特許第5890259号(P5890259)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5890259
(24)【登録日】2016年2月26日
(45)【発行日】2016年3月22日
(54)【発明の名称】瘡蓋剥離ユニット及び医療用具
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/14 20060101AFI20160308BHJP
【FI】
   A61M1/14 591
【請求項の数】8
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2012-132686(P2012-132686)
(22)【出願日】2012年6月12日
(65)【公開番号】特開2013-255636(P2013-255636A)
(43)【公開日】2013年12月26日
【審査請求日】2015年3月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000200035
【氏名又は名称】川澄化学工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】眞井 雅彦
【審査官】 石田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2011/0060263(US,A1)
【文献】 実開平03−078748(JP,U)
【文献】 特開2012−095783(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/142158(WO,A1)
【文献】 実開平04−091847(JP,U)
【文献】 特開平03−176371(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3144672(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3143620(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
瘡蓋を剥離するための瘡蓋剥離具(100)と、
ルアーコネクタ(30)と接続可能に構成され、当該ルアーコネクタ(30)の接続口(32)を栓止するためのロックキャップ(50)とを備える瘡蓋剥離ユニット(40)であって、
前記瘡蓋剥離具(100)は、
把持部(110)と、
前記把持部(110)から一方向に突出し、所定形状からなる尖端(122)を有する剥離部(120)と、
前記剥離部(120)を囲むように配置された嵌合部(130)とを有し、
前記ロックキャップ(50)の非接続面(64)には、前記嵌合部(130)と嵌合可能に構成された被嵌合部(70)が設けられており、
前記非接続面(64)は、前記ルアーコネクタ(30)と接続する側とは反対の面であって、前記ルアーコネクタ(30)とは接続されない面であり、
前記嵌合部(130)の外面及び前記被嵌合部(70)の内面のうちいずれか一方には少なくとも1つの凸部(140)が形成され、他方には前記凸部(140)の突出高さ(h1)と対応する深さ(d1)の少なくとも1つの凹部(66)が形成されている、瘡蓋剥離ユニット(40)。
【請求項2】
請求項1に記載の瘡蓋剥離ユニットにおいて、
前記嵌合部(130)の外面には、前記凸部(140)が形成されており、
前記被嵌合部(70)の内面には、前記凹部(66)が形成されている、瘡蓋剥離ユニット(40)。
【請求項3】
請求項2に記載の瘡蓋剥離ユニットにおいて、
前記凹部(66)は、前記被嵌合部(70)の内面から前記ロックキャップ(50)の外表面に通じる貫通孔である、瘡蓋剥離ユニット(40)。
【請求項4】
請求項3に記載の瘡蓋剥離ユニットにおいて、
前記瘡蓋剥離具(100)における少なくとも前記凸部(140)を含む部分と、前記ロックキャップ(50)とは、異なる色で構成されている、瘡蓋剥離ユニット(40)。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の瘡蓋剥離ユニットにおいて、
前記凹部(66)は、前記凸部(140)の数よりも多く形成されている、瘡蓋剥離ユニット(40)。
【請求項6】
請求項1に記載の瘡蓋剥離ユニットにおいて、
前記凹部(266)は、前記嵌合部の外面又は前記被嵌合部(270)の内面の全周方向にわたって連続的に形成されている、瘡蓋剥離ユニット(42)。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の瘡蓋剥離ユニットにおいて、
前記剥離部(120)の突出高さ(b3)が、前記被嵌合部(70)の深さ(a3)と同じかそれよりも小さい値に設定されている、瘡蓋剥離ユニット(40)。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の瘡蓋剥離ユニット(40)を備える、医療用具(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、瘡蓋剥離ユニット及び医療用具に関する。
【背景技術】
【0002】
血液透析患者の血管に透析針を穿刺する方法の1つとして、ボタンホール穿刺法が知られている。ボタンホール穿刺法とは、患者の皮膚表面にボタンホールと呼ばれる穿刺部位を設け、そのボタンホールを介して血管に針を穿刺する方法である。通常、ボタンホールは瘡蓋で覆われており、血液透析を行う際にその瘡蓋を剥がして透析針を穿刺している。
【0003】
ボタンホールに形成された瘡蓋を剥がすための瘡蓋剥離具として、従来、筒状体の内面に螺合部が設けられた瘡蓋剥離具が知られている(例えば、特許文献1参照。)。螺合部は、血液回路等を構成するチューブに接続されたルアーコネクタと螺合可能に構成されており、ルアーコネクタの接続口を封止するロックキャップとして使用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3143620号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来の瘡蓋剥離具においては、瘡蓋を剥がすためにルアーコネクタから瘡蓋剥離具を取り外すと、ルアーコネクタの接続口が露出した状態となってしまう。瘡蓋を剥がす作業を実際に行う場面を想定すると、例えば、ルアーコネクタから瘡蓋剥離具を取り外したのちルアーコネクタを机上等にそのまま置くケースや、瘡蓋剥離具を操作しない方の手でルアーコネクタを持ち続けるケースが考えられる。前者のケースでは、露出状態のルアーコネクタの接続口が机等に直接接触してしまう可能性があることから、清潔性の点で好ましくない。一方、後者のケースでは、片方の手にルアーコネクタを持ち続けたまま瘡蓋剥離具を操作しなければならず、作業性に難がある。
【0006】
そこで、本発明は、このような問題を解決するためになされたもので、瘡蓋を剥がす作業を行う際にルアーコネクタの清潔性を損なうことなく、かつ、作業性に優れた瘡蓋剥離ユニットを提供することを目的とする。また、そのように優れた瘡蓋剥離ユニットを備える医療用具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の発明者は、上記目的を達成するため、市販されているロックキャップの構造を調査したところ、市販のロックキャップの多くには、非接続面(ルアーコネクタと接続する側とは反対の面)に所定深さの凹部が形成されているという知見を得た。本発明者は当該知見に基づいて鋭意研究を重ねた結果、ロックキャップの凹部に瘡蓋剥離具を嵌合させる構成とすれば、従来の瘡蓋剥離具が抱える課題を解決できることに想到し、本発明を完成させるに至った。
【0008】
本発明の瘡蓋剥離ユニットは、瘡蓋を剥離するための瘡蓋剥離具と、ルアーコネクタと接続可能に構成されたロックキャップとを備える瘡蓋剥離ユニットであって、前記瘡蓋剥離具は、把持部と、前記把持部から一方向に突出し、所定形状からなる尖端を有する剥離部と、前記剥離部を囲むように配置された嵌合部とを有し、前記ロックキャップの非接続面には、前記嵌合部と嵌合可能に構成された被嵌合部が設けられており、前記嵌合部の外面及び前記被嵌合部の内面のうちいずれか一方には少なくとも1つの凸部が形成され、他方には前記凸部の突出高さと対応する深さの少なくとも1つの凹部が形成されている。
【0009】
このため、本発明の瘡蓋剥離ユニットによれば、ロックキャップの非接続面に上記した被嵌合部が設けられているため、ルアーコネクタに螺合接続されたロックキャップの被嵌合部に、上記した瘡蓋剥離具を予め嵌合させておくことが可能となる。瘡蓋剥離具を使用する際は、瘡蓋剥離具とロックキャップとの嵌合状態を解除するだけで済み、ルアーコネクタとロックキャップとの接続状態を解除しなくてもよいことから、ルアーコネクタの接続口を露出させたままの状態とせずに瘡蓋剥離具を使用することができるようになる。その結果、例えば、瘡蓋剥離具を取り外した状態でルアーコネクタを机上等に置いたとしても、ルアーコネクタの接続口はロックキャップによって封止されているため、ルアーコネクタの清潔性が損なわれることがない。また、瘡蓋を剥がす際に、片手でルアーコネクタを持ち続ける必要もなく、円滑に作業を行うことが可能となる。
【0010】
また、本発明の瘡蓋剥離ユニットによれば、単に被嵌合部と嵌合部を嵌め合わせるのではなく、上記した凸部及び凹部による凹凸嵌合によって被嵌合部と嵌合部をより強固に嵌め合わせることができるため、ロックキャップから瘡蓋剥離具が不意に外れてしまうのを抑制することが可能となる。
【0011】
本発明の瘡蓋剥離ユニットにおいては、前記嵌合部の外面には、前記凸部が形成されており、前記被嵌合部の内面には、前記凹部が形成されていることが好ましい。
【0012】
このように構成することにより、製造時の成形加工が比較的容易となり、製造コストの低廉化を図ることが可能となる。
【0013】
本発明の瘡蓋剥離ユニットにおいては、前記凹部は、前記被嵌合部の内面から前記ロックキャップの外表面に通じる貫通孔であることが好ましい。
【0014】
このように構成することにより、貫通孔として形成された凹部を介して凸部の位置を視認でき、嵌合部と被嵌合部との嵌合状態を目視で判別しやすいという効果がある。
また、貫通孔として形成された凹部を通じて、ロックキャップの内部(被嵌合部と嵌合部の隙間)に滅菌性を有する気体(例えば酸化エチレンガス、高圧蒸気等)を送ることができるため、滅菌性の高い瘡蓋剥離ユニットとなる。
【0015】
本発明の瘡蓋剥離ユニットにおいては、前記瘡蓋剥離具における少なくとも前記凸部を含む部分と、前記ロックキャップとは、異なる色で構成されていることが好ましい。
【0016】
このように構成することにより、凹部と凸部の位置関係をより明確に認識することが可能となる。
【0017】
本発明の瘡蓋剥離ユニットにおいては、前記凹部は、前記凸部の数よりも多く形成されていることが好ましい。
【0018】
このように構成することにより、瘡蓋剥離具とロックキャップとの嵌め合わせ作業が容易となる。
【0019】
本発明の瘡蓋剥離ユニットにおいては、前記凹部は、前記嵌合部の外面又は前記被嵌合部の内面の全周方向にわたって連続的に形成されていることも好ましい。
【0020】
このように構成することによっても、瘡蓋剥離具とロックキャップとの嵌め合わせ作業が容易となる。
【0021】
本発明の瘡蓋剥離ユニットにおいては、前記剥離部の突出高さが、前記被嵌合部の深さと同じかそれよりも小さい値に設定されていることが好ましい。
【0022】
このように構成することにより、瘡蓋剥離具をロックキャップの被嵌合部に嵌合させたときに、嵌合部と被嵌合部とによって形成される空間内に剥離部が配置されることとなるため、剥離部の尖端が外部に露出することもない。その結果、瘡蓋剥離具をロックキャップから取り外す前の状態において、剥離部の尖端を清潔に保つことが可能となる。
【0023】
本発明の医療用具は、本発明の瘡蓋剥離ユニットを備えるため、瘡蓋を剥がす作業を行う際にルアーコネクタの清潔性を損なうことなく、作業性に優れ、ロックキャップから瘡蓋剥離具が不意に外れてしまうのを抑制することが可能な医療用具となる。
【0024】
なお、特許請求の範囲に記載した各部材等の文言下に括弧をもって付加された符号は、特許請求の範囲に記載された発明の内容の理解を容易にするために用いられたものであって、発明の内容を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は、第1実施形態に係る医療用具1の概略図である。
図2図2は、第1実施形態における瘡蓋剥離具100の正面図である。
図3図3は、第1実施形態における瘡蓋剥離具100の平面図である。
図4図4は、第1実施形態における瘡蓋剥離具100の左側面図である。
図5図5は、第1実施形態における瘡蓋剥離具100の右側面図である。
図6図6は、第1実施形態における瘡蓋剥離具100の断面図である。図6(a)は図5のA−A線断面図であり、図6(b)は図5のB−B線断面図である。
図7図7は、第1実施形態におけるロックキャップ50を説明するために示す図である。図7(a)はロックキャップ50の正面図であり、図7(b)は図7(a)のC−C線断面図である。
図8図8は、第1実施形態に係る瘡蓋剥離ユニット40を説明するために示す図である。図8(a)はロックキャップ50から瘡蓋剥離具100を外した状態を示す図であり、図8(b)はロックキャップ50に瘡蓋剥離具100を嵌めた状態を示す図である。
図9図9は、第2実施形態におけるロックキャップ250を説明するために示す図である。図9(a)はロックキャップ250の正面図であり、図9(b)は図9(a)のD−D線断面図である。
図10図10は、第2実施形態に係る瘡蓋剥離ユニット42を説明するために示す図である。図10(a)はロックキャップ250から瘡蓋剥離具100を外した状態を示す図であり、図10(b)はロックキャップ250に瘡蓋剥離具100を嵌めた状態を示す図である。
図11図11は、第3実施形態における瘡蓋剥離具300の平面図である。
図12図12は、第3実施形態における瘡蓋剥離具300の左側面図である。
図13図13は、図12のE−E線断面図である。
図14図14は、第3実施形態におけるロックキャップ350を説明するために示す図である。図14(a)はロックキャップ350の正面図であり、図14(b)は図14(a)のF−F線断面図である。
図15図15は、第3実施形態に係る瘡蓋剥離ユニット44を説明するために示す図である。図15(a)はロックキャップ350から瘡蓋剥離具300を外した状態を示す図であり、図15(b)はロックキャップ350に瘡蓋剥離具300を嵌めた状態を示す図である。
図16図16は、変形例における瘡蓋剥離具400の平面図である。
図17図17は、変形例における瘡蓋剥離具400の左側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の瘡蓋剥離ユニット及び医療用具について、図に示す実施の形態に基づいて説明する。
【0027】
[第1実施形態]
まず、第1実施形態に係る医療用具1の構成について、図1を用いて説明する。
図1は、第1実施形態に係る医療用具1の概略図である。
【0028】
第1実施形態に係る医療用具1は、図1に示すように、チューブ10と、チューブ10の一方端部に接続された透析針20と、チューブ10の他方端部に接続されたルアーコネクタ30と、ルアーコネクタ30に接続可能に構成された瘡蓋剥離ユニット40とを備える。医療用具1は、例えば血液透析を行う際に用いる、ルアーコネクタ付き透析針セットである。
【0029】
透析針20の針管には、針キャップ22が取り付けられている。ルアーコネクタ30は、いわゆるメスルアーコネクタであり、開口した接続口32と、接続口32の外周部に設けられた被螺合部34とを有する。被螺合部34は、螺旋状の突起からなる。
【0030】
瘡蓋剥離ユニット40は、瘡蓋を剥離するための瘡蓋剥離具100と、ルアーコネクタ30と接続可能に構成されたロックキャップ50とを備える。
【0031】
次に、瘡蓋剥離具100の構成について、図2図6を用いて説明する。
図1は、第1実施形態に係る医療用具1の概略図である。図2は、第1実施形態における瘡蓋剥離具100の正面図である。図3は、第1実施形態における瘡蓋剥離具100の平面図である。図4は、第1実施形態における瘡蓋剥離具100の左側面図である。図5は、第1実施形態における瘡蓋剥離具100の右側面図である。図6は、第1実施形態における瘡蓋剥離具100の断面図である。図6(a)は図5のA−A線断面図であり、図6(b)は図5のB−B線断面図である。
【0032】
瘡蓋剥離具100は、例えば血液透析等を行うにあたって患者の皮膚表面に形成されたボタンホールに対し、当該ボタンホールを覆う瘡蓋を剥がすために用いる器具である。
【0033】
瘡蓋剥離具100は、図2図6に示すように、把持部110と、把持部110から一方向(図2の図面左方向)に突出する剥離部120と、剥離部120を囲むように配置された嵌合部130と、嵌合部130の外面に形成された凸部140と、把持部110と嵌合部130との間に配置された鍔部150とを備える。
【0034】
把持部110は、作業者が指で摘まみやすいよう、中央部分の厚みが薄くなるように湾曲している(図5参照。)。
【0035】
剥離部120は、図2及び図3に示すように、所定形状からなる尖端122と、傾斜面124とを有する。傾斜面124は、図2及び図4に示すように、剥離部120の上下面に1つずつ配置されている。
【0036】
嵌合部130は、剥離部120の突出方向と同一の方向に向かって立設する2つの立設部132を有する(図4参照。)。2つの立設部132は、薄板状であり、剥離部120と離間した位置であって剥離部120を中心とする同一円周上に配置されている。
【0037】
隣り合う立設部132の間にはそれぞれ、スリット138が形成されている。各スリット138は、隣り合うスリット138同士の間隔が等しくなるように配置されている。すなわち、図4に示す方向から瘡蓋剥離具100を見たときに、剥離部120を中心に180度の配置間隔で各スリット138が配置されている。スリット138は、図2及び図3に示すように、剥離部120の突出方向と同一方向に伸びている。
【0038】
立設部132は、図2及び図3に示すように、剥離部120の尖端122側の端部を含む領域に配置されたテーパ部134と、テーパ部134に隣接する平面部136とを有する。テーパ部134の外面は、尖端122側に向かうにしたがって内面側(剥離部120側)に傾斜したテーパ形状である。平面部136の外面は、剥離部120の突出方向(剥離部120の中心軸)と平行な関係にある。
【0039】
凸部140は、図4に示すように、2つの立設部132の外面にそれぞれ1つずつ、計2つ形成されている。図4に示す方向から瘡蓋剥離具100を見たときに、剥離部120を中心に180度の配置間隔で各凸部140が配置されている。凸部140の形状(凸部140の突出方向に沿って見たときの形状)は、図2に示すように、略矩形状である。
【0040】
鍔部150は、図4及び図5に示すように、例えば正円の板状部材である。図2及び図3からも明らかなように、鍔部150の第一面151側に把持部110が位置しており、鍔部150の第二面152側に剥離部120及び嵌合部130が位置している。
【0041】
瘡蓋剥離具100を構成する各部材は、金型により一体成形されている。瘡蓋剥離具100を構成する材料としては、例えばポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリプロピレンなどのプラスチック材料を好適に用いることができる。瘡蓋剥離具100においては、例えばポリ塩化ビニルを材料として用いている。また、瘡蓋剥離具100は、全体が例えば半透明の薄い青色に着色されている。
【0042】
次に、ロックキャップ50の構成について、図7及び図8を用いて説明する。
図7は、第1実施形態におけるロックキャップ50を説明するために示す図である。図7(a)はロックキャップ50の正面図であり、図7(b)は図7(a)のC−C線断面図である。なお、図7(b)においては、螺合部60の周辺部分を断面図ではなく端面図として表わすことにより、図面を簡略化している。
図8は、第1実施形態に係る瘡蓋剥離ユニット40を説明するために示す図である。図8(a)はロックキャップ50から瘡蓋剥離具100を外した状態を示す図であり、図8(b)はロックキャップ50に瘡蓋剥離具100を嵌めた状態を示す図である。
【0043】
ロックキャップ50は、略円筒形の部材である。ロックキャップ50は、図7(a)及び図7(b)に示すように、内面に設けられた螺合部60と、ロックキャップ50の側面に設けられたリブ62と、ロックキャップ50の非接続面64に形成された被嵌合部70とを有する。また、ロックキャップ50の側面には、凹部としての4つの貫通孔66が形成されている。
【0044】
なお、「ロックキャップ50の非接続面64」とは、ロックキャップ50に瘡蓋剥離具100を嵌め合わせたときに瘡蓋剥離具100と対向する側の面であって、そのうち被嵌合部70が形成された部分を除いた部分を指す。
【0045】
螺合部60は、ルアーコネクタ30の被螺合部34に対応した螺旋状の突起からなる。ロックキャップ50の螺合部60をルアーコネクタ30の被螺合部34に螺合させることにより、ルアーコネクタ30の接続口32をロックキャップ50によって栓止することができる。
【0046】
被嵌合部70は、図7(b)及び図8(a)に示すように、それぞれ孔径の異なる3つの層(第一層71〜第三層73)から構成されている。表層側に位置する第一層71は、瘡蓋剥離具100の嵌合部130に対応する広さの空間を有する。すなわち、第一層71の内径a1は、嵌合部130の外径b1(嵌合部130のうち平面部136の部分の外径)と略同一であり、第一層71の深さa2は、嵌合部130の突出高さb2(嵌合部130のテーパ部134側端から鍔部150までの距離)と略同一である。第二層72の内径は第一層71の内径よりも小さい値に設定されており、第三層73の内径は第二層72の内径よりもさらに小さい値に設定されている。「被嵌合部70の深さ」とは、被嵌合部70の表面位置(非接続面64と同一の平面位置)から底面位置までの距離のことであり、第一層71から第三層73までの深さの和で表すことができる。被嵌合部70の深さa3は、剥離部120の突出高さb3(剥離部120の尖端122から鍔部150までの距離)よりも大きい値に設定されている。このように構成された被嵌合部70は、図8(b)から明らかなように、瘡蓋剥離部100の嵌合部130と嵌合可能である。
【0047】
貫通孔66は、被嵌合部70の内面からロックキャップ50の外表面に通じている。4つの貫通孔66は、図7(a)に示すロックキャップ50を図面右側から見たときに、被嵌合部70を中心に90度の間隔で形成されている。貫通孔66の孔形状は矩形状であって、凸部140の大きさに対応している。
【0048】
図8(a)及び図8(b)から分かるように、貫通孔66の深さd1は、瘡蓋剥離具100における凸部140の突出高さh1より大きな値(すなわちd1>h1)に設定されている。
【0049】
ロックキャップ50を構成する各部材は、金型により一体成形されている。ロックキャップ50を構成する材料としては、例えばポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリプロピレンなどのプラスチック材料を好適に用いることができる。ロックキャップ50においては、例えばポリプロピレンを材料として用いている。また、ロックキャップ50は、全体が例えば半透明の薄い白色に着色されている。
【0050】
以上のように構成された第1実施形態に係る瘡蓋剥離ユニット40によれば、ロックキャップ50の非接続面64に被嵌合部70が設けられているため、ルアーコネクタ30に螺合接続されたロックキャップ50の被嵌合部70に、瘡蓋剥離具100を予め嵌合させておくことが可能となる。瘡蓋剥離具100を使用する際は、瘡蓋剥離具100とロックキャップ50との嵌合状態を解除するだけで済み、ルアーコネクタ30とロックキャップ50との接続状態を解除しなくてもよいことから、ルアーコネクタ30の接続口32を露出させたままの状態とせずに瘡蓋剥離具100を使用することができるようになる。その結果、例えば、瘡蓋剥離具100を取り外した状態でルアーコネクタ30を机上等に置いたとしても、ルアーコネクタ30の接続口32はロックキャップ50によって封止されているため、ルアーコネクタ30の清潔性が損なわれることがない。また、瘡蓋を剥がす際に、片手でルアーコネクタ30を持ち続ける必要もなく、円滑に作業を行うことが可能となる。
【0051】
また、第1実施形態に係る瘡蓋剥離ユニット40によれば、単に被嵌合部70と嵌合部130を嵌め合わせるのではなく、上記した凸部140及び凹部としての貫通孔66による凹凸嵌合によって被嵌合部70と嵌合部130をより強固に嵌め合わせることができるため、ロックキャップ50から瘡蓋剥離具100が不意に外れてしまうのを抑制することが可能となる。
【0052】
第1実施形態に係る瘡蓋剥離ユニット40においては、嵌合部130の外面に凸部140が形成されており、被嵌合部70に貫通孔66が形成されているため、製造時の成形加工が比較的容易となり、製造コストの低廉化を図ることが可能となる。
【0053】
第1実施形態に係る瘡蓋剥離ユニット40においては、凹部が、被嵌合部70の内面からロックキャップ50の外表面に通じる貫通孔66であるため、貫通孔66を介して凸部140の位置を視認でき、嵌合部130と被嵌合部70との嵌合状態を目視で判別しやすいという効果がある。
また、貫通孔66を通じて、ロックキャップ50の内部(被嵌合部70と嵌合部130の隙間)に滅菌性を有する気体(例えば酸化エチレンガス、高圧蒸気等)を送ることができるため、滅菌性の高い瘡蓋剥離ユニットとなる。
【0054】
第1実施形態に係る瘡蓋剥離ユニット40においては、瘡蓋剥離具100とロックキャップ50とは、異なる色で構成されているため、貫通孔66と凸部140の位置関係をより明確に認識することが可能となる。
【0055】
第1実施形態に係る瘡蓋剥離ユニット40においては、凹部としての貫通孔66は、凸部140の数よりも多く形成されているため、瘡蓋剥離具100とロックキャップ50との嵌め合わせ作業が容易となる。
【0056】
第1実施形態に係る瘡蓋剥離ユニット40においては、剥離部120の突出高さb3が、被嵌合部70の深さa3よりも小さい値に設定されている。これにより、瘡蓋剥離具100をロックキャップ50の被嵌合部70に嵌合させたときに、嵌合部130と被嵌合部70とによって形成される空間内に剥離部120が配置されることとなるため、剥離部120の尖端122が外部に露出することもない。その結果、瘡蓋剥離具100をロックキャップ50から取り外す前の状態において、剥離部120の尖端122を清潔に保つことが可能となる。
【0057】
第1実施形態に係る瘡蓋剥離ユニット40においては、瘡蓋剥離具100は鍔部150をさらに有するため、ロックキャップ50の被嵌合部70に対して望ましい深さまで剥離部120を挿入したときに、ロックキャップ50の非接続面64が鍔部150に突き当たるよう、剥離部120の突出高さb3を設計することが可能となる。その結果、嵌合時において剥離部120の尖端122を不用意に傷めることなく、被嵌合部70の適切な深さにまで剥離部120を挿入することが可能となる。
【0058】
第1実施形態に係る瘡蓋剥離ユニット40においては、瘡蓋剥離具100及びロックキャップ50がともにプラスチック材料からなる。プラスチック材料は、金属材料に比べて剛性が低く適度に撓むことから、ロックキャップ50に対する瘡蓋剥離具100のスムーズな嵌め込み及び取り外しを比較的高いレベルで実現することが可能となる。
【0059】
第1実施形態に係る医療用具1は、瘡蓋剥離ユニット40を備えるため、瘡蓋を剥がす作業を行う際にルアーコネクタの清潔性を損なうことなく、作業性に優れ、ロックキャップから瘡蓋剥離具が不意に外れてしまうのを抑制することが可能な医療用具となる。
【0060】
[第2実施形態]
図9は、第2実施形態におけるロックキャップ250を説明するために示す図である。図9(a)はロックキャップ250の正面図であり、図9(b)は図9(a)のD−D線断面図である。
図10は、第2実施形態に係る瘡蓋剥離ユニット42を説明するために示す図である。図10(a)はロックキャップ250から瘡蓋剥離具100を外した状態を示す図であり、図10(b)はロックキャップ250に瘡蓋剥離具100を嵌めた状態を示す図である。
なお、図9及び図10において、図7及び図8と同一の部材については同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0061】
第2実施形態に係る瘡蓋剥離ユニット42は、基本的には第1実施形態に係る瘡蓋剥離ユニット40と同様の構成を有するが、ロックキャップの構成が、第1実施形態に係る瘡蓋剥離ユニット40とは異なる。
【0062】
すなわち、第2実施形態に係る瘡蓋剥離ユニット42は、第1実施形態で説明したロックキャップ50に代えて、以下に説明するロックキャップ250を備える。
【0063】
ロックキャップ250は、略円筒形の部材である。ロックキャップ250は、図9(a)及び図9(b)に示すように、内面に設けられた螺合部260と、ロックキャップ250の側面に設けられたリブ262と、ロックキャップ250の非接続面264に形成された被嵌合部270とを有する。被嵌合部250の内面には、凹部266が形成されている。
【0064】
凹部266は、被嵌合部270の内面の全周方向にわたって連続的に形成されている。なお、「被嵌合部270の内面の全周方向にわたって連続的に」とは、被嵌合部270の内面において、360度にわたって凹部266が途切れることなく連続していることを意味する。
【0065】
図10(a)及び図10(b)に示すように、凹部266の深さd2は、瘡蓋剥離具100における凸部140の突出高さh1と同じかそれより大きな値(すなわちd2≧h1)に設定されている。
【0066】
なお、螺合部260、リブ262及び被嵌合部270の構成は、第1実施形態で説明した螺合部60、リブ62及び被嵌合部70と同様の構成であるため、詳細な説明は省略する。
【0067】
このように、第2実施形態に係る瘡蓋剥離ユニット42は、第1実施形態に係る瘡蓋剥離ユニット40とは、ロックキャップの構成が異なるが、第1実施形態に係る瘡蓋剥離ユニット40の場合と同様に、ロックキャップ250の非接続面264に被嵌合部270が設けられているため、第1実施形態で説明した理由と同様の理由により、瘡蓋を剥がす作業を行う際にルアーコネクタの清潔性を損なうことなく、かつ、作業性に優れた瘡蓋剥離ユニットとなる。また、瘡蓋剥離具100の凸部140及びロックキャップ250の凹部266による凹凸嵌合によって被嵌合部270と嵌合部130をより強固に嵌め合わせることができるため、ロックキャップ250から瘡蓋剥離具100が不意に外れてしまうのを抑制することが可能となる。
【0068】
第2実施形態に係る瘡蓋剥離ユニット42は、ロックキャップの構成が異なる点以外では、第1実施形態に係る瘡蓋剥離ユニット40と同様の構成を有するため、第1実施形態に係る瘡蓋剥離ユニット40が有する効果のうち該当する効果をそのまま有する。
【0069】
[第3実施形態]
図11は、第3実施形態における瘡蓋剥離具300の平面図である。図12は、第3実施形態における瘡蓋剥離具300の左側面図である。図13は、図12のE−E線断面図である。
図14は、第3実施形態におけるロックキャップ350を説明するために示す図である。図14(a)はロックキャップ350の正面図であり、図14(b)は図14(a)のF−F線断面図である。
図15は、第3実施形態に係る瘡蓋剥離ユニット44を説明するために示す図である。図15(a)はロックキャップ350から瘡蓋剥離具300を外した状態を示す図であり、図15(b)はロックキャップ350に瘡蓋剥離具300を嵌めた状態を示す図である。
なお、図11図15において、図2図8と同一の部材については同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0070】
第3実施形態に係る瘡蓋剥離ユニット44は、基本的には第1実施形態に係る瘡蓋剥離ユニット40と同様の構成を有するが、凸部及び凹部の位置及び構成が、第1実施形態に係る瘡蓋剥離ユニット40とは異なる。
【0071】
第3実施形態に係る瘡蓋剥離ユニット44は、瘡蓋を剥離するための瘡蓋剥離具300と、ルアーコネクタと接続可能に構成されたロックキャップ350とを備える。
【0072】
瘡蓋剥離具300は、図11図13に示すように、把持部110と、把持部110から一方向(図11の図面左方向)に突出する剥離部120と、剥離部120を囲むように配置された嵌合部330と、嵌合部330の外面に形成された2つの凹部340と、把持部110と嵌合部330との間に配置された鍔部150とを備える。
【0073】
凹部340は、図12に示すように、2つの立設部332の外面にそれぞれ1つずつ、計2つ形成されている。2つの凹部340は、図12に示す方向から瘡蓋剥離具300を見たときに、剥離部120を中心に180度の配置間隔で配置されている。
【0074】
なお、嵌合部330の構成は、第1実施形態で説明した嵌合部130と同様の構成であるため、詳細な説明は省略する。
【0075】
ロックキャップ350は、図14(a)及び図14(b)に示すように、内面に設けられた螺合部360と、ロックキャップ350の側面に設けられたリブ362と、ロックキャップ350の非接続面364に形成された被嵌合部370とを有する。また、ロックキャップ350の被嵌合部370の内面には、2つの凸部366が設けられている。
【0076】
2つの凸部366は、図14(a)に示すロックキャップ350を図面右側から見たときに、被嵌合部370を中心に180度の間隔で形成されている。
【0077】
図15(a)及び図15(b)に示すように、瘡蓋剥離具300における凹部340の深さd3は、ロックキャップ350における凸部366の突出高さh3と同じかそれより大きな値(すなわちd3≧h3)に設定されている。
【0078】
なお、螺合部360、リブ362及び被嵌合部370の構成は、第1実施形態で説明した螺合部60、リブ62及び被嵌合部70と同様の構成であるため、詳細な説明は省略する。
【0079】
このように、第3実施形態に係る瘡蓋剥離ユニット44は、第1実施形態に係る瘡蓋剥離ユニット40とは、凸部及び凹部の位置及び構成が異なるが、第1実施形態に係る瘡蓋剥離ユニット40の場合と同様に、ロックキャップ350の非接続面364に被嵌合部370が設けられているため、第1実施形態で説明した理由と同様の理由により、瘡蓋を剥がす作業を行う際にルアーコネクタの清潔性を損なうことなく、かつ、作業性に優れた瘡蓋剥離ユニットとなる。また、ロックキャップの凸部366及び瘡蓋剥離具300の凹部340による凹凸嵌合によって被嵌合部370と嵌合部330をより強固に嵌め合わせることができるため、ロックキャップ350から瘡蓋剥離具300が不意に外れてしまうのを抑制することが可能となる。
【0080】
第3実施形態に係る瘡蓋剥離ユニット44は、凸部及び凹部の位置及び構成が異なる点以外では、第1実施形態に係る瘡蓋剥離ユニット40と同様の構成を有するため、第1実施形態に係る瘡蓋剥離ユニット40が有する効果のうち該当する効果をそのまま有する。
【0081】
以上、本発明の瘡蓋剥離ユニット及び医療用具を上記の実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0082】
(1)上記各実施形態においては、把持部として、中央部分の厚みが薄くなるように湾曲した形状からなる把持部を例示して説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、把持部の上面及び下面が平面形状であるなど、他の形状から構成されていてもよい。
【0083】
(2)上記各実施形態においては、剥離部の尖端として、図2図4に示す形状からなる尖端を備える場合を例示して説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば鉤爪状の尖端や平板状の尖端など、他の形状からなる尖端を備えていてもよい。また、上記各実施形態においては、マイナスドライバーの先端形状のように、2つの傾斜面が対向配置された剥離部を例示して説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、1つの傾斜面のみが配置された剥離部であってもよいし、鉛筆の先端形状のように、全周にわたって傾斜面が設けられた剥離部であってもよい。
【0084】
(3)上記各実施形態においては、嵌合部に2つのスリットが形成されている場合を例示して説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。スリットの数は1つであってもよいし、3つ以上であってもよいし、スリットが形成されていなくてもよい。
【0085】
(4)上記各実施形態においては、スリットの形状として、剥離部の突出方向と同一方向に伸びる直線状である場合を例示して説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、スリットの根元側(鍔部側)に向かうに従ってスリット幅が広くなる又は狭くなるような形状など、スリットが他の形状からなっていてもよい。
【0086】
(5)上記各実施形態においては、嵌合部が薄板状の立設部で構成されている場合を例示して説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。ロックキャップの被嵌合部と嵌合可能であれば、嵌合部は他の形状で構成されたものであってもよい。
【0087】
(6)上記各実施形態においては、鍔部が正円の板状部材である場合を例示して説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば楕円や多角形など、他の形状であってもよい。
【0088】
(7)上記各実施形態においては、瘡蓋剥離具を構成する各部が、金型により一体成形されている場合を例示して説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、瘡蓋剥離具を構成する各部を個別に作成した後、各部を接合してもよい。瘡蓋剥離具を構成する各部を個別に作成した場合、それら各部は別々の材料から構成されていてもよい。ロックキャップにおいても同様のことが言える。
【0089】
(8)上記各実施形態においては、瘡蓋剥離具の材料としてポリ塩化ビニルを用いるとともに、ロックキャップの材料としてポリプロピレンを用いたが、本発明はこれに限定されるものではなく、他のプラスチック材料を用いてもよい。また、材料としてはプラスチック材料に限定されず、例えば金属材料などを用いてもよい。
【0090】
(9)上記各実施形態においては、ロックキャップの被嵌合部が3層構造(第一層〜第三層)で構成されており、このような構成からなる被嵌合部に嵌合可能な嵌合部を備える瘡蓋剥離具について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。嵌合部の形状が被嵌合部の形状に適合するのであれば、他の構成又は形状からなる被嵌合部を備えるロックキャップに対しても、本発明の瘡蓋剥離具を嵌合可能である。また、第一層の深さa2と嵌合部の突出高さb2は、必ずしも同じ値でなくてもよい。さらにまた、被嵌合部の深さa3と剥離部の突出高さb3との関係について、例えば被嵌合部の深さa3と剥離部の突出高さb3とが同じ値であってもよい。
【0091】
(10)上記第1実施形態においては、瘡蓋剥離具が全体として同一色(半透明の薄い青色)で構成された場合を例示して説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、凸部の部分のみが着色されていてもよい。また、瘡蓋剥離具が半透明の薄い青色で構成され、ロックキャップが半透明の薄い白色で構成されている場合を例示して説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、それぞれ他の色で構成されていてもよい。
【0092】
(11)上記第1実施形態及び第3実施形態においては、凸部と凹部(貫通孔)の形状がほぼ同一形状(矩形状)である場合を例示して説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
図16は、変形例における瘡蓋剥離具400の平面図である。図17は、変形例における瘡蓋剥離具400の左側面図である。
変形例における瘡蓋剥離具400においては、図16及び図17に示すように、第3実施形態で説明した瘡蓋剥離具300(図12参照。)と比べて、凹部440が広範囲にわたって設けられている。このような形状からなる凹部440を備える瘡蓋剥離具400を、図14に示すロックキャップ350の被嵌合部370に嵌めた場合であっても、凹部440と凸部366とが嵌合し合うこととなる。
【0093】
(12)上記第3実施形態においては、嵌合部330の外面に形成された凹部340が貫通孔ではない場合を例示して説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。被嵌合部の内面に凸部が形成されている場合において、嵌合部に形成された凹部が、嵌合部の外面から内面に通じる貫通孔であってもよい。
【0094】
(13)上記各実施形態においては、凸部又は凹部の数が2つ又は4つの場合を例示して説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。嵌合部と被嵌合部を嵌合させることが可能であれば、凸部又は凹部の数が1つ又は3つ以上であってもよい。
【0095】
(14)上記第1実施形態においては、チューブ10、透析針20及びルアーコネクタ30を備える医療用具1を例示して説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えばクランプや混注部材など、他の部材を備えていてもよい。また、本発明の医療用具は、ルアーコネクタ付き透析針セットからなる医療用具に限定されるものではない。例えば、留置針の接続口に本発明の瘡蓋剥離ユニットが接続された医療用具等にも、本発明を適用できることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0096】
1 医療用具
10 チューブ
20 透析針
22 針キャップ
30 ルアーコネクタ
32 接続口
34 被螺合部
40,42,44 瘡蓋剥離ユニット
50,250,350 ロックキャップ
60,260,360 螺合部
62,262,362 リブ
64,264,364 被接続面
66 貫通孔(凹部)
70,270,370 被嵌合部
71,72,73,271,272,273,371,372,373 第一層〜第三層
100,300,400 瘡蓋剥離具
110 把持部
120 剥離部
122 尖端
124 傾斜面
130,330,430 嵌合部
132,332,432 立設部
134 テーパ部
136 平面部
138,338,438 スリット
140,366 凸部
150 鍔部
151 (鍔部の)第一面
152 (鍔部の)第二面
266,340,440 凹部
a1 第一層の内径
a2 第一層の深さ
a3 被嵌合部の深さ
b1 嵌合部の外径
b2 嵌合部の突出高さ
b3 剥離部の突出高さ
d1 貫通孔の深さ
d2,d3 凹部の深さ
h1,h3 凸部の突出高さ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17