(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
鋼杭の打設方向を噴射方向とする杭先端部に設けた打設方向用ノズルと、水平外向き方向または鋼杭の打設方向から水平外向き方向の間の角度である斜め外向き方向を噴射方向とする杭先端部に設けた外向き方向用ノズルから、施工の経過に伴って打設方向に上下動する杭先端部の地表面からの深度または地盤強度に応じて、水または流動性固化材を噴射して、杭先端部に根固めを築造する鋼杭の施工方法であって、
前記外向き方向用ノズルから噴射する水または流動性固化材の噴射圧、噴射量、噴射時間、噴射タイミングのいずれか1または2以上を前記打設方向用ノズルとは独立に制御することにより、根固めを築造し、
前記杭先端部の地表面からの深度が深ければ深いほど、前記外向き方向用ノズルから噴射する水または流動性固化材の
(イ)噴射圧を高くする、
(ロ)単位時間当たりの噴射量を多くする、
(ハ)噴射時間を長くする、
のいずれか1または2以上を講ずることによって、深度が深ければ深いほど根固めの径を大径化することを特徴とする鋼杭の施工方法。
根固めを築造する深度において、前記打設方向用ノズルと前記外向き方向用ノズルのいずれか一方または双方から水を一定時間噴射したのち流動性固化材に切り替えて噴射することを特徴とする請求項1に記載の鋼杭の施工方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の工法では、杭先端部を拡径した鋼杭を掘削孔に圧入・定着させるところ、杭先端部を拡径した分だけ掘削孔の掘削径を大きくしなければならない。このため、掘削ヘッドの大径化に伴う重機の大型化により経済性が低下するという問題、および、排土量が多く環境に悪影響を及ぼすという問題がある。
【0006】
また、特許文献2および特許文献3の工法では、重機の大型化や排土量の増加を生じることなく、拡径した根固めを築造できるものの、打設時と拡径時の双方を考慮したトータル的な施工性の観点からは、必ずしも最適化されていない。
例えば、特許文献2の
図4(A)および特許文献3の
図1(c)に開示される、鋼杭の打設方向が噴射方向となるように一つのノズルに対して一つの噴射孔が形成されたノズルを使用する場合には、打設時の施工性には優れるが、拡径時の拡径効率は最大化されていない。
【0007】
本発明の解決すべき課題は、経済性を低下させることなく、さらには排土量を抑制しつつも高い施工性および先端支持力を得ることができる、杭先端部に根固めを築造する鋼杭の施工方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、前記課題を解決すべく、種々の検討を重ねた結果、以下の技術的知見を得た。
【0009】
(A)前記のとおり、所定の方向が噴射方向となるように一つのノズルに対して一つの噴射孔が形成されたノズルのみを使用する場合、すなわち、1種類のノズルのみを使用する場合には、打設時と拡径時の双方を考慮したトータル的な施工性の観点からは、必ずしも最適化されていない。
しかしながら、種類(噴射方向)の異なるノズル、より具体的には、(a)鋼杭の打設方向を噴射方向とする打設方向用ノズルと、水平外向き方向または斜め外向き方向を噴射方向とする外向き方向用ノズルとを併用し、さらには、(b)前記外向き方向用ノズルから噴射する水または流動性固化材の噴射圧、噴射量、噴射時間、噴射タイミングのいずれか1または2以上を、前記打設方向用ノズルに係る噴射圧、噴射量、噴射時間、噴射タイミングとは独立に制御すれば、上記課題を解決することができる。
これは、打設方向用ノズルからの噴射と外向き方向用ノズルからの噴射を独立に制御するので、打設時には打設方向へ重点的に水を噴射でき、また、拡径時には水平外向き方向または斜め外向き方向へ重点的に水または流動性固化材を噴射できるからである。そして、これによりトータル的な施工性が飛躍的に向上するからである。さらには、拡径時には水平外向き方向または斜め外向き方向へ重点的に水等を噴射できるので、高い先端支持力が得られるからである。
また、種類(噴射方向)の異なるノズルを併用したところで経済性を著しく害することはない。使用するノズルの種類が増える程度のことである。
一方、杭先端部の地表面からの深度が深ければ深いほど、換言すると、根固めを築造すべき鉛直方向下側の部位に行くほど、前記外向き方向用ノズルから噴射する水または流動性固化材の噴射圧が高くなるように制御すれば、深度が深ければ深いほど、すなわち、根固めの鉛直方向下側の部位に行くほど大径化した根固めを得ることができる。そして、これにより、各深度において均質な径となる根固めよりも高い先端支持力を得ることができる。
この場合、単位時間当たりの噴射量が多くなるように制御しても、あるいは、噴射時間が長くなるように制御しても、同様の形状の根固めを得ることができる。すなわち、深度が深ければ深いほど大径化した根固めを得ることができる。
すなわち、上記のいずれか1または2以上の制御を講ずることによって、深度が深ければ深いほど大径化した根固めを得ることができ、これにより、より高い先端支持力を得ることができる。
上記にて説明したように、前記外向き方向用ノズルから噴射する水または流動性固化材の噴射圧、噴射量、噴射時間、噴射タイミングのいずれか1または2以上を、杭先端部の地表面からの深度や地盤強度に応じて制御すれば、根固めの形状、特に、根固めの径を制御でき、これにより先端支持力を制御することができる。
【0012】
(
B)また、根固めを築造する深度において、前記打設方向用ノズルと前記外向き方向用ノズルの一方または双方から水を一定時間噴射したのちに流動性固化材に切り替えて噴射するのが望ましい。水を先に噴射することで地盤強度を低下させることができ、これにより、流動性固化材を容易に地盤に浸透させることができ、施工性がさらに向上する。
【0013】
(
C)また、前記外向き方向用ノズルを鋼杭の打設方向(軸方向)に複数段設ければ、根固め築造時間を短縮することができる。
【0014】
(
D)また、前記工法による根固め築造前に、前記打設方向用ノズルから水を噴射した状態で根固めを築造する深度まで鋼杭を打設すれば、打設による騒音・振動を低減することができ、さらには、排土量を抑制することができる。
【0015】
(
E)同じく、前記工法による根固め築造前に、先端に掘削ヘッドを有する掘削ロッドで根固めを築造する深度まで掘削しながら鋼杭を埋設すれば、特許文献1とは異なり、杭先端部を拡径した鋼杭を埋設するわけではないので掘削径の拡大は不要となる。このために、特許文献1とは異なり、掘削ヘッドの大径化に伴う重機の大型化により経済性が低下するという問題、および、排土量が多く環境に悪影響を及ぼすという問題は発生しない。
【0016】
本発明は、上記の技術的知見に基づいて完成させたものであり、その要旨は以下のとおりである。
(1)鋼杭の打設方向を噴射方向とする杭先端部に設けた打設方向用ノズルと、水平外向き方向または鋼杭の打設方向から水平外向き方向の間の角度である斜め外向き方向を噴射方向とする杭先端部に設けた外向き方向用ノズルから、施工の経過に伴って打設方向に上下動する杭先端部の地表面からの深度または地盤強度に応じて、水または流動性固化材を噴射して、杭先端部に根固めを築造する鋼杭の施工方法であって、
前記外向き方向用ノズルから噴射する水または流動性固化材の噴射圧、噴射量、噴射時間、噴射タイミングのいずれか1または2以上を前記打設方向用ノズルとは独立に制御することにより、根固めを築造
し、
前記杭先端部の地表面からの深度が深ければ深いほど、前記外向き方向用ノズルから噴射する水または流動性固化材の
(イ)噴射圧を高くする、
(ロ)単位時間当たりの噴射量を多くする、
(ハ)噴射時間を長くする、
のいずれか1または2以上を講ずることによって、深度が深ければ深いほど根固めの径を大径化することを特徴とする鋼杭の施工方法。
【0019】
(
2)根固めを築造する深度において、前記打設方向用ノズルと前記外向き方向用ノズルのいずれか一方または双方から水を一定時間噴射したのち流動性固化材に切り替えて噴射することを特徴とする前記(1)
に記載の鋼杭の施工方法。
【0020】
(
3)前記外向き方向用ノズルを鋼杭の打設方向に複数段設けたことを特徴とする前記(1)
又は(2)に記載の鋼杭の施工方法。
【0021】
(
4)前記打設方向用ノズルから水を噴射した状態で根固めを築造する深度まで鋼杭を打設し、その後に根固めを築造することを特徴とする前記(1)〜(
3)のいずれか1項に記載の鋼杭の施工方法。
【0022】
(
5)先端に掘削ヘッドを有する掘削ロッドで根固めを築造する深度まで掘削しながら鋼杭を埋設し、その後に根固めを築造することを特徴とする前記(1)〜(
3)のいずれか1項に記載の鋼杭の施工方法。
【発明の効果】
【0023】
(a)従来技術に係る施工方法は、種類(噴射方向)を同じくするノズルを使用するものであり、打設時と拡径時の双方を考慮したトータル的な施工性の観点からは、必ずしも最適化されていなかった。
これに対して、本発明に係るすべての施工方法は、打設方向用ノズル(噴射方向:鋼杭の打設方向)と外向き方向用ノズル(噴射方向:水平外向き方向または斜め外向き方向)という種類(噴射方向)の異なるノズルを併用する。そして、これらを互いに独立して制御する。したがって、打設時には打設方向へ重点的に水を噴射でき、また、拡径時には水平外向き方向または斜め外向き方向へ重点的に水または流動性固化材を噴射することができる。このために、トータル的な施工性を飛躍的に向上させることができる。
施工性を飛躍的に向上できるだけではない。本発明に係るすべての施工方法は、種類(噴射方向)の異なるノズルを併用し、これらを独立に制御するものであるが、このことにより経済性を著しく害することはない。使用するノズルの種類が増える程度のことである。さらには、杭先端部に確実に根固めを築造することができるので、高い先端支持力を得られる。
したがって、本発明に係るすべての施工方法によれば、経済性を低下させることなく、高い施工性および先端支持力を得ることができる。
【0026】
(
b)根固めを築造する深度において、前記打設方向用ノズルと前記外向き方向用ノズルのいずれか一方または双方から水を一定時間噴射したのち流動性固化材に切り替えて噴射する本発明に係る施工方法によれば、水を先に噴射するので、後に流動性固化材を噴射する範囲の地盤強度をあらかじめ低下させることができる。したがって、流動性固化材の噴射時にこれを容易に地盤に浸透させることができ、これにより施工性をさらに向上させることができる。
【0027】
(
c)前記外向き方向用ノズルを鋼杭の打設方向に複数段設けた本発明に係る施工方法によれば、拡径時に水平外向き方向等へ重点的に水または流動性固化材を噴射することができ、これにより根固め築造時間を短縮することができる。
【0028】
(
d)前記打設方向用ノズルから水を噴射した状態で根固めを築造する深度まで鋼杭を打設する本発明に係る施工方法によれば、打設による騒音・振動を低減することができ、さらには、排土量を抑制することができる。
【0029】
(
e)先端に掘削ヘッドを有する掘削ロッドで根固めを築造する深度まで掘削しながら鋼杭を埋設する本発明に係る施工方法によれば、特許文献1とは異なり、杭先端部を拡径した鋼杭を埋設するわけではないので掘削径の拡大は不要となる。このために、掘削ヘッドの大径化に伴う重機の大型化により経済性が低下するという問題、および、排土量が多く環境に悪影響を及ぼすという問題は生じ得ない。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、
図1〜7を参照して、本発明を実施するための形態を説明する。
図1は、本発明に係る鋼杭の施工方法(以下、本発明と称する。)で使用する打設方向用ノズル2と外向き方向用ノズル3の配置の一例を示す模式図である。具体的には、
図1(a)は、水平外向き方向を噴射方向とする外向き方向用ノズル3を使用した場合の正面図であり、
図1(b)は、この場合の底面図である。また、
図1(c)は、鋼杭の打設方向から水平外向き方向の間の角度である斜め外向き方向を噴射方向とする外向き方向用ノズル3を使用した場合の正面図であり、
図1(d)は、この場合の底面図である。
鋼杭は鋼管であってもよいし、H形鋼あるいは鋼管矢板、鋼矢板であってもよい。
【0032】
図1(a)〜(d)に示すように、打設方向用ノズル2は、鋼杭1の打設方向を噴射方向とするノズルである。そして、外向き方向用ノズル3は、水平外向き方向または斜め外向き方向を噴射方向とするノズルである。
打設方向用ノズル2と外向き方向用ノズル3は、鋼杭1の杭先端部、より具体的には、杭先端部の外周面に複数配置するのが望ましい。なお、当該図では、杭先端部の外周面に各々4個の打設方向用ノズル2と外向き方向用ノズル3を配置した例を示したが、各々のノズルの数はこれに限定されるものではない。例えば、外周面に等間隔で各々6個の打設方向用ノズル2と外向き方向用ノズル3を配置してもよく、それ以上のノズル数であっても構わない。また、打設方向用ノズル2と外向き方向用ノズル3の数は、必ずしも同数とする必要がない。
また、打設方向用ノズル2と外向き方向用ノズル3のいずれか一方または双方は、鋼杭1から着脱可能であってもよいし否であってもよい。
【0033】
打設方向用ノズル2と外向き方向用ノズル3に形成する噴射孔の数については、特に限定されず、1または2以上とする。ただし、2以上の噴射孔とする場合には、打設方向用ノズル2の場合については、各々の噴射孔は鋼杭1の打設方向を噴射方向としなければならない。また、水平外向き方向の外向き方向用ノズル3の場合については、各々の噴射孔は水平外向き方向を噴射方向としなければならない。同様に、斜め外向き方向の外向き方向用ノズル3の場合については、各々の噴射孔は斜め外向き方向を噴射方向としなければならない。
なお、噴射孔を形成する部位については特に限定されず、打設方向用ノズル2、外向き方向用ノズル3の端部であってもよいし、側部であってもよい。
【0034】
打設方向用ノズル2には、配管ホース(打設方向用ノズル用)6が接続され、ここから打設方向用ノズル2に水または流動性固化材が供給される。同じく、外向き方向用ノズル3には、配管ホース(外向き方向用ノズル用)7が接続され、ここから外向き方向用ノズル3に水または流動性固化材が供給される。
ここで、配管ホース(打設方向用ノズル用)6と配管ホース(外向き方向用ノズル用)7とは互いに独立した配管であり、共用するものではない。
なお、本発明では複数の打設方向用ノズル2を使用するが、これら複数の打設方向用ノズル2の間では配管ホース(打設方向用ノズル用)6を共用してもよいし、あるいは、各々の打設方向用ノズル2に個別の配管ホース(打設方向用ノズル用)6を接続してもよい。同様に、本発明では複数の外向き方向用ノズル3を使用するが、これら複数の外向き方向用ノズル3の間では配管ホース(外向き方向用ノズル用)7を共用してもよいし、あるいは、各々の外向き方向用ノズル3に個別の配管ホース(外向き方向用ノズル用)7を接続してもよい。
【0035】
前記のとおり、配管ホース(打設方向用ノズル用)6と配管ホース(外向き方向用ノズル用)7とは互いに独立した配管であるところ、各々の配管には互いに独立した、水または流動性固化材を供給する流量調整機能付きポンプを接続するのが望ましい。流量調整機能付きポンプとすることによって、実質的に噴射する水または流動性固化材の噴射圧、噴射量、噴射時間、噴射タイミングのいずれか1または2以上を制御することができる。
流量調整機能付きポンプとしては特に限定されず、例えば、精密ギヤポンプ、トロコイドポンプ、揺動型ポンプ、プランジャーポンプ等を用いることができる。
なお、流量調整機能付きポンプの流量調整については、コンピュータ(電子計算機)からなる制御手段を用いてもよいし、手動で設定してもよい。
【0036】
以上のように、本発明では、打設方向用ノズル2と外向き方向用ノズル3という種類(噴射方向)の異なるノズルを併用する。そして、これらを互いに独立して制御する。より具体的には、外向き方向用ノズル3から噴射する水または流動性固化材の噴射圧、噴射量、噴射時間、噴射タイミングと、打設方向用ノズル2から噴射する水または流動性固化材の噴射圧、噴射量、噴射時間、噴射タイミングとは独立に制御する。したがって、打設時には打設方向へ重点的に水を噴射でき、また、拡径時には水平外向き方向または斜め外向き方向へ重点的に水または流動性固化材を噴射することができる。このために、本発明では、施工性を飛躍的に向上させることができる。
【0037】
図2は、本発明の一例を時系列に示す模式図である。この例では、打設方向用ノズル2から水4を噴射した状態で根固めを築造する深度まで鋼杭1を打設する。なお、この段階において外向き方向用ノズル3から水を噴射すると周面地盤を緩めてしまうおそれがあるので、噴射しないか土による目詰まりを防ぐ程度の低圧で水を噴射する。
そして、根固めを築造する深度に到達した後は、外向き方向用ノズル3から流動性固化材5を噴射して根固めを築造する。一方、打設方向用ノズル2については、築造初期は深度方向にも根固めを築造する必要があるので流動性固化材5を噴射するが、築造終盤や定着深度付近では、深度方向に根固めを築造する必要が減少していくので流動性固化材5の噴射を弱めていき、最終的には噴射を停止する。すなわち、打設方向の噴射は、築造過程に応じて調整する。
【0038】
図3は、本発明の一例を時系列に示す模式図であり、打設方向用ノズル2と外向き方向用ノズル3のいずれか一方または双方から水4を一定時間噴射したのち流動性固化材5に切り替えて噴射する例である。
この例では、打設方向用ノズル2から水4を噴射した状態で根固めを築造する深度まで鋼杭1を打設する。
そして、根固めを築造する深度に到達した後においても、打設方向用ノズル2から水4を噴射したままの状態で定着深度まで鋼杭1を打設し、最終的には噴射を停止する。一方、外向き方向用ノズル3については、根固めを築造する深度に到達した後に、外向き方向に水4を噴射して拡径を開始し、鋼杭の打設完了後に水噴射を停止する。
そして、このような根固めを築造する深度における打設方向用ノズル2からの水噴射による打設、ならびに、外向き方向用ノズル3からの水噴射による拡径が完了した後に、打設方向用ノズル2と外向き方向用ノズル3の双方から流動性固化材5を噴射して根固めを築造する。
このように、打設方向用ノズル2と外向き方向用ノズル3のいずれか一方または双方から水4を一定時間噴射したのち流動性固化材5に切り替えて噴射すれば、水を先に噴射することで地盤強度を低下させることができ、これにより、流動性固化材を容易に地盤に浸透させることができる。したがって、施工性をさらに向上させることができる。
【0039】
図4は、本発明の一例を時系列に示す模式図である。この例では、打設方向用ノズル2から水4を噴射した状態で定着深度まで鋼杭1を打設する。
そして、定着深度に到達した後は、外向き方向用ノズル3から流動性固化材5を噴射して根固めを築造する。一方、打設方向用ノズル2については、水4の噴射を流動性固化材5の噴射に切り替えて根固めを築造する。
すなわち、
図2に示した例が、根固めの築造深度において根固めの築造を開始して定着深度において完了するのに対し、
図4に示した例は、定着深度において根固めの築造を開始して根固めの築造深度において完了する例である。
なお、本発明は、このような例に限定されるものではない。例えば、
図2に示した例が、根固めの築造深度において根固めの築造を開始して定着深度において完了する例としたが、これに限定されず、定着深度に到達後に再び根固めの築造深度に向かって築造を開始してもよい。そして、このサイクルを繰り返しても構わない。また、どの深度において築造を完了しても構わない。同様に、
図4に示した例が、定着深度において根固めの築造を開始して根固めの築造深度において完了する例としたが、これに限定されず、根固めの築造深度に到達後に再び定着深度に向かって築造を開始してもよい。そして、このサイクルを繰り返しても構わない。また、どの深度において築造を完了しても構わない。
【0040】
図5は、本発明の一例を時系列に示す模式図である。この例も、根固めの築造深度において根固めの築造を開始して定着深度において完了する例、より具体的には、根固めの築造深度において外向き方向用ノズル3からの流動性固化材5の噴射を開始して、定着深度において流動性固化材5の噴射を停止する例である。
ただし、この例においては、鋼杭1の杭先端部の地表面からの深度が深ければ深いほど、換言すると、根固めを築造すべき鉛直方向下側の部位に行くほど、外向き方向用ノズル3から噴射する流動性固化材の噴射圧が高くなるように制御している。
このように制御すれば、当該図に示すように、深度が深ければ深いほど、すなわち、根固めの鉛直方向下側の部位に行くほど大径化した根固めを得ることができる。そして、これにより、各深度において均質な径となる根固めよりも高い先端支持力を得ることができる。
なお、この例では、根固めの築造深度において外向き方向用ノズル3からの流動性固化材5の噴射を開始して、定着深度において流動性固化材5の噴射を停止する例を示したが、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、
図3に示す例は、根固めの築造深度において外向き方向用ノズル3からの水4の噴射を開始して、定着深度において水4の噴射を停止する例であるが、この例においても、鋼杭1の杭先端部の地表面からの深度が深ければ深いほど、外向き方向用ノズル3から噴射する水4の噴射圧が高くなるように制御すれば、深度が深ければ深いほど大径化した根固めを得ることができる。
【0041】
この場合、深度が深ければ深いほど、単位時間当たりの噴射量が多くなるように制御しても、あるいは、噴射時間が長くなるように制御しても、深度が深ければ深いほど大径化した根固めを得ることができるのは言うまでもない。上記のいずれか1または2以上の制御を講ずることによって、深度が深ければ深いほど大径化した根固めを得ることができ、これにより、より高い先端支持力を得ることができる。
一方、
図2に示す例のように、根固めを築造すべき深度のいずれの深度においても外向き方向用ノズル3から噴射する流動性固化材等の噴射圧等が一定となるように制御すれば、いずれの深度においても同一径となる根固めを得ることができる。換言すると、各深度において均質な径となる根固めを得ることができる。
あるいは、
図6に示す例のように、杭先端部の地表面からの深度が深ければ深いほど、外向き方向用ノズル3から噴射する水または流動性固化材の噴射圧が低くなるように制御すれば、深度が深ければ深いほど小径化した根固めを得ることができる。
なお、
図5に示す例は、鋼杭1の杭先端部の地表面からの深度が深ければ深いほど、外向き方向用ノズル3から噴射する流動性固化材の噴射圧が高くなるように制御した例であるが、本発明はこれに限定されるものではない。外向き方向用ノズル3から噴射する水または流動性固化材の噴射圧、噴射量、噴射時間、噴射タイミングのいずれか1または2以上を地盤強度に応じて制御することにより、根固めの形状を制御することができる。例えば、地盤強度が大きければ大きいほど、外向き方向用ノズル3から噴射する水または流動性固化材の噴射圧が高くなるように制御するか、単位時間当たりの噴射量を多くするか、噴射時間を長くするかのいずれか1または2以上を講ずることによって、大径化した根固めを得ることができ、これにより、より高い先端支持力を得ることができる。
【0042】
図7は、本発明で使用する打設方向用ノズル2と外向き方向用ノズル3の配置の一例を示す模式図である。具体的には、
図7(a)は、水平外向き方向を噴射方向とする外向き方向用ノズル3を鋼杭の打設方向に複数段設けた場合の正面図であり、
図7(b)は、この場合の底面図である。また、
図7(c)は、鋼杭の打設方向から水平外向き方向の間の角度である斜め外向き方向を噴射方向とする外向き方向用ノズル3を鋼杭の打設方向に複数段設けた場合の正面図であり、
図7(d)は、この場合の底面図である。
このように、外向き方向用ノズル3を鋼杭の打設方向(軸方向)に複数段設ければ、根固め築造時間を短縮することができる。
なお、この場合、配管ホース(外向き方向用ノズル用)7を共用してもよいし、あるいは、各々の外向き方向用ノズル3に個別の配管ホース(外向き方向用ノズル用)7を接続してもよい。
【0043】
図2〜6に示した例は、打設方向用ノズル2から水4を噴射した状態で根固めを築造する深度まで鋼杭1を打設し、その後に根固めを築造する例であるが、この場合、鋼杭に装着したバイブロハンマ(図示せず)による打設を併用するのが望ましい。バイブロハンマの振動と打設方向用ノズル2からの水噴射を併用すれば、打設による騒音・振動を低減することができ、さらには、排土量を抑制することができる。また、必要に応じて鋼杭1の周面部にもセメントミルク等の流動性固化材を充填して、鋼杭1の周面摩擦力を増大させることができる。
【0044】
また、打設方向用ノズル2からの水噴射による鋼杭1の打設に代えて、先端に掘削ヘッドを有する掘削ロッドで根固めを築造する深度まで掘削しながら鋼杭1を埋設するようにしてもよい。その後に上記例による根固めを築造する場合、従来技術と異なり杭先端部を拡径した鋼杭を埋設するわけではないので掘削径の拡大は不要となる。このために、掘削ヘッドの大径化に伴う重機の大型化により経済性が低下するという問題、および、排土量が多く環境に悪影響を及ぼすという問題は生じ得ない。