特許第5890335号(P5890335)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5890335
(24)【登録日】2016年2月26日
(45)【発行日】2016年3月22日
(54)【発明の名称】ピーニング装置
(51)【国際特許分類】
   B23P 9/04 20060101AFI20160308BHJP
   B23K 31/00 20060101ALI20160308BHJP
   B23P 17/00 20060101ALI20160308BHJP
   G21D 1/00 20060101ALI20160308BHJP
   C21D 7/06 20060101ALN20160308BHJP
【FI】
   B23P9/04
   B23K31/00 F
   B23P17/00 A
   G21D1/00 X
   !C21D7/06 B
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-24057(P2013-24057)
(22)【出願日】2013年2月12日
(65)【公開番号】特開2014-151401(P2014-151401A)
(43)【公開日】2014年8月25日
【審査請求日】2015年2月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】507250427
【氏名又は名称】日立GEニュークリア・エナジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】根布 景
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 昇
(72)【発明者】
【氏名】波東 久光
【審査官】 長清 吉範
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−056616(JP,A)
【文献】 特開昭60−127928(JP,A)
【文献】 特開2007−083371(JP,A)
【文献】 特開昭50−038871(JP,A)
【文献】 特開平08−220287(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23P 9/04
B23K 31/00
B23P 17/00
G21D 1/00
C21D 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一つの開放端を有するチャンバと、前記開放端に対向する位置で前記チャンバに設けられたノズルと、前記ノズルに接続されて前記ノズルに昇圧された水を供給するポンプと、前記チャンバ内に配置され、前記チャンバの側壁部の開放側端部に取り付けられた複数の打撃力付与部材とを備え、
前記側壁部に形成された排出口が、前記側壁部の内面から前記側壁部の外面に向かって、前記チャンバの開放端側から前記チャンバの、前記ノズルが取り付けられた封鎖端部に向かうように傾斜していることを特徴とするピーニング装置。
【請求項2】
前記打撃力付与部材がピーニングロッドである請求項1に記載のピーニング装置。
【請求項3】
前記ピーニングロッドが、前記チャンバの前記開放端と対向する凸部を有している請求項に記載のピーニング装置。
【請求項4】
前記打撃力付与部材が、前記チャンバの側壁部の開放側端部に取り付けられたワイヤ、及び前記ワイヤに取り付けられた球状部材を有する請求項1に記載のピーニング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピーニング装置に係り、特に、原子力プラントの構造部材の溶接部の引張残留応力を改善するのに好適なピーニング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
原子力プラントのオーステナイト系ステンレス鋼製の構造部材の溶接部に存在する引張残留応力を圧縮残留応力に改善し、構造部材の溶接部及び熱影響部における応力腐食割れの発生を抑制することが行われている。この引張残留応力の改善には、主に、ウォータジェットピーニング及びショットピーニングが実施される。
【0003】
水流を用いたショットピーニング方法が、特開2011−56616号公報に記載されている。このショットピーニング方法では、ピーニング施工対象物である構造部材の表面にショット(直径が1mm〜6mmのセラミックス球または金属球)を入れたチャンバをセットし、チャンバに設けられたノズルから高圧水をチャンバ内に噴射する。高圧水の噴射によりチャンバ内で発生する水流にショットを同伴させてショットを構造部材の表面に向かって移動させ、構造部材の表面にショットを衝突させてその表面のショットピーニングを行い、構造部材の表面に残留圧縮応力を付与している。また、チャンバ内に噴射された高圧水は、チャンバの、構造部材表面に接触する先端部に形成された水抜きスリットからチャンバの外部に排水される。
【0004】
特開2011−56616号公報に記載されたショットピーニング方法では、構造部材表面の有る位置に対するショットピーニングが終了してチャンバーを、次の引張残留応力改善場所まで移動させる際、チャンバー内のショットが落下する恐れがある。構造部材がプラントの構造部材であるとき、落下したショットがプラント内に残留物として残ることを避ける必要があり、落下したショットを回収する必要がある。この回収作業に時間がかかり、プラントの再起動が遅れることになる。
【0005】
このようなショットピーニングに対し、特開平6−155172号公報は、構造部材の引張残留応力を改善するために、ワイヤを用いたピーニング方法を記載する。このピーニング方法に用いられるピーニング装置では、バイブレータが首振り機構を介してマニピュレータ(三次元駆動装置)に取り付けられたマストに設置され、多数の細線ワイヤが取り付けられたワイヤヘッドがバイブレータに取り付けられたピーニングロッドに設置される。マニピュレータを操作して細線ワイヤをプラントの構造部材のピーニング施工箇所に接触させ、バイブレータを駆動して細線ワイヤを振動させる。振動している多数の細線ワイヤが、構造部材表面のピーニング施工箇所に衝撃力を与え、ピーニング施工箇所に対してピーニングが実施される。これにより、構造部材表面に圧縮残留応力が付与される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−56616号公報
【特許文献2】特開平6−155172号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特開2011−56616号公報に記載されたショットピーニング方法では、ピーニングに使用するショットがチャンバーから落下し、落下したショットをプラント内から回収しなければならない。特開平6−155172号公報に記載された、ワイヤを用いたピーニング方法では、特開2011−56616号公報記載のショットピーニング方法で生じる恐れのある問題が生じないが、ワイヤヘッドの近くにバイブレータを設けるために構造部材のピーニング施工箇所の近くまでバイブレータをマニピュレータにより移動させる必要がある。このようなバイブレータの設置は、構造部材のピーニング施工個所付近まで移動する、ピーニング装置のヘッド部の大型化につながり、狭隘部におけるピーニングの施工が困難になる。
【0008】
本発明の目的は、打撃力付与部材がプラント内に残留物として残る恐れがなく、ピーニング施工部をコンパクト化することができるピーニング装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記した目的を達成する本発明の特徴は、チャンバと、チャンバの封鎖端部の設けられたノズルと、ノズルに接続されてノズルに昇圧された水を供給するポンプと、チャンバ内に配置され、チャンバの開放端部に取り付けられた複数の打撃力付与部材とを備え
側壁部に形成された排出口が、側壁部の内面から側壁部の外面に向かって、チャンバの開放端側から前記チャンバの、ノズルが取り付けられた封鎖端部に向かうように傾斜していることにある。
【0010】
打撃力付与部材がチャンバに取り付けられているので、打撃力付与部材がプラント内に残留物として残る恐れがない。また、ピーニング施工対象物に打撃力を加える打撃力付与部材がノズルから噴射される水によって振動されるので、打撃力付与部材を振動させる動力装置をチャンバに設ける必要がなく、ピーニング施工部であるチャンバをコンパクト化することができる。また、チャンバの側壁部の内面から側壁部の外面に向かって、チャンバの開放端側からチャンバの、ノズルが取り付けられた封鎖端部に向かうように傾斜している排出口をその側壁部に形成しているので、チャンバ内に噴射された高圧水は、チャンバの外側でピーニング施工対象物から離れるように排出口から流出する。このため、排出口からの高圧水の流出により、チャンバをピーニング施工対象物に押し付ける力が発生し、ノズルからチャンバ内に噴射する高圧水によって生じるチャンバをピーニング施工対象物から離すように作用する反力を軽減することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、打撃力付与部材がプラント内に残留物として残る恐れがなく、ピーニング装置のピーニング施工部をコンパクト化することができる。さらに、ノズルからチャンバ内に噴射する高圧水によって生じるチャンバをピーニング施工対象物から離すように作用する反力を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の好適な一実施例である実施例1のピーニング装置の構成図である。
図2図1に示すチャンバの拡大縦断面図である。
図3】本発明の他の好適な実施例である実施例2のピーニング装置のチャンバの拡大縦断面図である。
図4】本発明の他の好適な実施例である実施例3のピーニング装置のチャンバの拡大縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の各実施例を以下に説明する。
【実施例1】
【0014】
本発明の好適な一実施例である実施例1のピーニング装置を、図1を用いて説明する。本実施例のピーニング装置1は、チャンバ2、複数のピーニングロッド4、ノズル6、高圧ポンプ8及び高圧ホースを有する。チャンバ2は、円筒状の側壁を有し、この側壁の一端が封鎖されて他端が開放されている。チャンバ2の封鎖された端部にノズル6が設けられる。ノズル6に取り付けられた高圧ホース16が高圧ポンプ8に接続される。複数の排出口3が、チャンバ2の側壁に形成され、この側壁を貫通している。これらの排出口3は、側壁の内面から側壁の外面に向かって、側壁の開放端側から側壁の封鎖端部に向かうように傾斜している。
【0015】
複数のピーニングロッド(衝撃力付与部材)4がチャンバ2内に配置される。これらのピーニングロッド4の一端部が、チャンバ2の側壁の開放端部の内面にそれぞれ取り付けられる。各ピーニングロッド4はチャンバ2の内面からチャンバ2の軸心に向かって伸びている。複数のピーニングロッド4はチャンバ2の周方向の全周に亘ってチャンバ2の内面に密に取り付けられている。
【0016】
一対の押し付け機構5がチャンバ2の封鎖されている側の端面に取り付けられる。各押し付け機構5はチャンバ移動装置(例えば、マニピュレータ)7に設置される。
【0017】
ピーニング装置1を用いたピーニング方法が施工されるピーニング施工対象物は、例えば、沸騰水型原子炉の原子炉圧力容器内に設けられた炉内構造物、すなわち、ステンレス鋼であるSUS316Lで作られた円筒状の炉心シュラウド10である。この炉心シュラウド10に対するピーニング装置1を用いたピーニング方法の施工は、沸騰水型原子炉の運転停止後の、例えば、定期検査の期間において実施される。沸騰水型原子炉の運転停止後、原子炉圧力容器内から蒸気乾燥器、気水分離器及び燃料集合体が順次取り出される。冷却水が原子炉圧力容器及び原子炉圧力容器の上方に形成された原子炉ウェルのそれぞれの内部に充填されている。高圧水ポンプ8が原子炉建屋内の運転床に設置される。
【0018】
チャンバ移動装置7により、チャンバ2を、原子炉圧力容器内において炉心シュラウド10内まで移動させる。チャンバ2の開放端をピーニング施工対象物である炉心シュラウド10に対向させた状態で、チャンバ移動装置7はチャンバ2の開放端を炉心シュラウド10の内面のピーニング施工面に押し付ける。チャンバ2は押し付け機構5のばね(図示せず)によりそのピーニング施工面に押し付けられる。チャンバ2はピーニング施工時においてチャンバ2内に生じる後述の水流9による反力を受けるが、押し付け機構5の押し付け力により、ショットピーニング施工時においてチャンバ2がピーニング施工面から離れること防止している。
【0019】
高圧ポンプ8が駆動され、加圧された高圧水が高圧ポンプ8から高圧ホース16を通ってノズル6に供給される。高圧水はノズル6からチャンバ2内に噴射される。ノズル6から噴射された高圧水の高速噴流9は、炉心シュラウド10の内面のピーニング施工面(例えば、溶接部及び熱影響部の各内面)に向かって流れ、チャンバ2内の各ピーニングロッド4を振動させる。振動している各ピーニングロッド4の先端部が炉心シュラウド10のピーニング施工面を繰り返して打撃する。振動している各ピーニングロッド4の先端部がピーニング施工面を打撃しながら、チャンバ移動装置7によりチャンバ2を炉心シュラウド10の溶接部に沿って移動させる。このため、炉心シュラウド10の溶接部に沿ってピーニング施工面であるこの溶接部及び熱影響部の各内面が前述のように振動する各ピーニングロッド4の先端部で繰り返し打撃される。このような打撃の繰り返しにより、ピーニング施工面である、炉心シュラウド10の溶接部及び熱影響部の各内面の引張残留応力が圧縮残留応力に改善される。
【0020】
ノズル6からチャンバ2内に噴射された高圧水は、各ピーニングロッド4を振動させた後、各排出口3を通ってチャンバ2外で炉心シュラウド10内の水中に排出される。
【0021】
炉心シュラウド10に形成された各溶接部の内面へのチャンバ2内の各ピーニングロッド4を用いた打撃の繰り返しによるその内面における残留応力の改善が終了した後、高圧ポンプ8が停止されてノズル6からの高圧水の噴射が停止される。その後、チャンバ移動装置7を操作してチャンバ2を原子炉圧力容器外に移動させ、炉心シュラウド10へのピーニングの施工が終了する。
【0022】
本実施例によれば、チャンバ2内の取り付けられた各ピーニングロッドが運転床に設置された高圧ポンプ8からノズル6に供給されてノズル6から噴射する高圧水によって振動されるので、特開平6−155172号公報に記載されたようにバイブレータを設置する必要がないため、チャンバ2のサイズを小さくすることができ、チャンバ2をコンパクト化できる。特に、バイブレータの設置はこのバイブレータを駆動する駆動装置が必要になるが、本実施例は、バイブレータだけでなく、その駆動装置も不要になる。このような本実施例は、ピーニングを施工するためにピーニング施工面に接近させる、ピーニング装置1のピーニング施工部、すなわち、ピーニングロッド4を内部に設けたチャンバ2をさらにコンパクト化することができる。このため、炉心シュラウド10とシュラウドヘッドの間等の狭隘部に存在する溶接部に対しても、ピーニングロッド4を設けたチャンバ2を用いて容易にピーニングを施工することができる。ピーニング装置1のピーニング施工部は、衝撃力付与部材(例えば、ピーニングロッド4)を内部に設けたチャンバ2である。
【0023】
本実施例によれば、ピーニング施工対象物(例えば、炉心シュラウド10)の表面に圧縮残留応力を付与することができるため、ピーニング施工対象物における応力腐食割れの発生を抑制することができる。
【0024】
原子炉圧力容器内に設けられた炉心シュラウド10以外の炉内構造物に対しても、ピーニング装置1を用いてピーニングを実施することができ、この炉内構造物の表面に圧縮残留応力を付与することができる。
【0025】
本実施例では、ノズル6からチャンバ2内に噴射される高圧水は、ピーニングロッド4を振動させるだけに用いられるため、高圧ポンプ8で昇圧する高圧水の圧力を、ウォータジェットピーニングに比べて低下させることができる。
【0026】
さらに、チャンバ2に形成された排出口3が、側壁の内面から側壁の外面に向かって、側壁の開放端側から側壁の封鎖端部に向かうように傾斜しているので、チャンバ2内に噴射された高圧水は、チャンバ2の外側でピーニング施工対象物である炉心シュラウド10の内面から離れるように各排出口3から流出する。高圧水の、このような排出口8からの流出により、チャンバ2をピーニング施工対象物である炉心シュラウド10の内面に押し付ける力が発生するために、ノズル6からチャンバ内に噴射する高圧水によって生じるチャンバ2を炉心シュラウド10の内面から離すように作用する反力を軽減することができる。
【0027】
ピーニング施工面に圧縮残留応力を付与する各ピーニングロッド4がチャンバ2の内面に固定されているため、特開2011−56616号公報に記載されているショットピーニング方法に用いられるショットのように、ピーニングロッド4、すなわち、衝撃力付与部材が落下し、原子炉圧力容器内に落下した衝撃力付与部材が残留する恐れもなくなる。また、落下したショットを回収する回収作業も不要になる。
【0028】
高圧ポンプ8として脈動水流を発生させる高圧ポンプを用いても良い。
【実施例2】
【0029】
本発明の他の好適な実施例である実施例2のピーニング装置を、図3を用いて説明する。
【0030】
本実施例のピーニング装置1Aは、実施例1のピーニング装置1において衝撃力付与部材であるピーニングロッド4を衝撃力付与部材11に替えた構成を有する。ピーニング装置1Aの他の構成はピーニング装置1と同じである。
【0031】
本実施例で用いられる衝撃力付与部材11は、ワイヤ12の一端に硬質の球状部材13を取り付けて構成される。このワイヤ12の他端が、ピーニングロッド4と同様に、チャンバ2の側壁の開放端部の内面に取り付けられる。このようにして、複数の衝撃力付与部材11が、チャンバ2の周方向の全周に亘ってチャンバ2の内面に密に取り付けられる。
【0032】
実施例1と同様に、衝撃力付与部材11を取り付けたチャンバ2を、チャンバ移動装置7により、ピーニング施工面である、炉心シュラウド10の内面に接触させ、押し付け機構5によりチャンバ2を炉心シュラウド10の内面に押し付ける。高圧ポンプ8を駆動して、ノズル6からチャンバ2内に脈動する高圧水を噴射させる。噴射された、脈動する高圧水によってワイヤ12が振動し、ワイヤ12に取り付けられた球状部材13が繰り返し炉心シュラウド10の内面に衝突してその内面に打撃力を加える。このため、実施例1と同様に、炉心シュラウド10の内面に圧縮残留応力を付与することができる。
【0033】
本実施例は実施例1で生じる各効果を得ることができる。ワイヤ12に球状部材13を取り付けて打撃力付与部材を構成している本実施例は、ノズル6から噴射された高圧水の高速噴流9のエネルギーが球状部材13にほとんど与えられるため、炉心シュラウド10の内面に強い打撃力を加えることができ、実施例1よりも大きな圧縮残留応力を炉心シュラウド10の内面に付与することができる。
【0034】
球状部材13はワイヤ12の端部ではなくワイヤ12の途中に取り付け、ワイヤ12の両端をチャンバ2の内面に取り付けても良い。
【実施例3】
【0035】
本発明の他の好適な実施例である実施例3のピーニング装置を、図4を用いて説明する。
【0036】
本実施例のピーニング装置1Bは、実施例1のピーニング装置1において衝撃力付与部材であるピーニングロッド4を衝撃力付与部材11Aに替えた構成を有する。ピーニング装置1Bの他の構成はピーニング装置1と同じである。
【0037】
本実施例で用いられる衝撃力付与部材11Aは、複数の凸部15を形成したピーニングロッド14で構成される。ピーニングロッド14の一端が、ピーニングロッド4と同様に、チャンバ2の側壁の開放端部の内面に取り付けられる。このようにして、複数の衝撃力付与部材11Aが、チャンバ2の周方向の全周に亘ってチャンバ2の内面に密に取り付けられる。各ピーニングロッド14は、形成された複数の凸部15がチャンバ2の開放端の方を向いている。
【0038】
実施例1と同様に、衝撃力付与部材11Aを取り付けたチャンバ2を、チャンバ移動装置7により、ピーニング施工面である、炉心シュラウド10の内面に接触させ、押し付け機構5によりチャンバ2を炉心シュラウド10の内面に押し付ける。チャンバ2が炉心シュラウド10の内面に押し付けられたとき、各ピーニングロッド14に形成された各凸部15は炉心シュラウド10の内面と対向している。高圧ポンプ8を駆動して、ノズル6からチャンバ2内に脈動する高圧水を噴射させる。噴射された、脈動する高圧水によって各ピーニングロッド14が振動し、各ピーニングロッド14に形成された各凸部15が繰り返し炉心シュラウド10の内面に衝突してその内面に打撃力を加える。このため、実施例1と同様に、炉心シュラウド10の内面に圧縮残留応力を付与することができる。
【0039】
本実施例は実施例1で生じる各効果を得ることができる。本実施例は、ピーニングロッド14に形成された凸部15によって炉心シュラウド10の内面に打撃力を集中して加えることができ、炉心シュラウド10の内面に付与される圧縮残留応力をより大きくすることができる。
【符号の説明】
【0040】
1,1A,1B…ピーニング装置、2…チャンバ、3…排出口、4,14…ピーニングロッド、5…押し付け機構、6…ノズル、8…高圧ポンプ、11,11A…衝撃力付与部材、12…ワイヤ、13…球状部材、153…凸部。
図1
図2
図3
図4