【文献】
松本 昭彦,データウェアハウスの悪評をフッ飛ばす−協和発酵、会心の営業支援システム−、会心の営業支援システム− 公開情報を機密情報に変える協和発酵の情報錬金術,ネットワークコンピューティング,日本,株式会社リックテレコム,1999年 3月 1日,第11巻第3号,P.16〜31
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
添付の図面を参照して本発明の実施形態について以下に説明する。様々な実施形態を通じて同様の要素には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する。また、各実施形態は適宜変更、組み合わせが可能である。
【0009】
図1を参照して、本発明の一部の実施形態に係る医薬品販路及び売上データ処理装置160について説明する。販売会社110(例えば、製薬メーカなど)は卸売業者120に医薬品を販売する。卸売業者120は、複数の販売会社110から仕入れた医薬品を複数の医療施設に販売する。
図1の例では、医療施設として、診療施設130、薬局140及びその他の医療施設150を含む。診療施設130とは医師が診療行為を行う医療施設のことであり、例えば病院、診療所などを含む。薬局140とは医薬品を最終消費者に販売する医療施設であり、例えば調剤薬局、ドラッグストアなどを含む。その他の医療施設150とは診療施設130及び薬局140以外に卸売業者120から医薬品を購入する医療施設であり、例えば歯科医院、動物病院、介護老人保健施設などを含む。本明細書における医療施設は、医療法で規定される医療提供施設とは一致しなくてもよい。
【0010】
卸売業者120は各医療施設に販売した医薬品に関する売上データを作成する。売上データ処理装置160は卸売業者120から売上データを取得し、この売上データを用いて統計データを作成する。売上データは例えば所定の期間(日次、月次又は年次)の売上の合計である。作成された統計データは例えば販売会社110へ提供される。売上データ及び統計データの詳細は後述する。
【0011】
図1では卸売業者120を1つだけ記載しているが、複数の卸売業者が医薬品販売を仲介してもよく、この場合に売上データ処理装置160は複数の卸売業者のそれぞれから売上データを取得してもよい。また、卸売業者120を介さずに販売会社110が医薬品を医療施設に販売する販路もありうるが、本実施形態ではこのような販路を考慮しない。
【0012】
続いて、
図2を参照して、
図1の売上データ処理装置160の構成例について説明する。売上データ処理装置160は、例えばサーバなどの情報処理装置で実現されうる。売上データ処理装置160は、単体の装置で実現されてもよいし、ネットワークを介して相互に接続された複数の装置で実現されてもよい。売上データ処理装置160は
図2に示す構成要素を備えうる。CPU201は売上データ処理装置160全体の動作を制御する。メモリ202は売上データ処理装置160の動作に用いられるプログラムや一時データなどを記憶する。メモリ202は例えばROMやRAMなどにより実現される。入出力部203は、売上データ処理装置160のユーザが売上データ処理装置160を操作するための機能を提供し、例えばマウスやキーボードなどの入力装置と、ディスプレイなどの出力装置で実現される。通信部204は、売上データ処理装置160が外部の装置と通信する機能を提供し、例えばネットワークカードなどで実現される。外部の装置との通信は有線であってもよいし、無線であってもよい。
【0013】
売上データ取得部205、点薬局情報反映部206、ブリック集約部207、統計データ出力部208及び統計データ加工部209は、売上データを取得して統計データを提供するための機能を提供する。これらの構成要素の動作については後述する。これらの構成要素の一部又は全部は、電子回路のようなハードウェアで実現されてもよいし、プログラムのようなソフトウェアで実現されてもよい。ソフトウェアで構成される場合に、これらの構成要素の機能を規定するプログラムがメモリ202に読み出され、このプログラムに従ってCPU201が動作することによって処理が行われる。
【0014】
記憶部210は各種のデータを格納する機能を提供し、例えば磁気ディスク装置などで実現される。記憶部210は、医薬品マスタファイル211、施設マスタファイル212及び点薬局定義ファイル213を格納する。これらのファイルは売上データ処理装置160のユーザによって作成又は取得され、記憶部210に格納される。
図3を参照してこれらのファイルの一例について説明する。
【0015】
医薬品マスタファイル211は、卸売業者120が各医療施設に販売する医薬品に関するデータを格納するためのファイルである。医薬品マスタファイル211は、
図3に示す項目を有しうる。医薬品コード311は、医薬品ごとに割り当てられた識別情報を示す。医薬品名称312は、医薬品の名称を示す。販売会社コード313は、販売会社110ごとに割り当てられた識別情報を示す。販売会社名称314は、販売会社110の名称を示す。包装価格315は、販売会社110が医薬品に設定した1包装当たりの価格を示す。一部の実施形態では、同一の医薬品とは、効能、有効成分量、包装形態が同一の医薬品のことである。そのため、同一の医薬品(すなわち、同一の医薬品コードを有する医薬品)が複数の販売会社110から販売される場合がある。医薬品マスタファイル211には、医薬品コード311と販売会社コード313との組ごとにエントリが作成される。
【0016】
施設マスタファイル212は、卸売業者120が医薬品を販売する医療施設に関するデータを格納するためのファイルである。施設マスタファイル212は、
図3に示す項目を有しうる。医療施設コード311は、医療施設ごとに割り当てられた識別情報を示す。ブリックコード322は、医療施設を含むブリック(詳細は後述する)に割り当てられた識別情報を示す。ブリック名称323は、医療施設を含むブリックの名称を示す。医療施設名称324は、医療施設の名称を示す。医療施設住所325は、医療施設の住所を示す。医療施設区分326は、医療施設のタイプを示す。施設マスタファイル212には、施設コード321ごとにエントリが作成される。
【0017】
医療施設が閾値以上の病床数を有する診療施設130である場合に、この医療施設は「HP」に分類される。以下、このような医療施設をHP施設と呼ぶ。医療施設が閾値未満の病床数を有する診療施設130である場合に、この医療施設は「GP」に分類される。以下、このような医療施設をGP施設と呼ぶ。医療施設が薬局140である場合に、この医療施設は「PH」に分類される。以下、このような医療施設をPH施設と呼ぶ。医療施設がその他の医療施設150である場合に、この医療施設は「OT」に分類される。以下、このような医療施設をOH施設と呼ぶ。HP施設とGP施設とを区別するための病床数の閾値は、例えば200床であってもよいし、100床であってもよいし、20床であってもよい。
【0018】
ブリックとは、施設マスタファイル212に登録された医療施設のうちの1つ以上の医療施設で構成される集合(グループ)を指す。施設マスタファイル212に登録された医療施設のそれぞれは何れかのブリックに属しており、各ブリックは1つ以上の医療施設を含む。売上データ処理装置160のユーザは、任意にブリックを定義することが可能である。例えば、特定の地理的エリア(例えば、市町村等の行政区分)内に位置する医療施設によって1つのブリックが構築される。
【0019】
一部の実施形態では、HP施設については単独でブリックを構成し、GP施設については複数の施設でブリックを構成するようにブリックが定義される。すなわち、あるGP施設は、他のGP施設とともにブリックを構成する。以下、1つのHP施設だけで構成されるブリックをHPブリックと呼び、複数のGP施設で構成されるブリックをGPブリックと呼ぶ。PH施設やOT施設については、例えば複数の施設でブリックを構成する。
【0020】
販売会社110に提供される統計データは、販売会社110の営業担当者(MR)がどの医療施設に対して営業活動を行うかの方針を立てるために利用されうる。そのため、規模の小さな医療施設(上述のGP施設)について、施設ごとの売上データが販売会社110に提供されると、個別の医療施設に営業担当者が集中的に営業活動を行う結果になり、GP施設の業務に影響が出る可能性がある。そこで、後述するように、GP施設についてはブリックごとに売上データを集約した統計データを販売会社110に提供することによって、個々のGP施設を匿名化でき、営業活動の集中を回避できる。一方、規模の大きな医療施設(上述のHP施設)については、営業担当者が重点的に営業活動を行ったとしても対応が可能であると考えられるので、HP施設ごとに売上データを提供する。匿名性を向上するために、1つのブロックに閾値以上のGP施設を含むようにブリックが定義されてもよい。例えば、各GPブリックが5施設の施設を含むようにブリックが定義されてもよい。
【0021】
点薬局定義ファイル213は、点薬局に関する定義を格納するためのファイルである。点薬局とは、1つ以上の特定の診療施設に関連付けられた薬局のことである。日本では医薬分業制度が採用されており、最終消費者(患者)に提供される医薬品(種類とその販売会社)は診療施設130の医師によって決定され、決定された医薬品を薬局140が販売する。従って、販売会社110の営業担当者の活動によって診療施設130の医師がその会社の医薬品を採用することを決定したとしても、実際に販売された医薬品の売上はこの診療施設130の売上データには反映されず、この医師の処方箋に基づいて医薬品を販売した薬局140の売上データに反映される。そのため、販売会社110は、診療施設130の売上データからでは販売会社110の営業担当者の活動の成果を十分に評価できない。
【0022】
ここで、例えば、ある薬局に隣接して診療施設が位置する場合を考える。この診療施設で処方箋が発行された患者の多くは、この薬局で医薬品を購入する。そのため、この薬局での医薬品の売上は、隣接する診療施設への営業活動の成果であると考えられる。そこで、この薬局の売上を隣接する診療施設の売上とみなして統計データを作成することによって、販売会社110は営業活動の成果を正確に反映できる。以下、このような薬局を点薬局と呼び、点薬局に関連付けられた診療施設を関連診療施設と呼ぶ。
【0023】
点薬局定義ファイル213は、
図3に示す項目を有しうる。計上元施設コード331は、売上の計上元の医療施設、すなわち点薬局に割り当てられた識別情報を示す。計上先施設コード332は、売上の計上先の医療施設、すなわち関連診療施設に割り当てられた識別情報を示す。計上比率333は、点薬局の売上を関連診療施設に計上する際に用いられる比率を示す。1つの点薬局が複数の診療施設に関連する場合に各診療施設に対して比率が設定される。この比率の合計は100%であってもよいし、100%でなくてもよい。計上元施設コード331及び計上先施設コード332は、施設マスタファイル212の施設コード321と同じコード体系を有する。点薬局定義ファイル213には、計上元施設コード331と計上先施設コード332との組ごとにエントリが作成される。各エントリは1つの点薬局定義を規定する。
【0024】
続いて、
図4を参照して、
図1の売上データ処理装置160の動作例について説明する。この動作を開始する前に、記憶部210には
図3に示した各ファイルが格納されているとする。
【0025】
ステップS401で、売上データ取得部205は、売上データを取得する。例えば、売上データ取得部205は、卸売業者120の有する情報処理装置からネットワークを通じて売上データを受信してもよい。または、売上データ処理装置160のユーザが卸売業者から売上データを格納した記憶媒体(例えば、CDやDVD)を受け取り、売上データ取得部205が読取ドライブを用いてこの記憶媒体から売上データを読み出してもよい。さらに、売上データ処理装置160のユーザが卸売業者から売上データを印刷した紙を受け取り、売上データ取得部205がスキャナを用いてこの記憶媒体から売上データを読み出してもよい。
【0026】
図5を参照して売上データの一例について説明する。売上データ取得部205は、取得した売上データを売上データファイル500として例えばメモリ202又は記憶部210に格納する。売上データファイル500は、
図5に示す項目を有しうる。医薬品コード501は、卸売業者120が販売した医薬品に割り当てられた識別情報を示す。販売会社コード502は、卸売業者120が販売した医薬品の販売会社110に割り当てられた識別情報を示す。施設コード503は、卸売業者120が医薬品を販売した医療施設に割り当てられた識別情報を示す。売上個数504は、卸売業者120が医療施設に販売した医薬品の個数を示す。医薬品コード501、販売会社コード502及び施設コード503はそれぞれ、医薬品マスタファイル211の医薬品コード311、医薬品マスタファイル211の販売会社コード313及び施設マスタファイル212の施設コード321と同じコード体系を有する。卸売業者120が売上データ処理装置160とは異なるコード体系で売上データを作成する場合に、売上データ取得部205は、コード体系の変換を行って、医薬品マスタファイル211及び施設マスタファイル212のコード体系に一致させる。売上データファイル500では、医薬品コード501と販売会社コード502と施設コード503との組ごとにエントリが作成される。売上データ処理装置160が複数の卸売業者120から売上データを取得する場合に、売上データ取得部205は、複数の卸売業者120からの売上データを1つの売上データファイル500に統合する。上記の例では売上データは売上個数504を含んでいるが、代わりに売上金額を含んでもよい。一般に、売上個数504の項目は、医薬品の売上を示すデータ(売上データ)であれば、どのような情報であってもよい。
【0027】
再び
図4を参照して、ステップS402で、点薬局情報反映部206は、記憶部210に格納されている点薬局定義ファイル213の点薬局定義を売上データファイル500に適用して、
図6に示される中間ファイル600を作成し、例えばメモリ202又は記憶部210に格納する。中間ファイル600は売上データファイル500と同じ項目を有している。ただし、中間ファイル600の売上個数504は点薬局に関する情報が適用された後の売上個数を示す。
【0028】
ここで、
図7を参照して、点薬局情報反映部206が売上データファイル500から中間ファイル600を作成するための処理の詳細な手順を説明する。
【0029】
ステップS701で、点薬局情報反映部206は、記憶部210に格納されている点薬局定義ファイル213からエントリ(点薬局定義)を1つ読み出す。例えば、点薬局情報反映部206はエントリ334(
図3)を読み出す。このエントリ334は、施設コード「F1」の医療施設の売上の75%を施設コード「F2」の医療施設の売上に加算することを規定する。
【0030】
続いて、ステップS702で、点薬局情報反映部206は、売上データファイル500のうち、施設コード503が「F1」であるエントリを特定する。
図5の例では、点薬局情報反映部206は、このようなエントリとしてエントリ505、507を特定する。これらのエントリが計上元売上データに対応する。
【0031】
続いて、ステップS703で、点薬局情報反映部206は、ステップS702で特定されたエントリ(計上元売上データ)のそれぞれについて、点薬局定義で規定された計上先売上データを特定する。計上先売上データとは、計上元売上データと同じ医薬品コード501及び同じ販売会社コード502を有し、かつ点薬局定義で規定された計上先施設コード332と同じ施設コード503を有するエントリで表される売上データのことである。例えば、売上データファイル500のエントリ506は、エントリ505(計上元売上データ)と同じ医薬品コード501「D1」及び同じ販売会社コード502「M1」を有し、かつエントリ334(点薬局定義)の計上先施設コード332「F2」と同じ施設コード503を有する。従って、エントリ506は、エントリ505の計上元売上データに対応する計上先売上データを表す。
【0032】
一方、エントリ507が表す計上元売上データに対応するエントリ、すなわち、医薬品コード501が「D1」であり、販売会社コード502が「M2」であり、施設コード503が「F2」であるエントリは、売上データファイル500に存在しない。そこで、点薬局情報反映部206は、医薬品コード501が「D1」であり、販売会社コード502が「M2」であり、施設コード503が「F2」であり、売上個数504が「0」であるエントリを新たに作成し、売上データファイル500に挿入する。
【0033】
続いて、ステップS704で、点薬局情報反映部206は、計上元売上データの売上個数504に点薬局定義の計上比率333を乗じた値を、計上先売上データの売上個数に加算する。例えば、計上元売上データを表すエントリ505の売上個数504「100」に、点薬局定義を表すエントリ334の計上比率333「75%」を乗じた値「75」を、対応する計上先売上データを表すエントリ506の売上個数504「20」に加算することによって、中間ファイル600のエントリ601が生成される。同様に、計上元売上データを表すエントリ507の売上個数504「80」に、点薬局定義を表すエントリ334の計上比率333「75%」を乗じた値「75」を、新たに作成された対応する計上先売上データを表すエントリの売上個数504「0」に加算することによって、中間ファイル600のエントリ602が生成される。計上元売上データを表すエントリの売上個数504は、計上先売上データに加算された分の売上個数を減算してもよいし、元の値が維持されてもよい。
【0034】
続いて、ステップS705で、点薬局情報反映部206は、点薬局定義ファイル213のすべてのエントリの処理が終了したかを判定する。すべてのエントリの処理が終了している場合(S705で「YES」)に、点薬局情報反映部206は動作を終了する。まだ処理していないエントリが存在する場合(S705で「NO」)に、点薬局情報反映部206はステップS701に処理を戻し、点薬局定義ファイル213から新たなエントリを読み出して上述の処理を繰り返す。
図7のフローチャートで示された動作を行うことによって、中間ファイル600が生成される。
【0035】
再び
図4を参照して、ステップS403で、ブリック集約部207は、ブリックごとに売上データを集約する。まず、ブリック集約部207は、中間ファイル600にブリックコードを表す項目を追加して、
図8に示される中間ファイル800を生成し、例えばメモリ202又は記憶部210に格納する。ブリック集約部207は、記憶部210に格納されている施設マスタファイル212を参照して、中間ファイル800の各エントリのブリックコード805の値を追加する。例えば、施設マスタファイル212によれば、施設コード321「F1」とブリックコード322「B1」とが対応しているので、中間ファイル800のうち、施設コード503が「F1」であるエントリ806、807のブリックコード805は「B1」となる。
【0036】
続いて、ブリック集約部207は、中間ファイル800から
図9に示される統計データファイル900を作成し、例えばメモリ202や記憶部210に格納する。ブリック集約部207は、中間ファイル800のエントリの医薬品コード501、販売会社コード502及びブリックコード805の組ごとに、統計データファイル900のエントリを作成する。そして、ブリック集約部207は、統計データファイル900のエントリごとに、中間ファイル800の対応するエントリの施設コード503を読み出し、施設コード904に追加する。すなわち、施設コード904は、各ブリックに含まれる医療施設のうち、売上個数が正の値の医療施設を示す。また、ブリック集約部207は、統計データファイル900のエントリごとに、中間ファイル800の対応するエントリの売上個数504の値を合計し、総売上個数905に追加する。すなわち、総売上個数905は、各ブリックに含まれる1つ以上の医療施設(HPブリックの場合は1つの医療施設、GPブリックの場合は複数の医療施設)に販売された医薬品の売上個数の合計を示す。さらに、ブリック集約部207は、統計データファイル900のエントリごとに、中間ファイル800の対応するエントリの個数を納入軒数906に追加する。すなわち、納入軒数906は、各ブリックに含まれる医療施設のうち、売上個数が正の値の医療施設の軒数を示す。
【0037】
以上の処理によって、統計データファイル900が作成される。統計データファイル900を参照することによって、各販売会社が販売した各医薬品コードが各ブリックにおいて何軒の医療施設に対して何個販売されたかを知ることができる。さらに、各ブリックにおいて医薬品が販売された医療施設を知ることもできる。
【0038】
続いて、ステップS404で、統計データ出力部208は、統計データファイル900を出力する。例えば、統計データ出力部208は、ネットワークを通じて統計データファイル900を販売会社110へ送信する。または、統計データ出力部208は、書込みドライブを用いて記憶媒体(CDやDVD)に統計データファイル900を記録する。
【0039】
統計データ出力部208は、統計データファイル900を出力する代わりに、統計データ加工部209が、統計データファイル900を加工して
図10に示される統計データファイル1000を出力してもよい。統計データファイル1000は、
図10に示す項目を有する。医薬品名称1001は、医薬品の名称を示す。ブリック名称1002は、ブリックの名称を示す。総売上金額1003は、同一の医薬品について、各ブリックにおいて1以上の販売会社110から販売された医薬品の売上金額の合計値を示す。総納入軒数1004は、同一の医薬品について、各ブリックにおいて1以上の販売会社110から販売された医薬品が販売された医療施設の軒数を示す。A薬品売上金額1005は、販売会社110の1つであるA薬品から販売された各医薬品が各ブリックで販売された売上金額の合計値を示す。A薬品納入軒数1006は、販売会社110の1つであるA薬品から販売された各医薬品が各ブリックで販売された医療施設の軒数を示す。B製薬売上金額1007及びB製薬納入軒数1008は、A薬品売上金額1005及びA薬品納入軒数1006はと同様の情報をB製薬について示す。
【0040】
統計データ加工部209は、統計データファイル900のエントリの医薬品コード501及びブリックコード805の組ごとに、統計データファイル1000のエントリを作成する。そして、統計データ加工部209は、統計データファイル1000のエントリごとに、統計データファイル900のうち販売会社コード502が「M1」(A薬品に対応)のエントリの総売上個数905に包装価格315を乗算して得られた値をA薬品売上金額1005に追加する。同様に、統計データ加工部209は、このエントリの納入軒数906の値をA薬品納入軒数1006に追加する。統計データ加工部209は、他の販売会社についても同様の処理を繰り返し、得られた値を統計データファイル1000の対応する項目に追加する。その後、統計データ加工部209は、各エントリの各販売会社の売上金額を合計して、総売上金額1003に追加する。また、統計データ加工部209は、統計データファイル1000のエントリに対応する統計データファイル900の1つ以上のエントリの施設コード904の和集合を取り、その要素数を総納入軒数1004に追加する。その後、統計データ加工部209は、医薬品コードを医薬品マスタファイル211の医薬品名称312に置き換えて医薬品名称1001に追加し、ブリックコードを施設マスタファイル212のブリック名称323に置き換えてブリック名称1002に追加する。これにより、統計データファイル1000が生成される。
【0041】
上述の実施形態で生成される統計データファイル900では、HPブリック(例えば、ブリックコードが「B4」のブリック)では、単独の医療施設(例えば、施設コードが「F5」の施設)について売上個数が提示され、GPブリック(例えば、ブリックコードが「B2」のブリック)では、複数の医療施設(例えば、施設コードが「F2」、「F3」、「F6」、…の施設)について合計された売上個数が提示される。さらに、この統計データファイル900では、点薬局定義を反映した売上データが提示される。統計データファイル1000についても同様の内容が提示される。
本発明の一部の実施形態についてまとめると、以下のとおりである。
[項目1]
医薬品の売上データから統計データを作成する情報処理装置であって、
第1タイプの医療施設、第2タイプの医療施設及び第3タイプの医療施設を含む複数の医療施設のそれぞれに販売された医薬品の売上データを取得する取得手段と、
2つ以上の前記第2タイプの医療施設を含むグループの定義を格納するグループ格納手段と、
前記第3タイプの医療施設と、前記第1タイプの医療施設又は前記第2タイプの医療施設とのペアの定義を格納するペア格納手段と、
前記第3タイプの医療施設に対する医薬品の売上データに基づいて、当該第3タイプの医療施設と前記ペアを構成する医療施設に対する当該医薬品の売上データを増加する増加手段と、
前記第1タイプの医療施設については医療施設ごとの売上データを示し、前記第2タイプの医療施設については前記グループごとに合計された売上データを示す統計データを生成する生成手段とを備えることを特徴とする情報処理装置。
[項目2]
前記医薬品と1つ以上の販売会社とを関連付ける情報を格納する手段を更に備え、
前記取得手段は、1つの医薬品について前記販売会社ごとに前記医薬品の売上データを取得し、
前記増加手段は、1つの医薬品について当該医薬品に関連付けられた販売会社ごとに前記ペアを構成する医療施設に対する売上データを増加し、
前記生成手段は、1つの医薬品について当該医薬品に関連付けられた販売会社ごとに前記統計データを作成することを特徴とする項目1に記載の情報処理装置。
[項目3]
前記ペア格納手段は、前記ペアに関連付けられた比率を更に格納し、
前記増加手段は、前記第3タイプの医療施設に対する売上データと、当該第3タイプの医療施設を含むペアに関連付けられた前記比率とに基づいて、当該第3タイプの医療施設と前記ペアを構成する医療施設に対する当該医薬品の売上データを増加することを特徴とする項目1又は2に記載の情報処理装置。
[項目4]
前記第1タイプの医療施設は、病床数が閾値以上の診療施設を含み、
前記第2タイプの医療施設は、病床数が前記閾値未満の診療施設を含み、
前記第3タイプの医療施設は、薬局を含むことを特徴とする項目1乃至3の何れか1項に記載の情報処理装置。
[項目5]
コンピュータを、項目1乃至4の何れか1項に記載された情報処理装置の各手段として機能させるためのプログラム。
[項目6]
医薬品の売上データから統計データを作成する情報処理方法であって、
第1タイプの医療施設、第2タイプの医療施設及び第3タイプの医療施設を含む複数の医療施設のそれぞれに販売された医薬品の売上データを取得する工程と、
2つ以上の前記第2タイプの医療施設を含むグループの定義を格納するグループ格納手段から前記グループの定義を読み出す工程と、
前記第3タイプの医療施設と、前記第1タイプの医療施設又は前記第2タイプの医療施設とのペアの定義を格納するペア格納手段から前記ペアの定義を読み出す工程と、
前記第3タイプの医療施設に対する医薬品の売上データに基づいて、当該第3タイプの医療施設と前記ペアを構成する医療施設に対する当該医薬品の売上データを増加する工程と、
前記第1タイプの医療施設については医療施設ごとの売上データを示し、前記第2タイプの医療施設については前記グループごとに合計された売上データを示す統計データを生成する工程とを有することを特徴とする情報処理方法。