(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら,従来の方法では,起動停止時での熱膨張による伸縮応力により,気密性や絶縁性が経時劣化する可能性がある。
【0006】
本発明は,上述した課題を解決するためになされたものであり,起動停止時での熱膨張等による伸縮応力による,気密性や絶縁性の経時劣化の低減を図った固体酸化物形燃料電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明の一態様に係る固体酸化物形燃料電池は,発電反応により電力を発生する燃料電池本体と,前記燃料電池本体から延びていて,電流を取り出すための出力端子部材と,前記燃料電池本体を内部に収容し,前記出力端子部材を外部に通すために壁部に貫通孔を有する収容容器と,を具備し,前記出力端子部材と前記収容容器の間が電気的に絶縁されている固体酸化物形燃料電池であって,前記出力端子部材と前記貫通孔間において,内側が前記出力端子部材に,外側が前記収容容器の前記壁部にそれぞれ固定されると共に,前記収容容器の前記壁部と前記出力端子部材間での相対位置変動により発生する応力を緩和する応力緩和部材と,をさらに具備する。
【0008】
固体酸化物形燃料電池において,燃料電池本体が収容容器の内部に収納され,燃料電池本体からの電流を取り出すための出力端子部材は,収容容器の貫通孔を通して外部に通される。そして,固体酸化物形燃料電池は,出力端子部材と貫通孔間において,内側が出力端子部材に,外側が収容容器の壁部にそれぞれ固定されると共に,前記収容容器の前記壁部と前記出力端子部材間での相対位置変動により発生する応力を緩和する応力緩和部材をさらに具備する。内側が出力端子部材に,外側が収容容器の壁部にそれぞれ固定される応力緩和部材が,収容容器の壁部と出力端子部材間での相対位置変動により発生する応力を緩和することで,熱膨張等に起因する収容容器と出力端子部材間での応力を緩和し,収容容器と出力端子部材間での気密性や絶縁性の経時劣化の低減が図られる。
【0009】
(2)前記応力緩和部材は,前記出力端子部材の前記延びる方向に交差する方向に伸縮するように配置されても良い。
応力緩和部材が,前記出力端子部材の前記延びる方向に交差する方向に伸縮することで,収容容器の壁部と出力端子部材間での相対位置変動により発生する応力(例えば,出力端子部材の熱膨張による伸び縮みに起因する応力)を緩和できる。
【0010】
(3)前記応力緩和部材は,前記出力端子部材の延びる方向に沿って伸縮するように配置されても良い。
応力緩和部材は,前記出力端子部材の延びる方向に沿って伸縮することで,収容容器の壁部と出力端子部材間での相対位置変動により発生する応力を緩和できる。
【0011】
(4)前記応力緩和部材が,内側が前記出力端子部材に固定され,外側が前記壁部に固定され,伸縮可能な蛇腹形状に形成されても良い。
応力緩和部材を伸縮可能な蛇腹形状とすることで,収容容器の壁部と出力端子部材間での相対位置変動により発生する応力を緩和できる。
【0012】
(5)前記応力緩和部材は,中空円盤状の平坦部と,前記平坦部の平坦面から突出する突出部と,を有しても良い。
出力端子部材の前記延びる方向に交差する方向あるいは出力端子部材の延びる方向に,突出部が伸縮することで,収容容器の壁部と出力端子部材間での相対位置変動により発生する応力を緩和できる。
【0013】
(6)前記応力緩和部材が0.1〜0.5mmの厚みを有する板状金属部材から構成されても良い。
応力緩和部材が0.1〜0.5mmの厚みを有する板状金属部材とすることで,板状金属部材の弾性により,収容容器の壁部と出力端子部材間での相対位置変動により発生する応力を緩和できる。板状金属部材の厚みが,0.1mmより小さいと,その耐久性が悪く,ガスリークの懸念がある。一方,板状金属部材の厚みが,0.5mmより大きいと,相対位置変動に追従できない畏れがある。
【0014】
(7)前記応力緩和部材が,中空円盤状または円筒状であっても良い。
応力緩和部材を,中空円盤状または円筒状とすることで,応力緩和部材内での応力の集中を低減できる。
【0015】
(8)前記出力端子部材と前記応力緩和部材は,シール部を介して接合されても良い。
出力端子部材と前記応力緩和部材が,シール部を介して接合されることで,機密性のより確実な確保が可能となる。
【0016】
(9)前記シール部は,内部に前記出力端子部材の一部が挿入されている管状絶縁部材と,前記管状絶縁部材の一端と前記応力緩和部材を接合してシールする第1シール部と,前記管状絶縁部材の他端と前記出力端子部材を接合してシールする第2シール部と,を有しても良い。
管状絶縁部材を用いて,機密性の確実な確保が可能となる。
【0017】
(10)前記シール部は,少なくとも1部が溶接またはろう付けにより形成されても良い。
【0018】
(11)前記シール部は,少なくとも1部がガラスシールであっても良い。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば,起動停止時での熱膨張等による伸縮応力による,気密性や絶縁性の経時劣化の低減を図った固体酸化物形燃料電池を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る固体酸化物形燃料電池10の一部断面図である。
【
図2A】固体酸化物形燃料電池10の応力緩和部材70近傍の拡大断面図である。
【
図2B】固体酸化物形燃料電池10の応力緩和部材70近傍の正面図である。
【
図3A】本発明の第2実施形態に係る固体酸化物形燃料電池10Aの応力緩和部材70A近傍の拡大断面図である。
【
図3B】本発明の第2実施形態に係る固体酸化物形燃料電池10Aの応力緩和部材70A近傍の正面図である。
【
図5A】本発明の第3実施形態に係る固体酸化物形燃料電池10Bの応力緩和部材70B近傍の拡大断面図である。
【
図5B】本発明の第3実施形態に係る固体酸化物形燃料電池10Bの応力緩和部材70B近傍の正面図である。
【
図6A】本発明の第4実施形態に係る固体酸化物形燃料電池10Cの応力緩和部材70C近傍の拡大断面図である。
【
図6B】本発明の第4実施形態に係る固体酸化物形燃料電池10Cの応力緩和部材70C近傍の正面図である。
【
図7】本発明の第5実施形態に係る固体酸化物形燃料電池10Dの一部断面図である。
【
図8A】本発明の第5実施形態に係る固体酸化物形燃料電池10Dの応力緩和部材70D近傍の拡大断面図である。
【
図8B】本発明の第5実施形態に係る固体酸化物形燃料電池10Dの応力緩和部材70D近傍の正面図である。
【
図9A】本発明の第6実施形態に係る固体酸化物形燃料電池10Eの応力緩和部材70E近傍の拡大断面図である。
【
図9B】本発明の第6実施形態に係る固体酸化物形燃料電池10Eの応力緩和部材70E近傍の正面図である。
【
図10A】本発明の第7実施形態に係る固体酸化物形燃料電池10Fの応力緩和部材70F近傍の拡大断面図である。
【
図10B】本発明の第7実施形態に係る固体酸化物形燃料電池10Fの応力緩和部材70F近傍の正面図である。
【
図11A】本発明の第8実施形態に係る固体酸化物形燃料電池10Gの応力緩和部材70G近傍の拡大断面図である。
【
図11B】本発明の第8実施形態に係る固体酸化物形燃料電池10Gの応力緩和部材70G近傍の正面図である。
【
図12】本発明の比較例1に係る固体酸化物形燃料電池10X1の一部拡大断面図である。
【
図13】本発明の比較例2に係る固体酸化物形燃料電池10X2の一部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下,図面を参照して,本発明の実施の形態を詳細に説明する。
(第1の実施の形態)
図1は本発明の第1実施形態に係る固体酸化物形燃料電池10を表す模式図である。
図2A,
図2Bはそれぞれ,固体酸化物形燃料電池10の応力緩和部材70近傍の拡大断面図および正面図である。固体酸化物形燃料電池10は,燃料電池本体20,出力端子部材50,断熱容器60,応力緩和部材70,シール部80を有する。
【0022】
燃料電池本体20は,燃料ガス(水素,炭化水素ガス等)と酸化剤ガス(酸素等)の反応により発電する(電力を発生する)。燃料電池本体20は,例えば,平板形状の燃料電池セルが複数段積層されて構成される燃料電池スタックである。なお,図示していないが,燃料電池本体20にはガス流入部や改質器,オフガス燃焼器などが配置されている。また,起動用のバーナー等が別途あってもよい。燃料電池セルは,燃料ガス側の燃料電極,酸化剤ガス側の空気電極,燃料電極と空気電極に挟まれる電解質層(例えば,固体電解質層)を有する。燃料電池セルに,燃料ガス(水素,炭化水素ガス等)と酸化剤ガス(酸素等)を供給することで,電力が発生する。
【0023】
出力端子部材50は,燃料電池本体20での発電による電流を取り出すための部材,例えば,電線である。出力端子部材50は,例えば,棒形状(一例として,長尺の直方体形状)をなし,燃料電池本体20から断熱容器60の外へと伸びる。
【0024】
断熱容器60は,燃料電池本体20を収容し,外部と断熱する容器である。断熱容器60は,収容容器61,断熱部材62に区分される。
【0025】
収容容器61は,外形が略直方体形状であり,耐熱性材料(例えば,ステンレス等の金属)の板(壁部)から構成され,燃料電池本体20を収容する。収容容器61の壁部に,出力端子部材50を通過させるための貫通孔64が形成されている。
【0026】
断熱部材62は,収容容器61を覆い,断熱性の材料(例えば,ガラスウール)から構成され,外部との断熱が図られる。
【0027】
応力緩和部材70は,出力端子部材50と貫通孔64間に配置され,収容容器61の壁部と出力端子部材50間での相対位置変動により発生する応力を緩和する。この点,後述の応力緩和部材70A〜70Gも同様である。
【0028】
応力緩和部材70は,耐熱性および弾性を有する部材から構成される。この部材として,例えば,ステンレスからなる板状金属部材を利用できる。また,この板状金属部材の厚さを0.1〜0.5mmとできる。板状金属部材の厚みが,0.1mmより小さいと,その耐久性が悪く,ガスリークの懸念がある。一方,板状金属部材の厚みが,0.5mmより大きいと,相対位置変動に追従できない畏れがある。
【0029】
応力緩和部材70は,略中空円盤形状(開口部を有する略円盤形状)をなし,固定部71,72,接続部73を有する。
固定部71は,応力緩和部材70の外周側に配置され,レーザ溶接またはろう付けにより,収容容器61の壁部に固定される。
固定部72は,応力緩和部材70の内周側に配置され,シール部80によって,出力端子部材50に固定される。
【0030】
接続部73は,固定部71と固定部72の間に配置され,略円周形状の折り曲げ部74a,74bが交互に形成されている。折り曲げ部74aでは,収容容器61の外側が山形になるように,折り曲げ部74bでは,収容容器61の内側が山形になるように,板状の部材(例えば,ステンレス等の金属)が折り曲げられる。
【0031】
接続部73が折り曲げ部74(74a,74b)を有することは,接続部73が伸縮可能な蛇腹形状であることを意味する。接続部73が蛇腹形状であることで,応力緩和部材70の構成材料自体の弾性に加えて,更なる応力の緩和が可能になる。応力緩和部材70は,出力端子部材50の延びる方向に交差する方向(例えば,出力端子部材50の軸に垂直な方向)および出力端子部材50の延びる方向(例えば,出力端子部材50の軸方向)に沿って伸縮可能である。応力緩和部材70は,特に,出力端子部材50の延びる方向に交差する方向(例えば,出力端子部材50の軸に垂直な方向)に沿って,伸縮容易である。
【0032】
シール部80は,例えば,ガラス材料から構成され,応力緩和部材70の固定部72(内側)と出力端子部材50とを気密に固定する。
【0033】
(第2の実施の形態)
図3A,
図3Bはそれぞれ,本発明の第2実施形態に係る固体酸化物形燃料電池10Aの応力緩和部材70A近傍の拡大断面図および正面図である。本実施形態に係る固体酸化物形燃料電池10Aは,第1の実施形態に係る固体酸化物形燃料電池10と応力緩和部材70Aが異なる。その他の点では,実質的な相違は無いことから,固体酸化物形燃料電池10A全体の図示は省略する。
【0034】
応力緩和部材70Aは,応力緩和部材70と同様,耐熱性および弾性を有する部材(例えば,例えば,0.1〜0.5mmの厚みを有する板状金属部材)から構成されるが,略円筒形状を有する点で応力緩和部材70と異なる。
【0035】
詳しくは,応力緩和部材70Aは,平坦部71A,突出部72Aを有する。
平坦部71Aは,中空円盤状をなし,その外周側がレーザ溶接またはろう付けにより,収容容器61の壁部に固定される。
【0036】
突出部72Aは,平坦部71Aから突出する略円筒形状であり,その先端がシール部80によって,出力端子部材50に固定される。
【0037】
突出部72Aには,その軸を中心とする略円周形状の折り曲げ部74Aa,74Abが交互に配置されている。折り曲げ部74Aaでは,突出部72Aの外側が山形になるように,折り曲げ部74Abでは,突出部72Aの内側が山形になるように,板状の部材(例えば,ステンレス等の金属)が折り曲げられる。
【0038】
突出部72Aが折り曲げ部74A(74Aa,74Ab)を有することは,突出部72Aが伸縮可能な蛇腹形状であることを意味する。突出部72Aが蛇腹形状であることから,突出部72Aの構成材料自体の弾性に加えて,更なる応力の緩和が可能になる。応力緩和部材70Aは,出力端子部材50の延びる方向に交差する方向(例えば,出力端子部材50の軸に垂直な方向)および出力端子部材50の延びる方向(例えば,出力端子部材50の軸方向)に沿って伸縮可能である。応力緩和部材70Aは,特に,出力端子部材50の延びる方向(例えば,出力端子部材50の軸方向)に沿って,伸縮容易である。
【0039】
図4A,
図4Bはそれぞれ,突出部72Aの展開図および斜視図である。
図4A,
図4Bに示すように,突出部72Aは,例えば,板状金属部材を山谷に交互に折り曲げ,
図4A紙面上の上下に丸めることで,形成できる。
【0040】
シール部80は,例えば,ガラス材料から構成され,応力緩和部材70の突出部72A(内側)と出力端子部材50とを気密に固定する。
【0041】
(第3の実施の形態)
図5A,
図5Bはそれぞれ,本発明の第3実施形態に係る固体酸化物形燃料電池10Bの応力緩和部材70B近傍の拡大断面図および正面図である。本実施形態に係る固体酸化物形燃料電池10Bは,第1の実施形態に係る固体酸化物形燃料電池10と応力緩和部材70Bが異なる。その他の点では,実質的な相違は無いことから,固体酸化物形燃料電池10B全体の図示は省略する。
【0042】
応力緩和部材70Bは,応力緩和部材70と同様,耐熱性および弾性を有する部材(例えば,例えば,0.1〜0.5mmの厚みを有する板状金属部材)から構成され,略中空円盤形状(開口部を有する略円盤形状)を有する。
【0043】
但し,応力緩和部材70Bは,応力緩和部材70と異なり,折り曲げ部74を有しない。応力緩和部材70Bは,基本的に,応力緩和部材70Bの構成材料自体の弾性によって,応力を緩和する。応力緩和部材70Bは,出力端子部材50の延びる方向に交差する方向(例えば,出力端子部材50の軸に垂直な方向)および出力端子部材50の延びる方向(例えば,出力端子部材50の軸方向)に沿って伸縮可能である。
【0044】
シール部80は,例えば,ガラス材料から構成され,応力緩和部材70Bの内周側と出力端子部材50とを気密に固定する。
【0045】
(第4の実施の形態)
図6A,
図6Bはそれぞれ,本発明の第4実施形態に係る固体酸化物形燃料電池10Cの応力緩和部材70C近傍の拡大断面図および正面図である。本実施形態に係る固体酸化物形燃料電池10Cは,第1の実施形態に係る固体酸化物形燃料電池10と応力緩和部材70Cが異なる。その他の点では,実質的な相違は無いことから,固体酸化物形燃料電池10C全体の図示は省略する。
【0046】
応力緩和部材70Cは,略中空円盤形状(開口部を有する略円盤形状)をなし,固定部71C,72C,接続部73Cを有する。
固定部71Cは,応力緩和部材70Cの外周側に配置され,レーザ溶接またはろう付けにより,収容容器61の壁部に固定される。
固定部72Cは,応力緩和部材70Cの内周側に配置され,シール部80によって,出力端子部材50に固定される。
【0047】
接続部73Cは,撓んでいる。この結果,接続部73Cの構成材料自体の弾性に加えて,更なる応力の緩和が可能になる。応力緩和部材70Cは,出力端子部材50の延びる方向に交差する方向(例えば,出力端子部材50の軸に垂直な方向)および出力端子部材50の延びる方向(例えば,出力端子部材50の軸方向)に沿って伸縮可能である。
【0048】
(第5の実施の形態)
図7は本発明の第5実施形態に係る固体酸化物形燃料電池10Dを表す模式図である。
図8A,
図8Bはそれぞれ,固体酸化物形燃料電池10Dの応力緩和部材70D近傍の拡大断面図および正面図である。固体酸化物形燃料電池10Dは,燃料電池本体20,出力端子部材50,断熱容器60,応力緩和部材70D,シール部81,82,管状絶縁部材90を有する。
【0049】
管状絶縁部材90は,略円筒形状をなし,ガラス等の絶縁材料から構成される。管状絶縁部材90は,管状絶縁部材本体91,貫通孔92,段部93を有する。管状絶縁部材本体91は,外形が略円柱形状をなす。貫通孔92は,管状絶縁部材本体91の軸に沿って形成され,出力端子部材50が挿通される。段部93は,管状絶縁部材本体91に形成され,管状絶縁部材本体91の外周より径の大きい外周を有する略円筒状(リング状)の部位である。管状絶縁部材本体91の側面および段部93の上面の双方にかけてシール部82を配置することで,管状絶縁部材90とシール部82との接続の安定性が向上する。
【0050】
応力緩和部材70Dは,略中空円盤形状(開口部を有する略円盤形状)をなし,固定部71D,72D,接続部73Dを有する。
固定部71Dは,応力緩和部材70Dの外周側に配置され,レーザ溶接またはろう付けにより,収容容器61の壁部に固定される。
固定部72Dは,応力緩和部材70Dの内周側に配置され,シール部82によって,管状絶縁部材90に固定される。
【0051】
接続部73Dは,折り曲げ部74D(74Da,74Db)を有し,伸縮可能な蛇腹形状として機能する。応力緩和部材70Dは,出力端子部材50の延びる方向に交差する方向(例えば,出力端子部材50の軸に垂直な方向)および出力端子部材50の延びる方向(例えば,出力端子部材50の軸方向)に沿って伸縮可能である。応力緩和部材70Dは,特に,出力端子部材50の延びる方向に交差する方向(例えば,出力端子部材50の軸に垂直な方向)に沿って,伸縮容易である。
【0052】
シール部81は,例えば,ガラス材料から構成され,応力緩和部材70Dの固定部72D(内側)と管状絶縁部材90とを気密に固定する。
シール部82は,例えば,ガラス材料から構成され,管状絶縁部材90と出力端子部材50とを気密に固定する。
【0053】
(第6の実施の形態)
図9A,
図9Bはそれぞれ,本発明の第6実施形態に係る固体酸化物形燃料電池10Eの応力緩和部材70E近傍の拡大断面図および正面図である。本実施形態に係る固体酸化物形燃料電池10Eは,第5の実施形態に係る固体酸化物形燃料電池10Dと応力緩和部材70Eが異なる。また,本実施形態に係る固体酸化物形燃料電池10Eは,第2の実施形態に係る固体酸化物形燃料電池10Aと管状絶縁部材90Eを有することが異なる。その他の点では,実質的な相違は無いことから,固体酸化物形燃料電池10E全体の図示は省略する。
【0054】
管状絶縁部材90Eは,略円筒形状をなし,ガラス等の絶縁材料から構成される。管状絶縁部材90Eは,管状絶縁部材本体91E,貫通孔92Eを有する。管状絶縁部材本体91Eは,外形が略円柱形状をなす。貫通孔92Eは,管状絶縁部材本体91Eの軸に沿って形成され,出力端子部材50が挿通される。
【0055】
応力緩和部材70Eは,耐熱性および弾性を有する部材(例えば,例えば,0.1〜0.5mmの厚みを有する板状金属部材)から構成され,略円筒形状をなし,平坦部71E,突出部72Eを有する。
【0056】
平坦部71Eは,中空円盤状をなし,その外周側がレーザ溶接またはろう付けにより,収容容器61の壁部に固定される。
突出部72Eは,平坦部71Eから突出する略円筒形状であり,その先端がシール部82によって,管状絶縁部材90Eに固定される。
【0057】
突出部72Eには,その軸を中心とする略円周形状の折り曲げ部74Ea,74Ebが交互に配置され,伸縮可能な蛇腹形状として機能する。
【0058】
シール部81は,例えば,ガラス材料から構成され,応力緩和部材70Eの突出部72E(内側)と管状絶縁部材90とを気密に固定する。
シール部82は,例えば,ガラス材料から構成され,管状絶縁部材90Eと出力端子部材50とを気密に固定する。
【0059】
(第7の実施の形態)
図10A,
図10Bはそれぞれ,本発明の第7実施形態に係る固体酸化物形燃料電池10Fの応力緩和部材70F近傍の拡大断面図および正面図である。本実施形態に係る固体酸化物形燃料電池10Fは,第5の実施形態に係る固体酸化物形燃料電池10Dと応力緩和部材70Fが異なる。また,本実施形態に係る固体酸化物形燃料電池10Fは,第3の実施形態に係る固体酸化物形燃料電池10Bと管状絶縁部材90Eを有することが異なる。その他の点では,実質的な相違は無いことから,固体酸化物形燃料電池10F全体の図示は省略する。
【0060】
応力緩和部材70Fは,応力緩和部材70と同様,耐熱性および弾性を有する部材(例えば,例えば,0.1〜0.5mmの厚みを有する板状金属部材)から構成され,略中空円盤形状(開口部を有する略円盤形状)を有する。
【0061】
但し,応力緩和部材70Fは,応力緩和部材70と異なり,折り曲げ部74を有しない。応力緩和部材70Fは,基本的に,応力緩和部材70Fの構成材料自体の弾性によって,応力を緩和する。応力緩和部材70Aは,出力端子部材50の延びる方向に交差する方向(例えば,出力端子部材50の軸に垂直な方向)および出力端子部材50の延びる方向(例えば,出力端子部材50の軸方向)に沿って伸縮可能である。
【0062】
(第8の実施の形態)
図11A,
図11Bはそれぞれ,本発明の第8実施形態に係る固体酸化物形燃料電池10Gの応力緩和部材70G近傍の拡大断面図および正面図である。本実施形態に係る固体酸化物形燃料電池10Gは,第5の実施形態に係る固体酸化物形燃料電池10Dと応力緩和部材70Gが異なる。また,本実施形態に係る固体酸化物形燃料電池10Gは,第4の実施形態に係る固体酸化物形燃料電池10Cと管状絶縁部材90Eを有することが異なる。その他の点では,実質的な相違は無いことから,固体酸化物形燃料電池10G全体の図示は省略する。
【0063】
応力緩和部材70Gは,略中空円盤形状(開口部を有する略円盤形状)をなし,固定部71G,72G,接続部73Gを有する。
固定部71Gは,応力緩和部材70Gの外周側に配置され,レーザ溶接またはろう付けにより,収容容器61の壁部に固定される。
固定部72Gは,応力緩和部材70Gの内周側に配置され,シール部82によって,管状絶縁部材90Eに固定される。
【0064】
接続部73Gは,撓んでいる。この結果,接続部73Gの構成材料自体の弾性に加えて,更なる応力の緩和が可能になる。応力緩和部材70Gは,出力端子部材50の延びる方向に交差する方向(例えば,出力端子部材50の軸に垂直な方向)および出力端子部材50の延びる方向(例えば,出力端子部材50の軸方向)に沿って伸縮可能である。
【0065】
(比較例1)
図12は,本発明の比較例1に係る固体酸化物形燃料電池10X1の拡大断面図である。固体酸化物形燃料電池10X1では,応力緩和部材を用いず,出力端子部材50と貫通孔64がシール部80Xのみで接続される。
【0066】
(比較例2)
図13は,本発明の比較例2に係る固体酸化物形燃料電池10X2の拡大断面図である。固体酸化物形燃料電池10X2では,応力緩和部材を用いず,出力端子部材50と貫通孔64が管状絶縁部材90,シール部81X,82Xのみで接続される。管状絶縁部材90に出力端子部材50が挿通される。
【0067】
シール部81Xによって,管状絶縁部材90が出力端子部材50に固定される。シール部82Xによって,管状絶縁部材90が収容容器61の壁部に固定される。
【0068】
比較例1,2では,固体酸化物形燃料電池10X1,10X2が,応力緩和部材を有しない。このため,収容容器61の壁部と出力端子部材50間での相対位置変動により発生する応力により,シール部80X,81X,82X等で気密性や絶縁性が劣化する可能性がある。
これに対して,本願の実施形態では,応力緩和部材70等を有することで,収容容器61の壁部と出力端子部材50間での相対位置変動により発生する応力が緩和され,シール部80,81,82等での気密性や絶縁性の経時劣化の低減が図られる。
【0069】
(その他の実施形態)
本発明の実施形態は上記の実施形態に限られず拡張,変更可能であり,拡張,変更した実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
上記実施形態では,応力緩和部材70等は,略中空円盤形状,略円筒形状(突出部72A等)である。これに替えて,略中空矩形板形状(開口部を有する矩形の板形状),略矩形管形状(四角等の筒形状)等種々の形状を用いることも可能である。