特許第5890245号(P5890245)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5890245
(24)【登録日】2016年2月26日
(45)【発行日】2016年3月22日
(54)【発明の名称】手押し車
(51)【国際特許分類】
   B62B 5/04 20060101AFI20160308BHJP
【FI】
   B62B5/04 A
【請求項の数】6
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2012-106637(P2012-106637)
(22)【出願日】2012年5月8日
(65)【公開番号】特開2013-233840(P2013-233840A)
(43)【公開日】2013年11月21日
【審査請求日】2015年4月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】594159456
【氏名又は名称】株式会社マキテック
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(72)【発明者】
【氏名】大野 裕幸
【審査官】 林 政道
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−160994(JP,A)
【文献】 特開2005−306143(JP,A)
【文献】 特開2006−282038(JP,A)
【文献】 特開2004−136715(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62B 5/04
A61H 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部の下部に設けられた複数の車輪と、
前記本体部における進行方向前方に設けられ、使用者が着座可能な座部と、
前記本体部の下部に設けられ、前記複数の車輪の回転を許容する走行状態と、当該車輪の少なくとも1つを回転不能とするロック状態とに切り替えられるロック部材と、
前記本体部における座部の上方に設けられ、前記ロック部材を走行状態に切り替える走行位置と、当該ロック部材をロック状態に切り替えるロック位置とに位置変位するよう構成された操作部材と、
前記本体部における座部の上方に設けられ、当該本体部に対して進行方向前方へ突出した走行姿勢と、当該本体部に対する進行方向前方への突出量が走行姿勢に較べて少ないロック姿勢とに姿勢変化するよう構成されたストッパー部材と、
前記ストッパー部材に設けられ、当該ストッパー部材が走行姿勢にある場合に前記走行位置の操作部材に係合し、当該操作部材を走行位置に保持する第1係合部と、
前記ストッパー部材に設けられ、当該ストッパー部材がロック姿勢にある場合に前記ロック位置の操作部材に係合し、当該操作部材をロック位置に保持する第2係合部と、
前記ストッパー部材に設けられ、前記操作部材を走行位置に位置させた状態で前記走行姿勢にあるストッパー部材に前記ロック姿勢へ姿勢変化する側への外力が付与された際に、前記第1係合部に係合した操作部材を当該第1係合部との係合を解除する方向へ押圧して、ストッパー部材が走行姿勢からロック姿勢に姿勢変化するのを許容する一方、前記操作部材をロック位置に位置させた状態で前記ロック姿勢にあるストッパー部材に前記走行姿勢へ姿勢変化する側への外力が付与された際に、前記第2係合部に係合した操作部材と干渉して、ストッパー部材がロック姿勢から走行姿勢に姿勢変化するのを阻止する規制部と、
を備えていることを特徴とする手押し車。
【請求項2】
前記本体部には、作動時に前記車輪の少なくとも1つに制動力を付与するブレーキが設けられ、
前記操作部材は、前記ブレーキを作動させる制動位置に位置変位するよう構成され、
前記制動位置の操作部材は、前記ストッパー部材がロック姿勢から走行姿勢に姿勢変化する際の前記規制部に干渉しない位置に退避して、当該ストッパー部材がロック姿勢から走行姿勢に姿勢変化するのを許容するよう構成されている請求項1記載の手押し車。
【請求項3】
前記ストッパー部材をロック姿勢から走行姿勢に姿勢変化する方向へ付勢する付勢部材を備え、
前記操作部材をロック位置から制動位置に変位させた際に、前記ストッパー部材が付勢部材の付勢力によりロック姿勢から走行姿勢に姿勢変化するよう構成された請求項2記載の手押し車。
【請求項4】
前記ストッパー部材は、前記進行方向の前後に離間する一対の壁部を備え、
前記操作部材は、走行位置、ロック位置および制動位置の何れの場合においても、前記一対の壁部の間に位置するよう構成されている請求項2または3記載の手押し車。
【請求項5】
前記第1係合部は、前記一対の壁部の間に形成されて、前記操作部材を保持可能な凹部であり、
前記第2係合部は、前記一対の壁部の間における前記第1係合部よりも前側に形成されて、前記操作部材を保持可能な凹部であり、
前記規制部は、第1係合部および第2係合部の間に連続して形成された凸部であり、
前記第1係合部は、前記ストッパー部材が走行姿勢からロック姿勢へ姿勢変化する側へ外力が付与された際に、当該第1係合部に保持された前記操作部材が前記規制部を乗り越え得る深さに設定され、
前記第2係合部は、前記ストッパー部材がロック姿勢から走行姿勢へ姿勢変化する側へ外力が付与された際に、当該第2係合部に保持された前記操作部材が前記規制部を乗り越え不能となる深さに設定されている請求項4記載の手押し車。
【請求項6】
前記本体部は、前記座部の進行方向後方を上下方向に延在する左右一対の本体フレームを備え、前記ストッパー部材は、前記両本体フレームの間に位置して、前記進行方向に交差する方向の回動軸を介して回動自在に構成され、前記走行姿勢のストッパー部材は、前記一対の壁部側が本体フレームに対して進行方向前方へ突出するよう構成されている請求項5記載の手押し車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば高齢者等の身体を支持しつつ歩行を補助すると共に、着座可能な座部を備えた手押し車に関するものである。
【背景技術】
【0002】
高齢者などといった足腰の弱い人が買い物や散歩などを行う場合において安全に歩行するための補助具として、手押し車が知られている(特許文献1参照)。当該手押し車は、前後の脚部に車輪を備えると共に、本体フレームの上端部分にハンドル枠を備えている。使用者はハンドル枠を握り、身体を支えながら当該ハンドル枠を押し操作することで、手押し車に身体を支持された状態で安全に歩行することが可能となる。
【0003】
また、本体フレームの前側に座部が設けられ、使用者が歩行の途中で疲れた場合などに、椅子の代わりとして座部に着座して休憩することができる手押し車も提案されている。この手押し車には、ハンドル枠の下方に当該ハンドル枠と平行に延在する操作棒が設けられている。この操作棒は、本体フレームに回動自在に設けられており、使用者が当該操作棒を回動操作することで、ブレーキを作動させて車輪を制動し得るようになっている。更に、手押し車は、車輪の回転をロックし得るロック部材を備えており、前記操作棒を回動操作することで、ロック部材をロック状態およびフリー状態に切り替え得るよう構成されている。
【0004】
また、特許文献1の手押し車は、ハンドル枠における操作棒に近接する位置に、ストッパー部材が設けられている。このストッパー部材は、前記ハンドル枠に回動自在に設けられて、ロック部材をロック状態とする位置に操作棒を保持するロック姿勢と、当該ロック部材をフリー状態とする位置に操作棒を保持する走行姿勢とに姿勢変化するようになっている。すなわち、手押し車の走行時には、ストッパー部材を走行姿勢にしてロック部材をフリー状態とし、車輪の回転を可能とする。一方、手押し車の不使用時や、使用者が座部に着座する際には、ストッパー部材をロック姿勢に回動操作して、手押し車を移動不能にするようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−160994号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、特許文献1の手押し車では、ストッパー部材をロック姿勢とした場合に、当該ストッパー部材が本体フレーム(ハンドル枠)から進行方向前方へ突出した状態となる。このため、ストッパー部材をロック姿勢とした状態で、使用者が座部に着座すると、本体フレームから突出したストッパー部材に使用者の背中が接触して、使用者が不快な思いをすることがある。また、使用者の荷重がロック姿勢のストッパー部材に掛かり易くなり、当該荷重によってストッパー部材や操作棒が破損したり、不具合を起こし易くなる難点がある。
【0007】
更に、着座した使用者の背中がストッパー部材に接触すると、ストッパー部材がロック姿勢から走行姿勢へ姿勢変化する方向へ付勢されることになる。このため、ストッパー部材がロック姿勢から走行姿勢へ不意に姿勢変化するのを防止するため、使用者からの負荷に耐え得るようにストッパー部材を強固に固定する必要が生じる。そのため、ストッパー部材の固定強度を高める必要があり、コストが嵩む要因となる。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、座部への着座時に不快な思いをすることがなく、また、コストが高まることなく安全性を向上し得る手押し車を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以下、上記課題を解決するための手段、及びその作用効果について記載する。
【0010】
第1の手押し車:本体部の下部に設けられた複数の車輪と、前記本体部における進行方向前方に設けられ、使用者が着座可能な座部と、前記本体部の下部に設けられ、前記複数の車輪の回転を許容する走行状態と、当該車輪の少なくとも1つを回転不能とするロック状態とに切り替えられるロック部材と、前記本体部における座部の上方に設けられ、前記ロック部材を走行状態に切り替える走行位置と、当該ロック部材をロック状態に切り替えるロック位置とに位置変位するよう構成された操作部材と、前記本体部における座部の上方に設けられ、当該本体部に対して進行方向前方へ突出した走行姿勢と、当該本体部に対する進行方向前方への突出量が走行姿勢に較べて少ないロック姿勢とに姿勢変化するよう構成されたストッパー部材と、前記ストッパー部材に設けられ、当該ストッパー部材が走行姿勢にある場合に前記走行位置の操作部材に係合し、当該操作部材を走行位置に保持する第1係合部と、前記ストッパー部材に設けられ、当該ストッパー部材がロック姿勢にある場合に前記ロック位置の操作部材に係合し、当該操作部材をロック位置に保持する第2係合部と、前記ストッパー部材に設けられ、前記操作部材を走行位置に位置させた状態で前記走行姿勢にあるストッパー部材に前記ロック姿勢へ姿勢変化する側への外力が付与された際に、前記第1係合部に係合した操作部材を当該第1係合部との係合を解除する方向へ押圧して、ストッパー部材が走行姿勢からロック姿勢に姿勢変化するのを許容する一方、前記操作部材をロック位置に位置させた状態で前記ロック姿勢にあるストッパー部材に前記走行姿勢へ姿勢変化する側への外力が付与された際に、前記第2係合部に係合した操作部材と干渉して、ストッパー部材がロック姿勢から走行姿勢に姿勢変化するのを阻止する規制部と、を備えていることを特徴とする。
【0011】
第1の手押し車によれば、ロック姿勢のストッパー部材は、走行姿勢の場合に較べて本体部からの進行方向前方への突出量が少なくなる。従って、手押し車を走行不能とした状態で、使用者が座部に着座した際に、使用者の背中がロック姿勢のストッパー部材に接触し難くなり、着座中に不快な思いをする機会を少なくし得る。しかも、ロック姿勢のストッパー部材に着座した使用者の負荷が掛かり難くなるから、ストッパー部材や操作部材に掛かる荷重が抑制される。これにより、ストッパー部材や操作部材が変形したり、破損したりし難くなり、製品寿命を伸ばすことができる。また、ロック姿勢にあるストッパー部材に対し使用者からの負荷が掛かり難くなるから、ストッパー部材がロック姿勢から走行姿勢に変化しないようにするための強度が従来ほど求められず、製品コストを抑えることができる。
【0012】
ここで、仮に、着座した使用者がロック姿勢にあるストッパー部材に接触したとしても、使用者からストッパー部材に掛かる負荷は、進行方向前方から進行方向後方に向けて作用することになる。すなわち、使用者からストッパー部材に掛かる負荷は、当該ストッパー部材をロック姿勢から走行姿勢に姿勢変化させる方向とは対向する方向となる。従って、着座した使用者がロック姿勢にあるストッパー部材に接触したとしても、ストッパー部材がロック姿勢から走行姿勢に姿勢変化する事態を回避することができ、安全性を高め得る。
【0013】
一方、走行姿勢にあるストッパー部材がロック姿勢に姿勢変化する方向へ付勢された際に、規制部は操作部材を第1係合部との係合を解除するよう作用するから、ストッパー部材がロック姿勢に姿勢変化するのは許容される。従って、操作部材が第1係合部に係合した状態のままストッパー部材をロック姿勢に容易に姿勢変化することができる。しかも、走行姿勢のストッパー部材は、本体部から進行方向前方へ突出した姿勢となるから、仮に、使用者がストッパー部材を走行姿勢とした状態で座部に着座したとしても、使用者の背中がストッパー部材に接触して、ストッパー部材が押圧される。その結果、ストッパー部材が走行姿勢からロック姿勢に姿勢変化して、ロック部材がロック状態に切り替えられ、使用者が着座した状態で手押し車が動き出すといった事態を回避できる。
【0014】
ロック姿勢にあるストッパー部材を走行姿勢に姿勢変化するよう付勢しても、規制部が第2係合部と干渉してストッパー部材が走行姿勢となるのは阻止される。従って、ロック姿勢にあるストッパー部材に使用者が不意に触れたとしても、ストッパー部材がロック姿勢に姿勢変化するのは防止されるから安全である。
【0015】
第2の手押し車:前記本体部には、作動時に前記車輪の少なくとも1つに制動力を付与するブレーキが設けられ、前記操作部材は、前記ブレーキを作動させる制動位置に位置変位するよう構成され、前記制動位置の操作部材は、前記ストッパー部材がロック姿勢から走行姿勢に姿勢変化する際の前記規制部に干渉しない位置に退避して、当該ストッパー部材がロック姿勢から走行姿勢に姿勢変化するのを許容するよう構成されていることを特徴とする。
【0016】
第2の手押し車によれば、制動位置の操作部材は、ストッパー部材がロック姿勢から走行姿勢に姿勢変化する際の規制部に干渉しない位置に退避するから、ストッパー部材を走行姿勢に姿勢変化させることができる。換言すれば、ストッパー部材をロック姿勢から走行姿勢に姿勢変化させる際には、操作部材を制動位置に一旦位置させて車輪に制動力を付与した状態にする必要がある。そのため、ストッパー部材をロック姿勢から走行姿勢に姿勢変化した途端に走行車両が動き出すようなことはなく安全である。
【0017】
第3の手押し車:前記ストッパー部材をロック姿勢から走行姿勢に姿勢変化する方向へ付勢する付勢部材を備え、前記操作部材をロック位置から制動位置に変位させた際に、前記ストッパー部材が付勢部材の付勢力によりロック姿勢から走行姿勢に姿勢変化するよう構成されたことを特徴とする。
【0018】
第3の手押し車によれば、操作部材をロック位置から制動位置に変位させた際に、ストッパー部材がロック姿勢から走行姿勢に自動で姿勢変化するから、使用者がストッパー部材を走行姿勢に姿勢変化させる手間を省くことができる。
【0019】
第4の手押し車:前記ストッパー部材は、前記進行方向の前後に離間する一対の壁部を備え、前記操作部材は、走行位置、ロック位置および制動位置の何れの場合においても、前記一対の壁部の間に位置するよう構成されていることを特徴とする。
【0020】
第4の手押し車によれば、操作部材は、何れの位置にあってもストッパー部材の両壁部の間に位置するから、操作部材がストッパー部材から外れることはない。従って、例えば、操作部材を制動位置に姿勢変位した際に、当該操作部材がストッパー部材から外れてしまうようなことがなく、操作性を向上することができる。
【0021】
第5の手押し車:前記第1係合部は、前記一対の壁部の間に形成されて、前記操作部材を保持可能な凹部であり、前記第2係合部は、前記一対の壁部の間における前記第1係合部よりも前側に形成されて、前記操作部材を保持可能な凹部であり、前記規制部は、第1係合部および第2係合部の間に連続して形成された凸部であり、前記第1係合部は、前記ストッパー部材が走行姿勢からロック姿勢へ姿勢変化する側へ外力が付与された際に、当該第1係合部に保持された前記操作部材が前記規制部を乗り越え得る深さに設定され、前記第2係合部は、前記ストッパー部材がロック姿勢から走行姿勢へ姿勢変化する側へ外力が付与された際に、当該第2係合部に保持された前記操作部材が前記規制部を乗り越え不能となる深さに設定されていることを特徴とする。
【0022】
第5の手押し車によれば、第1係合部は、ストッパー部材が走行姿勢からロック姿勢へ姿勢変化する側へ外力が付与された際に、当該第1係合部に保持された操作部材が規制部を乗り越え得る深さに設定されている。これにより、第1係合部および操作部材の係合が解除されて、ストッパー部材をロック姿勢に姿勢変化させることができる。一方、第2係合部は、ストッパー部材がロック姿勢から走行姿勢へ姿勢変化する側へ外力が付与された際に、当該第2係合部に保持された操作部材が規制部を乗り越え不能となる深さに設定されている。これにより、第2係合部および操作部材の係合が解除されることはなく、ストッパー部材が走行位置からロック位置へ姿勢変化するのは阻止される。
【0023】
しかも、規制部を第1係合部および第2係合部に連続するよう形成したから、ストッパー部材を走行姿勢からロック姿勢に姿勢変化させる際に、操作部材が第1係合部に引っ掛かることなくスムーズに離脱した後、第2係合部に係合することができる。従って、ストッパー部材を走行姿勢からロック姿勢に容易に姿勢変化させることができるから、比較的力の弱い老人等の使用者であっても無理なくストッパー部材をロック姿勢とし得る。
【0024】
第6の手押し車:本体部は、前記座部の進行方向後方を上下方向に延在する左右一対の本体フレームを備え、前記ストッパー部材は、前記両本体フレームの間に位置して、前記進行方向に交差する方向の回動軸を介して回動自在に構成され、前記走行姿勢のストッパー部材は、前記一対の壁部側が本体フレームに対して進行方向前方へ突出するよう構成されていることを特徴とする。
【0025】
第6の手押し車によれば、走行姿勢のストッパー部材は、一対の壁部側が本体フレームから進行方向前方へ突出した姿勢となる。従って、ストッパー部材を走行姿勢とした状態で使用者が座部に着座した場合に、使用者の背中がストッパー部材に接触し易くなる。これにより、使用者の背中でストッパー部材が押圧されて、ストッパー部材がロック姿勢に姿勢変化されるから、使用者が座部に着座した際に手押し車が動き出すといった事態を回避し得る。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】実施形態に係る手押し車を斜め後方から見た斜視図。
図2図1をII−II矢視線から見た図であって、(a)はストッパー部材がロック姿勢、操作棒がロック位置にある状態を示し、(b)はストッパー部材が走行姿勢、操作棒が走行位置にある状態を示し、(c)は操作棒が制動位置にある状態を示す説明図。
図3図1をIII−III矢視線から見た説明図。
図4】後側車輪およびロック部材の構成を進行方向前側から見た説明図。
図5】(a)はストッパー部材における第2接続部に対向する側の側面図、および固定盤における第1接続部に対向する側の側面図、(b)はストッパー部材を柱状軸部に軸支した状態を示す縦断面図。
図6】ロック部材が状態変化する様子を示す説明図。
図7】(a)はストッパー部材が走行姿勢からロック姿勢に姿勢変化する際の規制突部の移動軌跡と走行位置の操作棒との位置関係を示す説明図、(b)はストッパー部材がロック姿勢から走行姿勢に姿勢変化する際の規制突部の移動軌跡とロック位置の操作棒との位置関係を示す説明図。
図8】変更例に係るストッパー部材および操作棒を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、実施形態に係る手押し車10について説明する。
【0028】
(手押し車10の全体構成について)
図1に示すように、手押し車10は、左右一対の本体フレーム12,12’と、各本体フレーム12,12’に組み付けられた左右一対のサブフレーム16,16’とを備えた本体部11を基本構成としている。また、本体部11は、両本体フレーム12,12’の上端部を連結して一体化する合成樹脂製のハンドル枠13を備えている。そして、高齢者などの手押し車10の使用者は、手押し車10の進行方向後方に立ち、前記ハンドル枠13を握って当該手押し車10を押すことで、手押し車10を前方(進行方向前方)へと走行させながら歩行することができる。これにより、使用者は、手押し車10に体重を預けながらの歩行が可能となる。なお、手押し車10を引くことで、手押し車10を後方へと走行させることも可能である。ハンドル枠13には、使用者により操作される操作棒(操作部材)17およびストッパー部材18が設けられている。ハンドル枠13、操作棒17およびストッパー部材18の具体的構成は後述する。
【0029】
本体フレーム12,12’は、金属部材で構成され、全体が上方から下方に向けて前方(手押し車10の進行方向前方)へ傾斜している。本体フレーム12,12’は、下側部分がより前方へと向かうように縦方向の途中位置にて屈曲部が形成されており、その前方へと向かった各前脚部12a,12a’の下端に前側車輪14が回転自在に設けられている。本実施形態では、前側車輪14は各前脚部12a,12a’に対して2個ずつ設けられているが、この数は任意である。なお、以下の説明では、左右一方(図1における右側)の本体フレーム12を第1本体フレーム12と、左右他方(図1における左側)の本体フレーム12’を第2本体フレーム12’とそれぞれ指称して、両者を区別する場合がある。また、第1本体フレーム12を構成する各部材の名称に「第1」を付すと共に、第2本体フレーム12’を構成する各部材の名称に「第2」を付して指称する場合がある。
【0030】
各本体フレーム12,12’の屈曲部には、対応するサブフレーム16,16’が組み付けられている。各サブフレーム16,16’は金属部材で構成され、図4に示すように、その下端部分には、外側(対向するサブフレーム16’,16とは反対側)へ突出する軸受部16aが設けられている。この軸受部16aには、後側車輪15が回転自在に軸支されており、後側車輪15は、対応するサブフレーム16,16’に対し外側へ所定間隔だけ離間している。
【0031】
図3に示すように、後側車輪15は、円盤状のホイール部15aの外周縁に合成樹脂製のタイヤ部15bが設けられて構成されている。ホイール部15aにおける内側部(対向する後側車輪15側の側部)には、当該ホイール部15aから軸方向へ突出する回転係合体19が形成されている。この回転係合体19は、後側車輪15の回転軸心から外径方向へ延出する複数の板状片19aから構成されている。複数の板状片19aは、等ピッチで放射状に配列されている。
【0032】
サブフレーム16,16’は、対応する本体フレーム12,12’の屈曲部から後方へ向けて下方傾斜となるように、その上端部分が各本体フレーム12,12’に接続されている。サブフレーム16,16’には、後述するロック部材20が配設されている。なお、以下の説明では、第1本体フレーム12に組み付けられたサブフレーム16(図1では右側)を第1サブフレーム16と指称し、第2本体フレーム12’に組み付けられたサブフレーム16’を第2サブフレーム16’と指称して、両者を区別する場合がある。
【0033】
図3に示すように、第1サブフレーム16の下端部には、後側斜め上方に突出する係止片16bが設けられており、該係止片16bに後述する第1弾性部材21の下端(一端)が連結されている。また、第1サブフレーム16における係止片16bよりも上方側には、後側斜め上方に延出する保持板部22が固定されており、該保持板部22に中空状のチューブ23の下端(一端)が固定されている。チューブ23の内部には、可撓性を有する金属製のワイヤ24が摺動自在に挿通されており、チューブ23の下端部からワイヤ24の下端部(一端部)側が導出している。
【0034】
本体フレーム12,12’における前記前脚部12a,12a’よりも上方部分をなすフレーム基部12b,12b’は、上方に向かうにつれて後方に傾斜した姿勢となっている。一対のフレーム基部12b,12b’の間には、該フレーム基部12b,12b’の下部側から前方へ延出するよう座部31が設けられている。この座部31は、上面が略水平面をなす矩形板状に形成されており、例えば、使用者が走行の途中で座部31に着座して休憩し得るようになっている。使用者が座部31に着座した状態で、前記フレーム基部12b,12b’やハンドル枠13が使用者の後方に位置し、これらの部材で使用者の背中を支持し得るようになっている。
【0035】
座部31における左右の縁部の前側には、金属製の支持フレーム48の一端が接続されている(図1に左右一方の支持フレーム48のみを図示)。支持フレーム48の他端は、前記前脚部12aの上端側に接続されており、使用者が座部31に着座した際の荷重を支持フレーム48で支持するようになっている。なお、座部31の下方には、上向きに開口した状態で収納バッグ28が設けられており、該収納バッグ28に使用者の荷物等を収納し得るようになっている。
【0036】
(ロック部材20について)
図4に示すように、前記ロック部材20は、第1サブフレーム16に回動自在に設けられた第1回動体25と、第2サブフレーム16’に回動自在に設けられた第2回動体26とから基本的に構成され、後側車輪15の回転を制御するものである。第1回動体25は、前記第1サブフレーム16および後側車輪15の間に位置するよう設けられている。図3に示すように、第1回動体25は、矩形薄板状に形成されて長手方向の略中央部が第1サブフレーム16に軸支された本体板部27と、該本体板部27の長手方向の略中央部から前記後側車輪15の回転係合体19側へ略直角に延出するサブ板部29とを備えている。
【0037】
図3に示すように、第1回動体25の本体板部27は、前方から後方に向けて上方傾斜している。本体板部27の後方の端部には、内側(第2回動体26側)へ向けて折曲された固定片30が形成されており、該固定片30に前記第1弾性部材21の上端(他端)が連結されている。この第1弾性部材21は、つるまきバネであって、自然長よりも僅かに伸長した状態で第1サブフレーム16(係止片16b)および第1回動体25(固定片30)に連結されている。従って、第1回動体25は、第1弾性部材21の弾性力により、固定片30が係止片16bに近接する方向(図3では時計回り方向)へ回動するよう付勢されている。また、固定片30には、前記チューブ23の下端部から導出するワイヤ24の下端部が固定されている。なお、ワイヤ24の上端部(他端部)は、前記操作棒17に接続された回動盤39(後述)に連結されている。そして、使用者が操作棒17を操作してワイヤ24が引っ張られると、前記第1回動体25は、前記第1弾性部材21の弾性力に抗して固定片30を保持板部22に近接する方向(図3では反時計回り方向)へ回動されるようになっている。
【0038】
前記本体板部27の前方(他方)の端部には、外側(第2回動体26から離間する方向)へ折曲された制動片(ブレーキ)32が形成されている。この制動片32は、後側車輪15の前側に臨んでおり、第1回動体25(本体板部27)の姿勢が変化することで、制動片32が後側車輪15のタイヤ部15bから離間したり、該タイヤ部15bに当接したりするようになっている。そして、制動片32がタイヤ部15bに当接した際に、該制動片32の摩擦力(制動力)によって後側車輪15の回転を規制するものである。
【0039】
前記サブ板部29には、その開放端部から前記回転係合体19に向けて更に延出する係止ピン33が設けられている。図4に示すように、係止ピン33の回転係合体19側の端部は、外側(後側車輪15側)へ向けて略直角に折曲されている。そして、係止ピン33は、第1回動体25(本体板部27)の姿勢に応じて、係止ピン33の端部が該回転係合体19から離間したり、係止ピン33の端部が回転係合体19の板状片19aの間に臨んで該回転係合体19に係合したりするようになっている。係止ピン33が回転係合体19に係止した状態では、後側車輪15の回転が不能となる。
【0040】
前記第2サブフレーム16’に設けられた第2回動体26は、第1回動体25において、本体板部27を制動片32側の略半分を残し、固定片30を省略した構成とされている。なお、第2回動体26の他の構成は、図4において第1回動体25を左右対称にしたものと同一であるため、第2回動体26については、第1回動体25と同じ符号を付して説明を省略する。
【0041】
図4に示すように、第1回動体25の制動片32および第2回動体26の制動片32には、左右方向に延在する連結部材34が接続されて、第1回動体25および第2回動体26を連結している。すなわち、第1回動体25が停止した状態では、第2回動体26は第1回動体25と同じ姿勢(本体板部27が同じ角度で傾斜)で停止する一方、第1回動体25が回動すると、第2回動体26は、第1回動体25と連動して同方向へ回動されるようになっている。
【0042】
ここで、図6の実線で示すように、第1回動体25の本体板部27がワイヤ24により引っ張られていない状態では、第1弾性部材21の弾性力により、第1回動体25および第2回動体26の係止ピン33がそれぞれ対応する回転係合体19に係止する。この状態では、後側車輪15の回転がロックされて、手押し車10は走行不能となる。一方、第1回動体25および第2回動体26の制動片32は、それぞれタイヤ部15bから離間した状態となる。このように係止ピン33が後側車輪15をロックした状態を、以下の説明では、ロック部材20がロック状態にあるという。
【0043】
一方、図6の二点鎖線で示すように、第1回動体25がワイヤ24により引っ張られて回動し、第1回動体25および第2回動体26の係止ピン33が回転係合体19から離脱すると共に、第1回動体25および第2回動体26の制動片32がタイヤ部15bから離間した状態では、後側車輪15の回転が許容されて手押し車10が走行可能となる。このように後側車輪15が自由回転し得る状態を、以下の説明では、ロック部材20が走行状態にあるという。
【0044】
更に、図6の一点鎖線で示すように、第1回動体25がワイヤ24により引っ張られて回動し、第1回動体25および第2回動体26の制動片32がそれぞれタイヤ部15bに当接した状態では、後側車輪15に制動力が付与されて、手押し車10にブレーキが働く。一方、第1回動体25および第2回動体26の係止ピン33は、それぞれ回転係合体19から離間した状態となる。このように後側車輪15に制動力を付与する状態を、以下の説明では、ロック部材20が制動状態にあるという。
【0045】
(ハンドル枠13について)
図1に示すように、前記ハンドル枠13は、左右方向に略水平に延在して使用者に把持される把持部35と、該把持部35の両端部から下方へ湾曲した接続部36,36’とから逆U字状に形成されている。各接続部36,36’は、下方に開放する筒状に形成され、本体フレーム12,12’の上端部が接続部36,36’に挿入された状態で接続されている。なお、第1本体フレーム12に接続された接続部36を第1接続部36、第2本体フレーム12’に接続された接続部36’を第2接続部36’とそれぞれ区別して指称する場合がある。
【0046】
各接続部36,36’には、内側(対向する接続部36’,36側)へ向けて開放する筒状の回動保持部37が形成されている。図2に示すように、第1接続部36における回動保持部37の中心部には、該回動保持部37よりも小径な筒状の軸支部37aが内側(第2接続部36’側)へ向けて開放するよう形成されている。また、第1接続部36における前側下端部には、前記チューブ23の上端部(他端部)が固定されており、該チューブ23の上端部から導出するワイヤ24の上端部が第1接続部36の内部を挿通されている。更に、図5(b)に示すように、第1接続部36における内側部(第2接続部36’側の側部)には、円柱状の柱状軸部38が内側(第2接続部36’側)に向けて突出するよう形成されている。この柱状軸部38は、左右方向に延在しており、手押し車10の進行方向と略直交(交差)している。柱状軸部38の端面には、内側(第2接続部36’側)へ向けて略正方形状に開口する凹状部38aが凹設されている(図2参照)。
【0047】
図2に示すように、回動保持部37には、円盤状の回動盤39が配設されている。この回動盤39は、前記回動保持部37の内径よりも僅かに小さな外径を有しており、回動保持部37の内部に整合した状態で収容されている。回動盤39の外側(対向する回動盤39とは反対側)の面には、該回動盤39の中心から外側(対向する回動盤39とは反対側)へ突出する軸突部40が形成されており、該軸突部40が前記軸支部37aに回動自在に挿入されている。この軸突部40は、手押し車10の進行方向に略直交する方向(交差する方向)に突出しており、前記柱状軸部38と平行となっている。なお、第1接続部36に設けた回動盤39を第1回動盤39、第2接続部36’に設けた回動盤を第2回動盤(図示せず)とそれぞれ区別して指称する場合がある。
【0048】
(操作棒17について)
前記操作棒17は、前記ロック部材20をロック状態、走行状態および制動状態のいずれかに切り替えるものであって、操作棒17の端部は、左右の回動盤39に接続されている。操作棒17は、前記把持部35の下方を略平行に延在しており、使用者は、把持部35を把持したまま操作棒17を手指で掴んで操作し得るようになっている。操作棒17は、両回動盤39の周縁部側に接続されており、使用者が操作棒17を握ることで、操作棒17は、回動盤39と共に円弧状の軌道を描いて回動するようになっている(図2(a)〜(c)参照)。なお、第1回動盤39の周縁部には、操作棒17との接続箇所に対応する位置に前記ワイヤ24の上端部が連結されている。すなわち、第1回動盤39は、ワイヤ24を介して第1回動体25に連結されており、使用者が操作棒17を操作して第1回動盤39が回動すると、第1回動体25がワイヤ24に引っ張られて回動されることになる。また、第1回動盤39は、ワイヤ24を介して第1弾性部材21の弾性力が付与されて、一方向(図2では時計回り方向)へ回動するよう付勢されている。
【0049】
ここで、本実施形態では、図2(a)に示すように、操作棒17が軸突部40の前方(図2(a)では左方)に位置した際に、ロック部材20がロック状態となるよう構成されている。このように、ロック部材20をロック状態とする操作棒17の位置を、以下、ロック位置という。また、使用者によりロック位置にある操作棒17が回動操作されると(図2では時計回り方向に回動)、ワイヤ24が第1回動盤39により引っ張られ、第1回動体25が第1弾性部材21の弾性力に抗して回動される。そして、図2(b)に示すように、操作棒17が軸突部40の斜め前方上方に位置した際に、前記ロック部材20が走行状態となるよう構成されている。このように、ロック部材20を走行状態とする操作棒17の位置を、以下の説明では、走行位置という。
【0050】
更に、使用者により走行位置にある操作棒17が回動操作されると、ワイヤ24が第1回動盤39により引っ張られ、第1回動体25が更に回動される。そして、図2(c)に示すように、操作棒17が軸突部40の真上に位置した際に、前記ロック部材20が制動状態となるよう構成されている。このように、ロック部材20を制動状態とする操作棒17の位置を、以下の説明では、制動位置という。すなわち、本実施形態の操作棒17は、ロック位置から図2の時計回り方向に約45°回動させると走行位置に位置し、更に走行位置から図2の時計回り方向に約45°回動させると制動位置に位置することになる。
【0051】
(ストッパー部材18について)
前記ストッパー部材18は、使用者に操作されて、前記操作棒17を走行位置またはロック位置に保持するものである。図5(a)に示すように、ストッパー部材18は、側面視(図2は第2接続部36’側からストッパー部材18を見た状態を図示)において、上下方向に長尺な楕円形状の上部側を刳り貫いた形状とされている。すなわち、ストッパー部材18は、下部側が断面円弧状をなした基部60と、該基部60の前後の縁部から上方に延出する一対の壁部61,61とから基本的に構成されている。そして、前後に離間する一対の壁部61,61の間に、上方および左右方向に開放する凹部(収容部)18aが形成されている。
【0052】
前記基部60の下部には、左右方向(進行方向に交差する方向)に貫通した軸孔部41が形成されている。そして、軸孔部41に前記第1接続部36の柱状軸部38が挿通されることで、ストッパー部材18が第1接続部36に回動自在に軸支される。ストッパー部材18が第1接続部36に軸支された状態では、前記操作棒17が前記凹部18aを左右に通過した状態となる。ストッパー部材18は、左右の本体フレーム12,12’の間にあって、使用者が座部31に着座した際に、使用者の背中がストッパー部材18に接触し得る位置に設けられている。
【0053】
ここで、前記一対の壁部61,61は、前記基部60から上方に向かうにつれて相互に近接する側へ湾曲するよう構成されている。このように、両壁部61,61が前後に出っ張らない形状とすることで、壁部61,61が邪魔とならず、使用者の衣服等が壁部61,61に引っ掛かったり、使用者の手指がストッパー部材18に不意に触れてしまうのを抑制し得る。前側の壁部61の前面は、前記基部60の前側の面と滑らかに連続するよう構成されている。同様に、後側の壁部61の後面は、基部60の後側の面と滑らかに連続するよう構成さている。これにより、使用者がストッパー部材18に接触した際に、痛みを感じ難くなり、ストッパー部材18を快適に操作することができる。
【0054】
図5(b)に示すように、前記軸孔部41における第2接続部36’側は、第1接続部36側から第2接続部36’側(図5(b)では、右方から左方)にかけて2段階に拡開し、この順序で第1設置領域42、第2設置領域43が形成されている。なお、軸孔部41に挿通された状態の柱状軸部38は、その端面が第1設置領域42および第2設置領域43の境界面に位置するようになっている。
【0055】
第1設置領域42には、つるまきバネからなる第2弾性部材(付勢部材)44が収容される。ストッパー部材18における第1設置領域42を画成する端面には、第2接続部36’側へ向けて開放する第1係止孔42aが形成され、該第1係止孔42aに第2弾性部材44の一端が係止するようになっている。
【0056】
第2設置領域43には、円盤状の固定盤45が設置されるようになっている。この固定盤45は、第1接続部36側の側面の中心部から突出する凸状部45aを備えている。図5(a)に示すように、この凸状部45aは、前記柱状軸部38の凹状部38aに嵌合する略正方形状をなしている。そして、凸状部45aを凹状部38aに嵌合した状態で固定盤45を柱状軸部38にネジ止めすることで、ストッパー部材18の抜け止めがなされる。固定盤45における第1接続部36側の側面には、該第1接続部36側へ向けて開放する第2係止孔45bが形成されており、該第2係止孔45bに前記第2弾性部材44の他端が係止するようになっている。
【0057】
ここで、第2弾性部材44は、弾性変形した状態で第1係止孔42aおよび第2係止孔45bに係止されるようになっている。これにより、ストッパー部材18は、第2弾性部材44の弾性力によって一方向(図2では反時計回り方向)に付勢された状態にある。
【0058】
ストッパー部材18の凹部18a(基部60の上部)には、下に凸の円弧形状をなす第1係合凹部(第1係合部)46および第2係合凹部(第2係合部)47が前後の関係(第1係合凹部46が後方)で並んで形成されている。第1係合凹部46は、後側の壁部61の前面に連続するよう形成された凹部であって、その最深部が第2係合凹部47の最深部より上方に位置するよう形成されている。この第1係合凹部46は、ストッパー部材18が所定の姿勢となると、走行位置の操作棒17を下側から保持した状態で係合するようになっている。第1係合凹部46が操作棒17に係合した状態では、操作棒17は、第1弾性部材21の弾性力に抗して走行位置に保持されて、手押し車10を走行させることが可能となる。このように、第1係合凹部46が操作棒17に係合するストッパー部材18の姿勢を、以下の説明では、走行姿勢という。
【0059】
ここで、図2(b)に示すように、走行姿勢のストッパー部材18は、上部側が接続部36,36’(本体部11,本体フレーム12,12’)に対して前方へ突出した状態となる。このため、ストッパー部材18を走行姿勢とした状態で、使用者が座部31に着座した場合に、ストッパー部材18が使用者の背中に当接し易くなる。但し、前側の壁部61は、使用者の背中から逃げるように湾曲しているから、使用者が前側の壁部61に接触しても強い痛みを感じることはない。
【0060】
第2係合凹部47は、前側の壁部61の後面に連続するよう形成された凹部であって、第1係合凹部46に較べて深く(中心角が大きい)形成されている。そして、図2(a)に示すように、ストッパー部材18の長手方向が第1接続部36の延在方向と略平行な姿勢となったときに、第2係合凹部47がロック位置の操作棒17を下側から保持した状態で係合するようになっている。第2係合凹部47が操作棒17に係合した状態では、操作棒17は、第1弾性部材21の弾性力に抗してロック位置に保持されて、手押し車10を走行させることが不能となる。このように、第2係合凹部47が操作棒17に係合するストッパー部材18の姿勢を、以下、ロック姿勢という。
【0061】
ここで、ロック姿勢のストッパー部材18は、走行姿勢のストッパー部材18に較べて、接続部36,36’(本体部11,本体フレーム12,12’)に対する前方への突出量が少なくなる。このため、ストッパー部材18をロック姿勢とした状態で、使用者が座部31に着座した場合に、ストッパー部材18が使用者の背中に当接し難くなる。また、前後の壁部61,61が相互に近接するよう湾曲することで、両壁部61,61が把持部35の下方に収まって、ストッパー部材18が邪魔になることはない。
【0062】
ストッパー部材18の凹部18aには、上に凸の円弧形状をなす規制突部(規制部)49が第1係合凹部46および第2係合凹部47の間に形成されている。この規制突部49は、第1係合凹部46および第2係合凹部47に滑らかに連続するよう形成されている。
【0063】
ここで、前記第1係合凹部46および第2係合凹部47の深さと、規制突部49とは、以下の関係を満たすよう構成されている。前記第1係合凹部46は、ストッパー部材18が走行姿勢からロック姿勢へ回動操作された際に、第1係合凹部46に係合した操作棒17が規制突部49を乗り越え得る深さに設定されている。一方、前記第2係合凹部47は、ストッパー部材18がロック姿勢から走行姿勢へ回動操作された際に、第2係合凹部47に係合した操作棒17が規制突部49を乗り越え不能となる深さに設定されている。
【0064】
具体的には、ストッパー部材18が走行姿勢からロック姿勢に姿勢変化する際の規制突部49の移動軌跡は、図7(a)に示すように、前記操作棒17が走行位置にあるとした場合での当該操作棒17の断面中心Oよりも第1係合凹部46側(操作棒17の下半分側)を通過するよう構成される。換言すれば、ストッパー部材18の回動中心O(柱状軸部38)から規制突部49までの距離Lは、該ストッパー部材18の回動中心Oから走行位置の操作棒17の断面中心Oまでの距離Lより短くなっている。これにより、ストッパー部材18が走行姿勢からロック姿勢に姿勢変化するよう付勢されたときに、規制突部49が移動位置にある操作棒17の断面中心Oより下側を押圧する。すなわち、規制突部49は、操作棒17が第1係合凹部46から脱離するように作用して、操作棒17および第1係合凹部46の係合を解除する。この結果、ストッパー部材18は、走行姿勢からロック姿勢に回動することが可能となる。
【0065】
一方、ストッパー部材18がロック姿勢から走行姿勢に姿勢変化する際の規制突部49の移動軌跡は、図7(b)に示すように、前記操作棒17がロック位置にあるとした場合での当該操作棒17の断面中心Oよりも第2係合凹部47から離間する側(操作棒17の上半分側)を通過するよう構成されている。換言すれば、ストッパー部材18の回動中心Oから規制突部49までの前記距離Lは、該ストッパー部材18の回動中心Oからロック位置の操作棒17の断面中心Oまでの距離Lよりも長くなっている。これにより、ストッパー部材18がロック姿勢から走行姿勢に姿勢変化するよう付勢されたときに、規制突部49がロック位置にある操作棒17の断面中心Oより上側を押圧する。すなわち、規制突部49が操作棒17を第2係合凹部47側へ付勢するから、操作棒17および第2係合凹部47の係合が解除されず、ストッパー部材18がロック姿勢から走行姿勢に回動するのは阻止される。
【0066】
ここで、図2(c)に示すように、制動位置の操作棒17は、ストッパー部材18がロック姿勢から走行姿勢に回動する際の規制突部49の移動軌跡に干渉しない位置に退避した状態となる。この状態では、ストッパー部材18をロック姿勢から走行姿勢に回動させることが許容される。換言すれば、ロック姿勢にあるストッパー部材18を走行姿勢に回動させるためには、操作棒17を制動位置に一旦位置させて、操作棒17を規制突部49に干渉しない位置に退避させる必要がある。そして、操作棒17が制動位置に回動して、第2係合凹部47および操作棒17の係合が解除されると、ストッパー部材18は、第2弾性部材44の弾性力によりロック姿勢から走行姿勢に自動で回動するようになっている。
【0067】
また、操作棒17が制動位置に位置した際に、前記ストッパー部材18における後側の壁部61は、下側から上側に向けて前方へ傾斜した姿勢で操作棒17に当接している。このため、操作棒17は、後側の壁部61により前側下方(操作棒17が制動位置から走行位置へ変位する方向)へ付勢された状態となる。これにより、使用者が操作棒17を制動位置から手放すと、操作棒17は、ストッパー部材18と共に移動する後側の壁部61により走行位置へ向けて案内されることになる。これにより、操作棒17を走行位置へ確実に変位させることができる。
【0068】
図2(a)〜(c)に示すように、操作棒17は、ロック位置、走行位置および制動位置の何れの場合においても、ストッパー部材18の両壁部61,61の間に位置するようになっている。すなわち、操作棒17は、常にストッパー部材18の凹部18aの内部に収容された状態となって、ストッパー部材18を回動操作しても、操作棒17がストッパー部材18から外れることはない。これにより、ストッパー部材18を回動操作する度に操作棒17がストッパー部材18から外れてしまい、その都度、操作棒17をストッパー部材18の凹部18aにセットし直す必要がなく、操作性を向上し得る。しかも、操作棒17が凹部18aから外れないので、使用者は、操作棒17が凹部18a内を移動し得る僅かな範囲でストッパー部材18を回動操作すればよく、操作が極めて簡単となる。
【0069】
以上詳述した実施形態によれば、以下の優れた効果を奏する。
【0070】
ロック姿勢のストッパー部材18は、接続部36,36’(本体フレーム12,12’)の長手方向と略平行な姿勢となって、該接続部36,36’からの突出量が僅かとなる。したがって、ストッパー部材18をロック姿勢とした状態で、使用者が着座した際に、使用者の背中がストッパー部材18に接触し難くなる。これにより、使用者が不快な思いを感じることなく、快適に座部31に着座することができる。また、ロック姿勢のストッパー部材18に使用者から大きな負荷が掛かり難くなるから、ストッパー部材18をロック姿勢に保持するための高い強度が求められることはなく、製品コストを抑えることができる。
【0071】
また、着座した使用者の背中がロック姿勢にあるストッパー部材18に接触したとしても、使用者からの負荷は、前方から後方へ向けてストッパー部材18に作用することになる。すなわち、使用者からの負荷は、ストッパー部材18をロック姿勢から走行姿勢に回動させる方向とは反対向きに作用するから、ストッパー部材18が走行姿勢に回動することがない。従って、使用者が着座した状態で手押し車が走行してしまうといった事態を回避することができ、安全性を高めることができる。
【0072】
一方、走行姿勢のストッパー部材18は、その上部側が接続部36,36’から前方へ突出した傾斜姿勢となる。このため、ストッパー部材18を走行姿勢とした状態で、使用者が座部31に着座しとしても、使用者の背中がストッパー部材18に接触して、ストッパー部材18がロック姿勢に回動されることとなる。この結果、ロック部材20がロック状態に切り替わり、手押し車10が走行不能となるから、手押し車10の安全性が高められる。
【0073】
ここで、走行姿勢のストッパー部材18をロック姿勢側へ付勢すると、規制突部49が操作棒17を上方に押し上げるから、操作棒17が第1係合凹部46から脱離して、第1係合凹部46を乗り越えることができる。そのため、ストッパー部材18がロック姿勢に回動することができる。しかも、規制突部49は、第1係合凹部46に滑らかに連続する凸状に形成されているから、操作棒17を第1係合凹部46からスムーズに脱離させた後、第2係合凹部47に係合させることができる。このため、老人など比較的力の弱い使用者であっても、ストッパー部材18を走行姿勢からロック姿勢に無理なく回動させることができる。
【0074】
一方、ロック姿勢にあるストッパー部材18を走行姿勢に回動させようとすると、規制突部49が操作棒17を第2係合凹部47側へ押圧するから、操作棒17が第2係合凹部47を乗り越えることができず、操作棒17および第2係合凹部47の係合が解除されなくなる。このため、使用者がロック姿勢にあるストッパー部材18を走行姿勢側へ不意に付勢してしまっても、ストッパー部材18はロック姿勢に維持されて、手押し車10が突然動き出すような事態を回避し得る。
【0075】
ここで、ロック姿勢にあるストッパー部材18を走行姿勢に回動させる際には、操作棒17を制動位置まで一旦回動させて、第2係合凹部47および操作棒17の係合を解除させる必要がある。すなわち、ストッパー部材18を走行姿勢に回動させる際に、手押し車10にブレーキが掛かった状態となるから、ストッパー部材18を走行姿勢に回動させた途端に手押し車10が動き出すことはない。しかも、操作棒17を制動位置に回動させた際に、ストッパー部材18が第2弾性部材44の弾性力により走行姿勢に自動的に回動するから、手押し車10の操作性を高めることができる。
【0076】
本発明は上記実施形態の記載内容に限定されず例えば次のように実施してもよい。
【0077】
(1)上記実施形態では、ストッパー部材18の下端部を軸支して、ストッパー部材18の上部側が変位する構成とした。しかしながら、例えば図8に示すように、ストッパー部材50の上端部を軸支して、該ストッパー部材50の下端部側が前後方向へ変位する構成としてもよい。この場合、実施形態と同様に、ロック姿勢のストッパー部材50は、本体フレーム12,12’に略平行に延在して、前方への突出量が僅かとなるよう構成される。また、走行姿勢のストッパー部材50は、下端部側が前方に突出した傾斜姿勢となるよう構成される。この場合、ストッパー部材50は、第2弾性部材44により、実施形態とは反対方向(図8では時計回り方向)へ付勢されるようになっている。
【0078】
操作棒51は、実施形態とは反対方向(図8では時計回り方向)に回動するよう操作される。すなわち、操作棒51は、ロック位置で最も前方に位置しており、走行位置、制動位置に向かうにつれて、操作棒51の位置が下側後方へ回動変位するようになっている。なお、ワイヤ24は、第1接続部36の後側から内部に挿通されて、回動盤39に接続されている。そして、ワイヤ24は、操作棒51を走行位置からロック位置に回動させる方向(図8では時計回り方向)へ回動盤39を付勢している。なお、ロック部材20の構成は、実施形態の場合と同様な構成が採用されている。すなわち、操作棒51のロック位置は、ロック部材20のロック状態に、操作棒51の走行位置は、ロック部材20の走行状態に、操作棒51の制動位置は、ロック部材20の制動状態にそれぞれ対応している(図6参照)。このように、ストッパー部材50を反対方向に回動させる構成とした場合においても、実施形態の場合と同様な効果を奏することができる。
【0079】
(2)更に、例えば、操作棒17を本体フレーム12,12’の延在方向に沿って直線的にスライドする構成としたり、ストッパー部材18が前後方向に直線的にスライドする構成としてもよい。ストッパー部材18を直線移動する構成とした場合、本体フレーム12,12’に対し前方に突出した位置を走行姿勢とし、走行姿勢から後方に退避して、本体フレーム12,12’と前後方向に略同一となる位置をロック姿勢とされる。
【0080】
(3)実施形態では、左右の本体フレーム12,12’およびハンドル枠13で使用者の背中を支持する構成としたが、例えば本体フレーム12,12’の間に使用者の背中を支持するための背部を設けてもよい。また、実施形態では、本体フレーム12,12’を斜め上下方向に延在する構成としたが、本体フレーム12,12’が鉛直方向に延在する構成としてもよい。
【0081】
(4)実施形態では、ストッパー部材18を左右一方の本体フレーム12側に近接して設けたが、ストッパー部材18を左右他方の本体フレーム12’側に近接して設けたり、両本体フレーム12,12’の略中央位置に設けてもよい。また、実施形態では、ストッパー部材18をハンドル枠13の第1接続部36に設けたが、ストッパー部材18を本体フレーム12,12’に設けてもよい。
【0082】
(5)実施形態では、手押し車10の進行方向に対し直交する方向(すなわち、左右方向)の回動軸(軸突部40,柱状軸部38)により、操作棒17およびストッパー部材18が回動する構成とした。しかしながら、必ずしも、操作棒17(操作部材)およびストッパー部材18の回動軸は、手押し車10の進行方向に直交する必要はなく、交差する方向であればよい。なお、操作棒17の断面形状は、第1係合凹部46および第2係合凹部47に当接する面が弧状であれば、半円形や楕円形であってもよく、必ずしも、断面円形である必要はない。
【0083】
(6)実施形態では、ストッパー部材18の一対の壁部61,61により上方に開放する凹部18aを形成したが、ストッパー部材18に貫通孔を形成し、当該貫通孔に操作棒17を挿通する構成としてもよい。この場合、ストッパー部材18の上部が閉塞されるため、ストッパー部材18に衣服等が更に引っ掛かり難くすることができ、使い勝手を向上し得る。
【0084】
(7)実施形態では、ロック部材20は、後側車輪15の回転をロックする構成としたが、ロック部材20が前側車輪14をロックする構成としたり、前後の車輪14,15を全てロックする構成としてもよい。また、ロック部材20の構成については、車輪を回転不能にするロック状態および車輪を回転可能にする走行状態に切り替え得る構成であれば、他の構成を採用することができる。ここで、実施形態のロック部材20は、制動片32(ブレーキ)を一体的に設けた構成としたが、操作棒17(操作部材)を制動位置に位置させた際に作動するブレーキをロック部材20とは別に設けてもよい。
【符号の説明】
【0085】
11…本体部、17…操作棒(操作部材)、18…ストッパー部材、20…ロック部材、31…座部、46…第1係合凹部(第1係合部)、47…第2係合凹部(第2係合部)、49…規制突部(規制部)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8