特許第5890372号(P5890372)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エルエス産電株式会社の特許一覧

特許5890372ハイブリッド電力システムの電力制御装置
<>
  • 特許5890372-ハイブリッド電力システムの電力制御装置 図000002
  • 特許5890372-ハイブリッド電力システムの電力制御装置 図000003
  • 特許5890372-ハイブリッド電力システムの電力制御装置 図000004
  • 特許5890372-ハイブリッド電力システムの電力制御装置 図000005
  • 特許5890372-ハイブリッド電力システムの電力制御装置 図000006
  • 特許5890372-ハイブリッド電力システムの電力制御装置 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5890372
(24)【登録日】2016年2月26日
(45)【発行日】2016年3月22日
(54)【発明の名称】ハイブリッド電力システムの電力制御装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 1/12 20060101AFI20160308BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20160308BHJP
   H02J 3/46 20060101ALI20160308BHJP
【FI】
   H02J1/12
   H02J3/38 170
   H02J3/38 130
   H02J3/46
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-222196(P2013-222196)
(22)【出願日】2013年10月25日
(65)【公開番号】特開2014-103844(P2014-103844A)
(43)【公開日】2014年6月5日
【審査請求日】2013年10月25日
(31)【優先権主張番号】10-2012-0130138
(32)【優先日】2012年11月16日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】593121379
【氏名又は名称】エルエス産電株式会社
【氏名又は名称原語表記】LSIS CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100165191
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 章
(74)【代理人】
【識別番号】100151459
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 健一
(72)【発明者】
【氏名】グエン カン−ロク
【審査官】 田中 慎太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−245050(JP,A)
【文献】 特開2009−135111(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 1/12
H02J 3/00−3/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハイブリッド電力システムの電力制御装置において、
前記電力システムの出力電力を測定する電力測定部と、
予め設定された制御モード及び前記測定された出力電力に基づいて、前記電力システムの第1電力生成部及び第2電力生成部の動作を制御する制御部とを含み、
前記制御部は、前記第2電力生成部の出力がONからOFFに切り替えられるように制御された場合、第1時間の間、前記第1電力生成部の出力電圧を前記第2電力生成部の出力に対応する第1相殺電圧に制御するように構成され、
前記第1時間における前記第1相殺電圧、前記第2電力生成部の電力伝達特性によって決定
前記第1電力生成部の制御反応速度は、前記第2電力生成部の制御反応速度より速く、負荷要求電力の急激に変化に対応可能であり、前記第2電力生成部の制御反応速度は、負荷要求電力の急激に変化に対応できない、ハイブリッド電力システムの電力制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第2電力生成部の出力がOFFからONに切り替えられるように制御された場合、第2時間の間、前記第1電力生成部の出力電圧を前記第2電力生成部の出力に対応する第2相殺電圧に制御するように構成され、
前記第2時間における前記第2相殺電圧は、前記第2電力生成部の電力伝達特性によって決定される、請求項1に記載のハイブリッド電力システムの電力制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第1時間及び前記第2時間に該当する場合、前記第1電力生成部を相殺電圧モードに移行させるように構成される、請求項2に記載のハイブリッド電力システムの電力制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記第1時間及び前記第2時間以外は、前記第1電力生成部を最大電力点追従モードで制御するように構成される、請求項2又は3に記載のハイブリッド電力システムの電力制御装置。
【請求項5】
前記第1電力生成部は太陽光発電装置を含み、
前記第2電力生成部は燃料電池発電装置を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載のハイブリッド電力システムの電力制御装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記電力測定部により測定された負荷要求電力が所定値以下の場合、前記第2電力生成部の出力がONからOFFに切り替えられるように制御する、請求項1〜5のいずれか一項に記載のハイブリッド電力システムの電力制御装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記電力測定部により測定された負荷要求電力が前記第1電力生成部の出力を超える場合、前記第2電力生成部の出力がOFFからONに切り替えられるように制御する、請求項1〜6のいずれか一項に記載のハイブリッド電力システムの電力制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイブリッド電力システムの電力制御装置に関し、特に、2種以上の電力生成部を含むハイブリッド電力システムにおいて出力電力の品質を向上させることのできる電力制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、世界各国で電力消費量が増加し続けているが、これに対応する発電設備の拡充は、敷地の確保や資源の需給、環境問題などにより大型の火力及び原子力発電所の建設が制限されていて次第に困難となっている。また、産業が高度化するにつれて電力品質の要求が増大しており、需要管理及び制御を考慮した様々なエネルギー源の開発要求も増大している。
【0003】
よって、風力、太陽光、燃料電池などの再生可能エネルギーを利用したハイブリッド形態の電力系統連携システムが開発されている。ハイブリッド電力システムは、電力系統に電力を供給する電力供給源を多様化し、電力系統の状況に応じて電力供給源を選択できるようにすることにより、電力の逆送電、エネルギー効率の向上及び信頼性の向上を可能にする。よって、このようなハイブリッド電力システムは次世代電力IT技術として注目されている。
【0004】
図5は一般的なハイブリッド電力システムを示すブロック図である。
【0005】
図5を参照すると、一般的なハイブリッド電力システム10は、メイングリッド20に接続され、負荷30の要求電力量の変動によって、少なくとも2つの再生可能エネルギーの電力供給源から供給される電力を選択及び調整して分担することができる。
【0006】
このような一般的なハイブリッド電力システム10は、メイングリッド20から供給される電力と少なくとも2つの再生可能エネルギーの電力の供給を適切に分担することにより、負荷30に供給される電力を維持することができる。
【0007】
より具体的には、メイングリッド20から供給される電力は、トランスフォーマを介してハイブリッド電力システム10との共通接続点に供給され、負荷30に伝達される。
【0008】
また、一般的なハイブリッド電力システム10は、再生可能エネルギーとして、例えば太陽光発電装置PVと燃料電池発電装置FCとを含み、それぞれは、DCリンクによりカップリングされ、DC/DCコンバータにより電力を供給することができる。太陽光発電装置PVに接続されたDC/DCコンバータのPWM制御装置は、最大電力点追従(Maximum Power Point Tracking, MPPT)方式で太陽光発電装置PVの出力を効率的に制御することができ、燃料電池発電装置FCに接続されたDC/DCコンバータのPWM制御装置は、DCリンクの電圧を制御することで負荷30の変動に応じた燃料電池の出力変化を制御することができる。
【0009】
図6は一般的なハイブリッド電力システムの出力電力の変化を示すグラフである。
【0010】
図6に示すように、太陽光発電装置PVの出力が一定の状態で、負荷の変動により燃料電池発電装置FCの出力が要求されることがある。
【0011】
ところが、図6のグラフから分かるように、負荷要求量が急激に変化するのに対して、燃料電池発電装置FCの出力反応は速くない。よって、負荷要求量が急激に増加するのに対して、全出力(PV+FC)量は徐々に増加し、また徐々に減少する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
このような出力反応速度の遅延は電力品質の問題を引き起こす。特に、電力系統に負荷遮断(負荷制限)などが発生した場合、燃料電池発電装置FCの出力が所定時間維持されるため、システムの不安定及び誤作動を引き起こす。
【0013】
本発明の目的は、電力品質を向上させることのできる、ハイブリッド電力システムの電力制御装置を提供することにある。
【0014】
本発明の他の目的は、負荷要求電力の急激な変化に対応することのできる、ハイブリッド電力システムの電力制御装置を提供することにある。
【0015】
本発明のさらに他の目的は、燃料電池発電装置の出力反応の遅延により電力品質が悪化する問題を解決するためのハイブリッド電力システムの電力制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記本発明の目的は、ハイブリッド電力システムの電力制御装置において、前記電力システムの出力電力を測定する電力測定部と、予め設定された制御モード及び前記測定された出力電力に基づいて、前記電力システムの第1電力生成部及び第2電力生成部の動作を制御する制御部とを含み、前記制御部は、前記第2電力生成部の出力がONからOFFに切り替えられるように制御された場合、第1時間の間、前記第1電力生成部の出力電圧を前記第2電力生成部の出力に対応する第1相殺電圧に制御するように構成される、本発明によるハイブリッド電力システムの電力制御装置を提供することにより達成される。
【0017】
本発明の一態様によれば、前記制御部は、前記第2電力生成部の出力がOFFからONに切り替えられるように制御された場合、第2時間の間、前記第1電力生成部の出力電圧を前記第2電力生成部の出力に対応する第2相殺電圧に制御するように構成される。
【0018】
本発明の他の態様によれば、前記制御部は、前記第1時間及び前記第2時間に該当する場合、前記第1電力生成部を相殺電圧モードに移行させるように構成される。
【0019】
本発明のさらに他の態様によれば、前記制御部は、前記第1時間及び前記第2時間以外は、前記第1電力生成部を最大電力点追従モードで制御するように構成される。
【0020】
本発明のさらに他の態様によれば、前記第1電力生成部は太陽光発電装置を含み、前記第2電力生成部は燃料電池発電装置を含む。
【0021】
本発明のさらに他の態様によれば、前記制御部は、前記電力測定部により測定された負荷要求電力が所定値以下の場合、前記第2電力生成部の出力がONからOFFに切り替えられるように制御する。
【0022】
本発明のさらに他の態様によれば、前記制御部は、前記電力測定部により測定された負荷要求電力が前記第1電力生成部の出力を超える場合、前記第2電力生成部の出力がOFFからONに切り替えられるように制御する。
【0023】
本発明のさらに他の態様によれば、前記第1時間における前記第1相殺電圧は、前記第2電力生成部の電力伝達特性によって決定される。
【0024】
本発明のさらに他の態様によれば、前記第1電力生成部の制御による出力変化の反応速度は、前記第2電力生成部の制御による出力変化の反応速度よりも速い。
【0025】
本発明のさらに他の態様によれば、前記第2時間における前記第2相殺電圧は、前記第2電力生成部の電力伝達特性によって決定される。
【発明の効果】
【0026】
本発明によるハイブリッド電力システムの電力制御装置においては、出力反応の遅い第2電力生成部の出力がONからOFFに切り替えられるように制御された場合、第1時間の間、出力反応の速い第1電力生成部の出力電圧を第2電力生成部の出力に対応する第1相殺電圧に制御することにより、全体の電力切替が非常に速い速度で制御されるのと同じ効果をもたらす。
【0027】
また、電力切替の反応速度を増加させることにより、供給される電力の品質を向上させることができ、電力システム全体の安定性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の一実施形態によるハイブリッド電力システムの電力制御装置を示すブロック図である。
図2】本発明の一実施形態による電力制御装置を含むハイブリッド電力システムを示すブロック図である。
図3】本発明の一実施形態によるハイブリッド電力システムの電力制御装置の動作による出力電力を示すグラフである。
図4】本発明の他の実施形態によるハイブリッド電力システムの電力制御装置の動作による出力電力を示すグラフである。
図5】一般的なハイブリッド電力システムを示すブロック図である。
図6】一般的なハイブリッド電力システムの出力電力の変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、単に本発明の原理を例示する。よって、本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、本明細書に明確に説明又は図示されていないとしても本発明の原理を実現して本発明の概念及び範囲に含まれる様々な装置を発明することができるであろう。また、本明細書に記載される全ての条件付き用語及び実施形態は原則的に本発明の概念の理解を助ける目的でのみ用いられるものであり、本明細書に記載された実施形態及び態様により本発明の思想が制限されるように解釈されるべきではない。
【0030】
さらに、本発明の原理、観点及び実施形態、並びに特定の実施形態についての詳細な説明は、それらの構造的及び機能的均等物を含むように意図されたものと理解されるべきである。なお、これらの均等物は、公知の均等物だけでなく、将来開発される均等物を含み、構造に関係なく同じ機能を果たすように発明された全ての素子を含むものと理解されるべきである。
【0031】
つまり、例えば本明細書のブロック図は、本発明の原理を具体化する例示的な回路の概念的な観点を示すものと理解されるべきである。これと同様に、本明細書のフロー図、状態遷移図、疑似コードなどは、コンピュータ可読媒体で実現することができ、コンピュータ又はプロセッサが明確に図示されているか否かを問わず、コンピュータ又はプロセッサにより行われる様々なプロセスを示すものと理解されるべきである。
【0032】
プロセッサ又はこれに類似する概念で示された機能ブロックを含む図示の様々な素子の機能は、専用ハードウェアだけでなく、適切なソフトウェアに関してソフトウェアを実行する能力を有するハードウェアを使用することにより提供することができる。プロセッサにより提供される場合、前記機能は、単一の専用プロセッサ、単一の共有プロセッサ、又は複数の個別プロセッサにより提供され、これらの一部は共有されることもある。
【0033】
また、プロセッサ、制御、又はこれに類似する概念で用いられる用語は、ソフトウェアを実行する能力を有するハードウェアを排他的に引用して解析されてはならず、限定されることなく、デジタル信号プロセッサ(DSP)ハードウェア、ソフトウェアを保存するためのROM、RAM及び不揮発性メモリを暗示的に含むものと理解されるべきであり、周知慣用の他のハードウェアを含むこともある。
【0034】
本発明の特許請求の範囲において、詳細な説明に記載された機能を実行するための手段として示された構成要素は、例えば、前記機能を実行する回路素子の組み合わせ又はファームウェア/マイクロコードなどを含む全ての形式のソフトウェアを含む機能を実行する全ての方法を含むものとして意図され、前記機能を実行するように前記ソフトウェアを実行するための適切な回路と結合される。特許請求の範囲で定義される本発明は、様々に記述された手段により提供される機能と結合され、特許請求の範囲で請求される方式と結合されるため、前記機能を提供できるいかなる手段も本明細書から把握されるものの均等物として理解されるべきである。
【0035】
本発明の目的、特徴及び利点は、後述する発明の詳細な説明及び添付図面によりさらに明確になるであろう。よって、本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、本発明の技術的思想を容易に実施できるであろう。なお、本発明を説明するにあたって、関連する公知技術についての具体的な説明が本発明の要旨を不明にすると判断される場合は、その詳細な説明を省略する。
【0036】
以下、添付図面を参照して本発明の好ましい一実施形態を詳細に説明する。
【0037】
図1は本発明の一実施形態によるハイブリッド電力システムの電力制御装置を示すブロック図である。
【0038】
図1に示すように、本発明の一実施形態によるハイブリッド電力システムの電力制御装置200は、電力システムの出力電力を測定する電力測定部210と、予め設定された制御モード及び測定された出力電力に基づいて、電力システムの電力生成部の動作を制御する制御部220とを含む。
【0039】
ここで、ハイブリッド電力システムは、2つ以上の再生可能エネルギーを利用する電力生成部を含んでもよい。
【0040】
特に、本発明の一実施形態によれば、ハイブリッド電力システムは、第1電力生成部115及び第2電力生成部117を含み、制御部220は、第1電力生成部115及び第2電力生成部117の動作を制御する。
【0041】
なお、本発明による電力制御装置200は、複数の異なる再生可能エネルギーを利用する電力生成部を制御するのに用いられ、電力生成部の種類や数は限定されない。
【0042】
また、第1電力生成部115の制御反応速度と第2電力生成部117の制御反応速度とは異なることがある。なお、電力生成部の制御反応速度は、再生可能エネルギーの種類毎に異なり、反応特性グラフにより決定される。
【0043】
本実施形態において、第1電力生成部115は、太陽光(PV)を利用する発電装置であり、第2電力生成部117は、燃料電池(FC)を利用する発電装置であるが、本発明がこれに限定されるものではない。ここで、太陽光の制御反応速度が非常に速いのに対して、燃料電池の制御反応速度はその特性グラフから判断して非常に遅いため、本実施形態においては、第2電力生成部117の反応速度が第1電力生成部115の反応速度よりも遅い。
【0044】
このような反応速度の違いにより、最終出力である合計電力の反応速度も遅くなる。よって、制御部220は、反応速度の遅い第2電力生成部117のオン/オフを切り替える際に、所定時間相殺電圧モードで動作する。
【0045】
制御部220は、相殺電圧モードで、第2電力生成部117の電圧が遅く切り替えられる間、反応速度の速い第1電力生成部115の電圧を相殺電圧に制御する。このような制御部220の動作により、合計電力の変化速度が速くなる。
【0046】
一方、電力測定部210は、電力制御装置200に接続されたハイブリッド電力システムの各電力生成部と、ハイブリッド電力システムの出力端から伝達される全電力を測定し、制御部220に送る。制御部220は、電力測定部210により測定された電力及び予め設定された制御モードに基づいて、第1電力生成部115及び第2電力生成部117の動作を制御する。
【0047】
例えば、制御部220は、電力測定部210により測定された負荷要求電力が所定値以下の場合、第2電力生成部117の出力がONからOFFに切り替えられるように制御し、電力測定部210により測定された負荷要求電力が第1電力生成部115の出力を超える場合、第2電力生成部117の出力がOFFからONに切り替えられるように制御することにより、要求電力に応じたフレキシブルな出力調整を可能にする。
【0048】
以下、図2を参照して本発明の一実施形態による電力制御装置を含むハイブリッド電力システムについて詳細に説明する。
【0049】
図2は本発明の一実施形態による電力制御装置を含むハイブリッド電力システムを示すブロック図である。
【0050】
本発明の一実施形態による電力制御装置を含むハイブリッド電力システムは、主電源を供給するメイングリッド100と、メイングリッド100に接続される第1トランスフォーマ102と、ハイブリッド電力システムの出力端に接続される第2トランスフォーマ110と、第1トランスフォーマに接続される供給線路104と、第2トランスフォーマ110及び供給線路104に接続される共通接続点(PCC)106と、負荷線路(符号なし)を介して共通接続点106に接続される負荷108と、ハイブリッド電力システムのDC出力をACに変換して第2トランスフォーマ110に送るインバータ112と、インバータ112に接続される第1電力生成部115と、インバータ112に接続される第2電力生成部117と、各電力生成部115、117及び共通接続点106に接続されて電力を測定し、システム全体の動作を制御する電力制御装置200とを含む。
【0051】
第1電力生成部115は、太陽光発電部116、最大電力点追従(MPPT)電圧生成部122、第1パルス振幅変調部(PWM1)124及び第1DCリンク120を含んでもよい。
【0052】
また、第2電力生成部117は、燃料電池発電部118、第2パルス振幅変調部(PWM2)128及び第2DCリンク126を含んでもよい。
【0053】
第1DCリンク120及び第2DCリンク126は、一定の直流電圧を供給する周知のDCリンクコンデンサで構成されてもよい。
【0054】
電力制御装置200は、第1パルス振幅変調部124及び第2パルス振幅変調部128に接続され、各パルス振幅変調部124、128の動作を制御することにより、各電力生成部115、117の出力を制御する。
【0055】
特に、制御部220は、予め設定された動作モードに基づいて、第1パルス振幅変調部124及び第2パルス振幅変調部128の動作を制御することができる。また、例えば第1電力生成部115のような太陽光発電の場合は、最大電力点追従(MPPT)電圧生成部122で生成された基準電圧によって、最大電力点追従(MPPT)モードで第1パルス振幅変調部124を制御することもできる。
【0056】
また、制御部220により制御される電力生成部の制御モードは、例えば線路の潮流を一定に維持する線路潮流制御(Feeder Flow Control, FFC)モードであってもよい。
【0057】
電力生成部がFFCモードで動作する場合、制御部220は、負荷の消費電力の変動に応じてその出力(P ms)を調整することができる。これにより、ハイブリッド電力システムに接続されたメイングリッド100からの電力潮流(P feeder)が一定に維持される。従って、メイングリッド100に電力を供給する主電源供給者は、そのハイブリッド電力システムを含む電力グリッドを一定の電力を消費する負荷に設定して制御することができるので、そのグリッドに供給される電力の測定及び制御が容易であるという利点がある。
【0058】
また、制御部220の制御モードは、電力生成部の出力電力を一定に維持する単位電力制御又はユニット電力制御(Unit Power Control, UPC)モードであってもよい。UPCモードの場合、電力制御装置200は、線路の潮流量に関係なく、電力生成部自体の出力が特定の値を有するように一定に維持することができる。
【0059】
また、制御部220の制御モードは、太陽電池の出力を制御するモードであってもよく、最大電力点追従(MPPT)モードであってもよい。
【0060】
ここで、最大電力点追従(MPPT)とは、日射量の変動による直流電圧の大きさ変化の問題を解決する方式であって、太陽電池アレイの基準電圧であるDC電圧を基準としてその追従値に制御する方式を意味する。
【0061】
例えば、制御部220は、最大電力点追従(MPPT)による追従値と基準値とを増幅して比較し、第1パルス振幅変調部124に含まれる振幅変調用半導体スイッチであるIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)に対するゲート制御信号として電流及び電圧制御信号を生成し、第1パルス振幅変調部124に送ることにより、第1電力生成部115を最大電力点追従(MPPT)モードに制御することができる。
【0062】
このような各モードによる制御部220の動作により、電力伝達特性及び環境変化に応じて提供可能なエネルギーを最大限に活用することができる。
【0063】
一方、前述したように、制御部220は、第1電力生成部115及び第2電力生成部117の動作を制御するが、第2電力生成部117の出力がONからOFFに切り替えられるように制御された場合、第1時間の間、第1電力生成部115の出力電圧を第2電力生成部117の出力に対応する第1相殺電圧に制御することができる。
【0064】
また、制御部220は、第2電力生成部117の出力がOFFからONに切り替えられるように制御された場合、第2時間の間、第1電力生成部115の出力電圧を第2電力生成部117の出力に対応する第2相殺電圧に制御することができる。
【0065】
このような相殺電圧制御のために、制御部220は、第1時間及び第2時間の間、第1電力生成部115を相殺電圧制御モードで制御することができる。また、制御部220は、第1時間及び第2時間以外は、第1電力生成部115を最大電力点追従(MPPT)モードで制御することができる。
【0066】
また、第1時間における第1相殺電圧又は第2時間における第2相殺電圧は、第2電力生成部117の電力伝達特性によって決定される。例えば、第2電力生成部117の電力伝達特性が非常に遅い反応速度を示す場合、時間に対する相殺電圧の変化量が非常に小さく、第2電力生成部117の電力伝達特性が非常に速い反応速度を示す場合、時間に対する相殺電圧の変化量が非常に大きい。
【0067】
また、本実施形態においては、第1電力生成部115の電力制御反応速度が第2電力生成部117の電力制御反応速度よりも速い場合、第1時間における第1相殺電圧及び第2時間における第2相殺電圧は、第1電力生成部115の特性とは関係なく決定される。これにより、効率的な電力制御を行うことができ、全体の電力反応速度が速くなったのと同じ効果をもたらすため、電力品質を向上させることができる。
【0068】
図3は本発明の一実施形態によるハイブリッド電力システムの電力制御装置の動作による出力電力を示すグラフである。
【0069】
図3に示すように、制御部220は、第2電力生成部の出力がONからOFFに切り替えられるように制御された場合、第1時間の間、第1電力生成部の出力電圧を第2電力生成部の出力に対応する第1相殺電圧に制御することができる。
【0070】
より具体的には、図3において、V1の「制御」区間は、前述した第1時間の間第1電力生成部の出力電圧を第2電力生成部の出力に対応させた第1相殺電圧の波形を示す。第1相殺電圧は、第2電力生成部の出力FCがONからOFFに切り替えられた場合に変化する電力特性によって決定され、第2電力生成部の出力FCが完全にOFFにならず徐々に電圧が変化することを相殺するための電圧であってもよい。つまり、第1相殺電圧は、第2電力生成部の出力FCがONからOFFに切り替えられる第1時間の間、絶対値が減少する正電圧に対応する、絶対値が減少する負電圧であってもよい。
【0071】
このような本実施形態による電力制御装置200により、V1の「制御」区間では、ハイブリッド電力システムの全出力(PV+FC)も急減する。従って、負荷要求量が減少して第2電力生成部である燃料電池システムの出力をOFFに切り替える場合も、燃料電池による遅い電力減少速度を太陽光システムの相殺電圧で補完することにより、全出力は少なくとも第1電力生成部と同程度の電力減少速度を有することになる。
【0072】
図4は本発明の他の実施形態によるハイブリッド電力システムの電力制御装置の動作による出力電力を示すグラフである。
【0073】
図4を参照すると、V2の「制御」区間は、第2電力生成部の出力FCがOFFからONに切り替えられるように制御された場合、第2時間の間、第1電力生成部の出力電圧PVが第2電力生成部の出力に対応する第2相殺電圧に制御されることを示す。
【0074】
より具体的には、図4のV2の「制御」区間は、V1の「制御」区間に類似する波形を示す。第2相殺電圧は、第2電力生成部の出力FCがOFFからONに切り替えられた場合に変化する電力特性によって決定され、第2電力生成部の出力FCが完全にONにならず徐々に電圧が上昇することを相殺するための電圧であってもよい。つまり、第2相殺電圧は、第2電力生成部の出力FCがOFFからONに切り替えられる第2時間の間、絶対値が増加する正電圧に対応する、絶対値が減少する正電圧であってもよい。
【0075】
このような本実施形態による電力制御装置200により、V2の「制御」区間では、ハイブリッド電力システムの全出力(PV+FC)が急上昇する。従って、負荷要求量が増加して第2電力生成部である燃料電池システムの出力をONに切り替える場合も、燃料電池による遅い電力増加速度を太陽光システムの相殺電圧で補完することにより、全出力は少なくとも太陽光システムの第1電力生成部と同程度の電力上昇速度を有することになる。
【0076】
一方、このような第2電力生成部117に対する電力切替制御は、電力測定部210により測定された負荷要求電力に応じて変化する。例えば、制御部220は、負荷要求電力が第1電力生成部115の出力を超える場合、第2電力生成部117の出力がOFFからONに切り替えられるように制御し、電力測定部により測定された負荷要求電力が所定値以下の場合、第2電力生成部117の出力がONからOFFに切り替えられるように制御する。
【0077】
このような電力制御装置200の動作により、ハイブリッド電力システムは速い反応速度を有し、負荷の変動による速い電力の変化をもたらすことができる。また、速い電力の変化と共に、モード制御により状況に応じた出力制御を行うことができるので、効率的な電力制御を行うことができる。
【0078】
以上、本発明の好ましい実施形態を添付図面を参照して説明したが、本発明は、前述した特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に定義された本発明の要旨から外れない限り、本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者により様々な変形実施が可能であることはもとより、これらの変形実施は本発明の技術的思想や展望と個別に理解されるべきではない。
【符号の説明】
【0079】
115 第1電力生成部
117 第2電力生成部
210 電力測定部
220 制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6