(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数のポンプを可変速運転する可変速駆動手段と、前記可変速駆動手段を制御する制御装置と、前記ポンプの吐出側の給水管に取付けられた給水管圧力センサと、前記ポンプの給水管の末端に設けられた複数の給水器具を備え、ポンプを可変速運転することにより前記複数の給水器具に給水する給水システムにおいて、
前記各給水器具が必要とする圧力目標値および対応する回転速度を設定値として入力する設定手段と、前記複数の給水器具またはその近傍に設けられ給水器具の操作状況を発信する第1通信手段と、前記制御装置に設けた第2通信手段を備え、
前記制御装置は前記第1通信手段から信号を受信した時、この受信信号に対応する給水器具が必要とする前記設定値の圧力目標値と前記給水管圧力センサの圧力とが等しくなるように回転速度の増減を前記可変速駆動手段に指令することで前記可変速駆動手段を制御することを特徴とする給水システム。
複数のポンプを可変速運転する可変速駆動手段と、前記可変速駆動手段を制御する制御装置と、前記ポンプの吐出側の給水管に取付けられた給水管圧力センサと、前記ポンプの給水管の末端に設けられた複数の給水器具を備え、ポンプを可変速運転することにより前記複数の給水器具に給水する給水システムにおいて、
前記各給水器具毎に給水系の必要とする圧力目標値および対応する回転速度を設定値として入力する設定手段と、前記複数の給水器具またはその近傍に設けられ圧力を検出する給水器具圧力センサおよびこの圧力状態を発信する第1通信手段と、前記制御装置に設けた第2通信手段を備え、
前記給水器具圧力センサが当該給水器具の開放状態を検出したとき当該第1通信手段が発信し、前記制御装置は当該第1通信手段から信号を受信した時、この受信信号に対応する給水器具の給水系の必要とする前記設定値の圧力目標値と前記給水管圧力センサの圧力とが等しくなるように回転速度の増減を前記可変速駆動手段に指令することで前記可変速駆動手段を制御することを特徴とする給水システム。
【背景技術】
【0002】
給水装置は、可変速駆動装置(誘導電動機を駆動する場合はインバータが使用され、永久磁石電動機を駆動する場合はこれ用のコントローラが使用されるが、このコントローラもインバータをべースにしたものである。)によって駆動されるポンプで構成されている。そして、給水装置の圧力制御方式には、(1)ポンプの吐き出し側に圧力センサを設置し、ここの圧力を一定に制御する吐き出し圧力一定制御方式、(2)ポンプの吐き出し側に圧力センサを設置し、ここの圧力が配管抵抗曲線上に乗るように圧力制御し間接的に末端の圧力を一定にする推定末端圧力一定制御方式、(3)給水管端末の最高部最遠部に圧力センサを設置し、この圧力が一定となるよう圧力制御する直接的な末端圧力一定制御方式の3方式がある。
【0003】
(1)、(2)の方式は適宜、採用されているが、(2)方式は複雑で大きな記憶容量のソフトウエアーが必用であり、制御するためのパラメータ等の設定を必要とする等取り扱いが面倒な面もある。(3)方式では給水管の端末に設置した圧力センサと給水装置間との間にケーブルを長く敷設することなり、施工も面倒であり工事費がかさむため殆ど採用されていない。
【0004】
(1)、(2)の方式では、最大水量を基に目標圧力にこれを決定しており、設計計算上の裕度が含まれているため無駄な運転動力を消費していることが多々ある。(3)の方式は直接末端の圧力を所定圧力に制御するので無駄な運転動力を軽減することができ、前記したケーブルの施工性が悪いことを除いて考えると望ましい給水方式である。しかし、給水管端末の最高部最遠部の圧力を一定に制御するため、これより近い位置の蛇口(給水器具)を用いるときは、圧力が高すぎて無駄な運転動力を使うことになる。
【0005】
この技術の従来例として、特許文献1(特開平10−009148号公報)を挙げることができる。特許文献1は配管圧力が不明である場合、配管損失が変化した場合であっても、所定の圧力で被給水部に給水するものある。各蛇口を順番に選択してこの蛇口に送信機能付圧力センサを設置し、この蛇口を全開にして推定末端圧一定制御を行うときのこの蛇口における必要な圧力を設定し、この設定に基いて負荷曲線を求めこの負荷曲線により推定末端圧一定制御を行うものである。
【0006】
しかしながら、前述したように推定末端圧一定制御は、複雑で大きな記憶容量のソフトウエアーが必用であり、制御するためのパラメータ等の設定を必要とする等取り扱いが面倒な面を有すると共に、設計計算上の裕度が含まれているため、無駄な運転動力を消費していることが多々ある。
【0007】
なお、推定末端圧力一定制御とは、最大使用水量Q0を給水器具中の最高位、最遠の器具に給水することを想定して求めた全揚程H0との2量を上限座標とし、水量0及びこの水量における締め切り圧力ヘッド(実揚程+所要末端圧力ヘッド)との2量を下限座標として、これを結ぶ直線又は二次曲線上に、ポンプの吐き出し圧力ヘッドがのるように間接的に制御することを言う。実際には、水量が回転数(インバータ周波数と対応)に比例することより座標の2量のうち、水量はインバータの周波数に替えている。末端圧力一定制御とは、制御対象とする特定の末端に圧力センサを設置し、ここの圧力が一定となりよう直接的に圧力一定制御(インバータ周波数を制御)することを言う。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
背景技術で述べた(3)方式の直接的な末端圧力一定制御を採用し、無駄な運転動力の軽減を図るには、これの課題であるケーブルが長く施工性が悪いという点を解消する必要がある。これの改善策として、給水装置及び給水管端末の各給水器具又はこれの近傍に無線通信手段をそれぞれ設置する方法が考えられる。しかし、無線通信を用いると必然的に、圧力データ等を授受することにより通信時間が長くなり、レスポンスが悪くなるという問題が生じる。
【0010】
本発明は、上記従来技術の問題点にかんがみ、直接的な末端圧力一定制御と同等以上の圧力制御で、無駄な運転動力を軽減し、レスポンスの良い給水システムを提供するものである。
【0011】
また、給水装置側に圧力目標値、初期時インバータ周波数(目標流量)等を設定値として持たせ、圧力制御において、末端圧力一定制御と同等以上の前記問題点を解消した無線通信手段を備えた給水装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、上記課題を解決するため、複数のポンプを可変速運転する可変速駆動手段と、前記可変速駆動手段を制御する制御装置と、前記ポンプの吐出側の給水管に取付けられた給水管圧力センサと、前記ポンプの給水管の末端に設けられた複数の給水器具を備え、ポンプを可変速運転することにより前記複数の給水器具に給水する給水システムにおいて、
前記各給水器具が必要とする圧力目標値および対応する回転速
度を設定値として入力する設定手段と、前記複数の給水器具またはその近傍に設けられ給水器具の操作状況を発信する第1通信手段と、前記制御装置に設けた第2通信手段を備え、
前記制御装置は前記第1通信手段から信号を受信した時、
この受信信号に対応する給水器具が必要とする前記設定値の圧力目標値と前記給水管圧力センサの圧力とが等しくなるように
回転速度の増減を前記可変速駆動手段に指令することで前記可変速駆動手段を制御することを特徴とする。
【0013】
また、上記に記載の給水システムにおいて、前記制御装置は前記第1通信手段から信号を受信した時、発信した
第1通信手段のうち最高位置に設置の
第1通信手段を持つ給水器具の実用揚程を求めると共に、発信した
第1通信手段の各給水器具に対して配管抵抗を求め、前記実用揚程と前記配管抵抗の加算値に各給水器具の所要末端圧力のうち一番大きな所要末端圧力を加えた値を設定値の圧力目標値として生成することを特徴とする。
【0014】
また、上記に記載の給水システムにおいて、前記制御装置は前記第1通信手段から信号を受信した時、この受信信号に対応する給水器具の
必要とする圧力目標値と対応する回転速度を前記記憶部から読み出して、
前記記憶部から読み出した必要とする圧力目標値と前記給水管圧力センサの圧力とが等しくなるように
回転速度の増減を前記可変速駆動手段に指令することで前記可変速駆動手段を制御することを特徴とする。
【0015】
また、上記に記載の給水システムにおいて、前記記憶部は
、各給水器具に対応した放水量と圧力目標値とから定まるインバータ周波数が回転速度として記憶され、
前記制御装置は
、前記第1通信手段から信号を受信した時、発信した
第1通信手段を持つ給水器具の放水量を前記記憶部から読み出し
て集計演算処理して最大水量を求め、この最大水量からこの水量に対応したインバータ周波数を前記記憶部より読み出して、始動時の流量目標値対応回転速度を自動生成することを特徴とする。
【0016】
本発明は、上記課題を解決するため、複数のポンプを可変速運転する可変速駆動手段と、前記可変速駆動手段を制御する制御装置と、前記ポンプの吐出側の給水管に取付けられた給水管圧力センサと、前記ポンプの給水管の末端に設けられた複数の給水器具を備え、ポンプを可変速運転することにより前記複数の給水器具に給水する給水システムにおいて、
前記各給水器具毎に給水系の必要とする圧力目標値および対応する回転速度を設定値として入力する設定手段と、前記複数の給水器具またはその近傍に
設けられ圧力を検出する給水器具圧力センサおよびこの圧力状態を発信する第1通信手段と、前記制御装置に設けた第2通信手段を備え、
前記給水器具圧力センサが当該給水器具の開放状態を検出したとき当該第1通信手段が発信し、前記制御装置は当該
第1通信手段から信号を受信した時、
この受信信号に対応する給水器具の給水系の必要とする前記設定値の圧力目標値と前記給水管圧力センサの圧力とが等しくなるように
回転速度の増減を前記可変速駆動手段に指令することで前記可変速駆動手段を制御することを特徴とする。
【0017】
また、上記に記載の給水システムにおいて、前記制御装置は前記第1通信手段から信号を受信した時、この受信信号に対応する給水器具の
給水系で必要とする圧力目標値と対応する回転速度を記憶部から読み出して、
前記記憶部から読み出した給水系の必要とする前記圧力目標値と前記給水管圧力センサの圧力とが等しくなるように
回転速度の増減を前記可変速駆動手段に指令することで前記可変速駆動手段を制御することを特徴とする。
【0018】
また、上記に記載の給水システムにおいて、前記各給水器具に取り付けた給水器具圧力センサは圧力スイッチであることを特徴とする。
【0019】
本発明は、上記課題を解決するため、複数のポンプを可変速運転する可変速駆動手段と、前記可変速駆動手段を制御する制御装置と、前記ポンプの給水管の末端に設けられた複数の給水器具
を備え、ポンプを可変速運転することにより前記複数の給水器具に給水する給水システムにおいて、
前記各給水器具毎に給水系の必要とする圧力目標値および対応する回転速度を設定する設定手段と、これらの設定値を記憶する記憶部と、
前記各給水器具またはその近傍に設けられ圧力を検出する給水器具圧力センサおよびこの圧力状態を発信する第1通信手段と、前記制御装置に設けられた第2通信手段を設け、
前記給水器具圧力センサが前記給水器具の開放状態を検出したとき、当該第1通信手段が発信し、前記制御装置は当該
第1通信手段から信号を受信したとき、受信した中から最高位置で最遠に設置された給水器具圧力センサを選択し、この選択された給水器具圧力センサが取り付けられている
第1通信手段に圧力検出データの送信指令を発信し、この送信指令に基く受信信号に対応した給水器具の
給水系の必要とする前記圧力目標値と
前記回転速度を前記記憶部より読み出し、
前記記憶部より読み出した圧力目標値と前記最高位置で最遠に設置された給水器具圧力センサの圧力とが等しくなる
ように、回転速度の増減を前記可変速駆動手段に指令することで前記可変速駆動手段を制御することを特徴とする。
【0020】
また、上記に記載の給水システムにおいて、前記可変速駆動手段に指令する回転速度は、複数の給水器具に対応して
流量目標値および圧力目標値が予め決められており、該圧力目標値と該流量目標値によって対応付けされていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、通信手段を用いて給水管端末の複数の給水器具の操作状況を受信したとき受信信号に対応した給水器具のための設定値により可変速駆動手段を制御するので、レスポンスがよく、かつ給水器具に適した圧力目標値、流量目標値で給水できるので、無駄な運転動力を軽減することができる。さらに、従来の末端圧力一定制御と比較し、大きな容量のソフトウエアーを必要とせず面倒なパラメータ設定が必要なく取り扱いが簡単となる。
【0022】
また、給水装置側に圧力目標値、初期時インバータ周波数(目標流量)等を持たせ、各給水器具が開放された状態を通信手段で無線通信で給水装置に伝達し、これに基づいて目標圧力及び初期時インバータ周波数(目標流量)を設定し、ポンプ吐き出し側取り付けの圧力センサにより前記圧力目標値と等しくなるように圧力制御するので、直接的な末端圧力一定制御と同等以上の圧力制御を実現でき、無駄な運転動力を軽減することができる効果がある。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施例について、
図1〜
図14を用いて説明する。
【0025】
図1は、本発明実施例の給水装置の給水系統図であり、給水対象を5階建ての集合住宅を例にしている。1は水源であり、本実施例では受水槽を用いる例で示しているが、これを用いず水源が水道の配水管であってもよく、受水槽に限定されるものではない。2は吸込管、3は詳細を後で述べるが前記吸込管2の水を吸い込み、吐き出し側の給水管4を介して該給水管の端末の各給水器具に給水する給水装置(PU)であり、無線通信手段(第2通信手段)0taを備えている。
【0026】
1a〜1eは給水管4の端末に複数取り付けられたそれぞれ1階に属する給水器具(蛇口)、2a〜2e、3a〜3e、4a〜4e、5a〜5eは同様にそれぞれ2階、3階、4階、5階に複数取り付けられた各給水管端末の給水器具である。1Pa〜1Peは前記各給水器具1a〜1eの近傍に取り付けた給水器具圧力センサであり、圧力検出値をデータとして用いることも、この検出データの変化により給水器具の開閉信号として用いることも出来る。又、単に給水器具の開閉信号のみに用いる場合は、圧力センサの代わりに圧力スイッチとしても良い。圧力センサの添字のa〜eは給水器具に対応している。2Pa〜2Pe、3Pa〜3Pe、4Pa〜4Pe、5Pa〜5Peは同様に、それぞれ2階、3階、4階、5階の各給水管端末給水器具の近傍取り付けられた圧力センサーである。
【0027】
1ta〜1teは前記給水器具の近傍に取り付けた無線通信手段(第1通信手段)であり、同様に2ta〜2te、3ta〜3te、4ta〜4te、5ta〜5teはそれぞれ2階、3階、4階、5階の各給水管端末給水器具の近傍取り付けられた無線通信手段である。これらの圧力センサや無線通信手段は一体にしてもよく、各給水器具に取り付けても良い。そして、これらの無線通信手段により、前記給水装置3と各給水器具の間で情報の授受を行う。又、Q10〜Q14、Q20〜Q24、Q30〜Q34、Q40〜Q44、Q50〜Q54はそれぞれ、1階〜5階に属する前記各給水器具の放水量であり、用いられる給水器具の種類により放水量は異なる。
【0028】
なお、上記無線通信手段は有線通信手段でも良く、共通の電線を通じて送信信号を搬送波に載せて通信することができる。
【0029】
さて、ここで、水利計算と前記した給水装置3のポンプの選定方法について説明しておく。ポンプは使用最大水量(Q0とする。)と、全揚程(H0とする。)を満足するものが選ばれる。
図1を例示すると、Q0は次の(1)式により求められる。
【0030】
Q0={Q10+Q11〜Q14}+{Q20+Q21〜Q24}+{Q30+Q31〜Q34}+{Q40+Q41〜Q44}+{Q50+Q51〜Q54}×K (1)
ここで、Kは給水器具の同時開閉率である。給水器具は同時に開らくことはないので、このKを乗じて使用最大水量が求められるのが一般的である。
【0031】
全揚程H0は次の(2)式により求められる。
【0032】
H0=Ha+Hf+Hp−Hs (2)
ここで、Haは実揚程であり、受水槽1の吸水面から最高位の吸水器具までの実高さを示す。Hfは配管抵抗であり、使用最大水量Q0を給水管4に流した場合の給水管4の抵抗、Hpは所要末端圧力ヘッドであり、給水器具端末の所要末端圧力ヘッド(一般的には10m程度が用いられている。)、Hsは吸込全揚程であり、ポンプ吸込中心より吸水面が高ければマイナス(本例)、低ければプラスとなる。
【0033】
以上の水利計算(1)式、(2)式の求め方は、建築設備ハンドブック、空気調和衛生工学便覧等に一般的に示されている。従来は、(2)式で求めた全揚程H0により、使用水量の変化に伴い、吐出し圧力一定制御又は末端圧力一定制御を行っている。よって、従来技術で述べたようにエネルギーを無駄に消費することになっている。
【0034】
図2は、
図1に示した集合住宅の各階の給水器具が開放された際の、給水器具に対する水使用量とそれぞれ実揚程、配管抵抗、所要末端圧力、全揚程、インバータ周波数との関係を整理してまとめて示したものである。これの見方は、例えば1階において、給水器具1aのみが開放された場合を想定すると、放水量(使用水量)はQ10であり、実揚程はH1a−HS(
図1参照)、配管抵抗はH1f(Q10)であり、給水量Q10を1階の給水管枝管(給水器具1a)に流した場合の配管抵抗を示す。所要末端圧力はHP、全揚程H01(Q10)はH1a−HS+H1f+HP、インバータ周波数はf1であることを意味する。全揚程は圧力目標値となる。
【0035】
同様に、2階、3階、4階、5階の給水器具2a、3b、3e、4c、5eが開放された場合を想定すると、放水量はQ20+Q31+Q34+Q42+Q54であり、実揚程はHa(=H2a+H3a+H4a+H5a−HS)(
図1参照)で、配管抵抗はH5f(Q20+Q31+Q34+Q42+Q54)であり、給水量Q20+Q31+Q34+Q42+Q54を5階の給水管枝管(給水器具2a、3b、3e、4c、5e)に流した場合の配管抵抗を示す。
【0036】
所要末端圧力はHP、全揚程H0(Q20+Q31+Q34+Q42+Q54)は、Ha(=H2a+H3a+H4a+H5a−HS)+H5f(Q20+Q31+Q34+Q42+Q54)+HP、インバータ周波数はf14であることを意味する。これ以外については、以上の説明で明らかなので説明を省略する。各部の配管抵抗の求め方は、
図5の説明図と、
図6の説明図に示す通りである。
図5の部位L1は、直管部の損失水頭であり例えばダーシーの公式、即ち次の(3)式による。
途中の計算過程は省略して結果をLOSS1として
図6の説明図に示している。
(0.02+0.0005/D)×(V
2/2g)×(L/D) (3)
ここで、Dは直管部内径(m)、Vは直管部(直線状管部)を流れる流体の流速(m/sec)、Lは直管部長さ(m)、gは重力の加速度(m/sec
2)である。部位L2は、曲管部の損失水頭であり次の(4)式による。
これも、途中の計算過程は省略して結果をLOSS2として
図6の説明図に示している。
(V
2/2g)×ψ (4)
ここで、ψは曲管の形状による損失係数である。
【0037】
以上説明したように、各部位L3〜L17(
図5)での前述した方法で損失水頭を計算してその結果が
図6の説明図に示されるが、これらの結果は、メモリ(記憶部)に予め記憶しておく。これらの計算方法は、前述したように建築設備ハンドブック、空気調和衛生工学便覧等に一般的に示されている。
【0038】
図3は、各給水器具が開放された場合の運転状態を示すポンプ運転特性図であり、横軸に水量、縦軸に全揚程と軸動力を示したものである。ここで、O0点は前記(1)(2)式で示した使用最大水量Q0、全揚程H0を満足する仕様点を示している。そして、ポンプはこれを満足するQ−H性能、インバータ周波数f0の元で曲線Aを有するポンプを備えた給水装置が選択される。曲線A´はインバータ周波数f0´のもとで、前記した仕様点(Q0、H0)を満足していることを示す。更に、この時の軸動力(モータ出力)は、曲線F(インバータ周波数はf0´のもとで)上でQ0との交点のS0である。
【0039】
又、水量0の縦軸上に、実揚程Ha+所要末端圧力HPのポイントO5を示している。このO5点と前記した仕様点O0とを結ぶように引いた直線Lが配管抵抗曲線である。配管抵抗は、2次曲線等が用いられるがここでは直線近似して示している。曲線Mはインバータ周波数f5のもとで実揚程Ha+所要末端圧力HP(水量0の点)を満足し、この時の軸動力曲線はGであり、軸動力はS5である。
【0040】
参考までに説明すると、使用水量の変動に伴い、給水圧力が全揚程H0と等しくなるよう直線N上を一定にインバータ周波数を制御することを吐き出し圧力一定制御と呼んでいる。又、使用水量の変動に伴い、給水圧力が配管抵抗曲線L上にくるようにインバータ周波数を制御することを末端圧力一定制御と称する。
【0041】
さて、1階に属する給水器具1aのみが開放されると、放水量はQ10であり、全揚程はH01であり、これに対応する周波数はf1であることは前記したとおりである(
図2参照)。これを
図3上に示すと、Q−H性能曲線はBであり運転点は01、軸動力曲線はKであり、この時の軸動力はS1である。これは、前記した末端圧力一定制御で運転した場合の軸動力の最小値S5よりも著しく軸動力が低減している。
【0042】
即ち、給水器具1aが開放された時、これに対応の無線通信手段1taが信号を発信し、これを給水装置3に備わっている無線通信手段0taが受信したとき、目標圧力(圧力目標値)を全揚程H01とし、インバータ周波数をf1としてポンプモータを運転し、給水圧力が前記目標圧力H01となるよう吐き出し圧力一定制御を行うのである。
【0043】
同様に、2階に属する給水器具2a、2b、2dが開放されると、放水量はQ20+Q21+Q23であり、全揚程はH04であり、これに対応する周波数はf4であり、ポンプQ−H性能曲線はCであり、軸動力曲線はHであり、軸動力はS4である。
【0044】
又、3階に属する給水器具3a、3b、3d、3eが開放されると、放水量はQ30+Q31+Q32+Q34であり、全揚程はH06であり、これに対応する周波数はf6であり、ポンプQ−H性能曲線はDであり、軸動力曲線はIであり、軸動力はS6である。
【0045】
更に、1階及び5階に属する給水器具1b、1c、5a、5bが開放されると、放水量はQ11+Q12+Q50+Q51であり、全揚程はH012であり、これに対応する周波数はf12であり、ポンプQ−H性能曲線はEであり、軸動力曲線はJであり、軸動力はS12である。給水器具対応の無線通信手段から発信された信号を給水装置3の無線通信手段0taが受信し、目標圧力、インバータ周波数の決定、ポンプモータの運転処理については、前述で明らかなので説明を省略する。
【0046】
図4は、本発明実施例の給水装置3の構成図を示している。2は水源に接続された吸込管、2−1、2−2は仕切弁、3−1はモータ6(本実施例では誘導モータで示しているが永久磁石モータでも良い)によって駆動され、水源の水を前記吸込管2を介して吐出配管4に吐き出すポンプ、5は逆止め弁、8は給水管4の圧力を検出しこれに応じた電気信号を出力する圧力センサである。7は内部に空気を保有する圧力タンク、9は極小水量を検出した時に信号10,S1を発する流量スイッチである。
【0047】
PWは電源、ELBは漏電遮断器であり自身以降の配線の短絡及び漏電保護を行う。INVは可変速駆動手段であり、各種設定、操作及び表示部を有するオペレータ(操作部)CONS1と、運転指令信号Run及び周波数指令信号f1を入力する入力端子を備えている。これらが入力されると運転を開始し、運転周波数が前記周波数指令信号f1に到達したとき到達周波数信号f10を出力する。
【0048】
モータ6には、前記周波数指令信号f1に対応した電力(周波数と電圧が指令周波数によって定まる)を供給する。尚、簡単にするために、周波数到達信号f10を省略して周波数指令信号f1で兼ねても良いし、運転指令信号Runを省略して周波数指令信号f1で兼ねても良い。R,Sは制御電源、SSは操作スイッチであり、スイッチを閉じると後述の制御装置CUが制御電源に接続され、開くと開放される。TRはトランスであり、前記制御装置CUに低電圧の制御電源を供給する。
【0049】
制御装置CUの構成を説明する。CPUはマイクロプロセッサ、Otaは無線通信手段(第2通信手段)であり、端末の給水器具の近傍に取り付けた無線通信手段(第1通信手段)とで信号の授受を行う。MはEEROM(又はフラッシュメモリ)、RAM等からなる記憶部(メモリ)であり、後述の圧力目標値、流量目標値、周波数(回転速度)等のパラメータ、各部位の水利データ(実揚程、抵抗、所要末端圧力、全揚程)、端末の無線通信手段と信号の授受で得られたデータ、運転制御するためのプログラム等が記憶される。I/Oは入出力回路部であり、ここからCPUに取り込まれる。
【0050】
CONS2は表示部(例えば、周波数、電圧、電流等)と操作部(例えばタクトスイッチ等)を有する設定手段(コンソール、オペレータ)であり、各部位に設置された各給水器具毎の圧力目標値、流量目標値、周波数(回転速度)等のパラメータ、各部位の水利データ(実揚程、抵抗、所要末端圧力、全揚程)を入力設定すると共に、運転、停止等(キー操作部で例えばタクトスイッチ)の信号を入力するのに用いる。前記した圧力センサ8の信号(S0)と、流量スイッチ9の信号(S,10)は、前記した制御装置CUの入出力回路部I/Oより取り込まれ、データとして記憶部Mに記憶される。又、後述するが、始動条件が成立すると制御装置CUは入出力回路部I/OよりリレーRunをONする信号を出力すると共に、周波数指令信号f1を前記可変速駆動手段INVに出力する。
【0051】
図7〜
図12は制御装置CUでの制御手順、処理を示したフローチャートであり、
図15は記憶部Mのメモリマップを示したものである。
図13は初期周波数の決め方を示すためのポンプ性能、周波数、水量対応関係を示すポンプ運転特性図、
図14はその水量と初期周波数対応表を示したものである。
【0052】
図7に示す本発明実施例の動作のメインフローチャートについて説明する。700ステップで、例えば次の701ステップのイニシャル処理に備えて、割り込み禁止処理D1を実行する。イニシャル処理ではレジスタ、割り込みベクタ、メモリ、スタックポインタ、無線通信手段(第1、第2通信手段)の送受信処理など各種の初期化処理を実行し、起動準備を行う。
【0053】
そして、702ステップで
図15のメモリマップに示すパラメータを初期化の必要なものは初期化し、固定データは固定データとし、それぞれ記憶部Mの所定アドレスに保存する。ここで、圧力制御に使用するパラメータQ0x(給水量),Hax(実揚程)、Hfx(配管抵抗)、H0x(全揚程)、fstart(インバータ初期周波数)等が、初期値として設計値(データ)が記憶部のRAMに保存される。ここで、添字のxは変数であることを示す。703ステップでは、次に説明する割り込み処理に備えて割り込み許可処理EIを実行し、704ステップで割り込み待ち処理を実行する。この結果、次に説明する割り込み処理が実行される。
【0054】
図8の割込み処理A、割込み処理Bにおいて、処理Aの801ステップで設定手段CONS2でのキースイッチが押されたかを判定し、押されていれば803ステップでパラメータ設定用のキーが押されたかを判定する。ここで、パラメータ設定処理の状態にあるのか、そうでないのかの動作状態を安定にするために、例えばアップ、ダウン両キーを長押ししたら、パラメータを読み込み設定処理の805ステップへ進み、もう一度押したら、ここから脱出して804ステップのキースイッチへ対応した表示処理を実行して809ステップへ抜けるようにする。
【0055】
805ステップから808ステップでは、前述したパラメータQ0x(給水量),Hax(実揚程)、Hfx(配管抵抗)、H0x(全揚程)、fstart(インバータ初期周波数)等の設定処理を実行し、所定のメモリM100〜M104にそれぞれ記憶する。801ステップでキースイッチが押されてないと判定すると、802ステップで初期化で決定している圧力が表示される。以上の処理は割り込み処理での実行であり、運転中であっても必要に応じて随時設定変更することが出来る。割込み処理Aが済むと
図7の704ステップに戻る。
【0056】
処理Bでは、故障チェック・監視の810ステップの後、812ステップで無線通信手段の送受信処理を実行すると共に、端末の給水機器からの受信データを記憶部に記憶しておく。即ち、無線通信手段のデータをメモリRAMの例えばM107〜M112に格納する。給水管端末の給水器具が開放されているときは、端末設置の各無線通信手段から信号が発報され、給水器具が閉じているときは、各無線通信手段から信号が発報されないことを意味する。前記メモリには、無線通信手段が発報されている場合は例えば00Hのデータを、発報されていない場合には0FFHのデータを書き込む。
【0057】
又、これに対応して、メモリEEPROMの例えばM0〜M10に各給水器具の使用水量のデータQ10〜Q54を予め書き込んでおく。即ち、無線通信手段1taからの信号を受信したら、給水器具1aが開放されたことを意味しており、RAMのM100には00Hのデータが書き込まれ、給水器具1aに対応する使用水量(放水量)のデータQ10はメモリEEPROMのM0に書き込まれている。
【0058】
又、813ステップでは、圧力センサによる給水管の給水圧力の検出処理(検出結果がレジスタAN0に格納されている)、インバータ周波数f1(=fx:変数)、f10の検出処理を実行する。AN0のデータは記憶部のM107に保存される。更に、メモリーM105には変数fxとしてインバータ現在周波数f1、メモリーM106にはインバータ到達波数f10のデータが保存される。尚、メモリーRAMに格納した値は変数として用いる。ここで、メモリーEEPROMにデータを書き込む処理は、予め別の処理により書き込んでおくこともできる。
【0059】
又、停電復帰時に再度パラメータ設定しなくても済むようにするため、Q0X(給水量),Hax(実揚程)、Hfx(配管抵抗)、H0x(全揚程)、fstart(インバータ初期周波数)等のデータは、RAMに保存しているデータと同じものをEEPROMにも保存しておく。このようにしておけば、停電復帰時にEEPROMに前記パラメータが保存されているので支障なく運転することができ、停電復帰時に再度、パラメータ設定をするという面倒さを解決することができる。割込み処理Bが済むと
図7の704ステップに戻る。
【0060】
図9の割込み処理において、901〜910ステップでは、1階〜5階までの各階の給水器具が開放されているかをチエックし、実揚程Haを計算し結果をメモリM101に格納する。即ち、901ステップでは、1階給水器具のいずれかが開放されているか否かのチエックをし、開放されている場合は、実揚程Haに1階の実高さH1aを加算して次の904ステップへ進み、開放されてなければ903ステップで、実用程Haに0を格納する処理を実行して次の904ステップへ進む。
【0061】
同様に、904ステップでは、2階給水器具のいずれかが開放されているか否かのチエックをし、開放されている場合には、905ステップで実揚程Ha(この時の実用程Haには、H1aが格納されている。)に2階の実高さH2aを加算して次の906ステップへ進む。この時、実揚程Haの値は、HaがH1aであればH1a+H2aであり、Haが0であればH2aとなっている。開放されてなければ未処理のまま次の906ステップへ進む。この時、実揚程Haの値は、HaがH1aであればH1aであり、Haが0であれば0となっている。
【0062】
以上の説明で明らかなので、これ以降の処理についての説明は省くが、911ステップの処理を終えてRETIで割り込みから
図7のメーン処理に戻る際には、各階の給水器具の開放状態に応じて適宜、1階〜5階の実高さのデータが加算され、これらの総和が実揚程Haxに格納されRAMのM101に格納されている。
【0063】
図10の割込み処理は、配管抵抗を計算する処理と、使用最大水量を求める処理を示している。先ず、1階〜5階の全階において、水使用があった場合について説明する。101ステップで、5階設置の各給水器具の無線通信手段からの信号が受信されたかチエックする。受信しておれば、次の102ステップへ進む。未受信であれば、118ステップ以降へ処理を進める。111ステップで前記発信した無線通信手段対応の給水器具の給水量(放出水量)の総和を求める。
【0064】
102ステップでメモリM108よりM111までのデータ(前記したように無線通信手段からの受信があれば00Hを書き込む。)を順番に00Hかチエックする。00Hであれば、EEPROMのM0〜M10の中からこれと対応するデータを読み出し、積算して最大使用水量(給水管端末の開放された給水器具の必要水量の総和)Q0Xを求め、メモリM100に格納する。例えば、メモリM108、M110、M111が00Hであれば、これと対応するメモリM0、M1、M10のデータの総和を求めて最大使用水量(給水量と同意)とする。
【0065】
103ステップでは、この給水量により5階の配管抵抗を計算して求める。ここでは、便宜上、各給水器具個々に計算せず、最遠方に前記で計算した給水量の器具があるとして、そこまでの距離により配管抵抗を計算している。一般的には、空気調和.衛生工学便覧や建築設備ハンドブック等に示される水利計算方法に基づいて求められる。具体的には
図6に示す5階のそれぞれ配管抵抗(直管部)LOSS15(管長さS15)、配管抵抗(曲管部)LOSS16、配管抵抗(直管部)LOSS17(管長さS17)を求める。直管部、例えばダーシーの公式、曲管部はfV
2/2g(ここで、fは損失係数、Vは管内流速、gは重力の加速度)により計算している。
【0066】
同様に104ステップでは、4階設置の各無線通信手段からの信号が受信されたかチエックする。受信しておれば、次の105、106ステップへ進む。未受信であれば未処理のまま107ステップへ進む。105ステップにおいて、前述同様に4階と5階の給水量を求め、106ステップでこの給水量にて4階の配管抵抗(直管部)LOSS12(管長さS12)、配管抵抗(T字曲管部)LOSS13を求める。求め方は前述で明らかなので説明を省く。尚、4、5階で水使用があった場合、部位L12、L13に流れる水量は4階と5階の給水量の総和となるので、LOSS12(管長さS12)、配管抵抗(T字曲管部)LOSS13はこの給水量の総和で計算する。又、この場合、5階部位L17への給水があるので、部位L14の損失計算はしなくて良い。5階への給水がない場合は部位L17の配管抵抗が必要となる。以上の説明で明らかなので、これ以降の説明は省き結果のみを次に示す。
【0067】
107〜109ステップで3、4,5階の給水量を計算し、これに基づいて3階の配管抵抗LOSS9、LOSS10を求める。110〜112ステップで2、3、4,5階の給水量を計算し、これに基づいて2階の配管抵抗LOSS6、LOSS7を求める。
【0068】
113〜115ステップで1、2、3、4,5階の給水量を計算し、これに基づいて1階の配管抵抗LOSS1、LOSS2、LOSS3、LOSS4を求める。そして、116ステップで1階〜5階までの配管抵抗の総和Hfxを求め、メモリM102に格納する。118ステップにおいて、5階の水使用がなく、5階の配管抵抗は0となっている。ここで、4階の水使用があるか否か判定する。YESと判定した場合、説明は省くが、105ステップ4階以降の処理と同じ処理を実行する。118ステップの判定でNOと判定した場合は、119ステップへ進む。
【0069】
119ステップおいて、4、5階での水使用がなく4、5階の配管抵抗は0となっている。ここで、3階の水使用があるか否か判定する。YESと判定した場合は108ステップ3階以降の処理と同じ3階以降の処理を実行する。図示は省略しているが、3階での水使用があり2,1階での水使用がなければ、3階への給水量の計算を実行し、この給水量で配管抵抗LOSS1、LOSS2、LOSS3、LOSS4、LOSS6、LOSS7、LOSS9、LOSS10、LOSS11を計算することになる。NOと判定した場合は、120ステップへ進む。
【0070】
120、121ステップで2階、1階の水使用がなければ配管抵抗の総和は0となる。更に、116Aステップでは各階の給水量を総和して最大水量Q0Xを計算し結果をメモリM100、M90に格納しておく。この後、117ステップへ進み、117ステップでRETIでメーンループへ戻る。
【0071】
図12の割込み処理は全揚程を求める処理を示している。即ち、131ステップでメモリに格納されている実揚程Ha、吸込全揚程Hs、所要末端圧力Hp、配管抵抗Hfを読み出し、これらの総和を計算して全揚程H0xを求めてメモリM103に格納する。
図11の割込み処理は、求めた給水量Q0xからインバータ初期周波数を求める処理を示したものである。
【0072】
上記のように、制御装置CUは第1通信手段から信号を受信した時、発信した通信手段のうち最高位置に設置の通信手段を持つ給水器具の実用揚程を求めると共に、発信した通信手段の各給水器具に対して配管抵抗を求め、前記実用揚程と前記配管抵抗の加算値に各給水器具の所要末端圧力のうち一番大きな所要末端圧力を加えた値を設定値の圧力目標値として生成している。
【0073】
図13はこの初期周波数を求めるためのポンプ特性図を示している。
図13において、縦軸に全揚程を横軸に水量を取り、ポンプ性能曲線A(周波数f10の場合)を表している。これに全揚程H0を水平に引き(線分F)、周波数を5等分してこれらの周波数f20、f30、f40、f50に対応するポンプ性能曲線B、C、D、Eを作図して、これらポンプ性能曲線と水平線Fとの交点を下に下ろして、水量Q10、Q20、Q30、Q40、0を求める。
図14に水量とインバータ周波数との関係を示している。
【0074】
図11に戻って説明すると、151ステップで記憶部より給水量Q0Xのデータを読み出す。152ステップ以降で、この読み出した給水量Q0Xが、前述した水量のQ10〜Q20のどの位置にあるかをチエックする。給水量Q0XがQ10と等しければ、153ステップでインバータ初期周波数fstartにf10を代入し、メモリM104に格納する。そして、166ステップへ抜ける。
【0075】
給水量Q0xがQ10とQ20の間にある場合は163ステップへ進み、さらに、164ステップでは初期周波数fstartにf50を代入し、165ステップでは下記の演算処理0を実行して結果をインバータ初期周波数fstartに代入し、メモリM104に格納して166ステップへ抜ける。
【0076】
同様に、給水量Q0xがQ20以下の場合は154ステップへ進み、さらに場合分けされて155ステップでは初期周波数fstartにf20を代入し、156ステップでは演算処理1を実行して結果をインバータ初期周波数fstartに代入し、メモリM104に格納して166ステップへ抜ける。さらに、158ステップでは初期周波数fstartにf30を代入し、159ステップでは演算処理2を実行して結果をインバータ初期周波数fstartに代入し、メモリM104に格納して166ステップへ抜ける。さらに、161ステップでは初期周波数fstartにf40を代入し、162ステップでは演算処理3を実行して結果をインバータ初期周波数fstartに代入し、メモリM104に格納して166ステップへ抜ける。
【0077】
演算処理0:
fstart=f20+(f10−f20)x(Q10−Q0X)/(Q10−Q20)となる。
【0078】
演算処理1:
fstart=f30+(f20−f30)x(Q20−Q0X)/(Q20−Q30)となる。
演算処理2:
fstart=f40+(f30−f40)x(Q30−Q0X)/(Q30−Q40)となる。
演算処理3:
fstart=f50+(f40−0)x(Q40−Q0X)/(Q40−0)となる。
【0079】
説明を
図7のメーン処理に戻す。705ステップで端末の無線通信手段からの信号を受信したか否か、即ち、端末の給水器具(蛇口)が開放されたか否か判定する。YESであれば、次の708ステップへ進み、NOであればYESとなるまで706、707,705ステップの処理を繰り返す。706ステップではポンプが運転中か判定し、運転中であれば、707ステップでポンプを停止して705ステップへ戻る。
【0080】
708ステップでは、ポンプが運転中か否か判定する。NOであれば、次の709ステップへ進みここで、ポンプを予め決めているインバータ周波数(設計値)で運転する運転処理を実行して710ステップへ進む。YESであれば未処理のまま710ステップへ進む。710ステップでは圧力センサが検出した圧力データHをメモリより読み出す。711ステップでは全揚程H0x(圧力制御する際の目標圧力H0となる。)をメモリより読み出す。そして、712ステップで両者を比較する。
【0081】
比較した結果、H0(=H0x)−α(不感帯、例えば2m)>Hならば、713ステップへ進み、ここで増速処理(例えば現在速度に0.1HZ加算する)を実行して次の714ステップへ進む。H0(=H0X)+α(不感帯、例えば2m)<Hならば、716ステップへ進み、ここで減速処理(例えば現在速度から0.1HZ減算する)を実行して次の717ステップへ進む。いずれでもない場合は、変速せず715ステップへ進む。
【0082】
そして、715ステップでは変速指令して、その速度に到達するのに必要な所定時間Δtの待ち時間を実行し705ステップへ戻る。そして、これ以降の処理を継続して実行する。
【0083】
以上のようにして給水端末の開放している各給水器具に対応した予め記憶された目標圧力(圧力目標値)を読み出して設定し、これと圧力センサの検出した吐き出し圧力(圧力センサの圧力)が一定(ほぼ等しく)となるようにインバータ周波数を制御する。これにより、端末の給水器具が真に必要な給水圧力で給水することが可能となり、大幅な省エネルギーを図ることができる。
【0084】
なお、前記記憶部は各給水器具に対応したグルーピングの放水量と圧力目標値とから定まるインバータ周波数が回転速度として記憶し、前記制御装置は前記第1通信手段から信号を受信した時、発信した通信手段を持つ給水器具の放水量を前記記憶部から読み出してこれらを集計演算処理して最大水量を求め、この最大水量からこの水量に対応したインバータ周波数を前記記憶部より読み出して、始動時の流量目標値対応回転速度を自動生成するようにしても良い。
【0085】
次に、別の実施例について説明する。給水端末器具の開放に伴い、ここでの給水圧力を安定させるには、給水圧力が目標圧力(全揚程)と等しくなるレスポンス(応答)を向上させることは大変重要なことである。これを改善するには、
図7の709ステップの後に、記憶部(メモリ)よりインバータ初期周波数fstartを読み出し、この周波数を出力する処理を追加すればよい。このようにすれば、前述したように給水量に基づいてインバータ初期周波数fstartが決められているので、目標圧力(全揚程)に等しくなるレスポンス(応答)が良くなる。
【0086】
更に、給水管端末の給水端末器具に設けている圧力センサを圧力制御に用いると、ポンプ吐き出し側給水管に取り付けた圧力センサを省略することができるので、コストダウンが可能となる。通信スピードが遅いと言う問題も考えられるが、無線通信手段のデータの送受信量を少なくする、レスポンスの良い通信デバイスを選択する等により対応は十分に可能である。具体的には、各端末の給水器具の開放状態をチエックし、給水量、実揚程、配管抵抗を求める処理の中に、最高位、最遠箇所の圧力センサを選択する処理を追加して、圧力制御に使用する圧力センサを選択する。そして、これと対応する無線通信手段にこの圧力センサの検出した圧力データをのせて、給水装置PUに備わる無線通信手段0taに送信する。これのデータを用いて
図7に示す圧力制御を行えば良い。