【実施例】
【0029】
<構成>以下、構成について説明する。
【0030】
図1に示すように(
図2〜
図5も併せて参照)、上記したコントローラ11は、表示装置12を収容する筐体13の表面に、上記表示装置12を覆うようにフロントカバー部材14を取付けたものとされる。
【0031】
そして、上記した表示装置12の保持構造として、上記表示装置12表面の周縁部とフロントカバー部材14との間に、弾性材15が介装される。
【0032】
ここで、上記した「表示装置12」は、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどとされる。液晶表示装置は、液晶ガラスの裏面にバックライトを設置して、全体を金属製の遮蔽部材で囲ったものなどとされる。遮蔽部材は、表示装置12の表面側の周縁部に、枠状の部分(枠状部12a)を構成するように設けられる。
【0033】
上記した「筐体13」は、樹脂製のものとされる。この場合には、空調装置のコントローラ11の本体ケーシングなどとされる。この筐体13には、表示装置12を収容するための収容凹部13aが形成される。また、フロントカバー部材14を取付けるためのカバー取付部(図示せず)が設けられる。
【0034】
上記した「フロントカバー部材14」は、透明な樹脂製のものとされる。フロントカバー部材14は、厚みを変化させることや、曲面とすることなどによってレンズ状のものとすることができる。また、フロントカバー部材14は、その周縁部に、黒色などの暗色系の塗装を施したり、周縁部を暗色系の樹脂材料で構成したりすることができる。フロントカバー部材14のコーナー部などには、筐体13に対して取付けるための取付部14bなどが設けられる。
【0035】
上記した「弾性材15」には、ウレタンや、スポンジや、ゴムなどの柔軟なものを用いることができる。弾性材15は、表示装置12表面の周縁部(上記した枠状部12aなど)を取囲む枠形状のものとされる。
【0036】
そして、以上のような基本構成に対し、この実施例のものでは、以下のような構成を備えるようにしている。
【0037】
(構成1)
図6、
図7に示すように、上記弾性材15の上記フロントカバー部材14側の面に、形状保持性を有する薄板材21を貼付けるようにする。
【0038】
そして、この薄板材21が貼付けられた上記弾性材15を、上記フロントカバー部材14の内面(または裏面)に対して貼付けるようにする。
【0039】
(補足説明1)
ここで、上記した「薄板材21」は、樹脂板や、金属板などを用いることができる。この場合には、樹脂板としている。薄板材21は、黒色などの暗色系のものとするのが好ましい。薄板材21を樹脂とする場合、形状保持性を有するために、薄板材21は、概ね0.3mm〜1mm程度の厚みを有するものとするのが好ましい。これは、0.3mmよりも薄くすると形状保持性を有さなくなり、1mmよりも厚くすると、表示装置12とフロントカバー部材14との間の隙間よりも厚くなって設置できなくなることによる。薄板材21は、表示装置12の表面の周縁部(上記した枠状部12aなど)を取囲む枠形状のものとされる。
【0040】
そして、薄板材21が貼付けられた弾性材15によって、複合パッキン22が構成される(枠形状パッキン)。
【0041】
また、薄板材21の表面側には、フロントカバー部材14の内面に対して貼付けるための粘着材23が予め塗布形成される。この粘着材23は、薄板材21の表面に対し、部分的に設けるようにしても全面に設けるようにしても良い。この場合には、フロントカバー部材14を取付けた時に、外部から見えない位置に粘着材23を設けるようにしている。
【0042】
(構成2)
形状保持性を有する上記薄板材21の表面に、反射防止加工が施されるようにする(
図7の反射防止加工部24)。
【0043】
(補足説明2)
ここで、上記した「反射防止加工(反射防止加工部24)」は、例えば、シボ加工や、つや消し加工(微細凹凸加工)などとすることができる。
【0044】
(構成3)
形状保持性を有する上記薄板材21の外形を、上記弾性材15の外形より、少なくとも部分的に大きくなるようにする(僅少段差部25)。
【0045】
(補足説明3)
ここで、弾性材15と薄板材21とは、好ましくは、弾性材15と薄板材21とを予め貼合せて一体化された複合シートを、枠形状に打抜くことなどによって部品化される(複合パッキン22)ようにする。
【0046】
この際、弾性材15を高い圧力で圧縮することにより横方向へ膨らませた状態に保持して、例えば、薄板材21の側などから打抜き、その後に圧縮力を解放することによって、弾性材15よりも薄板材21の外形が僅かに大きい複合パッキン22を、一度の加工で形成することができる。
即ち、上記僅少段差部は、弾性材の圧縮変形量分の段差量を有するものとなる。
【0047】
なお、薄板材21全体の外形を弾性材15の外形よりも大きくする場合には、複合シートの複合パッキン22となる部分全体を圧縮し、また、薄板材21の外形を弾性材15の外形よりも部分的に大きくする場合には、複合シートのその部分を部分的に圧縮してから打抜くようにする。
【0048】
<作用>以下、この実施例の作用について説明する。
【0049】
空調装置のコントローラ11を組立てる場合、先ず、筐体13に表示装置12を収容し保持させる。
【0050】
一方、フロントカバー部材14の裏面側に、薄板材21が一体化された弾性材15を貼付ける。
【0051】
そして、上記した筐体13に、上記したフロントカバー部材14を取付けることにより、表示装置12表面の周縁部とフロントカバー部材14との間に、弾性材15を介装させると共に、弾性材15によって表示装置12を押圧保持させる。
【0052】
<効果>この実施例によれば、以下のような効果を得ることができる。
【0053】
(効果1)
弾性材15のフロントカバー部材14側の面に、形状保持性を有する薄板材21を貼付けたことにより、弾性材15が容易には変形しなくなるので、手で持ち易くなり、フロントカバー部材14の裏面への貼付作業をやり易くすることができる。以って、フロントカバー部材14の裏面に弾性材15を貼付ける際に、位置ズレを生じ難くなり、貼直し作業を減らすことができる。その結果、貼直しによる弾性材15の損傷や、弾性材15を貼付けるための糊面の露出がなくなって、見栄えの悪化を防止することができる。
【0054】
更に、
図4に示すように、表示装置12の表側にフロントカバー部材14を設置した時に、薄板材21によって押された弾性材15が広い範囲に亘って少しずつ均等に潰されることになるので、弾性材15のハミ出しを減らすことができる。そのため、ハミ出した部分が外部から見えて、見栄えが悪化するのを防止することができる。
【0055】
加えて、
図5に示すように、フロントカバー部材14を軽量化するために、フロントカバー部材14の少なくとも一部に補強リブ14aを設けて、補強リブ14aによって弾性材15を押さえさせるようにした場合でも、薄板材21を介して弾性材15が広い範囲に亘って少しずつ均等に潰されることになるので、弾性材15の補強リブ14aが接触した部分のみが線状に潰れて、その周囲が盛り上がってしまうようなことが防止され、また、均一な押さえ効果が得られるようになる。
【0056】
(効果2)
形状保持性を有する薄板材21の表面に、反射防止加工が施されたことにより、薄板材21の存在を外部から目立ち難くすることができる。また、表示装置12の表示が薄板材21の表面に反射して表示の妨げとなったり、薄板材21の反射光が表示装置12の表示よりも目立ったりするのを防止することができる。
【0057】
(効果3)
形状保持性を有する薄板材21の外形を、弾性材15の外形より、少なくとも部分的に大きくなるようにしたことにより、薄板材21をより持ち易くして作業性を向上することができる。また、弾性材15を薄板材21によって隠すことができる。
【0058】
以上、この発明の実施例を図面により詳述してきたが、実施例はこの発明の例示にしか過ぎないものであるため、この発明は実施例の構成にのみ限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があってもこの発明に含まれることは勿論である。また、例えば、各実施例に複数の構成が含まれている場合には、特に記載がなくとも、これらの構成の可能な組合せが含まれることは勿論である。また、複数の実施例や変形例が示されている場合には、特に記載がなくとも、これらに跨がった構成の組合せのうちの可能なものが含まれることは勿論である。また、図面に描かれている構成については、特に記載がなくとも、含まれることは勿論である。更に、「等」の用語がある場合には、同等のものを含むという意味で用いられている。また、「ほぼ」「約」「程度」などの用語がある場合には、常識的に認められる範囲や精度のものを含むという意味で用いられている。