特許第5890496号(P5890496)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5890496
(24)【登録日】2016年2月26日
(45)【発行日】2016年3月22日
(54)【発明の名称】ガス燃料用燃料タンクを備えた浮遊式構造物
(51)【国際特許分類】
   B63B 11/04 20060101AFI20160308BHJP
   B63B 11/00 20060101ALI20160308BHJP
   B63B 11/02 20060101ALI20160308BHJP
   B63B 25/00 20060101ALI20160308BHJP
   B63B 25/16 20060101ALI20160308BHJP
   B63H 21/14 20060101ALI20160308BHJP
   B63H 21/16 20060101ALI20160308BHJP
   B63H 21/38 20060101ALI20160308BHJP
【FI】
   B63B11/04 B
   B63B11/00 Z
   B63B11/02
   B63B25/00 101Z
   B63B25/16 101Z
   B63H21/14
   B63H21/16
   B63H21/38 B
【請求項の数】16
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-186770(P2014-186770)
(22)【出願日】2014年9月12日
(62)【分割の表示】特願2012-534096(P2012-534096)の分割
【原出願日】2010年10月5日
(65)【公開番号】特開2015-16861(P2015-16861A)
(43)【公開日】2015年1月29日
【審査請求日】2014年9月17日
(31)【優先権主張番号】10-2009-0098984
(32)【優先日】2009年10月16日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】510046631
【氏名又は名称】デウ シップビルディング アンド マリーン エンジニアリング カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000305
【氏名又は名称】特許業務法人青莪
(72)【発明者】
【氏名】リー サン ジュン
(72)【発明者】
【氏名】ビュン ユーン シュル
(72)【発明者】
【氏名】リー ウォン ジョー
【審査官】 川村 健一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−105447(JP,A)
【文献】 特表2007−504051(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/147931(WO,A1)
【文献】 国際公開第2008/075882(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63B 11/00 − 11/04
B63H 21/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料として使用するためのガス燃料を貯蔵するガス燃料用燃料タンクを備え、海上で浮遊したまま使用する浮遊式構造物において、
前記浮遊式構造物の上甲板上に位置する船室区域と、
前記浮遊式構造物の船体内部において前記船室区域の下部に設置するガス燃料用燃料タンクと、
前記船室区域の安全確保のため前記船室区域と前記ガス燃料用燃料タンクとの間に設置する遮断手段とを含み、
前記上甲板に垂直な方向に沿って上部から順に前記船室区域、前記遮断手段、前記ガス燃料用燃料タンクが位置し、これら前記船室区域、前記遮断手段及び前記ガス燃料用燃料タンクは、前記上甲板に垂直な方向からみて少なくとも一部が重なるように配置され、
前記船室区域は船体中央部に位置し、
前記遮断手段は、一対のバルクヘッド間にボイドスペースを形成して構成されるコファダムであることを特徴とするガス燃料用燃料タンクを備えた浮遊式構造物。
【請求項2】
前記コファダムと前記船室区域との間には、火災時に発生する熱とガスを遮断する隔壁が位置することを特徴とする請求項記載のガス燃料用燃料タンクを備えた浮遊式構造物。
【請求項3】
前記ガス燃料用燃料タンクの上方には前記ガス燃料用燃料タンクに貯蔵した燃料を処理するための機械室が位置し、前記機械室と前記船室区域との間には前記コファダムが位置することを特徴とする請求項記載のガス燃料用燃料タンクを備えた浮遊式構造物。
【請求項4】
前記コファダムと前記船室区域との間には、火災時に発生する熱とガスを遮断できる隔壁が位置することを特徴とする請求項記載のガス燃料用燃料タンクを備えた浮遊式構造物。
【請求項5】
前記ガス燃料用燃料タンクの上方には、前記ガス燃料用燃料タンクに貯蔵した燃料を処理するための機械室が位置し、前記機械室と前記船室区域との間には、火災時に発生する熱とガスを遮断する隔壁が位置することを特徴とする請求項記載のガス燃料用燃料タンクを備えた浮遊式構造物。
【請求項6】
前記ガス燃料用燃料タンクに貯蔵した燃料は液化ガスであり、前記機械室には前記液化ガスを推進装置や発電装置で使用できるように処理するため、再凝縮器、ポンプ、冷却機、気化器、及び蒸発ガス圧縮機の少なくとも一つが設置されていることを特徴とする請求項記載のガス燃料用燃料タンクを備えた浮遊式構造物。
【請求項7】
前記浮遊式構造物は、前記ガス燃料用燃料タンクに貯蔵したガス燃料を燃料として使用する推進装置を更に含むことを特徴とする請求項1記載のガス燃料用燃料タンクを備えた浮遊式構造物。
【請求項8】
前記推進装置は、異種燃料を使用して動力発生できる高圧ガス噴射エンジン又は低圧ガス噴射エンジンであることを特徴とする請求項記載のガス燃料用燃料タンクを備えた浮遊式構造物。
【請求項9】
前記推進装置はガスタービンであることを特徴とする請求項記載のガス燃料用燃料タンクを備えた浮遊式構造物。
【請求項10】
前記ガス燃料用燃料タンクは、前記船体に着脱可能であることを特徴とする請求項1記載のガス燃料用燃料タンクを備えた浮遊式構造物。
【請求項11】
前記浮遊式構造物は、重油及びディーゼル油の中で少なくとも一つを燃料として使用できるように貯蔵する液体燃料用燃料タンクを更に含むことを特徴とする請求項記載のガス燃料用燃料タンクを備えた浮遊式構造物。
【請求項12】
前記ガス燃料用燃料タンクは、液化ガスを貯蔵できる独立型タンクであることを特徴とする請求項1記載のガス燃料用燃料タンクを備えた浮遊式構造物。
【請求項13】
前記浮遊式構造物は推進装置により自力航海できる船舶であることを特徴とする請求項1記載のガス燃料用燃料タンクを備えた浮遊式構造物。
【請求項14】
前記船舶は、コンテナ船であることを特徴とする請求項13記載のガス燃料用燃料タンクを備えた浮遊式構造物。
【請求項15】
燃料として使用するためのガス燃料を貯蔵するガス燃料用燃料タンクを備え、海上で浮遊したまま使用する浮遊式構造物において、
前記浮遊式構造物の上甲板上に位置する船室区域と、
前記浮遊式構造物の船体内部で前記船室区域の下部に設置するガス燃料用燃料タンクと、
前記船室区域の安全確保のため前記船室区域と前記ガス燃料用燃料タンクとの間に設置するコファダム、及び火災時に発生する熱とガスを遮断できる隔壁から成る遮断手段とを含み、
前記上甲板に垂直な方向に沿って上部から順に前記船室区域、前記遮断手段、前記ガス燃料用燃料タンクが位置し、これら前記船室区域、前記遮断手段及び前記ガス燃料用燃料タンクは、前記上甲板に垂直な方向からみて少なくとも一部が重なるように配置され、
前記船室区域は船体中央部に位置することを特徴とするガス燃料用燃料タンクを備えた浮遊式構造物。
【請求項16】
前記浮遊式構造物の上甲板上部の船室区域以外の空間は貨物を積載できる貨物積載空間であることを特徴とする請求項15記載のガス燃料用燃料タンクを備えた浮遊式構造物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス燃料用燃料タンクを備えた浮遊式構造物に関するもので、より詳しくは、異種燃料推進システムに供給するためのガス燃料貯蔵用のガス燃料用燃料タンクが船室区域の下部に配置された浮遊式構造物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、バルク貨物船、コンテナ船、旅客船などの各種船舶は、推進燃料として液体燃料のバンカーC重油などの重油(Heavy Fuel Oil;HFO)或いは、舶用ディーゼル油(Marine Diesel Oil;MDO)を使用する燃料供給システムを採用している。
【0003】
これら従来の燃料供給システムにおいて、燃料として使用している重油などを燃焼する場合、排出ガス中の各種有害物質による環境汚染が深刻な問題である。環境汚染防止の要求が世界的に漸次強化されているため、燃料油として重油を使用する推進装置に対する規制も同様に強化されつつあり、このような規制を満たすための費用が段々増加している。
【0004】
また、化石燃料の枯渇や局地的情勢不安などの要因により油価が上昇する場合、重油を燃料として使用する船舶の燃料費が急増する問題など、様々な運営上の問題点がある。
【0005】
従って、各種船舶の燃料油として、重油(或いはMDO)を使用しないか又はその使用量を最小化し、液化又はガス状態のガス燃料である液化天然ガス(Liquefied Fuel Gas;LNG)、液化石油ガス(Liquefied Petroleum Gas;LPG)、圧縮天然ガス(Compressed Natural Gas;CNG)、或いは、ジメチルエーテル(Dimetyl Ether;DME)などのクリーン燃料を使用したり、重油(或いはMDO)の価格が高くなったり環境保護上の要求基準が高い場合にはLNG(或いは、CNG、DME)などを燃料として主に使用し、重油(或いはMDO)の価格が安くなったり環境基準が低い場合には重油(或いは MDO)を主に使用したりすることのできる、燃料供給システムなどに関する研究が続けられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような従来の問題点を解決するため、異種燃料推進システムに供給するためのガス燃料貯蔵用のガス燃料用燃料タンクが船室区域の下部に配置され、効率的空間活用が可能となる、ガス燃料用燃料タンクを備えた浮遊式構造物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、本発明の一実施形態で、燃料として使用するためのガス燃料を貯蔵するガス燃料用燃料タンクを備え、海上で浮遊したまま使用される浮遊式構造物において、前記浮遊式構造物の上甲板上に位置する船室区域と、前記浮遊式構造物の船体内部において前記船室区域の下部に設置するガス燃料用燃料タンクと、前記船室区域の安全確保のため前記船室区域と前記ガス燃料用燃料タンクとの間に設置する遮断手段とを含み、前記上甲板に垂直な方向に沿って上部から順に前記船室区域、前記遮断手段、前記ガス燃料用燃料タンクが位置し、これら船室区域、前記遮断手段及び前記ガス燃料用燃料タンクは、前記上甲板に垂直な方向からみて少なくとも一部が重なるように配置され、前記船室区域は船体中央部に位置することを特徴とする、ガス燃料用燃料タンクを備える浮遊式構造物が提供される。
【0008】
前記遮断手段は、一対のバルクヘッド間にボイドスペースを形成して構成されるコファダムであることが好ましい。
【0009】
前記遮断手段は、火災時に発生する熱とガスを遮断可能な隔壁(barrier rib)であることが好ましい。
【0010】
前記コファダムと前記船室区域との間には、火災時に発生する熱とガスの遮断が可能な隔壁を備えることが好ましい。
【0011】
前記ガス燃料用燃料タンクの上方には前記ガス燃料用燃料タンクに貯蔵した燃料を処理するための機械室が位置し、前記機械室と前記船室区域との間には前記コファダムが位置することが好ましい。
【0012】
前記コファダムと前記船室区域との間には、火災時に発生する熱とガスの遮断が可能な隔壁を備えることが好ましい。
【0013】
前記ガス燃料用燃料タンクの上方には前記ガス燃料用燃料タンクに貯蔵した燃料を処理するための機械室が位置し、前記機械室と前記船室区域との間には前記隔壁が位置することが好ましい。
【0014】
前記ガス燃料用燃料タンクに貯蔵した燃料は液化ガスであり、前記機械室には前記液化ガスを推進装置や発電装置で使用できるように処理するため、再凝縮器、ポンプ、冷却機、気化器、及び蒸発ガス圧縮機の少なくとも一つが設置されていることが好ましい。
【0015】
前記浮遊式構造物は、前記ガス燃料用燃料タンクに貯蔵したガス燃料を燃料として使用する推進装置を更に含むことが好ましい。
【0016】
前記推進装置は、異種燃料を使用し動力を発生できる高圧ガス噴射エンジン、又は低圧ガス噴射エンジンであることが好ましい。また、前記推進装置はガスタービンであることが好ましい。
【0017】
前記ガス燃料用燃料タンクは、前記船体から取外し可能であることが好ましい。
【0018】
前記浮遊式構造物は、重油及びディーゼル油のうち少なくとも一つを燃料として使用できるように貯蔵する液体燃料用燃料タンクを更に含むことが好ましい。
【0019】
前記ガス燃料用燃料タンクは、液化ガスを貯蔵できる独立型タンクであることが好ましい。
【0020】
前記浮遊式構造物は、推進装置により自力で航海できる船舶であることが好ましく、前記船舶はコンテナ船であることが好ましい。
【0021】
また、本発明の他の一実施形態で、燃料として使用するためのガス燃料を貯蔵するガス燃料用燃料タンクを備え、海上で浮遊したまま使用する浮遊式構造物において、前記浮遊式構造物の上甲板上に位置する船室区域と、前記浮遊式構造物の船体内部において前記船室区域の下部に設置されるガス燃料用燃料タンクと、前記船室区域の安全確保のため前記船室区域と前記ガス燃料用燃料タンクとの間に設置するコファダムと火災時に発生する熱とガスを遮断できる隔壁とを含み、前記上甲板に垂直な方向に沿って上部から順に前記船室区域、前記遮断手段、前記ガス燃料用燃料タンクが位置し、これら船室区域、前記遮断手段及び前記ガス燃料用燃料タンクは、前記上甲板に垂直な方向からみて少なくとも一部が重なるように配置され、前記船室区域は船体中央部に位置することを特徴とする、ガス燃料用燃料タンクを備える浮遊式構造物が提供される。
【0022】
前記浮遊式構造物の上甲板上部の船室区域以外の空間は貨物積載できる貨物積載空間であることが好ましい。
【0023】
また、本発明の更に他の一実施形態で、燃料として使用するためのガス燃料を貯蔵するガス燃料用燃料タンクを備え海上で浮遊したまま使用する船舶において、前記船舶の上甲板上に位置する船室区域と、前記船舶の船体内部において前記船室区域の下部に設置するガス燃料用燃料タンクと、前記船室区域の安全確保のため前記船室区域と前記ガス燃料用燃料タンクとの間に設置する遮断手段と、前記ガス燃料用燃料タンクに貯蔵したガス燃料を燃料として使用し推進力を発生する推進装置とを含み、前記上甲板に垂直な方向に沿って上部から順に前記船室区域、前記遮断手段、前記ガス燃料用燃料タンクが位置し、これら船室区域、前記遮断手段及び前記ガス燃料用燃料タンクは、前記上甲板に垂直な方向からみて少なくとも一部が重なるように配置され、前記船室区域は船体中央部に位置することを特徴とする船舶が提供される。
【発明の効果】
【0024】
前述のとおり、本発明は、船室区域の下部に異種燃料推進システムに供給するガス燃料を貯蔵するためのガス燃料用燃料タンクを備える浮遊式構造物を提供する。
【0025】
従って、本発明の浮遊式構造物により、船体内部及び上甲板上部の効率的空間活用が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の一実施形態において、異種燃料推進システムを備えた浮遊式構造物の概略側断面図。
図2】本発明の他の実施形態において、異種燃料推進システムを備えた浮遊式構造物の概略側断面図。
図3】一種類の燃料タンクのみを備えるように設計及び建造された浮遊式構造物に、また他種類の燃料タンクを追加的に設置する方法を説明するための図。
図4】本発明のまた他の実施形態において、異種燃料推進システムを備える浮遊式構造物の概略側断面図。
図5】本発明により同一空間内に種類の異なる燃料を選択的に受入れる概念を説明するための図。
図6】船室区域の下部にガス燃料用燃料タンクが装着された場合の浮遊式構造物を概略的に図示する側面図。
図7図6の主要部拡大図。
図8】貨物積載区域の下部にガス燃料用燃料タンクが装着された場合の浮遊式構造物を概略的に図示する側面図。
図9図8の主要部拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、添付図面を参照し本発明の好ましい実施例により、異種燃料推進システムを有する浮遊式構造物を詳細に説明する。
【0028】
図1ないし図4には、異種燃料推進システムを有する浮遊式構造物の多様な実施形態に関する概略側面図を図示している。
【0029】
図1に図示した通り、異種燃料推進システムを有する浮遊式構造物は、船体1の内部に燃料を貯蔵するための複数の燃料タンク3、4と、この燃料タンク3、4から供給される燃料により推進力を発生する推進装置5を含む。
【0030】
異種燃料推進システムは、上述の複数の燃料タンク3、4及び推進装置5と、これら燃料タンク3、4に受入れた各々の燃料を推進装置5側に供給できる配管が含まれて構成できる。
【0031】
本明細書において浮遊式構造物は、バルク貨物船、コンテナ船、旅客船などの各種船舶を始め、平常時には海上に係留したまま使用する、浮体式石油生産貯蔵積出設備(Oil Floating Production Storage and Offloading;FPSO)などの海上プラントなどを全て含む概念である。
【0032】
図1に示した通り、浮遊式構造物がバルク貨物船や液体貨物運搬船などである場合、燃料タンク3、4以外にも貨物を貯蔵できる一つ以上の貯蔵タンク7を含むことができる。これらの貯蔵タンク7にも燃料として使用できる貨物が受入れられるが、このような場合においては燃料ではなく貨物として取扱われるので、本明細書の燃料タンクに貯蔵した燃料とは異なることに注意すべきである。
【0033】
本実施形態において、燃料タンク3、4の一部(即ち、液体燃料用燃料タンク3)には一般的に推進装置の燃料として広く使用される重油やMDOなどの液体燃料が貯蔵でき、他の燃料タンク(即ち、ガス燃料用燃料タンク4)にはLPG、LNG、DME、CNGなどのガス燃料中いずれか一つが貯蔵できる。
【0034】
本明細書において液体燃料とガス燃料という表現は、推進装置、即ちエンジンに供給する時の状態が液体であるか気体であるかにより定められる。即ち、推進装置に供給する時液体状態を維持する重油、ディーゼル油などの燃料は液体燃料であり、燃料タンクに貯蔵中には液体状態或いは気体状態であるが推進装置に供給する時気体状態で供給されるLNG、LPG、DME、CNGなどの燃料はガス燃料である。
【0035】
一般的に重油以外の燃料としては、特にLNG、LPG、CNGなどの炭化水素成分を含む燃料ガスを使用することが好ましい。
【0036】
LNGは、ガス田から採取した天然ガスを液化したもので、メタンが主成分である。LNGは温度を下げるか加圧して液化すると嵩が大体1/600まで減り空間効率上有利であるが、沸点が約−162℃と低いため、輸送、貯蔵時には特殊断熱タンクや容器に充填し温度を沸点以下で維持しなければならない。
【0037】
LPGは、油田の原油採取時又は原油精製時に生じる重炭化水素(炭素原子が2個以上)成分、或いは天然ガス採取時に同時に採取される重炭化水素成分を比較的低い圧力(6―7 kg/cm)を加えて冷却、液化したものである。液化時嵩が大体1/250に減り貯蔵と輸送に有利であり、主成分がプロパンとブタンで、少量のエタン、プロピレン、ブチレンなどが含まれ得る。
【0038】
CNG、即ち圧縮天然ガスは天然ガスを燃料として使用するために約200気圧程度に圧縮したものである。
【0039】
DMEは、エーテルの一種であり、LPGより引火性が低く毒性が弱く、酸素含有率が高いため、燃焼時の煤煙発生と環境負荷が少ない。
【0040】
各々の燃料タンク3、4は受入れる燃料の種類に応じて適切な水準の断熱及び密封システムを備える。特に、LNG、LPGなどの液化ガスを受入れる燃料タンクとして、液化ガス貯蔵ンク分野で使用しているメンブレン型又は独立型タンクが使用できる。
【0041】
図1では、液体燃料用燃料タンク3とガス燃料(例えば、LNG、LPG、DME、CNGなど)用燃料タンク4が全て浮遊式構造物の船体1内部に設置されているが、図2に図示したように、液体燃料用燃料タンク3を浮遊式構造物の船体1内部に設置し、ガス燃料用燃料タンク4を浮遊式構造物の甲板上に設置するように変更できる。また、ガス燃料用燃料タンク4を浮遊式構造物の船体1内部に設置し、液体燃料用燃料タンク3を浮遊式構造物の甲板上に設置するように変更できることは勿論である。
【0042】
一方、推進装置5としては、例えば、二元燃料ディ−ゼル電気(Dual Fuel Diesel Electric;DFDE)エンジンなどの低圧ガス噴射エンジンや、例えば、船舶用電子制御式ガスインジェクションエンジン(ME−GI、Man B&W社のGas Injectionエンジン)などの高圧ガス噴射エンジン、またガスタービンなどを活用できるが、二以上の異種燃料を使用できるものならその他の推進装置も使用できることは勿論である。
【0043】
本明細書の「二以上の異種燃料が使用できる」という表現は、使用可能な燃料が二つ以上であると同時に、二つ以上の異種燃料を混合して使用できるという意味と、使用可能な燃料が二つ以上でありながらこれらの中で一種類の燃料を必要に応じて選択的に使用できるという意味を全て含む概念である。
【0044】
図3には、一種類、例えば液体燃料用燃料タンク3のみを備えるように設計及び建造した浮遊式構造物に、更に他の種類、例えばLNGなどのガス燃料用燃料タンク4を追加的に設置する方法を説明するための図が例示されている。
【0045】
図3の例示方法において、浮遊式構造物の船体1を任意の位置で切断し二つの部分、即ち船首部1aと船尾部1bとに分離し、燃料タンク4が内蔵された追加船体部1cをこれらの船首部1aと船尾部1bとの間に挟み込み溶接により一つの船体に一体化する。
【0046】
また、本発明において、図3に図示した通り船体1内部に燃料タンクを追加的に設置する方法以外にも、図2に図示したように燃料タンクを浮遊式構造物の甲板上に追加的に設置することもできる。
【0047】
図1のように最初の設計時から二種類以上の燃料が貯蔵できる複数の燃料タンク3、4を船体1に設置する場合、或いは図3のように他の種類の燃料が貯蔵できる燃料タンク4を船体1に後で追加する場合、これらの燃料タンク3、4は船体1に永久的に取付けできるように構成できるし、図4に図示したように必要に応じて着脱できるようにも構成できる。
【0048】
図4に図示したように、着脱できる燃料タンク9を備える場合、燃料の使用量を勘案しもっと多くの量が使用される種類の燃料が貯蔵できる燃料タンクを選択的に装着することができるようになる。燃料使用量の決定要因として、推進装置の種類、燃料の価格、季節及び環境的要因などを挙げることができる。
【0049】
例えば、浮遊式構造物の船体1に重油などの液体燃料用燃料タンク3とLNGなどのガス燃料用燃料タンク4を各々一つずつ設置し、これらの燃料中液体燃料の使用量が多いと予想したら液体燃料用燃料タンクとしての着脱式燃料タンク9を追加装着し、ガス燃料の使用量が多いと予想したらガス燃料用燃料タンクとしての着脱式燃料タンク9を追加装着できる。
【0050】
また、燃料使用量が少ない場合には着脱式燃料タンク9を除去し、それにより形成される船体1内部の空き空間を貨物積載用空間などの用途として使用することもできる。
【0051】
例えば、LNGなどのガス燃料はHFOなどの液体燃料に比べて密度が低いので相対的に高密度の液体燃料のみを使用する場合には着脱式燃料タンク9を除去し、それにより形成される船体1内部の空間を貨物積載用空間などの用途に使用し、ガス燃料を主に使用する場合には着脱式燃料タンク9としてガス燃料用燃料タンクを装着して使用することも可能である。
【0052】
また、本発明において、図5に示した通り、一つの空間、例えば一つの燃料タンク3 又は4に必要に応じてお互いに異種の燃料を貯蔵するように構成しても良い。例えば、同じ一つの空間に必要に応じてLNG又はLPGを選択的に貯蔵できるし、同じ一つの空間に必要に応じて重油又はディーゼル油を選択的に貯蔵することもできる。
【0053】
このように、本発明によると、図4のように一つの空間に種類の異なる燃料タンクを選択的に受入れることができるし、図5のように同じ一つの空間に互いに異種の燃料を選択的に受入れることもできる。
【0054】
以下、図6ないし図9を参照し、推進装置として異種燃料推進システムが装着され、この異種燃料推進システムに供給するガス燃料を貯蔵するためのガス燃料用燃料タンクを備えるコンテナ船に本発明を適用した例を説明する。
【0055】
図6は、船室区域の下部にガス燃料用燃料タンクを装着した場合の浮遊式構造物、即ちコンテナ船を概略的に図示した側面図で、図7図6の主要部の拡大図である。また、図8は貨物積載区域の下部にガス燃料用燃料タンクを装着した場合の浮遊式構造物、即ちコンテナ船を概略的に図示した側面図で、図9図8の主要部の拡大図である。
【0056】
コンテナ船には、乗務員たちが居住する船室区域102、推進装置105が設置される機関室106、燃料タンク104が設置される空間、機械室108などを除外した船体内部及び上甲板101a上に多数のコンテナが積載される。コンテナ船が大きくなると視野確保のため船室区域102を船尾から船体中央部に移して設置するのが好ましく、それにより効率的空間活用のためコンテナを積載しづらい船室区域102の下部空間を燃料タンク104の配置空間として活用する。本明細書で、船体中央部というのは、推進装置105を設置した船体の船尾より前の部分を意味し、必ずしも船体の長さ方向の中心部分を意味することではない。
【0057】
本発明者たちは、漸次強化されている環境規制に適合するとともに重油又はディーゼル油などの液体燃料の価格上昇に対応するため、コンテナ船などの貨物船を推進するための推進装置の燃料としてLNG(又はLPG、DME)などの液化ガスを使用する方法を提示する。このために推進装置として異種燃料を燃料として使用できるME−GIなどの高圧ガス噴射エンジン或いはDFDEなどの低圧ガス噴射エンジンなどの異種燃料推進システムを使用する。
【0058】
図6及び図7は、推進装置105としてME−GIを使用し、船室区域102の下部に ガス燃料用燃料タンクとしてのLNG燃料タンク104を設置した例示で、図8及び図9は、推進装置105としてME−GIを使用し貨物積載区域114の下部にガス燃料用燃料タンクとしてのLNG燃料タンク104を設置した例示であるが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。推進装置105においてLNGとともに燃料として使用する重油を貯蔵するための液体燃料用燃料タンクとしての重油燃料タンクは、LNG燃料タンク104とともに船室区域102の下部に設置できるし、その他の船体内部にも設置できる。
【0059】
本発明において、LNG燃料タンク及び重油燃料タンクのうち少なくとも一つは船体から取外し可能で、他の種類の燃料タンクに交換できる。また、本発明において、燃料使用量により船体内部に装着するLNG燃料タンク数と重油燃料タンク数は調節できる。
【0060】
LNG燃料タンク104としてメンブレン型タンク又は独立型タンクが使用でき、特にIMO type Bタンクを使用することが好ましい。即ち、LNG燃料タンク104が船体内部から取外しできるためには独立型タンクであることが好ましく、多様な種類の独立型タンク中でもタンクの下部(タンクと船体内部底との間)に船体保護手段が二次防壁として設置されるIMO type Bタンクの使用が特に好ましい。
【0061】
推進装置105としての異種燃料推進システム(ガス噴射エンジン)に燃料を供給するための各種装置は、LNG燃料タンク104の上方に位置する機械室108内に配置することが好ましい。このようなLNGを燃料としてエンジンに供給する燃料供給用装置には、再凝縮機、高圧ポンプ、冷却機、高圧気化器、蒸発ガス圧縮機などがある。
【0062】
極低温状態の液化ガスを燃料として使用する場合、このような燃料供給用装置に対して適切な断熱が要求されるため、燃料タンクとしてのLNG燃料タンク104と機械室108との距離はできるだけ近い方が好ましい。LNG燃料タンク104と機械室108との距離が遠い場合には、LNGを移送する移送配管において断熱上熱損失が増えて好ましくない。
【0063】
また、図7に示した通り、機械室108はLNG燃料タンク104と船室区域102との間に位置することが好ましい。上述の通り、船室区域102の下部にはコンテナなどの貨物115を積載することが困難であるため、この空間をLNG燃料タンク104が位置する空間として活用することが好ましい。更に、機械室108はLNG燃料タンク104の近くに位置することが好ましいため、結果的に船室区域102の下方であると同時にLNG燃料タンク104の上方に機械室108が位置することが好ましい。
【0064】
また、機械室108が船室区域102とLNG燃料タンク104の間に配置されるのがメンテナンス面でも有利である。
【0065】
LNG燃料タンク104に貯蔵した燃料としてのLNGを推進装置105としてのME−GIエンジンに供給するためには、機械室108を経由して、LNGを推進装置105に供給する。このとき、機械室108から推進装置105まで燃料としてのLNGを供給するため、船体下部又は側面に燃料供給用配管が設置できる。
【0066】
燃料タンク104及び機械室108は危険区域として区分され、上甲板101a上に配置した船室区域102は安全区域として区分される。従って、危険区域である燃料タンク104や機械室108において火災や燃料であるLNGの漏出が発生すると、危険区域と安全区域を遮断して船員、乗客、貨物の安全を確保する必要がある。
【0067】
このため本発明では、機械室108の上方にはコファダム116を形成し、コファダム116と船室区域102の間の甲板は、火災発生時に熱とガスを遮断できる例えばA−60隔壁118などの隔壁で形成する。これらのコファダム116と隔壁118は安全のための遮断手段としての機能を果たすことができる。
【0068】
図7及び図9には、熱とガスを遮断できる隔壁としてA−60隔壁118を例示しているが、本発明がこれに限定されるものではない。火災発生時に熱とガスを遮断できるものならその他の隔壁も使用できることは勿論である。
【0069】
一方、燃料タンク104の下部、即ち船体の底は二重底で構成される。
【0070】
コファダム116は、一対のバルクヘッド(隔壁)の間に空の空間、即ちボイド(void)スペースが形成される構造物を意味する。また、A−60隔壁118は、火災発生時断熱及びガスの遮断を60分まで保障する隔壁(全溶接式機密構造の単一隔壁)を意味する。
【0071】
コファダム116と隔壁118は、図8及び図9に図示した通り、貨物積載区域114と燃料タンク104の間を区画するため使用できる。図9には機械室108が省略され、燃料タンク104の上方にコファダム116が配置されるように図示されているが、図7のように燃料タンク104とコファダム116の間に機械室108を配置することもできる。
【0072】
燃料タンク104は、船体の幅方向に沿って二つ以上並設でき、燃料タンク104の長さは図9に示した通り、40ftの長さのコンテナに大体相当する寸法である。
【0073】
本発明において、LNG燃料タンク104は船体に着脱できるように装着できるし、LNG以外にLPGやCNG、DMEなどのガス燃料も貯蔵できる。また、重油やディーゼル油などの液体燃料を貯蔵する液体燃料用燃料タンクは、LNG燃料タンク104の左右或いは前後方向に並設したり、船体内の別の場所に設置したりすることもできる。
【0074】
前記の説明では浮遊式構造物に二つのお互い異なる燃料用燃料タンクを設置することで説明がなされているが、本発明において三つ以上のお互い異なる燃料用燃料タンクを設置することもできる。
【0075】
各々の燃料別価格及び効率は時代また色々な要因により変化するが、本発明では、現在時点で最も効率的な燃料を選択的に採用し、推進のため使用できるようになる。また、効率に優れた電気推進システムや太陽熱システム或いは風力システムの開発が近い将来完成される場合、本発明のシステムを使用し多重燃料(multi−fuel)推進システムを構成することができる。
【0076】
また、前記の説明では燃料タンクからの燃料がME−GIエンジン又はDFDEエンジンなどのガス噴射エンジンの推進装置に供給することと説明がなされているが、この燃料は発電用の前記エンジン以外のガスタービンなどにも供給できる。
【0077】
以上、添付図面を参照し本発明のガス燃料用燃料タンクを備える浮遊式構造物を説明したが、本発明は以上で説明した実施例と図面に限定されるものではなく、本発明の属する技術分野で通常の知識を有する者により様々な修正及び変形が行われ得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0078】
1…船体、1a…船首部、1b…船尾部、1c…追加船体部、3…液体燃料用燃料タンク、4…ガス燃料用燃料タンク、5…推進装置、7…貯蔵タンク、9…着脱式燃料タンク、101a…上甲板、102…船室区域、104…燃料タンク、105…推進装置、106…機関室、108…機械室、114…貨物積載区域、115…貨物、116… コファダム 、118…隔壁。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9