(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5890469
(24)【登録日】2016年2月26日
(45)【発行日】2016年3月22日
(54)【発明の名称】高病原性ブタ繁殖・呼吸障害症候群(HPPRRS)のワクチン
(51)【国際特許分類】
A61K 39/12 20060101AFI20160308BHJP
C12N 7/04 20060101ALN20160308BHJP
【FI】
A61K39/12ZNA
!C12N7/04
【請求項の数】3
【外国語出願】
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2014-114697(P2014-114697)
(22)【出願日】2014年6月3日
(62)【分割の表示】特願2011-525125(P2011-525125)の分割
【原出願日】2009年8月24日
(65)【公開番号】特開2014-193902(P2014-193902A)
(43)【公開日】2014年10月9日
【審査請求日】2014年7月3日
(31)【優先権主張番号】61/091,614
(32)【優先日】2008年8月25日
(33)【優先権主張国】US
【微生物の受託番号】ATCC VR 2332
(73)【特許権者】
【識別番号】503345374
【氏名又は名称】ベーリンガー インゲルハイム フェトメディカ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】特許業務法人 津国
(74)【代理人】
【識別番号】100078662
【弁理士】
【氏名又は名称】津国 肇
(74)【代理人】
【識別番号】100116528
【弁理士】
【氏名又は名称】三宅 俊男
(74)【代理人】
【識別番号】100146031
【弁理士】
【氏名又は名称】柴田 明夫
(74)【代理人】
【識別番号】100122736
【弁理士】
【氏名又は名称】小國 泰弘
(74)【代理人】
【識別番号】100122747
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 洋子
(74)【代理人】
【識別番号】100132540
【弁理士】
【氏名又は名称】生川 芳徳
(72)【発明者】
【氏名】ルーフ,マイケル・ビー
(72)【発明者】
【氏名】ヴォーン,エリック
【審査官】
上條 のぶよ
(56)【参考文献】
【文献】
特表平11−505248(JP,A)
【文献】
Vaccine,2007年,Vol.25, No.22,p.4382-4391
【文献】
Journal of PLos ONE,2007年,Vol.2, No.6,p.e526 (p.1-10)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 39/00−44
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
PRRSウイルスにより引き起こされる高熱病型PRRSの影響に対してブタをワクチン接種するための、有効量の弱毒化PRRSII型ウイルスを含む免疫原性組成物であって、ここで該高熱病型PRRSが、配列番号1で示されるJX143の核酸配列を有する中国のPRRSVに由来し、該弱毒化PRRSII型ウイルスが、登録番号ATCC VR−2332を有する株であることを特徴とする、免疫原性組成物。
【請求項2】
さらにアジュバントを含む、請求項1に記載の免疫原性組成物。
【請求項3】
ブタにおける高熱病型PRRSの臨床徴候の発生率または重篤度を低下させるための、有効量の弱毒化PRRSII型ウイルスを含む免疫原性組成物であって、
ここで該高熱病型PRRSが、配列番号1で示されるJX143の核酸配列を有する中国のPRRSVに由来し、該弱毒化PRRSII型ウイルスが、登録番号ATCC VR−2332を有する株であることを特徴とする、免疫原性組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
配列表
本出願は、紙形式およびコンピューター読み取り可能形式の配列表を含み、その教示および内容を引用により本明細書の一部とする。
【0002】
発明の背景
技術分野
本発明は一般に感染症に対するワクチンに関するものである。より詳細には、それは、ブタを冒すウイルス性疾患である高病原性ブタ繁殖・呼吸障害症候群(HP PRRS)のワクチンに関するものである。
【0003】
背景情報
ブタ繁殖・呼吸障害症候群(PRRS)は深刻なブタの疾患として認識されており、妊娠ブタの生殖障害または特に哺乳ブタの気道急迫のいずれかを特徴とする。このウイルス性疾患は1987年に米国で初めて発見され、その後欧州で見つかり、1990年代初期にアジアで確認された。これまでPRRSは、その養豚国に固有の特徴を伴って世界中に蔓延しており、毎年膨大な経済的損失をもたらしている。PRRSの病原体はブタ繁殖・呼吸障害症候群ウイルス(PRRSV)であり、これは、マウスの乳酸デヒドロゲナーゼ上昇ウイルス(LDEV)、ウマ動脈炎ウイルス(EAV)、およびサル出血熱ウイルス(SHFV)と共にニドウイルス目アルテリウイルス科に属する。
【0004】
小型エンベロープウイルスの一員であるPRRSVは、約20の推定タンパク質をコードしている少なくとも8個のオープンリーディングフレーム(ORF)を含む、およそ15.1〜15.5kbの一本鎖プラスセンスRNA(+ssRNA)ゲノムを有する。さらにそのゲノムは、5’および3’末端の両方に2個の非翻訳領域(UTR)を含む。詳細には、ORF1(ORF1aおよびORF1b)は5’−UTRの下流に位置し、ゲノム全体の三分の二以上を占めている。ORF1aは直接翻訳され、一方ORF1bはリボソームフレームシフトにより翻訳され、大きなORF1abポリタンパク質を生成し、それが、ウイルスの転写および複製機構に関連する生成物へとタンパク質分解的に開裂する。3’−UTRの上流にあるORF2〜7は、ビリオンに関連する一連のウイルス構造タンパク質、例えばエンベロープタンパク質(E)およびヌクレオカプシドタンパク質(N)をコードしている。これらのタンパク質は全てサブゲノムmRNA(sgmRNA)の3’−共通末端ネスト化セットから翻訳される。
【0005】
世界中の様々な地理的地域からのPRRSV単離物の系統発生解析は、二つの主要な遺伝子型:欧州プロトタイプを表すI型(レリスタッドウイルス、LV)、およびプロトタイプとして北米株ATCC VR2332(VR2332のゲノム配列についてはGenBank登録番号AY150564を参照されたい)を表すII型の存在を明確に示している(Murtaugh et al., Arch Virol. 1995;140:1451-1460)。さらに、幾つかの研究は、ORF5および非構造タンパク質2(NSP2)−コード遺伝子(nsp2)が、PRRSVゲノムにおいて最も遺伝的に可変性の領域であり得ることを示した。VR2332のNSP2の配列についてはSwissProt登録番号Q9WJB2または配列番号2を参照されたい。PRRSV株はその病原性が大きく異なっているということもまた充分に立証されている。
【0006】
2006年、当初知られていなかった、PRRSの症状を伴ういわゆる「高熱」病の空前の未曽有の大規模流行が起こり、それは10以上の省に蔓延して2000000頭以上のブタを襲い、約400000頭の死亡例を出した。典型的なPRRSとは異なり、多数の成雌豚もまたこの「高熱」病に感染した。この非典型的PRRSの広域的流行は、当初、神経症状(例えば震え)、高熱(40〜42℃)、紅斑性白化皮疹などを発症するブタコレラ様疾患として認定された。免疫学的解析と共に行われた剖検は、複数の臓器が高病原性PRRSVに感染していることを明確に示し、重度の病理学的変化が観察された(Tian et al., PLoS ONE. 2007; 2(6): e526)。単離されたウイルスの全ゲノム解析により、このPRRSV単離物はII型に分類され、HB−1、PRRSVの中国株(96.5%のヌクレオチド同一性)、およびJX143に高い相同性を示すことが明らかとなった(Yuan et al., 2007 International PRRS Symposium, Chicago)。JX143のゲノム配列については、配列番号1、またはEMBL/GenBank登録番号EU708726を参照されたい。このウイルス単離物は、特異な分子特徴、即ち非構造タンパク質2(NSP2)中に30アミノ酸の非連続的欠失を含むこともまた観察された(Tian et al., PLoS ONE. 2007; 2(6): e526)。PRRSの「高熱病」型は現在「高病原性PRRS」またはHP PRRSとも呼ばれている。
【0007】
PRRSウイルス(PRRSV)の単離、および改変された生(弱毒化)または不活化PRRSVのいずれかを含むPRRSに対するワクチンの製造が、幾つかの刊行物に記載されている(WO92/21375、WO93/06211、WO93/03760、WO93/07898、WO96/36356)。特にWO93/03760は、PRRSウイルスの単離、培養、弱毒化の方法、および各ワクチン製造、とりわけPRRSII型プロトタイプ単離物ATCC VR−2332について開示している。WO96/36356は、サルの細胞の連続継代により得られた前記単離物の特に有用な弱毒化系列を開示しており、それは登録番号ATCC VR−2495として寄託されている。各々の改変生(MLV)ワクチン製品は、Ingelvac(登録商標) PRRS MLVブランド名でBoehringer Ingelheimから市販されている。II型単離物に基づく別のMLVワクチンが、Ingelvac(登録商標) PRRS ATPブランド名として市販されている。
【0008】
PRRSの予防における適切な方法はワクチン接種である。しかしながら、ワクチン接種がHP PRRSに対して有効であるかどうか、そしてどの型のワクチンが使用できるかはこれまで判っていない。
【0009】
発明の概要
本発明者等は、PRRSII型ウイルスの弱毒化株をワクチン接種に使用して、ブタ繁殖・呼吸障害症候群に付随する高熱病型の影響からブタを守ることができるという驚くべき発見をした。PRRSII型ウイルスの弱毒化株の予防特性の確認は、例えばHP PRRSのリスクが高いブタの処置を可能にする。このようなワクチン接種または処置プログラムは、2006年に中国の養豚産業に打撃を与え、およそ2000万頭のブタを処分する結果となったPRRS流行に類似の、他のHP PRRS流行の可能性または影響を低減させる助けとなり得る。
【0010】
本明細書で提供する本発明の1つの態様は、PRRSII型ウイルス、好ましくは弱毒化PRRSII型ウイルスを有効量含む免疫原性組成物を、それを必要とするブタに投与することを含む、高熱病の影響からブタを予防的に防御する方法を包含する。この組成物はさらに薬学的に許容される担体を含むことができる。この組成物はさらにアジュバントを含むことができる。本方法は、予防または治療手段として利用できる。さらに、このような免疫原性組成物の有効量の投与は、高熱病型PRRSの臨床徴候の発生率または重篤度を低下させる結果となる。
【0011】
PRRSII型ウイルス、好ましくは弱毒化PRRSII型ウイルスを有効量含む免疫原性組成物をブタに投与することを含む、高熱病のブタにワクチン接種する方法もまた、本明細書で提供する。この組成物はさらに薬学的に許容される担体を含むことができる。この組成物はさらにアジュバントを含むことができる。有効量の免疫原性組成物を用いたこのようなワクチン接種は、好ましくは高熱病型PRRSの臨床徴候の発生率または重篤度を低下させる結果となる。
【0012】
この高熱病は、ブタ繁殖・呼吸障害症候群に付随する型であってよい。ブタ繁殖・呼吸障害症候群は高病原性(HP PRRS)であってよい。HP PRRSまたは高熱病型は、以下の臨床徴候:発赤、出血斑、点状出血、紅斑性白化皮疹、ならびに耳、口、鼻、背、および内腿にしばしば観察される吹き出物、のうち1以上を呈するブタに検出され得る。その他の一般的な症状には、高熱(40℃以上)、抑うつ、食欲不振、咳嗽、喘息、跛行、震え、気道の障害、および下痢がある。HP PRRSはHP PRRSウイルスにより起き起こされる。
【0013】
本明細書で提供する本発明の別の態様は、PRRSII型ウイルス、好ましくは弱毒化PRRSII型ウイルスを有効量含む免疫学的組成物を、それを必要とするブタに投与することを含む、HP PRRS感染からブタを予防的に防御する方法を包含する。
【0014】
PRRSII型遺伝子型のメンバーであることとして2002年に中国で明らかとなったHP PRRSウイルスは、いわゆる高熱病と相関している。HP PRRSウイルスはその後中国の幾つかの省で広まったが、このことは、他のPRRSウイルスと比較して罹患ブタ集団内での蔓延における選択的優位性を示している。
【0015】
「HP PRRSウイルス」という用語は、配列番号1と実質的に同一であるヌクレオチド配列を有するPRRSウイルス株を意味するが、それに限定される訳ではない。好ましくはHP PRRSウイルスは、配列番号1と実質的に同一であるヌクレオチド配列を有するPRRSウイルス株である。配列番号1と実質的に同一である、とは、好ましくは当該HP PRRSウイルスが本明細書に定義するPRRSII型ウイルスではないという但し書きの下で、そのPRRSウイルス株のヌクレオチド配列が、好ましくは配列番号1と85%〜100%同一である配列を含むこと、例えばそのヌクレオチド相同性が、参照ウイルス単離物であるVR2332に対してORF5において91%未満、好ましくは92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%未満の相同性であることを意味する。HP PRRSウイルス株のヌクレオチド配列は、同様に、好ましくは当該HP PRRSウイルスが本明細書に定義するPRRSII型ウイルスではないという但し書きの下で、好ましくは配列番号1と80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%または89%以上同一であり、例えばそのヌクレオチド相同性は、参照ウイルス単離物であるVR2332に対してORF5において91%未満、好ましくは92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%未満の相同性である。さらに好ましくはPRRSウイルス株のヌクレオチド配列は、好ましくは当該HP PRRSウイルスが本明細書に定義するPRRSII型ウイルスではないという但し書きの下で、配列番号1と90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%以上、または99%以上同一であり、例えばそのヌクレオチド相同性は、参照ウイルス単離物であるVR2332に対してORF5において91%未満、好ましくは92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%未満の相同性である。
【0016】
HP PRRSウイルスという用語はまた、NSP2タンパク質内に規定の改変を有する任意のPRRSウイルス株をも意味する。この定義によれば、HP PRRSウイルス株は、NSP2タンパク質[ここで、配列番号2のアミノ酸位置482のロイシンに対応するアミノ酸が欠失しており、このことが高熱の臨床徴候を引き起こす]をコードしているPRRSウイルス株である。これに代わり、または配列番号2のアミノ酸位置において欠失したロイシンに加えて、配列番号2のアミノ酸534〜562に対応するアミノ酸がPRRSウイルスによりコードされているNSP2タンパク質から欠失しているかも知れない。この文脈において、配列番号2は例示的に理解するものとし、NSP2タンパク質は配列番号2のNSP2タンパク質に限定されるものではない。上の教示に基づき当業者は、配列番号2の配列とは異なるが同じ改変を示すNSP2タンパク質配列を有する、PRRSウイルス株における任意の対応する改変を容易に同定することができ、それは、配列番号2の482位のロイシンに対応するロイシンの欠失、および/または、配列番号2のアミノ酸534〜562に対応するアミノ酸の欠失を意味する。
【0017】
さらに、HP PRRSウイルスという用語は、配列番号1(上記で定義した)と実質的に同一であるヌクレオチド配列を有し、NSP2タンパク質[ここで、配列番号2のアミノ酸位置482のロイシンに対応するアミノ酸および/または配列番号2のアミノ酸534〜562に対応するアミノ酸が、そのPRRSウイルスによりコードされているNSP2タンパク質から欠失している]をコードしているPRRSウイルス株をも意味し得る。
【0018】
さらに、HP PRRSウイルスという用語は、当該HP PRRSウイルスが本明細書に定義するPRRSII型ウイルスではないという但し書きの下で、配列番号1と実質的に同一であるヌクレオチド配列を有する(例えばそのヌクレオチド相同性は、参照ウイルス単離物(上記で定義した)であるVR2332に対してORF5において91%未満、好ましくは92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%未満の相同性である)PRRSウイルス株であり、且つ、NSP2タンパク質[ここで、配列番号2のアミノ酸位置482のロイシンに対応するアミノ酸および/または配列番号2のアミノ酸534〜562に対応するアミノ酸が、そのPRRSウイルスによりコードされているNSP2タンパク質から欠失している]をコードしている、HP PRRSウイルスを意味する。
【0019】
さらに、HP PRRSウイルスという用語は、好ましくは当該HP PRRSウイルスが本明細書に定義するPRRSII型ウイルスではないという但し書きの下で、配列番号1と実質的に同一であるヌクレオチド配列を有する(例えばそのヌクレオチド相同性は、参照ウイルス単離物(上記で定義した)であるVR2332に対してORF5において91%未満、好ましくは92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%未満の相同性である)PRRSウイルス株であり、且つ、NSP2タンパク質[ここで、アミノ酸位置536〜550または546〜560または476〜490に対応するペプチドに対して反応性を持つ抗体は、反応性を示さない]をコードしている、HP PRRSウイルスを意味する。
【0020】
さらに、以下のPRRSウイルス単離物はHP PRRSウイルス株であることが判っている。したがって本明細書で使用するHP PRRSウイルス株という用語は、これらのウイルス株のうち任意のものおよびその任意の系列を包含する:HP PRRSウイルス株AH1;AHCFSH;AHCFZC;BB07;BD−8;BQ07;CL07;CX07;CZ07;FY060915;FY080108;GC−2;GCH−3;GD1;GD2;GD2007;GD3;GD4;GDSD1;GDY1−2007;GDY2−2007;GDYF1;GS2008;GXHZ12;GXHZ13;GXHZ14;GXHZ16;GXHZ19;GXHZ2;GXHZ21;GXHZ4;GXLZ5;GXLZ7;GY;GZCJ;GZDJ;GZHW1;GZHW2;GZHX:GZJS;GZKB;GZKY;GZLJ1;GZWB;GZWM;GZZB;Hainan−1;Hainan−2;HB1;HB2;HB3;HB−Tsh1;HB−Xt1;HEN46;HeN−KF:HeN−LH;HeN−LY;HLJDF;HLJMZ1;HLJMZ2;HLJMZ3;HLJZY;HM−1;HN2;HN2007;HN3;HNld;HNly;HNLY01;HNNX01;HNPJ01;HNsp;HNXT1;HNyy;HNyz;HQ−5;HQ−6;HUB;HuN;HUN1;HUN11;HUN15;HUN16;HUN17;HUN2;HUN3;HUN4;HUN5;HUN6;HUN7;Hunan−1;Hunan−2;Hunan−3;HUNH2;HUNH4;HuNhl;HUNL1;HUNX4;HZ061226;HZ070105;Jiangsu−1;Jiangsu−2;Jiangsu−3;Jiangxi−2;Jiangxi−4;JLYS;JN;JX1;JX143;JX2;JX−2;JX2006;JX3;JX4;JX5;JXA1;KS06;LC07;LJ;LS06;LS−4;LY07;NB070319;SC07;SD;SD14;SDWF2;SH02;ST−7;SX2007;SY0608;TJDMJ;TJZHJ2;TJZHJ3;TQ;TQ07;TWO7;WF07;XJ07;XL2008;YN2008;YNBS;YNDL;YNMG;YNWS;YNYS;YNYX1;YNYX3;ZJ06;ZJCJ;ZJWL;ZX07;ZS070921。系列とは、上に列挙した任意の親ウイルスを起源とし、対応する親ウイルス株と86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%および99%以上のヌクレオチド配列同一性を有するウイルス単離物を意味するが、それらに限定される訳ではない。
【0021】
「PRRSII型ウイルス」という用語は、ATCC−VR2332として寄託されたウイルス単離物またはATCC−VR2332として寄託されたウイルス単離物の任意の系列と実質的に同一であるPRRSウイルス株を意味するが、それに限定される訳ではない。本明細書で使用する、実質的に同一である、とは、ORF5タンパク質をコードしているヌクレオチド配列が、ATCC−VR2332として寄託されたウイルス単離物の、そして配列番号3に定義されているヌクレオチド配列と85%〜100%同一であることを意味する。ORF5ヌクレオチド配列は、好ましくは配列番号3と86%、87%、88%、または89%以上同一である。さらに好ましくは、ORF5ヌクレオチド配列は、配列番号3と90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%以上または99%以上同一である。好ましくは、本明細書で使用するPRRSII型ウイルスは、ATCC−VR2332として寄託されたウイルス単離物またはATCC−VR2332として寄託されたウイルス単離物の任意の系列(上記で定義した)と実質的に同一であるPRRSウイルス株であるが、アミノ酸のNSP2遺伝子内部に、配列番号2のアミノ酸534〜562に対応する欠失を持たない。PRRSウイルスATCC−VR2332の完全な配列は、GenBank登録番号U87392に見出される。
【0022】
PRRSII型ウイルスという用語はさらに、上記のPRRSII型ウイルス株のいずれかを起源とする任意の弱毒化ウイルスを包含する。例えば、PRRSII型ウイルスという用語は、ATCC−VR2495として寄託された弱毒化PRRSII型ウイルスをも包含する。さらに、弱毒化PRRSII型ウイルスは、ATCC−VR2332として寄託されたウイルス単離物の任意の弱毒化系列であってもよい。幾つかの好ましい形態においては、PRRSII型ウイルスおよび薬学的に許容される担体は、Boehringer Ingelheim Vetmedica, Inc.(St. Joseph, MO)社製のIngelvac(登録商標)PRRS MLVワクチン(製造番号JA−A64A−149)であってよい。PRRSII型ウイルスという用語はさらに、HB−1;BJ−4;CH−1a;CH−1R;CH−1R01;HB−2;HN1;HT06;HZ07;LS05;LY03;NH04;PL97−1;S1;SH061130;SX071226;TW07−1;WF03;XX03;ZJJ04;ZJJ05;ZJJ07として知られる単離物をも包含でき、これらは中国起源の非HP PRRS株である。
【0023】
本明細書で提供する本発明の別の態様は、PRRSII型ウイルス、好ましくは弱毒化PRRSII型ウイルス[ここで、該PRRSII型ウイルスは、ATCC−VR2332として寄託されたウイルス単離物またはATCC−VR2332として寄託されたウイルス単離物の任意の系列と実質的に同一であるPRRSウイルス株である]を有効量含む免疫原性組成物を、それを必要とするブタに投与することを含む、ブタのHP PRRS感染を予防する方法を包含する。好ましくは、そのPRRSII型ウイルスは、NSP2遺伝子内部に、配列番号2のアミノ酸534〜562に対応するアミノ酸の欠失を持たない。さらに好ましくは、そのPRRSII型ウイルスは、ATCC−VR2495として寄託された弱毒化PRRSII型ウイルスである。さらに、そのPRRSII型ウイルスはIngelvac(登録商標)PRRS MLVワクチン(製造番号JA−A64A−149)のウイルスである。
【0024】
PRRSII型ウイルスの有効量とは、そのウイルスの有効用量が投与される動物において免疫反応を誘発させるまたは誘発させ得る該ウイルスの量であってよい。有効な量は、ワクチンの成分および投与スケジュールに依存し得る。不活化ウイルスまたは改変された生ウイルス調製物を使用する場合、用量あたり約10
2.0〜約10
9.0TCID
50(組織培養感染用量50%終点)、より好ましくは約10
3.0〜約10
4.0TCID
50、さらに好ましくは約10
4.0〜約10
8.0TCID
50を含有するワクチン量が推奨できる。
【0025】
本明細書に記載のPRRSII型ウイルスは、本明細書に記載のブタの高熱病の影響を予防するために、PRRSII型ウイルスの不活化した死滅全ウイルスとして、またはその弱毒化型として使用できる。さらに、PRRSII型ウイルスの免疫原性フラグメントまたは画分を包含するサブユニットもまた、ブタの高熱病の影響を予防するために使用できる。
【0026】
本明細書に記載の弱毒化PRRSII型ウイルスは、薬学的に許容される担体中に1以上の上記株を生きたまま含む、改変された生ワクチン(MLV)であってよい。さらに、或いは、不活化ウイルスを使用して上記のような死菌ワクチン(KV)を製造することもできる。MLVは、用量あたり10
1〜10
7のウイルス粒子、より好ましくは10
3〜10
5のウイルス粒子、さらに好ましくは10
4〜10
5のウイルス粒子を投与できるよう製剤化できる。KVは、用量あたり10
3〜10
10、10
4〜10
9、10
5〜10
8、または10
6〜10
7のウイルス粒子という不活化前力価に基づいて製剤化できる。
【0027】
PRRSII型ウイルス、好ましくは弱毒化PRRSII型ウイルスは、HP PRRSを引き起こすPRRSウイルス株にブタが暴露される前に予防として、またはHP PRRSを引き起こすPRRSウイルス株にブタが暴露されると同時に、またはHP PRRSを引き起こすPRRSウイルス株に標的ブタが暴露された後の処置として、ブタに投与できる。標的ブタは、HP PRRSもしくは上記のような高熱病型の、1以上の臨床徴候または共通症状を示し得る。標的ブタは、特にHP PRRSに付随する高熱病に罹患し易いかも知れない。標的ブタは特にHP PRRSに罹患し易いかも知れない。標的ブタは、免疫不全のためにHP PRRSに罹患し易いかも知れない。標的ブタは、そのブタが飼育されている場所のためにHP PRRSに罹患し易いかも知れない。感受性ブタは中国で飼育されているかも知れない。感受性ブタは、江西省、河北省などの中国の省、または上海市で飼育されているかも知れない。Tian et al., PloS ONE. 2007;2(6):e526を参照されたく、その内容は引用により本明細書の一部とする。弱毒化PRRSII型ウイルスは、注射、吸入、またはインプラントすることによって投与でき、注射が特に好ましい。ワクチン接種または処置に望まれる期間および有効性に応じて、PRRSII型ウイルス、好ましくは弱毒化PRRSII型ウイルスを1回または数回、さらには間欠的に、例えば毎日、数日間、数週間または数ヶ月間、そして異なる用量で投与できる。これらの中で単回投与が好ましい。注射は末梢に、もしくは中心静脈に所望量を、または持続注入であってもよい。PRRSII型ウイルス、好ましくは弱毒化PRRSII型ウイルスは、経口、非経口、皮下、筋肉内、皮内、舌下、経皮、直腸内、経粘膜、局所に吸入により、口腔内投与により、またはこれらの組み合わせによって投与できる。PRRSII型ウイルス、好ましくは弱毒化PRRSII型ウイルスは、弱毒化ウイルスの徐放を可能にするインプラントの形態で投与することもできる。筋肉内注射のためには、0.5mL〜3mL、より好ましくは1mL〜2.5mL、なおさらに好ましくは1.5mL〜2mLの容量を適用できる。2mLの筋肉内注射が最も好ましい。皮内注射のためには、0.05mL〜1mL、より好ましくは0.1mL〜0.8mL、さらに好ましくは0.1mL〜0.5mL、さらに好ましくは0.2〜0.4mLの容量を投与する。最も好ましくは0.2mLの皮内注射を適用できる。0.5mL〜5mL、より好ましくは1mL〜4mL、さらに好ましくは2mL〜3mLのPRRSII型ウイルス容量を鼻内適用できる。最も好ましくは容量3mLを鼻内適用できる。
【0028】
薬学的に許容される担体には、任意のそして全ての溶媒、分散媒、被覆剤、安定剤、希釈剤、防腐剤、抗菌剤および抗真菌剤、浸透圧調整剤、吸着遅延剤などが包含される。
【0029】
本明細書で使用する「アジュバント」には、水酸化アルミニウムおよびリン酸アルミニウム、サポニン、例えばQuil A、QS−21(Cambridge Biotech Inc., Cambridge MA)、GPI−0100(Galenica Pharmaceuticals, Inc., Birmingham, AL)、油中水エマルション、水中油エマルション、水中油中水エマルションがある。このエマルションは特に、軽質流動パラフィン油(欧州薬局方タイプ)に基づいていてよく;イソプレノイド油、例えばアルケン、特にイソブテンもしくはデセンのオリゴマー化から生ずるスクアランまたはスクアレン油;直鎖アルキル基を含む酸またはアルコールのエステル、より詳細には植物油、オレイン酸エチル、プロピレングリコールジ−(カプリル酸エステル/カプリン酸エステル)、グリセリルトリ−(カプリル酸エステル/カプリン酸エステル)またはオレイン酸プロピレングリコール;分岐脂肪酸またはアルコールのエステル、特にイソステアリン酸エステルがある。油を乳化剤と組み合わせて使用し、エマルションを形成させる。乳化剤は好ましくは非イオン性界面活性剤、特にソルビタン、マンニド(例えば無水オレイン酸マンニトール)、グリコール、ポリグリセロール、プロピレングリコールおよびオレイン酸、イソステアリン酸、リシノール酸またはヒドロキシステアリン酸のエステル(これらは場合によりエトキシ化されていてもよい)、ならびにポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレンコポリマーブロック、特にプルロニック製品、とりわけL121である。Hunter et al., The Theory and Practical Application of Adjuvants(Ed. Stewart-Tull, D. E. S.)JohnWiley and Sons, NY, pp51-94(1995) およびTodd et al., Vaccine 15:564-570(1997) を参照されたい。
【0030】
例えば、”Vaccine Design, The Subunit and Adjuvant Approach”(M. Powell and M. Newman編)Plenum Press, 1995の147頁に記載されているSPTエマルション、および同書の183頁に記載のエマルションMF59を使用することが可能である。
【0031】
さらなるアジュバントの例は、アクリル酸またはメタクリル酸のポリマーならびに無水マレイン酸およびアルケニル誘導体のコポリマーから選ばれる化合物である。有利なアジュバント化合物は、特に糖のポリアルケニルエーテルまたはポリアルコールで架橋したアクリル酸またはメタクリル酸のポリマーである。これらの化合物はカルボマーという名称で知られている(Pharmeuropa Vol. 8, No.2, June 1996)。当業者はさらに米国特許第2909462号を参照することができるが、これは、少なくとも3個、好ましくは最大8個のヒドロキシル基(少なくとも3個のヒドロキシルの水素原子は少なくとも2個の炭素原子を有する不飽和脂肪族基に置き換わっている)を有するポリヒドロキシル化化合物で架橋されているアクリルポリマーを記載している。好ましい基は、2〜4個の炭素原子を含む基、例えば、ビニル、アリルおよびその他のエチレン性不飽和基である。この不飽和基は、自身他の置換基、例えばメチルを含み得る。Carbopolという名称で販売されている製品(BF Goodrich, Ohio, USA)が特に好適である。それらはアリルスクロースまたはアリルペンタエリスリトールで架橋されている。それらのうち、Carbopol 974P、934Pおよび971Pが挙げられる。Carbopol 971Pの使用が最も好ましい。無水マレイン酸およびアルケニル誘導体のコポリマーの中では、無水マレイン酸およびエチレンのコポリマーであるコポリマーEMA(Monsanto)。これらのポリマーを水に溶解すると酸溶液が得られ、それを、免疫原性、免疫学的またはワクチン組成物自身が配合されるアジュバント溶液を得るため、好ましくは生理的pHに中和する。
【0032】
さらなる好適なアジュバントには、特にα−トコフェロールアセタート、RIBIアジュバント系(Ribi Inc.)、ブロックコポリマー(CytRx, Atlanta GA)、SAF−M(Chiron, Emeryville CA)、モノホスホリル脂質A、アブリジン脂質−アミンアジュバント、E. coli(組換えまたはそれ以外)由来の熱不安定性エンテロトキシン、コレラ毒素、IMS1314またはムラミルジペプチドがあるが、これらに限定される訳ではない。
【0033】
好ましくは、用量あたり約100μg〜約10mgの量でアジュバントを加える。より好ましくは、用量あたり約100μg〜約10mgの量でアジュバントを加える。さらに好ましくは、用量あたり約500μg〜約5mgの量でアジュバントを加える。なおさらに好ましくは、用量あたり約750μg〜約2.5mgの量でアジュバントを加える。最も好ましくは、用量あたり約1mgの量でアジュバントを加える。
【0034】
HP PRRSの標的ブタを処置または免疫することのできる弱毒化PRRSII型ウイルスを生産する方法もまた本明細書で提供する。その方法は、以下の工程:(a)ATCC−VR2332またはATCC−VR2332と実質的に同一である任意のPRRSII型を下記のように継代して、該ウイルスを改変し非病原性とし、HP PRRSの標的ブタを免疫できるようにし、(b)生産ウイルス細胞または細胞培養物を回収し、(c)その生産ウイルス培養物に安定剤を添加し;そして/または(d)その生産ウイルス培養物を凍結乾燥する、のうち1以上を含み得る。ウイルス継代は、古典的な増殖および選択技術;例えば、弱毒化表現型を付与するための適当な宿主細胞における連続増殖、を包含できる。継代することで、後天性の突然変異を有するウイルス株が得れ、その突然変異の多くは親株の性質を有意に変化させないであろう。弱毒化PRRSII型ウイルスは、宿主細胞において少なくとも60、65、70、75、80、またはそれ以上の回数を継代したATCC−VR2332またはATCC−VR2332と実質的に同一である任意のPRRSII型の所産であり得る。弱毒化PRRSII型ウイルスは、宿主細胞において50〜100回、60〜90回、70〜80回、または65〜75回継代したATCC−VR2332またはATCC−VR2332と実質的に同一である任意のPRRSII型の所産であり得る。弱毒化PRRSII型ウイルスは、宿主細胞において70または75回継代させたATCC−VR2332またはATCC−VR2332と実質的に同一である任意のPRRSII型の所産であり得る。好適な宿主細胞には、サルセルライン、Vero細胞、またはブタ肺胞マクロファージがある。好ましいサルセルラインはMA−104である。宿主細胞は細胞培養物であってよい。そのセルラインを、継代しようとするウイルスに感染させる。各継代は、得られたウイルス感染セルラインまたは細胞培養物を34℃〜40℃、より好ましくは35℃〜39℃、さらに好ましくは36℃〜38℃、そしてさらに好ましくは35℃〜37℃の温度でインキュベートすることを要するかも知れない。最も好ましくは、各継代は、得られたウイルス感染セルラインまたは細胞培養物を37℃の温度でインキュベートすることを要するかも知れない。回収の工程は、ウイルス感染細胞培養物を凍結することを包含し得る。凍結乾燥は、ウイルス感染細胞培養物の凍結試料から水分を昇華させることを包含し得る。
【0035】
弱毒化PRRSII型ウイルスを生産するためにウイルスの改変を利用することもでき、それは、適当な遺伝子工学技術によるウイルス株の核酸配列の直接的突然変異によって達成できる。このような技術は、核酸組換えおよび操作方法により改変され得るウイルスゲノムの全長相補的核酸コピーの構築物を利用できる。係る方法は、位置指定突然変異誘発を利用することができる。次いでウイルスタンパク質の抗原部位または酵素的性質を改変できる。
【0036】
さらに、前記方法のいずれかを実施するためのキットを本明細書で提供する。このキットは、容器、好ましくは弱毒化PRRSII型ウイルスを含む免疫原性組成物、薬学的に許容される担体、アジュバント、ならびに、PRRS感染、および好ましくは高熱病型PRRSまたはHP−PRRSの臨床徴候の発症率重篤度または影響を低下させるため、該免疫原性組成物をそれを必要とする動物に投与するための説明書を含み得る。キットはさらに、注射手段および/または別の投与形態のための手段を含み得る。キットはさらなる溶媒を含んでいてもよい。弱毒化ワクチンは凍結乾燥することができ、溶媒で再構成して注射および/または吸入のための溶液が得られる。溶媒は、水、生理食塩水、緩衝液、またはアジュバント化溶媒であってよい。キットは、弱毒化ウイルス、溶媒、および/または薬学的に許容される担体を入れる別個の容器を含んでいてもよい。説明書は、小冊子および/または1以上の容器に貼付されたラベルであってよい。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】
図1は、可視的な肺炎に冒された領域のパーセンテージについて肺を評点および評価する方法を表している。
【
図2】
図2は、ワクチン接種群および非ワクチン接種群のブタの直腸温を比較するグラフである。
【
図3】
図3は、ワクチン接種群および非ワクチン接種群のブタの平均S/P比の比較を示すグラフである[ここでは、平均ELISA群 S/P比を利用してPRRSVに対する各群の血清学的反応を測定した]。
【
図4】
図4は、ワクチン接種群および非ワクチン接種群のブタの群平均臨床評点の比較を示すグラフである[ここでは、ワクチン接種群および非ワクチン接種群のブタの呼吸器疾患評点を記録した]。
【
図5】
図5は、ワクチン接種群および非ワクチン接種群のブタの平均1日体重増加(ADG)を比較するグラフである。
【
図6】
図6は、MLVワクチン接種ブタおよび非ワクチン接種/チャレンジブタのPRRSV RT−PCR陽性血清のパーセンテージの概要を示すグラフである。
【0038】
発明の詳細な説明
定義
本明細書で使用する用語は、特定の実施態様のみを説明する目的のためのものであって、限定を意図するものではない。明細書および添付の請求項で使用する単数形「a」、「and」および「the」は、文脈がそれに反する旨を明確に述べていない限り、複数の対象を包含する。
【0039】
本明細書における数値範囲の記載については、各々間に挟まれた数値が、同程度の正確さをもって明確に意図されている。例えば6〜9という範囲の場合、6および9に加えて数値7および8が意図され、範囲6.0〜7.0の場合、数値6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、および7.0が明確に意図されている。
【0040】
本明細書で使用する「弱毒化ウイルス」とは、標的哺乳動物においてPRRS疾患の臨床徴候を生じないが免疫反応を誘発できる非病原性ウイルスを意味し得るが、非弱毒化PRRSウイルスに感染した、および弱毒化ウイルスを投与されていない「コントロール群」の動物と比較して、弱毒化ウイルスに感染した動物の発生率または重篤度において臨床徴候が低下していることをも意味し得る。この文脈において「低下する/低下した」という用語は、上記定義によるコントロール群と比較して少なくとも10%、好ましくは25%、さらに好ましくは50%、最も好ましくは100%以上の低減を意味する。
【0041】
本明細書で使用する「免疫原性フラグメント」とは、PRRSVに対する細胞性および/または体液性免疫反応を包含する免疫反応を宿主において誘発できる、PRRSII型ウイルスのペプチドもしくはポリペプチドまたは核酸配列の一部を意味し得る。
【0042】
2以上のポリペプチドまたはヌクレオチド配列の文脈において本明細書で使用する「同一である」または「同一性」とは、その配列が、特定の領域にわたり同一である残基またはヌクレオチドの特定パーセンテージを有することを意味し得る。このパーセンテージは、最適には、二つの配列をアライニングし、特定の領域にわたりその二つの配列を比較し、同一の残基が両配列に出現する位置の数を確定して合致する位置の数を求め、合致する位置の数を特定の領域における位置の総数で除し、そしてその結果に100を掛けて配列同一性のパーセンテージを求めることによって算出できる。二つの配列が異なる長さであるかまたはアラインメントが1以上の付着末端を生成し、特定の比較領域が単一配列のみを含む場合、その単一配列の残基は、その計算の分子ではなく分母に含まれる。
【0043】
PRRS単離物ATCC VR−2332は、ブダペスト条約に従い1992年7月7日にAmerican Type Culture Collection(Rockville, Maryland)に寄託され、登録番号ATCC−VR2332を付与された。
【0044】
PRRS単離物ATCC VR−2495は、ブダペスト条約に従い1995年1月28日にAmerican Type Culture Collection(Rockville, Maryland)に寄託され、登録番号ATCC−VR2495を付与された。
【0045】
本明細書で使用する「免疫原性組成物」または「ワクチン」とは、PRRSII型ウイルス(MLVまたは死滅ウイルス)またはその任意の免疫原性フラグメントもしくは画分、好ましくは弱毒化PRRSII型ウイルス、例えばIngelvac PRRS MLVまたはIngelvac PRRS ATP(これらはPRRSVに対する細胞性および/または抗体仲介性免疫反応という「免疫学的反応」を宿主において誘発する)を含む組成物を意味する。好ましくはこの免疫原性組成物は、PRRSV感染およびそれに伴う臨床徴候に対する防御免疫を付与することができる。
【0046】
本明細書で使用する「免疫学的反応または免疫反応を誘発する」とは、免疫原性組成物またはワクチンを受ける動物に投与された免疫原性組成物またはワクチンに対する任意の細胞性および/または抗体仲介性免疫反応を意味する。通常、「免疫反応」には、該組成物もしくは対象のワクチンに含まれる抗原または抗原群に対して特に向けられた、以下の作用:抗体、B細胞、ヘルパーT細胞、サプレッサーT細胞、および/もしくは細胞毒性T細胞並びに/またはyd T細胞の産生または活性化、のうち1以上が包含されるがそれらに限定される訳ではない。好ましくは、宿主は治療的または防御的免疫学的反応のいずれかを示し、その結果、新たな感染に対する抵抗性が増強し、そして/または該疾患の臨床的重篤度が、該免疫原性組成物またはワクチンの投与を受けていないコントロールに比較して低下する。このような防御は、上記のような宿主感染に付随する症状の発生率の低下、または、該症状の欠如に至る、且つそれを包含する、重篤度の低下のいずれかによって立証される。
【0047】
本明細書で使用する「防御的免疫」とは、或る動物群におけるPRRS、好ましくはHP PRRS罹病に対する抵抗性が、HP PRRS罹患しているがPRRS、好ましくはPRRSII型を含有する免疫原性組成物もしくはワクチンを投与されていないコントロールの動物群に比較して増強されていることを意味する。本明細書で使用する「増強された抵抗性」という用語は、本発明に係る免疫原性組成物またはワクチンを投与された動物の10%未満、好ましくは20%未満、より好ましくは30%未満、さらに好ましくは40%未満、さらに好ましくは50%未満、さらに好ましくは75%未満、さらに好ましくは100%未満が、PRRSに罹患しているが該免疫原性組成物またはワクチンを投与されていない動物群と比較して、好ましくは本明細書に記載のHP PRRSにより引き起こされる、高熱を伴う1以上の臨床症状を発現することを意味する。
【0048】
本明細書で使用する「実質的に相補的」とは、第一の配列が、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100またはそれ以上のヌクレオチド領域にわたり、第二の配列の相補物と、少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%もしくは99%一致すること、または、二つの配列がストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズすることを意味し得る。
【0049】
本明細書で使用する「実質的に同一である」とは、第一および第二の配列が、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100もしくはそれ以上のヌクレオチドまたはアミノ酸の領域にわたり、少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%もしくは99%一致すること、または、核酸に関して、第一の配列が第二の配列の相補物と実質的に相補的であることを意味し得る。
【0050】
本明細書で使用する「ブタの」、「ブタ」および「子豚」は、互換的に使用できる。
【0051】
「ワクチン接種する」とは、高熱病型PRRSまたはHP PRRSに暴露される前に本明細書に記載の免疫原性組成物またはワクチンを投与することを指す。
【0052】
「防御する」または「防御」とは、本発明に係る免疫原性組成物の投与を受けた結果として、HP PRRS罹患または高熱病型PRRS罹患の臨床徴候の重篤度または発生率が低下することを指す。重篤度または発生率の低下は、本発明に係る免疫原性組成物を投与されていない動物または動物群と比較した場合の低下である。
【0053】
好ましい実施態様
以下の実施例は本発明に従う好ましい材料および方法を開示するものである。本発明の実施または試験に際し、本明細書に記載のものと類似または等価な任意の材料および方法が使用できるが、好ましい方法、機器、および材料をここに記載する。但し、これらの実施例は例示のためにのみ供するものであり、その中のいかなるものも、本発明の全範囲に対する限定と解してはならないことを理解されたい。
【0054】
実施例
下記に特定した実施例は、PRRSV単離物JX143の強毒性を例示するものである。Ingelvac(登録商標)PRRS MLVワクチンを接種したブタは、強毒性PRRSV株チャレンジ後、非ワクチン接種ブタと比較して、100%生存し、有意に高い抗体反応、低発生率の臨床的PRRSおよびウイルス血症、より重症度の低い肺病変、より少ない、軽度の、そして短期間の臨床徴候、ならびにより短期間の直腸温上昇を示す。
【0055】
1.材料および方法
1.1 ワクチンおよびウイルス
Ingelvac(登録商標)PRRS MLVワクチン(製造番号JA−A64A−149)はBoehringer Ingelheim Vetmedicaから購入したものである。強毒性PRRSV単離物JX143はShanghai Veterinary Research Instituteにより単離された。PRRSV JX143組織培養物(105.2TCID50/ml)を、ブタへの接種のためにDMEMで5倍に希釈した。
【0056】
1.2 プライマーおよび試薬
逆転写ポリメラーゼおよびDNAラダーはTiangen biotechnology社より購入した。2xPCRミックスはDongsheng社から購入した。Trizol(登録商標)およびプライマーはInvitrogen社由来のものであった。
【0057】
【表1】
【0058】
1.3 動物の起源およびグループ化
29日齢のブタ50頭を試験のためHenan Muyuan養豚農場から購入した。これらを、到着時に採取した血清試料で各々3回ずつ試験を実施することにより、RT−PCR(PRRSVおよびPCV2について)およびELISA(抗PRRSVキット、IDEXX Laboratory, Inc.)によって、PRRSVおよびPCV2について陰性であることを確認した。ブタを体重測定し、無作為に、各々22、14および14頭のブタを含む第1群、第2群または第3群に分けた。その後各群に従ってブタを別個の部屋に収容した。
【0059】
1.4 ワクチン接種およびウイルスチャレンジ
0日目に、第1群(V/C)の22頭のブタに、Ingelvac(登録商標) PRRS MLVワクチン2mL単回用量を筋肉内接種した。第2群(非V/C)の14頭のブタには0日目にPBS 2mLを注射した。第1群および第2群のブタへのウイルス投与は、28日目に希釈PRRSV JX143 3mLの経鼻投与により実施した。第3群(非V/非C)のブタは厳密なネガティブコントロールとしてワクチン接種もチャレンジも行わず、28日目にDMEM 3mLを注射した。14日目および42日目にそれぞれ1群につき2頭のブタを観察のため剖検した。残りのブタは49日目に剖検した。
【0060】
1.5 直腸温
0日目から49日目(チャレンジの21日後)まで、直腸温を毎日同時刻に記録した。
【0061】
1.6 血清学
0、7、14、21、28、32、42および49日目に全てのブタから血清を採取し、IDEXX PRRSV ELISAキットを用いて抗PRRSV抗体について検査した。
【0062】
1.7 臨床評価
0日目から49日目まで毎日ブタを監視し、行動変化ならびに呼吸および咳嗽などの臨床的呼吸徴候の重篤度を採点した。臨床徴候の採点法を表2に示す。
【0063】
【表2】
【0064】
* 呼吸:評点2(軽度)は、浅薄呼吸、鼻汁、刺激時の「激しい」腹式呼吸に対応する。評点3(重篤)は、速い浅薄呼吸、鼻汁、開口呼吸、「激しい」腹式呼吸に対応する。
【0065】
* 行動:1.口、鼻、耳および脚の内側の皮膚が赤くなり、うっ血、赤色斑、丘疹。2.抑うつ、被毛粗剛。3.食欲不振。4.跛行、震え、痙攣。5.るい痩。評点2は、上記症状の1または2個に対応する。評点3は、上記症状の3個以上に対応する。
【0066】
* 咳嗽:評点2は、喀痰を伴わない咳に対応する。評点3は喀痰を伴う咳に対応する。
【0067】
1.8 生産性の評価
全てのブタの体重を、0日目(ワクチン接種前)、28日目(チャレンジ前)、49日目(チャレンジの21日後)に記録した。
【0068】
1.9 Ingelvac(登録商標)PRRS MLVの有効性を、チャレンジコントロールおよびネガティブコントロール群と比較した、チャレンジ後のワクチン接種ブタの臨床徴候、肺病変評点および直腸温を評価することにより見積もった。1)3日間以上の高い直腸温(41℃)、2)抑うつ、食欲不振、結膜炎、咳嗽、呼吸障害、および3)肺炎、が明白である時、ブタがPRRSに臨床的に罹患したと考えた。
【0069】
1.10 肺病変
49日目(PRRSVチャレンジの21日後)に剖検を実施した。各々のブタについて、肉眼で確認できる肺炎(浮腫、うっ血、出血、肉様の堅固な線維状構造)に罹患している領域のパーセンテージ(0〜100%)について盲検により肺を評価した。
【0070】
1.11 PRRSV RNAの検出および定量
第1群(V/C)のブタから0、7、14、21、28、32、35、42日目に、そして第2群(非V/C)のブタから28、32、35および42日目に血清を採取した。QIAampウイルスRNAミニキット(QIAGEN)を用いて個々の血清試料140μlからRNA抽出を実施した。次いで、PRRSV RNA(Genbank)の保存領域に特異的なプライム−プローブ(Invitrogen)の組み合わせ(表1)を用いてRT−PCRを実施した。
【0071】
各々のRT反応物を、12.5μLのRNAテンプレート、4μLのdNTP、2μLの10x緩衝液、0.5μLのプライマーQstおよび1μLのQuant逆転写酵素で構成した。混合物を37℃の水浴で1時間インキュベートし、−20℃で保存した。次に、1μLのRT反応物、各1μLのSF14413およびSR1549プライマー、2μLの10x緩衝液、2μLのdNTP、5ユニットのrTaqポリメラーゼおよび総容量20μLとするための水を用いてPCRを実施した。反応プレートを特定の条件の下で配列検出系にかけた(94℃で5分間;次いで94℃30秒間、65℃30秒間、72℃75秒間を40サイクル;最後に72℃で10分間)。PCR増幅されたフラグメントをアガロースゲルで分離し、紫外光の下で検出した。
【0072】
1.12 PRRSV抗原検出のための免疫組織化学
PRRSV特異抗原検出のための免疫組織化学を、PRRSV抗N−タンパク質モノクローナル抗体(SR30またはSDOW17)および二次抗体を使用して、剖検後48時間以内に作製したホルマリン固定パラフィン包埋肺組織切片で実施した。
【0073】
2.結果
2.1 チャレンジ後の直腸温の変化
強毒性PRRSV JX143を接種した後、ワクチン接種群および非ワクチン接種群両方のブタの直腸温は速やかに上昇した。ピーク温度は41℃であり、75%のブタは投与ウイルスの接種後直ちに発熱した。直腸温は、ワクチン接種したブタでは10日間以内にチャレンジ前のレベルに下降したが、非V/C群のブタは発熱期間がより長く、直腸温上昇が有意に長く見られた(
図2)。
【0074】
2.2 血清学的反応
ELISA S/P反応群平均を利用してPRRSVに対する各群の血清学的反応を測定した(
図3)。ネガティブコントロールのブタは、この研究全体を通してPRRSV抗体について陰性であり続けた。V/C群において、この抗体はワクチン接種の10〜14日後に初めて検出され、S/P比≧0.4が接種後(p.i.)14日目に出現し、20頭のブタのうち8頭が陽性であり、そして、p.i.21日目にはV/C群内の20頭のブタのうち13頭が陽性であった。V/C群における最高のS/P比がチャレンジ後に観察され、この研究の終了時まで高値のままであった(ELISA S/P 2)。非V/Cブタはチャレンジ後速やかにセロコンバージョンした;p.i.7日目において12頭のブタのうち9頭が陽性であり、S/P比≧0.4であった。
【0075】
2.3 臨床徴候
V/C群および非V/C群から得られた呼吸障害評点を記録した(
図4)。チャレンジ後、V/C群の20頭のブタのうち5頭が呼吸徴候および咳嗽を示し、2頭が「激しい」腹式呼吸を示した。非V/C群の12頭のブタのうち8頭がp.i.21日目より前に死亡し、非V/C群の残りのブタは、「激しい」腹式呼吸と共に重度の呼吸徴候および咳嗽を示した。非V/Cブタの評点は連続して10日間6を超え、最高点は7に達した。V/Cブタは著明な臨床徴候を呈さず、それらは連続7日間4〜5の範囲で高い平均点を示した。厳密なネガティブコントロールとしての非V/非Cブタは臨床徴候を示さず、それらの平均評点は3(正常)であった。
【0076】
2.4 チャレンジ前後の1日あたりの平均体重増加
1日あたりの平均体重増加(ADG)を
図5にまとめる。0〜28日目まで、ADGはワクチン接種ブタ(0.3301±0.0414Kg)および非ワクチン接種ブタ(0.3008±0.0653Kg)間で有意な相違は見られなかった。28日目(チャレンジ日の前)から49日目まで、ワクチン接種ブタは非V/非Cコントロールブタと同様のADGであった(0.3373±0.0800Kg対0.3484±0.0890Kg)が、非V/Cブタは明らかに遙かに低いADG(0.0392±0.2398)を示した。
【0077】
2.5 ワクチン接種の有効性
チャレンジの後、MLVワクチン接種したブタは、チャレンジ後間もなく平均臨床徴候評点5の臨床徴候を示し、3頭以上のブタが高い直腸温(41℃)および肺病変を示した。方法の項で述べた基準によって判断すると、MLVワクチン接種ブタの25%(5/20)がPRRSを発症し、75%(15/20)が防御された。対照的に、全ての非ワクチン接種ブタはチャレンジ後にPRRSを発症し、8頭が死亡しその後剖検がなされた。
【0078】
【表3】
【0079】
2.6 肉眼的病変
剖検において、非V/C群中の4頭の生存ブタは、肺不全/虚脱、斑状黄褐色、うっ血、鼠径部、顎部、腸間膜リンパの浮腫およびうっ血を含む肉眼的病変を呈し、ならびに幾つかにおいては肝壊死を示した。V/C群の数頭のブタは、同様の、但しより重篤度の低い病変を有していた。非V/非Cコントロールブタは肉眼的病変を有していなかった。
【0080】
2.7 肉眼的肺病変評点
MLVワクチン接種ブタの肉眼的肺病変評点は非V/Cブタよりも著明に低く、これは、MLVが高病原性PRRSV接種に対して良好な防御を提供したことを示唆するものである(表4。巨視的肺病変発症の範囲は0〜100%である)。
【0081】
【表4】
【0082】
2.8 ウイルス血症の検出
PRRSV RT−PCR陽性血清のパーセンテージを
図6にまとめる。ウイルス血症はワクチン接種の7日後にMLVワクチン接種ブタの60%に検出され、チャレンジ前に20%まで減少した。チャレンジ後、ワクチン接種ブタの70%がウイルス血症を発症し、これがp.i.7日目に60%まで減少し、p.i.21日目には20%がウイルス血症であった。対照的に、非V/Cブタの100%がチャレンジ後にウイルス血症を発症し、ウイルス血はチャレンジ後に高レベルを保ち続け、非V/Cブタの70%がチャレンジ後21日目にウイルス血症であった。
【0083】
2.9 免疫組織化学による抗原検出
微小の肺病変が顕微鏡下に観察された。PRRSV感染した細胞が、チャレンジを受けた全てのブタにおいて見られた。MLV−V/CブタはPRRSV感染細胞がより少なかった。全細胞およびPRRSV感染細胞の数を様々な領域において記録した。細胞感染の比率は群間で著しい相違が見られ、非V/Cブタでは23.34±4.691、V/Cブタでは9.36±8.069、そして非V/非Cブタでは0.24±0.114であった(表5)。
【0084】
【表5】
【0085】
配列
配列番号1(JX143の配列、GENBANK EU708726)
【表6】
【0086】
配列番号2(VR2332のNSP2、SwissProt登録番号Q9WJB2)
【表7】
【0087】
配列番号3 PRRS VR2332のORF5配列(GENBANK登録番号U87392)
【表8】
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]