特許第5890605号(P5890605)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5890605-面状発熱体及びその製造方法 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5890605
(24)【登録日】2016年2月26日
(45)【発行日】2016年3月22日
(54)【発明の名称】面状発熱体及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05B 3/20 20060101AFI20160308BHJP
   H05B 3/34 20060101ALI20160308BHJP
   H05B 3/03 20060101ALI20160308BHJP
【FI】
   H05B3/20 301
   H05B3/34
   H05B3/03
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2010-260223(P2010-260223)
(22)【出願日】2010年11月22日
(65)【公開番号】特開2012-113871(P2012-113871A)
(43)【公開日】2012年6月14日
【審査請求日】2013年10月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000215800
【氏名又は名称】テイカ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】390014487
【氏名又は名称】住江織物株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100060368
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 迪夫
(74)【代理人】
【識別番号】100124648
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 和夫
(72)【発明者】
【氏名】江上 賢洋
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 邦夫
(72)【発明者】
【氏名】米澤 修一
(72)【発明者】
【氏名】深城 裕子
【審査官】 土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−206706(JP,A)
【文献】 特開昭63−279588(JP,A)
【文献】 特開2007−169824(JP,A)
【文献】 特開2004−179058(JP,A)
【文献】 特開2004−307636(JP,A)
【文献】 特開2010−132055(JP,A)
【文献】 特開2007−184230(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 3/20
H05B 3/03
H05B 3/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維シートであって、前記繊維シートは、少なくとも部分的にポリピロール、ポリチオフェンまたはそれらの誘導体である導電性高分子で被覆されており、且つ前記繊維シートには電流を流すための電極が形成されており、そして前記電極へ電流を流すことにより30℃以上60℃以下の平均表面温度を保持できることを特徴とする面状発熱体。
【請求項2】
表面抵抗率が10Ω/□以下であることを特徴とする請求項に記載の面状発熱体。
【請求項3】
前記繊維シートは、合成繊維の布帛、不織布または紙若しくはそれらの複合体からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の面状発熱体。
【請求項4】
前記電極は、前記繊維シートへ金属繊維編み込まれた状態又は導電性ペーストコートされた状態で形成されていることを特徴とする請求項1ないしのいずれかに記載の面状発熱体。
【請求項5】
少なくとも部分的に導電性高分子を含んでおり、そして電極が形成されている前記繊維シートの表裏面は、絶縁シートでさらに覆われていることを特徴とする請求項1ないしのいずれかに記載の面状発熱体。
【請求項6】
(a)繊維シート基材を準備するステップと、
(b)前記繊維シートを、ドーパントを含む酸化剤溶液で含浸するステップと、
(c)含浸した前記繊維シートをモノマーと接触させ、酸化重合することより生成されたポリピロール、ポリチオフェンまたはそれらの誘導体である導電性高分子によって、前記繊維シートを少なくとも部分的に被覆するステップと、そして
前記ステップ(a)および/または(c)の後に、(d)前記繊維シートへ電極を形成するステップ、を含んでいる請求項1に記載の面状発熱体の製造方法。
【請求項7】
前記ステップ(c)において、前記繊維シートに対するポリピロールの付着率は1〜20重量%に調整されていることを特徴とする請求項に記載の面状発熱体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維シートであって、該繊維シートへ導電性高分子を含む導電性物質を混合し、そして繊維シートへ電流を流すための電極を形成することにより、柔軟性を有し、発熱量を任意にコントロールすることができる面状発熱体に関する。そのような面状発熱体は、例えば寝具やカーペットとして有用である。
【背景技術】
【0002】
従来、面状発熱体の発熱部である導電部材は、バインダーとカーボン粉末、またはバインダーと金属粉末などからなる導電性物質を溶媒に分散させて、導電性インクとして各種基材にコート後、乾燥して通電により発熱させている。
【0003】
しかしながら、スズ、銀、ステンレス、アルミニウムのような金属粉末を使用すると導電部材の電気抵抗値が極端に低くなり過ぎるといった問題や、作製された面状発熱体が重い、柔軟性に乏しいといった欠点を有する。作製された導電性インクも該金属粉末の比重が大きいので使用前にバインダー成分と分離するおそれがあり、その結果として、導電性インクを繊維シートにコートする場合、得られるコートの金属含有率が不均一となり、導電性がコントロールできないといった欠点も有する。
【0004】
また、導電性物質にカーボンを使用した場合、作製された導電性インクは、金属を混合させた時のように分離せず、貯蔵安定性に優れているといえる。しかしながら、カーボンの粒子径にもよるが、インクにするには多くのバインダーが必要となり、これらの導電性インクを繊維シートにコートした場合、面状発熱体としての発熱が制限される(導電率が上がらない)。バインダーを少なくした場合、発熱量は確保できるが、コート面からのカーボンの脱離が多くなり現実的で無い。
【0005】
前記課題を解決するために絶縁体であるバインダー樹脂使用量の低減、元の繊維シートの柔軟性を損なわないための工夫として、導電性物質に、樹脂との密着性が比較的良好で、それ自身が柔軟性を持つ導電性高分子を用いることが考えられる。
【0006】
例えば、繊維シートに対して酸化剤及びドーパントを含む溶液を含浸させ、その後ピロールのガスを接触させて、繊維シートの繊維表面に導電性高分子であるポリピロールを生成させ、さらにポリピロールと繊維シートとの密着を向上させるために少ないバインダーでコートする方法などが提案されている(特許文献1)。
【0007】
この方法で作製された導電性繊維シートを面状発熱体に適用するにあたっては、電圧を印加する場合に電源端子と該導電性繊維シートとの接触抵抗をできる限り低減しなければ、接触抵抗による電流ロス(接触部分の極度の発熱)が発生し、良好な面状発熱体にならないという問題がある。
【0008】
電源端子と該導電性繊維シートとの接触抵抗を低減するために、導電性繊維シート表面の電極となり得る部分に、例えば導電性銀ペーストやカーボンペーストのような導電性樹脂やクリーム半田などをコートし、加熱、硬化させる方法が知られている(特許文献2)。
【0009】
しかしながら、上述したこれらの方法では、導電性繊維シートの表面にしか電極を形成することができず、さらに、用いられる導電性樹脂等も高価であるといった問題がある。したがって、導電性繊維シートの内部にも電極形成可能な電極形成技術の開発、導電性樹脂等を使用しない他の電極形成技術の開発、若しくはこれらの電極形成技術と従来技術を組み合わせることにより、表面等に偏った不均一な電極の形成を改善し、そして導電性樹脂等の使用量を削減した電極形成技術の開発などが望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2007−169824号公報
【特許文献2】特開2005−149877号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、電源端子と導電性繊維シートとの接触抵抗を低減することにより、面状発熱体として、良好な発熱特性、柔軟性、生産性にも優れた面状発熱体、及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
導電性繊維シートの製造方法としては、導電性物質として導電性高分子を使用し、繊維シートと少なくとも部分的に混合する。導電性高分子は、それ自身柔軟性を持ち、繊維などとの密着性に優れているので、多くのバインダーを必要としない性質を有する。その結果、導電性物質中の導電性高分子の比率が高くなればなるほど、導電性繊維シートの柔軟性は向上し、バインダー使用量も低減できる。
【0013】
金属、カーボン、導電性高分子のフィラーを含む導電性ペーストを繊維シートにコートすることにより、導電性繊維シートを作製することもできる。この場合、それぞれの導電性物質の配合量、コート量により、導電性、すなわち面状発熱体への付加電圧や発熱量をコントロールすることができる。
【0014】
また、別の方法としては、金属やカーボンを含む導電性ペーストを繊維シートにコートした後、少量のバインダーを含む導電性高分子をコートしても良く、その順序は特に限定されない。
【0015】
さらに、別の方法として、導電性高分子による繊維シートの被覆は、酸化剤と導電性高分子になり得るモノマー、好ましくは酸化剤、ドーパントと導電性高分子になり得るモノマーを含む溶液中へ繊維シートを浸漬し、溶液内で繊維シート表面に導電性物質である導電性高分子を析出させることによっても達成することができる。この場合、析出させる導電性高分子の量は、酸化剤濃度によりコントロールすることができる。また、ドーパント種や量により、導電性高分子の体積固有抵抗値を決定することができる。
【0016】
また、先に述べたように、繊維シートを酸化剤、好ましくは酸化剤とドーパントを含む溶液で含浸し、その後、例えば導電性高分子になり得るモノマーの溶液、またはミスト、若しくはガスに接触させて繊維シート表面に導電性物質である導電性高分子を析出させることもできる。この方法において、導電性高分子になり得るモノマーとして、常温で気化しやすく容易に反応するピロールが好ましい。
【0017】
この場合、析出させる導電性高分子の量は、酸化剤濃度によりコントロールすることができる。また、ドーパント種や量により、導電性高分子の体積固有抵抗率を決定することができる。いずれにしても、導電性高分子を析出させた場合には、必要に応じて洗浄することにより余分なイオンや未反応物を除去することができる。
【0018】
また、これらの方法は、幾つかの方法をそれぞれ組み合わせて採用しても良い。またその時、組み合わせの順序も特に限定されない。
【0019】
得られた導電性繊維シートの表面抵抗率は、特に限定させるものでは無いが、好ましくは1,000Ω/□以下、さらに好ましくは100Ω/□以下であることが望ましい。
【0020】
このような方法により、一定の特性を有する導電性繊維シートを得ることはできるが、電源からの端子を直接、導電性繊維シートへ接触させると接触抵抗が大きくなり、良好な面状発熱体を得ることができない。そこで、本発明者らは、これらの製造方法を用いて得られた導電性繊維シートと電源端子との接触抵抗を低減するために鋭意検討した結果、繊維シートの表面に電極として、導電性ペーストをコートする、さらに好ましくは繊維シートに金属繊維を織り込むことにより、接触抵抗を低減させることに成功した。さらに、導電性繊維シートは、このように金属繊維を織り込むことで繊維シートの厚み方向にも電極を形成させることができるために、より均一に発熱させることが可能となる。
【0021】
導電性物質として、導電性高分子を部分的に含んだ導電剤で作製された導電性繊維シートを用い、その導電性繊維シートの電極として、導電性ペーストをコートするか若しくは金属繊維を編み込むことにより、接触抵抗が低減された面状発熱体が得られた。その結果、柔軟性に富み、導電剤の配合により発熱量をコントロールすることができ、均一に発熱させることができる生産性に優れた面状発熱体を提供することができる。
【0022】
このようにして作製された、少なくとも部分的に導電性高分子を含んでおり、そして電極が形成されている繊維シートの表裏面は、その全部または一部を塩化ビニールシートなどの絶縁シートで覆うことができる。この場合、漏電防止による面状発熱体の安全性が向上すると共に、脱離した微小繊維や導電性物質等による発塵を効果的に防止することができる。
【0023】
ここで、一例として、本発明による代表的な面状発熱体の製造プロセスを例示すると、本発明は(a)繊維シート基材を準備するステップと、(b)繊維シートを、ドーパントを含む酸化剤溶液で含浸するステップと、(c)含浸した繊維シートをモノマーと接触させ、酸化重合することより生成された導電性高分子によって、繊維シートを少なくとも部分的に被覆するステップと、そしてステップ(a)および/または(c)の後に、(d)繊維シートへ電極を形成するステップを含んでいる面状発熱体の製造方法であることが理解される。電極形成のステップ(d)は、ステップ(a)の後またはステップ(c)の後に1度だけ適用することもできるが、例えば前工程では金属繊維を編み込み、後工程では導電性ペーストをコートするなど、ステップ(a)の後とステップ(c)の後のそれぞれへ2度に分けて適用してもよい。
【0024】
また、上記の製造方法では、ステップ(c)において生成される導電性高分子は、ポリピロール、ポリアニリン、ポリチオフェンまたはそれらの誘導体であってよく、ポリピロールの場合、ステップ(c)において、繊維シートに対するポリピロールの付着率が1〜20重量%に調整されていることが好ましい。
【0025】
ここで、本出願において使用するいくつかの術語について定義する。
【0026】
「繊維シート」とは、天然繊維、合成もしくは半合成化学繊維、またそれらの混合物によって構成されるシート状のウエブをいう。シートの構造若しくは形状は、例えば織物、ニットなどの布帛、不織布、紙などであるが、本発明における処理剤の受入れを許容するため繊維間に微細な間隙を持っていなければならない。特に、面状発熱体としての使用が意図される材料は、極細繊維、典型的には極細ポリエステル繊維を原料とする布帛、不織布であることが好ましい。
【0027】
「酸化剤」は、モノマーを酸化重合によってポリマー化した場合に、導電性を付与することができる化学的酸化剤をいう。使用し得る酸化剤の具体例は、米国特許No.4,604,427、4,521,450および4,617,228を含む多数の文献に記載されており、過硫酸アンモニウム、塩化鉄(III)、硫酸鉄(III)、過酸化水素、過ホウ酸アンモニウム、塩化銅(II)などを含む。ドーパントとして使用するスルホン酸、例えばパラトルエンスルホン酸の第2鉄塩も酸化剤として使用することができる。
【0028】
「ドーパント」とは、ポリピロールなど導電性高分子の導電性を向上させるアニオンを指し、その具体例はやはり前出の米国特許を含む多数の特許文献に記載されている。パラトルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、ドテシルベンゼンスルホン酸、スルホン化ポリスチレンなどのスルホン酸が好ましい。
【0029】
「ポリピロール」とは、ピロールのホモポリマーのみならず、ピロールと小割合の共重合可能なピロール同族体もしくは誘導体、例えばN−メチルピロール、3−メチルピロール、3,5−ジメチルピロール、2,2’−ビピロールとの共重合体をいう。
【0030】
「バインダー樹脂」とは、溶剤型常乾塗料、またはエマルション若しくはディスパージョンの形で常乾水系塗料にフィルム形成樹脂として使用される樹脂成分をいう。具体的には、塩化ビニル、酢酸ビニル、塩化ビニリデンなどのホモ若しくはコポリマーを含むビニル系樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、フッ素樹脂、それらの変性樹脂が含まれるが、化学的親和性を考慮して基材を構成する繊維と同系のバインダー樹脂、例えばポリエステル繊維に対してポリエステル系バインダー樹脂を採用するのが好ましい。ポリウレタンエマルション若しくはディスパージョンは多種類の材質の繊維シート基材に対して良好な接着性を持っている。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、電源端子と導電性繊維シートとの接触抵抗を低減することにより、面状発熱体として、良好な発熱特性、柔軟性、生産性にも優れた面状発熱体、及びその製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】性能の測定に使用する本発明による面状発熱体の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下の実施例および比較例は限定を意図するものではなく、また「部」および「%」は特記しない限り重量基準による。
【0034】
表面抵抗率の測定は、ダイアインスツルメンツ製表面抵抗計 Loresta EP MCP-T360を用いて行った。
【0035】
面状発熱体の温度測定は、サーモビジョンCPA−7800(チノー社製)を用い、10cm×10cmの平均表面温度を測定した。
【0036】
図1は、発熱特性などを測定するために作製した本発明による面状発熱体1の概略図を示している。面状発熱体1は、繊維シート2であって、少なくとも導電性高分子を含んでいる部分3と、繊維シート2へ電流を流すために電極4が形成されている部分とから構成されている。勿論、電極4が形成されている部分の繊維シート2にも導電性高分子が含まれていてもよい。また、電極4は、金属クリップ(図示せず)およびリード線5を介して電源6と接続されており、面状発熱体1へ電流を流すことができるようになっている。
【0037】
2つの電極4は、矩形状の繊維シート2の対向し合う端部のそれぞれへ電極間距離;Dを保って配置されており、電極の形状は、それぞれ電極長さ;L、電極幅;Wとなるように形成されている(図1参照)。
【0038】
実施例1
幅12cm、長さ12cm、厚み0.3mm、目付120g/mで繊維径100デニール、24フィラメントのポリエステル繊維シートに錫メッキした銅繊維を電極部分に編み込んだ。電極部分の幅は、1cm、電極部分を形成した箇所(体積)において、構成繊維に対する金属繊維の比率は、50%であった。また、電極間距離は10cmに調整した。
過硫酸アンモニウム20%、パラトルエンスルホン酸10%の溶液に浸漬し、0.25MPaの圧で100mmφの径のマングルで、過剰の溶液を除去した。その後湿った繊維シートを平坦に広げた状態で反応室に入れ、室内に設置したエバポレーターからピロールの蒸気を室内に充満させ、1時間放置してピロールの気相重合を行った。反応終了後繊維シートを反応室から取出し、1Lの蒸留水で3回洗浄し、水切りした後、105℃で1時間乾燥した。処理前および処理後の重量差から、ポリピロールの付着率は、10%と計算された。
得られた実施例1の導電性繊維シートからなる面状発熱体の平均表面抵抗率は、300Ω/□であった。また、得られた面状発熱体の電極部分である金属繊維を長さ10cmの金属クリップで挟み、これを端子として50Vで通電した。1分後の面状発熱体の平均表面温度は、25℃から45℃まで上昇した。30分後の面状発熱体の平均表面温度は、43℃で、1分後の初期の発熱と比較しても変化が少なく安定していた。
【0039】
実施例2
幅12cm、長さ12cm、厚み0.45mm、目付を150g/m、繊維径3デニールのポリエステル不織布シートに錫メッキした銅繊維を電極部分に編み込んだ。それ以外は実施例1と同じ操作を繰り返し、ポリエステル不織布シートに導電性高分子を付着させた。ポリピロールの付着率は11%と計算された。
得られた実施例2の導電性不織布シートからなる面状発熱体の平均表面抵抗率は、150Ω/□であった。電極間距離を10cmとし、長さ10cmの金属クリップで挟み、これを端子として50V通電での1分後の面状発熱体の平均表面温度は、25℃から55℃まで上昇した。30分後の面状発熱体の平均表面温度は、55℃で、1分後の初期の発熱と比較しても変化が少なく安定していた。
【0040】
実施例3
東亞合成(株)アクリルエマルジョンNW−400(固形分50%、自己架橋型)72.5%、アセチレンブラック2.5%、水25%の割合で十分混合し、導電性ペーストを作製した。実施例2で得られた150Ω/□の導電性不織布シートに、作製した導電性ペーストを十分に含浸させ、0.15MPaの圧で100mmφの径のマングルで、余分な導電性ペーストを取り除いた。その後得られた導電性不織布シートを120℃、1hrで乾燥させた。処理前および処理後の重量差から、アセチレンブラックの付着率は、3%と計算された。
得られた実施例3の導電性不織布シートからなる面状発熱体の平均表面抵抗率は、導電性高分子をコートした元の導電性不織布シートの表面抵抗率150Ω/□より高く200Ω/□であった。電極間距離を10cmとし、長さ10cmの金属クリップで挟み、これを端子として50V通電での1分後の面状発熱体の平均表面温度は、25℃から50℃まで上昇した。30分後の面状発熱体の平均表面温度は、50℃で、1分後の初期の発熱と比較しても変化がなく安定していた。
【0041】
実施例4
実施例3で得られた導電性高分子とカーボンの導電性ペーストをコートした導電性不織布シートからなる面状発熱体に、東洋インキ社製の銀系の導電性インキ「REXALPHA RAFS」をコート(幅1cm、長さ12cmで、電極間距離10cm)し、100℃、0.25hrで乾燥させた。
得られた実施例4の導電性不織布シートからなる面状発熱体の電極部に長さ10cmの金属クリップで挟み、これを端子として50Vで通電した。1分後の面状発熱体の平均表面温度は、25℃から50℃まで上昇した。30分後の面状発熱体の平均表面温度は、50℃で、1分後の初期の発熱と比較しても変化が少なく安定していた。
【0042】
実施例5
錫メッキした銅繊維を編み込んでいない実施例1のポリエステル繊維シートを用いたこと以外は実施例1と同じ操作を繰り返し、ポリエステル繊維シートに導電性高分子を付着させた。ポリピロールの付着率は10%と計算された。 得られた導電性繊維シートの平均表面抵抗率は、300Ω/□であった。この導電性繊維シートの電源端子と接触させる箇所に実施例3で作製した導電性ペーストをコート(幅1cm、長さ12cmで、電極間距離10cm)し、120℃、1hrで乾燥させた。
得られた実施例5の導電性繊維シートからなる面状発熱体の電極部に長さ10cmの金属クリップで挟み、これを端子として50Vで通電した。1分後の面状発熱体の平均表面温度は、25℃から40℃まで上昇した。30分後の面状発熱体の平均表面温度は、39℃で、1分後の初期の発熱と比較しても変化が少なく安定していた。
【0043】
実施例6
過硫酸アンモニウム25%、パラトルエンスルホン酸15%に変更した以外は実施例1と同じ操作を繰り返し、ポリエステル繊維シートに導電性高分子を付着させた。ポリピロールの付着率は16%と計算された。
得られた実施例6の導電性繊維シートからなる面状発熱体の平均表面抵抗率は、90Ω/□であった。また、得られた面状発熱体の電極部分である金属繊維を長さ10cmの金属クリップで挟み、これを端子として50Vで通電した。1分後の面状発熱体の平均表面温度は、25℃から57℃まで上昇した。30分後の面状発熱体の平均表面温度は、57℃で、1分後の初期の発熱と比較しても変化が少なく安定していた。
【0044】
実施例7
パラトルエンスルホン酸第二鉄塩(40%含有)のエタノール溶液を実施例2で使用したポリエステル不織布シートに十分含浸させ、0.25MPaの圧で100mmφの径のマングルで、過剰の溶液を除去した。その後湿った不織布シートを平坦に広げた状態で反応室に入れ、室内に設置したエバポレーターから3,4−エチレンジオキシチオフェンの蒸気を室内に充満させ、1時間放置して気相重合を行った。反応終了後不織布シートを反応室から取出し、1Lのエタノールと蒸留水でそれぞれ交互に各3回洗浄し、水切りした後、105℃で1時間乾燥した。処理前および処理後の重量差から、ポリエチレンジオキシチオフェンの付着率は9%と計算された。得られた導電性不織布シートの平均表面抵抗率は、900Ω/□であった。その導電性不織布シートの電源端子と接触させる箇所に実施例3で作製した導電性ペーストをコート(幅1cm、長さ12cmで、電極間距離10cm)し、120℃、1hrで乾燥させた。
得られた実施例7の導電性不織布シートからなる面状発熱体の電極部に長さ10cmの金属クリップで挟み、これを端子として50Vで通電した。1分後の面状発熱体の平均表面温度は、25℃から35℃まで上昇した。30分後の面状発熱体の平均表面温度は、36℃で、1分後の初期の発熱と比較しても変化が少なく安定していた。
【0045】
比較例1
幅12cm、長さ12cm、厚み0.45mm、目付を150g/m、繊維径3デニールのポリエステル不織布シートに、実施例3で作製したアセチレンブラック入り導電性ペーストを十分に含浸させて、0.15MPaの圧で100mmφの径のマングルで、余分な導電性ペーストを取り除いた。得られた導電性不織布シートを120℃、1hrで乾燥させた。処理前および処理後の重量差から、アセチレンブラックの付着率は、3%と計算された。得られた導電性不織布シートの平均表面抵抗率は、1,750Ω/□であった。
得られた導電性不織布シートの電極間距離を10cmとし、その電極部を長さ10cmの金属クリップで挟み、これを端子として50Vで通電した。1分後の導電性不織布シートの平均表面温度は、25℃から28℃まで上昇した。30分後の導電性不織布シートの平均表面温度は、28℃であり、わずかながら発熱するが、面状発熱体としては利用価値の少ない導電性不織布シートであった。
【0046】
比較例2
電極部分を錫メッキした銅繊維で構成していないこと以外は、実施例1のポリエステル繊維シートを用いて実施例1と同様の操作を繰り返した。ポリエステル繊維シートのポリピロール付着率は、10%と計算された。
得られた導電性繊維シートの平均表面抵抗率は、300Ω/□であった。また、得られた導電性繊維シートの端子間距離が10cmとなるように、その通電部を長さ10cmの金属クリップで挟みこれを端子として50Vで通電した。1分後の導電性繊維シートの平均表面温度は、25℃から45℃まで上昇した。しかし、クリップで挟みこんでいた箇所は、接触抵抗が高い影響からか局所発熱し、クリップと接触している部分であるポリエステル繊維シートが一部溶融して、30分後の導電性繊維シートの平均表面温度は25℃であり、面状発熱体としての機能がなくなった。
【符号の説明】
【0047】
1・・・面状発熱体
2・・・繊維シート
3・・・導電性繊維シート部分
4・・・電極
5・・・リード線
6・・・電源
図1