特許第5890618号(P5890618)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5890618
(24)【登録日】2016年2月26日
(45)【発行日】2016年3月22日
(54)【発明の名称】一次元整列供給ユニット
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/14 20060101AFI20160308BHJP
【FI】
   B65G47/14 K
【請求項の数】10
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2011-136412(P2011-136412)
(22)【出願日】2011年6月20日
(65)【公開番号】特開2013-1539(P2013-1539A)
(43)【公開日】2013年1月7日
【審査請求日】2014年2月26日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001096
【氏名又は名称】倉敷紡績株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄
(74)【代理人】
【識別番号】100091524
【弁理士】
【氏名又は名称】和田 充夫
(74)【代理人】
【識別番号】100113170
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 和久
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 寛之
【審査官】 大野 明良
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−134412(JP,A)
【文献】 実開昭63−110417(JP,U)
【文献】 特開平09−309613(JP,A)
【文献】 特開2000−044041(JP,A)
【文献】 実開昭56−006819(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/00−47/20
B65G 51/02
B65G 65/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送物を整列させて一次元方向に延在する供給路に導入する一次元整列供給ユニットであって、
空洞部を有し、前記空洞部内に複数の前記搬送物を気流によって攪拌しながら三次元的に保持する搬送物保持槽と、
前記搬送物保持槽のいずれかの面に設けられ、前記搬送物保持槽に気流を供給する送気管と、
前記搬送物保持槽の側面に設けられた少なくとも一つの一次元方向に延在する供給路であって、前記搬送物保持槽の前記空洞部内の三次元的な気流による整列効果によって前記搬送物を二次元的な分布状態に移行することなく一次元方向に整列させて導き、供給する、供給路と、
を備えた一次元整列供給ユニット。
【請求項2】
前記搬送物保持槽の空洞部は、前記搬送物の各寸法よりも少なくとも10倍以上大きい寸法を有する、請求項1に記載の一次元整列供給ユニット。
【請求項3】
前記供給路は、前記搬送物保持槽の底面から少なくとも前記搬送物の大きさ分の間隔だけ空けて鉛直上方の側面に設けられている、請求項1又は2に記載の一次元整列供給ユニット。
【請求項4】
前記供給路は、前記搬送物保持槽の空洞部内よりも負圧に保持される、請求項1から3のいずれか一項に記載の一次元整列供給ユニット。
【請求項5】
前記供給路は、
搬送される搬送物の詰まりを検出する詰まり検出部と、
定期的に、または、前記搬送物の詰まりを検出した場合には、前記搬送物保持槽よりも圧力を大きくする加圧部と、
からなる逆送機構を備え、前記供給路又は前記搬送物保持槽から前記供給路への開口部に詰まっている搬送物を前記搬送物保持槽に逆送して詰まりを解消する、請求項4に記載の一次元整列供給ユニット。
【請求項6】
前記供給路は、搬送方向に垂直な断面形状が、搬送物の搬送方向に垂直な断面形状と相似形状である、請求項1から5のいずれか一項に記載の一次元整列供給ユニット。
【請求項7】
前記供給路は、搬送方向に垂直な断面形状が矩形形状である、請求項1から5のいずれか一項に記載の一次元整列供給ユニット。
【請求項8】
前記供給路は、搬送する前記搬送物の側面との平均間隔が前記搬送物の大きさの5%以上である、請求項1から7のいずれか一項に記載の一次元整列供給ユニット。
【請求項9】
前記供給路は、前記搬送物保持槽の側面に設けられた前記供給路への開口部の大きさが、前記搬送物の短辺の長さより大きく、前記搬送物の長辺よりも小さい、請求項1から8のいずれか一項に記載の一次元整列供給ユニット。
【請求項10】
前記搬送物保持槽の前記空洞部の鉛直上方に設けられ、前記空洞部に複数の前記搬送物を補給する補給部をさらに備える、請求項1から9のいずれか一項に記載の一次元整列供給ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微少な物体、特に、セラミックコンデンサ等の搬送物を一次元方向に搬送するために、上記搬送物を整列させて一次元に延在する供給路に滑らかに導き、供給するための一次元整列供給ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高性能であって微細な積層型セラミックコンデンサ(MLCC)が開発され、利用されている。この積層型セラミックコンデンサは、略正方形断面を含む直方体形状を呈しており、例えば、短辺0.5mm、長辺1mmのサイズから、さらに微細な短辺0.1mm、長辺0.2mmのサイズのものまで作成されている。しかし、直方体形状であるため、多数が不規則に集合した状態からの整列が容易ではなかった。また、微細かつ軽量であるため安定した把持、載置、案内等が困難であり、個々の積層型セラミックコンデンサごとの搬送も容易ではなかった。さらに、一つ一つの積層型セラミックコンデンサの欠陥を調べる必要があるが、そのための一つの積層型セラミックコンデンサの各面ごとの外観検査も容易ではなかった。
【0003】
そこで、多数の積層型セラミックコンデンサを整列搬送しながら各積層型セラミックコンデンサの4つの側面外観を検査する装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。この検査装置では、多数の対象物を、供給要素から勾配付き空間(実質的に水平な空間)に移動させ、その後、一次元方向のトンネルに移動させて整列搬送しながら側面を検査している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−216698号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記検査装置では、供給要素からトンネルに向けて対象物を移動させるときに、まず、勾配付き空間(実質的に水平な空間)を介してトンネルに移動させている。この場合、供給要素内の対象物が3次元に積み重なった状態から、勾配付き空間(実質的に水平な空間)内で2次元的な分布状態に移行し、その後、一次元のトンネルに移動させている。そのため、供給要素から勾配付き空間(実質的に水平な空間)への移行時、勾配付き空間(実質的に水平な空間)からトンネルへの移動時、のそれぞれの段階で対象物が詰まりを発生しやすく、対象物の搬送がスムーズに行われないおそれがある。
【0006】
本発明の目的は、積層型セラミックコンデンサ等の微細な搬送物を一次元方向に延在する供給路に滑らかに供給できるようにするための一次元整列供給ユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る一次元整列供給ユニットは、搬送物を整列させて一次元方向に延在する供給路に導入する一次元整列供給ユニットであって、
空洞部を有し、前記空洞部内に複数の前記搬送物を気流によって攪拌しながら三次元的に保持する搬送物保持槽と、
前記搬送物保持槽のいずれかの面に設けられ。前記搬送物保持槽に気流を供給する気流供給管と、
前記搬送物保持槽の側面に設けられた少なくとも一つの一次元方向に延在する供給路であって、前記搬送物保持槽の前記空洞部内の気流によって個々の前記搬送物を整列させて導き、供給する、供給路と、
を備える。
【0008】
また、前記搬送物保持槽の前記空洞部は、前記搬送物の各寸法よりも10倍以上大きい寸法を有してもよい。
【0009】
また、前記供給路は、前記搬送物保持槽の底面から少なくとも前記搬送物の大きさ分以上の鉛直上方の側面から設けられていてもよい。
【0010】
さらに、前記供給路は、前記搬送物保持槽よりも陰圧に保持されていてもよい。
【0011】
またさらに、前記供給路は、
前記搬送物保持槽よりも圧力を大きくする加圧部からなる逆送機構を備えていてもよい。
この場合には、上記逆送機構によって、前記供給路又は前記搬送物保持槽から前記供給路への開口部に詰まっている搬送物を前記搬送物保持槽に逆送して詰まりを解消することができる。
【0012】
さらに、前記逆送機構は、
搬送される搬送物の詰まりを検出する詰まり検出部を備えていてもよい。
この場合には、詰まりを検出した場合にのみ、搬送物を逆送させて詰まりを解消することができる。
【0013】
また、前記搬送物保持槽の前記空洞部の鉛直上方に設けられ、前記空洞部に複数の前記搬送物を補給する補給部をさらに備えてもよい。
【0014】
さらに、前記供給路は、搬送方向に垂直な断面形状が、搬送物の搬送方向に垂直な断面形状と相似形状であってもよい。また、前記供給路は、搬送方向に垂直な断面形状が矩形形状であってもよい。
【0015】
またさらに、前記供給路は、搬送する前記搬送物の側面との平均間隔が前記搬送物の大きさの5%以上であってもよい。
【0016】
また、前記供給路は、前記搬送物保持槽の側面に設けられた前記供給路への開口部の大きさが、前記搬送物の短辺の長さより大きく、前記搬送物の長辺よりも小さいものであってもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る一次元整列供給ユニットによれば、気流による整列効果によって、搬送物保持槽から供給路に搬送物を一つずつ整列させて導くことができ、一次元方向に延在する供給路を通じて搬送物を滑らかに供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】(a)は、実施の形態1に係る一次元整列供給ユニットの搬送物保持槽と供給路との配置を示す概略図であり、(b)は、(a)の一次元整列供給ユニットを回転させた場合の搬送物保持槽と供給路との配置を示す概略図である。
図2図1の一次元整列供給ユニットの供給路の搬送物保持槽に設けた開口部から搬送物が気流による整列効果によって整列されて導かれる作用を示す概略図である。
図3】実施の形態1に係る一次元整列供給ユニットの全体的な構成を示す概略図である。
図4】実施の形態2に係る一次元整列供給ユニットの全体的な構成を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施の形態に係る一次元整列供給ユニットについて、添付図面を用いて説明する、なお、図面において実質的に同一の部材については同一の符号を付している。
【0020】
(実施の形態1)
図3は、実施の形態1に係る一次元整列供給ユニット20の全体的な構成を示す概略図である。この一次元整列供給ユニット20によって、搬送物1を整列させて一次元方向に延在する供給路2に導入することができる。この一次元整列供給ユニット20は、供給路2と、空洞部4を有する搬送物保持槽3と、送気管5と、送気管5に空気を送る送気部6と、を備える。搬送物保持槽3は、空洞部4内に複数の搬送物1を送気管5から供給される気流によって攪拌しながら三次元的に保持する。さらに、送気管5は、搬送物保持槽3のいずれかの面に設けられ、搬送物保持槽3の空洞部4内に気流を供給する。供給路2は、搬送物保持槽3の側面に設けられた、少なくとも一つの一次元方向に延在する供給路である。
【0021】
さらに、図2に示すように、搬送物保持槽3の空洞部4内の気流によって個々の搬送物1が整列させられて供給路2内に導かれ、供給される。この一次元整列供給ユニット20によれば、搬送物保持槽3の空洞部4内における気流による整列効果によって、個々の搬送物1を整列させて搬送物保持槽3から供給路2に導き、滑らかに供給することができる。なお、図2は、搬送物1の気流による整列効果の一例を示すものであって、これに限定されるものではない。
【0022】
以下に、この一次元整列供給ユニット20を構成する各構成部材について説明する。
【0023】
<搬送物保持槽>
搬送物保持槽3の空洞部4は、搬送物1の縦、横、高さ等の各寸法よりもそれぞれ少なくとも10倍以上大きい寸法を有することが好ましい。これによって搬送物1の気流による攪拌が十分に行われ、供給路2への搬送物1の整列効果が得られる。
【0024】
<補給部>
さらに、搬送物保持槽3の上部に補給部8を備えてもよい。補給部8によって、搬送物保持槽3の空洞部4の鉛直上方に設けられ、空洞部4に複数の搬送物1を補給する。
【0025】
<供給路>
図1(a)及び(b)に示されているように、供給路2は、少なくとも一つの一次元方向に延在する供給路である。なお、供給路2の本数は1本に限られず、2本以上であってもよく、例えば、図1(a)のように4本であってもよい。また、この供給路2は、搬送物保持槽3の底面から所定間隔分だけ鉛直上方の側面に設けられていることが好ましい。上記の底面からの所定間隔は、少なくとも搬送物1の大きさ分以上の間隔であることが好ましい。これによって、搬送物保持槽3の空洞部4内の底面からの方向も含めた3次元的な気流による整列効果を得ることができる。
【0026】
また、供給路2は、搬送方向に垂直な断面積の大きさが搬送物1を一次元方向に搬送可能な大きさを有する。具体的には、搬送方向に垂直な断面積の大きさが搬送物1の搬送方向に対する断面積より大きいことが必要条件である。さらに、供給路2は、その断面形状において、搬送する搬送物1の側面との平均間隔を搬送物1の大きさの5%以上とすることが好ましい。さらに、供給路2は、搬送物保持槽3の側面に設けられた供給路2への開口部の大きさが、搬送物1の短辺の長さより大きく、搬送物1の長辺よりも小さいことが好ましい。
【0027】
また、供給路2の搬送方向に垂直な断面の形状は、円形形状、矩形形状、三角形状、多角形形状のいずれであってもよい。供給路2の搬送方向に垂直な断面形状は、搬送物1の搬送方向に垂直な断面形状と相似形状であることが好ましい。供給路2の断面形状を搬送物1の断面形状と相似にすることによって、搬送物1と供給路2の各面を対応させることができる。なお、搬送物1の搬送方向に垂直な断面形状が矩形形状である場合には、供給路2の搬送方向に垂直な断面形状は矩形形状とすることが好ましい。これにより、直方体形状の搬送物1の側面と供給路2の各平面とを対応させて搬送することができ、搬送物の各側面を識別しやすくできる。
【0028】
また、図2の概略図に示すように、供給路2の搬送物保持槽3に対する開口部の大きさは、搬送物1の短辺の寸法以上であって、短辺の寸法の2倍以下であることが好ましい。なお、搬送物1が積層型セラミックコンデンサである場合、その短辺をWとすると、長辺はおよそ短辺の2倍の2Wである。したがって、上記開口部を矩形形状とした場合、一辺の寸法の範囲はW以上、2W以下となる。供給路2の開口部の一辺の大きさを搬送物である積層型セラミックコンデンサの短辺Wの2倍以下(<2W)とすることによって、搬送物1の長辺方向を供給路2の搬送方向に対して平行にしやすく、搬送を滑らかに行うことができる。なお、開口部が長辺方向の長さ(2W)より大きいと、供給路2の搬送方向に対して搬送物1の長辺方向が垂直となる場合が生じ、搬送途中で詰まりを生じるおそれがある。
【0029】
また、供給路2は、搬送物保持槽3の空洞部4内よりも負圧に保持されることが好ましい。供給路2を搬送物保持槽3よりも負圧に保持するために減圧部を設けてもよい。減圧部は、例えば、真空ポンプ等によって構成してもよい。このように、搬送物保持槽3よりも負圧に保持することによって、搬送物保持槽3から搬送物1を供給路2に導入しやすくできる。
【0030】
(実施の形態2)
図4は、実施の形態2に係る一次元整列供給ユニット20aの全体的な構成を示す概略図である。この一次元整列供給ユニット20aは、実施の形態1に係る一次元整列供給ユニット20と対比すると、供給路2中に搬送物1が詰まった場合に、詰まっている搬送物1を搬送物保持槽3に逆送させて詰まりを解消する逆送機構10を備える点で相違する。この逆送機構10によって、供給路2又は搬送物保持槽3から供給路2への開口部に詰まっている搬送物1を搬送物保持槽3に逆送して詰まりを解消することができる。
【0031】
逆送機構10は、搬送物保持槽3よりも圧力を大きくする加圧部12からなる。また、逆送機構10は、搬送される搬送物1の詰まりを検出する詰まり検出部11を備えてもよい。
【0032】
詰まり検出部11は、例えば、供給路2の上部から光を照射する照射部13と、搬送物による反射光を検出する反射光検出部14と、時間と反射光との関係から詰まりを判定する制御部15とを備えるものであってもよい。この場合、反射光検出部14において搬送物1による反射光が連続して検出され、途切れない場合に、制御部15は、詰まりが生じていると判定してもよい。
【0033】
加圧部12は、圧縮空気、圧縮窒素、ヘリウム等のボンベによって構成してもよい。定期的に、または、詰まり検出部11において、搬送物1の供給路2中での詰まりを検出した場合、加圧部12から圧縮空気等によって供給路2内を加圧し、供給路2中に詰まった搬送物1を搬送物保持槽3に逆送させて詰まりを解消する。なお、加圧部12による供給路2の加圧は連続して加圧する場合に限られず、1回又は複数回のパルス状に加圧してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明に係る一次元整列供給ユニットによれば、搬送物保持槽の空洞部内における気流による整列効果によって、個々の搬送物を整列させて搬送物保持槽から供給路に導き、滑らかに供給することができる。そこで、本発明に係る一次元整列供給ユニットは、例えば、積層型セラミックコンデンサを一次元方向に搬送するための整列供給ユニットとして有用である。
【符号の説明】
【0035】
1 搬送物
2 供給路
3 搬送物保持槽
4 空洞部
5 送気管
6 送気部
7 底面
8 補給部
9 開口部
10 逆送機構
11 詰まり検出部
12 加圧部
13 照射部
14 反射光検出部
15 制御部
20、20a 整列ユニット
図1
図2
図3
図4