(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2006/0154807号公報
【特許文献2】米国特許第7,196,210号号明細書
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Shun Wan et al., “A Belt-Shaped, Blue Luminescent, and Semiconducting Covalent Organic Framework,” Angew. Chem. Int. Ed., Vol. 47, pp. 8826-8830 (published on web 01/10/2008)
【非特許文献2】Nikolas A. A. Zwaneveld et al., “Organized Formation of 2D Extended Covalent Organic Frameworks at Surfaces,” J. Am. Chem. Soc., Vol. 130, pp. 6678-6679 (published on web 04/30/2008)
【非特許文献3】Adrien P. Cote et al., “Porous, Crystalline, Covalent Organic Frameworks,” Science, Vol. 310, pp. 1166-1170 (November 18, 2005)
【非特許文献4】Hani El-Kaderi et al., “Designed Synthesis of 3D Covalent Organic Frameworks,” Science, Vol. 316, pp. 268-272 (Apr. 13, 2007)
【非特許文献5】Adrien P. Cote et al., “Reticular Synthesis of Microporous and Mesoporous Covalent Organic Frameworks” J. Am. Chem. Soc., Vol. 129, 12914-12915 (published on web Oct. 6, 2007)
【非特許文献6】Omar M. Yaghi et al., “Reticular synthesis and the design of new materials,” Nature, Vol. 423, pp. 705-714 (June 12, 2003)
【非特許文献7】Nathan W. Ockwig et al., “Reticular Chemistry: Occurrence and Taxonomy of Nets and Grammar for the Design of Frameworks,” Acc. Chem. Res., Vol. 38, No. 3, pp. 176-182 (published on web January 19, 2005)
【非特許文献8】Pierre Kuhn et al., ‘Porous, Covalent Triazine-Based Frameworks Prepared by Ionothermal Synthesis,” Angew. Chem. Int. Ed., Vol. 47, pp. 3450-3453. (Published on web Mar. 10, 2008)
【非特許文献9】Jia-Xing Jiang et al., “Conjugated Microporous Poly(aryleneethylnylene) Networks,” Angew. Chem. Int. Ed., Vol. 46, (2008) pp, 1-5 (Published on web Sept. 26, 2008)
【非特許文献10】Hunt, J.R. et al. “Reticular Synthesis of Covalent-Organic Borosilicate Frameworks” J. Am. Chem. Soc., Vol. 130, (2008), 11872-11873. (published on web Aug. 16, 2008).
【発明を実施するための形態】
【0012】
本実施形態は、巨視的レベルで粒子の形態をしている共有結合性有機骨格(COF)に関し、より具体的には、新規な電荷輸送粒子としてのCOFの使用に関する。以下の説明中で「COF」という用語は粒子形態のCOFを意味する。「巨視的レベル」という語句は、本発明のCOFの裸眼による見た目を意味する。
【0013】
本実施形態は、共有結合性有機骨格として配置されている複数のセグメントおよび複数のリンカーを含む電荷輸送粒子組成物であって、巨視的レベルにおいて共有結合性有機骨格が、複数のセグメントから形成される2次元または3次元のネットワークからなる粒子である、電荷輸送粒子組成物を開示する。ある特定の実施形態では、粒子は、複数のN,N,N’,N’−テトラフェニル]−ビフェニル−4,4’−ジアミンセグメントを含む粒子でもよい。これらの5ナノメートル〜1ミリメートルサイズの粒子は2次元または3次元にパターン形成されている。
【0014】
別の実施形態では、構成された有機粒子は、正孔輸送分子または電子輸送分子で構成され、例えばゼログラフィー、太陽電池、有機発光ダイオード(OLED)、薄膜トランジスタ(TFT)等の有機電子層中の電荷輸送材料として使用されるか、有機電子膜または有機電子材料の機械的特性を変えるための添加剤として使用されるものでもよい。
【0015】
分子ビルディングブロックはセグメント(S)および官能基(Fg)を含む。分子ビルディングブロックは、少なくとも2個の官能基を必要とし(x≧2)、1種または2種以上の官能基を含み得る。官能基とは、COF粒子形成プロセス中にセグメントを連結する化学反応に関与する、分子ビルディングブロック中の反応性の化学的部分である。セグメントとは、官能基を支持し、官能基に関連しない全ての原子を含む、分子ビルディングブロック中の部分である。更に、分子ビルディングブロックセグメントの組成はCOF粒子形成後にも変化せずに残る。
【0016】
官能基は、COF粒子形成プロセス中にセグメントを連結する化学反応に関与する、分子ビルディングブロック中の反応性の化学的部分である。官能基は、1個の原子からなってもよく、2個以上の原子からなってもよい。官能基の原子組成は、化合物中の反応性部分に通常関連する組成である。官能基の非限定的な例としては、ハロゲン、アルコール、エーテル、ケトン、カルボン酸、エステル、カルボナート、アミン、アミド、アミン、尿素、アルデヒド、イソシアナート、トシラート、アルケン、アルキン等が含まれる。
【0017】
分子ビルディングブロックは複数の化学的部分を含むが、それらの化学的部分の一部だけがCOF粒子形成プロセス中の官能基であると考えられる。化学的部分が官能基と見なされるかどうかはCOF粒子形成プロセスに選択する反応条件による。上記図中で略語Fgで表されている官能基及び実施形態中でこれまで示した官能基(Fg)は、反応性部分、すなわちCOF粒子形成プロセス中の官能基である化学的部分を表す。
【0018】
COF粒子形成プロセス中、官能基の組成が原子の脱離、原子の付加、または原子の脱離および付加の両方によって変化するか、官能基が完全に失われ得る。COF粒子中では、前に官能基に関連していた原子が、セグメントを連結する化学的部分である連結基に関連している。官能基は特徴的な化学的性質を有し、当業者は通常、本発明の分子ビルディングブロック中のどの原子が官能基を構成するかを識別することができる。分子ビルディングブロック官能基の一部として特定される原子または原子群は、COF粒子の連結基中に保存され得ることに留意すべきである。連結基は実施形態に後述する。
【0019】
セグメントは、官能基を支持し、官能基に関連しない全原子を含む分子ビルディングブロック部分である。更に、分子ビルディングブロックセグメントの組成はCOF粒子形成後にも変化せずに残る。セグメントは、傾向的特性(inclined property)を付与し得る分子ビルディングブロック部分でもある。実施形態における傾向的特性は後述する。
【0020】
以下に分子ビルディングブロックの非限定的な例を示す。分子ビルディングブロック中、セグメントを四角で示し、官能基を丸で示す。
【0021】
1種類の官能基を含む分子ビルディングブロック
【化1】
【0022】
2種類の官能基を含む分子ビルディングブロック
【化2】
【0023】
2種類の官能基を含む分子ビルディングブロック
【化3】
【0024】
リンカーとは、分子ビルディングブロックに存在する官能基間の化学反応後にCOF粒子中に現れる化学的部分である(下に図示)。Sはセグメント、すなわちCOF中に保存される分子ビルディングブロック部分であり、Fgは官能基、すなわち分子ビルディングブロックの反応性部分であり、Lはリンカー、すなわちCOF中でセグメント部分を連結するものである。
【化4】
【0025】
リンカーは、共有結合、単一の原子、または共有結合された原子群を含み得る。前者は、共有結合性リンカーと定義され、例えば単共有結合または二重共有結合であり得、相手になる全ビルディングブロック上の官能基が完全に失われた時に現れる。後者の種類のリンカーは、化学的部分リンカーと定義され、単共有結合、二重共有結合、またはこれらの組合せで結合された1または複数の原子を含み得る。連結基に含まれる原子は、COF粒子形成プロセス前に分子ビルディングブロックの官能基中に存在する原子に由来する。化学的部分リンカーは、限定されるものではないが、エステル、ケトン、アミド、イミン、エーテル、ウレタン、カルボナート等の周知の化学基またはそれに由来するものであり得る。
【0026】
例えば、COF粒子中で酸素原子を介してセグメントを連結するために2個のヒドロキシル(−OH)官能基が使われる場合、リンカーは酸素原子であり、エーテルリンカーとして記述され得る。ここで、リンカーは1種類だけである。しかし、実施形態では、粒子は2種以上のリンカーを含んでもよい。
【0027】
分子ビルディングブロックの対称性が分子ビルディングブロックセグメント周辺の官能基(Fg)の位置決定に関連する。化学的または数学的理論により限定されるものではないが、対称性の分子ビルディングブロックとは、Fgの位置決定がロッドの端、規則的な幾何的形状の頂点、または歪んだロッドもしくは歪んだ幾何的形状の頂点に関連し得るものである。例えば、4個のFgを含む分子ビルディングブロックで最も対称性な選択は、Fgが四角形の角または四面体の頂点に重なるものである。
【0028】
以下の2つの理由から、本明細書に開示する実施形態では対称性のビルディングブロックを通常使用している。(1)網目構造の化学反応において、規則的形状の連結プロセスの方がより理解されているので、分子ビルディングブロックのパターン形成をより良く予測することができる。(2)より対称性の低いビルディングブロックはCOF粒子内で多くの連結欠陥を生じさせ得る間違ったコンホメーション/配向を取り得るので、対称性分子ビルディングブロックでは分子ビルディングブロック間の完全な反応が促進される。
【0029】
以下に、対称要素を示したビルディングブロックを示す。このような対称要素(例えば、理想的なロッド状ビルディングブロックおよび歪んだロッド状ビルディングブロック、理想的な三角形ビルディングブロックおよび歪んだ三角形ビルディングブロック、理想的な四面体ビルディングブロックおよび歪んだ四面体ビルディングブロック、ならびに理想的な四角形ビルディングブロックおよび歪んだ四角形ビルディングブロック)は、本実施形態の実施で使用されるビルディングブロック中に一般的に見られる。
【化5】
【化6】
【化7】
【化8】
【0030】
COF粒子の分子ビルディングブロックとして機能し得る分子物の非限定的なクラスを以下に列挙する。
【0031】
炭素原子コアまたはケイ素原子コアを含むビルディングブロックが以下から選択され得る。
【化9】
【0032】
アルコキシコアを含むビルディングブロックが以下のように表される。
【化10】
【0033】
窒素原子コアまたはリン原子コアを含むビルディングブロックが以下から選択され得る。
【化11】
【0034】
アリールコアを含むビルディングブロックが以下から選択され得る。
【化12】
【0035】
カルボナートコアを含むビルディングブロックが以下のように表される。
【化13】
【0036】
炭素環コア、炭素二環(carbobicyclic)コア、炭素三環(carbotricyclic)コアを含むビルディングブロックが以下から選択され得る。
【化14】
【0037】
オリゴチオフェンコアを含むビルディングブロックが以下のように表される。
【化15】
【0038】
上記ビルディングブロックのそれぞれに関して、Qは、独立して、分枝および非分枝のC1〜C8アルキル、分枝および非分枝のC1〜C8ペルフルロアルキル、C1〜C6炭素環、アミノ、ヒドロキシル、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ケトン、カルボン酸、カルボン酸エステル、メルカプチル、チオエーテルで置換されていてもよい、アリール、ビアリール、トリアリール、およびナフチル;分枝および非分枝のC1〜C8アルキル、分枝および非分枝のC1〜C8ペルフルロアルキル、C1〜C6炭素環、アミノ、ヒドロキシル、ハロゲン、シアノ、ニトロ、カルボン酸、カルボン酸エステル、メルカプチル、チオエーテルで置換されていてもよい、環当たり1〜3個のヘテロ原子を含む、アリール、ビアリール、トリアリール、ナフチル;分枝および非分枝のC1〜C8ペルフルロアルキル、C1〜C6炭素環、アミノ、ヒドロキシル、ハロゲン、シアノ、ニトロ、カルボン酸、ケトン、カルボン酸エステル、メルカプチル、チオエーテル、アルキルエーテル、アリールエーテル;分枝および非分枝のC1〜C12アルキル;ならびに分枝および非分枝のC1〜C12ペルフルロアルキル;12個ものC−O単位を含むオリゴエーテルから選択され、pは約1〜約24であり、pは約1〜約12であり、zは約1〜約4であり、jは約1〜約12である。
【0039】
Fgは、実施形態で既に定義したように官能基であり、独立して、アルコール、アルキルエーテル、アリールエーテル、シアノ、アミノ、ハロゲン、ケトン、カルボン酸、カルボン酸エステル、カルボン酸塩化物、アリールスルホニル、アルキルスルホニル、ホルミル、水素、イソシアナートから選択することができ、ここで、Rは、独立して、分枝および非分枝のC1〜C8アルキル、分枝および非分枝のC1〜C8ペルフルロアルキル、C1〜C6炭素環、アミノ、ヒドロキシル、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ケトン、カルボン酸、カルボン酸エステル、メルカプチル、チオエーテルで置換されていてもよい、アリール、ビアリール、トリアリール、およびナフチル;分枝および非分枝のC1〜C8アルキル、分枝および非分枝のC1〜C8ペルフルロアルキル、C1〜C6炭素環、アミノ、ヒドロキシル、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ケトン、カルボン酸、カルボン酸エステル、メルカプチル、チオエーテルで置換されていてもよい、環当たり1〜3個のヘテロ原子を含む、アリール、ビアリール、トリアリール、ナフチル;分枝および非分枝のC1〜C8ペルフルロアルキル、C1〜C6炭素環、アミノ、ヒドロキシル、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ケトン、カルボン酸、カルボン酸エステル、メルカプチル、チオエーテル、アルキルエーテル、アリールエーテル;分枝および非分枝のC1〜C12アルキル;ならびに分枝および非分枝のC1〜C12ペルフルロアルキル;12個ものC−O単位を含むオリゴエーテル;
−アルコール、アルキルエーテル、アリールエーテル、シアノ、アミノ、ハロゲン、カルボン酸、カルボン酸エステル、ケトン、カルボン酸塩化物、アリールスルホニル、アルキルスルホニル、ホルミル、水素、イソシアナート等から選択される。
【0040】
実施形態では、粒子形成プロセスの間または後にCOFからほとんどが蒸発するか除かれ得る揮発性の副産物が官能基間の反応で生成する連結化学反応、あるいは何ら副産物を生成しない連結化学反応が起こり得る。連結化学反応は、連結化学反応の副産物が存在することが望ましくない用途のためのCOFが得られるように選択され得る。連結化学反応としては、例えば、限定されるものではないが、エステル、イミン、エーテル、カルボン酸塩、ウレタン、アミド、アセタール、およびシリルエーテルを生成するような、縮合、付加/脱離、および付加反応が含まれ得る。
【0041】
実施形態では、官能基間の反応を介した連結化学反応は不揮発性の副産物を生成し、これは粒子形成プロセス後にCOF内にほとんどが取り込まれたまま残る。実施形態の連結化学反応は、連結化学反応の副産物が存在しても特性に影響がない用途または連結化学反応の副産物が存在するとCOFの特性(例えばCOFの電気活性性質)が変わり得る用途のためのCOFが得られるように選択され得る。連結化学反応としては、例えば炭素−炭素結合を生じるような、置換、複分解、および金属触媒カップリング反応が含まれ得る。
【0042】
全ての連結化学反応で、ビルディングブロック官能基間の化学反応を介してビルディングブロック間の反応の速度および程度を制御できることは本開示の実施形態である。反応の速度および程度を制御する非限定的な理由は、実施形態で既に定義したような周期的なCOF粒子が得られるようにビルディングブロックの微視的配置を調整するためであり得る。
【0043】
COFは、高い熱安定性(通常、大気条件下で400℃超)、有機溶媒への低溶解性(化学的安定性)、多孔性(可逆的なゲスト取込み能)等の固有の特性を有する。実施形態では、COF粒子はこれらの固有の特性を共有する。
【0044】
付加的機能性とは、従来のCOFに本来存在しない特性を意味し、得られるCOF中で分子的組成が付加的機能性を付与するような分子ビルディングブロックを選択することで生じ得る。付加的機能性は、その付加的機能性への「傾向的特性」を有する分子ビルディングブロックが構築されることで生じ得る。付加的機能性は、その付加的機能性への「傾向的特性」を有しない分子ビルディングブロックが構築されることでも生じ得、得られるCOFは、セグメント(S)とリンカーが連結されてCOFが形成された結果として付加的機能性を有する。更に、付加的機能性の出現は、その付加的機能性への「傾向的特性」を有する分子ビルディングブロックの使用と、セグメントおよびリンカーが連結されてCOF粒子が形成されたことで傾向的特性が修飾または強化されることとを組み合わせた効果からも生じ得る。
【0045】
付加的機能性とは、従来のCOFに本来存在しない特性を意味し、得られるCOF中で分子的組成が付加的機能性を付与するような分子ビルディングブロックを選択することで生じ得る。付加的機能性は、その付加的機能性への「傾向的特性」を有する分子ビルディングブロックが構築されることで生じ得る。付加的機能性は、その付加的機能性への「傾向的特性」を有しない分子ビルディングブロックが構築されることでも生じ得、得られるCOFは、セグメント(S)とリンカーが連結されてCOFが形成された結果として付加的機能性を有する。更に、付加的機能性の出現は、その付加的機能性への「傾向的特性」を有する分子ビルディングブロックの使用と、セグメントおよびリンカーが連結されてCOF粒子が形成されたことで傾向的特性が修飾または強化されることとを組み合わせた効果からも生じ得る。
【0046】
分子ビルディングブロックの「傾向的特性」という用語は、例えば、特定の分子組成に存在することが知られている特性またはセグメントの分子組成を調べることで当業者に合理的に特定される特性を意味する。本明細書において、「傾向的特性」および「付加的機能性」という用語は同じ一般的特性(例えば、疎水性、電気活性等)を指すが、「傾向的特性」は分子ビルディングブロックに関して用いられ、「付加的機能性」はCOFに関して用いられる。
【0047】
電気活性という用語は、例えば、電荷(電子および/または正孔)を輸送する特性を意味する。電気活性材料としては、導電体、半導体、および電荷輸送材料が含まれる。導電体は、電位差の存在下で容易に電荷を輸送する材料として定義される。半導体は、本来は電荷を導電しないが、電位差の存在下で、例えば電場、電磁放射、熱等の刺激が与えられると導電性になることができる材料として定義される。電荷輸送材料は、電位差の存在下で、例えば染料、顔料、または金属等の別の材料から電荷が注入された時に電荷を輸送できる材料として定義される。
【0048】
導電体は更に、電位差計を用いて約0.1〜約10
7S/cmのシグナルを発生する物質としても定義することができる。
【0049】
半導体は更に、例えば電場、電磁放射、熱等の刺激存在下で、電位差計を用いて約10
−6〜約10
4S/cmのシグナルを発生する物質としても定義することができる。あるいは、半導体は、例えば電場、電磁放射、熱等の刺激にさらされた時に、タイムオブフライト(time of flight)技術を用いた測定で10
−10〜約10
6cm
2V
−1S
−1の電子および/または正孔移動度を有する物質として定義することができる。
【0050】
更に電荷輸送材料は、タイムオブフライト技術を用いた測定で10
−10〜約10
6cm
2V
−1S
−1の電子および/または正孔移動度を有する材料としても定義することができる。状況によっては電荷輸送材料は半導体にも分類され得ることに留意すべきである。
【0051】
電気活性の付加的機能を有するCOFは、傾向的電気活性特性を有する分子ビルディングブロックを用いることで製造され得、且つ/またはコンジュゲートされたセグメントおよびリンカーが構築されることで電気活性になり得る。以下のセクションに、傾向的正孔輸送特性、傾向的電子輸送特性、および傾向的半導体特性を有する分子ビルディングブロックについて述べる。
【0052】
正孔輸送の付加的機能性を有するCOFは、例えば、以下の一般構造で表されるトリアリールアミン、ヒドラゾン(米国特許第7,202,002(B2)号(Tokarski et al.))、およびエナミン(米国特許第7,416,824(B2)号(Kondoh et al.))等のセグメントコアを選択することで得ることができる。
【化16】
トリアリールアミンを含むセグメントコアは以下の一般式で表される。
【化17】
式中、Ar
1、Ar
2、Ar
3、Ar
4、およびAr
5は、それぞれ独立して、置換または未置換のアリール基を表すか、あるいは、Ar
5は独立して置換または未置換のアリーレン基を表し、kは0または1を表し、Ar
1、Ar
2、Ar
3、Ar
4、およびAr
5の少なくとも2つはFg(上記で定義)を含む。Ar
5は更に、置換フェニル環または置換/未置換フェニレンとしても定義することができるが、これらに限定されるものではない。
【0053】
正孔輸送の付加的機能性を有するアリールアミンを含むセグメントコアの例としては、限定されるものではないが、トリフェニルアミン、N,N,N’,N’−テトラフェニル−(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジアミン、N,N’−ビス(4−ブチルフェニル)−N,N’−ジフェニル−[p−テルフェニル]−4,4’’−ジアミン等のアリールアミン;N−フェニル−N−メチル−3−(9−エチル)カルバジルヒドラゾン、4−ジエチルアミノベンズアルデヒド−1,2−ジフェニルヒドラゾン等のヒドラゾン;および2,5−ビス(4−N,N’−ジエチルアミノフェニル)−1,2,4−オキサジアゾール等のオキサジアゾール、スチルベン等が含まれる。
【0054】
傾向的正孔輸送特性を有するトリアリールアミンコアセグメントを含む分子ビルディングブロックは例えば、限定されるものではないが、以下に列挙するものを含む化学構造のリストに由来し得る。
【化18】
【化19】
【0055】
ヒドラゾンを含むセグメントコアは以下の一般式で表される。
【化20】
式中、Ar
1、Ar
2、およびAr
3は、それぞれ独立して、1または複数の置換基を含んでいてもよいアリール基を表し、Rは、水素原子、置換基を含んでいてもよいアルキル基、アリール基を表し、Ar
1、Ar
2、およびAr
3の少なくとも2つはFg(上記で定義)を含む。関連するオキサジアゾールは以下の一般式で表される。
【化21】
式中、ArおよびAr
1は、それぞれ独立して、Fg(上記で定義)を含むアリール基を表す。
【0056】
傾向的正孔輸送特性を有するヒドラゾンコアセグメントを含む分子ビルディングブロックおよびオキサジアゾールコアセグメントを含む分子ビルディングブロックは例えば、限定されるものではないが、以下に列挙するものを含む化学構造のリストに由来し得る。
【化22】
【化23】
【0057】
エナミンを含むセグメントコアは以下の一般式で表される。
【化24】
式中、Ar
1、Ar
2、Ar
3、およびAr
4は、それぞれ独立して、1もしくは複数の置換基を含んでいてもよいアリール基または1もしくは複数の置換基を含んでいてもよい複素環基を表し、Rは、水素原子、置換基を含んでいてもよいアルキル基、またはアリール基を表し、Ar
1、Ar
2、Ar
3、およびAr
4の少なくとも2つはFg(上記で定義)を含む。
【0058】
傾向的正孔輸送特性を有するエナミンコアセグメントを含む分子ビルディングブロックは例えば、限定されるものではないが、以下に列挙するものを含む化学構造のリストに由来し得る。
【化25】
【0059】
電子輸送の付加的機能性を有するCOF粒子は、限定されるものではないが、以下の一般構造で表されるニトロフルオレノン、9−フルオレニリデンマロニトリル、ジフェノキノン、およびナフタレンテトラカルボン酸ジイミドを含むセグメントコアを選択することで得ることができる。
【化26】
なお、ジフェニルキノンのカルボニル基はCOF粒子形成プロセス中でFgとしても作用し得る。
【0060】
半導体の付加的機能性を有するCOF粒子は、限定されるものではないが、以下の一般構造で表されるアセン、チオフェン/オリゴチオフェン/縮環チオフェン、ペリレンビスイミド、またはテトラチオフルバレン、およびこれらの誘導体等のセグメントコアを選択することで得ることができる。
【化27】
【0061】
COF粒子は、p型半導体、n型半導体、または両極性半導体であり得る。COF粒子の半導体型は分子ビルディングブロックの性質に依存する。COF粒子中に存在する時に電子供与特性を有するアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アミノ基等の分子ビルディングブロックはCOF粒子をp型半導体にし得る。一方、シアノ基、ニトロ基、フルオロ基、フッ化アルキル基、フッ化アリール基等の電子吸引性の分子ビルディングブロックはCOF粒子をn型半導体にし得る。
【0062】
傾向的半導体特性を有するアセンコアセグメントを含む分子ビルディングブロックは例えば、限定されるものではないが、以下に列挙するものを含む化学構造のリストに由来し得る。
【化28】
【0063】
傾向的半導体特性を有するチオフェン/オリゴチオフェン/縮環チオフェンコアセグメントを含む分子ビルディングブロックは例えば、限定されるものではないが、以下に列挙するものを含む化学構造のリストに由来し得る。
【化29】
【0064】
傾向的半導体特性を有するペリレンビスイミドコアセグメントを含む分子ビルディングブロックは例えば以下の化学構造に由来し得る。
【化30】
【0065】
傾向的半導体特性を有するテトラチオフルバレンコアセグメントを含む分子ビルディングブロックは例えば、限定されるものではないが、以下に列挙するものを含む化学構造のリストに由来し得る。
【化31】
式中、Arは、それぞれ独立して、1もしくは複数の置換基を含んでいてもよいアリール基または1もしくは複数の置換基を含んでいてもよい複素環基を表す。
【0066】
同様に、これらの分子ビルディングブロックで製造されたCOF粒子の電気活性は、セグメントの性質、リンカーの性質、およびCOF粒子内でセグメントがどのように配向しているかに依存する。COF粒子中でセグメント部分が好ましい配向をとりやすいリンカーは、より高い電気活性をもたらすと予想される。
【0067】
電荷輸送粒子を製造するプロセスは通常、任意の好適な順番で行われ得るか2つ以上の作業が同時にまたは時間的に近接して行われる、複数の作業または工程(以下に記載)を含む:
(a)セグメントおよび複数の官能基をそれぞれが含む複数の分子ビルディングブロックを含む液体含有反応混合物を調製する工程;
(b)必要に応じて液体含有反応混合物を不活性ガスでパージする工程;
(c)反応混合物から液体が逃げないように反応容器を密封する工程;
(d)共有結合性有機骨格として配置された複数のセグメントおよび複数のリンカーを含む電荷輸送粒子を含む不均一混合物(heterogeneous mixture)への、分子ビルディングブロックを含む液体含有反応混合物の変化を促進する工程;
(e)濾過するか、生じた液体を容器からデカントするか、当業者に公知の別の方法によって、電荷輸送粒子を分離する工程;
(f)必要に応じて、得られた輸送粒子を平均サイズに粉砕、ミリング、または破砕する工程。
を含む、電荷輸送粒子製造プロセス。
【0068】
上記の作業または工程は、大気圧、超大気圧、または大気圧より低い圧力(subatmospheric pressure)で行われ得る。本明細書において、「大気圧」という用語は約760トール(約101300Pa)の圧力を意味する。「超大気圧」という用語は、大気圧より高いが20atmよりは低い圧力を意味する。「subatmospheric pressure」という用語は大気圧より低い圧力を意味する。実施形態では、作業または工程は大気圧または大気圧付近で行われ得る。通常、約0.1〜約2atm、例えば約0.5〜約1.5atmまたは0.8〜約1.2atmの圧力が便利に用いられ得る。
【0069】
反応混合物は、液体中に溶解、懸濁、または混合された複数の分子ビルディングブロックを含む。複数の分子ビルディングブロックは、1種類でもよく、2種類以上であってもよい。分子ビルディングブロックの1または複数が液体である場合、更なる液体を使用してもよい。上記操作C中、電荷輸送粒子が形成可能になるようにまたは粒子形成の動態を改変するために、必要に応じて反応混合物に触媒を添加してもよい。
【0070】
反応混合物成分(分子ビルディングブロック、必要に応じて液体、および必要に応じて触媒)は容器中で混合される。反応混合物成分を添加する順番は変わり得るが、通常、触媒が最後に添加される。特定の実施形態では、分子ビルディングブロックは、分子ビルディングブロックの溶解を補助するために触媒の非存在下で液体中で加熱される。また、必要に応じて反応混合物を不活性ガスでパージして反応容器を密封する前に、配合物の成分が確実に均一に分布されるように反応混合物の混合、撹拌、ミリング等を行ってもよい。
【0071】
実施形態では、必要に応じて反応混合物を不活性ガスでパージして反応容器を密封する前に、反応混合物を加熱してもよい。これは、必要に応じて反応混合物を不活性ガスでパージして反応容器を密封する前に、分子ビルディングブロックの1または複数の溶解を補助し得、且つ/または、反応混合物の部分的反応によって反応混合物の粘度を増加させ得る。このアプローチは、反応混合物中の分子ビルディングブロックの配合量(loading)を増やすために用いられ得る。
【0072】
分子ビルディングブロックの配合量または反応混合物中の「配合量」とは、分子ビルディングブロックおよび必要に応じて用いる触媒の全重量を反応混合物の全重量で割ったものと定義される。ビルディングブロックの配合量は約3〜100%、例えば約5〜約50%または約15〜約40%であり得る。反応混合物中の唯一の液体成分として液体の分子ビルディングブロックを用いる(すなわち更なる液体を用いない)場合、ビルディングブロックの配合量は約100%となる。
【0073】
反応混合物中に用いられる液体は、溶媒等の純粋な液体および/または溶媒混合物であり得る。液体は、分子ビルディングブロックおよび触媒/改変剤(modifier)を反応混合物中に溶解または懸濁するために用いられる。液体の選択は通常、分子ビルディングブロックの溶解度/分散と特定のビルディングブロック配合量とのバランス、反応混合物の粘度、および電荷輸送粒子の形成に影響を与える液体の沸点に基づく。好適な液体の沸点は、約30〜約300℃、例えば約65〜約250℃または約100℃〜約180℃であり得る。液体には種々の分子クラスが含まれ得る。
【0074】
第1の溶媒、第2の溶媒、第3の溶媒等を含む混合液体を反応混合物中で用いてもよい。分子ビルディングブロックの溶解/分散を補助するため、および/または分子ビルディングブロック配合量を増やすため、および/または電荷輸送粒子不均一混合物への反応混合物の変換促進を調節するために、2種類以上の液体を用いてもよい。実施形態では、第2の溶媒は、沸点または蒸気圧曲線または分子ビルディングブロックに対する親和性が第1の溶媒と異なる溶媒である。実施形態では、第1の溶媒は第2の溶媒よりも高い沸点を有する。実施形態では、第2の溶媒の沸点は約100℃以下、例えば約30〜約100℃、約40〜約90℃、または約50〜約80℃である。
【0075】
実施形態では、第1の溶媒、すなわち沸点がより高い溶媒の沸点は、約65℃以上、例えば約80〜約300℃、約100〜約250℃、または約100〜約180℃である。この沸点がより高い溶媒としては、例えば以下のものが含まれる(括弧内の値は化合物の沸点である。):アミルベンゼン(202℃)、イソプロピルベンゼン(152℃)、1,2−ジエチルベンゼン(183℃)、1,3−ジエチルベンゼン(181℃)、1,4−ジエチルベンゼン(184℃)、シクロヘキシルベンゼン(239℃)、ジペンテン(177℃)、2,6−ジメチルナフタレン(262℃)、p−シメン(177℃)、カンフル油(160〜185℃)、ソルベントナフサ(110〜200℃)、cis−デカリン(196℃)、trans−デカリン(187℃)、デカン(174℃)、テトラリン(207℃)、テレビン油(153〜175℃)、灯油(200〜245℃)、ドデカン(216℃)、ドデシルベンゼン(分枝)等の炭化水素溶媒;アセトフェノン(201.7℃)、イソホロン(215.3℃)、ホロン(198〜199℃)、メチルシクロヘキサノン(169.0〜170.5℃)、メチルn−ヘプチルケトン(195.3℃)等のケトンおよびアルデヒド溶媒;フタル酸ジエチル(296.1℃)、酢酸ベンジル(215.5℃)、γ−ブチロラクトン(204℃)、シュウ酸ジブチル(240℃)、酢酸2−エチルヘキシル(198.6℃)、安息香酸エチル(213.2℃)、ギ酸ベンジル(203℃)等のエステル溶媒;硫酸ジエチル(208℃)、スルホラン(285℃)、およびハロ炭化水素溶媒;エーテル化炭化水素溶媒;アルコール溶媒;エーテル/アセタール溶媒;多価アルコール溶媒;カルボン酸無水物溶媒;フェノール系溶媒;水;およびシリコーン溶媒。
【0076】
混合液体の比率は当業者が決定することができる。二成分混合液体における液体の比率は、体積比で約1:1〜約99:1、例えば約1:10〜約10:1または約1:5〜約5:1であり得る。nが約3〜約6のn種類の液体を用いる場合、各液体の量は約1〜約95%であり、各液体の寄与の合計は100%となる。
【0077】
粒子の性質を操作する目的で、電荷輸送粒子への反応混合物の変換速度を遅くするために混合液体を用いてもよい。縮合および付加/脱離の連結化学反応には、水、1°、2°、または3°のアルコール(例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、tert−ブタノール)等の液体が用いられ得る。
【0078】
必要に応じて、反応混合物の電荷輸送粒子への促進を補助するために反応混合物中に触媒が存在してもよい。必要に応じて用いる触媒の選択および使用は、分子ビルディングブロック上の官能基に依存し得る。触媒は、均一であってもよく(溶解されている)、不均一であってもよい(溶解されていないまたは一部が溶解されている)。典型的な触媒配合量は、反応混合物中の分子ビルディングブロック配合量の約0.01〜約25%、例えば約0.1〜約5%でもよい。触媒は、最終的な電荷輸送粒子組成中に存在してもよく、しなくてもよい。
【0079】
COF粒子は、例えば太陽電池、無線周波数認識タグ、有機発光素子、感光体、電子写真画像形成部材、薄膜トランジスタ等の電子デバイスに用いることができる。
【0080】
電子写真画像形成部材(例えば感光体)の代表的構造を
図1〜3に示す。これらの画像形成部材にはカーリング防止層1、支持基体2、電気導電性接地プレーン(ground plane)3、電荷阻止層4、接着層5、電荷発生層6、電荷輸送層7、オーバーコート層8、および接地ストリップ(groundstrip)9が設けられている。
図3では、画像形成層10(電荷発生材料および電荷輸送材料の両方を含む。)が別個の電荷発生層6および電荷輸送層7にとって代わっている。
【0081】
図に示すように、感光体の製造において、電荷発生材料(CGM)および電荷輸送材料(CTM)は、CGMとCTMが異なる層中にある積層型形態(例えば
図1および2)またはCGMとCTMが同じ層中にある単層形態(例えば
図3)のいずれかで、基体表面上に設けられ得る。本実施形態の感光体は、電気導電層の上に電荷発生層6および必要に応じて電荷輸送層7を設けることで作製することができる。実施形態では、電荷発生層および存在する場合には電荷輸送層は、どの順番で設けてもよい。
【0082】
画像形成層とは、電荷発生材料、電荷輸送材料、または電荷発生材料および電荷輸送材料の両方を含む層を意味する。
【0083】
電荷発生材料および電荷輸送材料が異なる層−例えば電荷発生層および電荷輸送層−にある場合、電荷輸送層は電気活性COF粒子を含み得る。更に、電荷発生材料および電荷輸送材料が同じ層に存在する場合、この層は電気活性COF粒子を含み得る。
【0084】
例示的な有機光導電性電荷発生材料としては、スーダンレッド、ダイアン・ブルー(Dian Blue)、ヤーヌスグリーンB等のアゾ顔料;アルゴル・イエロー(Algol Yellow)、ピレンキノン、インダンスレン・ブリリアント・バイオレットRRP等のキノン顔料;キノシアニン顔料;ベンズイミダゾールペリレン等のペリレン顔料;インジゴ、チオインジゴ等のインジゴ顔料;インドファストオレンジ(Indofast Orange)等のビスベンゾイミダゾール顔料;銅フタロシアニン、アルミノクロロ(aluminochloro)−フタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニン、チタニルフタロシアニン等のフタロシアニン顔料;キナクリドン顔料;またはアズレン化合物が含まれる。好適な無機光導電性電荷発生材料としては、例えば硫化カドミウム、硫セレン化カドミウム、セレン化カドミウム、結晶性および非晶性のセレン、酸化鉛およびその他のカルコゲナイドが含まれる。実施形態では、セレン合金を用いてもよく、セレン合金としては、例えばセレン−ヒ素、セレン−テルル−ヒ素、およびセレン−テルルが含まれる。
【0085】
任意の好適な不活性樹脂バインダー材料を電荷発生層中に用いてよい。典型的な有機樹脂性バインダーとしては、ポリカーボネート、アクリレートポリマー、メタクリレートポリマー、ビニルポリマー、セルロースポリマー、ポリエステル、ポリシロキサン、ポリアミド、ポリウレタン、エポキシ、ポリビニルアセタール等が含まれる。
【0086】
電荷発生層中、電荷発生材料(「CGM」)とバインダーの重量比は30(CGM):70(バインダー)〜70(CGM):30(バインダー)でもよい。
【0087】
電荷発生層(本明細書では光導電層ともいう)および電荷輸送層を含む多層感光体は、乾燥光導電層コーティング厚が約0.1〜約10マイクロメートルで良好な結果が得られ得る。好ましくは、光導電層の厚さは約0.2〜約4マイクロメートルである。しかし、これらの厚さは顔料の配合量によっても変わる。したがって、顔料の配合量が多いほど、より薄い光導電性コーティングを使用することができる。本実施形態の目的が達成される限りにおいて、これらの範囲外の厚さを選択することもできる。
【0088】
電荷輸送材料としては、光励起された正孔の注入を補助できるかまたは光導電性材料から電子を輸送でき、表面電荷を選択的に消失させるための有機層を介したこれらの正孔または電子の輸送を可能にすることができる、有機ポリマー、非ポリマー材料、またはCOF粒子が含まれる。
【0089】
有機電子膜および有機電子材料の大きなクラスに複合材料がある。ゼログラフィーでは、例えば、これらの材料には、電荷発生層としてのポリマー中の顔料、電荷輸送層としてのポリマー中の電荷輸送分子、および機械的特性を変えるための電荷輸送層中のポリテトラフルオロエチレン(PTFE)粒子が含まれる。これまで、電荷輸送材料として用いられる、または有機電子膜もしくは有機電子材料の機械的特性を修飾するために用いられる電荷輸送粒子は報告されていない。したがって、本実施形態は、機械的特性を変えるために種々の電子デバイスに含められ得る、付加的機能性を有する発明的な電荷輸送粒子を提供する。ある一実施形態は、COF粒子を電荷輸送材料として含む電荷輸送層を含む独創的感光体が提供される。
【0090】
本実施形態では、向上された特性を得るために新規な電荷輸送粒子組成物を製造して電荷輸送層に含める。COF粒子は、構築された有機膜に関連し、それらは同じ分子ビルディングブロックから製造されるが、膜の代わりに粒子を製造するための異なるプロセスが用いられる。粒子は、有機電子層(ゼログラフィー、太陽電池、OLED、TFT)中で電荷輸送材料としておよび/または有機電子膜または材料の機械的特性を変えるための添加剤として用いることができる。別の実施形態では、電荷輸送粒子は、層の電気的特性および/または層の機械的特性(例えば、表面粗さ、摩耗率、および/または洗浄性)を変えるために、有機電子デバイス層中で用いることができる。
【0091】
これらのナノメートルからミリメートルサイズの粒子は、2次元または3次元にパターン形成され、正孔輸送分子または電子輸送分子から構成される。
図4に示すように、電荷輸送粒子20は、連結された電荷輸送部分24である電荷輸送分子ビルディングブロックから製造される。構成要素である電荷輸送部分24が共有結合22を介して連結されることで、機械的に強固であり熱的に安定な粒子20が得られる。
【0092】
実施形態では、電荷輸送粒子は、電荷輸送層の約1〜約25重量パーセントまたは約3〜約12重量パーセントの量で電荷輸送層中に存在してもよい。
【0093】
電荷輸送粒子は、バインダー中で電荷輸送材料または添加剤として用いられた時に膜または材料の電気的特性および/または機械的特性を変えることができる特異な組成物である。例えば、これらの粒子は、表面形態、摩耗率、および/または洗浄性を変えるために感光体層中に用いられ得る。更に、パターン形成された2次元および/または3次元の電荷輸送粒子は強固であり、熱的に安定である。例えば、粒子は約200℃超の空気中で熱的に安定である。分子ビルディングブロックを変えることで電荷輸送粒子の修飾を試みることができる。
【0094】
特定の実施形態では、COF粒子の製造に用いられる分子ビルディングブロックはN,N,N’,N’−テトラキス−[(4−ヒドロキシメチル)フェニル]−ビフェニル−4,4’−ジアミンである。別の実施形態では分子ビルディングブロックは、以下の一般式で表されるトリアリールアミンセグメントから選択することができる。
【化32】
式中、Ar
1、Ar
2、Ar
3、Ar
4、およびAr
5は、それぞれ独立して、置換または未置換のアリール基を表し、あるいは、Ar
5は独立して置換または未置換のアリーレン基を表し、kは0または1を表し、Ar
1、Ar
2、Ar
3、およびAr
4の少なくとも2つは官能基を含む。例示的な電荷輸送COF粒子としては、例えば、アントラセン、ピレン、フェナントレン、コロネン等の多環芳香環またはインドール、カルバゾール、オキサゾール、イソキサゾール、チアゾール、イミダゾール、ピラゾール、オキサジアゾール、ピラゾリン、チアジアゾール、トリアゾール、およびヒドラゾン化合物等の窒素含有ヘテロ環を含むセグメントを有する化合物から選択される正孔輸送材料が含まれ得る。典型的な正孔輸送COF粒子セグメントとしては、カルバゾール;N−エチルカルバゾール;N−イソプロピルカルバゾール;N−フェニルカルバゾール;テトラフェニルピレン;1−メチルピレン;ペリレン;クリセン;アントラセン;テトラフェン;2−フェニルナフタレン;アゾピレン;1−エチルピレン;アセチルピレン;2,3−ベンゾクリセン;2,4−ベンゾピレン;および1,4−ブロモピレン等の電子供与体材料が含まれる。好適な電子輸送COF粒子セグメントとしては、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン;2,4,5,7−テトラニトロ−フルオレノン;ジニトロアントラセン;ジニトロアクリデン;テトラシアノピレン;ジニトロアントラキノン;およびブチルカルボニルフルオレンマロノニトリル等の電子受容体が含まれる。その他の正孔輸送COF粒子セグメントとしては、アルキルがメチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル等からなる群から選択されるN,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(アルキルフェニル)−(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジアミン等のアリールアミンが含まれる。実施形態では、電荷輸送粒子は2種類以上の分子ビルディングブロックを含んでもよい。
【0095】
実施形態では、電荷輸送粒子は、電荷輸送部分の配合量が高くてもよく、例えば約95パーセント超の配合量の電荷輸送部分を有してもよい。より一般的な実施形態では、電荷輸送部分は約5〜約100パーセントであり得る。粒子サイズは、より大きい粒子をミリングすることによって、または直接合成することによって、約5ナノメートル〜約1ミリメートルにされ得る。
【0096】
COF粒子電荷輸送層は、0.6グラムの電荷輸送粒子(以下のセクションに記載するように製造)、5.28グラムのCYMEL(登録商標)303(サイテック・インダストリーズ社(Cytec Industries Inc)から入手したメチル化、ブチル化メラミン−ホルムアルデヒド)、5.88グラムのN,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−ヒドロキシフェニル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン、0.48グラムのBYK−SILCLEAN(登録商標)3700(ビックケミーUSA社(BYK−Chemie USA)から入手したヒドロキシル化シリコーン修飾ポリアクリレート)、および0.6グラムのNACURE(登録商標)XP357(キング・インダストリーズ社(King Industries)から入手したブロック化酸(blocked acid)触媒)を28グラムのDOWANOL(登録商標)PM(ザ・ダウ・ケミカル・カンパニー社から入手した1−メトキシ−2−プロパノール)に添加することで作製することができる。電荷輸送層の上にオーバーコート層溶液を塗布して155℃で40分間乾燥することができる。
【0097】
本明細書に記載する材料および手順は、電荷発生材料、電荷輸送材料、および電荷輸送COF粒子を含む単一画像形成層型感光体の製造に用いることができる。例えば、単一画像形成層用分散液中の固体含有量は、分散液の重量を基準にして約2〜約30重量パーセントであり得る。
【0098】
画像形成層が、電荷発生層と電荷輸送層の機能を兼ね備えた単層である場合、その中に含まれる成分の量は例えば以下の通りである:電荷発生材料(約2〜約40重量パーセント)、電荷輸送材料(約20〜95重量パーセント)、および電荷輸送分子ビルディングブロックの傾向的付加的機能性を有する電荷輸送粒子(約1〜約20重量パーセント)。
【0099】
本実施形態に係る実施形態は、必要に応じて、オーバーコート層8を更に含んでもよく、これは、用いる場合、電荷発生層または電荷輸送層の上に設けられる。この層は、電荷輸送材料を含み、COF粒子を含み得る。
【実施例】
【0100】
実施例I:電荷輸送粒子の製造
【0101】
図4に示すように、一種類の分子ビルディングブロックN,N,N’,N’−テトラキス−[(4−ヒドロキシメチル)フェニル]−ビフェニル−4,4’−ジアミン24が電荷輸送粒子20を形成する。粒子の製造プロセスは、N,N,N’,N’−テトラキス−[(4−ヒドロキシメチル)フェニル]−ビフェニル−4,4’−ジアミン、dowanol溶媒、酸触媒(Nacure 5225)の溶解である。アルコール(−OH)基間での酸に触媒された反応により、(連結性)エーテル基が形成されることでビルディングブロックが連結される。
【0102】
10ドラムのバイアルに、N,N,N’,N’−テトラキス−[(4−ヒドロキシメチル)フェニル]−ビフェニル−4,4’−ジアミン(20wtパーセント)、Nacure 5225(1wtパーセント)、およびdowanol(79wtパーセント)を含む配合物を2g添加した(8個、合計質量16gの配合物を調製した)。これらのバイアルにしっかりとキャップをし、120℃のオーブン中に置いた。30分間加熱後、溶液は残っていたが、色は琥珀色から暗褐色に変わっていた。120分間加熱後、単一の暗褐色粒子が各バイアルの底に形成された。更に60分間加熱後、更なる変化は観察されなかった。加熱を停止した。各バイアルについて、溶媒をデカンタし、固体をdowanolで洗浄した(2×2mL)。粒子をバイアルから取り出してまとめた。まとめた粒子を120℃のオーブン中で一晩乾燥させた。1時間乾燥後、粒子の色は黒茶色へと濃色化した。
【0103】
翌朝、コーヒーミルを用いて粒子を粉砕し、0.5〜1mmのサイズにした。これは、この方法を用いて得られる最小のサイズである。X線回折により、粒子が周期性を有しないことが示された。2.5時間ボールミリングすることで粒子のサイズを更に小さくし、Et
2Oに懸濁して鋼ショットから粒子を分離し、その後溶媒を除去することで(分離された質量=3g)。
【0104】
電荷輸送粒子の特徴解析
【0105】
光学顕微鏡法により、粒子サイズ分布が幾分二峰性であり、平均粒子サイズの中心が8ミクロンおよび1ミクロン付近にあることが示された。粒子形態は、だいたい球状から針状であった。針状形態は小さい粒子サイズに偏っていた。
図5Aおよび5Bはそれぞれ粉砕およびミリング後の粒子形態を示している。
【0106】
図6に示すN,N,N’,N’−テトラフェニル−ビフェニル−4,4’−ジアミンセグメントを含む粒子(KBrペレット)の赤外(IR)スペクトルは3400cm−1にブロードなピークを有し、このことは、粒子中に残留溶媒が存在することおよび/またはN,N,N’,N’−テトラキス−[(4−ヒドロキシメチル)フェニル]−ビフェニル−4,4’−ジアミンのヒドロキシル基の反応が不完全であることを示している。
【0107】
図7は、N,N,N’,N’−テトラフェニル−ビフェニル−4,4’−ジアミンセグメントを含む粒子のTGAサーモグラムを示す図であり、空気中で200℃超の温度まで熱的に強固であることを示している。