1が粉塵発生抑止対象を覆うように引き寄せられ、粉塵発生抑止対象を効果的に濡らすことになる。なお、空気中に浮遊して落下中の帯電水粒子W1間には斥力が働くので、帯電水粒子W1同士が会合して粒子径が大きくなったり粒子の数が減少したりすることが抑止される。
【0082】
よって、本実施形態の帯電水粒子散布装置Aによれば、単なる水粒子を散布する場合と比較し、帯電水粒子W1で粉塵を効率的に捕捉して除去することが可能になるとともに、帯電した水粒子W1を散布するため、界面活性剤を含む薬液水溶液を噴霧する場合のように界面活性剤などの薬液成分が残存して地面が滑りやすくなるなどの不都合を招くおそれもなく、好適に粉塵の除去、粉塵の発生抑止を行なうことが可能になる。
【0083】
また、本実施形態の帯電水粒子散布装置Aにおいては、支柱部4、5の下端側に設けられた走行ローラ7によって支持構造体1が自ら移動可能に構成され、この支持構造体1を移動させ、粉塵発生源などに支持構造体1とともに帯電水粒子生成手段3を移動、配置して、効率的に粉塵の除去、粉塵の発生抑止を行なうことが可能になる。
【0084】
また、帯電水粒子生成手段3を取り付けて支持する支持構造体1が自ら移動可能に構成、あるいは移動体に一体ないし着脱可能に設けられているため、任意の位置に移動して粉塵の除去、粉塵発生の抑止を行なうことができる。
【0085】
さらに、門型構造の支持構造体1の上部に噴出ノズル17を配置して複数の帯電水粒子生成手段3が設けられているため、門型構造の支持構造体1を移動し、噴出ノズル17から帯電水粒子W1を噴出させることで、確実且つ容易に、任意の位置に帯電水幕2を形成することができる。
【0086】
また、支持構造体1に帯電水粒子生成用の給水ライン及び配線(分岐管35及び電圧印加ケーブル36やアースケーブル)が設けられているため、任意の位置に支持構造体1ひいては帯電水粒子生成手段3を移動し、支持構造体1に設けられた給水ラインと配線にそれぞれ給水源と電源を接続することで、容易に帯電水幕2を形成することが可能になる。これにより、効率的に粉塵の除去、粉塵の発生抑止を行なうことができる。
【0087】
さらに、支持構造体1が折り畳み可能に構成されていることで、移設、展開、撤去、収納などを容易に行なえ、取扱性や保管性に優れた支持構造体1にすることができる。
【0088】
また、本実施形態のように複数の帯電水粒子生成手段3を備えて帯電水粒子散布装置Aを構成した場合において、基準電位を与える水側電極部12を複数の帯電水粒子生成手段3で共通の1つにすると(複数の帯電水粒子生成手段3で水側電極部12を供用すると)、各帯電水粒子生成手段3で生成される帯電水粒子W1の帯電効率が低下してしまう。
これに対し、本実施形態では、各帯電水粒子生成手段3が水側電極部12を具備するようにしている。このため、確実に所望の比電荷の帯電水粒子W1を生成することができ、これにより、確実且つ効率的に、空気中に浮遊した粉塵の除去、粉塵の発生抑止を行なうことが可能になる。
【0089】
さらに、帯電水粒子生成手段3は、粒径が100〜300μmの水粒子W1を生成するように構成されているため、この水粒子W1を帯電させた後の帯電水粒子W1が蒸発したり、帯電水粒子生成手段3で生成して噴出する帯電水粒子W1の数が少なくなることがない。これにより、帯電水粒子生成手段3によって粒径が100〜300μmの水粒子W1を生成することで、ひいては、粒径が300μm以下であってクーロン力の作用によりさらに細かく分裂した様々な粒子径の帯電水粒子W1が生成されることで、さらに確実且つ効果的に、空気中に浮遊した粉塵の除去、粉塵の発生抑止を行なうことが可能になる。
【0090】
また、帯電水粒子生成手段3において、誘導帯電方式によって帯電水粒子W1を生成する際に印加する電圧を−20kV〜20kVの範囲にすることで、コロナ放電が発生することを防止できる。
【0091】
ここで、複数の帯電水粒子生成手段3を一方向の異なる位置にずれて配設した場合には、一方向の後方に配設された帯電水粒子生成手段3の誘導電極部11が形成する電界が、一方向の前方の帯電水粒子生成手段3の誘導電極部11が形成する電界に干渉し、好適に帯電水粒子W1を生成することができ難くなるおそれがある。
【0092】
これに対し、本実施形態では、複数の帯電水粒子生成手段3が一方向に直交する仮想的な同一平面H上に配設されていることにより、言い換えれば、水粒子W1を電界によって帯電させて帯電水粒子W1にするための各帯電水粒子生成手段3の誘導電極部11の位置が一方向の同位置に配されていることにより、例えば隣り合う一方の帯電水粒子生成手段3の誘導電極部11で形成した電界が、他方の帯電水粒子生成手段3に影響し、この他方の帯電水粒子生成手段3で好適に帯電水粒子W1を生成することができ難くなることを防止できる。
【0093】
また、水粒子W1を帯電させるために高電圧が印加される誘導電極部11を、電極11aを絶縁被覆して形成することで、電気的短絡や放電の発生を防止することができる。
【0094】
また、このとき、水粒子W1を帯電させるための誘導電極部11の電極11aを絶縁被覆する絶縁材11bとして、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ウレタン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、ポリクロロトリフルオロエチレン樹脂、セラミックス、琺瑯を用いることにより、絶縁被覆していない電極11aによって生成した帯電水粒子W1に対し、同等あるいはそれ以上の比電荷の帯電水粒子W1を生成することが可能になる。
【0095】
さらに、本実施形態のように複数の帯電水粒子生成手段3を備え、1つの電源37によって複数の帯電水粒子生成手段3の誘導電極部11に電圧を印加するように帯電水粒子散布装置Aを構成した場合であっても、複数の帯電水粒子生成手段3の誘導電極部11と電源37とを繋ぐ複数の電圧印加用ライン36にそれぞれ、電流制限手段41を設けておくことにより、1つの帯電水粒子生成手段3で短絡が発生しても、他の帯電水粒子生成手段3に流れる電流を制限することができ、他の帯電水粒子生成手段3で短絡が生じることを防ぐことができる。
【0096】
また、帯電水粒子生成手段3によって1〜2L/minの帯電水粒子W1を生成することで、ある程度必要な帯電水粒子W1の給水量(散布水量)を確保しつつ、0.1mC/kg以上の高比電荷の帯電水粒子W1を安定的に生成することができ、確実且つ効果的に、空気中に浮遊した粉塵の除去、粉塵の発生抑止を行なうことが可能になる。
【0097】
以上、本発明に係る帯電水粒子散布装置の一実施形態について説明したが、本発明は上記の一実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0098】
例えば、本実施形態では、解体現場やトンネル掘削現場、廃棄物処分場等で発生する粉塵の除去、粉塵の発生抑止を本発明に係る帯電水粒子散布装置Aを用いて行なうように説明を行ったが、本発明に係る帯電水粒子散布装置は、勿論、トンネル掘削工事や解体工事に限らず、空気中に浮遊する粉塵の除去、粉塵の飛散防止を必要とするあらゆるケースに適用可能である。例えば、汚染土壌の掘削除去・浄化工事やアスベスト含有材の除去工事等、有害物質を含む粉塵の飛散を防止するために適用してもよい。また、アスベストのような針状で非常に飛散性の高い物質(粉塵)は、帯電水粒子W1にクーロン力及びグラディエント力で吸着しやすく、本発明を適用することで格別顕著な効果を得ることができうる。
【0099】
また、本実施形態では、支持構造体1が、門型構造で構成されるとともに、支柱部4、5の下端側に走行ローラ7を備えて自ら移動可能に構成されているものとしたが、支持構造体1が、例えば、
図6や
図7に示す不整地走行車42や高所作業車43などの移動体(走行車両)や、
図8に示す簡易台車44などの移動体に、一体あるいは着脱可能に搭載されていてもよく、この場合には、移動体42、43、44によって支持構造体1とともに帯電水粒子生成手段3を任意の位置に容易に移動、配置することができ、さらに効率的に粉塵の除去、粉塵の発生抑止を行なうことが可能になる。
【0100】
また、帯電水粒子散布装置Aは、例えば
図8に示すように、支持構造体1を片持ち構造(片持ち梁構造)とし、その先端側の上部に帯電水粒子生成手段3(噴出ノズル17)を配置して構成するようにしてもよい。さらに、例えば
図8に示すように、片持ち構造の支持構造体1をテレスコ式の伸縮ポールで構成したり、給水ライン40、35(や配線)の巻き取り装置45を設け、この巻き取り装置45によって支持構造体1に取り付けた給水ライン40、35や配線を巻き取り(繰出し)可能に構成したり、上下動ダンパー46などによって帯電水粒子生成手段3(噴出ノズル17)を上下に移動可能に構成してもよい。また、勿論、片持ち構造の支持構造体1の上部に複数の帯電水粒子生成手段3の噴出ノズル17を配設するようにしてもよく、このとき、複数の噴出ノズル17を同心円上に配設(円周上に並設)して、所望の位置に集中的に且つ確実に帯電水粒子W1を散布できるようにしてもよい。
【0101】
さらに、本実施形態のように門型の支持構造体1の架設支持部6に支持させた複数の帯電水粒子生成手段3を、例えば架設支持部6の延設方向に、スライド移動可能に設けるようにしてもよい。この場合においても、複数の帯電水粒子生成手段3の位置を適宜調整し、所望の位置に集中的に且つ確実に帯電水粒子W1を散布することが可能になる。
【0102】
また、送風機を設け、帯電水粒子生成手段3で生成して噴出した帯電水粒子W1を送風機で生成した空気流にのせて搬送させるようにしてもよい。この場合には、空気流の向きによって、帯電水粒子生成手段3で生成して噴出した帯電水粒子W1の散布方向を設定することができ、また、遠距離まで帯電水粒子W1を搬送することができ、やはり所望の位置に集中的に且つ確実に帯電水粒子W1を散布することが可能になる。