【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、前記目的を果たすために導き出されたものであって、振動トルクが60〜6,000μN.mである領域で下記式1及び式2を満たし、活性化エネルギーが40kJ/mol以上であり、分子量分布(M
w/M
n)が2.4以上であるエチレンと(C3〜C18)のα‐オレフィンコモノマーが重合されるエチレン共重合体を提供する。
[式1]
P≦168.8−97.4×t+32.2×t
2−4.0×t
3
[式2]
P≧204.3−157.7×t+58.0×t
2−7.5×t
3
[前記式1及び式2中、tは振動トルク(μN.m)であり、Pは位相角(゜)である。]
【0009】
以下、本発明をより詳細に説明する。
【0010】
この際、本発明で用いられる技術用語において他の定義がないかぎり、本発明が属する技術分野において通常の知識を有した者が通常理解している意味を有しており、下記の説明で本発明の要旨を不明瞭にする可能性のある公知の機能及び構成に関する説明は省略する。
【0011】
前記式1及び式2は、流動特性(動的剪断粘度)の分析結果に基づきVan‐Gurp Palmen analysisで振動トルクが60〜6,000μN.mである領域において弾性及び高剛性により耐衝撃性に優れたエチレン共重合体の振動トルク(oscillatory torque、t)と位相角(phase angle、P)との関係を数式で表現したものである。
【0012】
Van‐Gurp Palmen anaylsisは、文献[van Gurpなど、Rheology Bulletin,Vol.67,p.5‐8(1998)]に記述されたように、互いに異なる化学的性質を有する高分子を直接比較するための流動学的な分析方法である。Van‐Gurp Palmen analysisは、剪断流れ下で流動特性を分析して振動トルク(oscillatory torque)又は複素弾性係数(complex modulus)による位相角(phase angle)の変化を比較する方法であり、位相角が小さくなるにつれて複素弾性係数も小さくなる傾向を示しており、通常のα‐オレフィン共重合体は、位相角が増加して90゜に近くなるほど複素弾性係数が一定に維持される平坦な(flat)領域を有する。本方法を用いて分子量分布、多分散性(polydispersity)、及び長鎖分岐(long chain branch)の程度などの差を確認することができる。
【0013】
本発明による弾性及び加工性に優れたエチレン共重合体は、このような線形α‐オレフィン共重合体の一般的な傾向性から外れており、弾性が高くて加工性に優れるほど傾向性から外れる程度が増加する。
【0014】
本発明による一実施例は、振動トルクの変化に伴い位相角の変化が比較例と異なる挙動を示し、前記式1及び式2を満たす。
【0015】
前記式1及び式2を満たす本発明のエチレン共重合体は、通常のα‐オレフィン共重合体に対する耐衝撃性及び剛性が低下することなく、加工性及び弾性に優れた特性を有することにより、軽量化及び薄膜化を要求する製品に適用することができる。
【0016】
本発明は、エチレンと(C3〜C18)のα‐オレフィンコモノマーが重合されるエチレン共重合体を提供する。前記(C3〜C18)のα‐オレフィンコモノマーが、プロピレン、1‐ブテン、1‐ペンテン、4‐メチル‐1‐ペンテン、1‐ヘキセン、1‐オクテン、1‐デセン、1‐ドデセンから選択される何れか一つ又は二つ以上の混合物から選択されることができる。前記α‐オレフィンコモノマーを使用することでエチレン単独重合体に流動性を付与するとともに高分子量のエチレン共重合体を製造することができ、耐衝撃性などの機械的性質を向上させる機能を果たす。本発明のエチレン共重合体100重量%に対するα‐オレフィンの含量は1〜40重量%、好ましくは1〜30重量%であり、より好ましくは1〜20重量%を使用することができる。前記α‐オレフィンの含量が1重量%未満である場合には、エチレン重合体の剛性は増加するが耐衝撃性が低下して、耐衝撃性を要求するフィルム、コンパウンド、シート、パイプ、中空成形製品などに対する使用が困難になり、20重量%を超える場合には、エチレン重合体の耐衝撃性は増加するが剛性が低下して、フィルム、コンパウンド、シート、パイプ、中空成形製品などの成形体に単独で適用することが困難になる。
【0017】
また、本発明は、メルトインデックスが0.5〜20g/10minであり、好ましくは0.5〜10g/10minであり、より好ましくは0.5〜5g/10minであるエチレン共重合体を提供する。前記メルトインデックスが0.5g/10min未満である場合には、分子量分布が広くないため多段階反応の利点が発揮されず、20g/10minを超える場合には、低い分子量によって物性低下が生じる。
【0018】
本発明は、活性化エネルギー(Ea)が40kJ/mol以上、好ましくは40〜100kJ/molであるエチレン共重合体を提供する。
【0019】
前記活性化エネルギーが40kJ/mol未満である場合には、気泡性状が不均一になり外観が劣化するという問題がある。従って、気泡性状を高める点において、活性化エネルギーが40kJ/mol以上、好ましくは40〜100kJ/molであることが、加圧発泡成形体の表面をより滑らかにするため好適である。
【0020】
本発明は、分子量分布(M
w/M
n)が2.4以上、好ましくは2.4〜30であるエチレン共重合体を提供する。
【0021】
前記分子量分布指数が2.4未満である場合、単一反応器及びシングルサイト触媒を使用した時と大きく相違しなくなり、密度及び分子量分布の制御効果が無くなって加工性及び物性改善の効果が低下する問題がある。
【0022】
また、本発明は、下記式1及び式2での振動トルク(t)との関係を満たす位相角(P)を有するエチレン共重合体を提供する。
[式1]
P≦168.8−97.4×t+32.2×t
2−4.0×t
3
[式2]
P≧204.3−157.7×t+58.0×t
2−7.5×t
3
[前記式1及び式2中、tは振動トルク(μN.m)であり、Pは位相角(゜)である。]
【0023】
また、本発明は、ヘーズ(Haze)が2〜16であるエチレン共重合体を提供する。前記ヘーズもまたフィルムや成形体に適用する際に製品特性を決定する重要な要素となる。通常のチーグラーナッタ触媒で製造した高剛性のエチレン共重合体は、ヘーズ値が大きく可視光線の透過度が低くて、透明な製品を製造することに困難を伴う。本発明のエチレン共重合体は、ヘーズ値が低く透明性が高くて、高透明及び高剛性を有する耐衝撃性に優れた製品に適用することができる。
【0024】
本発明による前記エチレン共重合体は、揮発分測定による抽出物含量が0%であるか3.0重量%以下であることが好ましく、より好ましくは、抽出物含量が0.1〜2.0重量%であるエチレン共重合体が好適である。前記揮発分測定は、温度上昇溶出分別(Temperature Rising Elution Fractionation)分析法で得られたデータより測定を行うことができ、35℃の温度で10分間溶出して発生する揮発分(Soluble Fraction)のピークの全体結晶化ピークに対する分率で測定することができる。共重合後に抽出されて残留した物質がエチレン共重合体の耐衝撃性を含む物性を低下させる要素になるため、前記エチレン共重合体は、抽出物含量が3.0重量%以下になるように製造することが好ましい。
【0025】
本発明をフィルムに適用する際に、前記の条件を満たすエチレン共重合体が単層に含まれていてもよく、多層フィルムの一層又は多層に含まれていてもよい。
【0026】
また、フィルムの他にも、本発明のエチレン共重合体を適用できる分野であれば何れにも応用することができ、本発明のエチレン共重合体を含む射出製品やこれを応用したコンパウンド、シート(sheet)、パイプ、中空成形製品にも適用することができ、用途はこれに限定されない。
【0027】
以下、本発明のエチレン共重合体の製造方法の例を挙げるが、以下に挙げる製造方法に限定されるものではない。
【0028】
本発明のエチレン共重合体は、(a)密度が0.860〜0.940g/cm
3であり、メルトインデックス(MI)が0.001〜2.0g/10minである1共重合体を製造する段階と、(b)前記(a)段階の第1共重合体を用いて密度が0.910〜0.960g/cm
3であり、メルトインデックス(MI)が0.5〜20g/10minであるエチレン共重合体を製造する段階と、からなる方法により製造される。
【0029】
前記製造方法によって製造された最終のエチレン共重合体の密度が0.910〜0.960g/cm
3、好ましくは0.910〜0.930g/cm
3である。前記密度は、エチレン共重合体の耐衝撃性を含む機械的強度を決定する要素である。前記の密度範囲を有するエチレン共重合体は、耐衝撃性を要するフィルム、コンパウンド、シート、パイプ、中空成形製品などに適用するために有用である。
【0030】
1.触媒組成物
前記(a)及び(b)段階では触媒組成物が用いられ、本発明の触媒組成物は、下記化学式1で表される遷移金属触媒と、化学式2〜化学式4から選択される何れか一つ及び化学式5〜化学式9から選択される何れか一つを含む。
【0031】
下記化学式1は、遷移金属周囲にシクロペンタジエン誘導体及びオルソ‐(ortho‐)位置にアリール誘導体が置換されたアリールオキシド配位子を少なくとも一つ以上含み、配位子相互間架橋されていない第4族遷移金属触媒である。
【0032】
【化1】
【0033】
[前記化学式1中、Mは、周期律表第4族の遷移金属であり、
Cpは、中心金属Mとη5‐結合するシクロペンタジエニル環又はシクロペンタジエニル環を含む縮合環であり、前記シクロペンタジエニル環又はシクロペンタジエニル環を含む縮合環は、(C1‐C20)アルキル、(C6‐C30)アリール、(C2‐C20)アルケニル及び(C6‐C30)アル(C1‐C20)アルキルから選択される一つ以上がさらに置換されていてもよく;
R
1〜R
4は、互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子、(C1‐C20)アルキル、(C3‐C20)シクロアルキル、(C6‐C30)アリール、(C6‐C30)アル(C1‐C10)アルキル、(C1‐C20)アルコキシ、(C3‐C20)アルキルシロキシ、(C6‐C30)アリールシロキシ、(C1‐C20)アルキルアミノ、(C6‐C30)アリールアミノ、(C1‐C20)アルキルチオ、(C6‐C30)アリールチオ又はニトロであるか、前記R
1〜R
4は、隣接した置換体と縮合環を含むか含まない(C3‐C12)アルキレン又は(C3‐C12)アルケニレンで連結されて脂環式環及び単環又は多環の芳香族環を形成していてもよく;
Ar
1は、(C6‐C30)アリール又はN、O及びSから選択される一つ以上を含む(C3‐C30)ヘテロアリールであり;
X
1及びX
2は、互いに独立して、ハロゲン原子、(C1‐C20)アルキル、(C3‐C20)シクロアルキル、(C6‐C30)アル(C1‐C20)アルキル、(C1‐C20)アルコキシ、(C3‐C20)アルキルシロキシ、(C6‐C30)アリールシロキシ、(C1‐C20)アルキルアミノ、(C6‐C30)アリールアミノ、(C1‐C20)アルキルチオ、(C6‐C30)アリールチオ又は
【化2】
であり;
R
11〜R
15は、互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子、(C1‐C20)アルキル、(C3‐C20)シクロアルキル、(C6‐C30)アリール、(C6‐C30)アル(C1‐C10)アルキル、(C1‐C20)アルコキシ、(C3‐C20)アルキルシロキシ、(C6‐C30)アリールシロキシ、(C1‐C20)アルキルアミノ、(C6‐C30)アリールアミノ、(C1‐C20)アルキルチオ、(C6‐C30)アリールチオ又はニトロであるか、前記R
11〜R
15は、隣接した置換体と縮合環を含むか含まない(C3‐C12)アルキレン又は(C3‐C12)アルケニレンで連結されて脂環式環及び単環又は多環の芳香族環を形成していてもよく;
前記R
1〜R
4、R
11〜R
15、X
1及びX
2のアルキル、アリール、シクロアルキル、アルアルキル、アルコキシ、アルキルシロキシ、アリールシロキシ、アルキルアミノ、アリールアミノ、アルキルチオ、アリールチオ;R
1〜R
4又はR
11〜R
15が隣接した置換体とアルキレン又はアルケニレンで連結されて形成された環;及び前記Ar
1のアリール又はヘテロアリールは、ハロゲン原子、(C1‐C20)アルキル、(C3‐C20)シクロアルキル、(C6‐C30)アリール、(C6‐C30)アル(C1‐C10)アルキル、(C1‐C20)アルコキシ、(C3‐C20)アルキルシロキシ、(C6‐C30)アリールシロキシ、(C1‐C20)アルキルアミノ、(C6‐C30)アリールアミノ、(C1‐C20)アルキルチオ、(C6‐C30)アリールチオ、ニトロ及びヒドロキシから選択される一つ以上がさらに置換されていてもよい。]
【0034】
前記触媒組成物は助触媒をさらに含んでいてもよく、前記助触媒としては、ホウ素化合物又はアルミニウム化合物から選択されたもの、又はこれらの混合物が用いられることができる。
【0035】
本発明において助触媒として用いられるホウ素化合物は、米国特許第5,198,401号に開示されているように、下記化学式2、化学式3又は化学式4で表される化合物から選択されることができる。
【0036】
[化学式2]
B(R
31)
3
【0037】
[化学式3]
[R
32]
+[B(R
31)
4]
−
【0038】
[化学式4]
[(R
33)
qZH]
+[B(R
31)4]
−
【0039】
[前記化学式2〜化学式4中、Bは、ホウ素原子;R
31は、フェニル又はフェニルオキシであり、前記フェニル又はフェニルオキシは、フッ素原子、フッ素原子で置換又は非置換の(C1‐C20)アルキル、又はフッ素原子で置換又は非置換の(C1‐C20)アルコキシから選択される3〜5個の置換基でさらに置換されていてもよく;R
32は、(C5‐C7)シクロアルキルラジカル又は(C1‐C20)アルキル(C6‐C20)アリールラジカル、(C6‐C30)アル(C1‐C20)アルキルラジカル、例えばトリフェニルメチルラジカル;Zは、窒素又はリン原子であり;R
33は、(C1‐C20)アルキルラジカル又は窒素原子とともに2個の(C1‐C4)アルキル基で置換されたアニリニウムラジカルであり;qは、2又は3の整数である。]
【0040】
また、中心金属M:ホウ素原子のモル比は、好ましくは1:0.1〜50であり、より好ましくは1:0.5〜15である。
【0041】
本発明で用いられるアルミニウム化合物としては、化学式5又は化学式6から選択されるアルミノキサン化合物、化学式7の有機アルミニウム化合物、化学式8又は化学式9から選択される有機アルミニウムヒドロカルビルオキシド化合物が用いられることができる。
【0042】
[化学式5]
(‐Al(R
41)‐O‐)
m
【0043】
[化学式6]
(R
41)
2Al‐(‐O(R
41)‐)
p‐(R
41)
2
【0044】
[化学式7]
(R
42)
rAl(E)
3−r
【0045】
[化学式8]
(R
43)
2AlOR
44
【0046】
[化学式9]
R
43Al(OR
44)
2
【0047】
[前記化学式5〜化学式9中、R
41、R
42、R
43は、互いに独立して、線形又は非線形の(C1‐C20)アルキルであり、mとpは、5〜20の整数であり;Eは、水素原子又はハロゲン原子であり;rは、1〜3の整数であり; R
44は、(C1‐C20)アルキル又は(C6‐C30)アリールから選択されてもよい。]
【0048】
また、中心金属であるM:アルミニウム原子のモル比は、好ましくは1:1〜1:2,000であり、より好ましくは1:5〜1:1,000である。
【0049】
また、中心金属M:ホウ素原子:アルミニウム原子のモル比は、好ましくは1:0.1〜50:1〜1,000であり、より好ましくは1:0.5〜15:5〜500である。
【0050】
2.溶液重合工程
本発明のエチレン共重合体の重合工程は、少なくとも2段階以上の重合が行われるため、二つ以上の反応器を要する。従って、前記段階は2段階又は3段階の重合段階からなり、広い分子量分布を有する。本発明は、(a)一つ以上の反応器内で前記触媒に提示された化学式1の遷移金属触媒を含む触媒組成物の存在下でエチレン及び一つ以上の(C3〜C18)のα‐オレフィンコモノマーを重合して第1共重合体を製造する段階と、(b)前記(a)段階で製造された第1共重合体を前記(a)段階の触媒組成物と同一の触媒組成物の存在下で、前記(a)段階の反応温度より高い温度で前記エチレン又はエチレン及び一つ以上の(C3〜C18)のα‐オレフィンコモノマーを含有する一つ以上の他の反応器中に通過させることで、エチレン及び(C3〜C18)のα‐オレフィン共重合体組成物を含む高温のエチレン重合体を製造する段階と、を含むエチレン共重合体の製造方法を提供する。
【0051】
また、本発明は、(a)一つ以上の反応器内で前記化学式1の遷移金属触媒を含む触媒組成物の存在下でエチレン及び一つ以上の(C3〜C18)のα‐オレフィンコモノマーを重合させて第1共重合体を製造する段階と、(b)一つ以上の他の反応器内で前記(a)段階の触媒組成物と同一の触媒組成物の存在下で、前記(a)段階の反応温度より高い温度で前記エチレン又はエチレン及び一つ以上の(C3〜C18)のα‐オレフィンコモノマーを反応させて第2共重合体を製造する段階と、(C)前記第1共重合体を前記第2共重合体と混合する段階と、を含むエチレン共重合体の製造方法を提供する。
【0052】
また、本発明は、(a)段階の反応温度が80〜210℃であり、(b)段階の反応温度が90〜220℃であり、各段階における圧力が20〜500気圧であるエチレン共重合体を製造することを特徴とする。
【0053】
(a)段階において、前記触媒又は触媒組成物下で、80〜210℃、より好ましくは80〜150℃の反応温度、及び20〜500気圧、より好ましくは30〜200気圧の圧力で重合が行われる。前記反応温度が80℃未満である場合には、反応物が析出されたりスムーズに分散されず反応が起きないため重合物を生成することが困難であり、210℃を超える場合には、予め設計された分子量を有する重合体を製造できなくなる。また、前記圧力が前記範囲から外れる場合にも、要求される分子量を有する重合体を製造することが困難になる。
【0054】
次に、(b)段階において、前記(a)段階で用いられた同一の触媒又は触媒組成物下で、90〜220℃、より好ましくは120〜200℃、及び前記(a)段階と同一の圧力下で、前記(a)段階で製造された重合体とともに重合が行われる。前記温度が90℃未満である場合には、重合物が析出されることもでき、前記(a)段階と類似した重合体が製造されて多段階重合の効果がなく、220℃を超える場合には、重合体の分子量が低くなりすぎて物性が低下する恐れがある。また、前記圧力である場合にも前記(a)段階と同様になる。
【0055】
一方、本発明は、前記(a)又は(b)段階に投入されるエチレンの量、水素の量、転換率などの工程条件を異ならせて均一な分子量及び密度分布が多峰性となるエチレン共重合体の物性を制御することに注目している。特に、(a)段階における高分子量及び低密度の重合体を予め設計された割合で製造し、分子構造において結束分子(tie molecule)を最適化して引張強度及び衝撃強度などの最終の樹脂物性を改善することに注目しており、(a)段階に次いで(b)段階にも同一の触媒又は触媒組成物を使用して(a)段階より高い温度で重合を行い、(a)段階で製造された重合体と相違する範囲の分子量と密度を有するエチレン共重合体を製造する。本発明の遷移金属触媒の特性上、その結果物が狭い分子量分布及び密度分布を有するしかないが、多段階反応により生産者が所望の広い分子量及び密度分布を有するように制御することができる。
【0056】
前記の多段階反応において、反応器の配列は、直列連結又は並列連結が可能である。
【0057】
図1は本発明の好ましい一実施例による直列反応器の概路図である。
図1を参照すると、本発明の直列反応器は、1段階反応器フィードポンプ11、1段階反応器フィードクーラ12、1段階反応器フィードヒータ13、1段階低温反応器14、1段階低温反応器触媒フィード15、直列2段階高温反応器16、2段階高温反応器触媒フィード17、2段階反応器フィードポンプ18、2段階反応器フィードクーラ19、2段階反応器フィードヒータ20、2段階反応器フィード21及び水素フィード22を含む。
【0058】
従って、本発明の直列反応は、1段階反応器フィードポンプ11を介して触媒以外の反応物を、1段階反応器フィードクーラ12及び1段階反応器フィードヒータ13で構成された温度調節器が装着された1段階低温反応器14に投入し、1段階低温反応器触媒フィード15を介して触媒を投入して2段階より低い温度で(a)段階を進める。前記(a)段階を経た重合物を2段階反応器フィードクーラ19及び2段階反応器フィードヒータ20が装着された直列2段階高温反応器16にすぐ投入し、2段階高温反応器触媒フィード17を介して触媒を添加した後、2段階反応器フィードポンプ18を介して2段階反応器フィード21に反応物及び水素フィード22に水素を注入して、前記(a)段階より高い温度で(b)段階の重合反応を進める。このような直列反応器における反応は、1段階反応におけるエチレン転換率及び触媒活性などを考慮して全体的な反応器システムの設計及び制御が行われなければならない。
【0059】
図2は本発明の好ましい一実施例による並列反応器の概路図である。
図2を参照すると、本発明の並列反応器は、低温反応器フィードポンプ31、高温反応器フィードポンプ32、低温反応器フィードクーラ33、低温反応器フィードヒータ34、高温反応器フィードクーラ35、高温反応器フィードヒータ36、低温反応器37、低温反応器触媒フィード38、高温反応器触媒フィード39、高温反応器40、インラインミキサー41、高温反応器フィード42及び水素フィード43を含む。
【0060】
従って、本発明の並列反応は、低温反応器フィードポンプ31を介して触媒以外の反応物を、低温反応器フィードクーラ33及び低温反応器フィードヒータ34で温度が調節される低温反応器37に投入し、低温反応器触媒フィード38に触媒を添加した後、(a)段階の反応を進める。前記(a)段階とは別に、同時に高温反応器フィードポンプ32を介して触媒以外の反応物を高温反応器フィード42を介して高温反応器フィードクーラ35及び高温反応器フィードヒータ36で温度が調節される高温反応器40に水素フィード43とともに投入し、高温反応器触媒フィード39で触媒を添加した後、前記(a)段階より高い温度で反応を進める。前記低温及び高温の反応物をインラインミキサー41に混合して均質な共重合体を製造する。このような並列反応器における反応には、均一な共重合体物性を有するために各反応器から取り出した溶液を均一に混合するためにインライン混合器が用いられる。均質な共重合体を製造するために、インラインミキサーだけでなく、撹拌槽などの可能な単位操作が用いられることができる。
【0061】
本発明の前記(a)及び(b)段階において、エチレン及び一つ以上の(C3〜C18)のα‐オレフィンコモノマーは、エチレン60〜99重量%及びα‐オレフィンコモノマー1〜40重量%であることが好ましい。前記エチレン含量が60重量%未満である場合には、エチレンの含量が低くてエチレンの特性が発揮されず、物性が低下するようになり、99重量%を超える場合には、共重合体の効果が低くなる。
【0062】
また、前記(a)及び(b)段階において、前記(C3〜C18)のα‐オレフィンコモノマーとしては、プロピレン、1‐ブテン、1‐ペンテン、4‐メチル‐1‐ペンテン、1‐ヘキセン、1‐オクテン、1‐デセン、1‐ドデセンから選択される何れか一つ又は二つ以上の混合物が用いられることができ、このうち、より好ましくは、1‐ブテン、1‐ヘキセン、1‐オクテン、又は1‐デセンが用いられることができる。
【0063】
また、前記(a)及び(b)段階において、重合に用いられる好ましい有機溶媒は、(C3〜C20)の炭化水素であり、その具体的な例としては、ブタン、イソブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、ノナン、デカン、ドデカン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどが挙げられる。
【0064】
本発明の製造方法により製造されたエチレン共重合体は、(a)段階で製造された重合体10〜70重量%及び(b)段階で製造された重合体30〜90重量%を含有し、前記(a)段階で製造された重合体は、MIが0.001〜2.0g/10minであり、密度が0.860〜0.940g/cm
3であり、前記(b)段階で製造された重合体は、MIが0.5〜20.0g/10minであり、密度が0.910〜0.960g/cm
3であるエチレン共重合体であることを特徴とする。
【0065】
先ず、前記(a)段階で製造された重合体は、10〜70重量%、より好ましくは20〜60重量%含有されるが、前記(a)段階で製造された重合体の含量が10重量%未満である場合には、衝撃強度改善の影響がなく、70重量%を超える場合には、フィルムに加工されると透明度が著しく低下して加工時に高いエネルギーを要し、生産性が低下する。
【0066】
また、(a)段階で製造された重合体の分子量は、ASTM D2839に基づくMI(メルトインデックス、Melt Index)測定法を用いてMIが0.001〜2.0g/10minであり、より好ましくは0.003〜1.0g/10minである。前記(a)段階で製造された重合体のMIが0.001g/10min未満である場合には、重合体が硬くなりすぎて加工性が低下する恐れがあり、2.0g/10minを超える場合には、引張強度、衝撃強度などの全体物性において明らかな改善が現れない。また、(a)段階で生成される重合体の密度は、0.860〜0.940g/cm
3であり、より好ましくは0.880〜0.915g/cm
3である。前記密度が0.860g/cm
3未満である場合には、フィルムに製造する際に物性が低下しすぎる恐れがあり、0.940g/cm
3を超える場合には、フィルムが硬くなりすぎる。前記(a)段階で製造される重合体は、低い領域の密度範囲を有する樹脂が重合されるが、これは、高分子鎖のうち不均一な共重合体分布を有するチーグラーナッタ触媒とは異なり、本発明のシングルサイトを有する遷移金属触媒を用いて高分子鎖のうち均一な共重合単量体分布を有する樹脂を合成して最終に製造される樹脂の物性を改善するためである。
【0067】
一方、前記(b)段階で製造された重合体は、30〜90重量%、より好ましくは40〜80重量%含有されるが、前記(b)段階で製造された重合体の含量が30重量%未満である場合には、前記(a)段階で製造された高分子量及び低密度のエチレン共重合体によって最終樹脂の加工性及びフィルムの透明度が低下し、90重量%を超える場合には、高い物性を提供する(a)段階で製造された重合体の含量が低くなり、樹脂の耐環境性が低下し、衝撃強度及び引張強度などの物性が低下する。
【0068】
また、(b)段階で製造された重合体の分子量は、ASTM D2839に基づくMI(メルトインデックス、Melt Index)測定法を用いてMIが0.5〜20.0g/10minであり、より好ましくは0.5〜10.0g/10minである。前記(b)段階で製造された重合体のMIが0.5g/10min未満である場合には、前記(a)段階で製造された重合体と分子量範囲が重複して分子量分布が広くないため多段階反応の利点が発揮されず、20g/10minを超える場合には、低い分子量によって物性が低下する。
【0069】
また、(b)段階で生成される重合体の密度は0.910〜0.960g/cm
3であることが好ましい。前記密度が0.910g/cm
3未満である場合には、前記(a)段階で製造された重合体の密度範囲に含まれて段階別重合を行う効果が無くなり、0.960g/cm
3を超える場合には、フィルムなどの用途として使用する際に硬くなりすぎる問題点がある。従って、前記(a)段階で製造された重合体と前記(b)段階で製造された重合体の密度範囲を調整して、樹脂の物性を最適化することができる密度範囲を決定する。
【0070】
その他、本発明の方法により製造されたエチレン共重合体は、密度が0.910〜0.940g/cm
3である線形低密度ポリエチレン共重合体(LLDPE)と、密度が0.910g/cm
3〜0.920g/cm
3以下である超低密度エチレン共重合体(VLDPE又はULDPE)と、を含む。
【0071】
前記の製造方法によって製造されたエチレン共重合体は、分子量分布指数(M
w/M
n)が2.4以上であり、好ましくは2.4〜30であることを特徴とする。
【0072】
本発明のエチレン共重合体は、通常のシングルサイト触媒によるエチレン共重合体の特徴である狭い分子量分布ではなく、前記多段階反応工程を用いて加工性を改善することができる二つの以上の分子量分布を有する広い分子量分布を有するように考案された。
【0073】
従って、本発明の工程及び触媒を用いて製造されるエチレン共重合体の分子量分布指数(質量平均分子量を数平均分子量で分けた値)が2.4以上、好ましくは2.4〜30になるように制御することで加工性及び物性を同時に向上させることができる。
【0074】
従って、前記(a)及び(b)段階を経て製造されたエチレン共重合体は、分子量分布指数が2.4〜30であるエチレン共重合体であることが好ましい。前記分子量分布指数が2.4未満である場合には、単一反応器及びシングルサイト触媒を使用した時と大きく相違しなくなり、密度及び分子量分布の制御効果が無くなって加工性及び物性改善の効果が低下する問題点がある。
【0075】
本発明において、前記(a)及び(b)段階に投入されるエチル、(C3〜C18)のα‐オレフィンコモノマーは、反応器に投入される前に溶媒に溶解させる工程を経るが、溶媒と混合して溶解させる前にエチレン、コモノマー及び溶媒に精製工程を施して潜在的に触媒毒になり得る水分、酸素、一酸化炭素及びその他の金属不純物を除去する。このような精製工程に用いられる物質としては、該当分野において公知の分子体や活性化アルミニウム、又はシリカゲルなどが挙げられる。
【0076】
また、前記(a)及び(b)段階に投入される原料は、投入される前に熱交換工程を経て冷却又は加熱され、これにより反応器内の温度を制御する。従って、反応器の温度は、反応器壁を介する熱交換のない断熱(adiabatic)反応器工程及び反応熱の制御により反応器に流入される溶媒と単量体流れ温度を変化させることで制御される。
【0077】
本発明では、前記(b)段階以降の段階において、エチレン及びコモノマー、触媒、溶媒などをさらに供給することができ、これもまた熱交換工程を経て予め設計された温度により制御される。通常、触媒は、各段階に投入する際に他の原料とは独立して供給され、この際、溶媒と予め混合又は溶解して準備することが好ましい。
【0078】
ここで、段階別の分子量及び密度の測定は、2以上の多段階反応を経て重合体が合成される場合、(b)段階又はそれ以上の段階で製造される重合体の物性については(a)段階後に樹脂を採取して分析を行い、(b)段階後に最終生産された重合体を分析して各段階別に重合体の密度及び分子量などを計算することで行うことができる。
【0079】
また、物性測定については、(a)及び(b)段階の各段階別に同一の反応温度及び圧力、溶媒、反応物、触媒及び反応時間などの同一の重合条件で各段階において単一反応器で反応を行って生成される高分子を用いてその物性を類推したり、文献(B.Hagsroem Conference on Polymer Processing、1977)に開示されているように、多段階の反応において各段階に該当する部分を計算して分析することができる。
【0080】
一方、前記(a)及び(b)段階での滞留時間は、各段階での設計容積と1時間当たり生産量によって決定される。前記(a)及び(b)段階において適切な撹拌を行って物質が均一になるように運転条件を維持させ、最終的に製造されたエチレン重合体又はエチレン共重合体を適切な溶媒除去工程を経て回収する。
【0081】
従って、(a)及び(b)段階、又は(a)〜(c)段階を経て製造されたエチレン共重合体を用いて単層フィルム、多層フィルム、コンパウンド製品、シート製品、パイプ又は中空成形製品などの射出製品として用いられるエチレン共重合体成形物が得られる。
【0082】
特に、前記フィルム用としては、インフレーションフィルム、キャスティングフィルムに成形して単層又は多層に形成された包装用フィルムが製造されることができ、収縮フィルム、重包装フィルム、冷凍包装フィルム、自動包装フィルム、ストレッチラップ、バック(bag)などの用途に適用されることができる。