(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
長尺可撓性樹脂管を、長尺可撓性樹脂管の捩れを防止しながら移動可能に支持する支持ローラ対を、長尺可撓性樹脂管の切断位置を挟んで前記長尺可撓性樹脂管の移動方向の前後にそれぞれ有し、前記切断位置で切断刃を前記長尺可撓性樹脂管の刃が当たる部分の中心軸に直交する方向に移動させて前記長尺可撓性樹脂管を設定長さの可撓性樹脂管に切断する切断装置であって、
切断時に長尺可撓性樹脂管の壁面を受けて前記切断刃から受ける力によって長尺可撓性樹脂管の切断方向への移動を抑える管受け面を有し、この管受け面に切断刃が通過するスリットを有する管受け部を備え、
前記管受け部は、前記管受け面が、切断される長尺可撓性樹脂管の管外径に合わせて位置調整可能に設けられていることを特徴とする可撓性樹脂管の切断装置。
管受け部は、長尺可撓性樹脂管を下方から受ける第1管受け面を有する第1受け部材と、前記長尺可撓性樹脂管を水平方向から受ける第2管受け面を有する第2受け部材とを有するとともに、
前記第1受け部材及び第2受け部材の少なくとも第1受け部材の管受け面を移動させる管受け面移動手段を備えている請求項2または請求項3に記載の可撓性樹脂管の切断装置。
巻物形態の長尺可撓性樹脂管を支持して繰り出し可能なサプライ装置と、このサプライ装置に支持された長尺可撓性樹脂管を引き出して切断刃による切断位置を通るように送る管送り出し手段と、この管送り出し手段によって送り出された長尺可撓性樹脂管の長さを測定する測長手段とを備えている請求項1〜請求項5のいずれかに記載の可撓性樹脂管の切断装置。
長尺可撓性樹脂管が、架橋ポリエチレンからなる可撓性樹脂管本体と、この可撓性樹脂管本体の周囲に設けられた保温材とを備えている請求項1〜請求項7のいずれかに記載の可撓性樹脂管の切断装置。
【背景技術】
【0002】
従来より、住宅の給水給湯配管システムとして、給水主管および給湯主管をそれぞれ給水ヘッダーおよび給湯ヘッダーに接続する一方、ヘッダーからたこ足状に分岐させた給水分岐管および給湯分岐管を各設備機器の接続部に一対一で接続するヘッダー工法が採用されている。
【0003】
具体的には、ヘッダー工法による配管システムは、住宅の床下空間に導かれた主管がヘッダーのヘッダー本体部に接続される一方、ヘッダーの各分岐接続部にそれぞれ分岐管が接続され、各分岐管が床下空間に巡らされて、各設備機器の接続部にそれぞれ接続されるものである。
【0004】
このようなヘッダー配管システムに使用される配管、特に、給水分岐管や給湯分岐管は、1住戸において使用される総延長が30mを越える長さとなるため、巻物形態で施工現場に搬入されている。すなわち、分岐管としては、巻物として搬入可能な可撓性を有する配管、例えば、架橋ポリエチレン管やポリブデン管などの樹脂管がほとんどの場合で採用されている。
【0005】
戸建て住宅におけるヘッダー配管システムの施工は、建物本体工事の工程を考慮して実施されている。最も多い形態のヘッダー配管システムの施工は、床下となる建物の基礎土間上にヘッダーを位置決めして固定し、ヘッダーに主管を接続した後、分岐管(可撓性樹脂管)を巻物から繰り出して設備機器側へ延長し、基礎土間に分岐管を固定するとともに、基礎土間から各設備機器の接続部である最終到達位置までの高さ分として、後の工程でできあがる床面の高さや設備機器内での立ち上げ高さを想定した上で、さらに1〜2m程度の余裕をもって分岐管を切断する。
【0006】
その後、建築工程が進み、床が形成された後にその床下地に貫通孔を開けて分岐管を挿通し、さらに、最終工程である設備機器の設置段階で、設備機器設置後に内部への分岐管接続が行われる。ここにおいて、設備機器の接続部に対して適切な長さに分岐管を切断することになる。このとき、1系統当たり1m程度の余剰の管端部が廃棄物として発生し、戸建て住戸1棟分では15m程度に達する。
【0007】
このような余剰の管端部が廃棄物として発生する施工方法に対して、最近では、工場などにおいて、可撓性樹脂管を予め分岐管経路に沿う長さに切断して現場に持ち込む工法が提案されている。具体的には、図面検討の段階で、ヘッダー位置、設備機器の設置位置を検討し、図面上から必要な分岐管長さを把握し、把握された設定長さに可撓性樹脂管を切断して現場に提供するものである(例えば、特許文献1,2参照)。
ところで、工場などにおいて、可撓性樹脂管を設定長さに切断する際、切断面の直角度が確保されていない場合、つまり、切断面が垂直面に対して一定角度傾斜している場合、管継手への挿入、接続時に管継手のシール機構などに悪影響を及ぼして漏水事故などの原因となるおそれがある。したがって、可撓性樹脂管を切断するに際しては、切断面の直角度を確保する必要がある。
【0008】
一方、可撓性樹脂管は、通常、巻物形態で保管されていることから、一定の巻き癖がついている。このような巻き癖がついている可撓性樹脂管を切断面の直角度を確保して切断する場合、通常、可撓性樹脂管を直線状に延ばして固定し、直線状の可撓性樹脂管に切断刃を直角に当てて切断するようにしているが、切断刃が可撓性樹脂管を切断している過程において、切断された部分から固定力が解放されることから、可撓性樹脂管の巻き癖に由来する反力によって切断部が変位する。このとき、切断刃に対して可撓性樹脂管の切断面の向きが変化し、切断面の直角度が確保されにくいという問題があった。
【0009】
そこで、巻物形態の可撓性樹脂管を支持して繰り出し可能な支持テーブルと、支持テーブルに支持された可撓性樹脂管を引き出す引き出し装置と、引き出し装置によって引き出された可撓性樹脂管の長さを測定する測長装置と、可撓性樹脂管を切断する切断刃と、引き出された可撓性樹脂管を巻き取る垂直軸回りに回転自在な巻き取り装置と、からなり、前記切断刃は、切断位置における可撓性樹脂管の巻き癖の曲率半径の接線に対して直交して配置された刃本体を有し、刃本体を前記接線に対して常に直交するように移動させて、巻き癖を維持して設定長さだけ引き出された可撓性樹脂管を切断するようにした切断装置が提案されている(特許文献3参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
一方、昨今は、架橋ポリエチレン管などの可撓性樹脂管本体の周囲が発泡ポリエチレンや発泡ポリスチレンなどで形成された管状保温材で被覆された可撓性樹脂管(以下、「保温材付き管」と記す)を開発されている(例えば、積水化学工業社製の保温付エスロペックス)。
また、上記保温材付き管は、可撓性樹脂管本体の径が同じでも用途や使用場所に応じて保温材の肉厚が異なるものが複数種ある。したがって、保温材付き管の外径は、大径のものから小径のものまで多品種存在する。
【0012】
しかし、先に提案された上記公知文献3に記載の切断装置の場合、可撓性樹脂管の管外径差がそれほど大きくない範囲であれば、巻き癖のある可撓性樹脂管の管外径が変わっても、1台の切断装置で、切断された管はそのまま継手との接続などの使用に耐えるのであるが、切断しようとする可撓性樹脂管の外径の差が大きいと、1台の切断装置では対応しきれない。したがって、多品種少ロット生産を行うには、設備コストがかかりすぎるという問題がある。
【0013】
本発明は、上記事情に鑑みて、巻き癖がついている場合であっても、1台で、外径の異なる多品種の可撓性樹脂管を、それぞれ切断面の直角度を確保して設定長さに切断することのできる可撓性樹脂管の切断装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために、本発明にかかる可撓性樹脂管の切断装置(以下、「本発明の切断装置」と記す)は、長尺可撓性樹脂管を、長尺可撓性樹脂管の捩れを防止しながら移動可能に支持する支持ローラ対を、長尺可撓性樹脂管の切断位置を挟んで前記長尺可撓性樹脂管の移動方向の前後にそれぞれ有し、前記切断位置で切断刃を前記長尺可撓性樹脂管の刃が当たる部分の中心軸に直交する方向に移動させて前記長尺可撓性樹脂管を設定長さの可撓性樹脂管に切断する切断装置であって、切断時に長尺可撓性樹脂管の壁面を受けて前記切断刃から受ける力によって長尺可撓性樹脂管の切断方向への移動を抑える管受け面を有し、この管受け面に切断刃が通過するスリットを有する管受け部を備え、前記管受け部は、前記管受け面が、切断される長尺可撓性樹脂管の管外径に合わせて位置調整可能に設けられていることを特徴としている。
【0015】
本発明の切断装置は、特に限定されないが、例えば、切断刃は、刃先から刃元に向かって刃部が下方に傾斜し、長尺可撓性樹脂管方向
に前記刃部が傾斜を保ちながら進退するように設けられ、管受け部が少なくとも下方から管受け面で前記長尺可撓性樹脂管を受けるように配置されている構成とすることが好ましい。
すなわち、切断刃が刃先から刃元に向かって下方に傾斜し、長尺可撓性樹脂管方向に傾斜を保ちながら進退するように設けられているので、長尺可撓性樹脂管方向に移動するにつれて、前記傾斜によって、切断位置を下方に押さえるベクトルが働き、長尺可撓性樹脂管が切断されるまでしっかりと下方から受ける管受け面に押さえつけられて位置ずれが防止され、より安定した切断状態が得られる。
【0016】
また、本発明の切断装置は、特に限定されないが、上記管受け面を、切断される長尺可撓性樹脂管の管外径に合う位置に移動させる管受け面移動手段を備えていることが好ましい。
すなわち、管受け面の位置調整は、管受け部本体の上面に厚みの異なる管受け面構成部材を交換自在に設け、切断しようとする長尺可撓性樹脂管に適合する管受け面構成部材を選択して管受け部本体の上面に取り付ける方法、厚みが一定に管受け面構成部材と前記管受け部本体との間に厚みの異なるスペーサを介在させて管受け面の位置を調整する方法などがあるが、作業性の点で上記のように管受け面移動手段を設けることが好ましい。
【0017】
上記管受け面移動手段としては、特に限定されないが、例えば、ラックとピニオンを用いたものや、油圧シリンダを用いたものなどが挙げられ、手動で操作できるものでも操作盤に設けたボタン操作によって自動で操作できるものでも構わない。
また、切断刃が上記のように刃先から刃元に向かってが下方に傾斜し、長尺可撓性樹脂管方向に前記傾斜を保ちながら進退するように設られている構成においては、管受け部を、長尺可撓性樹脂管を下方から受ける第1管受け面を有する第1受け部材と、前記長尺可撓性樹脂管を水平方向から受ける第2管受け面を有する第2受け部材とを有するとともに、
前記第1受け部材及び第2受け部材の少なくとも第1受け部材の管受け面を移動させる管受け面移動手段を備えている構成とすることが好ましい。
【0018】
そして、さらに、上記第2受け部材の第2管受け面を切断刃の進退に合わせて長尺可撓性樹脂管方向に進退させる管受け面移動手段を備えている構成とすることが好ましい。
【0019】
さらに、本発明の切断装置は、特に限定されないが、例えば、巻物形態の長尺可撓性樹脂管を支持して繰り出し可能な支持テーブルと、この支持テーブルに支持された長尺可撓性樹脂管を引き出して切断刃による切断位置を通るように送る原料管送り出し手段と、この原料管送り出し手段によって送り出された長尺可撓性樹脂管の長さを測定する測長手段とを備えている構成としてもよいし、切断刃による切断によって得られる可撓性樹脂管を巻物形態に巻き取る巻き取り機を備えている構成としてもよい。
【0020】
本発明の切断装置は、特に限定されないが、巻物形態の長尺可撓性樹脂管を支持して繰り出し可能なサプライ装置と、このサプライ装置に支持された長尺可撓性樹脂管を引き出して切断刃による切断位置を通るように送る管送り出し手段と、この管送り出し手段によって送り出された長尺可撓性樹脂管の長さを測定する測長手段とを備えている構成とすることができる。
【0021】
本発明の切断装置は、特に限定されないが、例えば、巻物形態の長尺の架橋ポリエチレン管、ポリブテン管、ポリエチレン管など可撓性を有する樹脂管単体、あるいは、これら樹脂管を管本体として備え、管本体を発泡ポリエチレン、発泡ポリスチレンなどから形成された筒状保温材内に内装した保温材付き管を設置長さに切断する際に用いることができ、特に、保温材付き管の切断に好適である。
【発明の効果】
【0022】
本発明にかかる本発明の切断装置は、以上のように、長尺可撓性樹脂管を、長尺可撓性樹脂管の捩れを防止しながら移動可能に支持する支持ローラ対を、長尺可撓性樹脂管の切断位置を挟んで前記長尺可撓性樹脂管の移動方向の前後にそれぞれ有し、前記切断位置で切断刃を前記長尺可撓性樹脂管の刃が当たる部分の中心軸に直交する方向に移動させて前記長尺可撓性樹脂管を設定長さの可撓性樹脂管に切断する切断装置であって、切断時に長尺可撓性樹脂管の壁面を受けて前記切断刃から受ける力によって長尺可撓性樹脂管の切断方向への移動を抑える管受け面を有し、この管受け面に切断刃が通過するスリットを有する管受け部を備え、前記管受け部は、前記管受け面が、切断される長尺可撓性樹脂管の管外径に合わせて位置調整可能に設けられているので、巻き癖がついている場合であっても、1台で、外径の異なる多品種の可撓性樹脂管を、それぞれ切断面の直角度を確保して設定長さに切断することができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、本発明を、その実施の形態をあらわす図面を参照しつつ詳しく説明する。
図1〜
図5は、本発明の切断装置の1つの実施の形態をあらわしている。
【0025】
図1および
図2に示すように、この切断装置Aは、切断装置本体1と、サプライ装置2と、巻き取り機3を備えている。
切断装置本体1は、送り出し手段4と、第1ガイド手段5aと、第1受けローラ8aと、切断機6と、管受け部を構成する第1受け部材7a及び第2管受け部材7bと、第2受けローラ8bと、第2ガイド手段5bとが、架台11に支持されている。
【0026】
送り出し手段4は、支持ローラ対としての駆動ローラ41と、従動プーリ42と、を備えている。
駆動ローラ41は、垂直方向の回転軸を有し、駆動手段としてのモータ44によって回転軸周りに回転駆動するようになっている。
【0027】
従動プーリ42は、垂直方向の回転軸を有し、この回転軸周りに回転自在となっているとともに、油圧シリンダ43によって駆動ローラ41方向に進退し、後述する長尺可撓性樹脂管Pを間に挟みこんだ状態で支持するようになっている。
また、従動プーリ42は、回転軸が測長手段としてのロータリーエンコーダ45に連結されている。すなわち、ロータリーエンコーダ45の回転角が制御盤(図示せず)内に設けられた制御装置(図示せず)に入力されると、制御装置が、ロータリーエンコーダ45の回転角に基づいて送り出し手段4から送り出された長尺可撓性樹脂管Pの長さを演算処理するようになっている。
【0028】
第1ガイド手段5aと第2ガイド手段5bとは、それぞれ支持ローラ対としての従動ローラ51と、従動プーリ52とを備えている。
従動ローラ51は、垂直方向の回転軸を有し、この回転軸周りに回転自在となっている。
従動プーリ52は、従動プーリ42と同径同大になっていて、垂直方向の回転軸を有し、この回転軸周りに回転自在となっているとともに、そのプーリ溝の高さ方向の中心位置が従動プーリ42のプーリ溝の高さ方向の中心位置と一致した状態で油圧シリンダ△によって従動ローラ51方向に進退し、後述する長尺可撓性樹脂管P(または可撓性樹脂管P1)を間に挟みこんだ状態で支持するようになっている。
【0029】
切断機6は、切断刃61と、油圧シリンダ62とを備えている。
切断刃61は、
図3〜
図5に示すように、刃先から刃元まで刃部61aが下方に向かって傾斜する直角三角形状をしていて、第1ガイド手段5aと第2ガイド手段5bとの対称中心を通り、油圧シリンダ62によって刃先を先頭に水平方向に進退するようになっている。
【0030】
第1受け部材7aは、
図3〜
図5に示すように、第1管受け面71に上記のように進退する切断刃61が通過可能なスリット72を備えるとともに、
図2に示すように、管受け面移動手段としての油圧シリンダ75によって下方から支持されていて、上下に昇降することで、第1管受け面71の高さが上下に可変になっている。
第2管受け部材7bは、その第2管受け面73が第1管受け面71に対して垂直に設けられるとともに、管受け面移動手段としての油圧シリンダ74によって第1受け部材7a方向に進退するとともに、切断刃61が通過可能な垂直方向に長い貫通スリット73aを備えている。
【0031】
第1受けローラ8aは、第1ガイド手段5aと、第1受け部材7aとの間に後述する長尺可撓性樹脂管Pを下方から受けるように設けられ、水平方向の回転軸を有し、この回転軸周りに回転自在になっている。
第2受けローラ8bは、第1受け部材7aと、第2ガイド手段5bとの間に後述する長尺可撓性樹脂管P(または可撓性樹脂管P1)を下方から受けるように設けられ、水平方向の回転軸を有し、この回転軸周りに回転自在になっている。
【0032】
サプライ装置2は、
図1および
図2に示すように、複数の受けローラ22と、複数の外側支柱23および内側支柱24を備えている。
複数の受けローラ22は、
図2に示すように、水平方向の回転軸を有し、この回転軸周りに回転自在となっているとともに、
図1に示すように、架台21の中心軸を中心にして放射状となるように架台21に支持されている。
【0033】
複数の外側支柱23および内側支柱24は、それぞれ上記架台21の中心軸を中心にした仮想円上に対となる外側支柱23および内側支柱24が同一半径上にそれぞれ並ぶように架台21に支持されている。
すなわち、サプライ装置2は、巻物形状をした長尺可撓性樹脂管Pを外側支柱23および内側支柱24の間に上方から嵌め込むことによって、長尺可撓性樹脂管Pが複数の受けローラ22に受けられる。そして、長尺可撓性樹脂管Pの管端を引き出すことによって長尺可撓性樹脂管Pが容易に回転するようになっている。
【0034】
巻き取り機3は、回転台31と、支持板32と、ガイド板33とを備えている。
回転台31は、
図1に示すように、平面視八角形をしていて、垂直方向の回転軸を有し、この回転軸が、
図2に示すモータ34によって回転するようになっている。
【0035】
支持板32は、回転台31の八角形の各辺から外側に放射状に延出するように支持板32の周縁部に一端部が固定されている。
ガイド板33は、支持板32の端縁から上方に延びるように支持板32に下端部が固定されている。
【0036】
また、巻き取り機3は、ガイド板33の上端が、サプライ装置2の架台21の下側に入り込むことが可能な高さに設定されている。
そして、詳細には図示しないが、サプライ装置2の架台21は、巻き取り機3に対してそれらの中心間距離を調整できるように構成されている。
【0037】
すなわち、長尺可撓性樹脂管Pの管径などによって巻き癖の曲率半径が変化したとしても、その曲率半径に合わせてサプライ装置2および巻き取り機3の切断装置本体1との相対位置を調整することができる。具体的には、サプライ装置2と巻き取り機3との中心間距離を小さくすれば、サプライ装置2から切断装置本体1を経て巻き取り機3にわたって巻回される可撓性樹脂管P1の曲率半径は小さくなり、逆にサプライ装置2と巻き取り機3との中心間距離を大きくすれば、サプライ装置2から切断装置本体1を経て巻き取り機3にわたって巻回される可撓性樹脂管P1の曲率半径は大きくなる。
なお、巻き取り機3は、ガイド板73の上端が、サプライ装置2の架台21の下側に入り込むことが可能な高さに設定されているので、サプライ装置2の架台21の一部と上下方向で重なる位置まで移動させることができる。
【0038】
つぎに、この切断装置Aを用いた長尺可撓性樹脂管Pの切断手順および各部の動作を詳しく説明する。
【0039】
(1)サプライ装置2と巻き取り機3の位置を切断しようとする長尺可撓性樹脂管Pの巻き癖の曲率半径や外径に応じて予め設定された位置に配置するとともに、巻物形態の長尺可撓性樹脂管Pをサプライ装置2にセットする。
すなわち、このセットによって、長尺可撓性樹脂管Pは、巻物中心軸を垂直方向に向け、内側支柱24が芯となるように上方から落とし込んで受けローラ22に巻物の下面側を受けさせてサプライ装置2に巻物中心軸周りに回転自在に支持される。
【0040】
(2)巻物から長尺可撓性樹脂管Pの外側の端を引き出し、切断装置本体1のところまで導き、送り出し手段4の駆動ローラ41と従動プーリ42との間、第1ガイド手段5aの従動ローラ51と従動プーリ52との間、第2ガイド手段の従動ローラ51と従動プーリ52との間を通り少し巻き取り機3側に出たところまで通す。
【0041】
(3)制御盤(図示せず)で管径の設定ボタンを押す。
すなわち、この設定ボダンを押すことによって油圧シリンダ43が作動して設定された管径に応じた距離だけ従動プーリ42を駆動ローラ41側に移動させ、駆動ローラ41の回転駆動によって長尺可撓性樹脂管Pが第1ガイド手段5a側に送られるとともに、それに伴い従動プーリ42がスリップなく従動するようになる。
また、同時に第1ガイド手段5aおよび第2ガイド手段5bの油圧シリンダ53が作動して管径に応じた距離だけ従動プーリ52を従動ローラ51側に移動させ、送り出し手段4による長尺可撓性樹脂管Pの送り出しに伴って、従動プーリ52および従動ローラ51が従動するようになる。
そして、長尺可撓性樹脂管Pは、巻き癖に応じた曲率半径をほぼ保った湾曲形状に保たれた状態、すなわち、捩れがない状態で送り出し手段4、第1ガイド5aおよび第2ガイド手段5bによって支持された状態を保つ。
一方、切断機6は、切断刃61が油圧シリンダ62のピストンが縮退した状態(以下「刃初期状態」と記す)に配置され、第1受け部材7aは、第1管受け面71が第1ガイド手段5aおよび第2ガイド手段5b間で支持された長尺可撓性樹脂管Pの下端にほぼ触れるような近接位置に配置される。
第2管受け部材7bは、油圧シリンダ74のピストンが縮退した状態(以下「初期状態」と記す)に配置される。
【0042】
(4)操作盤の予備切断スイッチ(図示せず)を押す。
切断スイッチを押すことによって、第2管受け部材7bが油圧シリンダ74の作動によって長尺可撓性樹脂管Pにほぼ接触する位置まで進出するとともに、切断機6の切断刃61が油圧シリンダ62の作動により第2管受け部材7b方向に進出し、長尺可撓性樹脂管Pを予備切断する。
すなわち、切断刃61は、まず、刃部61aの刃先側が長尺可撓性樹脂管Pの壁面に当接し、第2管受け部材7b側に進出するのにともない、長尺可撓性樹脂管P
を刃部61aで切断していくが
、刃部61aが刃先から刃元に向かって下方に傾斜するので、切断刃61が第2管受け部材7b側に進出するにつれ刃部61aの傾斜によって長尺可撓性樹脂管Pの切断残部が第1管受け面71側に押圧される。したがって、長尺可撓性樹脂管Pが切断に伴って浮き上がったり位置ずれしたりすることなく切断位置の管本体の中心軸にほぼ長尺可撓性樹脂管Pの曲率半径の接線に直交する切断面に切断される。
しかも、長尺可撓性樹脂管Pの切断刃進出方向の動きも第2管受け部材7bによって規制され、より確実に管本体の中心軸に直交する切断面に切断される。
なお、上記ほぼ長尺可撓性樹脂管Pの曲率半径の接線に直交するとは、可撓性樹脂管P1を施工現場で継手に接続する場合に接続可能な程度の傾斜状態を含むことを意味する。
【0043】
(5)制御盤で測長長さ(得ようとする可撓性樹脂管P1の長さ)をセットしたのち、切断スイッチ(図示せず)を押す。
予備切断スイッチが押されると、モータ44が駆動して駆動ローラ41が回転駆動し、送り出し手段4によってサプライ装置2側の長尺可撓性樹脂管Pが引き出されながら第1ガイド手段5aおよび第2ガイド手段5bを経て巻き取り機3側に送り出される。同時に、ロータリーエンコーダ45により測長が開始される。
【0044】
(6)制御盤で巻き取り機3の電源スイッチ(図示せず)を入れ、巻き取り機3を回転させるとともに、第2ガイド手段5bを経て送り出されてきた長尺可撓性樹脂管Pの端部を係止部(図示せず)に係止させ、送り出されてくる長尺可撓性樹脂管Pを順次巻き込ませる。
【0045】
(7)ロータリーエンコーダ45によって測長された長さが設定長さに達すると、自動的にモータ44が停止するとともに、巻き取り機3も停止する。なお、測長は、従動プーリ42と切断刃61の切断位置までの長さが固定値として予め制御装置に入力されており、可撓性樹脂管Pの長さが、切断刃61の刃本体51によって予備切断された長尺可撓性樹脂管Pの端縁部を始点として測定されるようになっている。
【0046】
(8)制御盤の切断スイッチ(図示せず)を押す。
切断スイッチが押されることによって予備切断と同様にして長尺可撓性樹脂管Pが切断刃61によって切断され、切断刃61から巻き取り機3側に設定された長さの可撓性樹脂管P1が残る。
なお、切断刃61は切断完了後、自動的に刃初期状態に戻り、第2管受け部材7bも初期状態に戻る。
【0047】
(9)再び制御盤で巻き取り機3をで巻き取り機3の電源スイッチ(図示せず)を入れ、巻き取り機3を回転させ可撓性樹脂管P1の巻き取り機3に巻き取られていない部分を巻き取り機3に巻き取って巻物状にして結束する。
【0048】
(10)サプライ装置2側に巻物状態の長尺可撓性樹脂管Pが残っている限り、(6)〜(9)の工程を繰り返し、つぎつぎに設定された長さの可撓性樹脂管P1を得る。
【0049】
この切断装置Aは、上記のように、第1受け部材7aが昇降し、切断される長尺可撓性樹脂管の外径が変わってもつねに切断刃61によって長尺可撓性樹脂管Pが切断される際に長尺可撓性樹脂管Pがずれ動かないように、また、長尺可撓性樹脂管Pに切断を阻害するようない変形を与えずに下端が第1受け部材7aの第1管受け面71に常に受けられた状態に保持される。また、長尺可撓性樹脂管Pは、巻き癖の曲率半径を保った状態に第1ガイド手段5aおよび第2カイド手段5bに支持され、切断刃61が水平方向に移動するので、巻き癖があっても、切断位置で刃先が切断位置の長尺可撓性樹脂管Pの曲率半径の接線に直交するように切断を開始する。そして、切断刃61の刃部61aが傾斜しているので、切断刃61の第2管受け部材7b側への進出に伴って、長尺可撓性樹脂管Pの切断残部を第1受け部材7aの第1管受け面71に押し付けながら切断していく。したがって、長尺可撓性樹脂管Pが可撓管本体の周囲に保温材を備えたものであっても、ずれ動くことなく切断される。すなわち、巻き癖の曲率半径の接線に直交する切断面を備えた可撓性樹脂管P1を安定して得ることができる。
また、第1受け部材7aが昇降可能で第2管受け部材7bが切断刃61方向に進退自在になっているので、管径の異なるいろいろな長尺可撓性樹脂管Pを巻き癖の曲率半径の接線に直交する切断面を備えた可撓性樹脂管P1に切断することができる。
【0050】
本発明は、上記の実施の形態に限定されない。例えば、上記の実施の形態では、駆動ローラ対の従動ローラの回転軸の回転をロータリーエンコーダによって計測することによって、長尺可撓性樹脂管の長さを測長するようになっていたが、駆動ローラをステッピングモータで回転駆動するようにすれば、従動ローラ側にエンコーダを設けなくともよい。すなわち、ステッピングモータの回転数で長尺可撓性樹脂管の長さを測長することができる。
上記の実施の形態では、巻物形態の長尺可撓性樹脂管を設定長さの可撓性樹脂管に切断するようにしていたが、長尺可撓性樹脂管の成形装置に隣接して上記切断装置本体を配置し、押出成形されてくる長尺可撓性樹脂管を直接切断し、設定された長さの可撓性樹脂管を得るようにしても構わない。
【0051】
上記の実施の形態では巻き取り機を備えていたが、巻き取り機はなくても構わない。
上記の実施の形態では、管受け部が、第1受け部材と第2受け部材との個別に管受け面が移動する構成となっていたが、例えば、側面視L字形の第1受け部材と第2受け部材とが一体化されたような形状としても構わない。
【0052】
上記の実施の形態では、第1ガイド手段および第2ガイド手段が、従動ローラと従動プーリとで構成されていたが、従動ローラを用いず、2つの従動プーリで構成しても構わない。