特許第5890403号(P5890403)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5890403
(24)【登録日】2016年2月26日
(45)【発行日】2016年3月22日
(54)【発明の名称】補助海底採掘のための方法および装置
(51)【国際特許分類】
   E21C 50/00 20060101AFI20160308BHJP
【FI】
   E21C50/00
【請求項の数】24
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2013-514495(P2013-514495)
(86)(22)【出願日】2011年6月17日
(65)【公表番号】特表2013-528726(P2013-528726A)
(43)【公表日】2013年7月11日
(86)【国際出願番号】AU2011000731
(87)【国際公開番号】WO2011156865
(87)【国際公開日】20111222
【審査請求日】2014年4月28日
(31)【優先権主張番号】2010902669
(32)【優先日】2010年6月18日
(33)【優先権主張国】AU
(73)【特許権者】
【識別番号】511072736
【氏名又は名称】ノーチラス・ミネラルズ・パシフイツク・プロプライエタリー・リミテツド
(73)【特許権者】
【識別番号】512325314
【氏名又は名称】ソイル マシン ダイナミクス リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SOIL MACHINE DYNAMICS LTD
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ジョーンズ、グレン ロバート
(72)【発明者】
【氏名】イングリス、アントニー エリオット
(72)【発明者】
【氏名】オサリバン、アンソニー ポール
(72)【発明者】
【氏名】ハウイット、マイケル
(72)【発明者】
【氏名】スミス、グレン マーティンデール
(72)【発明者】
【氏名】ベルント、ローラント ギュンター
(72)【発明者】
【氏名】ジャファーズ、ダール ハラム
(72)【発明者】
【氏名】リドレー、ニコラス ウィリアム
【審査官】 富山 博喜
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭59−041597(JP,A)
【文献】 実開昭58−184398(JP,U)
【文献】 特開平09−302713(JP,A)
【文献】 米国特許第6003952(US,A)
【文献】 米国特許第3670514(US,A)
【文献】 英国特許出願公開第2462801(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21C 50/00
E21C 45/00
E02F 3/88 − 3/94
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
海底採掘システムで使用するための海底補助採掘ツールであって、
海底を移動可能にする海底移動システムと、
海面上の供給源から電力および制御信号を受け取るアンビリカル接続部と、
海底鉱床の表面を研削するブーム搭載式の補助研削ツールと、
前記補助研削ツールによって生産された研削物を、所定のサイズを超えないように分級する手段とを備え
前記研削物を分級する手段が前記補助研削ツールを構成する少なくとも一対の研削ヘッドを備え、前記研削ヘッドが前記少なくとも一対の研削ヘッドの間の研削物を優先的に吸引するように構成され、前記少なくとも一対の研削ヘッドは、所定の研削サイズに相当する距離だけ離間している海底補助採掘ツール。
【請求項2】
請求項に記載のツールであって、前記研削ヘッドの各対の間の間隔が所定の間隔に固定されているツール。
【請求項3】
請求項に記載のツールであって、前記研削ヘッドの各対の間の間隔が採掘動作中に調整可能であるツール。
【請求項4】
請求項1からのいずれか一項に記載のツールであって、前記研削物を分級する手段が前記補助研削ツールに近接した分級グリルを備えるツール。
【請求項5】
請求項1からのいずれか一項に記載のツールであって、前記海底移動システムによって前記補助採掘ツールが約10度まで傾斜した海底地形を移動可能であるツール。
【請求項6】
請求項に記載のツールであって、前記海底移動システムによって前記補助採掘ツールが約20度まで傾斜した海底地形を移動可能であるツール。
【請求項7】
請求項に記載のツールであって、前記海底移動システムによって前記補助採掘ツールが約25度まで傾斜した海底地形を移動可能であるツール。
【請求項8】
請求項1からのいずれか一項に記載のツールであって、前記補助研削ツールを搭載するためのブームが、前記補助採掘ツールの中心線に対して旋回可能である上部キャリッジアセンブリに搭載された油圧作動式連結アームを備えるツール。
【請求項9】
約400mを超える水深にて動作可能である請求項1からのいずれか一項に記載のツール。
【請求項10】
約1000mを超える水深にて動作可能である請求項に記載のツール。
【請求項11】
約1500mを超える水深にて動作可能である請求項1に記載のツール。
【請求項12】
請求項1から1のいずれか一項に記載のツールであって、前記補助研削ツールの近傍にスラリー入口を有し、前記補助採掘ツールから離間した出口へ送達するために研削物をスラリーとして取り込むように構成された吸引送達ラインをさらに備えるツール。
【請求項13】
請求項1に記載のツールであって、前記スラリー入口が1つ以上の前記研削ヘッドに近接してその1つ以上の前記研削ヘッドの後方に配置されているツール。
【請求項14】
請求項1に記載のツールであって、前記スラリー入口が前記研削ツールの研削ヘッドの間に配置されているツール。
【請求項15】
請求項1から1のいずれか一項に記載のツールであって、前記研削ツールを部分的に包囲して、前記スラリー入口による研削物の格納および収集を最適化する収集シュラウドをさらに備えるツール。
【請求項16】
請求項1から1のいずれか一項に記載のツールであって、前記研削ツールを包囲して、機械が前方へ移動するときにプッシュブレードとして作用することによって、前記補助採掘ツールの前方の通路から障害物を除去するように構成されているブレードを備えるツール。
【請求項17】
請求項1に記載のツールであって、前記ブレードが前記研削ツールの異なる旋回位置においても実質的に等しく前記ツールを包囲するように弓形形状であるツール。
【請求項18】
請求項1から1のいずれか一項に記載のツールであって、前記ツールの展開時に前記ツールを安定化するように構成された可動固定スパッドをさらに備えるツール。
【請求項19】
海底採掘システムにおける海底補助採掘のための方法であって、
海底移動システムによって、海底補助採掘ツールを海底上で移動させることと、
前記海底補助採掘ツールがアンビリカル接続部によって海面上の供給源から電力および制御信号を受け取ることと、
ブーム搭載式の補助研削ツールによって海底鉱床の表面を研削することと、
前記補助研削ツールによって生産された研削物を、所定のサイズを超えないように、前記海底補助採掘ツールの分級手段によって分級することとを含み、
前記分級手段が前記補助研削ツールを構成する少なくとも一対の研削ヘッドを備え、前記研削ヘッドが前記少なくとも一対の研削ヘッドの間の研削物を優先的に吸引するように構成され、前記少なくとも一対の研削ヘッドは、所定の研削サイズに相当する距離だけ離間している方法。
【請求項20】
請求項19に記載の方法であって、前記補助研削ツールによって、バルク採掘の準備のために、別個のバルク採掘ツールに好適な比較的平坦で水平なベンチを形成するように複雑な海底累層の周囲を研削する方法。
【請求項21】
請求項19または請求項2に記載の方法であって、前記補助研削ツールによって、海底採掘地を加工してバルク採掘のためのベンチを形成する方法。
【請求項22】
請求項19から2のいずれか一項に記載の方法であって、前記補助研削ツールによって、バルク採掘機が残したエッジを加工する方法。
【請求項23】
請求項19から2のいずれか一項に記載の方法であって、研削物をスラリーとして取り込み、前記海底補助採掘ツールが通った通路または通る通路の側方へ前記スラリーをポンプ輸送する方法。
【請求項24】
請求項19から2のいずれか一項に記載の方法であって、研削物をスラリーとして取り込み、前記スラリーを前記海底補助採掘ツールから離間した海底ストックパイル位置まで好適な移送パイプを通じてポンプ輸送する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に水中採掘に関し、特に、他の海底ツールと連動して海底採掘を実施するためのツールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
海床掘削は、貴重な沖積砂鉱床を回収するために、または水路を航行可能な状態に維持するために、浚渫によって行われることが多い。吸引浚渫は、掘削される海床物質近くにパイプまたはチューブの集鉱端を配置すること、ならびに海面ポンプを使用して負の差圧を発生させて海水および付近の可動性海底堆積物をパイプで吸い上げることを含む。カッター吸引浚渫は吸引入口またはその付近にカッターヘッドをさらに備え、圧縮された土壌、砂利または硬質岩を、チューブで吸引されるように分離する。大型カッター吸引浚渫は、数万キロワットの切断力を印加することができる。他の海床浚渫技法としては、オーガ吸引、ジェットリフト、エアリフトおよびバケット浚渫が挙げられる。
【0003】
大半の浚渫機器が稼働する深さは通例、わずか数十メートルまでであるが、さらに非常に大型の浚渫でも最大浚渫深さは、ほぼ100メートルである。浚渫はこのため通常、比較的浅い水域に限定される。
【0004】
油井などの海中ボアホールによると、深さ数千メートルまでの深い水域で採掘を行うことができる。しかし、海中ボアホール採掘技術によって海底採掘は行えない。
本明細書に包含されている文書、行為、材料、装置、物品などに関するいずれの議論も本発明の状況を示すものであり、このような事項のいずれも、先行技術の基準の一部を示すもの、あるいは本出願の各請求項の優先日以前に、本発明に関連する分野における共通の一般知識であったことを認めるものとして解釈されるべきではない。
【0005】
本文書において、「含む」、「備える」、または「有する」を包含する派生語は、1つ以上の要素、整数またはステップを包含することを意味するが、任意の他の要素、整数またはステップを排除するものではないと理解されるべきである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の広範な態様によると、海底採掘システムで使用するための海底補助採掘ツールが提供され、該海底補助採掘ツールは、
海底を移動可能にする海底移動システムと、
海面上の供給源から電力および制御信号を受け取るアンビリカル接続部と、
海底鉱床の表面を研削するブーム搭載式の補助研削ツールと、
補助研削ツールによって生産された研削物を、所定のサイズを超えないように分級する手段とを備える。
【0007】
本発明の第2の態様によると、海底採掘システムにおける海底補助採掘のための方法が提供され、該方法は、
海底移動システムによって、海底補助採掘ツールを海底上で移動させることと、
前記海底補助採掘ツールがアンビリカル接続部によって海面上の供給源から電力および制御信号を受け取ることと、
ブーム搭載式の補助研削ツールによって海底鉱床の表面を研削することと、
補助研削ツールによって生産された研削物を、所定のサイズを超えないように、前記海底補助採掘ツールの分級手段によって分級することとを含む。
【0008】
研削物を分級する手段は、補助研削ツールを構成する少なくとも一対の研削ヘッドを備え、研削ヘッドが前記少なくとも一対の研削ヘッドの間の研削物を優先的に吸引するように構成され、前記少なくとも一対の研削ヘッドは所定の研削サイズに相当する距離だけ罹患している。このような実施形態において、研削ヘッド対の間において吸引される所定の研削サイズより大きい研削物は、所定の研削サイズよりも小さくなるように、さらに切削および粉砕の少なくとも一方がなされる。各対の研削ヘッドの間の間隔は、たとえば採掘される鉱石および抽出する必要がある粒子のサイズに応じて、所定の間隔に固定することができる。代替的には、特定の実施形態において、各対の研削ヘッドの間の間隔は採掘動作中に調整可能であり得る。代替的には、研削物を分級する手段は、補助研削ツールに近接した分級グリルを備え、分級グリルは、たとえば研削ヘッドにおけるヘッドとブームとの間、および研削ヘッドの後方の少なくとも一方に配置され得る。代替的には、研削物を分級する手段は、固定されているか、または調整可能であるかにかかわらず、他の好適な分級装置を含み得る。前記少なくとも一対の研削ヘッドは、研削ヘッドの間の研削物を吸引して研削物の分級を行えるように、好ましくは逆回転している。
【0009】
補助研削ツールを有する補助採掘ツールを提供すること、および別個の海底ツールによってバルク採掘を行うことによって、本発明は、複雑な地形の海底領域での動作を可能にするような向上した可動性を有し、かつ研削作業を柔軟に実施できる比較的高い機動性を有する海底研削ツールを提供する。補助研削ツールはこのため、バルク採掘の準備のために、別個のバルク採掘ツールに好適な比較的平坦で水平なベンチを形成するように複雑な海底累層の周囲を研削することができる。本発明はこのため、複雑な海底地形においても、海底物質の回収を行うための他の海底採掘ツールと連動して機能するように動作可能であるが、複雑な海底地形において、単独で機能することも可能である補助ツールを提供する。特定の採掘地においては、海底物質を回収するために他のツールを必要としないほど、機動性を有した補助採掘ツールが提供される。
【0010】
海底補助採掘ツールは凹凸のある地面や傾斜を移動することが可能であり、このような能力は海底移動システムにより影響を受ける。海底移動システムは、任意の好適な移動要素、たとえば車輪、無限軌道、脚部などを含み得る。移動システムによって好ましくは、補助採掘ツールは約10度、さらに好ましくは約20度まで、なおさらに好ましくは約25度まで傾斜した海底地形を移動できる。
【0011】
好ましい実施形態における補助採掘ツールは、海底採掘地を加工して、バルク採掘のためのベンチを形成するように動作可能である。好ましい実施形態における補助採掘ツールは、バルク採掘機が残したエッジを加工するようにさらに動作可能である。補助研削ツールを搭載するためのブームは、好ましくは油圧動作連結アームを備える。一形態においては、該ブームは、補助採掘ツールの中心線に対して旋回することができる上部キャリッジアセンブリに搭載され得る。
【0012】
本発明の特定の実施形態において、海底補助採掘ツールは着脱式ウインチケーブル接続点を備え、ツールが海底と海面との間で巻き上げられて、海床に到達するとウインチケーブルから切り離されて自己推進できるように構成されている。
【0013】
さらに本発明は、特定の実施形態において、著しく深い水深における展開に適応可能な海底補助採掘ツールを提供する。たとえば、特定の実施形態では、約400mを超える、さらに好ましくは約1000mを超える、およびさらに好ましくは約1500m超える水深において動作可能であり得る。それにもかかわらず、本発明の補助採掘ツールは、約100mという浅い水中での有用な海底採掘オプションまたは他の比較的浅い水中用途にも提供し得る。したがって、海底または海床は、塩水、汽水または淡水中のいずれにかかわらず、湖底、河口底、フィヨルド底、入江底、湾底、港底などの採掘または掘削への本発明の利用を排除するものではなく、このような利用は本発明の権利範囲内に包含される。
【0014】
複雑な地形の海底採掘地に展開される本発明の実施形態において、海底補助採掘ツールは、採掘地の掘削を開始するために用いられる。たとえば海底補助採掘ツールは、他の海底ツールの着地区域を形成し、バルク採掘のために準備される第1のベンチを形成するように採掘地の表面を掘削し得る。
【0015】
本発明の好ましい実施形態は、補助研削ツールの近傍の入口および補助採掘ツールから離間した出口を有する吸引送達ラインをさらに包含する。本発明の好ましい実施形態において、補助採掘ツールは、スラリーポンプシステムおよび研削物をスラリーとして取り込むように構成された研削ヘッドの近傍のスラリー入口を備える。スラリーは、海底補助採掘ツールから、たとえばツールが通った通路または通る通路の側方への短距離区間をポンプ輸送され得る。代替的には、スラリーは、海底補助採掘ツールから多少離れた海底ストックパイル位置まで好適な移送パイプを通じてポンプ輸送され得る。スラリー入口、すなわち吸引入口は、研削ヘッドのすぐ後方に配置され得る。2つ以上の研削ヘッドを備える実施形態において、吸引入口または各吸引入口は研削ヘッドの間に配置され得る。
【0016】
好ましい実施形態において、収集シュラウドが研削ヘッドを部分的に包囲して、スラリーポンプシステムによる研削物の格納および収集を最適化する。海底補助採掘ツールは、ブレードを備え、ブレードは、好ましくは研削物を探査機の前方に保持し、また好ましくは研削ヘッド付近に検索物を保持するように研削ツールを包囲し、サイズを超過した研削物の再加工を支援するように構成されている。ブレードは、好ましくは、研削ツールの異なる旋回位置においても実質的に等しく前記ツールを包囲するように弓形形状である。ブレードは、好ましくは、研削ヘッドによって生産された研削物の除去時にツールの吸引入口を補助する。ブレードは、また好ましくは、機械が前方へ移動するときにプッシュブレードとして作用することによって、補助採掘ツールの前方の通路から障害物を除去するように構成されている。
【0017】
海底補助採掘ツールは無索式遠隔操作探査機(ROV)であるか、または海面まで連結されたアンビリカルケーブルによって操作される有索式探査機であり得る。
海底補助採掘ツールは、好ましくはその切削物を投棄場から離間した出口へ除去して、海底補助採掘ツールが作動しながら累層中を進行できるように構成されている。たとえば補助採掘ツールは、その研削物をスラリーとして、ツールの移行路の側方にポンプ輸送し得る。
【0018】
海底補助採掘ツールの重量は、好ましくは補助採掘タスクに必要な力を印加するために選択される。補助採掘ツールをさらに安定化するために、可動固定スパッドが設けられてもよい。
【0019】
ベンチは回収される貴重な鉱石の鉱石ベンチを含み得るか、または他の目的で撤去される硬岩、もしくは海底物質のベンチを含み得る。鉱石は、海底塊状硫化物を含み得る。
このシステムの代替的実施形態において、補助採掘機は、ツールから研削物をスラリーとして、ツールの研削位置から離間したストックパイル場まで送達するスラリー移送パイプを用いて構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の好ましい実施形態による、補助採掘ツールを実装する海中システムの略図である。
図2】本発明の一実施形態による補助採掘ツールの側面図である。
図3図2の補助採掘ツールの研削および吸引工程を示す図である。
図4】補助採掘ツールシステム全体を示す図である。
図5】補助採掘ツールのブーム搭載研削ヘッドの斜視図である。
図6】動作中の補助採掘ツールのブーム搭載研削ヘッドの断面図である。
図7a】採掘地の準備を行う補助採掘ツールを示す図である。
図7b】鉱石ベンチの残りのエッジを切断する補助採掘ツールを示す図である。
図8】可動固定安定化スパッドシステムを持つ補助採掘ツールのさらなる実施形態を示す図である。
図9a】本発明の別の実施形態による補助カッターを示す図である。
図9b】本発明の別の実施形態による補助カッターを示す図である。
図9c】本発明の別の実施形態による補助カッターを示す図である。
図9d】本発明の別の実施形態による補助カッターを示す図である。
図10a】本発明のさらなる実施形態による補助カッターを示す図である。
図10b】本発明のさらなる実施形態による補助カッターを示す図である。
図10c】本発明のさらなる実施形態による補助カッターを示す図である。
図10d】本発明のさらなる実施形態による補助カッターを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態による補助採掘ツール(AUX)116を実装する海中システム100の略図である。デリック102および脱水プラント104が、海洋航行式の生産支援船(PSV)106に搭載されている。生産支援船106は、回収した鉱石を荷船108に積載するための鉱石移送施設を備えている。本実施形態によるツール116は、水深約2500mまで動作可能であるが、代替的実施形態によるツールは水深約3000m以上まで動作可能に構成され得る。生産操作中に、海底採掘ツール(SMT)が使用されて海底110から鉱石が掘削される。海底採掘ツールは、海底バルク採掘機112、海底集鉱機(GM)114、海底補助採掘機116、及びストックパイルシステム124を含む。バルク採掘機(BM)112および集鉱機114は、任意の好適な形態であり得る。本実施形態において、補助採掘機116およびバルク採掘機112によって採掘された鉱石は集鉱され、各機械によってストックパイルシステム124に、たとえばストックパイル移送パイプ126(明確化のため、図1では一部を省略して示す)を通じてスラリーとして集鉱されてポンプ輸送される。
【0022】
ストックパイルにおける鉱石はスラリーとして集鉱されて、ライザー移送パイプ(RTP)120を通じて海中リフトポンプ118までポンプ輸送され、次に海中リフトポンプ118は、剛性ライザー122(図1では一部が省略して示され、本実施形態では最大2500mの長さを有する)を介してスラリーを上昇させる。スラリーは海上の生産支援船106まで移動されて、そこで脱水プラント104によって脱水される。廃水は圧力下で海底に戻され、海中リフトポンプ118のためにチャージ圧を提供する。脱水された鉱石は、加工場に輸送される前に、ストックパイル施設まで輸送する輸送荷船108に積み込まれる。
【0023】
本実施形態の海底補助採掘ツール116は、作業面位置から物質を研削し、また必要に応じて、作業面位置から物質をポンプ輸送する。海底補助採掘ツール116は、水深約2500mまで動作可能な遠隔操作探査機であり、生産支援船106上から操作される。海底補助採掘ツール116の動作は、鉱石の等級、全体の生産速度ならびに操作および保守上の制約に応じて制御される。掘削粒径は、補助採掘ツール116のカッタータイプ、カッター回転スピード、カッターヘッドの前進スピード、研削深さ、カッターピック間隔および角度、ならびにカッターヘッド間隔によって制御される。
【0024】
次にバルク採掘および集鉱は、任意の好適な手段によって行われてもよい。
補助採掘ツール116は、任意の好適な採掘工程で利用され得るが、図1の実施形態において、鉱石は以下のように回収される。第1に、集鉱機(GM)を使用して何らかの固結していない堆積物が撤去されて、採掘場の一部を形成する所定の区域、または形成しない区域に堆積される。次に、本実施形態の補助採掘ツール116を使用して障害物が研削されて、海底集鉱機112および海底集鉱機114用の平坦な着地区域が形成される。補助採掘機116による採掘地の準備の様子を図7aに示す。
【0025】
次に、補助採掘ツール116によって残された鉱石が海底集鉱機114によって集鉱される。海底集鉱機112を使用してベンチが研削され、次に研削および分級された鉱石が海底集鉱機114を使用して集鉱され、これは残りのエッジの高さが約4メートルになるまで反復される。次いで残りのエッジは、図7bに示すように、本実施形態の補助採掘ツール116を使用して切断される。
【0026】
このため、補助採掘ツール116は海底採掘動作を開始して、他の海底ツールのために、さらに、必要な場合には、ストックパイル装置などの他の海底装置のために、十分な着地区域を形成する。補助採掘ツール116は、バルク採掘機が接近できないか、効率的に採掘できない鉱石ベンチのエッジ部を撤去するためにも使用される。
【0027】
図2は、本実施形態による補助採掘ツール116の側面図である。図2は、本実施形態の補助採掘ツール116のサイズを示しており、この図を参照して、その機能について説明する。補助採掘ツール116は、スラリー浚渫ポンプシステム202を利用して、鉱石を海底ストックパイル区域までポンプ輸送し、次に、この鉱石は、後日、好適な海底集鉱機(GM)114によって集鉱される。複雑な海底地形上であっても、ツール116を海底移動可能にするように、ツール116には無限軌道204が設けられている。ウインチケーブル接続点206によって、ツール116をウインチケーブルに着脱自在に接続することができ、海面と海底との間でツール116を巻き上げることが可能になる。研削ヘッド210はブーム208に搭載されており、研削ヘッド210をさまざまな位置、高さおよび角度で使用できるようにする。
【0028】
図3は、補助採掘ツール116の研削および吸引プロセスを示す。図示されているように、補助採掘ツール116は、無限軌道204およびカッター吸引ブームアセンブリ208を備える探査機であり、カッター吸引ブームアセンブリ208は連結式であり、機械の中心線に対して側方へ±約40度のブーム旋回が可能であり、機械の上方及び下方へ移動可能である。図5に示されるように、研削ヘッド210は、互いに逆回転する2対の逆回転カッターヘッド212を備え、逆回転カッターヘッド212はアンビリカル電源によって電気式または油圧式で駆動されて、鉱石を研削し、逆回転カッターヘッド212の間において中央に位置する吸引ヘッド214の形態を有する入口に研削物を送達する。吸引ヘッド214は、研削および抽出される物質のサイズおよび種類に適合する各種の形状およびサイズを有し得る。図2に示すように、物質の除去を支援して、カッター212の有効性を向上させるために、バケット・ブレード216も提供される。バケット・ブレード216は、研削物の吸引撤去を補助するカッター用シュラウドとしても作用する。図5の吸引ヘッド214の有効性を向上させるように補助し、研削物を分級して、研削物のサイズを制御するために図2のシュラウド218がさらに設けられる。
【0029】
ツール116は、カッターヘッド210への高圧水噴射用の水ジェットシステム(図示せず)、およびスラリー鉱石吸引・送達ライン202をさらに備え、吸引浚渫ポンプシステムを使用して研削された物質をポンプ輸送して、図1のストックパイルホース126およびコネクタシステム、ならびにストックパイルシステム124を介してこれを海中ストックパイル区域まで輸送する。別の実施形態において、図2の上部キャリッジアセンブリ220は、補助採掘機の研削ヘッドを旋回させることを可能にする。別の実施形態において、カッターヘッド上のさらなるアセンブリ(油圧シリンダ222)により、動作中にカッターヘッドの間隔を調整することを可能にし、研削効率および研削物抽出効率を向上させて、研削物を分級し、研削物のサイズを制御することができる。
【0030】
本実施形態において、ツール116は、約200から250トンの乾燥地上重量、及びこの種の機械に好適な研削力対ツール重量比を有し、いくつかの主要機能を有する。ツール116は、図7aに示すように研削動作を開始するために、障害物および高所を撤去して、他のツールのための障害物が除去された着地区域を形成する。ツール116は、図7bに示すように、低い機動性を有するバルク採掘機が接近できないベンチ区域を研削して障害物を除去する。ツール116は、研削された物質を海底ストックパイル区域にポンプ輸送して、海底チムニーの平坦化および粉砕を補助する。ツール116のブームの作用によって、傾斜上でも最大約4mの高さのベンチの研削が可能となり、ツール116は、低い機動性を有する海底ツールが容易に接近できないベンチエッジおよび下盤界面の少なくとも一方から障害物を除去することができる。
【0031】
補助採掘ツール116は、さらに採掘完了時に採掘場を整理する整理研削を行うように動作可能であり、他の海底ツールが鉱山の高所へ接近するための斜面を研削すること、およびピーク区域まで斜面を研削して、補助採掘ツール自体がピークに接近する通路を生成することの少なくとも一方を実施できる。
【0032】
ツール116は、無限軌道204によって海底上で移動操作される。ツール116は岩の多い地面や起伏の多い地形においても動作可能であり、傾斜上での動作および操縦の両方の機能を実施できる。その主ウインチワイヤ402を使用して、ツール116を支援船から採掘地付近に再配置するために、ツール116を上昇および着地させることもできる。
【0033】
補助採掘ツール116は鉱石を研削および集鉱するように設計され、鉱石をストックパイル、または探査機の側方もしくは後方のサイドキャストゾーン(side cast zone)に、ポンプ輸送する。補助採掘ツール116は、中央吸引ヘッド214を有する逆回転カッターヘッド210を備えて設計され、鉱石を効率的に研削して、必要に応じて、離間した位置のストックパイルまで鉱石を送達する。
【0034】
カッター吸引ヘッド210は、旋回、上昇および降下可能であり、垂直面におけるカッター吸引ヘッド210の角度位置を変更可能な連結式ブーム208に搭載されている。カッターヘッドの前後方向における間隔は、動作中の研削および吸引の効率を調整および改善し、研削物の分級ならびに研削物のサイズの制御を行うために機構222によって変更することができる。
【0035】
補助採掘機システムの全体の概要を図4に示す。生産支援船(PSV)は制御室の役割を果たし、制御室から、アンビリカルケーブルおよびリフトワイヤの両方のためのウインチ、ならびに補助採掘ツール116の展開および引き上げのためのAフレームと共に、補助採掘ツール116が操作される。補助採掘ツールは、アンビリカルケーブル404および主巻き上げワイヤ402によって支援船に接続されている。
【0036】
アンビリカルケーブル404は、軌道駆動モータ、油圧システム駆動モータ、浚渫システムポンプ駆動モータおよびカッター駆動システムなどの補助採掘ツール116の主構成要素を駆動するために必要なモータおよびポンプを駆動する電力を供給する。
【0037】
アンビリカルケーブル404は、補助採掘ツール116と、生産支援船106の運転制御装置との間に、好適には多重光ファイバ通信リンクの形態で、制御ラインを同様に提供する。
【0038】
補助採掘ツール116は、主巻き上げワイヤ402によって生産支援船106から海底へ降下される。補助採掘ツール116が海底に着地すると、巻き上げワイヤ402は取り外されて、再び生産支援船106まで、または採掘動作中にアンビリカルケーブル404と絡み合わない安全な高さまで引き上げられる。
【0039】
補助採掘ツール116は、その筐体内にシステムを備え、該システムは、ストックパイルホースコネクタ(継手と、非常用取外しシステムと回り継手とをさらに備える)の検知、係合、固着および取外しを行う。必要な場合には、ストックパイルホースは、補助採掘ツールの筐体内において、巻き取り(wind−out)リールなどの格納装置に格納され得る。補助採掘ツール116が海底に到達すると、(必要な場合は、ストックパイル採掘動作のために)ストックパイルホースが接続され、次に補助採掘ツール116は研削およびストックパイル動作のために準備される。
【0040】
補助採掘ツール116が生産支援船106に引き上げられる準備が整ったときには、巻き上げワイヤ402が再び接続されて、ストックパイルホースは取り外される。カッターブーム208は0度の完全延伸上昇位置まで旋回される。次にツール116を海底から上昇させて、生産支援船106に引き上げることができる。
【0041】
先に概説したように、補助採掘ツールは鉱石配置のための2つの異なる方法を実施可能であり、これらの方法は探査機後方または側方キャスト法およびストックパイル移送法である。図3に示すように、好適な弁の制御により、スラリーを吸引ヘッド214からストックパイルホースコネクタシステム302、あるいは後方または側方のキャスト配置の出口304に選択的に送出することができる。後方または側方キャスト法は、(続いての片付けおよび物質の引き上げのために)集鉱機114による接近が容易で効率的に集鉱可能な区域で使用される。ストックパイル法は、海底集鉱機114が鉱石を引き上げる所定のストックパイル位置に鉱石を移送するために、接近することが制限される区域に使用される。適切な採掘計画により、どちらの鉱石配置方法をどの位置に適用するかを決めることができる。
【0042】
デュアル逆回転ドラムカッター210は、概して図5および図6に概要が示されている主研削ヘッドに使用される。カッター210は、水平軸線での上昇および降下ならびに垂直軸線の周囲で旋回を可能にする二機能油圧ブーム208に搭載されている。ブーム208によって、カッターアセンブリ210用の汎用台座が提供され、探査機自体は移動させずに大量の岩を研削できるようになる。このような汎用性により、アーム208およびカッター210は、鉱山で発生し得る、たとえば孤立した突出部などの段差または他の不連続面を「対象とする」ことができる。岩カッターヘッド210は約600kWの出力を友子、連結式アーム208に搭載され、連結式アーム208によって、カッター用の汎用台座が提供され、補助採掘機自体を移動させることなく大量の岩を研削できるようになる。
【0043】
ブーム208は、一連の下向き及び側方向きの研削において動作して、約1メートルの掘削深さ(Sump depth)までの採掘表面の全掘削深さ、全幅の研削を完了する。次に、探査機の前方への再配置が必要となる前に、ブームおよびカッターの角度位置を調整することにより、1メートルの掘削深さの研削をさらに行うことができる。
【0044】
掘削された物質は、高流量浚渫ポンプシステムによって、図5および図6に詳細に示されている吸引ノズル214を通じて作業区域から吸引除去することができる。図3にスラリー流循環路をさらに詳細に示す。希釈システムが使用されて、閉塞の可能性が低下され、吸引および送達ライン内のスラリー密度が制御される。濃度計および流量計が使用されて、スラリー循環路での濃度および速度勾配が絶えず監視される。
【0045】
さらなる実施形態の補助採掘ツール116は軌道付き探査機である。採掘の間に、安定化スパッドの形態を有する可動固定システムが、図7aおよび図7bに示すように、採掘機を確実に制御するために海底表面層に係合し、突き刺さる。図8にさらに示すように、探査機固定または安定化システムの各可動スパッド802は、独立して動力供給されており、凹凸のある地面上で探査機を水平にするという限られた機能を可能にする。スパッドは、地面中に良好に配置されるように、疎性表面の物質にも突き刺さるよう設計されている。軟質の地面では、より大きい面積のシューをスパッドに装着することができる。スパッドはそれぞれブレードの形態であり得る。次にブレードは、スパッドが機能することを可能にし、機械の前方または後方への移動の間に物質を移動させる機能を使用可能にする。
【0046】
ジェットウォーターシステム306が、閉塞時に吸引グリズリ214の閉塞物を除去し、また必要な場合は研削される物質面を撹拌するために設けられる。ジェットシステム306は、目詰まりしたときにカッターヘッド210または無限軌道204を洗浄することができる。ジェットシステムは、スラリーラインの閉塞を防止し、閉塞物を除去することを補助する。
【0047】
補助採掘ツール116は、海底の1つの区域から別の区域へ、2つの方法のうちの一方により移動することができる。補助採掘ツール116は、約600m/時を超える速度で約10度未満の傾斜を有する海底地形上を移動することができる。代替的には、探査機116は、主巻き上げワイヤ402を使用して海底から吊り上げられて、次の採掘地へと誘導されることができる。
【0048】
掘削場における誘導では、強力な軌道アセンブリ204が、操作上の生産能力を最大にするために、探査機116の効率的な再配置を可能にする。このため補助採掘ツール116は、掘削した物質のより効率的な研削およびストックパイルへの移動を可能にする。
【0049】
図9aから図9dは、本発明の別の実施形態による補助カッター900を示しており、該補助カッター900は、研削ツール支持ブーム902と、垂直ジャッキ機能を有する前部スイングアウト安定化脚904と、採掘場移動のための無限軌道906と、後部ソナーアレイ908と、電子制御ポッド910と、後部安定化アンカーブレード912と、主研削ツール914と、ブーム902の下側に搭載されたクラウンカッターストックパイル集鉱システム916と、2つのスラスタ918と、20度の傾斜引き上げのためのリフトポイントおよび取り込みボウル(lifting point and capture bowl)922と、ストックパイルホースインタフェース924と、スラリー移送ポンプ及びモータ926とを備える。
【0050】
図10a及び図10bは、本発明のさらなる実施形態による補助採掘機1000を示しており、該補助採掘機1000は、研削物を筐体の前方へ押して、研削物がツール1000の後方へ通過することを最小に抑えるか回避するためのブレード1010を有する。ブレード1010は、半円状に湾曲しているため、後方研削ヘッドは、図10bに示すように方位角方向に沿って移動されるときに、ブレードから実質的に一定の距離を維持する。この構成によると、図10bに示されるように、研削ヘッドの近傍の吸引入口による集鉱の効率が向上し、散逸した研削物もツールの通路から除去される。
【0051】
本明細書で使用した特定の用語は、本発明を同様に説明する他の用語と同義であることがあり、このため、本発明の権利範囲はこのような用語のどちらかに限定されるものではない。たとえば海底採掘ツールは、海中機と呼ばれることもあり、生産支援船は水上船舶や水上施設などと呼ばれることがあり、鉱石は等価的に、または代替的に、岩、固結堆積物、未固結堆積物、土壌、海底物質などと呼ばれることがあり、ならびに採掘は研削、浚渫または物質除去を含み得る。さらに、上述の特定の値は、上記実施形態における規模を例示しているが、利用環境に合せて他の実施形態で使用され得る値または範囲に対して制限するものではない。
【0052】
広範に記載された本発明の精神または権利から逸脱することなく、具体的な実施形態で示された本発明に多くの変更および修正の少なくとも一方が行われ得ることが当業者にとって認識される。本実施形態は、あらゆる点で例示的なものであり、限定されるものではない。
図1
図2
図5
図6
図7a
図8
図9a
図9b
図9c
図9d
図10a
図10b
図3
図4
図7b