特許第5890307号(P5890307)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5890307
(24)【登録日】2016年2月26日
(45)【発行日】2016年3月22日
(54)【発明の名称】アップリンク送信電力制御方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   H04W 52/24 20090101AFI20160308BHJP
   H04W 72/04 20090101ALI20160308BHJP
【FI】
   H04W52/24
   H04W72/04 111
【請求項の数】19
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2012-525867(P2012-525867)
(86)(22)【出願日】2010年6月13日
(65)【公表番号】特表2013-503520(P2013-503520A)
(43)【公表日】2013年1月31日
(86)【国際出願番号】CN2010073919
(87)【国際公開番号】WO2011023021
(87)【国際公開日】20110303
【審査請求日】2013年5月30日
(31)【優先権主張番号】200910167596.3
(32)【優先日】2009年8月28日
(33)【優先権主張国】CN
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】511207729
【氏名又は名称】ゼットティーイー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100118256
【弁理士】
【氏名又は名称】小野寺 隆
(72)【発明者】
【氏名】ペイ ジン
(72)【発明者】
【氏名】ルー ジャオフア
(72)【発明者】
【氏名】リウ クン
(72)【発明者】
【氏名】リウ イン
【審査官】 石川 雄太郎
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2009/070610(WO,A2)
【文献】 国際公開第2007/146891(WO,A2)
【文献】 特表2011−508467(JP,A)
【文献】 特表2009−540766(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/060303(WO,A2)
【文献】 国際公開第2008/055132(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 4/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基地局が、端末へ一つ又は複数のサブフレームを含むサブフレーム集合における各サブフレームの周波数パーティションに対応するγ値の情報を送信し、各々の周波数パーティションに対してγ値を設定して異なる周波数パーティションのアップリンク妨害レベルを制御するステップを含み、
前記基地局が前記端末へ前記サブフレーム集合における周波数パーティションに対応する前記γ値の情報を送信した後、更に、
前記端末が前記情報を受信した後、異なる周波数パーティションに対応する前記γ値に従って対応する周波数パーティションにおける送信電力を定めることを含むことを特徴とするアップリンク送信電力制御方法。
【請求項2】
前記サブフレーム集合における異なるサブフレームに対応する前記γ値が同一又は相違であることを特徴とする請求項1に記載のアップリンク送信電力制御方法。
【請求項3】
前記サブフレーム集合における異なるサブフレームにおける周波数パーティションの分割方式が同一又は相違であることを特徴とする請求項1に記載のアップリンク送信電力制御方法。
【請求項4】
前記サブフレーム集合における各サブフレームの周波数パーティションの分割方式が同一で且つ各周波数パーティションに対応するγ値が同一である時、前記γ値を一つのみ送信し、前記サブフレーム集合が周波数パーティションにおける全部のサブフレーム又は一部のサブフレームであることを特徴とする請求項1に記載のアップリンク送信電力制御方法。
【請求項5】
前記基地局が前記端末へ前記サブフレーム集合における周波数パーティションに対応する前記γ値の情報を送信することは、
前記基地局が前記端末へ前記サブフレーム集合における全部又は一部の周波数パーティションに対応する前記γ値の情報を送信することを含み、その中、一部の周波数パーティションに対応するγ値の情報を送信する場合、前記端末は、デフォルトγ値又は前記端末の最近獲得した未送信の周波数パーティションに対応するγ値を、未送信の周波数パーティションに対応するγ値として用いることを特徴とする請求項1に記載のアップリンク送信電力制御方法。
【請求項6】
前記基地局がマルチキャストシグナリング、ユニキャストシグナリング又はブロードキャストシグナリングを介して前記端末へ前記サブフレーム集合における周波数パーティションに対応する前記γ値の情報を送信することを特徴とする請求項1に記載のアップリンク送信電力制御方法。
【請求項7】
基地局が上層エンティティへ全部又は一部の周波数パーティションに対応するγ値の情報を送信し、各々の周波数パーティションに対してγ値を設定して異なる周波数パーティションのアップリンク妨害レベルを制御するステップを含み、
前記上層エンティティが自己管理ネットワークSONであり、
前記基地局が、前記SONへ、予定周期のトリガーと、前記SONの全体の性能が第一の条件を満たす時のトリガーと、ネットワークユニットの性能が第二の条件を満たす時のトリガーとのうちの少なくとも一つを含む予め定められたトリガーメカニズムに準じて前記γ値の情報を送信し、
前記第一の条件が、前記SONのサービス品質閾値が前記SONの予定のサービス品質閾値より小さい、前記SONのネットワーク効率閾値が前記SONの予定のネットワーク効率閾値より小さい、前記SONのスルーアウト閾値が前記SONの予定のスルーアウト閾値より小さい、前記SONのセルカバー閾値が前記SONの予定のセルカバー閾値より小さい、前記SONのセル容量閾値が前記SONの予定のセル容量閾値より小さい、周波数パーティションの数が変更した、周波数パーティションの送信電力が変更した、周波数パーティションの目標IOTレベルが変更した、基地局がネットワークに参加したという条件のうちの少なくとも一つを含み、
前記第二の条件が、前記ネットワークユニットのサービス品質閾値が前記ネットワークユニットの予定のサービス品質閾値より小さい、前記ネットワークユニットのネットワーク効率閾値が前記ネットワークユニットの予定のネットワーク効率閾値より小さい、前記ネットワークユニットのスルーアウト閾値が前記ネットワークユニットの予定のスルーアウト閾値より小さい、前記ネットワークユニットのセルカバー閾値が前記ネットワークユニットの予定のセルカバー閾値より小さい、前記ネットワークユニットのセル容量閾値が前記ネットワークユニットの予定のセル容量閾値より小さい、周波数パーティションの数が変更した、周波数パーティションの送信電力が変更した、周波数パーティションの目標の希望のアップリンク妨害ノイズ比率のレベルが変更した、基地局がネットワークに参加したという条件のうちの少なくとも一つを含むことを特徴とするアップリンク送信電力制御方法。
【請求項8】
前記γ値は、第一予定時間調整して得られた収束したγ値であるγ値の収束値と、第一予定時間内のγ値の瞬時値と、第一予定時間内のγ値の統計平均値とのうちの少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項7に記載のアップリンク送信電力制御方法。
【請求項9】
一予定時間が、一つ又は複数のサブフレームと、一つ又は複数のフレームと、一つ又は複数のスーパーフレームとのうちの一つを含むことを特徴とする請求項7に記載のアップリンク送信電力制御方法。
【請求項10】
前記SONが、ネットワークユニットとネットワークユニットにおける機能モジュールとのうちの少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項7乃至9のいずれかに記載のアップリンク送信電力制御方法。
【請求項11】
前記ネットワークユニットが、基地局、中継設備、サーバ、基地局コントローラ、アクセスサービスネットワーク、接続サービスネットワーク、コアネットワーク及びコアネットワークゲートウエイのうちの少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項7乃至9のいずれかに記載のアップリンク送信電力制御方法。
【請求項12】
SONが基地局へ全部又は一部の周波数パーティションに対応する参考γ値の情報を送信し、各々の周波数パーティションに対してγ値を設定して異なる周波数パーティションのアップリンク妨害レベルを制御するステップを含み、
前記SONが、基地局へ、全部又は一部の周波数パーティションに対応する参考γ値の情報を送信した後、更に、
基地局が前記参考γ値に従って全部又は一部の周波数パーティションに対応するγ値を調整することを含み、
前記SONが、予定周期のトリガーと、前記SONの全体の性能が第一の条件を満たす時のトリガーと、ネットワークユニットの性能が第二の条件を満たす時のトリガーとのうちの少なくとも一つを含む予め定められたトリガーメカニズムに準じて前記参考γ値を算出し、
前記第一の条件が、前記SONのサービス品質閾値が前記SONの予定のサービス品質閾値より小さい、前記SONのネットワーク効率閾値が前記SONの予定のネットワーク効率閾値より小さい、前記SONのスルーアウト閾値が前記SONの予定のスルーアウト閾値より小さい、前記SONのセルカバー閾値が前記SONの予定のセルカバー閾値より小さい、前記SONのセル容量閾値が前記SONの予定のセル容量閾値より小さい、周波数パーティションの数が変更した、周波数パーティションの送信電力が変更した、周波数パーティションの目標IOTレベルが変更した、基地局がネットワークに参加したという条件のうちの少なくとも一つを含み、
前記第二の条件が、前記ネットワークユニットのサービス品質閾値が前記ネットワークユニットの予定のサービス品質閾値より小さい、前記ネットワークユニットのネットワーク効率閾値が前記ネットワークユニットの予定のネットワーク効率閾値より小さい、前記ネットワークユニットのスルーアウト閾値が前記ネットワークユニットの予定のスルーアウト閾値より小さい、前記ネットワークユニットのセルカバー閾値が前記ネットワークユニットの予定のセルカバー閾値より小さい、前記ネットワークユニットのセル容量閾値が前記ネットワークユニットの予定のセル容量閾値より小さい、周波数パーティションの数が変更した、周波数パーティションの送信電力が変更した、周波数パーティションの目標の希望のアップリンク妨害ノイズ比率のレベルが変更した、基地局がネットワークに参加したという条件のうちの少なくとも一つを含むことを特徴とするアップリンク送信電力制御方法。
【請求項13】
前記SONが前記基地局へ全部又は一部の周波数パーティションに対応する前記参考γ値の情報を送信する前に、更に、
前記基地局が前記SONへ全部又は一部の周波数パーティションに対応するγ値の情報を送信するステップを含むことを特徴とする請求項12に記載のアップリンク送信電力制御方法。
【請求項14】
前記SONが前記基地局へ前記参考γ値の情報を送信する態様が、前記SONが前記基地局へ前記参考γ値の絶対値を送信することと、前記SONが前記基地局へ前記参考γ値と前記基地局から前記SONへ送信された前記γ値との差の値を送信することのうちの一つを含むことを特徴とする請求項13に記載のアップリンク送信電力制御方法。
【請求項15】
前記SONが前記基地局へ前記全部又は一部の周波数パーティションに対応する前記参考γ値の情報を送信した後、更に、
前記基地局が前記参考γ値に従って全部又は一部の周波数パーティションに対応するγ値を調整することを含むことを特徴とする請求項12に記載のアップリンク送信電力制御方法。
【請求項16】
前記SONが、ネットワークユニットとネットワークユニットにおける機能モジュールとのうちの少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項12乃至15のいずれかに記載のアップリンク送信電力制御方法。
【請求項17】
前記ネットワークユニットが、基地局、中継設備、サーバ、基地局コントローラ、アクセスサービスネットワーク、接続サービスネットワーク、コアネットワーク及びコアネットワークゲートウエイのうちの少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項16に記載のアップリンク送信電力制御方法。
【請求項18】
基地局に位置するアップリンク送信電力制御装置であって、
上層エンティティへ全部又は一部の周波数パーティションに対応するγ値の情報を送信し、各々の周波数パーティションに対してγ値を設定して異なる周波数パーティションのアップリンク妨害レベルを制御する送信モジュールを含み、
前記装置は、
前記上層エンティティが送信した全部又は一部の周波数パーティションに対応する参考γ値の情報を受信する受信モジュールと、
前記参考γ値に従って前記全部又は一部の周波数パーティションに対応するγ値を調整する調整モジュールを更に含むことを特徴とするアップリンク送信電力制御装置。
【請求項19】
前記基地局が、SONへ、予定周期のトリガーと、前記SONの全体の性能が第一の条件を満たす時のトリガーと、ネットワークユニットの性能が第二の条件を満たす時のトリガーとのうちの少なくとも一つを含む予め定められたトリガーメカニズムに準じて前記γ値の情報を送信し、
前記第一の条件が、前記SONのサービス品質閾値が前記SONの予定のサービス品質閾値より小さい、前記SONのネットワーク効率閾値が前記SONの予定のネットワーク効率閾値より小さい、前記SONのスルーアウト閾値が前記SONの予定のスルーアウト閾値より小さい、前記SONのセルカバー閾値が前記SONの予定のセルカバー閾値より小さい、前記SONのセル容量閾値が前記SONの予定のセル容量閾値より小さい、周波数パーティションの数が変更した、周波数パーティションの送信電力が変更した、周波数パーティションの目標IOTレベルが変更した、基地局がネットワークに参加したという条件のうちの少なくとも一つを含み、
前記第二の条件が、前記ネットワークユニットのサービス品質閾値が前記ネットワークユニットの予定のサービス品質閾値より小さい、前記ネットワークユニットのネットワーク効率閾値が前記ネットワークユニットの予定のネットワーク効率閾値より小さい、前記ネットワークユニットのスルーアウト閾値が前記ネットワークユニットの予定のスルーアウト閾値より小さい、前記ネットワークユニットのセルカバー閾値が前記ネットワークユニットの予定のセルカバー閾値より小さい、前記ネットワークユニットのセル容量閾値が前記ネットワークユニットの予定のセル容量閾値より小さい、周波数パーティションの数が変更した、周波数パーティションの送信電力が変更した、周波数パーティションの目標の希望のアップリンク妨害ノイズ比率のレベルが変更した、基地局がネットワークに参加したという条件のうちの少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項18に記載のアップリンク送信電力制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信領域に関し、具体的に、アップリンク送信電力制御方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信システムにおいて、基地局は端末にサービスを提供する設備であり、アップリンク及びダウンリンクによって端末と通信を行う。ここで、ダウンリンク(即ち、フォーワード)は、基地局から端末への方向を指し、アップリンク(即ち、逆方向へ)は、端末から基地局への方向を指す。複数の端末は、アップリンクを介して基地局へデータを同時に送信したり、ダウンリンクを介して基地局からデータを同時に受信したりすることができる。
【0003】
無線通信システムの周波数スペクトラムの利用効率を更に向上させるために、各自のセルができる限り全部の周波数リソースを使用することが好ましいが、この場合、セル間で同じ周波数リソースを使用するユーザの間に存在する相互妨害は、無線通信システムにおけるアップリンク性能にひどい影響を与えるものとなる。検討したところ、アップリンク送信電力を合理的に制御することによって、アップリンクセル間の妨害を効率よく制御することができる。例えば、従来の技術では、システムの周波数の帯域全体における異なる周波数パーティション(Frequency Partition、FPと略称する)に対して、異なる所望のアップリンク妨害ノイズ比率(Interference over Thermal Noise Ratio、IoTと略称する)の値を設けて、式
【数1】
に従ってユーザ送信電力を算出する(ここで、γは周波数パーティションの所望のアップリンクIoT因子を表す)。上記式は、アップリンクに使用可能な送信電力に対する制御によって、セル間におけるアップリンク妨害を制御できるが、しかし、上記方案において、γ値は周波数のパーティションの全てのサブフレームに対するものであり、且つ、システムは周波数リソース全体を周波数パーティションに一回しか分割しなく、各周波数パーティションのγの値も一回しか賦与しないので、アップリンクセル間における妨害制御の柔軟性が低下されることとなって、無線通信システムのアップリンク性能に影響を与えてしまう。
【0004】
日増しに煩雑になっている移動通信環境の需要を満たすためには、システムのネットワーク全体性能、カバー性能と転送量を最適化させることを目的として、今の無線通信ネットワークは、多量の係る設備からアップリンク報告された測定情報を動的に分析する能力が要求され、且つ係る設備の配置パラメーターの調整情報を提出する必要がある。自己管理ネットワーク(Self−Organization Network、SONと略称する)は、BSとMSがエアーインターフェース(Air Interface)で測定し得られた相関データを分析することによって、BSを指導しそのパラメーター配置を相応的に調整させるもので、より少ない人工干渉でシステムのネットワーク全体性能、カバー性能と転送量を最適化する目的に達する。SONは、通常、自己配置(self configuration)と自己最適化(self optimization)という二つの部分を含む。自己配置は、セル初期化、隣りセルの発見、マクロBS自己配置などを含むBSの初期化及び自動配置のプロセスである。自己最適化は、BS/MSからの自己管理ネットワーク技術に関係する測定結果を分析してBSのパラメーターを精細に調節することによって、システムの性能(例えば、サービス品質、ネットワーク効率、スルーアウト、セルカバー、セル容量)を最適化するプロセスである。SONにおいて、FFR(Friction Frequency Reuse、部分周波数多重化)の自己最適化(Self−Optimizing FFR)を実現するために、システムの性能を最適化する時、SONネットワークとBSとの間で必要なシグナリングのやりとりが要求される。SONは、BSからアップリンク報告された必要な情報を分析することで、相関シグナリングを送信して各自BSのFFR情報の配置及び相応配置パラメーターの動的な調整を指導する。アップリンクFFRが電力制御アルゴリズムと密接な関係がある。従来の技術において、SONとBSとの間のγ値の調整方案に欠けるので、アップリンクセル間の妨害制御が制限されることになり、FFRの自己最適化に影響を与えている。
【0005】
相関技術に存在する、端末のγ値に対する基地局の調整の柔軟性が不十分である一方、SONとBSとの間にγ値の調整方案に欠けているので、FFRの自己最適化に影響を与えてしまう問題に対して、今、まだ、有効な解決方案が提出されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、従来の技術に存在する、γ値の調整が柔軟ではなく、又はSONとBSとの間にγ値の調整が行われない問題に鑑みなされたもので、上記問題の少なくとも一つを解決できるアップリンク送信電力制御方法及び装置を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的に達するために、本発明は、アップリンク送信電力制御方法を提供する。
【0008】
本発明に係るアップリンク送信電力制御方法は、基地局が、端末へ一つ又は複数のサブフレームを含むサブフレーム集合のうちの各サブフレームにおける周波数パーティションに対応するγ値の情報を送信することを含む。
【0009】
サブフレーム集合における異なるサブフレームに対応するγ値が同一又は相違であることが好ましい。
【0010】
サブフレーム集合における異なるサブフレームの周波数パーティションの分割方式が同一又は相違であることが好ましい。
【0011】
サブフレーム集合における各サブフレームの周波数パーティションの分割方式が同一で且つ各周波数パーティションに対応するγ値が同一である時、γ値を一つしか送信しないことが好ましい。この場合において、サブフレーム集合が全部のサブフレームであってもよいし、一部のサブフレームであってもよい。
【0012】
基地局が端末へサブフレーム集合における周波数パーティションに対応するγ値の情報を送信することは、基地局が端末へサブフレーム集合における全部又は一部の周波数パーティションに対応するγ値の情報を送信することを含み、その中、一部の周波数パーティションに対応するγ値の情報を送信する場合、端末は、デフォルトγ値又は端末の最近獲得した未送信の周波数パーティションに対応するγ値を、未送信の周波数パーティションに対応するγ値として用いることが好ましい。
【0013】
基地局がマルチキャストシグナリング、ユニキャストシグナリング又はブロードキャストシグナリングを介して端末へサブフレーム集合における周波数パーティションに対応するγ値の情報を送信することが好ましい。
【0014】
上記方法において、基地局が端末へサブフレーム集合における周波数パーティションに対応するγ値の情報を送信した後、更に、基地局が情報を受信した後、異なる周波数パーティションに対応するγ値に従って対応する周波数パーティションにおける送信電力を定めることを含むことが好ましい。
【0015】
上記目的を実現するために、本発明は、アップリンク送信電力制御方法を提供する。
本発明に係わるアップリンク送信電力制御方法は、基地局が上層エンティティへ全部又は一部の周波数パーティションに対応するγ値の情報を送信することを含む。前記上層エンティティが自己管理ネットワークSONであることができる。
【0016】
γ値は、第一予定時間調整して得られた収束したγ値であるγ値の収束値と、第一予定時間内のγ値の瞬時値と、第一予定時間内のγ値の統計平均値とのうちの少なくとも一つを含むことが好ましい。
【0017】
第一予定時間が、一つ又は複数のサブフレームと、一つ又は複数のフレームと、一つ又は複数のスーパーフレームとのうちの一つを含むことが好ましい。
【0018】
SONが、ネットワークユニットとネットワークユニットにおける機能モジュールとのうちの少なくとも一つを含むことが好ましい。
【0019】
ネットワークユニットが、基地局、中継設備、サーバ、基地局コントローラ、アクセスサービスネットワーク、接続サービスネットワーク、コアネットワーク及びコアネットワークゲートウエイのうちの少なくとも一つを含むことが好ましい。
【0020】
基地局が、SONへ、予定周期のトリガーと、SON全体の性能が第一の条件を満たす時のトリガーと、ネットワークユニットの性能が第二の条件を満たす時のトリガーとのうちの少なくとも一つを含む予め定められたトリガーメカニズムに準じてγ値の情報を送信することが好ましい。第一の条件が、SONのサービス品質閾値がSONの予定のサービス品質閾値より小さい、SONのネットワーク効率閾値がSONの予定のネットワーク効率閾値より小さい、SONのスルーアウト閾値がSONの予定のスルーアウト閾値より小さい、SONのセルカバー閾値がSONの予定のセルカバー閾値より小さい、SONのセル容量閾値がSONの予定のセル容量閾値より小さい、周波数パーティションの数が変更した、周波数パーティションの送信電力が変更した、周波数パーティションの目標IOTレベルが変更した、及び基地局がネットワークに参加したという条件のうちの少なくとも一つを含む。第二の条件が、ネットワークユニットのサービス品質閾値がネットワークユニットの予定のサービス品質閾値より小さい、ネットワークユニットのネットワーク効率閾値がネットワークユニットの予定のネットワーク効率閾値より小さい、ネットワークユニットのスルーアウト閾値がネットワークユニットの予定のスルーアウト閾値より小さい、ネットワークユニットのセルカバー閾値がネットワークユニットの予定のセルカバー閾値より小さい、ネットワークユニットのセル容量閾値がネットワークユニットの予定のセル容量閾値より小さい、周波数パーティションの数が変更した、周波数パーティションの送信電力が変更した、周波数パーティションの目標の希望のアップリンク妨害ノイズ比率のレベルが変更した、及び基地局がネットワークに参加したという条件のうちの少なくとも一つを含む。
【0021】
上記目的を実現するために、本発明は、アップリンク送信電力制御方法を提供する。
本発明に係わるアップリンク送信電力制御方法は、SONが基地局へ全部又は一部の周波数パーティションに対応する参考γ値の情報を送信することを含む。
【0022】
上記方法において、SONが基地局へ全部又は一部の周波数パーティションに対応する参考γ値の情報を送信する前に、更に、基地局がSONへ全部又は一部の周波数パーティションに対応するγ値の情報を送信することを含むことが好ましい。
【0023】
SONが基地局へ参考γ値の情報を送信する態様が、SONが基地局へ参考γ値の絶対値を送信することと、SONが基地局へ参考γ値と基地局からSONへ送信されたγ値との差の値を送信することのうちの一つを含むことが好ましい。
【0024】
上記方法において、SONが基地局へ全部又は一部の周波数パーティションに対応する参考γ値の情報を送信した後、更に、基地局が参考γ値に従って全部又は一部の周波数パーティションに対応するγ値を調整することを含むことが好ましい。
【0025】
SONが、ネットワークユニットとネットワークユニットにおける機能モジュールとのうちの少なくとも一つを含むことが好ましい。
【0026】
ネットワークユニットが、基地局、中継設備、サーバ、基地局コントローラ、アクセスサービスネットワーク、接続サービスネットワーク、コアネットワーク及びコアネットワークゲートウエイのうちの少なくとも一つを含むことが好ましい。
【0027】
SONが、予定周期のトリガーと、SON全体の性能が第一の条件を満たす時のトリガーと、ネットワークユニットの性能が第二の条件を満たす時のトリガーとのうちの少なくとも一つを含む予め定められたトリガーメカニズムに準じて参考γ値を算出することが好ましい。第一の条件が、SONのサービス品質閾値がSONの予定のサービス品質閾値より小さい、SONのネットワーク効率閾値がSONの予定のネットワーク効率閾値より小さい、SONのスルーアウト閾値がSONの予定のスルーアウト閾値より小さい、SONのセルカバー閾値がSONの予定のセルカバー閾値より小さい、SONのセル容量閾値がSONの予定のセル容量閾値より小さい、周波数パーティションの数が変更した、周波数パーティションの送信電力が変更した、周波数パーティションの目標IOTレベルが変更した、及び基地局がネットワークに参加したという条件のうちの少なくとも一つを含む。第二の条件が、ネットワークユニットのサービス品質閾値がネットワークユニットの予定のサービス品質閾値より小さい、ネットワークユニットのネットワーク効率閾値がネットワークユニットの予定のネットワーク効率閾値より小さい、ネットワークユニットのスルーアウト閾値がネットワークユニットの予定のスルーアウト閾値より小さい、ネットワークユニットのセルカバー閾値がネットワークユニットの予定のセルカバー閾値より小さい、ネットワークユニットのセル容量閾値がネットワークユニットの予定のセル容量閾値より小さい、周波数パーティションの数が変更した、周波数パーティションの送信電力が変更した、周波数パーティションの目標の希望のアップリンク妨害ノイズ比率のレベルが変更した、及び基地局がネットワークに参加したという条件のうちの少なくとも一つを含む。
【0028】
上記目的を実現するために、本発明は、更に、基地局に位置し、上層エンティティへ全部又は一部の周波数パーティションに対応するγ値の情報を送信する送信モジュールを含むアップリンク送信電力制御装置を提供する。
【0029】
アップリンク送信電力制御装置は、更に、SONが送信した全部又は一部の周波数パーティションに対応する参考γ値の情報を受信する受信モジュールと、前記参考γ値に従って前記全部又は一部の周波数パーティションに対応するγ値を調整する調整モジュールを含むことが好ましい。
【発明の効果】
【0030】
本発明によると、基地局が動的にγ値を報告し、SONが動的に基地局から報告されたγ値を調整して基地局へ送信し、基地局が異なるサブフレームにおいて異なるγ値を端末へ送信する方法を採用することによって、γ値の調整が柔軟ではなくSONとBSの間に完備なγ値の調整方案に欠けている問題が解決され、γ値の動的な送信、調整及びアップリンク送信電力の動的な制御が実現でき、そして、セル間のアップリンク妨害を柔軟に制御してネットワークの性能を最適化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図面は、本発明をさらに理解し、そして本明細書の一部を構成し、本発明の実施例と一緒に本発明を解釈するためであるが、本発明の限定にならない。図面において、
図1】本発明の第1の実施例に係わるアップリンク送信電力制御方法のフローチャートである。
図2】本発明の実例1に係わる異なる周波数リソース分割方式を採用した隣りサブフレーム同士の周波数パーティションの模式図である。
図3】本発明の実例1に係わる各周波数パーティションにおけるγ値に基づくアップリンク送信電力制御のフローチャートである。
図4】本発明の実例2に係わる同じ周波数リソース分割方式を採用した隣りサブフレーム同士の周波数パーティションの模式図である。
図5】本発明の実例3に係わる異なる周波数リソース分割方式を採用した隣りサブフレーム集合同士の周波数パーティションの模式図である。
図6】本発明の実例4に係わる同じ周波数リソース分割方式を採用した隣りサブフレーム集合同士の周波数パーティションの模式図である。
図7】本発明の第2の実施例に係わるアップリンク送信電力制御方法のフローチャートである。
図8】本発明の実例5のSONネットワーク構成の模式図である。
図9】本発明の実例5におけるFFR技術を採用した隣りセクタ同士の周波数リソース配分方式及び各周波数パーティションの送信電力の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
相関技術に存在する問題を鑑みて、本発明の実施例は、基地局が端末へサブフレーム集合における周波数パーティションに対応するγ値の情報を送信すること、又は基地局が自己管理ネットワークSONへ全部又は一部の周波数パーティションに対応するγ値の情報を送信すること、又はSONが基地局へ全部又は一部の周波数パーティションに対応する参考γ値の情報を送信することを処理の原則とするアップリンク送信電力制御方案を提供する。該方案は、アップリンクで利用可能なリソース全体を幾つかのサブフレーム集合に分割して、各々のサブフレーム集合に対して異なる周波数パーティション分布を設け、そして、各々の周波数パーティションに対してγ値を設定して異なる周波数パーティションのアップリンク妨害レベルを制御し、また、異なるサブフレームに異なるγ値を設定して端末のアップリンク送信電力をリアルタイムに調整することによって、セル間のアップリンク妨害を柔軟に制御し、無線通信システムの性能を向上させることができる。
【0033】
以下、図面を参照しつつ、実施例によって本発明を詳細に説明する。理解すべくのは、互いに衝突しない限り、以下の実施例及び実施例における各細部が各種の組合を行ってもよい。
【0034】
方法の実施例
第1の実施例
本発明に係わる実施例はアップリンク送信電力制御方法を提供する。図1は本発明の第1の実施例に係わるアップリンク送信電力制御方法のフローチャートである。図1に示すように、該方法が、下記のようなステップS102乃至ステップS104を含む:
基地局が、端末へ一つ又は複数のサブフレームを含む(即ち、ある特定のサブフレーム又は複数のサブフレームである)サブフレーム集合のうちの各サブフレームにおける周波数パーティションに対応するγ値の情報を送信する(ステップS102)。上記サブフレーム集合における異なるサブフレームに対応するγ値が同一でもよいし、相違しでもよく、また、サブフレーム集合のうちの異なるサブフレームにおける周波数パーティションの分割方式が同一でもよいし、相違しでもよい。基地局が端末へサブフレーム集合における全部又は一部の周波数パーティションに対応するγ値の情報を送信することができるが、その中、一部の周波数パーティションに対応するγ値の情報を送信する場合、端末は、デフォルトγ値又は端末の最近獲得した未送信の周波数パーティションに対応するγ値を、未送信の周波数パーティションに対応するγ値として用いることできる。例えば、基地局がダウンリンクチャンネルを介してサブフレーム集合における幾つか(全部又は一部)の周波数パーティションのそれぞれに対応するγ値の情報を送信し、ここで、今回で、ある幾つかの周波数パーティションに対応するγ値が送信されない場合、端末が1又は他の値でもよい標準デフォルト配置のγ値を採用し、又は、前回で基地局から端末へ送信された又は前の数回で基地局から端末へ送信されたγ値というような最近得られた該周波数パーティションに対応するγ値を採用することができる。基地局は、マルチキャストシグナリング、ユニキャストシグナリング又はブロードキャストシグナリングを介して端末へサブフレーム集合における周波数パーティションに対応するγ値の情報を送信することができる。
【0035】
従来の技術において、基地局から端末へ送信する周波数パーティションに対応するγ値の情報は、全部のサブフレームに対するものである。本技術案において、全部のサブフレームではなく、ある特定の一つ又は複数のサブフレームに対してγ値を送信することによって、端末のγ値に対する基地局の調整の柔軟性を向上させることができる。
【0036】
また、従来の技術において、サブフレーム集合における各サブフレームの周波数パーティションの分割方式が同一で且つ各周波数パーティションに対応するγ値が同一である時、個々の周波数パーティションに対してγ値を送信するが、本発明においては、γ値を一つ送信することができ、具体的には、γ値を一つブロードキャストすることができる。また、本技術案において、サブフレーム集合が、ある特定の一つ又は複数のサブフレームでもよいし、全部のサブフレームでもよい。γ値を一つ送信することによって、システムリソースを節約し、端末のγ値に対する基地局の調整の柔軟性を向上させることができる。
【0037】
具体的には、個々の周波数パーティションにおけるγ値の選択が、隣りのセルの該周波数パーティションにおける所望のアップリンクIoT値に依存する。具体的な依存関係は、実際の状況によって具体的に定められ、本発明の実施例においては限定しない。隣りのセルの該周波数パーティションにおける所望のアップリンクIoT値が大きいほど、該周波数パーティションにおけるγ値が大きくなり、逆に、隣りのセルの該周波数パーティションにおける所望のアップリンクIoT値が小さいほど、該周波数パーティションにおけるγ値が小さくなる。上述したγ値の選択と隣りのセルの該周波数パーティションにおける所望のアップリンクIoT値との依存関係は、実際の状況によって具体的に定めることができ、本発明の実施例においては限定しない。
【0038】
端末は、上記周波数パーティションに対応するγ値の情報を受信した後、異なる周波数パーティションの個々に対応するγ値に基づいて対応する周波数パーティションにおける送信電力を定める(ステップS104)。
本実施例において、予め設けられたトリガー条件の下で、基地局が端末へγ値を複数回送信することによって、従来の技術における、システムが周波数リソース全体に対して周波数パーティションを一回しか分割しなく、各周波数パーティションのγの値も一回しか賦与しない欠点が克服し、アップリンクセル間における妨害制御の柔軟性及び無線通信システムのアップリンク性能を向上させる。
【0039】
本発明の実施例の実現過程については、実例を結合しながら下記のように詳細に述べる。
【0040】
実例1
図2は本発明の実例1に係わる異なる周波数リソース分割方式を採用した隣りサブフレーム同士の周波数パーティションの模式図である。図2に示すように、サブフレーム1及びサブフレーム2において、異なる周波数リソース分割方式によって周波数リソースが分割される。サブフレーム1及びサブフレーム2のアップリンク利用可能な周波数リソースは、当該帯域における所望の他のセル端末から送信されたデータによるアップリンク妨害の大きさを表す各自のγ値をそれぞれ有する幾つかの周波数パーティション(Frequency Partition)に分割される。サブフレーム1において、周波数パーティションA、Bがより低いアップリンクγ値を有し、周波数パーティションC、Dがより高いアップリンクγ値を有し、即ち、サブフレーム1の場合、周波数パーティションA、Bにてより小さいアップリンク妨害が許されるが、周波数パーティションC、Dにては、より大きいアップリンク妨害が許される。サブフレーム2において、周波数パーティションA、Cがより低いアップリンクγ値を有し、周波数パーティションBがより高いアップリンクγ値を有し、即ち、サブフレーム2の場合、周波数パーティションA、Cにてより小さいアップリンク妨害が許されるが、周波数パーティションBにては、より大きいアップリンク妨害が許される。
【0041】
図3は本発明の実例1に係わる各周波数パーティションにおけるγ値に基づくアップリンク送信電力制御のフローチャートである。図3は、図2に示す二つのサブフレームリソース分割方式を実例にして、該システムにおいてサブフレーム1を占める端末のアップリンク送信電力の制御のフローを説明する。具体的なステップが下記の如く:
サブフレーム1は、ダウンリンクシグナリングを介してアップリンク利用可能な、A、B、C、Dという四つの周波数パーティションに分割された周波数リソースの分割情報を送信し、表1(表1−A、表1−B、表1−C)に示すダウンリンクシグナリングを介して各周波数パーティションに対応するγ値の情報を送信する(ステップ101)。
【0042】
表1−Aは、該シグナリングを受信したサブフレーム集合からoffset個の連続するサブフレーム集合に渡って該シグナリングのγ値を使用することを表す。
表1−Bは、サブフレーム集合が標識するサブフレーム集合は該シグナリングのγ値を使用することを表し、ここで、サブフレーム集合が連続するものてもよいし、離散するものてもよい。
表1−Cは、同一のBitmapのサブフレーム集合が対応するγ値を使用することを表し、ここで、同一のBitmapのサブフレーム集合が連続するものてもよいし、離散するものてもよい。
【表1】
【表2】
【表3】
【0043】
端末は、各周波数パーティションに対応するγ値の情報を受信した後、異なる周波数パーティションに対応するγ値を定め、そして、式(1)に従って相応する周波数パーティションに含まれるサブキャリアにおける端末の送信電力を算出する(ステップ102)。
【数2】
式(1)において、変数PSCは対応するサブキャリアにおける端末の送信電力を表し、Nは熱ノイズを表し、IoTは基地局が測定して得られたアップリンク妨害ノイズ比率で、変数NとIoTは基地局がダウンリンクチャンネルを介して端末へ通知され、γが所望のアップリンクIoT因子で、Lは端末がダウンリンクチャンネル受信品質に従って定めたパースロース補償値で、SIRDLはダウンリンクの信号妨害比率で、Nは基地局の受信アンテナの数です。
【0044】
説明する必要があるのは、式(1)は本発明の実施例に係わる方法の実施形態の一つで、アップリンクIoTを制御できる全ての電力制御アルゴリズムを該方法の選択可能の実施形態とすることができ、本発明の実施例において限定しない。
【0045】
実例2
図4は本発明の実例2に係わる同じ周波数リソース分割方式を採用した隣りサブフレーム同士の周波数パーティションの模式図である。図4に示すように、サブフレーム1及びサブフレーム2において、同じ周波数リソース分割方式によって周波数リソースが分割される。サブフレーム1及びサブフレーム2のアップリンク利用可能な周波数リソースは、当該帯域における所望の他のセル端末から送信されたデータによるアップリンク妨害の大きさを表する各自のγ値をそれぞれ有する幾つかの周波数パーティションに分割される。サブフレーム1において、周波数パーティションA、Bがより低いアップリンクγ値を有し、周波数パーティションC、Dがより高いアップリンクγ値を有し、即ち、サブフレーム1の場合、周波数パーティションA、Bにてより小さいアップリンク妨害が許されるが、周波数パーティションC、Dにては、より大きいアップリンク妨害が許される。サブフレーム2において、周波数パーティションA、Cがより低いアップリンクγ値を有し、周波数パーティションB、Dがより高いアップリンクγ値を有し、即ち、サブフレーム2の場合、周波数パーティションA、Cにてより小さいアップリンク妨害が許されるが、周波数パーティションB、Dにては、より大きいアップリンク妨害が許される。
【0046】
図3は、図4に示す二つのサブフレームリソース分割方式を実例にして、該システムにおいてサブフレーム1を占める端末のアップリンク送信電力の制御のフローを説明する。具体的なステップは下記の如く:
サブフレーム1は、ダウンリンクシグナリングを介してアップリンク利用可能な、A、B、C、Dという四つの周波数パーティションに分割された周波数リソースの分割情報を送信し、表1(表1−A、表1−B、表1−C)に示すダウンリンクシグナリングを介して各周波数パーティションに対応するγ値の情報を送信する(ステップ201)。
【0047】
端末は、各周波数パーティションに対応するγ値の情報を受信した後、異なる周波数パーティションに対応するγ値を定め、式(1)に従って対応する周波数パーティションに含まれるサブキャリアにおける端末の送信電力を算出する(ステップ202)。
【0048】
実例3
図5は本発明の実例3に係わる異なる周波数リソース分割方式を採用した隣りサブフレーム集合の周波数パーティションの模式図である。図5に示すように、サブフレーム集合1及びサブフレーム集合2において、異なる周波数リソース分割方式によって周波数リソースが分割される。サブフレーム集合1及びサブフレーム集合2のアップリンク利用可能な周波数リソースは、当該帯域における所望の他のセル端末から送信されたデータによるアップリンク妨害の大きさを表する各自のγ値をそれぞれ有する幾つかの周波数パーティションに分割される。サブフレーム集合1において、周波数パーティションA、Bがより低いアップリンクγ値を有し、周波数パーティションC、Dがより高いアップリンクγ値を有し、即ち、サブフレーム1の場合、周波数パーティションA、Bにてより小さいアップリンク妨害が許されるが、周波数パーティションC、Dにては、より大きいアップリンク妨害が許される。サブフレーム集合2において、周波数パーティションA、Cがより低いアップリンクγ値を有し、周波数パーティションBがより高いアップリンクγ値を有し、即ち、サブフレーム集合2の場合、周波数パーティションA、Cにてより小さいアップリンク妨害が許されるが、周波数パーティションBにては、より大きいアップリンク妨害が許される。
【0049】
図3は、図5に示す二つのサブフレーム集合リソース分割方式を実例にして、該システムにおいてサブフレーム集合1を占める端末のアップリンク送信電力の制御のフローを説明する。具体的なステップは下記の如く:
サブフレーム集合1は、ダウンリンクシグナリングを介してアップリンク利用可能な、A、B、C、Dという四つの周波数パーティションに分割された周波数リソースの分割情報を送信し、表1(表1−A、表1−B、表1−C)に示すダウンリンクシグナリングを介して各周波数パーティションに対応するγ値の情報を送信する(ステップ301)。
【0050】
端末は、各周波数パーティションに対応するγ値の情報を受信した後、異なる周波数パーティションに対応するγ値を定め、式(1)に従って対応する周波数パーティションに含まれるサブキャリアにおける端末の送信電力を算出する(ステップ302)。
【0051】
該実例において、サブフレーム集合における異なるサブフレームの周波数リソースの分割方式が同一であるものを実例として説明したが、実際の応用に際して、サブフレーム集合における異なるサブフレームの周波数リソースの分割方式が相違しでもよく、その実現原理が周波数リソースの分割方式が同一である場合とほぼ同じなので、ここでは詳細に説明しない。
【0052】
実例4
図6は本発明の実例4に係わる同じ周波数リソース分割方式を採用した隣りサブフレーム集合同士の周波数パーティションの模式図である。図6に示すように、サブフレーム集合1及びサブフレーム集合2において、同じ周波数リソース分割方式によって周波数リソースが分割される。サブフレーム集合1及びサブフレーム集合2のアップリンク利用可能な周波数リソースは、当該帯域における所望の他のセル端末から送信されたデータによるアップリンク妨害の大きさを表する各自のγ値をそれぞれ有する幾つかの周波数パーティションに分割される。サブフレーム集合1において、周波数パーティションA、Bがより低いアップリンクγ値を有し、周波数パーティションC、Dがより高いアップリンクγ値を有し、即ち、サブフレーム1の場合、周波数パーティションA、Bにてより小さいアップリンク妨害が許されるが、周波数パーティションC、Dにては、より大きいアップリンク妨害が許される。サブフレーム集合2において、周波数パーティションA、Cがより低いアップリンクγ値を有し、周波数パーティションB、Dがより高いアップリンクγ値を有し、即ち、サブフレーム集合2の場合、周波数パーティションA、Cにてより小さいアップリンク妨害が許されるが、周波数パーティションB、Dにては、より大きいアップリンク妨害が許される。
【0053】
図3は、図6に示す二つのサブフレーム集合リソース分割方式を実例にして、該システムにおいてサブフレーム集合1を占める端末のアップリンク送信電力の制御のフローを説明する。具体的なステップは下記の如く:
サブフレーム集合1は、ダウンリンクシグナリングを介してアップリンク利用可能な、A、B、C、Dという四つの周波数パーティションに分割された周波数リソースの分割情報を送信し、表1(表1−A、表1−B、表1−C)に示すダウンリンクシグナリングを介して各周波数パーティションに対応するγ値の情報を送信する(ステップ401)。
【0054】
端末は、各周波数パーティションに対応するγ値の情報を受信した後、異なる周波数パーティションに対応するγ値を定め、式(1)に従って対応する周波数パーティションに含まれるサブキャリアにおける端末の送信電力を算出する(ステップ402)。
【0055】
第2の実施例
本発明の実施例は、基地局が上層エンティティへ全部又は一部の周波数パーティションに対応するγ値の情報を送信することを含むアップリンク送信電力制御方法を提供し、ここで、上層エンティティが前記自己管理ネットワークSONであってもよい。図7は本発明の第2の実施例に係わるアップリンク送信電力制御方法のフローチャートである。図7に示すように、該方法が、下記のステップS702乃至ステップS706を含む:
基地局が、SONへ、全部又は一部の周波数パーティションに対応する、γ値の収束値と、第一予定時間内のγ値の瞬時値と、第一予定時間内のγ値の統計平均値とのうちの少なくとも一つを含むγ値の情報を送信し(ステップS702)、ここで、γ値の収束値は第一予定時間の調整後に得られた収束したγ値で、前記第一予定時間は、一つ又は複数のサブフレームと、一つ又は複数のフレームと、一つ又は複数のスーパーフレームとのうちの一つを含むことができる。具体的には、第一予定時間内でγ値が収束可能である。
【0056】
この場合、γ値の収束値を現在のγ値として用いることができるが、第一予定時間が完了するまでもγ値が収束しない可能性があるので、この場合、第一予定時間が完了した時のγ値の瞬時値を現在のγ値とすることができ、即ち、γ値が収束しない場合、γ値は第一予定時間が完了した時のγ値の瞬時値を含み、又は、第一予定時間内の任意の時刻のγ値の瞬時値を選択して現在のγ値としてもよい。説明する必要があるのは、どのような方法を選択してγ値を定めるかはランダムに選択でき、選択の根拠も上述選択根拠に制限されない。
【0057】
上記基地局が、SONとシグナリングをやり取りする全て又は一部の基地局でもよく、そして、SONへ予め定められたトリガーメカニズムに準じてγ値の情報を送信できることが好ましい。該方法におけるSONが、ネットワークユニットとネットワークユニットにおける機能モジュールとのうちの少なくとも一つを含むことができる。ここで、ネットワークユニットが、基地局、中継設備、サーバ、基地局コントローラ、アクセスサービスネットワーク、接続サービスネットワーク、コアネットワーク及びコアネットワークゲートウエイのうちの少なくとも一つを含むことができる。
【0058】
SONが基地局へ全部又は一部の周波数パーティションに対応する参考γ値の情報を送信する(ステップS704)。SONが基地局へ参考γ値の絶対値を送信する方式と、SONが基地局へ参考γ値と基地局からSONへ送信されたγ値との差を送信する方式のうちの一つによって該参考γ値の情報を送信することができる。該ステップにおいて、SONが予め定められたトリガーメカニズムによって参考γ値を算出することができる。
【0059】
基地局が参考γ値に従って全部又は一部の周波数パーティションに対応するγ値を調整する(ステップS706)。
【0060】
ステップS702及びステップS704における予め定められたトリガーメカニズムが、予定周期のトリガーと、SON全体の性能が第一の条件に満たす時のトリガーと、ネットワークユニットの性能が第二の条件に満たす時のトリガーとのうちの少なくとも一つを含むことができる。ここで、第一の条件が、SONのサービス品質閾値がSONの予定のサービス品質閾値より小さい、SONのネットワーク効率閾値がSONの予定のネットワーク効率閾値より小さい、SONのスルーアウト閾値がSONの予定のスルーアウト閾値より小さい、SONのセルカバー閾値がSONの予定のセルカバー閾値より小さい、SONのセル容量閾値がSONの予定のセル容量閾値より小さい、周波数パーティションの数が変更した、周波数パーティションの送信電力が変更した、周波数パーティションの目標IOTレベルが変更した、及び基地局がネットワークに加入したという条件のうちの少なくとも一つを含むことができる。第二の条件が、ネットワークユニットのサービス品質閾値がネットワークユニットの予定のサービス品質閾値より小さい、ネットワークユニットのネットワーク効率閾値がネットワークユニットの予定のネットワーク効率閾値より小さい、ネットワークユニットのスルーアウト閾値がネットワークユニットの予定のスルーアウト閾値より小さい、ネットワークユニットのセルカバー閾値がネットワークユニットの予定のセルカバー閾値より小さい、ネットワークユニットのセル容量閾値がネットワークユニットの予定のセル容量閾値より小さい、周波数パーティションの数が変更した、周波数パーティションの送信電力が変更した、周波数パーティションの目標の所望のアップリンク妨害ノイズ比率のレベルが変更した、及び基地局がネットワークに加入したという条件のうちの少なくとも一つを含むことができる。
【0061】
説明する必要があるのは、基地局がSONへ幾つかの(一部又は全部)の周波数パーティションに対応するγ値の情報を送信した後、SONが、上記幾つかの周波数パーティションに対応するγ値の全部を調整して送信してもよいし、上記幾つかの周波数パーティションに対応するγ値の一部を調整して送信してもよい(一部の周波数パーティションに対応するγ値が調整不要である又はSONの演算能力に限りがあるなどが原因で)。また、SONが基地局へ幾つかの(一部又は全部)の周波数パーティションに対応する参考γ値(即ち、調整後のγ値)の情報を送信した後、基地局は、上記参考γ値に対応する全部の周波数パーティションのγ値を調整してもよいし、上記参考γ値に対応する一部の周波数パーティションのγ値のみを調整してもよい。
【0062】
本発明の実施例の実現過程については、実例を結合しながら下記のように詳細に述べる。
【0063】
実例5
図8は本発明の実例5のSONネットワーク構成の模式図である。図8に示すように、それぞれBS1、BS2、BS3という三つの基地局を有すると仮説し、ここで、MS1、MS2のサービング基地局がBS1で、MS3、MS4のサービング基地局がBS2で、MS5、MS6のサービング基地局がBS3である。また、SONは、一つのネットワークエンティティである、又は機能モジュールとしてネットワークユニット内に存在することができ、BS1、BS2、BS3と必要なシグナリングのやり取りを行う。SONは少なくとも自己最適化FFRモジュール(Self―Optimizing FFRモジュール)を含み、さらに他の機能モジュールを含んでもよい。
【0064】
図9は本発明の実例5におけるFFR技術を採用した隣りセクタ同士の周波数リソース配分方式及び各周波数パーティションの送信電力の模式図である。図9に示すように、BS1、BS2、BS3が利用可能な周波数リソースをW1、W2、W3、W4という四つの周波数パーティションに分割する。その中、W1、W2、W3がReuse3(即ち、周波数多重化因子が3である)集合に属し、W4がReuse1(即ち、周波数多重化因子が1である)集合に属する。その中、それぞれの周波数パーティションの送信電力が条件PHigh≧Preuse1>PLowに満たす。本実例において、BS1を実例として本発明の実施例で提供する方法を詳細に説明する。
【0065】
基地局が、SONへ、BSID、基地局に接続される端末の数、端末の位置分布情報、端末のW1、W2、W3、W4におけるSINR値、W1、W2、W3、W4における業務負荷指示情報、W1、W2、W3、W4における妨害強さ指示情報、W1、W2、W3、W4におけるリソースメトリック情報(Resource Metrics、MRと略称する)、W1、W2、W3、W4におけるγ値γ、γ、γ、γとの中の少なくとも一つを含む情報を報告する(ステップ901)。
【0066】
その中、γ、γ、γ、γは、一定の時間内の任意の時刻にそれぞれのFPに対応するγ値の瞬時値又は一定時間の調整後に得られる、それぞれのFPに対応するγ値の瞬時値(即ち調整後、収束しなかった場合の該一定の時間が完了した時のγ値の瞬時値)である瞬時値でもよいし、統計平均値又は収束値でもよい。本実施例において、γ、γ、γ、γが収束値、即ち、特定の電力制御アルゴリズムを使用して一定時間の調整後に得られるγ値であることを仮説する。説明する必要があるのは、上述特定の電力制御アルゴリズムは、実際の状況に従ってランダムに選択でき、具体的な調整時間も柔軟に選択でき、本発明の実施例に限定しない。
【0067】
その中、前記一定の時間が、一つ又は複数のサブフレーム、又は、一つ又は複数のフレーム、又は、一つ又は複数のスーパーフレームであることができる。
【0068】
SONは、基地局から報告された情報に従ってBS1のW、W、W、Wに対応する参考γ値γ、γ、γ、γを定め、そして、γ、γ、γ、γをBS1へ送信する(ステップ902)。該ステップにおいて、SONが基地局から報告されたγ値に沿って参考γ値を定める方法は、実際の状況に従って柔軟に選択でき、具体的な定める方法は従来の技術にも紹介があるので、ここで詳細に説明しない。
【0069】
BS1は、個々の周波数パーティションのγ値を、規定のFFRパラメーター調整タイミングで統一に調整し、又は非特定のタイミングで別々に調整し、そして、周波数パーティションの新しいγ値を本基地局の下の端末MS1、MS2へ通知する(ステップ903)。ここで、BS1が、直接にSONから送信されたγ、γ、γ、γを周波数パーティションの新しいγ値として使用することができ、又は、BS1が、SONから送信されたγ、γ、γ、γに基づいて計算によって周波数パーティションの新しいγ値γ11、γ22、γ33、γ44を定めることができる。BS1が新しいγ値を獲得した後に、端末のアップリンク送信電力を制御できることが好ましい。
【0070】
上記の記載から、本発明の実施例が提供するアップリンク送信電力制御方法によると、基地局とSON自己最適化ネットワークの間のγ値の動的な送信、調整及びアップリンク送信電力の動的な制御を実現でき、よって、セル間のアップリンク妨害を柔軟に制御し、ネットワークの性能を最適化することができる。
【0071】
第3の実施例
本実施例は、基地局に位置し、上層エンティティへ全部又は一部の周波数パーティションに対応するγ値の情報を送信する送信モジュールを含むアップリンク送信電力制御装置を提供する。また、本実施例は、更に、SONが送信した全部又は一部の周波数パーティションに対応する参考γ値の情報を受信する受信モジュールと、前記参考γ値に従って前記全部又は一部の周波数パーティションに対応するγ値を調整する調整モジュールを含むことができる。
【0072】
本実施例の実施形態は、第2の実施例の関連説明を参考でき、それに、上記実施例の全ての有益な効果を有するので、ここで詳細に説明しない。
【0073】
当業者にとって、上述の本発明の各モジュール又は各ステップは共通の計算装置によって実現することができ、単独の計算装置に集中させてもよいし、複数の計算装置から構成されるネットワークに分布させてもよく、又は計算装置が実行可能なプログラムのコードによって実現することもできるので、それらを記憶装置に記憶させて計算装置によって実行することができ、又は、それらの夫々をそれぞれ集積回路ブロックに製作し、又はそれらにおける複数のモジュール又はステップを単独の集積回路モジュールに製作して実現することができることは明らかなことである。このように、本発明は如何なる指定のハードウェアとソフトウェアの結合にも限定されない。
【0074】
以上は、本発明の好適な実施例に過ぎず、本発明を限定するものではない。当業者であれば本発明に様々な修正や変形が可能である。本発明の精神や原則内での如何なる修正、置換、改良などは本発明の保護範囲内に含まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9