特許第5890276号(P5890276)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5890276
(24)【登録日】2016年2月26日
(45)【発行日】2016年3月22日
(54)【発明の名称】電磁ソレノイド
(51)【国際特許分類】
   H01F 7/16 20060101AFI20160308BHJP
【FI】
   H01F7/16 H
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-177819(P2012-177819)
(22)【出願日】2012年8月10日
(65)【公開番号】特開2014-36180(P2014-36180A)
(43)【公開日】2014年2月24日
【審査請求日】2014年12月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000177612
【氏名又は名称】株式会社ミクニ
(74)【代理人】
【識別番号】100104547
【弁理士】
【氏名又は名称】栗林 三男
(72)【発明者】
【氏名】山西 輝英
(72)【発明者】
【氏名】寺田 保男
(72)【発明者】
【氏名】日名子 真輝
(72)【発明者】
【氏名】藤原 一夫
(72)【発明者】
【氏名】小岩 洋
(72)【発明者】
【氏名】四戸 俊
(72)【発明者】
【氏名】小笠原 俊樹
(72)【発明者】
【氏名】大野 剛資
【審査官】 久保田 昌晴
(56)【参考文献】
【文献】 中国特許出願公開第102623131(CN,A)
【文献】 特開2012−156284(JP,A)
【文献】 特開2008−306122(JP,A)
【文献】 実開平7−11887(JP,U)
【文献】 実開平6−34211(JP,U)
【文献】 国際公開第2010/029695(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 7/06−7/17
F16K 31/06−31/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状のコイル部の内側に、固定部が固定状態で設けられるとともに、前記コイル部の軸方向に延在するプランジャが取り付けられた可動ヨークが前記コイル部の軸方向に沿って移動可能に設けられ、前記コイル部の励磁によって前記可動ヨークが前記プランジャとともに前記固定部から離れるように前進し、前記コイル部の消磁によって前記可動ヨークが前記プランジャとともに前記固定部に近づくように後退する電磁ソレノイドにおいて、
前記固定部は、前記プランジャが前記可動ヨークとともに後退して前記固定部に衝突する際の衝撃を吸収する衝撃吸収手段を有し、
前記衝撃吸収手段は、前記固定部の内部に設けられた収容部に前記軸方向に移動可能に設けられ、かつ後退する前記プランジャの衝突を受けて当該プランジャともに後退する受け部材と、前記収容部に設けられて前記受け部材を前進する方向に付勢する付勢部材と、前進する前記受け部材を所定の位置で規制する規制部とを備え、
前記受け部材と、前記収容部に形成されて前記受け部材の後退する方向に対向する対向面との間に緩衝材が設けられ
前記収容部は、円筒状の第1収容部と、この第1収容部の前記受け部材が後退する側に当該第1収容部と同軸に形成された第2収容部とを備え、前記第2収容部は前記第1収容部より小径に形成され、
前記受け部材は、前記第1収容部の内壁面に軸線方向に摺動可能な本体部と、前記本体部の当該受け部材が後退する側に前記本体部より小径に形成された小径部と、前記小径部の当該受け部材が後退する側に前記小径部より小径に形成された軸部と、前記本体部の当該受け部材が前進する側に前記本体部より小径に形成されて前記プランジャの衝突を受ける受け部とを備え、
前記付勢部材は、前記受け部材の前記軸部の外周側を囲むようにして設けられていることを特徴とする電磁ソレノイド。
【請求項2】
前記緩衝材は前記受け部材に取り付けられており、この緩衝材と前記収容部の前記受け部材の移動方向に沿う内壁面との間に隙間が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の電磁ソレノイド。
【請求項3】
前記本体部の前記小径部は前記本体部より小径に形成され、当該小径部の外側に前記緩衝材が取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の電磁ソレノイド。
【請求項4】
前記緩衝材は、前記付勢部材と接触していないことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の電磁ソレノイド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、励磁コイルの励磁によりプランジャが移動する電磁ソレノイドに関する。
【背景技術】
【0002】
電磁ソレノイドは、一般に、励磁コイルの励磁によりプランジャが突出し、励磁コイルが消磁すると、スプリング等の付勢手段や外部負荷によりプランジャが元の位置まで押し込まれるよになっている。
プランジャが押し込まれ元の位置に停止するために、所定位置に固定部材(ストッパ)が固定され、押し込まれたプランジャは固定部材に衝突して元の位置に停止する。
プランジャおよび固定部材は一般的に金属製であり、そのため、プランジャが固定部材に衝突したときに、金属音が発生する。
【0003】
そこで、プランジャまたは固定部材の衝突する部分にエラストマーによる緩衝部材を設け、プランジャと固定部材の衝突に緩衝部材を介在させることで、衝突による衝撃を吸収して衝突音を低減する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1に開示された電磁ソレノイドは、プランジャと固定部材(ストッパ)の互いに対向する双方の衝突部分にエラストマーの緩衝部材が設けられており、衝突による衝撃を緩衝部材が吸収して衝突音を低減している。また、この電磁ソレノイドにおいて、緩衝部材は押し込まれたプランジャを弾性変形しながら受け止めることで、衝撃を吸収しており、緩衝部材は弾性変形したのち、弾性的に復元することで、プランジャを元の所定位置に戻すことになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2004−510327号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、特許文献1に開示された電磁ソレノイドでは、長年にわたって繰り返しプランジャが緩衝部材に衝突することで、質的な経年変化と相まって緩衝部材にヘタリを生じて僅かでも変形してしまうと、プランジャを所定の位置に正確に停止させることができなくなる。
プランジャが所定位置に停止できないと、プランジャのストローク量が変化して被作動部材を正確に動作させることができない。
【0007】
そこで、固定部材にプランジャの衝突を受ける受け部材を移動可能に設け、この受け部材をスプリング等の付勢手段によって付勢することによって、プランジャが衝突する際の衝撃を付勢部材によって吸収することが考えられるが、この場合でも、受け部材が固定部材の一部に当たって衝突音が発生するおそれがある。
【0008】
本発明は前記事情に鑑みてなされたもので、プランジャが衝突することに起因して発生する衝突音を低減し、かつプランジャを常に所定位置に精度良く停止させることができる電磁ソレノイドを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するために、本発明は、円筒状のコイル部の内側に、固定部が固定状態で設けられるとともに、前記コイル部の軸方向に延在するプランジャが取り付けられた可動ヨークが前記コイル部の軸方向に沿って移動可能に設けられ、前記コイル部の励磁によって前記可動ヨークが前記プランジャとともに前記固定部から離れるように前進し、前記コイル部の消磁によって前記可動ヨークが前記プランジャとともに前記固定部に近づくように後退する電磁ソレノイドにおいて、
前記固定部は、前記プランジャが前記可動ヨークとともに後退して前記固定部に衝突する際の衝撃を吸収する衝撃吸収手段を有し、
前記衝撃吸収手段は、前記固定部の内部に設けられた収容部に前記軸方向に移動可能に設けられ、かつ後退する前記プランジャの衝突を受けて当該プランジャともに後退する受け部材と、前記収容部に設けられて前記受け部材を前進する方向に付勢する付勢部材と、前進する前記受け部材を所定の位置で規制する規制部とを備え、
前記受け部材と、前記収容部に形成されて前記受け部材の後退する方向に対向する対向面との間に緩衝材が設けられていることを特徴とする。
【0010】
本発明においては、プランジャが可動ヨークとともに固定部に近づくように後退して、受け部材に衝突すると、当該プランジャが受け部材とともに付勢部材の付勢力に抗して後退することで衝撃が吸収されて衝突音が低減される。
また、受け部材と、収容部に形成されて受け部材の後退する方向に対向する対向面との間に緩衝材が設けられているので、後退している受け部材は対向面に衝突することなく、緩衝材によって衝突音が低減される。したがって、プランジャが衝突することに起因して発生する衝突音を低減することができる。
【0011】
そして、一度後退した受け部材は付勢部材によりプランジャとともに前進するが規制部でその前進が規制されるため、プランジャは所定位置に戻り精度良く位置決めされて停止することができ、よって、常にプランジャのストローク量を一定に維持することができる。
【0012】
本発明の前記構成において、前記緩衝材は前記受け部材に取り付けられており、この緩衝材と前記収容部の前記受け部材の移動方向に沿う内壁面との間に隙間が設けられていることが望ましい。
【0013】
このような構成によれば、緩衝材が受け部材に取り付けられているので、この受け部材を固定部の収容部に収容することによって、緩衝材を容易に組み込むことができる。
また、緩衝材と収容部の受け部材の移動方向に沿う内壁面との間に隙間が設けられているので、緩衝材が受け部材とともに移動しても、この緩衝材が内壁面と干渉することがない。したがって、受け部材の移動がスムーズであるとともに緩衝材が内壁面との摩擦によって損傷することもない。
【0014】
また、本発明の前記構成において、前記緩衝材は前記対向面に設けられていてもよい。
【0015】
このような構成によれば、緩衝材が受け部材に取り付けられていないので、受け部材の移動がスムーズになる。
【0016】
また、本発明の前記構成において、前記緩衝材は、前記付勢部材と接触していないのが好ましい。
【0017】
このような構成によれば、緩衝材が付勢部材と接触していなので、緩衝材と付勢部材とが干渉しない。したがって、スプリングが緩衝材から受ける影響がなく、受け部材の移動がスムーズとなる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、プランジャが受け部材に衝突すると、当該プランジャが受け部材とともに付勢部材の付勢力に抗して後退することで衝撃が吸収され、さらに、後退している受け部材は対向面に衝突することなく、緩衝材によって衝突音が低減される。
また、一度後退した受け部材は付勢部材によりプランジャとともに前進するが規制部でその前進が規制されるため、プランジャは所定位置に戻り精度良く位置決めされて停止することができる。
したがって、プランジャが衝突することに起因して発生する衝突音を低減し、かつプランジャを常に所定位置に精度良く停止させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施の形態に係る電磁ソレノイドの第1の実施の形態を示すもので、その断面図である。
図2】同、固定部の拡大断面図である。
図3】第1の実施の形態に係る電磁ソレノイドの動作を説明するための工程図である。
図4】本発明の他の実施の形態に係る電磁ソレノイドを構成する固定部を示すもので、(a)は第2の実施の形態における固定部の断面図、(b)は第3の実施の形態における固定部の断面図、(c)は第4の実施の形態における固定部の断面図、(d)は第5の実施の形態における固定部の断面図、(e)は第6の実施の形態における固定部の断面図、(f)は第7の実施の形態における固定部の断面図、(g)は第8の実施の形態における固定部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る電磁ソレノイドを示す断面図、図2は当該電磁ソレノイドの固定部の拡大断面図である。
この電磁ソレノイドは、例えば、ディーゼル内燃機関の燃料レバーを停止方向に作動させ、機関を自動停止させるために、または4輪のマニュアルトランスミッション車においてリバースセレクトロックを自動的に行なわせるために用いられるものである。
【0021】
この電磁ソレノイドは、ヨークを兼ねるプランジャガイド部11および固定部12と、可動ヨーク15と、コイル部16とを備えている。
プランジャガイド部11と固定部12とは軸線O方向に対向して配置されており、この固定部12の外周外側に、筒状部15aを有する可動ヨーク15がその軸方向に沿って移動可能に設けられている。また、筒状部15aの外周外側とプランジャガイド部11の外周外側に、円筒状のコイル部16が設けられている。言い換えると、円筒状のコイル部16の内側に、固定部12とプランジャガイド部11とが固定状態で設けられるともに、可動ヨーク15がコイル部16の軸方向に沿って移動可能に設けられている。
【0022】
コイル部16は可動ヨーク15を軸線Oに沿って移動させるものであり、ボビン16aと、このボビン16aに巻き付けられたコイル16bとを備えている。
これらの各部材(プランジャガイド部11、固定部12、可動ヨーク15、コイル部16)は基本的に回転対称に、すなわち断面が円形状に形成され、円筒形のハウジング30の中に収容されている。
【0023】
前記可動ヨーク15は、コイル16bへの通電によるコイル部16の励磁(ОN状態)によって固定部12から離れるように前進し、コイル部16の消磁(ОFF状態)によって固定部12に近づくように後退するようになっている。
なお、図1においては、軸線Оより左側は可動ヨーク15がプランジャガイド部11側に移動した状態(ON状態)、軸線Оより右側は可動ヨーク15が固定部12側に位置している状態(OFF状態)を示している。
【0024】
可動ヨーク15は、軸線O方向に沿って延びる筒状部15aと、この筒状部15aの下端に形成された底部15bとによってカップ状(有底円筒状)に形成されており、底部15bの中央部には、上方に突出する凸部15cが形成されている。この凸部15cに前記底部15bの下面まで貫通する貫通孔が形成されている。この貫通孔に前記プランジャ20の先端部が挿入されて固定されている。また、プランジャ20の先端部は凸部15cより上方に突出している。このように、プランジャ20は可動ヨーク15に固定されているので、当該可動ヨーク15とともに軸線Oに沿って移動するようになっている。
また、プランジャガイド部11には軸線Oに沿って貫通孔11aが形成され、この貫通孔11aに2つの軸受17,17を介してプランジャ20が移動自在に挿通され、このプランジャ20の先端は可動ヨーク15に固定されている。なお、プランジャガイド部11の外周部にはリング状の鍔状部21が設けられており、この鍔状部21の外周部にハウジング30の下端部が係合している。
【0025】
前記固定部12は、図2に示すように、その上端部に前記鍔状部22を一体的に形成して構成されており、当該固定部12の内部に衝撃吸収手段31を有している。
この衝撃吸収手段31は、前記プランジャ20が可動ヨーク15とともに後退して固定部12に衝突する際の衝撃を吸収するものであり、以下のように構成されている。
すなわちまず、固定部12の内部には収容部32が形成されている。この収容部32は略円筒状に形成されており、その下端は開口され、上端は閉塞されている。
収容部32は円筒状の第1収容部32aと、この第1収容部32aの上端に当該第1収容部32aと同軸に形成された第2収容部32bとを備えており、第2収容部32bは第1収容部32aより小径となっている。また、第1収容部32aの下端側には円筒状の大径部33が第1収容部32aと同軸に形成されている。この大径部33には、可動ヨーク15が後退してきた際に当該可動ヨーク15の凸部15cが収容されるようになっている。
【0026】
また、第1収容部32aには受け部材35が軸線(O)方向に移動可能に設けられている。この受け部材35は、可動ヨーク15とともに後退するプランジャ20の衝突を受けて当該プランジャ20とともに後退するものであり、略円柱状に形成されている。
受け部材35は第1収容部32aの内壁面に軸線方向に摺動可能な本体部35aと、この本体部35aの上端面に当該本体部35aより小径に形成された小径部35bと、この小径部35bの上端面に当該小径部35bより小径に形成された軸部35cと、本体部35aの下端面に当該本体部35aより小径に形成されて前記プランジャ20の衝突を受ける受け部35dとを備えている。
【0027】
前記軸部35cは第2収容部32bに収容されており、この第2収容部32bに受け部材35を前進する方向(図1において下方)に付勢する付勢部材としてのスプリング36が前記軸部35cの外周側を囲むようにして収容されている。スプリング36は圧縮された状態で収容されており、その上端部は第2収容部32bの上面に当接され、下端部は前記小径部35bの上面外周部に当接されている。
【0028】
また、第1収容部32aの下端部には、規制部37が設けられている。この規制部37は前進する受け部材35を所定の位置で規制して、それ以上の前進を規制するものである。規制部37はリング状のプレートで形成されており、第1収容部32aの下端部内壁面に形成された環状の凹部に嵌め込まれて固定されている。規制部37の内側には受け部材35の受け部35dが挿通され、当該受け部35の先端(図1において下端)は、規制部37より下方に突出している。これによって、受け部35dには前記プランジャ20が衝突可能となっている。
【0029】
また、前記収容部32の第1収容部32aの上面は、受け部材35の後退する方向(図1において上方)に対向する対向面38となっている。そして、受け部材35と対向面38との間に緩衝材40が設けられている。
この緩衝材40は、受け部材35の本体部35aが対向面38に衝突する際の衝撃を吸収するものであり、例えばリング状のゴムで形成されている。このリング状の緩衝材40は、受け部材35の小径部35bの外周面に装着されるとともに、本体部35aの上面に当接して設けられている。また、緩衝材40と第1収容部の内壁面(受け部材の移動方向に沿う内壁面)との間には所定の隙間Sが設けられている。
【0030】
また、緩衝材40の上下方向の長さは、受け部材35が前進して規制部37に当接している状態において、緩衝材40と対向面38との間の隙間が受け部材35の軸部35cと第2収容部32bの上面38aとの間の隙間より小さくなるように、設定されている。したがって、受け部材35が後退(図2において上方に移動)した場合、緩衝材40が対向面38に衝突してそれ以上の受け部材35の後退を阻止するので、軸部35cは第2収容部32bの上面に衝突しない。
また、緩衝材40は、受け部材35の小径部35bの外周面に装着される一方、スプリング36の下端は小径部35bの上端面に当接されている。したがって、緩衝材40とスプリング36とは接触していない。
【0031】
次に、本実施の形態における電磁ソレノイドの動作について図3を参照して説明する。
図3(a)は、コイル部16(図1参照)が励磁されることにより、可動ヨーク15が固定部12から離れるように前進している状態を示している。この状態において、可動ヨーク15に固定されているプランジャ20は可動ヨーク15とともに前進して、固定部12から離間している。また、衝撃吸収手段31の受け部材35はスプリング36によって、前進する方向(図3において下方)に付勢され、規制部37に当接してそれ以上の前進が規制された状態となっている。
【0032】
次に、コイル部6が消磁されると、図3(b)に示すように、プランジャ20が外部負荷(図示略)によって押されて可動ヨーク15とともに固定部12に近づくように後退していき、プランジャ20が受け部材35の受け部35dに衝突する。すると、当該プランジャ20が受け部材35とともにスプリング36の付勢力に抗して後退することで衝撃が吸収されて衝突音が低減される。
【0033】
さらに、図3(c)に示すように、受け部材35がプランジャ20によって押されて後退して行くが、受け部材35の本体部35aの上面に緩衝材40が設けられているので、この緩衝材40が前記対向面38に衝突する。したがって、後退している受け部材35は対向面38に衝突することなく、緩衝材40によって衝突音が低減される。
【0034】
その後、図3(d)に示すように、一度後退した受け部材35はスプリング36の付勢力によって前進する方向に押され、プランジャ20とともに前進するが、規制部37に受け部材35の本体部35aの下面が当たって、当該規制部37でその前進が規制されるため、プランジャ20は所定位置に戻って停止する。
【0035】
このように、本実施の形態によれば、コイル部16が消磁されると、プランジャ20が外部負荷に押されて、可動ヨーク15とともに固定部12に近づくように後退して、受け部材35の受け部35dに衝突すると、当該プランジャ20が受け部材35とともにスプリング36の付勢力に抗して後退することで衝撃が吸収されて衝突音が低減される。
さらに、受け部材35に緩衝材40が取り付けられているので、つまり、受け部材35と対向面38との間に緩衝材40が設けられているので、後退している受け部材35は対向面38に衝突することなく、緩衝材40によって衝突音が低減される。したがって、プランジャ20が衝突することに起因して発生する衝突音を低減することができる。
【0036】
なお、衝突音について実験を行ったところ、受け部材35とスプリング36を有する衝撃吸収手段31および緩衝材40の双方がない電磁ソレノイドの衝突音は74dB程度、衝撃吸収手段31のみを備えた電磁ソレノイドの衝突音は66dB程度、衝撃吸収手段31および緩衝材40の双方を備えた電磁ソレノイドの衝突音は50dB程度あり、衝突音が大幅に低減できていることが確認できた。
【0037】
また、一度後退した受け部材35はスプリング36の付勢力によってプランジャ20とともに前進するが規制部37でその前進が規制されるため、プランジャ20は所定位置に戻り精度良く位置決めされて停止することができ、よって、常にプランジャ20のストローク量を一定に維持することができる。
加えて、緩衝材40は受け部材35の小径部35bに装着されており、この緩衝材40と第1収容部32aの内壁面との間に隙間が設けられているので、緩衝材40が受け部材35とともに移動しても、この緩衝材40が前記内壁面と干渉することがない。したがって、受け部材35の移動がスムーズであるとともに緩衝材40が内壁面との摩擦によって損傷することがない。
【0038】
また、緩衝材40が受け部材35に取り付けられているので、この受け部材35を固定部12の収容部32に収容することによって、緩衝材40を容易に組み込むことができる。
さらに、緩衝材40は、受け部材35の小径部35bの外周面に装着され、スプリング36の下端は小径部35bの上端面に当接されており、緩衝材40とスプリング36とは接触していないので、緩衝材40とスプリング36とが干渉しない。したがって、スプリング36が緩衝材40から受ける影響がなく、受け部材35の移動がスムーズとなる。
【0039】
図4(a)〜図4(g)はそれぞれ本発明の他の実施の形態を示す断面図である。
これらの図に示す他の実施の形態における電磁ソレノイドが、前記第1の実施の形態における電磁ソレノイドと異なる点は、固定部12の内部に設けられている受け部材、スプリング(付勢部材)、緩衝材等の形状や配置位置であり、他の構成部分は第1の実施の形態と同様であるので、同一構成部分には同一符号を付してその説明を省略する。また、他の実施の形態では、固定部12以外の部分は第1の実施の形態と同様であるので、図4(a)〜図4(g)では固定部12のみを図示している。
【0040】
図4(a)に示す第2の実施の形態では、緩衝材41が固定部12の第2収容部32bの上面38aに設けられている。この上面38aは受け部材35の後退する方向に対向する対向面38aの1つである。また、第1の実施の形態と同様、収容部32には対向面38が形成されている。
【0041】
緩衝材41は、略円柱状に形成されており、大径部41aと小径部41bとを備え、大径部41aと小径部41bとの間に首部が形成されている。このような緩衝材41は、小径部41bを受け部材35の軸部35cに対向して設けられている。小径部41bの直径は受け部材35の軸部35cより大きくなっている。また、スプリング36の上端は緩衝材41の首部に係止されている。また、緩衝材41の上下方向の長さは、受け部材35が前進して規制部37に当接している状態において、緩衝材41と受け部材35の軸部35cとの間の隙間が受け部材35の本体部35aと対向面38との間の隙間より小さくなるように、設定されている。
【0042】
このような構成によれば、後退している受け部材35は本体部35aが対向面38に衝突することなく、軸部35cが緩衝材41に衝突して、この緩衝材41によって衝突音が低減される。また、緩衝材41が対向面38aに設けられており、受け部材35に取り付けられていないので、受け部材35の移動がスムーズになる。
【0043】
図4(b)に示す第3の実施の形態では、第2の実施の形態と同様、緩衝材42が固定部12の第2収容部32bの上面に設けられているが、この上面に凸部32cが形成され、この凸部32cに緩衝材42が嵌め込まれている。緩衝材42は円柱状に形成されており、その上端面に凹部が形成され、この凹部が前記凸部32cに嵌合している。
また、緩衝材42の上下方向の長さは、受け部材35が前進して規制部37に当接している状態において、緩衝材42と受け部材35の軸部35cとの間の隙間が受け部材35の本体部35aと対向面38との間の隙間より小さくなるように、設定されている。
【0044】
このような構成によれば、第2の実施の形態と同様に、後退している受け部材35は本体部35aが対向面38に衝突することなく、軸部35cが緩衝材42に衝突して、この緩衝材42によって衝突音が低減される。
また、緩衝材42が凸部32cに嵌め込まれているので、緩衝材42を容易に位置決めして取り付けることができる。
【0045】
図4(c)に示す第4の実施の形態では、第2の実施の形態と同様に、緩衝材43が固定部12の第2収容部32bの上面38aに設けられている。緩衝材43は前記緩衝材41より薄い円板状に形成されている。また、スプリング36の上端は緩衝材43の表面に当接されている。また、緩衝材43の厚さは、受け部材35が前進して規制部37に当接している状態において、緩衝材43と受け部材35の軸部35cとの間の隙間が受け部材35の本体部35aと対向面38との間の隙間より小さくなるように、設定されている。
このような構成によれば、前記第2の実施の形態と同様の効果が得られる。
【0046】
図4(d)に示す第5の実施の形態では、緩衝材44が受け部材35の軸部35cに取り付けられている。緩衝材44は円柱状に形成されており、その下端面に凹部が形成され、この凹部が軸部35cに嵌合している。
第2収容部32bの上面(対向面)38aは受け部材35の後退する方向に対向する対向面の1つである。
また、緩衝材44の上下方向の長さは、受け部材35が前進して規制部37に当接している状態において、緩衝材44と対向面38aとの間の隙間が受け部材35の本体部35aと対向面38との間の隙間より小さくなるように、設定されている。
【0047】
このような構成によれば、後退している受け部材35は本体部35aが対向面38に衝突することなく、軸部35cに取り付けられている緩衝材44が対向面38aに衝突して、この緩衝材44によって衝突音が低減される。
【0048】
図4(e)に示す第6の実施の形態では、前記第5の実施の形態と同様、緩衝材45が受け部材35の軸部35cに取り付けられているが、この取り付け方が第5の実施の形態と異なる。
すなわち、緩衝材45はその下面に取付軸45aを有している。一方、軸部35cには取付孔が形成されており、この取付孔に取付軸45aが挿入されている。これによって、緩衝材45が受け部材35の軸部35cに取り付けられている。
このような構成によれば、第5の実施の形態と同様に効果が得られる。
【0049】
図4(f)に示す第7の実施の形態では、緩衝材46がリング状に形成されている。一方、受け部材35の軸部35cは。第1〜第6の実施の形態の軸部35cに比べて短く形成されており、この軸部35cの外周面に緩衝材46が装着されている。また、緩衝材46と第2収容部32bの内壁面との間には所定の隙間が設けられている。
緩衝材46の上下方向の長さは、受け部材35が前進して規制部37に当接している状態において、緩衝材46と対向面38aとの間の隙間が受け部材35の本体部35aと対向面38との間の隙間より小さくなるように、設定されている。
また、軸部35cには凹部が形成されており、この凹部に付勢部材としてのスプリング36aが挿入され、このスプリング36aの上端部が対向面38aに当接されている。
【0050】
このような構成によれば、後退している受け部材35は本体部35aが対向面38に衝突することなく、軸部35cに取り付けられている緩衝材46が対向面38aに衝突して、この緩衝材46によって衝突音が低減される。
【0051】
図4(g)に示す第8の実施の形態では、第1の実施の形態と同様に、緩衝材47が受け部材35の小径部35bの外周部に装着されているが、この装着の仕方が第1の実施の形態と異なる。
本実施の形態では、小径部35bの外周部に環状の外フランジ48aが形成されている。また、緩衝材47はその下部に内側に環状に突出する内フランジ48bが形成されている。そして、この内フランジ48bを外フランジ48aの下側に嵌め込むことによって、緩衝材47が受け部材35の小径部35bの外周部に装着されている。
また、 緩衝材47の上下方向の長さは、受け部材35が前進して規制部37に当接している状態において、緩衝材47と対向面38との間の隙間が受け部材35の軸部35cと第2収容部32bの上面38aとの間の隙間より小さくなるように、設定されている。
【0052】
このような構成によれば、第1の実施の形態と同様の効果を得られる他、緩衝材47を受け部材35に強固に取り付けることができる。
【符号の説明】
【0053】
12 固定部
15 可動ヨーク
16 コイル部
20 プランジャ
31 衝撃吸収手段
32 収容部
35 受け部材
36 スプリング(付勢部材)
37 規制部
38,38a 対向面
40〜46 緩衝材
図1
図2
図3
図4