【文献】
Feng Wang et ai.,Copolypeptide-doped polyaniline nanofibers for electrochemical detection of ultratrace trinitrotoluene,Talanta,2009年,79,376-382
【文献】
Michael Riskin et al.,Imprinting of Molecular Recognition Sites through Electropolymerization of Functionalized Au Nanoparticles:Development of an Electrochemical TNT Sensor Based on π-Donor-Acceptor Interactions,J. Am. Chem. Soc,,2008年,130,9726-9733
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
基体と、前記基体に堆積させられる複数のナノ構造体とを含み、前記複数のナノ構造体のうちの少なくとも一部が、第1の官能性成分に結合しているナノ構造体を含み、かつ、前記複数のナノ構造体のうちの少なくとも別の一部が、第2の官能性成分に結合しているナノ構造体を含み、前記第1の官能性成分および第2の官能性成分は異なり、前記第1の官能性成分および第2の官能性成分のそれぞれが、電子供与成分であり、2nm未満の長さを有し、かつ電荷移動錯体を形成することによってニトロ含有爆発物と相互作用することができ、前記ナノ構造体のそれぞれは、ニトロ含有爆発物を含有するサンプルと接触したとき、前記複数のナノ構造体の電導性における検出可能な変化が示されるように、ソース電極とドレイン電極の間に配置されており、前記変化により、前記サンプルにおける前記ニトロ含有爆発物の存在および/または量が示され、かつ、ニトロ含有爆発物の化学的組成がさらに示される、デバイス。
サンプルにおけるニトロ含有爆発物の存在および/または量を明らかにする方法であって、前記方法は、サンプルを、半導体ナノ構造体および前記ナノ構造体に結合する官能性成分を含むデバイスと接触させることを含み、前記官能性成分は、電子供与成分であり、2nm未満の長さを有し、かつ電荷移動錯体を形成することによってニトロ含有爆発物と相互作用することができ、前記ナノ構造体は、ニトロ含有爆発物を含有するサンプルと接触したとき、前記ナノ構造体の電導性における検出可能な変化が示されるように、ソース電極とドレイン電極の間に配置されており、その結果、前記変化により、サンプルにおけるニトロ含有爆発物の存在および/または量が示される、方法。
【発明を実施するための形態】
【0080】
本発明は、そのいくつかの実施形態において、化学物質の検出に関し、より具体的には、しかし、限定ではなく、超微量の爆発物及び他のニトロ含有化学物質を液相および気相の両方において検出するためにそれを利用するデバイス、システムおよび方法に関する。
【0081】
本発明の少なくとも1つの実施形態を詳しく説明する前に、本発明は、その適用において、下記の説明に示されるか、および/または図面および/または実施例において例示される構成要素および/または方法の組み立ておよび構成の細部に必ずしも限定されないことを理解しなければならない。本発明は他の実施形態が可能であり、または様々な方法で実施または実行されることが可能である。
【0082】
本明細書中上記で議論されるように、爆発物などの化学物質を検出する分野では、広い区域のオンラインかつリアルタイムでの信頼できるモニターリングがますます求められている。この目的のためには、超高感度であり、かつ、連続操作に備えて電力消費が少ない、安価で、小さく、かつ、複雑でないセンサーを開発する必要がある。
【0083】
本発明者らは、TNT、ならびに、他のニトロ含有化学物質および爆発物のための成功した化学センサーは下記の特徴を示さなければならないことを認識している:
(1)TNTの25℃における蒸気圧が5.8×10
−6Torrもの低さ(10ppb未満)であること[Senesac,L.&Thundat,T.G. Materials Today 11、28〜36(2008)]、および、他の一般に使用されている爆発物(例えば、RDXおよびHMXなど)の蒸気圧は一層より低い(それぞれ、pptレベルおよびppqレベルである)ことを考えると、極めて高感度でなければならないこと;(2)高選択性であり、偽陽性および偽陰性の両方を排除しなければならないこと;(3)ドリフトに対して頑強であり、かつ、ドリフトを受け難くなければならないこと;(4)容易な小型化が、例えば、屋外または屋内のセキュリティー適用のために可能でなければならないこと;および(5)多数の検知エレメントのアレイに基づくリアルタイムのハイスループット分析を行うことが可能でなければならないこと。
【0084】
本発明者らは、修飾されたナノワイヤから作製される物品であって、ガス状媒体(例えば、空気など)でさえ、超微量の化学物質を選択的に検出することができる超高感度ナノセンサーとして構築することができる物品を考案し、その調製および実施に成功している。
【0085】
本発明者らは、検出限界がサブフェムトモル濃度の濃度範囲に達する化学修飾されたSiNW−FETの大きいアレイの使用による、TNTおよび他のニトロ含有化合物についての大きい選択性を有する、迅速で、無標識のリアルタイム超高感度検出を実証している。本発明者らは、開発されたセンサーならば、TNTを、ニトロ基の有無によらず、他の関連化合物と区別することができ、かつ、明確な濃度依存的コンダクタンス応答をTNTについて示すことができることを示している。
【0086】
本発明者らは、より広範囲の爆発物および他のニトロ含有化学剤を、標識を用いることなく同時に検出することに向けた基礎となる、TNTおよび他の爆発性化学物質の分析物を検出するために意図される選択的かつ超高感度な電子ノーズを作製している。
【0087】
これらのナノセンサーは、例えば、街角毎に、または、公共建築物の各所に、または、国土の各地に目立たないように配置することができ、これにより、周囲の空気を最高感度でサンプリングすることができる(ただし、これらはすべてが分析センターにつながれる)。
【0088】
本明細書中に記載される方法論の1つの実施形態において、電子豊富なアミノシランの単分子層により官能化されたSiNWデバイスが、約0.1フェムトモル濃度(約1×10
−6ppt)の検出限界にまで至るTNTの、標識を用いない多重化されたリアルタイムかつ迅速な超高感度電気的検出のために利用される。何らかの特定の理論によってとらわれないが、SiNWデバイスの表面における電子豊富なアミン単分子層が電荷移動のドナー−アクセプター相互作用を介して電子不足の爆発性分子(例えば、TNT)と結合し、それにより、電荷を帯びたTNT−アミン錯体をナノワイヤ表面の極近傍においてもたらし、したがって、電気的検知ナノエレメントのコンダクタンスの急激な変化を引き起こすと考えられる。このことは結果として、前例のない検出感度限界を水溶液中のTNTについて、同様にまた、大気から直接にサンプリングされるTNT蒸気についてもたらす。数十または数百のナノセンサーによってリアルタイムで行われる超高感度の同時検出は、現行の検出戦略を上回る著しい利点を有しており、また、より信頼できる高感度かつ迅速な実行を、かなり低下した数の不首尾を伴って可能にする。示される並外れた感度によって、本明細書中に記載されるセンサー・プラットホームはほとんどの爆発性化学種の固有的な低い揮発性によって限定されない。
【0089】
本発明の実施形態の1つの局面によれば、サンプルにおけるニトロ含有化合物の存在および/または量を明らかにする方法が提供され、この場合、この方法は、サンプルを、半導体ナノ構造体およびこのナノ構造体に結合する官能性成分を含むデバイスと接触させることを含み、ただし、官能性成分は、ニトロ含有化合物を含有するサンプルと接触したとき、ナノ構造体が電気的性質における検出可能な変化を示すようにされており、その結果、そのような変化により、サンプルにおけるニトロ含有化合物の存在および/または量が示される。
【0090】
サンプル:
本明細書中で使用される場合、表現「ニトロ含有化合物」は、1つまたは複数のニトロ基を、例えば、飽和または不飽和である線状または環状の炭化水素骨格に結合して含む化合物を包含する。
【0091】
したがって、ニトロ含有化合物は、1つまたは複数のニトロ基によって置換される脂肪族または脂環式または芳香族の炭化水素成分から構成され得る。炭化水素成分は場合により、1つまたは複数のヘテロ原子(例えば、窒素、酸素、イオウ、リン、ケイ素、ホウ素など)によって中断され得る。
【0092】
いくつかの実施形態において、ニトロ含有化合物は、1つまたは複数のニトロ基によって置換される芳香族成分(例えば、アリール)を含む。
【0093】
いくつかの実施形態において、ニトロ含有化合物は爆発物である。
【0094】
本明細書中で使用される場合、用語「爆発物」は、爆発性材料、爆発残渣(例えば、爆発時に得られる物質)、および、爆発性材料に関連する材料(例えば、爆発性材料を調製するための出発材料)を包含する。
【0095】
本明細書中に記載される方法、デバイスおよびシステムを利用することによって検出することができる例示的なニトロ含有化合物には、2−ニトロトルエン、3−ニトロトルエン、4−ニトロトルエン、2,4,6−トリニトロトルエン(TNT)、2,4−ジニトロトルエン、3,4−ジニトロトルエン、2,6−ジニトロトルエン、二硝酸エチレングリコール(EGDN)、ニトログリセリン(NG)、ニトロセルロース、硝酸アンモニウム、シクロトリメチレントリニトラミン(シクロナイト;RDX)、四硝酸ペンタエリトリトール(PETN)、ホモシクロナイト(オクトーゲン;HMX)、2,4,6−トリニトロフェニルメチルニトラミン(Tetryl);ピクリン酸、1,2,3−プロパントリオールトリニトラート、ならびに、それらの任意の混合物および/または配合物(例えば、1,2,3−プロパントリオールトリニトラート配合物(例えば、NitroBid)、C−2(RDX、TNT、DNTおよびNG)、C−3(RDX、TNT、DNT、TetrylおよびNG)、C−4(RDXおよびPETN)、Semtex(RDXおよびPETN)、Detasheet(RDXおよびPETN)、各種ダイナマイト(EDGNおよびNG)、Pentolite(PETN+TNT)、PTX−1(RDX、TNTおよびTetryl)、PTX−2(RDX、TNTおよびPETN)およびTetryol(TNTおよびTetryl)を含む)が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの例示的なニトロ含有化合物が
図4に示される。
【0096】
いくつかの実施形態において、爆発物はTNTである。
【0097】
本明細書中では、ニトロ含有化合物はまた、分析物として交換可能に示される。
【0098】
サンプルは、ニトロ含有化合物を含有することが疑われるサンプルを包含し、その結果、本明細書中に記載される方法が、ニトロ含有化合物の存在および場合によってはその量、ならびに、さらに場合によってはニトロ含有化合物の正体(例えば、化学的組成)を明らかにするために利用されるようにされる。場合により、サンプルは、ニトロ含有化合物を含有することが知られており、本明細書中に記載される方法が、そのニトロ含有化合物の量および/または正体を明らかにするために利用される。
【0099】
いくつかの実施形態において、サンプルは流体サンプルであり、液体サンプルまたはガスサンプルが可能である。
【0100】
いくつかの実施形態において、サンプルは空気である。
【0101】
いくつかの実施形態において、ニトロ含有化合物は流体状態にある(例えば、液体状態またはガス状態にある)。
【0102】
用語「流体」は、流れやすく、かつ、その容器の外形に従いやすい物質として定義される。典型的な流体には、液体およびガスが含まれるが、自由に流れる固体粒子もまた含まれることがある。
【0103】
いくつかの実施形態において、ニトロ含有化合物はガス状態にある。
【0104】
「ガス状態」によって、化合物の少なくとも一部が蒸気の形態であることが意味される。したがって、例えば、化合物は室温で液体または固体であることが可能であり、それにもかかわらず、その一部が室温でガス状態にあるように、ある程度に揮発性である。代替において、化合物は、当該化合物を含有するサンプルを加熱したとき、そのようなガス状態にあることが可能である。
【0105】
本明細書中に記されるように、本明細書中に記載される方法は、超微量のニトロ含有化合物を検出するために利用することができるので、ガス状態にある化合物の部分は、本明細書中下記においてさらに詳述されるように極めて低い可能性がある。
【0106】
いくつかの実施形態において、サンプルにおけるニトロ含有化合物の濃度は、1マイクロモル濃度未満、1ナノモル濃度未満、1ピコモル濃度未満、1フェムトモル濃度未満であり、それどころか、アトモル濃度範囲である。
【0107】
いくつかの実施形態において、サンプルにおけるニトロ含有化合物の濃度は、1マイクロモル濃度〜1アトモル濃度に、または、1マイクロモル濃度〜1ナノモル濃度に、または、1マイクロモル濃度〜1ピコモル濃度に、または、1マイクロモル濃度〜1フェムトモル濃度に、または、1ナノモル濃度〜1ピコモル濃度に、または、1ナノモル濃度〜1フェムトモル濃度に、または、1ナノモル濃度〜1アトモル濃度に、または、1ピコモル濃度〜1フェムトモル濃度に、または、1ピコモル濃度〜1アトモル濃度に、または、1フェムトモル濃度〜アトモル濃度に及ぶ。
【0108】
ニトロ含有化合物の濃度は、液体サンプルにおける当該化合物の濃度と同様に、空気または他のガスサンプルにおける当該化合物の蒸気の濃度を包含する。
【0109】
したがって、いくつかの実施形態において、本明細書中に記載される方法は、極めて低い蒸気圧を有する低揮発性のニトロ含有化合物を、サンプルをデバイスと接触させる前にサンプルの濃縮および/またはサンプルの加熱を行うことなく検出するために利用することができる。
【0110】
デバイス:
本明細書中で使用される場合、「ナノ構造体」は、細長いナノスケールの半導体であって、その長さに沿ったどの点においても、少なくとも1つの断面寸法が、また、いくつかの実施形態では、2つの直交する断面寸法が1ミクロン未満であり、または、500ナノメートル未満であり、または、200ナノメートル未満であり、または、150ナノメートル未満であり、または、100ナノメートル未満であり、または、それどころか、70ナノメートル未満、50ナノメートル未満、20ナノメートル未満、10ナノメートル未満もしくは5ナノメートル未満であるものを表す。いくつかの実施形態において、断面寸法が2ナノメートル未満または1ナノメートル未満であることが可能である。
【0111】
いくつかの実施形態において、ナノ構造体は、少なくとも1つの断面寸法が0.5ナノメートル〜200ナノメートルに、または、1nm〜100nmに、または、1nm〜50nmに及ぶ。
【0112】
ナノ構造体の長さは、その断面に対して一般に直角であるその伸長範囲を表す。本発明のいくつかに実施形態によれば、ナノ構造体の長さは10nm〜50ミクロンに及ぶ。
【0113】
上記細長い半導体の断面は、どのような任意の形状をも有することができ、これには、円形、正方形、長方形、楕円形および管状が含まれるが、これらに限定されない。規則的形状および不規則形状が含まれる。
【0114】
本発明の様々な例示的実施形態において、ナノ構造体は非中空の構造体であり、これは本明細書中では「ナノワイヤ」として示される。
【0115】
「ワイヤ」は、導電性を有する、すなわち、電荷を通すことができるどのような材料をも示す。
【0116】
いくつかの実施形態において、ナノワイヤは、0.5ナノメートル〜200ナノメートルに及ぶ平均直径、または、1nm〜100nmにまで及ぶ平均直径、または、1nm〜50nmに及ぶ平均直径を有する。
【0117】
本発明のいくつかの実施形態において、ナノ構造体は中空のチューブ(好ましくは、その長さ軸に沿って完全に中空であるもの)として形状化される(これは本明細書中では「ナノチューブ」または「ナノ管状構造体」として示される)。
【0118】
ナノチューブは、単層ナノチューブ、多層ナノチューブまたはそれらの組合せが可能である。
【0119】
いくつかの実施形態において、ナノチューブの平均内径が0.5ナノメートル〜200ナノメートルに、または、1nm〜100nmに、または、1nm〜50nmに及ぶ。
【0120】
多層ナノチューブの場合、いくつかの実施形態において、層間距離が0.5ナノメートル〜200ナノメートルに、または、1nm〜100nmに、または、1nm〜50nmに及び得る。
【0121】
例示的ナノチューブおよびその調製方法が、国際公開WO2010/052704に開示される(これは、全体が本明細書中に示されるかのように参照により組み込まれる)。
【0122】
本明細書中に記載されるようなナノ構造体を形成するための好適な半導体材料の選択は、本発明の実施形態を有益に実施するために本明細書中に提供される指針を考慮すれば、明白であろうし、また、当業者によって容易に再現可能であろう。
【0123】
いくつかの実施形態において、ナノ構造体はシリコンナノワイヤ(SiNW)である。他の元素の半導体材料から作製されるナノワイヤ、および、n型ドーパントまたはp型ドーパントがドープされる半導体ナノ構造体もまた意図される。
【0124】
いくつかの実施形態において、ナノ構造体はシリコンナノチューブ(SiNT)である。他の元素の半導体材料から作製されるナノチューブであって、必要に応じて、n型ドーパントまたはp型ドーパントがドープされるナノチューブもまた意図される。
【0125】
いくつかの実施形態において、デバイスは、例えば、化学蒸着を使用することによって基体表面に成長させられる複数のナノワイヤおよび/またはナノチューブを含む。場合により、そのようなナノワイヤおよび/またはナノチューブが得られると、基体はエッチングされ、ナノワイヤおよび/またはナノチューブは、所望されるようにデバイス内に配置される。代替において、ナノワイヤを、レーザー支援触媒成長(LCG)を使用して作製することができる。
【0126】
いくつかの実施形態において、デバイスは、複数のナノ構造体、例えば、1平方センチメートルあたり2個〜2000個のナノ構造体を含む。これらのナノ構造体は、本明細書中に記載されるようなナノワイヤ、本明細書中に記載されるようなナノチューブ、および、それらの組合せを含むことができる。
【0127】
いくつかの実施形態において、デバイスはさらに、電気的性質における変化を明らかにするために構築され、かつ、配置される検出器を含む。
【0128】
ナノ構造体の電気的性質における変化を明らかにすることができる検出器はどれも使用することができる。
【0129】
ナノ構造体の電気的性質には、例えば、その電導性、抵抗率などを挙げることができ、検出器は、電気的性質における変化を測定するために、例えば、電圧、電流、導電性、抵抗、インピーダンス、インダクタンス、電荷などにおける変化を測定するために構築することができる。
【0130】
検出器は典型的には、電源と、電圧計または電流計とを含む。1つの実施形態において、1nS未満のコンダクタンスを検出することができる。いくつかの実施形態では、数千nSの範囲でのコンダクタンスを検出することができる。
【0131】
いくつかの実施形態において、デバイスは、例えば、電界効果トランジスター(FET)(これに限定されない)などのトランジスターとして配置される。この実施形態の典型的な例示が
図8に例示され、
図8は、本発明の1つの実施形態によるトランジスター20の概略的な断面例示である。トランジスター20は、基体24に形成されるドレインとして作用する第1の電極22、チャネルとして作用する1つまたは複数のナノ構造体26、および、ナノ構造体26と接触する(例えば、ナノ構造体26の表面に形成される)ソースとして作用する第2の電極28を含む。
図8に示される限定されない例示において、ナノ構造体26が第1の電極22に関して垂直にアラインメントされる。しかしながら、このことは必ずしも当てはまる必要はない。これは、いくつかの適用については、ナノ構造体が垂直にアラインメントされることが必要ないかもしれないからである。
【0132】
ナノ構造体26の一部分がゲート32によって包み込まれ、一方、残りの部分が、ナノ構造体26の保護および支持のために、絶縁性材料から作製されるスペーサーとして作用する埋込み層30によって覆われる。ゲート32がチャネル(ナノ構造体26)を完全に包み込む構造のために、チャネルの周りでの電場の影響が最大となり、完全に空になった空乏層が、ゲート32により生じる電場によって得られる。
【0133】
図9は、ナノ構造体が基体に対して一般に平行にアラインメントされ得る実施形態におけるトランジスター50の概略的例示である。トランジスター50は、ソース電極52、ドレイン電極54、ゲート電極56およびチャネル58を含む。ゲート電極56およびチャネル58の一方または両方が、本発明の実施形態のナノ構造体デバイスから、または、複数のナノ構造体デバイスから形成され得る。例えば、1つの実施形態において、チャネル58が1つのナノ構造体または複数のナノ構造体であり、ゲート電極56が、例えば、シリコンウエハーにおけるSiO
2の層である。チャネル58は、電荷キャリアの密度が変えられ得るように半導体特性(n型またはp型の半導体特性のどちらか)を有することができる。チャネル58は基体と接触することができ、または、示された代替では、介在物の層59の有無にかかわらず、基体から一定の距離で隔てられる場合がある。ゲート電圧57がゲート電極56を介してチャネル58に加えられる。ゲート電極56の電圧がゼロであるとき、チャネル58は遊離した電荷キャリアを全く含有せず、本質的には絶縁体である。電圧57が増大するにつれ、それによって引き起こされる電場が電子(またはより一般的には電荷キャリア)をソース電極52およびドレイン電極54から引き寄せ、チャネル58は導電性になる。
【0134】
ナノ構造体の電気的性質が、ニトロ含有化合物を含有するサンプルとの相互作用に応答して変化するとき、検出可能なシグナルがトランジスター20またはトランジスター50によってもたらされることが理解される。例えば、ソース−ドレイン間の電気的性質における変化により、ゲート電圧に対するトランジスターの特性応答における変化(例えば、デート電圧の関数としてのソース−ドレイン電流)が誘導され、そのような変化を検出および分析することができる。
【0135】
本明細書中に記載されるデバイスはまた、検知デバイスとして、または、単にセンサーとして示される。
【0136】
官能性成分:
本明細書中に記されるように、ニトロ含有化合物の存在および/または量を明らかにすることが、修飾されたナノ構造体の電気的性質における変化を測定することによって達成される(ただし、修飾されたナノ構造体によって、この変化が、ナノ構造体に結合する官能性成分と、分析物との間における相互作用の結果として生じる)。
【0137】
何らかの特定の理論によってとらわれないが、本明細書中に記載される方法において利用されるデバイスの高い感度は、本明細書中下記において詳しく議論されるように、修飾されたナノ構造体のニトロ含有化合物との相互作用に関わる作用機構から生じることが仮定される。
【0138】
いくつかの実施形態において、官能性成分は、電荷移動錯体を形成することによってニトロ含有化合物と相互作用する。
【0139】
IUPACにおいて定義されるように、「電荷移動錯体」は、ドナー成分からアクセプター成分への電子電荷の部分的移動が存在する励起状態への電子遷移によって特徴づけられる電子ドナー−電子アクセプター錯体である。
【0140】
ニトロ含有化合物におけるニトロ基は電子吸引基として作用するので、ニトロ含有化合物は典型的には、部分的な正電荷を示すドメインを、これらのドメインと、ニトロ基(1つまたは複数)との間における電子共鳴に起因して含む。
【0141】
いくつかの実施形態において、デバイスを構成するナノ構造体は、電子供与成分である官能性成分をナノ構造体に結合して有するように修飾される。
【0142】
何らかの特定の理論によってとらわれないが、電子供与成分は、ニトロ含有化合物における正荷電ドメインとの電荷移動錯体を形成することが仮定される。
【0143】
したがって、いくつかの実施形態において、本明細書中に記載されるような電荷移動錯体では、電子ドナーが、本明細書中に記載されるように、修飾されたナノ構造体によってナノ構造体に結合する電子供与成分であり、電子アクセプターがニトロ含有成分である。
【0144】
本明細書中で使用される場合、成分または基に関する表現「電子供与(性の)」は、この表現が本明細書中で定義されるように、少なくとも1つの電子供与性原子を含む成分または基を表す。
【0145】
本明細書中で使用される場合、表現「電子供与性原子」は、1つまたは複数の電子を電子アクセプター(例えば、電子不足を示す原子または分子)に与えることができ、その結果、(例えば、電荷移動錯体の形成を介して)アクセプターと相互作用する化学基におけるどのような原子をも表す。典型的には、電子供与性原子は自由電子対の存在によって特徴づけられる。様々なヘテロ原子(例えば、リン、イオウ、窒素)が電子供与性原子として作用し得ることがこの技術分野では知られている。加えて、N−複素環式カルベン(例えば、本明細書中で記載される、5員または6員のヘテロ脂環式環またはヘテロ芳香族環であるN−複素環式カルベン)における炭素原子が、好適な電子供与性原子である場合がある。
【0146】
いくつかの実施形態において、官能性成分の長さが2nm未満であり、また、1.5nm未満であり、また、1nm未満でさえある。このことが、電荷移動錯体の形成がナノ構造体の表面の近くで生じることを可能にし、それにより、デバイスの感度を高める。
【0147】
提案された作用機構の詳細な議論(ただし、例示的な官能性成分および例示的なニトロ含有化合物に関連して記載される)が、下記の実施例の節において示される。この提案された機構は、好適な長さおよび好適な電子供与基を特徴とするどのような官能性成分に対しても、また、生物学的性質を有しないどのようなニトロ含有化合物(例えば、小分子)に対しても当てはまる。
【0148】
本明細書中およびこの技術分野で使用されるように、表現「デバイ長さ」は、著しい電荷分離が生じ得る距離を表す。
【0149】
いくつかの実施形態において、本明細書中に記載されるようなデバイスにおける官能性成分は、少なくとも100nmのデバイ長さ、少なくとも500nmのデバイ長さ、少なくとも800nmのデバイ長さ、それどころか、1ミクロン以上のデバイ長さが示されるように選ばれる。
【0150】
何らかの特定の理論によってとらわれないが、このような好都合なデバイ長さの値が、電荷移動の低下した遮蔽(これは結果的には、ナノ構造体のごく近傍における電荷移動錯体の形成から生じる)から、また、検知を、低いイオン強度を有する溶液(例えば、脱イオン水)において行うことができることから生じる。
【0151】
例示的な官能性成分には、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールおよびシクロアルキル(これらはそれぞれが1つまたは複数の電子供与基によって置換され、また、それぞれが長さにおいて2nm未満であり、また、1.5nm未満であり、また、1nm未満でさえある)が含まれるが、これらに限定されない。
【0152】
いくつかの実施形態において、官能性成分は、アルキル、アルケニルまたはアルキニルであり、ただし、これらは長さにおいて1個〜10個の炭素原子であり、かつ、1つまたは複数の電子供与成分によって置換される。
【0153】
いくつかの実施形態において、本明細書中に記載されるアルキル、アルケニルまたはアルキニルは長さにおいて1個〜9個の炭素原子、または、1個〜8個の炭素原子、または、1個〜7個の炭素原子、または、1個〜6個の炭素原子、または、1個〜5個の炭素原子、または、1個〜4個の炭素原子、または、1個〜3個の炭素原子、または、1個〜2個の炭素原子であり、あるいは、長さにおいて1個の炭素原子である。
【0154】
いくつかの実施形態において、本明細書中に記載されるアルキル、アルケニルまたはアルキニルは長さにおいて1個〜4個の炭素原子である。
【0155】
いくつかの実施形態において、官能性成分は、長さにおいて1個〜4個の炭素原子であり、かつ、1つまたは複数の電子供与成分を含むアルキルである。
【0156】
電子供与成分は好ましくは、ニトロ含有化合物と相互作用するためにさらされるように、ナノ構造体の表面に対してアルキル、アルケニルまたはアルキニルの遠位末端に位置する。
【0157】
いくつかの実施形態において、官能性成分は環状成分(例えば、アリールまたはシクロアルキルなど)であり、ただし、環状成分は長さにおいて2nm未満であり、したがって、1個〜3個の縮合環から形成され、かつ、1つまたは複数の電子供与基を置換基(1つまたは複数)として含む。置換基は好ましくは、ニトロ含有化合物と相互作用するためにさらされるように位置する。
【0158】
いくつかの実施形態において、官能性成分は、複素脂環式成分およびヘテロアリール成分(ただし、これらはそれぞれが、電子供与基として機能するヘテロ原子を含む)からなる群から選択される。
【0159】
いくつかの実施形態において、ヘテロ原子は、置換または非置換の窒素である。窒素原子が置換される場合、置換基は好ましくは、その電子供与性を高めるようなものであり、すなわち、電子誘導効果を特徴とする置換基(例えば、アルキル)で、それにもかかわらず、立体障害を与えない置換基(例えば、低級アルキル、例えば、メチルまたはエチルなど)である。
【0160】
例示的な電子供与基には、アミン、アルコキシ、チオアルコキシ、アリールオキシおよびチオアリールオキシが含まれるが、これらに限定されない。
【0161】
いくつかの実施形態において、電子供与基は、本明細書中で定義されるように、アミンである。
【0162】
アミンは非置換または置換であることが可能であり、すなわち、本明細書中で定義されるように、第一級アミンまたは第二級アミンであることが可能である。アミンが置換される場合、置換基(1つまたは複数)は好ましくは、その電子供与性を高めるようなものであり、すなわち、電子誘導効果を特徴とする置換基(例えば、アルキル)で、それにもかかわらず、立体障害を与えない置換基(例えば、低級アルキル、例えば、メチルまたはエチルなど)である。
【0163】
いくつかの実施形態において、官能性成分はアミノアルキルであり、ただし、アルキルは長さにおいて1個〜10個の炭素原子である。
【0164】
いくつかの実施形態において、アルキルは長さにおいて1個〜5個の炭素原子である。
【0165】
いくつかの実施形態において、官能性成分はアミノプロピルである。
【0166】
いくつかの実施形態において、官能性成分はN−メチルアミノプロピルである。
【0167】
他の好適な官能性成分には、アミノアリール(アミンによって置換されるアリール、例えば、アニリンなど)、アルコキシアリールアミンおよびアルキルアリールアミンが含まれるが、これらに限定されない。
【0168】
アミノアリールについては、例えば、アミンの電子供与性を高めるように誘導効果を特徴とする置換基が、本明細書中上記で議論されるように有益であることが特筆される。したがって、置換基(例えば、アリールオキシまたはアルキルなど)は、アミンに対してオルト位またはパラ位に配置される場合が好ましい。
【0169】
官能性成分のより強い電子供与性により、より少ない電子不足を示すニトロ含有化合物との相互作用が可能になることはさらに特筆すべきことである。
【0170】
例えば、TNTは大きな程度の電子不足を示すが、ニトロ置換基がより少ない化合物、または、脂肪族のニトロ含有化合物は、アミノプロピル官能基を利用する検出方法については感度がより低い可能性があり、それにもかかわらず、そのような化合物は、より強い官能性成分(例えば、N−メチルプロピルアミンまたは2−メトキシアニリンなど)を利用する方法においては相互作用するはずである。
【0171】
いくつかの実施形態において、官能性成分は、官能性成分内の反応基と、ナノ構造体の表面における適合し得る反応基との間で形成される共有結合によってナノ構造体の表面に共有結合する。
【0172】
ナノ構造体の表面における反応基は、本来備わっているもの、または、好適な処理を受けたときに生じ得るもののどちらかである。いくつかの実施形態において、ナノ構造体がSiNWまたはシリコンナノチューブである場合、遊離ヒドロキシル基が、本来備わっているものとしてナノ構造体の表面には存在しており、この遊離ヒドロキシル基を、官能性成分をナノ構造体に結合するために利用することができる。
【0173】
代替において、本明細書中に記載されるナノ構造体は最初、表面の反応基を生じさせるように表面修飾される。そのような表面修飾は、例えば、表面上の本来備わっている官能基に二官能性リンカー分子(これは、これらの本来備わっている官能基との結合を形成することができる反応基をその一方の末端に含み、かつ、官能性成分との結合を形成することができる反応基をその別の末端に含む)を結合することによって行うことができる。
【0174】
いくつかの実施形態において、官能性成分は、ナノ構造体への結合の前には、表面との共有結合を形成するようにナノ構造体表面の反応基と容易に反応し得る反応基を含む。
【0175】
選ばれたナノ構造体上の官能基と適合し得る反応基を選択することは、特に本明細書中に提供される指針を考慮すると、当業者の能力の範囲内である。
【0176】
いくつかの実施形態において、ナノ構造体がSiNWまたはシリコンナノチューブであるとき、官能性成分は、ナノ構造体表面の遊離ヒドロキシ基との共有結合を形成することができる反応基を含む。例示的なそのような反応基には、ハリドおよびアルコキシド(これらは、脱離基として作用し、その結果、エーテル結合を形成することができる)、カルボン酸またはカルボン酸エステル(これらは、エステル化またはエステル交換を介してエステル結合を形成することができる)、同様にまた、ハロシランおよびオルトシリケート(これらは−Si−O−結合を形成することができる)が含まれるが、これらに限定されない。
【0177】
本発明のいくつかの実施形態によれば、官能性成分は、本明細書中に記載される結合のいずれか1つを介してナノ構造体に結合する。
【0178】
いくつかの実施形態において、官能性成分はアミノアルキルであり、そのようなアミノアルキルはアミノアルキルトリオルトシリケート(例えば、アミノプロピルトリオルトシリケートまたはN−メチルアミノプロピルオルトシリケートなど)に由来する。
【0179】
いくつかの実施形態において、官能性成分はアミノアルキルまたはアミノアリールであり、そのようなアミノアルキルまたはアミノアリールは、ハリドによってさらに置換されるアミノアルキル、または、ハロアルキルによって置換されるアミノアリール、または、トリオルトシリケートによって置換されるアミノアリールに由来する。
【0180】
本明細書で使用される用語「アミン」は、−NR′R′′基および−NR′−基の両方を記載し、ここでR′およびR′′はそれぞれ独立して水素、アルキル、シクロアルキル、またはアリールであり、これらの用語は本明細書中下記で定義される。
【0181】
従って、アミン基は、第一級アミン(ここでR′およびR′′の両方は水素である)、または第二級アミン(ここでR′は水素でありかつR′′はアルキル、シクロアルキル、もしくはアリールである)、または第三級アミン(ここでR′およびR′′はそれぞれ独立してアルキル、シクロアルキルもしくはアリールである)であり得る。
【0182】
代替的に、R′およびR′′はそれぞれ独立してヒドロキシアルキル、トリハロアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、複素脂環、アミン、ハリド、スルホネート、スルホキシド、ホスホネート、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、チオアリールオキシ、シアノ、ニトロ、アゾ、スルホンアミド、カルボニル、C−カルボキシレート、O−カルボキシレート、N−チオカーバメート、O−チオカーバメート、尿素、チオ尿素、N−カーバメート、O−カーバメート、C−アミド、N−アミド、グアニル、グアニジン、またはヒドラジンであり得る。
【0183】
本明細書中で使用される用語「アミン」は、アミンが本明細書中下記で定義される末端基である場合、−NR′R′′基を記載するために使用され、アミンが本明細書中下記で定義される連結基である場合、−NR′−基を記載するために使用される。
【0184】
本明細書中、句「末端基」は、一つの原子を介して化合物中の別の成分に結合されている基(置換基)を記載する。
【0185】
句「連結基」は、二つ以上の原子を介して化合物中の別の成分に結合されている基(置換基)を記載する。
【0186】
用語「アルキル」は、直鎖基および分枝鎖基を含む飽和した脂肪族炭化水素を記載する。好ましくは、アルキル基は1個〜20個の炭素原子を有する。数値範囲、例えば「1個〜20個」が本明細書で述べられる場合は常に、それは基(この場合はアルキル基)が1個の炭素原子、2個の炭素原子、3個の炭素原子などの20個までの炭素原子を含むということを意味する。さらに好ましくは、アルキル基は、1個〜10個の炭素原子を有する中程度のサイズのアルキルである。最も好ましくは、他に示さない限り、アルキル基は、1個〜5個の炭素原子を有する低級アルキルである。アルキル基は、置換または非置換であり得る。置換されたアルキルは一つ以上の置換基を有することができ、それぞれの置換基は独立して、例えば、ヒドロキシアルキル、トリハロアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、複素脂環、アミン、ハリド、スルホネート、スルホキシド、ホスホネート、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、チオアリールオキシ、シアノ、ニトロ、アゾ、スルフォンアミド、C−カルボキシレート、O−カルボキシレート、N−チオカーバメート、O−チオカーバメート、尿素、チオ尿素、N−カーバメート、O−カーバメート、C−アミド、N−アミド、グアニル、グアニジン、またはヒドラジンであり得る。
【0187】
アルキル基は、単一の隣接原子に結合された末端基(この用語は本明細書中上記で定義される通りである)、またはその鎖中の少なくとも二つの炭素を介して二つ以上の成分を連結する連結基(この用語は本明細書中上記で定義される通りである)であり得る。
【0188】
本明細書中で使用される用語「アミノアルキル」基は、本明細書中で定義される通り、アミンで置換されたアルキルを記載する。ある実施形態では、アミンはアルキル中の末端炭素原子を置換する。
【0189】
用語「シクロアルキル」基は、環の1つまたは複数が完全共役のπ電子系を有しない、すべて炭素からなる単環基または縮合環(すなわち、隣接炭素原子対を共有する環)基を記載する。シクロアルキル基は、置換または非置換であり得る。置換されたシクロアルキルは一つ以上の置換基を有することができ、それぞれの置換基は独立して、例えば、ヒドロキシアルキル、トリハロアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、複素脂環、アミン、ハリド、スルホネート、スルホキシド、ホスホネート、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、チオアリールオキシ、シアノ、ニトロ、アゾ、スルフォンアミド、C−カルボキシレート、O−カルボキシレート、N−チオカーバメート、O−チオカーバメート、尿素、チオ尿素、N−カーバメート、O−カーバメート、C−アミド、N−アミド、グアニル、グアニジン、またはヒドラジンであり得る。シクロアルキル基は、単一の隣接原子に結合された末端基(この用語は本明細書中上記で定義される通りである)、またはその鎖中の少なくとも二つの炭素を介して二つ以上の成分を連結する連結基(この用語は本明細書中上記で定義される通りである)であり得る。
【0190】
用語「アリール」基は、完全共役のπ電子系を有する、すべて炭素からなる単環基または縮合多環(すなわち、隣接炭素原子対を共有する環)基を記載する。アリール基は、置換または非置換であり得る。置換されたアリールは一つ以上の置換基を有することができ、それぞれの置換基は独立して、例えば、ヒドロキシアルキル、トリハロアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、複素脂環、アミン、ハリド、スルホネート、スルホキシド、ホスホネート、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、チオアリールオキシ、シアノ、ニトロ、アゾ、スルフォンアミド、C−カルボキシレート、O−カルボキシレート、N−チオカーバメート、O−チオカーバメート、尿素、チオ尿素、N−カーバメート、O−カーバメート、C−アミド、N−アミド、グアニル、グアニジン、またはヒドラジンであり得る。アリール基は、単一の隣接原子に結合された末端基(この用語は本明細書中上記で定義される通りである)、またはその鎖中の少なくとも二つの炭素を介して二つ以上の成分を連結する連結基(この用語は本明細書中上記で定義される通りである)であり得る。
【0191】
用語「ヘテロアリール」基は、例えば、窒素、酸素およびイオウなどの1個または複数個の原子を環(1つまたは複数)に有し、さらには完全共役のπ電子系を有する単環基または縮合環(すなわち、隣接炭素原子対を共有する環)基を記載する。ヘテロアリール基の非限定的な例には、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、ピラゾール、ピリジン、ピリミジン、キノリン、イソキノリンおよびプリンが含まれる。ヘテロアリール基は、置換または非置換であり得る。置換されたヘテロアリールは一つ以上の置換基を有することができ、それぞれの置換基は独立して、例えば、ヒドロキシアルキル、トリハロアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、複素脂環、アミン、ハリド、スルホネート、スルホキシド、ホスホネート、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、チオアリールオキシ、シアノ、ニトロ、アゾ、スルフォンアミド、C−カルボキシレート、O−カルボキシレート、N−チオカーバメート、O−チオカーバメート、尿素、チオ尿素、N−カーバメート、O−カーバメート、C−アミド、N−アミド、グアニル、グアニジン、またはヒドラジンであり得る。ヘテロアリール基は、単一の隣接原子に結合された末端基(この用語は本明細書中上記で定義される通りである)、またはその鎖中の少なくとも二つの炭素を介して二つ以上の成分を連結する連結基(この用語は本明細書中上記で定義される通りである)であり得る。代表的な例はピリジン、ピロール、オキサゾール、インドール、プリンおよびその類似物である。
【0192】
用語「複素脂環」基は、例えば、窒素、酸素およびイオウなどの1個または複数個の原子を環(1つまたは複数)に有する単環基または縮合環基を記載する。環はまた、1つまたは複数の二重結合を有することができる。しかしながら、環は完全共役のπ電子系を有しない。複素脂環基は、置換または非置換であり得る。置換された複素脂環は一つ以上の置換基を有することができ、それぞれの置換基は独立して、例えば、ヒドロキシアルキル、トリハロアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、複素脂環、アミン、ハリド、スルホネート、スルホキシド、ホスホネート、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、チオアリールオキシ、シアノ、ニトロ、アゾ、スルフォンアミド、C−カルボキシレート、O−カルボキシレート、N−チオカーバメート、O−チオカーバメート、尿素、チオ尿素、N−カーバメート、O−カーバメート、C−アミド、N−アミド、グアニル、グアニジン、またはヒドラジンであり得る。複素脂環基は、単一の隣接原子に結合された末端基(この用語は本明細書中上記で定義される通りである)、またはその鎖中の少なくとも二つの炭素を介して二つ以上の成分を連結する連結基(この用語は本明細書中上記で定義される通りである)であり得る。代表的な例はピペリジン、ピペラジン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、モルホリノおよびその類似物である。
【0193】
用語「アミン−オキシド」は、−N(OR′)R′′または−N(OR′)−基を記載し、ここでR′およびR′′は本明細書中上記で定義される通りである。この用語は、アミン−オキシドが末端基(この用語は本明細書中上記で定義される通りである)である場合、−N(OR′)(R′′)基を示し、アミンオキシドが連結基(この用語は本明細書中上記で定義される通りである)である場合、−N(OR′)−基を示す。
【0194】
用語「ハリド」および「ハロ」は、フッ素、塩素、臭素、または沃素を記載する。
【0195】
用語「ハロアルキル」は、1つまたは複数のハリドによってさらに置換された、上記で定義されるアルキル基を記載する。
【0196】
用語「スルファート」は、−O−S(=O)
2−OR′末端基または−O−S(=O)
2−O−連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、R′は本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
【0197】
用語「チオスルファート」は、−O−S(=S)(=O)−OR′末端基または−O−S(=S)(=O)−O−連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、R′は本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
【0198】
用語「スルファイト」は、−O−S(=O)−O−R′末端基または−O−S(=O)−O−連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、R′は本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
【0199】
用語「チオスルファイト」は、−O−S(=S)−O−R′末端基または−O−S(=S)−O−連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、R′は本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
【0200】
用語「スルフィナート」は、−S(=O)−OR′末端基または−S(=O)−O−連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、R′は本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
【0201】
用語「スルホキシド」または「スルフィニル」は、−S(=O)R′末端基または−S(=O)−連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、R′は本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
【0202】
用語「スルホネート」は、−S(=O)
2−R′末端基または−S(=O)
2−連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、R′は本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
【0203】
用語「S−スルホンアミド」は、−S(=O)
2−NR′R′′末端基または−S(=O)
2−NR′−連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、R′およびR′′は本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
【0204】
用語「N−スルホンアミド」は、R′S(=O)
2−NR′′末端基または−S(=O)
2−NR′−連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、R′およびR′′は本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
【0205】
用語「ジスルフィド」は、−S−SR′末端基またはS−S−連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、R′は本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
【0206】
用語「カルボニル」または「カーボネート」は、−C(=O)−R′末端基または−C(=O)−連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、R′は本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
【0207】
用語「チオカルボニル」は、−C(=S)−R′末端基または−C(=S)−連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、R′は本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
【0208】
用語「オキシム」は、=N−OH末端基または=N−O−連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
【0209】
用語「ヒドロキシル」は、−OH基を記載する。
【0210】
用語「アルコキシ」は、本明細書中で定義される通り−O−アルキル基および−O−シクロアルキル基の両方を記載する。
【0211】
用語「アリールオキシ」は、本明細書中で定義される通り−O−アリール基および−O−ヘテロアリール基の両方を記載する。
【0212】
用語「チオヒドロキシ」は、−SH基を記載する。
【0213】
用語「チオアルコキシ」は、本明細書中で定義される通り−S−アルキル基および−S−シクロアルキル基の両方を記載する。
【0214】
用語「チオアリールオキシ」は、本明細書中で定義される通り−S−アリール基および−S−ヘテロアリール基の両方を記載する。
【0215】
用語「シアノ」は、−C≡N基を記載する。
【0216】
用語「イソシアネート」は、−N=C=O基を記載する。
【0217】
用語「ニトロ」は、−NO
2基を記載する。
【0218】
用語「アシルハリド」は、−(C=O)R′′′′基(式中、R′′′′は本明細書中上記で定義される通りハリドである)を記載する。
【0219】
用語「アゾ」または「ジアゾ」は、−N=NR′末端基または−N=N−連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、R′は本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
【0220】
用語「C−カルボキシレート」は、−C(=O)−OR′末端基または−C(=O)−O−連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、R′は本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
【0221】
用語「O−カルボキシレート」は、−OC(=O)R′末端基または−OC(=O)−連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、R′は本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
【0222】
用語「C−チオカルボキシレート」は、−C(=S)OR′末端基または−C(=S)−O−連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、R′は本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
【0223】
用語「O−チオカルボキシレート」は、−OC(=S)R′末端基または−OC(=S)−連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、R′は本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
【0224】
用語「N−カーバメート」は、R′′OC(=O)−NR′−末端基または−OC(=O)−NR′連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、R′およびR′′は本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
【0225】
用語「O−カーバメート」は、−OC(=O)−NR′R′′末端基または−OC(=O)−NR′−連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、R′およびR′′は本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
【0226】
用語「O−チオカーバメート」は、−OC(=S)−NR′R′′末端基または−OC(=S)−NR′−連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、R′およびR′′は本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
【0227】
用語「N−チオカーバメート」は、R′′OC(=S)NR′−末端基または−OC(=S)NR′−連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、R′およびR′′は本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
【0228】
用語「S−ジチオカーバメート」は、−SC(=S)−NR′R′′末端基または−SC(=S)−NR′−連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、R′およびR′′は本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
【0229】
用語「N−ジチオカーバメート」は、R′′SC(=S)−NR′末端基または−SC(=S)NR′−連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、R′およびR′′は本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
【0230】
用語「尿素」(「ウレイド」とも称される)は、−NR′C(=O)−NR′′R′′′末端基または−NR′C(=O)−NR′−連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、R′およびR′′は本明細書中上記で定義される通りであり、R′′′はR′およびR′′について本明細書中で定義される通りである)を記載する。
【0231】
用語「チオ尿素」(「チオウレイド」とも称される)は、−NR′C(=S)−NR′′R′′′末端基または−NR′−C(=S)−NR′′−連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、R′,R′′およびR′′′は本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
【0232】
用語「C−アミド」は、−C(=O)−NR′R′′末端基または−C(=O)−NR′−連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、R′およびR′′は本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
【0233】
用語「N−アミド」は、R′C(=O)−NR′′−末端基またはR′C(=O)−N−連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、R′およびR′′は本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
【0234】
用語「グアニル」は、R′R′′NC(=N)−末端基または−R′NC(=N)−連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、R′およびR′′は本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
【0235】
用語「グアニジン」は、−R′NC(=N)−NR′′R′′′末端基または−R′NC(=N)−NR′′−連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、R′,R′′およびR′′′は本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
【0236】
用語「ヒドラジン」は、−NR′−NR′′R′′′末端基または−NR′−NR′′−連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、R′,R′′およびR′′′は本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
【0237】
用語「シリル」は、−SiR′R′′R′′′末端基または−SR′R′′−連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、R′,R′′およびR′′′のそれぞれは本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
【0238】
用語「シロキシ」は、−Si(OR′)R′′R′′′末端基または−Si(OR′)R′′−連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、R′,R′′およびR′′′のそれぞれは本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
【0239】
用語「シラザ」は、−Si(NR′R′′)R′′′末端基または−Si(NR′R′′)−連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、R′,R′′およびR′′′のそれぞれは本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
【0240】
用語「シリケート」は、−O−Si(OR′)(OR′′)(OR′′′)末端基または−O−Si(OR′)(OR′′)−連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、R′,R′′およびR′′′のそれぞれは本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
【0241】
用語「ヒドラジド」は、−C(=O)−NR′−NR′′R′′′末端基または−C(=O)−NR′−NR′′−連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、R′,R′′およびR′′′は本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
【0242】
用語「チオヒドラジド」は、−C(=S)−NR′−NR′′R′′′末端基または−C(=S)−NR′−NR′′−連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、R′,R′′およびR′′′は本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
【0243】
用語「メチレンアミン」は、−NR′−CH
2−CH=CR′′R′′′末端基または−−NR′−CH
2−CH=CR′′−連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、R′,R′′およびR′′′は本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
【0244】
ナノノーズデバイス:
いくつかの実施形態において、デバイスは複数のナノ構造体を含み、この場合、これらの複数のナノ構造体は、必要に応じて、また、好ましいことではあるが、アドレス指定可能な位置に配置され得る。そのような場合、これらの複数のナノ構造体はまとめてナノアレイ(例えば、ナノワイヤアレイまたはナノチューブアレイ)として示される。同様に意図されるものが、デバイスがランダム配置のナノ構造体の束を含む実施形態である。
【0245】
ナノアレイは1平方ミリメートルあたり数十個から数千個のナノワイヤおよび/またはナノチューブを含むことができる。ナノアレイは、この技術分野で知られているどのような技術をも使用して製造することができ、そのような技術には、限定されないが、米国特許第6359288号ならびに米国特許出願公開第20050287788号および同第200902561号に開示される技術が含まれる(それらの内容は本明細書により参照によって組み込まれる)。
【0246】
アレイにおける複数のナノ構造体は、実質的に同じ様式で修飾されるナノワイヤおよび/またはナノチューブから構成され得る。ただし、この場合、それぞれのナノ構造体が、修飾されたナノ構造体であり、かつ、すべての修飾されたナノ構造体には、同じ官能基が結合しており、したがって、このことは、デバイスの感度を、分析物と相互作用することができる官能性成分の数が多いために高めている。
【0247】
いくつかの実施形態において、ナノ構造体の一部分のみが、修飾されたナノ構造体を含み、それにより、残りのナノ構造体は非修飾である。
【0248】
代替において、複数のナノ構造体の少なくとも一部分が、第1の官能性成分が結合しているナノ構造体を含み、かつ、複数のナノ構造体の少なくとも別の一部分が、第2の官能性成分が結合しているナノ構造体を含み、ただし、第1の官能性成分および第2の官能性成分は互いに異なる。そのようなデバイスは、2個、3個、4個、5個、それどころか10個以上の異なるように修飾されたナノ構造体(すなわち、異なる官能性成分が結合しているナノ構造体)を有するナノ構造体を含むことができる。
【0249】
これらの異なる修飾は、例えば、様々な電子供与性を有する官能基を含むことができ、その結果、ある一定のレベルの電子不足を有するニトロ含有化合物がデバイスと接触したとき、ニトロ含有化合物がこれらの官能基のそれぞれと相互作用することにより、電気的性質の異なる変化がもたらされるように、また、それぞれのニトロ含有化合物について示される応答パターンが得られるようにすることができる。上記は、ニトロ含有化合物の混合物を含有する配合物についても同様に行われる。
【0250】
ニトロ含有化合物を検知するためのそのようなデバイスは、本明細書中では「電子ノーズ」または「ナノノーズ」として交換可能に示される電子的な嗅覚受容体と同様に作用することができる。
【0251】
この技術分野では知られているように、電子ノーズデバイスは、におい検出を、パターン認識アルゴリズムとの併用での交差反応性センサーのアレイの使用により行う。電子ノーズデバイスにおけるそれぞれのセンサーが、様々な臭気物質に対する幅広い応答性を有しており、その結果、それぞれの分析物により、異なったシグナチャーが、広範囲に交差反応するセンサーのアレイから生じるようにされている。パターン認識アルゴリズムをその後、センサーアレイにさらされた蒸気の正体、性質および濃度に関する情報を探り出すために、アレイにおけるセンサーのすべてから同時に得られる一組のシグナルの全体に適用することができる。
【0252】
本発明の実施形態の関連において、ナノノーズデバイス、すなわち、電子ノーズデバイスは、数群のナノワイヤおよび/またはナノチューブ(各群が、異なる官能性成分により修飾される)を含有する複数のナノ構造体(例えば、ナノアレイ)によって作用する。そのようなナノノーズデバイスにおける官能性成分のそれぞれが、異なるニトロ含有化合物との異なる化学的相互作用を有し、結果として、それぞれのナノ構造体の電気的性質における異なる変化を異なるニトロ含有化合物とのその相互作用の結果として誘導する。
【0253】
これらの異なる変化は、本発明の実施形態のデバイスによって得ることができる応答パターンに変換され、ただし、この場合、そのような応答パターンにより、ナノノーズデバイスと接触するニトロ含有化合物またはニトロ含有配合物のタイプが少なくとも示される。そのような応答パターンは容易に検出および処理することができる。
【0254】
電子ノーズとして機能するナノ構造体の集合体(例えば、アレイ)は、ニトロ含有化合物の量および/または存在を明らかにするだけでなく、正体、すなわち、化学的組成を明らかにすることもまた可能にし、したがって、ニトロ含有化合物および/またはニトロ含有配合物を区別するために使用することができる。
【0255】
本発明の実施形態のために好適なナノノーズデバイスは幾通りの方法で製造することができる。本発明のいくつかの実施形態において、ナノ構造体が最初に修飾され、その後で、ナノノーズデバイスを形成するために、例えば、キャリア基体の上に堆積させられる。これらの実施形態においては、ナノ構造体の種々の修飾が場合により、また、好ましくは、修飾されたナノ構造体が、アレイとして、あるいは、1つまたは複数のランダム配置ナノ構造体束としてそのどちらかでキャリア基体に移される異なる容器またはバイアルにおいて行われる。ナノ構造体がアレイを形成するとき、異なるアドレスを有する少なくとも2つの場所が好ましくは、それぞれの2つの異なる修飾を有するナノ構造体によって占められる。
【0256】
本発明のいくつかの実施形態において、ナノ構造体が最初に、必要に応じて、また、好ましいことではあるが、修飾がその場で行われるアドレス指定可能な場所(それぞれの場所が1つまたは複数のナノ構造体と関連づけられる)においてキャリア基体の上に堆積させられる。これらの実施形態においては、修飾がキャリア基体上の場所に従って行われ、その結果、異なるアドレスを有する少なくとも2つの場所について、2つの異なる修飾プロトコルが適用されるようにされる。
【0257】
本発明のいくつかの実施形態によるナノノーズデバイス100の代表的な例が
図10Aおよび
図10Bに例示される。
図10Aは、ナノノーズデバイス100が複数のランダム配置されたナノ構造体を含む実施形態を例示し、
図10Bは、ナノノーズデバイス100がナノ構造体アレイを含む実施形態を例示する。デバイス100は、110において一般に示される複数のナノ構造体を含む。ナノ構造体110は、第1の官能性成分(示されず)が結合している第1のタイプのナノ構造体104と、第2の官能性成分(示されず)が結合している第2のタイプのナノ構造体106とを少なくとも含み、ただし、第1の官能性成分および第2の官能性成分は互いに異なる。表示の明確化のために、ナノ構造体104がパターン付き長方形として概略的に例示され、ナノ構造体106が白抜きの長方形として例示される。これらのナノ構造体は、表面102に、好ましくは固体表面に、例えば、基体(例えば、限定されないが、シリコンウエハーなど)の表面に堆積させられる。ナノノーズデバイス100はさらに、ナノ構造体の電気的性質における変化を検出するための検出器(これは108において象徴的に例示される)を含む。例えば、ナノ構造体110は、本明細書中上記でさらに詳述されるようなトランジスターの一部分(例えば、チャネル)を形成することができ、ただし、そのような場合、トランジスターのそれ以外の部分、ならびに、それらに接続される好適な電気回路が検出器108を形成する。代替において、トランジスターが用いられず、ただし、そのような場合、検出器108が、ナノ構造体の適切な電気的性質(例えば、抵抗、コンダクタンス、静電容量、インピーダンスなど)を測定するための測定デバイスとして実行される。
【0258】
ナノ構造体110がアドレス指定可能な場所に配置されるとき(
図10B)、検出器108は好ましくは、シグナルを種々の場所から別々に受け取る。これらの実施形態において、検出器108は、多重化様式で、例えば、それらの間でのクロストークが最小限であるか、または、全くない複数の連通チャネルを介して、ナノ構造体110と連通する。ナノ構造体110がランダム配置の束を形成するとき(
図10A)、検出器108が多重化様式でナノ構造体110と連通することは必要ない。本発明者らによって、両方の形態において、応答パターンが、少なくともナノノーズデバイスと接触するニトロ含有化合物のタイプを示していることが見出された。ニトロ含有化合物のタイプを所与の応答パターン(例えば、I−V曲線)について特定することを、例えば、ルックアップ表または同様なものを使用して行うことができる。
【0259】
方法:
本発明の方法は、本明細書中に記載されるようなデバイスを本明細書中に記載されるようなサンプルと接触させることによって行われる。
【0260】
「接触させる」によって、サンプルおよびデバイスを、ナノ構造体の電気的性質における検出可能な変化が生じることを可能にする近傍に近づけることが意味される。本発明の実施形態によれば、検出可能な変化が、ナノ構造体に結合する官能性成分と、ニトロ含有化合物との間における相互作用から生じる。したがって、「検出可能な変化を可能にする近傍」は、ニトロ含有化合物が官能性成分と相互作用することを可能にする近傍を表す。
【0261】
用語「接触させる」は、「さらす」ことを包含する。
【0262】
いくつかの実施形態において、サンプルをデバイスと接触させることを、デバイスをサンプルの環境に置くことによって行うことができる。
【0263】
したがって、デバイスをサンプルと接触させることを、デバイスを液体サンプルに入れることによって、あるいは、液体サンプルをデバイスの中または上に通すことによって行うことができる。代替において、デバイスをサンプルと接触させることを、ガスサンプルの流れをデバイスの中または上に通すことによって、あるいは、単にデバイスを、ニトロ含有物質を混入すると疑われる物質の近傍に置くことによって行うことができる。
【0264】
本発明の方法はさらに、ナノ構造体の電気的性質における変化を定性的または定量的に明らかにすることによって行われる。
【0265】
したがって、用語「明らかにする」は、この技術分野において知られているいずれかの電気的測定による定量的分析または定性的分析を示す。
【0266】
デバイスが実行され、分析物が検出されると、デバイスの再生を、デバイスを、場合により有機溶媒を含有する水溶液を使用して洗浄することによって行うことができる。
【0267】
本発明の様々な例示的実施形態において、いくつかのデバイスが、ニトロ含有化合物の存在および/または量を対象領域にわたって2個所以上の場所で検出することを可能にするために対象領域にわたって分布させられる。対象領域には、ニトロ含有化合物の存在を少なくとも特定することが所望されるどのような領域をも挙げることができ、これには、限定されないが、大きい公共の場(例えば、空港、ショッピングモール、学術機関、レストラン、劇場)、および、乗物(例えば、航空機または船)などが含まれる。
【0268】
デバイスは、対象領域にわたって様々な静的な場所を占めることができ、または、代替において、デバイスは、デバイスを運搬体につけて環境に置くことによって対象領域に放出することができる。
【0269】
本明細書中で使用される場合、「運搬体」は、自己移動能を有する実体を示す。例えば、「運搬体」には、一般市民、法執行官、乗物および動物などを挙げることができる。
【0270】
デバイスは通信ネットワークでつなぐことができ、例えば、無線ローカル・エリア・ネットワーク(WLAN)、Wi−Fi(登録商標)ネットワーク、Bluetooth(登録商標)ネットワークおよびセルラーネットワークなどでつなぐことができる。好ましくは、デバイスは、特定のネットワークが及ばない領域においても操作を可能にするために2つ以上の通信ネットワークにつながれる。
【0271】
デバイスが運搬体につけられるとき、デバイスは場合により、また、好ましくは、デバイスが場所データをネットワークで送信することを可能にするために測位装置によって補完される。多くの測位技術が意図される。代表的な例には、限定されないが、全地球測位システム(これはGPSとして一般に知られている)、ネットワークに基づく測位(この場合、デバイスの場所が送信塔間のそのシグナルの三角測量によって算定される)、運動に基づく測位(この場合、場所がデバイスの運動パラメーターに基づいて計算される)、および、セル特定(この場合、環境が複数の幾何学的要素に分割され、それぞれの要素へのデバイスの各進入がモニターされ、記録される)が含まれる。
【0272】
本発明の様々な例示的実施形態において、デバイスが中央の場所でモニターされる。このモニターリングは、検出事象の観点から、同様にまた、場所の観点から行うことができる。モニターリングは、連続的に、または、所望されるような所定の時間で、そのどちらでも行うことができる。中央の場所は、デバイスから取得される情報を使用して、リスク分析を行うことができ、また、この分析に基づいて、適切な当局(汚染除去部門、医療チーム、法執行機関、マスコミ経路など)に検出化合物の場所を知らせることができる。
【0273】
検出事象が特定のデバイスの検出器によって生じたとき、その特定のデバイスの近くに存在すると特定される他のデバイスには、対応する検出試験を行い、それにより、最初の検出を確認するか、または、その場所を突き止めるために、シグナルが送られる。
【0274】
当業者によって理解されるように、ネットワークで通信し、検出データおよび場合により場所データを交換する多くの携帯型デバイスを使用することを、化合物の存在、レベルおよび場所を検出するために、また、その情報を適切な当局および場合により同様に住民間の両方に実質的にリアルタイムで配布するために使用することができる。近くのデバイスの起動を、そのような近くの検出器を所持するそれぞれの運搬体に指示して、デバイスを局所的に起動させることによって、または、遠隔起動を中央の場所において行うことによってそのどちらでも行うことができる。加えて、いくつかの運搬体には、脅威の警報を出すことができ、また、必要な予防措置を取るように指示することができる。
【0275】
デバイスの起動は、検出事象が受け取られたか否かにかかわらず、行われ得ることを理解しなければならない。本発明の様々な例示的実施形態によれば、デバイス(またはその少なくとも一部)が非活動モードで環境に分布させられる。その後、適切な当局が、例えば、情報機関または他の情報源に基づいて、対象領域の特定部分に位置するデバイスを選択的に起動させることを決定することができる。このことを、例えば、起動シグナルを、その領域を担当する通信ネットワークの1つまたは複数の基地局と関連づけられるデバイスに送信することによって行うことができる。この実施形態は、デバイスが、住民によって所持される携帯電話などのアクセサリーの中にその非活動モードで組み込まれ、それにより、それぞれのアクセサリーがその最も近いセル基地局と頻繁に通信し続け、そして、同じセル基地局と関連づけられるアクセサリーのすべてにより、ある領域が規定されるときには特に有用である。起動シグナルが特定のセル基地局から送信されると、起動シグナルは、規定された領域のデバイスのみを、他の領域に位置するデバイスをそれらの非活動モードで保ちながら起動させる。これにより、対象領域以外のすべての領域における偶発的起動およびパニックが防止され得ることが理解されるであろう。
【0276】
検出事象は、受け取られた検出情報および場所情報を、例えば、中央の場所において組み合わせることによってクラスター化することができる。このクラスター化は、化合物の存在、レベルおよび場所についての確認として、また、同様に、化合物の伝播を表す拡散シグナルを規定するために、それらの両方で役立ち得る。このことを、例えば、種々の瞬間でのクラスター化の特定を繰り返すことによって達成することができる。
【0277】
システム:
図11Aは、ニトロ含有化合物の存在および/または量を本発明のいくつかの実施形態に従って明らかにするためのシステム120の概略的例示である。システム120は検知デバイス122および処理装置124を含む。デバイス122は好ましくは、本明細書中上記でさらに詳述されるように、1つまたは複数の修飾ナノ構造体と、検出器とを含む。例えば、デバイス122は、ナノノーズデバイス(例えば、ナノノーズデバイス100など)またはトランジスター(例えば、トランジスター20またはトランジスター50など)などを含むことができる。いずれの場合にせよ、デバイス122は、デバイスと接触するニトロ含有化合物の存在または量を示す検出可能なシグナルをもたらす。処理装置124はデバイス122からのシグナルを受け取り、そのシグナルを処理して、ニトロ含有化合物の存在を少なくとも明らかにする。場合により、また、好ましくは、処理装置124はまた、処理装置124がデバイス122から受け取る応答パターンに基づいて、ニトロ含有化合物のタイプおよび量のうちの少なくとも一方を明らかにする。システム120は、デバイス122が、ニトロ含有化合物の存在が疑われる位置に設置され、装置124によって処理される検出シグナルをもたらすように構成され得る。装置124はデバイス122のそばに、または、異なる(例えば、遠方の)場所に設置することができる。デバイスおよび/またはCPUは、固定型、可動型または携帯型が可能である。例示的な原型システムが
図1Cに示され、また、下記の実施例の節において記載される。
【0278】
次に
図11Bが参照される。
図11Bは、対象領域におけるニトロ含有化合物の存在および/または量を本発明のいくつかの実施形態に従って明らかにするために使用することができる分散型検出システム200の概略的例示である。システム200は、対象領域にわたって配置され、かつ、検出シグナルをニトロ含有化合物の存在下でもたらすために構成される複数の検知デバイス202を用いることができる。デバイス202の少なくともいくつかの原理および操作は好ましくは、上記のデバイス122またはシステム120の原理および操作と同じである。デバイスは対象領域にわたって固定の場所に配置することができ、または、本明細書中上記でさらに詳述されるように運搬体につけることができる。システム200はさらに、本明細書中上記でさらに詳述されるように通信ネットワークでデバイス202と通信する中央処理装置204を含む。デバイス202はまた、所望されるならば、例えば、検出事象の場合には隣接する運搬体に警報を発するために、それらの間で相互に通信することができる。中央監視装置204は好ましくは、上述された中央の場所に設置され、そこから様々な作業を行う。例えば、装置204は、本明細書中上記でさらに詳述されるように、デバイス202の1つまたは複数を遠隔起動させることができ、デバイス202によって送信された検出データおよび場所データをモニターすることができ、いくつかのデバイスの検出情報を相互に検証することができ、クラスター化を特定し、これにより、ニトロ含有化合物の伝搬に関する目安を提供することができ、検出器を所持する運搬体と通信することができる。
【0279】
本明細書中で使用される用語「約」は、±10%を示す。
【0280】
用語「含む/備える(comprises、comprising、includes、including)」、「有する(having)」、およびそれらの同根語は、「含むが、それらに限定されない(including but not limited to)」ことを意味する。
【0281】
用語「からなる(consisting of)」は、「含み、それらに限定される(including and limited to)」ことを意味する。
【0282】
表現「から本質的になる(consisting essentially of)」は、さらなる成分、工程および/または部分が、主張される組成物、方法または構造の基本的かつ新規な特徴を実質的に変化させない場合にだけ、組成物、方法または構造がさらなる成分、工程および/または部分を含み得ることを意味する。
【0283】
用語「例示的」は、本明細書では「例(example,instance又はillustration)として作用する」ことを意味するために使用される。「例示的」として記載されたいかなる実施形態も必ずしも他の実施形態に対して好ましいもしくは有利なものとして解釈されたりかつ/または他の実施形態からの特徴の組み入れを除外するものではない。
【0284】
用語「任意選択的」は、本明細書では、「一部の実施形態に与えられるが、他の実施形態には与えられない」ことを意味するために使用される。本発明のいかなる特定の実施形態も対立しない限り複数の「任意選択的」な特徴を含むことができる。
【0285】
本明細書中で使用される場合、単数形態(「a」、「an」および「the」)は、文脈がそうでないことを明確に示さない限り、複数の参照物を包含する。例えば、用語「化合物(a compound)」または用語「少なくとも1つの化合物」は、その混合物を含めて、複数の化合物を包含し得る。
【0286】
本開示を通して、本発明の様々な態様が範囲形式で提示され得る。範囲形式での記載は単に便宜上および簡潔化のためであり、本発明の範囲に対する柔軟性のない限定として解釈すべきでないことを理解しなければならない。従って、範囲の記載は、具体的に開示された可能なすべての部分範囲、ならびに、その範囲に含まれる個々の数値を有すると見なさなければならない。例えば、1〜6などの範囲の記載は、具体的に開示された部分範囲(例えば、1〜3、1〜4、1〜5、2〜4、2〜6、3〜6など)、ならびに、その範囲に含まれる個々の数値(例えば、1、2、3、4、5および6)を有すると見なさなければならない。このことは、範囲の広さにかかわらず、適用される。
【0287】
数値範囲が本明細書中で示される場合には常に、示された範囲に含まれる任意の言及された数字(分数または整数)を含むことが意味される。第1の示された数字および第2の示された数字「の範囲である/の間の範囲」という表現、および、第1の示された数字「から」第2の示された数「まで及ぶ/までの範囲」という表現は、交換可能に使用され、第1の示された数字と、第2の示された数字と、その間のすべての分数および整数とを含むことが意味される。
【0288】
本明細書中で使用される用語「方法(method)」は、所与の課題を達成するための様式、手段、技術および手順を示し、これには、化学、薬理学、生物学、生化学および医学の技術分野の実施者に知られているそのような様式、手段、技術および手順、または、知られている様式、手段、技術および手順から、化学、薬理学、生物学、生化学および医学の技術分野の実施者によって容易に開発されるそのような様式、手段、技術および手順が含まれるが、それらに限定されない。
【0289】
明確にするため別個の実施形態の文脈で説明されている本発明の特定の特徴が、単一の実施形態に組み合わせて提供されることもできることは分かるであろう。逆に、簡潔にするため単一の実施形態で説明されている本発明の各種の特徴は別個にまたは適切なサブコンビネーションで、あるいは本発明の他の記載される実施形態において好適なように提供することもできる。種々の実施形態の文脈において記載される特定の特徴は、その実施形態がそれらの要素なしに動作不能である場合を除いては、それらの実施形態の不可欠な特徴であると見なされるべきではない。
【0290】
本明細書中上記に描かれるような、および、下記の請求項の節において特許請求されるような本発明の様々な実施形態および態様のそれぞれは、実験的裏付けが下記の実施例において見出される。
【実施例】
【0291】
次に下記の実施例が参照されるが、下記の実施例は、上記の説明と一緒に、本発明を非限定様式で例示する。
【0292】
実施例1
ナノワイヤFETの製造
シリコンナノワイヤ(SiNW)を、20nmの金ナノ粒子を触媒として、かつ、シランを反応物として使用することによる化学蒸着(CVD)によって合成した。ジボランを成長期間中に使用して、ホウ素を1:4000のB:Si比によりp型ドーパントとして施した。FETをフォトリソグラフィーによって製造した。簡単に記載すると、不動態化されたソース電極およびドレイン電極を、300nmのLOR3A(Microchem)および500nmの1805(Shipley)からなる多層フォトレジスト構造体の使用により堆積させた。電極パターンの露光および現像の後、接点をTi/Pd(5/60nm)のe−ビーム蒸着および熱蒸着によってそれぞれ金属化し、その後、Si
3N
4の絶縁層(50nmの厚さ)をプラズマ強化化学蒸着(PECVD)によって堆積させることにより電極から不動態化した。それぞれのFETについて、ソース電極と、ドレイン電極との隔たりが2μmであった。最後に、チップを100μmのSU−8 3050フォトレジスト(Microchem Inc.)により被覆し、チャネルをフォトリソグラフィーによってNWデバイス領域にわたって規定した。
【0293】
実施例2
流体送出システム
流体送出デバイスを、基剤対硬化剤の10:1の比で混合された柔軟なポリジメチルシロキサン(PDMS)エラストマーから製作した。PDMSをオーブンにおいて60℃で一晩硬化させ、その後、長方形の小片に切断した。PDMSの寸法は10×10×5mm(長さ×幅×高さ)であった。PDMSエラストマーによって封止される、リソグラフィーで規定されたSU−8チャンネルにより、流体送出システムがもたらされた。
【0294】
実施例3
ナノワイヤデバイスの表面修飾
検知エレメントの化学修飾および得られたデバイスの電気輸送特性を調べた。アミノ官能化層を、3−アミノプロピルトリエトキシシラン(APTES)を様々な堆積時間にわたって水溶液中でシリコンナノワイヤデバイス表面に自己集合させることによって調製した。
【0295】
センサーデバイスを酸素プラズマにより清浄化して、その結果、清浄な酸化されたナノワイヤデバイス表面を得て、3−アミノプロピルトリエトキシシランによる効果的な化学修飾により、アミノ基がナノワイヤ表面にもたらされるようにした。チップを最初、95%エタノールにおける1%(v/v)の3−アミノプロピルトリエトキシシラン(APTES)(Aldrich)により処理し、0.2μm−カットオフのシリンジフィルターでろ過する前に20分間放置した。プラズマ清浄化されたセンサーチップをシラン/エタノール溶液に30分間浸け、その後、チップをエタノールによりすすぎ、窒素ガスの流れで乾燥し、150℃で5分間ベーキング処理した。
【0296】
さらなるアミノシラン誘導体(例えば、N−メチルアミノプロピルトリエトキシシランなど)を、ナノワイヤデバイス表面をAPTESと同様に修飾するために使用した。同様に、比較のために、表面を、エタノールにおよびジクロロメタンおけるシラン誘導体の2%溶液をそれぞれ使用してオクタデシルジメチルクロロシランおよびフルオロシランの各誘導体によって修飾した。
【0297】
楕円偏光法による測定を、分子層の厚さを適切に特徴づけるためにすべてのサンプルにおいて行った。
【0298】
フーリエ変換赤外分光法(FTIR)および楕円偏光法は、APTES薄膜の構造および厚さが堆積時間および反応溶液によって支配されることを示している[Howarter,J.A.&Youngblood、Langmuir 22、11142〜11147(2006)]。堆積が水溶液中で行われるとき、(単分子層と、二分子層との間において)6.5Å〜12Åに及ぶ厚さのAPTES薄膜が一般に形成される。
【0299】
XPS分析
X線光電子分光法(XPS)による測定を、5600 Multi−Technique System(PHI、米国)を使用してUHV(2.5×10
−10Torrのベース圧力)において行った。サンプルにAlのK
α単色化光源(1486.6eV)を照射し、結果として生じる電子を、0.8mmのスリット口径を使用して、Spherical Capacitor Analyzerによって分析した。285eVにおけるC1sをエネルギー基準として選んだ。サンプルは表面について分析されただけであった。
【0300】
下記の測定を行った:
サーベイ:広いエネルギー範囲(0〜1400eV)におけるスペクトル(これは、サンプル表面に存在する元素の推定を与え、低分解能で得られる)。
【0301】
ユーティリティー・マルチプレックス:種々のピークについて低エネルギー範囲の窓において中間(ユーティリティー)分解能で得られるスペクトル。これは、原子濃度(AC%)計算のために存在する元素のすべてについて得られる。AC表がこれらの測定の出力として与えられる。AC計算の正確性:
50%前後のACについては±2%
20%前後のACについては±5%
5%前後のACについては±10%
1%前後のACについては±20%
【0302】
高分解能マルチプレックス:種々のピークについて低エネルギー範囲の窓において高分解能で得られるスペクトル(PE=11.75eV、0.05eV/ステップ)。これらの測定は、結合の結合性分析のために必要である正確なエネルギー位置およびピーク形状の決定を可能にする。
【0303】
下記サンプルの特徴づけを行った:
1.参照として修飾を有しないシリコン/SiO
2サンプル
2.溶液ろ過後、APTESにより10分間修飾されたシリコン/SiO
2サンプル。
3.溶液ろ過後、APTESにより20分間修飾されたシリコン/SiO
2サンプル。
4.溶液をろ過することなく、APTESにより20分間修飾されたシリコン/SiO
2サンプル。
【0304】
XPS測定により、予想されるようなAPTES層の形成が確認され、また、表面修飾されているアミノ基およびアンモニウム基の存在がさらに立証される(データは示されず)。
【0305】
性能測定
様々なゲート−ドレイン電圧(VGD)についてのソース−ドレイン電圧(VSD)に対するソース−ドレイン電流(ISD)の依存性が、何らかの化学修飾が行われる前の代表的なデバイスについて、
図1Dに示される。
図1Eおよび
図1Fに示されるように、シラノール(Si−OH)基を遊離アミンに変換するための3−アミノプロピルトリエトキシシランによる表面官能化はデバイスの電気的性質に対する悪影響を何ら有していない。
【0306】
実施例4
TNTの液相検出
本明細書中に記載されるシステムの有効性をTNTの検知について評価するために、TNTが500fM〜5μMに及ぶ濃度で添加された水溶液(0.1%のDMSOを含有するDI水)を、チップに組み込まれた流体送出システム(
図1Cを参照のこと)を介してセンサーチップデバイスに送出した。
【0307】
TNT(これはDoreyおよびCarper[Journal of Chemical and Engineering Data、29、93〜97(1984)]に従って調製された)を、DI H
2Oにおける0.1%DMSOに溶解し、シリンジポンプ(Dolomite Mitos Syringe Pump XS)によるミクロ流体素子システムによって5μl/分の流速でチップに送出した(溶液を注入するという行為は、若干の無視できるノイズを電気的な読み取りシグナルに持ち込むかもしれない)。すべての研究が室温で行われた。
【0308】
シリコンナノワイヤFETのコンダクタンスを、ACバイアス(70kHz、30mV)をロックイン増幅器(Stanford Reserach System社のモデルSR830 DSP)により加えることによって測定した。ドレイン電流を、可変利得増幅器(モデル99539 Amplifier System)を用いて増幅し、300msの時定数設定を用いたロックイン増幅器によってフィルター処理した。出力データを、多チャネルI/Oアダプターパネル(BNC−2090、National Instrument)を使用することによって記録した。
【0309】
得られたデータが
図2Aおよび
図2Bに示され、得られたデータは、ナノワイヤのコンダクタンスが濃度範囲全体にわたってTNTの存在に対して極めて敏感であり、また、TNT溶液および参照洗浄溶液(0.1%のDMSOを含有するDI水)がそれぞれ、流体送出システムを介してデバイスに交互に送出されるときには、十分に定義された増大と、その後のベースラインへの復帰とを呈することを示す。これらのデータのプロット(
図2B)は、コンダクタンスにおける変化が、50μM〜5nMに至るまでの値についてTNT濃度に正比例していることを示す。これらのナノセンサーは、フェムトモル濃度レベル(約0.5フェムトモル濃度)を十分に下回る濃度に至るまでTNTを間違いなく検出することができる。一層さらには、最も高感度なデバイスは、50アトモル濃度〜100アトモル濃度の範囲に至るまでTNTを検知することができる(
図2Cを参照のこと)。本明細書中に記載されるナノセンサーは、それぞれがセンサーデバイスとして機能する修飾ナノワイヤのアレイから構成されることに留意しなければならない。加えて、検知を、予備濃縮工程を必要とすることなく、迅速に、すなわち、1分以内に行うことができる。
【0310】
一般に、電子不足のTNTがナノセンサー表面のアミノ基に結合することは、効果的な分子的ゲート化エレメントとして作用し、かつ、ナノ検知エレメントの電気コンダクタンスを強く調節する電荷移動錯体の形成をもたらすことが予想される[Xie他、Anal.Chem. 2008、80、437;Sharma、Spectrochimica Acta Part a−Molecular and Biomolecular Spectroscopy 2008、70、144]。例えば、2,4,6−トリニトロトルエン(TNT)は溶液中にほとんど存在せず、また、可視光を全く吸収しない。以前の研究では、TNTの溶液が、有機アミン(例えば、3−アミノプロピルトリエトキシシラン(APTES)など)の添加後、無色から深赤色に変わることが明らかにされている[例えば、Gao他、Anal.Chem. 2008、80、8545を参照のこと]。2種類の強い相互作用が、TNTの電子不足の芳香族環と、APTESの電子豊富なアミノ基との間で生じているかもしれない。アミノ基から芳香族環への電荷移動は、TNTと、第一級アミン基との間におけるマイゼンハイマー錯体の形成を引き起こす。その一方で、一般に受け入れられている機構として、TNT分子はブレンステッド−ローリー酸であり、そのメチル基が塩基性アミンによって脱プロトン化され得る。TNTアニオン上の負電荷が、3つの電子吸引性ニトロ基による共鳴安定化によって分子全体に分布させられ、これにより、酸−塩基対形成相互作用の形成が引き起こされる。TNTアニオンまたはTNT−アミン錯体は可視光の緑色部分を強く吸収することができ、したがって、溶液の色が深赤色に変化する。両方の機構によって、非荷電のTNT分子が表面のアミノ基と可逆的に錯体形成することにより、検知表面の極近傍における電荷の形成が引き起こされ、したがって、これにより、デバイスのコンダクタンスにおける急激な変化が引き起こされる。
【0311】
何らかの特定の理論によってとらわれないが、これらの研究において得られる驚くべきデータを考慮すると、下記のことが特筆される:
(1)溶解した分子および巨大分子における電荷が、溶解した対イオンによって遮蔽される。遮蔽の結果として、分析物分子上の電荷から生じる静電電位が、距離とともにゼロに向かって指数関数的に減衰する[Stern他、Nano Letters 7、3405〜3409(2007)]。したがって、最適な検知のためには、デバイ長さが好ましくは、ナノワイヤ−FET測定のために注意深く選択される。以前に報告された場合においては、デバイスに結合した分子が、約2nm〜12nm(センサー表面に結合した受容体タンパク質またはDNAリンカーのサイズ)によってセンサー表面から隔てられる。そのような場合とは対照的に、本明細書中に記載される例示的デバイスにおけるAPTES認識エレメントは短い有機分子で、長さにおいて約0.6nmであり(
図1Aを参照のこと)、そのアミノ基がナノワイヤ検知エレメントの表面の極近傍にある。
(2)認識エレメントが生物学的性質のものでないという事実は、事実上塩を含まない溶液(すなわち、DI水)の使用を可能にする。デバイ長さλが、この場合には1μm前後であると予想される。この大きい遮蔽長さは、TNT分子と、ナノワイヤ表面のアミノ基との間で形成される電荷移動錯体対を検知することにおける極めて大きい感度をもたらす。
(3)TNT分子と、ナノワイヤ上のアミノ官能基との間における電荷移動錯体の形成が、周囲の表面区域における隣接アミノ基の存在によってさらに安定化され得る。表面と錯体形成したTNT分子において形成される負電荷が、表面における周囲のアンモニウム基によってさらに収容および安定化され得る。したがって、これにより、実験的に認められるように、より安定な電荷移動錯体および高まった感度がもたらされる(
図2Dを参照のこと)。
【0312】
電気輸送特性
検知エレメントの化学修飾および得られたデバイスの電気輸送特性を最初に調べた。楕円偏光法の結果は、得られたAPTES層の厚さが一般に、(単分子層と、二分子層との間において)6.5Å〜12Åに及ぶこと、そして、APTES薄膜の構造および厚さが、予想されるようにシラン溶液の堆積時間および組成によって支配されることを示している[J.A.Howarter、J.P.Youngblood、Langmuir 2006、22、11142]。
【0313】
可逆性、交差反応性および安定性
リアルタイム屋外センサーにおいては、センサーの可逆性(センサーがその初期状態に戻ることができること)および応答時間を考慮しなければならない。
図2Aの挿入図において認められるように、コンダクタンスにおける変化が、ナノワイヤデバイスがTNT溶液にさらされると直ちに始まり、新しい値で数分間にわたって安定化している。このことは、高度に希釈された500fMのTNT溶液についてさえ当てはまる。加えて、TNTを全く含有しない参照洗浄液がシステムに導入されるとき、TNTがセンサーの中を流れた後では、デバイスは再び、非常に迅速に応答し、コンダクタンスがそのベースライン値に戻る。
【0314】
同じチップにおけるコントロールの「非修飾」ナノワイヤデバイス、同様にまた、アルキルシラン誘導体およびフルオロアルキルシラン誘導体により修飾されるデバイスは、高濃度のTNT(5μM)または他のニトロ芳香族化学種と相互作用したとき、認められ得るシグナルを何らもたらさなかった(
図3を参照のこと)。この事実は、TNTが、上述のように表面のアミノ基との錯体を確かに形成することを示している。
【0315】
構造的に関連するニトロ芳香族化学誘導体に対するセンサーの交差反応性もまた調べた(
図4を参照のこと)。結果は明瞭に、これらの化合物よりもTNTに結合することの優先性を示す。これらの結果を分析することにより、アミノ修飾された単分子層との電荷移動錯体を生じさせる能力がより大きい分子(例えば、TNTおよび2,4−ジニトロトルエン(2,4−DNT、化合物2)など)は、電子吸引性がより小さい他のニトロ芳香族よりも強い電導性変化を誘導することが明らかにされる。後者の物質は、デバイスのコンダクタンスにおける変化を、5μMを超える濃度(TNTの場合よりも数桁大きい)においてのみ引き起こす。アニリン(化合物4)は電導性における低下を何ら引き起こすのではなく、わずかな増大を(50μM超の)非常に高い濃度においてのみ引き起こし、このことは、この分子が表面のAPTES層と相互作用することによって引き起こされる逆符号の表面双極子の形成を示唆している。5nM未満の濃度において、妨害物は、感知可能なシグナルを生じさせない。これらのデータにより、TNTのAPTES修飾SiNWデバイスとの提案された電荷移動相互作用についての裏付けが提供される。
【0316】
加えて、TNTの検出において妨害物であると考えられる一般的なニトロ芳香族化合物(
図4、化合物7〜化合物9を参照のこと)、ならびに、芳香剤および他の化粧品において添加剤として現在広く使用される一般的なニトロ芳香族化合物を含有する溶液は、調べられた濃度レベルにおいて、何ら検出可能なシグナルをもたらしていない。これらの物質は、多数の電子供与基が芳香族環に存在すること、および、それらはニトロ基の数がより少ないことの結果として、検討中の濃度範囲において、電荷移動錯体を形成することにおいてあまり効果的でないか、または、電荷移動錯体を形成することができない。
【0317】
センサーの検出限界を改善するために、大きい利得を得ること、それにもかかわらず、ノイズレベルを低下させることもまた得策であり、また、大きいシグナル対ノイズ比を提供すること、したがって、電流検知技術には固有的である多数の偽陽性および偽陰性を防止することもまた得策である。この目標を達成するための1つの戦略が、多数の同一センサーを、シグナル対ノイズ比を高めるために同じ分析物分子について同時に用いることである。
【0318】
本明細書中に記載されるセンサーチップは、TNTの同時検出を潜在的に行うことができる200近いデバイスを含有するために設計される。このことを実証するために、3つのナノワイヤデバイスによる同時でのTNTの検出を行った。
図5Aに示されるように、すべてのデバイスがほぼ同じように挙動し、TNTにさらされたときにはコンダクタンスにおける予想された低下を示し、その後、TNTが洗い流されたときには増大を示す。
図5Bに示されるように、同じことが、ただ1つだけのチップにおける作動デバイスのほとんどについて観測された。したがって、信頼できる超微量検知アレイであって、超低濃度の爆発性分子を、室温におけるほとんどの爆発物の蒸気圧よりも低い検出限界により容易に検出することができるアレイが本明細書中に明らかにされる。このことは、ほとんどの化学種を、予備濃縮を必要とすることなく、空気採取サンプルから直接に検知することを可能にする。
【0319】
もう1つの観測結果が、同じナノワイヤデバイスを用いた約100回の繰り返されたTNT注入/洗浄サイクルが1週間以上にわたって行われたことであり、これにより、顕著な検知安定性および検知再現性が見出された(
図5Cを参照のこと)。
【0320】
実施例6
気相TNT検出
本明細書中に記載されるナノワイヤFETアレイを、アレイがTNTを空気サンプルから直接に検知することができるかについて調べた。TNTは、気相中においてさえ、アミノ基とのマイゼンハイマー錯体および酸−塩基対錯体を形成することができる[Jehuda他、J.Mass Spect. 2005、30、715]。TNT蒸気の気相検出を、窒素ガスまたは乾燥空気の流れを検知チップへのTNT蒸気のキャリアとして使用することを除いて、同じ検出構成を用いて行った。送出ラインを、TNT蒸気の凝縮およびプラスチックラインへの吸着を防止するために80℃〜90℃に加熱した。窒素または乾燥空気が通り抜けるTNT供給源を室温(25℃)で保った。
【0321】
TNT蒸気を、微少量のTNT(100μgr未満)を含有するバイアル(これは入口および出口のガスポートを有する)に窒素ガスを通すことによって生じさせた。TNT供給源は加熱素子で60℃〜90℃に加熱される。生じたTNT蒸気がPEEKチューブおよびポリエチレンチューブ(1/16インチの内径)を通って送出される。したがって、TNT蒸気が、少量のTNT(100□g〜2mg)を含有するステンレススチール製バイアル(これは入口および出口のガスポートを有する)に窒素ガス(または圧縮乾燥空気)を通すことによって検知チップの中に送出された。TNT供給源バイアルの温度は、TNT物質(または何らかの他の爆発性分子)の平衡蒸気圧を制御するために、5℃〜150℃の間で制御することができる。窒素キャリアまたは圧縮乾燥空気の流速が、(0.1ml・min
−1〜200ml・min
−1)MKSマスフロー制御器の使用によって制御される。
【0322】
最初に、キャリアガス(乾燥N
2または乾燥圧縮空気)が参照チューブを通って直接にデバイスの中に入る。安定な電気シグナルが得られた後、流れが2秒〜5秒の短い時間パルスによってTNT供給源に転換される。バイアル内のTNTがなくなったとき、シグナルにおける変化が何ら観測されない。デバイスの再生が、DI H
2Oにおける0.1%のDMSOによりセンサーチップを単に洗浄することによって達成される。
【0323】
MFC制御されたガスキャリアラインが、所与の温度におけるその平衡蒸気圧(TNTについては25℃で約7ppb)に達した後、爆発物を含有する温度制御されたバイアルを通って流れる。TNTの濃度依存的検知のために要求されるならば、爆発物の蒸気は、一連のMFC制御された希釈ガスラインを使用し、それらの流れるガスを、常に総流量をMFCの使用によって一定(1sccm〜5sccm)に保って、検知機構に達する前にTNT蒸気ガスラインと混合して容易に希釈することができる。検知チップに至るすべてのガスラインが、送出ラインにおける爆発物の蒸気の凝縮、したがって、爆発物の有効濃度の大きなずれを防止するために120℃に加熱される。バイアル内のTNTがなくなると、検知デバイスのシグナルにおける変化がなくなる。デバイスの再生が、DI H
2Oにおける0.1%のDMSOによりセンサーチップを単に洗浄することによって達成される。湿度による潜在的な妨害を防止するために、キャリアガスには、制御された範囲の湿度(35%〜60%)が負荷され得るか、または、キャリアガスの乾燥が、乾燥用プレカラムを使用して行われ得る。それにもかかわらず、本明細書中に記載されるガス/蒸気検知実験では、電気的な検知ナノワイヤアレイの「ベースライン」シグナルは最初、TNTが存在しないガスキャリアにより安定化され、その後、TNT含有蒸気の短いパルスにより安定化され、したがって、湿度の影響が全く認められない。
【0324】
図6に示されるように、TNT蒸気の存在がナノセンサーアレイによって容易かつ迅速に検出される。20℃におけるTNTの蒸気圧が約10ng/lまたは1ppbであることには留意される。TNT送出ラインは、TNT送出ラインが再び閉じられる前の2秒間だけ検出システムに開いており、したがって、検知アレイを、制御された濃度のTNT含有蒸気の非常に短いパルスにさらしている。このことは、ナノセンサーが空気中のTNTの存在に対して極めて敏感であること、また、長いサンプリング、および、最も重要なことではあるが、予備濃縮工程が要求されないことを示す。空気中のTNTの検知が、溶液検知実験において測定される感度限界と類似する感度限界により、TNTの低い濃度(ppb濃度〜ppt濃度の間)で数十回のサイクルにわたって行われ得る。要求されるならば、センサー表面を水/0.1%DMSO溶液における短い洗浄工程によって容易に再活性化することができる。これにより、電荷移動錯体を介して検知表面に結合する何らかのTNT分子が除かれ、検知表面がその初期ベースライン状態に戻される。加えて、湿度および臭気物の影響が、試験された実験条件では何ら検出されなかった。
【0325】
TNT蒸気が、予備濃縮を用いることなく、空気採取サンプルから直接的かつ迅速に検知されること、および、検知エレメントの効果的な完全な再生により、爆発物および他の化学物質の検出における本明細書中に記載されるアレイの役割が示唆される。空気サンプルにおけるTNT蒸気検出のために使用されるセンサーは、並外れた信頼性および安定性を、性能の著しい劣化を伴うことなく、数週間の期間にわたって示す。
【0326】
加えて、湿度および臭気物(化合物7〜化合物9)の影響が上記の実験条件において何ら検出されなかった(
図7を参照のこと)。
【0327】
実施例7
嗅覚検知システムのシミュレーション
さらなる実験が、ただ1つだけのアレイでのナノセンサーのサブグループを、異なる電子供与能をそれぞれが有する広範囲の多数のアミン誘導体により修飾すること、したがって、単純な嗅覚検知システムをシミュレーションすることに集中した。
【0328】
結果が
図7に示される。青色に着色されるデバイスは、より強い電子供与性アミン誘導体のN−メチルアミノプロピルトリエトキシシランにより修飾された。赤色で着色されるデバイスはAPTESにより修飾された。棒の値は、APTESにより修飾される20個のデバイス、および、N−メチルアミンTESにより修飾される20個のデバイスによってそれぞれ得られるシグナルの平均である。STD値が報告値の約10%である。明らかに、電子供与特性が異なる種々のアミン誘導体を使用することは、種々の爆発性化学種を検知し、これらを同時に特定することをもたらし、このことにより、単純な嗅覚システムのシミュレーションがもたらされる。
【0329】
本発明はその特定の実施態様によって説明してきたが、多くの別法、変更および変形があることは当業者には明らかであることは明白である。従って、本発明は、本願の請求項の精神と広い範囲の中に入るこのような別法、変更および変形すべてを包含するものである。
【0330】
本明細書で挙げた刊行物、特許および特許出願はすべて、個々の刊行物、特許および特許出願が各々あたかも具体的にかつ個々に引用提示されているのと同程度に、全体を本明細書に援用するものである。さらに、本願で引用または確認したことは本発明の先行技術として利用できるという自白とみなすべきではない。節の見出しが使用されている程度まで、それらは必ずしも限定であると解釈されるべきではない。