(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。まず、
図1および
図2を参照して、本発明の一実施形態に係るロボットシステム10について説明する。なお、以下の説明においては、理解の容易の観点から、
図1および
図2に示すようにx軸、y軸、およびz軸を規定し、便宜的に、x軸プラス方向を右方、y軸プラス方向を前方、z軸プラス方向を上方として説明する。
【0015】
ロボットシステム10は、基板Aを切断するためのロボットシステムである。ロボットシステム10は、ロボット12と、ロボット12を制御する制御部14とを備える。制御部14は、ロボット12を構成する各要素を、直接的または間接的に制御する。
【0016】
本実施形態においては、ロボット12は、複数の軸を有する垂直多関節型ロボットである。具体的には、ロボット12は、旋回胴16に取付けられた下腕部18、および下腕部18に取り付けられた前腕部20を有するロボットアーム22と、切断装置30とを備える。
【0017】
切断装置30は、前腕部20の先端に取り付けられた手首部24を介して、前腕部20に取り付けられている。具体的には、切断装置30は、取り付けプレート32、台座プレート34、支持シャフト36、可動部38、および第1のエアシリンダ40を備える。
【0018】
取り付けプレート32は、手首部24に取り付けられている。台座プレート34は、取り付けプレート32の下方に離隔して配置され、取り付けプレート32に対して固定されている。支持シャフト36は、取り付けプレート32と台座プレート34との間で上下方向に延在し、その上端にて取り付けプレート32に固定され、その下端にて台座プレート34を支持している。本実施形態においては、計2本の支持シャフト36が設けられている。
【0019】
可動部38は、支持シャフト36に摺動可能に嵌め込まれている。具体的には、可動部38は、主プレート38aと、主プレート38aに設けられた2つの筒状部38bとを有する。支持シャフト36の各々は、筒状部38bの各々に挿通されている。これにより、可動部38は、支持シャフト36に沿って、上下方向に摺動可能となっている。
【0020】
第1のエアシリンダ40は、可動部38の上に設置されている。第1のエアシリンダ40は、台座プレート34に機械的に連結されたシリンダシャフト(図示せず)を有し、第1のエアシリンダ40内に供給される気体の圧力を上昇させることによって、該シリンダシャフトを介して台座プレート34を下方へ押す。
【0021】
切断装置30は、押え部42、切断部44、および第2のエアシリンダ46をさらに備える。押え部42は、その基端が台座プレート34の下側に固定されている。押え部42は、その基端から、前方下方へ湾曲しつつ延在し、その先端に、下方側に面して配置された切断面42a(
図7)を有する。本実施形態においては、切断面42aは、x−y平面に略平行に配置された平面である。
【0022】
切断部44は、可動部38に固定された支持部48(
図7)を介して、可動部38に支持されている。具体的には、切断部44は、支持部48の先端に設けられたピン50(
図7)に枢支されており、押え部42の右側に隣接して配置されている。
【0023】
切断部44は、略L字状に屈曲して延在し、基端部44aと、該基端部44aの先端から、該基端部44aに対して傾斜して延出する先端部44bとを有する。先端部44bには、上方側に面して配置された切断面44c(
図7)を有する。本実施形態においては、切断面44cは、略平面である。なお、切断面44cは、ノコギリ刃を有してもよい。
【0024】
第2のエアシリンダ46は、可動部38に固定された取り付け具52を介して、可動部38に取り付けられている。第2のエアシリンダ46は、シリンダシャフト54を有する。第2のエアシリンダ46の内部に供給される気体の圧力が増減されるのに応じて、シリンダシャフト54は、その軸方向に駆動される。
【0025】
シリンダシャフト54の先端には、ピン56を介して、カム58が回動可能に取り付けられている。カム58は、シリンダシャフト54の先端に固定されたピン56に枢支されており、該ピン56の周りに回動可能となっている。上述した切断部44の基端部44aは、ボルト60を介して、カム58に固定されている。
【0026】
切断部44は、第2のエアシリンダ46およびカム58の動作によって、ピン50の周りに回動する。以下、このような切断部44の動作について、説明する。第2のエアシリンダ46内の気圧を上昇させると、シリンダシャフト54が、その軸方向に沿って下方側へ押し出される。
【0027】
このシリンダシャフト54の移動は、カム58を介して、切断部44に伝達される。しかしながら、切断部44は、支持部48に固定されたピン50に枢支されているので、該ピン50によって下方側への移動が規制される。その結果、カム58がピン56の周りを回動し、これに伴って、切断部44がピン50の周りを回動することになる。
【0028】
切断装置30は、力覚センサ62と、押え部42を基板Aに押し付けるための押し付け力を該押え部42に生じさせる第1の力生成部と、該押し付け力を調整する第1の調整部とをさらに備える。
【0029】
本実施形態においては、力覚センサ62は、取り付けプレート32と手首部24との間に配置され、取り付けプレート32と手首部24との間に掛かる力を計測する。力覚センサ62は、制御部14に接続され、計測した力に係る信号を制御部14へ送信する。なお、力覚センサ62、第1の力生成部、および第1の調整部の機能については、後述する。
【0030】
次に、
図2を参照して、基板Aについて簡単に説明する。基板Aは、切断作業が行われるとき、治具(図示せず)の上に設置される。基板Aには、一方へ延在する細長い開口A
1およびA
2が予め形成されている。本実施形態に係る切断装置30は、開口A
1およびA
2との間に位置する、基板Aの部分A
3を切断する。切断装置30によって基板Aを切断する場合、基板Aは、開口A
1およびA
2の延在方向がy軸方向に一致するように、治具の上に設置される。
【0031】
次に、
図1〜
図10を参照して、ロボットシステム10の動作について説明する。なお、
図7〜
図10においては、理解の容易の観点から、基板Aを点線で表している。
図3に示すフローは、制御部14が使用者から基板Aの切断作業指令を受け付けたときに開始する。
【0032】
ステップS1において、制御部14は、押え部42を基板Aに押し付ける。このステップS1について、
図4を参照して説明する。ステップS1が開始されると、ステップS11において、制御部14は、押え部42を基板Aの上に位置決めする。
【0033】
具体的には、制御部14は、ロボットプログラムに従ってロボットアーム22を動作させて、押え部42を、基板Aの上方の予め定められた作業前位置へ移動させる。この状態を、
図7に示す。この状態においては、
押え部42の切断面42aは、基板Aの上方に予め定められた距離dだけ離隔して配置される。
【0034】
ステップS12において、制御部14は、ロボットアーム22を動作させて、基板Aへ接近するように押え部42を下方へ移動させる。ステップS13において、制御部14は、押え部42と基板Aとが当接したか否かを判断する。
【0035】
一例として、制御部14は、ロボットアーム22に内蔵されたサーボモータ(図示せず)の負荷トルクが予め定められた値を越えたときに、押え部42と基板Aとが当接したものと判断してもよい。
【0036】
また、他の例として、制御部14は、記憶部(図示せず)を内蔵し、該記憶部に、押え部42を作業前位置に配置したときにおける、押え部42と基板Aとの間の距離dを予め記憶していてもよい。この場合、制御部14は、距離d(またはそれ以上の所定距離)だけ、押え部42を下方へ移動させたときに、押え部42と基板Aとが当接したものと判断してもよい。
【0037】
制御部14は
、押え部42と基板Aとが当接した(すなわちYES)と判断した場合、ステップS14へ進む。このときの状態を、
図2および
図8に示す。この状態においては、押え部42の切断面42aが、基板Aの上面と当接し、押え部42は、所定の大きさの押し付け力で基板Aに押し付けられる。
【0038】
このとき、
図2に示すように、押え部42は、切断すべき部分A
3の左側に隣接して配置され、且つ、切断部44の先端部44bは、該部分A
3の前側に形成された開口A
1内に入り込む。
【0039】
このように、本実施形態においては、押え部42は、ロボットアーム22の動作によって、基板Aに所定の大きさの押し付け力で押し付けられる。したがって、ロボットアーム22は、該押し付け力を押え部42に生じさせる第1の力生成部としての機能を担う。一方、ステップS13にて、押え部42と基板Aとが当接していない(すなわちNO)と判断した場合、制御部14は、ステップS13をループする。
【0040】
ステップS14において、制御部14は、押え部42が基板Aから受ける力が、予め定められた範囲か否かを判断する。具体的には、制御部14は、力覚センサ62によって計測された力の値が、予め定められた範囲内にあるか否かを判断する。
【0041】
この動作についてより具体的に述べると、押え部42によって基板Aを予め定められた押し付け力で押え付けた場合、その反力として、押え部42は、基板Aから、該押し付け力に応じた大きさの力で押し返される。基板Aから押え部42に加えられた反力は、取り付けプレート32と手首部24との間に作用するので、力覚センサ62によって計測することができる。
【0042】
このように、押し付け力と反力とは、互いに相関し、且つ、力覚センサ62によって計測される力の値は、押し付け力および反力と相関するものとなる。本実施形態においては、制御部14は、力覚センサ62によって取得された力の値が予め定められた範囲にあるか否かを判断することによって、押え部42が基板Aを予め定められた範囲の押し付け力で押し付けているか否かを判断する。
【0043】
力覚センサ62によって取得された力の値に対して設定される、予め定められた範囲は、実験的手法によって取得され得るものであって、例えば、制御部14に内蔵された記憶部に予め記憶される。
【0044】
制御部14は、力覚センサ62によって取得された力の値が予め定められた範囲にある場合にYESと判断し、
図4に示すフローを終了し、
図3のステップS3へ進む。一方、制御部14は、力覚センサ62によって取得された力の値が予め定められた範囲にない場合にNOと判断し、ステップS15へ進む。
【0045】
ステップS15において、制御部14は、押え部42から基板Aへ加えられる押し付け力を調整する。具体的には、ステップS14において、力覚センサ62によって取得された力の値が予め定められた範囲の上限値よりも大きかったと判断された場合、制御部14は、ロボットアーム22を動作させて、押え部42を上方へ僅かに移動させる。これにより、押え部42が基板Aを押し付ける押し付け力を、減少させることができる。
【0046】
一方、ステップS14において、力覚センサ62によって取得された力の値が予め定められた範囲の下限値よりも小さかったと判断された場合、制御部14は、ロボットアーム22を動作させて、押え部42を下方へ僅かに移動させる。
【0047】
これにより、押え部42が基板Aを押し付ける押し付け力を、増大させることができる。このようにして、制御部14は、力覚センサ62によって取得された力の値が予め定められた範囲となるまで、ステップS14およびS15をループする。
【0048】
このように、本実施形態においては、制御部14は、力覚センサ62によって取得された力、すなわち、基板Aから押え部42に加えられた反力に応じて、ロボットアーム22の動作を制御し、押え部42によって基板Aを押え付ける押し付け力を調整している。したがって、制御部14は、押え部42が基板Aから受ける力に応じて押し付け力を調整する第1の調整部の機能を担う。
【0049】
再度、
図3を参照して、ステップS2において、制御部14は、切断部44を、切断前位置へ配置させる。このステップS2に関して、
図5を参照して説明する。ステップS2が開始されると、ステップS21において、制御部14は、第2のエアシリンダ46を駆動する。
【0050】
具体的には、制御部14は、外部に設置された気体供給装置(図示せず)から第1のエアシリンダ46内へ気体を供給して第1のエアシリンダ46内の気圧を上昇させ、シリンダシャフト54を下方側へ押し出す。このシリンダシャフト54の動作は、カム58を介して切断部44に伝達され、切断部44は、基板Aの開口A
1内で、ピン50を中心として、
図8の紙面表側から見て反時計回りに回動する。
【0051】
ステップS22において、制御部14は、切断部44が予め定められた切断前位置に配置されたか否かを判断する。例えば、制御部14は、第2のエアシリンダ46内の気圧、または、シリンダシャフト54の変位量に基づいて、切断部44が切断前位置に配置されたか否かを判断する。
【0052】
制御部14は、切断部44が切断前位置に適正に配置された(すなわちYES)と判断した場合、ステップS23へ進む。この状態を、
図9に示す。
図9に示すように、切断部44が切断前位置に配置されたとき、切断部44の先端部44bは、基板Aの部分A
3の直下に回り込む。
【0053】
このとき、切断部44の切断面44cは、押え部42の切断面42a(すなわち基板A)と略平行となるように、該切断面42aの下方に予め定められた距離だけ離隔して配置される。一方、制御部14は、ステップS22にて切断部44が切断前位置に適正に配置されていない(すなわちNO)と判断した場合、ステップS22をループする。
【0054】
ステップS23において、制御部14は、上述のステップS14と同様に、押え部42が基板Aから受ける力が、予め定められた範囲か否かを判断する。制御部14は、YESと判断した場合、
図5に示すフローを終了し、
図3のステップS3へ進む。一方、制御部14は、NOと判断した場合、ステップS24ヘ進む。ステップS24において、制御部14は、上述のステップS15と同様に、押え部42から基板Aに加えられる押し付け力を調整する。
【0055】
再度、
図3を参照して、ステップS3において、制御部14は、基板Aを切断する。このステップS3について、
図6を参照して説明する。ステップS3が開始されると、ステップS31において、制御部14は、第1のエアシリンダ40を駆動する。具体的には、制御部14は、第1のエアシリンダ40内に供給される気体の圧力を上昇させる。
【0056】
そうすると、第1のエアシリンダ40は、シリンダシャフトを介して台座プレート34を下方へ押す。このとき、押え部42が基板Aと当接しており、且つ基板Aが治具によって支持されているので、押え部42および台座プレート34の下方への移動が規制されている。
【0057】
このため、第1のエアシリンダ40は、台座プレート34から押し返されて、第1のエアシリンダ40および可動部38は、支持シャフト36に沿って上方へ移動される。このように可動部38が上方へ移動するのに伴って、支持部48を介して可動部38に支持されている切断部44も、可動部38とともに上方へ移動されることになる。
【0058】
そして、
図10に示すように、切断部44は、基板Aの部分A
3の下面と当接し、部分A
3の上面を押え付けている押え部42との間で部分A
3を挟み込む。その結果、部分A
3にせん断力が加えられ、部分A
3がせん断されることになる。
【0059】
このように、本実施形態においては、第1のエアシリンダ40の動作によって、切断部44が上方へ駆動され、基板Aをせん断している。したがって、第1のエアシリンダ40は、基板Aをせん断するための駆動力を切断部44に生じさせる第2の力生成部として機能する。
【0060】
ステップS32において、制御部14は、上述のステップS14と同様に、押え部42が基板Aから受ける力が、予め定められた範囲か否かを判断する。制御部14は、YESと判断した場合、ステップS33へ進む。一方、制御部14は、NOと判断した場合、ステップS34ヘ進む。
【0061】
ステップS33において、制御部14は、基板Aの切断が適正に完了したか否かを判断する。例えば、制御部14は、第1のエアシリンダ40内の気圧、シリンダシャフトの変位量、または切断部44の変位量に基づいて、基板Aの部分A
3が適正にせん断されたか否かを判断する。
【0062】
制御部14は、YESと判断した場合、
図6に示すフローを終了し、
図3のステップS4へ進む。一方、制御部14は、NOと判断した場合、ステップS32ヘ戻る。一方、ステップS32にてNOと判断された場合、ステップS34において、制御部14は、上述のステップS15と同様に、押え部42から基板Aに加えられる押し付け力を調整する。
【0063】
再度、
図3を参照して、ステップS4において、制御部14は、切断部44を初期位置へ移動させる。具体的には、制御部14は、第2のエアシリンダ46内の気圧を減圧し、シリンダシャフト54を上方へ引き上げる。その結果、切断部44は、ピン50の周りを、ステップS21の方向とは反対方向(すなわち、
図8の紙面表側から見て時計回りの方向)へ回動する。
【0064】
ステップS5において、制御部14は、切断部44の移動が適正に完了したか否かを判断する。例えば、制御部14は、第2のエアシリンダ46内の気圧、シリンダシャフト54の変位量、または切断部44の変位量に基づいて、切断部44
の移動が適正に完了したか否かを判断する。
【0065】
制御部14は、YESと判断した場合、ステップS6に進む。このとき、切断部44は、押え部42に対して、
図7(
図8)に示す位置に配置され、これにより、切断部44は、初期位置に復帰する。一方、制御部14は、NOと判断した場合、ステップS5をループする。
【0066】
ステップS6において、制御部14は、押え部42を基板Aから離脱させる。具体的には、制御部14は、ロボットアーム22を動作させて、押え部42を基板Aから離反するように、上方へ引き上げる。
【0067】
ステップS7において、制御部14は、使用者から受け付けた全ての切断作業が完了したか否かを判断する。制御部14は、YESと判断した場合、
図3に示すフローを終了する一方、NOと判断した場合、ステップS1に戻り、次の基板Aに対する切断作業を行う。
【0068】
このように、本実施形態
においては、制御部14は、押え部42が基板Aに押し付けられたときに該押え部42が該基板Aから受ける反力に応じて、押え部42によって基板Aを押え付ける押し付け力を調整している。
【0069】
この構成によれば、基板毎に厚みが異なる場合であっても、押え部によって基板を一定の押し付け力で押え付けることができる。その結果、切断時に基板に与えられる衝撃を均一化できるので、基板に実装された素子の性能を維持することができる。
【0070】
また、本実施形態においては、押え部42をロボットアーム22によって移動させている。この構成によれば、様々な形状の基板の切断作業に、柔軟に対応することができる。また、ロボットアーム22によって、押え部42を基板Aに押し付けているので、基板Aに対する押し付け力を、高精度に制御することができる。
【0071】
また、本実施形態においては、押え部42が基板Aから受ける反力を、力覚センサ62を用いて計測している。この構成によれば、反力をより高精度に計測できるので、押し付け力をより効果的に均一化することができる。
【0072】
次に、
図11を参照して、本発明の他の実施形態に係る切断装置70について説明する。なお、以下に説明する種々の実施形態において、既に述べた実施形態と同様の要素には同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0073】
本実施形態に係る切断装置70は、上述の切断装置30の代替として、ロボットシステム10へ組み込むことが可能であって、切断装置30と、以下の点で相違する。すなわち、切断装置70は、台座プレート34と押え部42との間に介挿されたバネ72をさらに備える。
【0074】
このバネ72は、ロボットアーム22の動作によって押え部42が基板Aに押し付けられたときに弾性変形し、その弾性復元力によって、押え部42を基板Aに所定の押し付け力で押し付ける。このときの押え部42から基板Aに加えられる押し付け力は、バネ72の変位量に依存する。
【0075】
本実施形態において、押え部42によって基板Aを押え付ける押し付け力を調整する場合、制御部14は、ロボットアーム22を動作させて、該ロボットアーム22および台座プレート34を、基板Aに近接する方向または離反する方向へ移動させる。これにより、バネ72の変位量を調整することができるので、押え部42による押し付け力を調整できる。
【0076】
このように、本実施形態においては、押え部42は、移動部としてのロボットアーム22およびバネ72の動作によって、基板Aに所定の大きさの押し付け力で押し付けられる。したがって、ロボットアーム22およびバネ72は、該押し付け力を押え部42に生じさせる第1の力生成部としての機能を担う。
【0077】
次に、
図12を参照して、本発明のさらに他の実施形態に係る切断装置80について説明する。本実施形態に係る切断装置80は、上述の切断装置70と、以下の点で相違する。すなわち、切断装置80は、バネ72の代わりに、台座プレート34と押え部42との間に介挿された第3のエアシリンダ82を備える。
【0078】
第3のエアシリンダ82は、シリンダシャフト84を有し、該シリンダシャフト84は、押え部42に機械的に連結されている。第3のエアシリンダ82は、制御部14の指令に応じて、シリンダシャフト84を下方へ押し出したり、上方へ引き上げたりすることができる。
【0079】
本実施形態において、押え部42によって基板Aを押え付ける押し付け力を調整する場合、制御部14は、第3のエアシリンダ82へ供給される気体の圧力を調整することによって、押え部42を上下方向へ移動させる。これにより、押え部42による押し付け力を調整できる。このように、本実施形態においては、第3のエアシリンダ82は、基板Aを押え付けるための押し付け力を押え部42に生じさせる第1の力生成部としての機能を担う。
【0080】
次に、
図13を参照して、本発明のさらに他の実施形態に係る切断装置90について説明する。本実施形態に係る切断装置90は、上述の切断装置30と以下の点で相違する。すなわち、切断装置90は、力覚センサ62の代わりに、変位センサ92を備える。変位センサ92は、例えば光学式変位センサであって、ロボットアーム22に取り付けられている。変位センサ92は、基板Aに対する押え部42の位置を計測することができる。
【0081】
次に、切断装置90を備えたロボットシステム10の動作ついて説明する。本実施形態に係るロボットシステム10の動作は、
図1に示す実施形態と、ステップS14において相違する。すなわち、ステップS14において、制御部14は、変位センサ92を用いて取得された、基板Aに対する押え部42の位置に基づいて、押え部42が基板Aから受ける力が、予め定められた範囲か否かを判断する。
【0082】
一例として、変位センサ92は、該変位センサ92と基板Aとの間の距離を計測し、制御部14へ送信する。制御部14は、変位センサ92に対する、押え部42の切断面42
aの相対座標を予め記憶する。制御部14は、変位センサ92から取得した、変位センサ92と基板Aとの間の距離と、相対座標に基づいて、基板Aに対する切断面42
aの位置を算出する。
【0083】
ここで、基板Aに対する切断面42
aの位置と、押え部42によって基板Aを押し付けたときに該基板Aから押え部42に加えられる反力とは、互いに相関することになる。何故ならば、切断面42
aが、基板Aの上面に対してより下方側に位置していると計測された場合、押え部42がより大きな押し付け力で基板Aを押え付け、それ故に、その反力がより大きくなっていると考えられるからである。
【0084】
そこで、本実施形態においては、制御部14は、変位センサ92から取得した、基板Aに対する切断面42
aの位置が、予め定められた範囲内にあるか否かを判断することによって、押え部42が基板Aから受ける反力、すなわち、押え部42による押し付け力が、適正か否かを判断する。
【0085】
基板Aに対する切断面42
aの位置に対して設定される、予め定められた範囲は、実験的手法によって取得され得るものであって、例えば、制御部14に内蔵された記憶部に予め記憶される。
【0086】
制御部14は、基板Aに対する切断面42
aの位置が、予め定められた範囲にある場合にYESと判断し、
図4に示すフローを終了し、
図3のステップS3へ進む。一方、制御部14は、基板Aに対する切断面42
aの位置が、予め定められた範囲にない場合にNOと判断し、
図4のステップS15へ進む。
【0087】
また、本実施形態において、制御部14は、基板Aの厚みに応じて、第1のエアシリンダ40による切断部44の駆動力を調整してもよい。この場合、制御部14は、上述のステップS11において、押え部42を予め定められた作業前位置したときに、変位センサ92に指令を送り、基板Aとの間の距離を計測する。
【0088】
制御部14は、作業前位置に配置されたときにおける、変位センサ92と、基板Aが載置される治具(図示せず)との間の距離を、記憶部に予め記憶する。制御部14は、取得した変位センサ92と基板Aとの間の距離と、予め記憶された変位センサ92と治具との間の距離とに基づいて、基板Aの厚みを算出することができる。
【0089】
次いで、制御部14は、上述のステップS31において、基板Aの厚み応じた駆動力で切断部44を駆動すべく、第1のエアシリンダ40を駆動する気圧を調整する。具体的には、制御部14は、基板Aの厚みと、第1のエアシリンダ40内の気圧との間の関係を示すデータテーブルを予め記憶する。
【0090】
例えば、第1のエアシリンダ40を駆動する気圧は、基板Aの厚みに比例するように設定される。すなわち、より小さな厚みの基板に対しては、切断部44によってより小さな力で切断すべく、シリンダを駆動する気圧が小さく設定される。
【0091】
制御部14は、ステップS11にて算出した基板Aの厚みと、該データテーブルとを照らし合わせて、算出された厚みに対応する気圧で、第1のエアシリンダ40を駆動するように、該第1のエアシリンダ40へ供給される気体の圧力を制御する。
【0092】
これにより、基板Aの厚みに応じて、基板Aを切断する切断力を調整することができる。このように、本実施形態においては、制御部14は、第1のエアシリンダ40による切断部44の駆動力を調整する第2の調整部としての機能を担う。
【0093】
また、本実施形態においては、押え部42が基板Aから受ける反力を、変位センサ92を用いて計測している。この構成によれば、反力をより高精度に計測できるので、押し付け力をより効果的に均一化することができる。
【0094】
また、本実施形態によれば、基板Aの厚みに応じて、基板Aを切断する切断力を調整している。このため、基板Aに加えられる衝撃をより効果的に低減できるので、基板に実装された素子の性能を維持することができる。
【0095】
なお、本実施形態においては、基板Aを切断すべく切断部44を駆動する第2の力生成部として、第1のエアシリンダ40を適用した場合について述べた。しかしながら、これに限らず、第1のエアシリンダ40の代わりに、サーボモータを適用してもよい。
【0096】
この場合、制御部14は、上述のステップS31において、基板Aの厚み応じた駆動力で切断部44を駆動すべく、該サーボモータのトルクを調整する。これにより、基板Aの厚み応じて、切断部44の駆動力をより高精度に調整できるので、基板Aに加えられる衝撃をより効果的に低減できる。
【0097】
また、上述した種々の実施形態の特徴を組み合わせることによって、切断装置を構成することも可能である。例えば、
図11に示す切断装置70に、
図13に示す切断装置90の変位センサ92を組み込んでもよい。この場合、制御部14は、変位センサ92から得られた信号に基づいて、台座プレート34と基板Aとの間の距離を算出してもよい。
【0098】
そして、制御部14は、上述のステップS14において、算出した該距離に基づいて、押え部42が基板Aから受ける力が、予め定められた範囲か否かを判断してもよい。また、この場合において、変位センサ92は、台座プレート34と基板Aとの間の距離を直接計測することができるように構成されてもよい。
【0099】
また、上述の実施形態においては、切断装置30、70、80、および90が、ロボットシステム10に組み込まれている場合について述べた。しかしながら、本発明はこれに限定されない。以下、
図14を参照して、本発明のさらに他の実施形態に係る切断装置100について説明する。
【0100】
この切断装置100は、押え部42、切断部44、第1の力生成部102、および第1の調整部104を備える。第1の力生成部102は、押え部42を基板に押し付けるための押し付け力を該押え部42に生じさせるものである。すなわち、
図1に示す実施形態におけるロボットアーム22は、この第1の力生成部102に相当する。
【0101】
第1の調整部104は、第1の力生成部102によって押え部42が基板に押し付けられたときに押え部42が基板から受ける反力に応じて、押し付け力を調整するものである。すなわち、
図1に示す実施形態における制御部14は、この第1の調整部104に相当する。
【0102】
本実施形態に係る切断システム100によれば、基板毎に厚みが異なる場合であっても、押え部によって基板を一定の押し付け力で押え付けることができる。その結果、切断時に基板に与えられる衝撃を均一化できるので、基板に実装された素子の性能を維持することができる。
【0103】
以上、発明の実施形態を通じて本発明を説明したが、上述の実施形態は、特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、本発明の実施形態の中で説明されている特徴を組み合わせた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得るが、これら特徴の組み合わせの全てが、発明の解決手段に必須であるとは限らない。さらに、上述の実施形態に、多様な変更または改良を加えることが可能
であることも当業者に明らかである。
【0104】
また、特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、工程、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【解決手段】切断装置100は、押え部42と、押え部42に対して移動可能に設けられ、押え部42とは反対側から基板と当接し、押え部42との間で基板を挟み込んで該基板をせん断する切断部44と、押え部42を基板に押し付けるための押し付け力を該押え部42に生じさせる第1の力生成部102と、第1の力生成部102によって押え部42が基板に押し付けられたときに該押え部42が該基板から受ける力に応じて押し付け力を調整する第1の調整部104とを備える。