(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0025】
本実施形態では、洗浄剤用樹脂は、下記式(1)に示す第一の構成単位と、下記式(2)で示される第二の構成単位とを有する。
【0027】
式(1)において、二つのRは独立にH又は有機基であり、二つのRが有機基である場合にはこれらのRは相互に結合していてもよい。また式(1)において、R
1はH又はCH
3であり、A
1は
O又はNHであり、B
1はCH
2CONH又は炭素数1〜4のアルキレン基であり、R
2は炭素数1〜4のアルキレン基である。特に、A
1は
Oであり、B
1はCH
2CONH又は炭素数1〜2のアルキレン基であり、R
2は炭素数1〜2のアルキレン基であることが好ましい。
【0029】
式(2)において、R
3はH又はCH
3であり、R
4は炭素数1〜4のアルキレン基であり、R
5は炭素数1〜4のアルキル基又はCH
2C
6H
5であり、A
2はO又はNHであり、XはBr、Cl、I、CH
3SO
4又はCH
3C
6H
4SO
3である。特に、R
4は炭素数2〜4のアルキレン基であり、R
5は炭素数1〜2のアルキル基であり、XはCl又はCH
3SO
4であることが好ましい。
【0030】
このような洗浄剤樹脂を含有する洗浄剤組成物を使用すると、洗浄剤組成物の泡に厚み感(ボリューム)が与えられると共に泡の持続性が向上して泡質を改善する。更に、洗浄剤組成物の泡にすべり感(滑らかさ)が付与されて、洗浄時の感触が改善する。
【0031】
本実施形態において、洗浄剤用樹脂における、第一の構成単位の割合が0.5〜50質量%の範囲であることが好ましく、0.5〜30質量%の範囲であれば更に好ましい。また洗浄剤用樹脂における、第二の構成単位の割合が10〜90質量%の範囲であることが好ましく、40〜90質量%の範囲であれば更に好ましい。更に、洗浄剤用樹脂における、第一の構成単位と第二の構成単位との合計量の割合が、20〜100質量%の範囲であることが好ましい。このように各構成単位の割合が調整されることで、洗浄剤組成物の泡質と洗浄時の感触とが特に改善する。
【0032】
本実施形態において、洗浄剤用樹脂が下記式(3)で示される第三の構成単位を更に有することが好ましい。
【0034】
式(3)において、R
6はH又はCH
3を示し、R
7はH又は炭素数1〜18のアルキル基を示し、A
3はO又はNHを示し、EOはオキシエチレン基を示し、POはオキシプロピレン基を示し、BOはオキシブチレン基を示し、l,m,nの各々は0〜100の整数を示す。特に、l,m,nの各々は0〜30の整数であることが好ましい。
【0035】
尚、EO,PO及びBOは、側鎖中のA
3とR
7との間に存在していれば、結合の順序は特に制限されず、例えばEO,PO及びBOがランダム重合していてもよい。
【0036】
このように洗浄剤樹脂が第三の構成単位を有すると、洗浄剤組成物の使用時における泡のボリューム感又はぬめり感が特に向上し、泡質が更に改善する。
【0037】
洗浄剤用樹脂中の第三の構成単位の割合は、特に制限されないが、1〜80質量%の範囲であることが好ましく、5〜40質量%の範囲であれば更に好ましい。
【0038】
本実施形態において、洗浄剤用樹脂が下記式(4)で示される第四の構成単位を更に有することも好ましい。
【0040】
式(4)において、R
8はH又はCH
3を示し、R
9は炭素数1〜4のアルキレン基を示し、R
10は炭素数1〜4のアルキレン基を示し、二つのR
11は独立に炭素数1〜4のアルキル基を示し、A
4はO又はNHを示す。特に、R
9は炭素数2〜4のアルキレン基であり、R
10は炭素数1〜2のアルキレン基であり、R
11は炭素数1〜2のアルキル基であることが好ましい。
【0041】
このように洗浄剤用樹脂が第四の構成単位を更に有すると、特に洗浄剤用樹脂をシャンプーに配合した場合に、このシャンプーを使用した洗髪時並びにすすぎ時の指通りが向上し、このため使用感が向上する。
【0042】
洗浄剤用樹脂中の第四の構成単位の割合は、特に制限されないが、0〜80質量%の範囲であることが好ましく、5〜50質量%の範囲であれば更に好ましい。
【0043】
尚、洗浄剤用樹脂は、第一から第四の構成単位以外の、種々の構成単位を有してもよい。
【0044】
洗浄剤用樹脂の分子量は特に制限されないが、重量平均分子量が5,000〜1,000,000の範囲であることが好ましい。この場合、洗浄・乾燥後の毛髪の風合いがごわつくことなく、自然な風合いとなる。尚、洗浄剤用樹脂の重量平均分子量は、移動相として水/メタノール/酢酸/酢酸ナトリウム=6/4/0.3/0.41を用い、ポリエチレングリコールを標準物質とするゲル浸透クロマトグラフィーによる測定結果から求められる。
【0045】
本実施形態に係る洗浄剤用樹脂は、例えばこの洗浄剤用樹脂中の構成単位を形成するための不飽和単量体を重合させることにより得られる。
【0046】
洗浄剤用樹脂を合成するための不飽和単量体は、第一の構造単位を形成するための単量体、並びに第二の構造単位を形成するための単量体を含む。
【0047】
第一の構造単位を形成するための単量体(第一の単量体)は、式(1)に示す第一の構成単位に対応するビニル系単量体であればよい。第一の単量体は、例えば次の式(1−1)で表される。
【0049】
式(1−1)において、二つのRは独立にH又は有機基であり、二つのRが有機基である場合にはこれらのRは相互に結合していてもよい。また式(1)において、R
1はH又はCH
3であり、A
1は
O又はNHであり、B
1はCH
2CONH又は炭素数1〜4のアルキレン基であり、R
2は炭素数1〜4のアルキレン基である。
【0050】
第一の単量体の具体例としては、N−(2−メタクリロイルオキシエチル)エチレンウレア、N−(メタクリロイルオキシアセトアミドエチレン)N,N’−エチレン尿素等が、挙げられる。
【0051】
第二の構造単位を形成するための単量体(第二の単量体)は、式(2)に示す第二の構成単位に対応するビニル系単量体であればよい。第二の単量体は、例えば次の式(2−1)で表される。
【0053】
式(2)において、R
3はH又はCH
3であり、R
4は炭素数1〜4のアルキレン基であり、R
5は炭素数1〜4のアルキル基又はCH
2C
6H
5であり、A
2はO又はNHであり、XはBr、Cl、I、CH
3SO
4又はCH
3C
6H
4SO
3である。
【0054】
第二の単量体の具体例としては、メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、メタクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、アクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムメチルサルフェート、メタクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウムメチルサルフェート等が挙げられる。
【0055】
第二の単量体は、4級化されることにより式(2−1)に示す構造となり得るビニル系単量体であってもよい。このような第二の単量体(以下、未変性の第二の単量体という)は、例えば次の式(2−2)で表される。
【0057】
未変性の第二の単量体が用いられる場合には、洗浄剤用樹脂を得るにあたり、未変性の第二の単量体を含む不飽和単量体を重合させ、これにより得られた重合体中の未変性の第二の単量体に由来する構成単位を4級化させることにより、第二の構成単位を形成してもよい。この場合、4級化のために使用される化合物(4級化剤)としては、例えば炭素数が1〜12のアルキルクロライド、ジアルキル硫酸、ジアルキルカーボネート、ベンジルクロライド等が挙げられる。
【0058】
このように未変性の第二の単量体が使用されると、予め4級化された単量体が使用される場合よりも、不飽和単量体の重合反応が安定化する。
【0059】
洗浄剤用樹脂を合成するための不飽和単量体は、更に第三の構成単位を形成するための単量体(第三の単量体)を含むことが好ましい。
【0060】
第三の単量体は、式(3)に示す第三の構成単位に対応するビニル系単量体であればよい。第三の単量体は、例えば次の式(3−1)で表される。
【0062】
式(3−1)において、R
6はH又はCH
3を示し、R
7はH又は炭素数1〜18のアルキル基を示し、A
3はO又はNHを示し、EOはオキシエチレン基を示し、POはオキシプロピレン基を示し、BOはオキシブチレン基を示し、l,m,nの各々は0〜100の整数を示す。尚、EO,PO及びBOは、側鎖中のA
3とR
7との間に存在していれば、結合の順序は特に制限されず、例えばEO,PO及びBOがランダム重合していてもよい。
【0063】
第三の単量体の具体例としては、ポリエチレングリコール(n=2)(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(n=4.5)(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(n=10)(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(n=6)(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(n=9)(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(n=13)(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール(m=5)テトラメチレングリコール(n=2))(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール(m=6)テトラメチレングリコール(n=10))(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール(m=10)テトラメチレングリコール(n=5))(メタ)アクリレート、ポリ(プロピレングリコール(m=4)テトラメチレングリコール(n=8))(メタ)アクリレート、ポリ(プロピレングリコール(m=7)テトラメチレングリコール(n=6))(メタ)アクリレート、ポリ(プロピレングリコール(m=10)テトラメチレングリコール(n=3))(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(n=2)(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(n=4)(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(n=9)(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、オクトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、オクトキシポリエチレングリコール(n=8)ポリプロピレングリコール(n=6)(メタ)アクリレート等が、挙げられる。
【0064】
洗浄剤用樹脂を合成するための不飽和単量体が、更に第四の構成単位を形成するための単量体(第四の単量体)を含むことも好ましい。
【0065】
第四の単量体は、式(4)に示す第四の構成単位に対応するビニル系単量体であればよい。第四の単量体は、例えば次の式(4−1)で表される。
【0067】
第四の単量体は、両性化されることにより式(4−1)に示す構造となり得るビニル系単量体であってもよい。このような第四の単量体(以下、未変性の第四の単量体という)は、例えば次の式(4−2)で表されるような3級アミノ基含有不飽和単量体が挙げられる。
【0069】
この未変性の第四の単量体の具体例としては、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等が、挙げられる。
【0070】
未変性の第四の単量体が用いられる場合には、予め未変性の第四の単量体を両性化させてもよい。
【0071】
また、洗浄剤用樹脂を得るにあたり、未変性の第四の単量体を含む不飽和単量体を重合させた後、これにより得られた重合体中の未変性の第四の単量体に由来する構成単位を両性化させることにより、第四の構成単位を形成してもよい。この場合、予め両性化された単量体が使用される場合よりも、不飽和単量体の重合反応が安定化する。
【0072】
両性化は適宜に手法によりおこなわれるが、例えば未変性の第四の単量体又は重合体を含む親水性溶媒溶液を窒素気流下で攪拌しながら、この溶液に両性化剤を含む液(水溶液、親水性溶媒溶液、懸濁液等)を滴下し、続いてこの溶液を70〜95℃で2〜10時間加熱することができる。
。
【0073】
両性化剤としては、モノクロロ酢酸、モノブロモプロピオン酸、これらのアルカリ金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩等)、プロピオラクトン等のラクトン類、プロパンサルトン等のサルトン類等が、挙げられる。アルカリ金属塩が使用される場合、両性化により副次的に生成する塩は、必要に応じて濾過、イオン交換等の適宜の手法で除去される。
【0074】
洗浄剤用樹脂を合成するための不飽和単量体は、第一から第四の単量体以外の単量体を含んでいてもよい。この場合、例えばアニオン性不飽和単量体、水酸基含有エチレン性不飽和単量体、カチオン性不飽和単量体、(メタ)アクリルアミド系単量体、これら以外のエチレン性不飽和単量体等のうち、洗浄剤用の樹脂に適用可能な適宜の単量体が使用され得る。このような第一から第四の単量体以外の単量体の具体例としては、アクリロニトリル;酢酸ビニル;スチレン;ビニルピロリドン;アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−t−ブチルアクリルアミド、N−オクチルアクリルアミド、N−t−オクチルアクリルアミド、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸ミリスチル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸パルミチル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸イソステアリル、(メタ)アクリル酸オレイル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸グリシジル等の、(メタ)アクリル酸のエステル類;(メタ)アクリル酸グリセリル等の単官能不飽和単量体等が、挙げられる。
【0075】
洗浄剤用樹脂を得るための不飽和単量体の重合方法は特に制限されず、公知の種々の方法が採用され得るが、特に不飽和単量体を親水性溶媒中、又は水と親水性溶媒とを含む混合溶媒中で、ラジカル重合させることが好ましい。重合法としては、例えば溶液重合法、乳化重合法などが、採用され得る。洗浄剤用樹脂は、ブロック共重合体であってもグラフト共重合体であってもよい。
【0076】
親水性溶媒が用いられる場合、その具体例としては、メタノール、エタノール、2−プロパノールなどの低級アルコール;アセトンなどの低級ケトンなどが挙げられる。これらの溶媒のうち一種のみが用いられても、二種以上が併用されてもよい。
【0077】
不飽和単量体の重合にあたって、重合開始剤が使用されることも好ましい。重合開始剤としては、特に制限されないが、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)2塩酸塩、2,2’−アゾビス(N,N’−ジメチレンイソブチルアミジン)、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素水等が挙げられる。
【0078】
不飽和単量体を重合させる際の反応温度は、不飽和単量体の組成、重合開始剤の種類、溶媒の種類などに依存するが、20〜200℃の範囲が好ましい。反応時間も、不飽和単量体の組成、重合開始剤の種類、溶媒の種類などに依存するが、3〜8時間の範囲であることが好ましい。
【0079】
洗浄剤用樹脂を含有する洗浄剤組成物について、説明する。
【0080】
洗浄剤組成物中の洗浄剤用樹脂の含有割合は、特に制限されないが、0.01〜5質量%の範囲であることが好ましい。
【0081】
洗浄剤組成物は、必要に応じ、洗浄剤用樹脂以外に界面活性剤等の適宜の成分を含有する。
【0082】
例えば、洗浄剤組成物は、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、半極性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤及びカチオン性界面活性剤から選ばれる少なくとも一種の界面活性剤を含有してよい。
【0083】
アニオン性界面活性剤としては、洗浄剤用途、そのうち特に人体に対する用途に適用可能であれば特別な制限はないが、例えば高級脂肪酸塩型界面活性剤、スルホン酸塩型界面活性剤、硫酸エステル塩型界面活性剤、アルキルリン酸エステル塩型界面活性剤が挙げられる。
【0084】
高級脂肪酸塩型界面活性剤としては、例えばC12〜C18の飽和又は不飽和脂肪酸、ヤシ油脂肪酸、硬化ヤシ油脂肪酸、パーム油脂肪酸、硬化パーム油脂肪酸、牛脂脂肪酸、硬化牛脂脂肪酸などの塩(カリウム塩(カリ石ケン素地)、ナトリウム塩(石ケン素地)、トリエタノールアミン塩、アンモニウム塩など)などの脂肪酸石けん;アルキルエーテルカルボン酸塩、N−アシルサルコシン塩、N−アシルグルタミン酸塩などが挙げられる。より具体的には、例えばラウリン酸カリウム、ラウリルエーテルカルボン酸ナトリウム、N−ラウロイルサルコシンナトリウム、N−ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、N−ラウロイルメチル−β−アラニントリエタノールアミンなどが挙げられる。洗浄剤組成物に脂肪酸石けんを含有させるにあたっては、脂肪酸石けんそのものが洗浄剤組成物に配合されても良いし、洗浄剤組成物中に脂肪酸とアルカリがそれぞれ別々に配合されて洗浄剤組成物中で中和されてもよい。
【0085】
スルホン酸塩型界面活性剤としては、例えばN−アシルアミノスルホン酸塩、ポリオキシエチレンスルホコハク酸塩などが挙げられる。より具体的には、例えばN−ココイルメチルタウリンナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸ナトリウムなどが挙げられる。
【0086】
硫酸エステル塩型界面活性剤としては、例えば高級アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩などが挙げられる。
【0087】
アルキルリン酸エステル塩型界面活性剤としては、例えばモノラウリルリン酸トリエタノールアミン、モノラウリルリン酸ジカリウムなどが挙げられる。
【0088】
アニオン性界面活性剤は一種のみが用いられても複数種が用いられてもよい。
【0089】
洗浄剤組成物に配合され得る両性界面活性剤及び半極性界面活性剤としては、洗浄剤用途、そのうち特に人体に対する用途に適用可能であれば特別な制限はないが、例えばイミダゾリン型(アミドアミン型)、アミドアミノ酸塩、カルボベタイン型(アルキルベタイン、アルキルアミドベタイン)等のカルボン酸型両性界面活性剤、スルホベタイン型(アルキルスルホベタイン、アルキルヒドロキシスルホベタイン)、ホスホベタイン型、アシル第3級アミンオキサイド、アシル第3級ホスフォンオキシドなどが挙げられる。カルボン酸型両性界面活性剤としては、より具体的には、イミダゾリン型として、例えばヤシ油アルキル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインなど;アルキルベタインとして、例えばラウリルジメチルアミノ酢酸ベタインなど;アルキルアミドベタインとして、例えばヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタインなどが挙げられる。アルキルスルホベタインとして、例えばヤシ油脂肪酸ジメチルスルホプロピルベタインなどが挙げられる。アルキルヒドロキシスルホベタインとして、例えばラウリルジメチルアミノヒドロキシスルホベタインなどが挙げられる。ホスホベタイン型として、例えばラウリルヒドロキシホスホベタインなどが挙げられる。アシル第3級アミンオキサイドとしては、例えばラウリルジメチルアミンオキサイドなどが挙げられる。アシル第3級ホスフォンオキサイドとしては、例えばラウリルジメチルホスフォンオキサイドなどが挙げられる。
【0090】
洗浄剤組成物に配合され得るノニオン性界面活性剤としては、洗浄剤用途、そのうち特に人体に対する用途に適用可能であれば特別な制限はないが、例えばポリオキシアルキレン付加型ノニオン性界面活性剤、モノあるいはジエタノールアミド型ノニオン性界面活性剤、糖系ノニオン性界面活性剤、グリセリン系ノニオン性界面活性剤などが挙げられる。
【0091】
ポリオキシアルキレン付加型ノニオン性界面活性剤には、一種類のポリオキシアルキレンが付加しているタイプと二種類以上のポリオキシアルキレンが付加しているタイプとがある。具体的には、前者として、例えばポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油などが挙げられ、後者として、例えばポリオキシプロピレン・ポリオキシエチレンラウリルエーテルなどが挙げられる。モノあるいはジエタノールアミド系ノニオン性界面活性剤としては、例えばラウリン酸モノエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、N−ポリヒドロキシアルキル脂肪酸アミドなどが挙げられる。
【0092】
糖系ノニオン性界面活性剤としては、例えば糖エーテル系であるアルキルサッカライド系、糖アミド系、ソルビタン脂肪酸エステル系、ショ糖脂肪酸エステル系などが挙げられる。糖アミド系ノニオン性界面活性剤として、より具体的には、例えばN−メチルラウリルグルカミドなどのN−メチルアルキルグルカミド等が挙げられ、ソルビタン脂肪酸エステル系ノニオン性界面活性剤として、より具体的には、例えばモノイソステアレン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタンなどが挙げられる。ショ糖脂肪酸エステル系ノニオン性界面活性剤として、より具体的には、例えばラウリン酸ショ糖エステル、ショ糖モノステアレート、POPショ糖モノラウレートなどが挙げられる。
【0093】
グリセリン系ノニオン性界面活性剤としては、例えばセスキオレイン酸グリセリン、ポリオキシエチレングリセリルモノステアレートなどのモノグリセリン脂肪酸エステル系ノニオン性界面活性剤、モノイソステアリン酸ポリグリセリル等の脂肪酸エステル型ポリグリセリン系ノニオン性界面活性剤、ポリグリセリル・ポリオキシブチレンステアリルエーテルなどのアルキルエーテル型ポリグリセリン系ノニオン性界面活性剤等が挙げられる。
【0094】
洗浄剤組成物は、本実施形態の効果を損なわない範囲において、更に種々の成分を含有してもよい。例えば洗浄剤組成物は、高級アルコール、シリコーン油などの油分、ラノリン誘導体、蛋白誘導体、水溶性高分子化合物、アクリル樹脂分散液、ビタミンなどの薬剤、殺菌剤、防腐剤、pH調整剤、酸化防止剤、金属封鎖剤、紫外線吸収剤、動植物抽出物又はその誘導体、色素、香料、顔料、無機粉体、ナイロン、ポリエチレンなどのポリマー水不溶性粉体などのうちの一種以上を含有してもよい。これらの成分の洗浄剤組成物中の含有量は、本実施形態の効果を損なわない範囲において適宜調整される。
【0095】
洗浄剤組成物は、例えばペースト状、ゲル状、液体状、固体状等の適宜の性状を備えてもよい。
【0096】
本実施形態に係る洗浄剤組成物を使用すると、泡に厚み感(ボリューム)が与えられると共に泡の持続性が向上して泡質が改善する。更に、洗浄剤組成物の泡にすべり感(滑らかさ)が付与されて、洗浄時の感触が改善する。従って、この洗浄剤組成物は、人体の洗浄用途に特に好適である。
【実施例】
【0097】
以下、本発明の具体的な実施例を示す。但し、本発明はこの実施例に制限されず、種々の設計変更が可能である。
【0098】
尚、以下に使用される「部」及び「%」は、特に明示しない限り全て質量基準であり、また表中に示される各成分の配合量は全て「質量部」で表したものである。
【0099】
[洗浄剤用樹脂の合成]
還流冷却器、温度計、窒素置換用管及び撹拌機が取り付けられた容量1リットルの四つ口フラスコに、各実施例及び比較例において下記表に示す原料、及びエタノールを仕込み、窒素気流下、昇温し、還流状態(約80℃)になったところで、重合開始剤(2,2’−アゾビスイソブチロニトリル)を添加し、4時間かけて重合反応を進行させた。
【0100】
尚、下記表中の原料の詳細は次の通りである。
・MEEU:N−(2−メタクリロイルオキシエチル)エチレンウレア。
・MEU:N−(メタクリロイルオキシアセトアミドエチレン)N,N’−エチレン尿素。
・DMC:メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド。
・MAPTAC:メタクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウムクロライド。
・DMAPAA−Q:アクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウムクロライド。
・PE−350:ポリエチレングリコール(n=8)メタクリレート。
・HEMA:ヒドロキシエチルメタクリレート。
・HEA:ヒドロキシエチルアクリレート。
・M−90G:メトキシポリエチレングリコール(n=9)メタクリレート。
・DPM−A:メトキシジプロピレングリコールアクリレート。
・EHDG−AT:オクトキシジエチレングリコールアクリレート。
・50POEP−800B:オクトキシポリエチレングリコール(n=8)ポリプロピレングリコール(n=6)メタクリレート。
・DMMA:ジメチルアミノエチルメタクリレート。
・DMAEA:ジメチルアミノエチルアクリレート。
・DMAA:N,N−ジメチルアクリルアミド。
・BA:アクリル酸n−ブチル。
・EHMA:メタクリル酸2−エチルヘキシル。
【0101】
続いて、実施例1,2,4並びに比較例1,2では、四つ口フラスコ内の溶液を攪拌しながら、窒素気流下、下記表に示される両性化剤のエタノール溶液を滴下し、続いて溶液を70〜95℃の範囲に保持しながら8時間加熱した。続いてこの溶液から無機塩をろ過により除去した。尚、下記表に示される両性化剤は、次の通りである。
・両性化剤a:モノクロロ酢酸カリウム。
・両性化剤b:モノクロロ酢酸ナトリウム。
・両性化剤c:モノブロモプロピオン酸ナトリウム。
【0102】
また、下記表における両性化比率は、原料中のDMMA及びDMAEAの使用量に対する両性化剤の使用量の割合をモル百分率で示した値である。
【0103】
次に、各実施例及び比較例において、溶液から溶媒を留去した後、水又はエタノールを加えることでこの溶液の溶媒含有量を調整することで、固形分濃度40%の樹脂溶液を得た。
【0104】
[シャンプーの調製及び評価]
(調製)
各実施例及び比較例で得られた樹脂溶液1.25部、POE(n=3)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム10部、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン3部、及び精製水85.75部を配合することで、シャンプーを得た。
【0105】
10人の被験者がこのシャンプーを使用してから、下記評価項目について下記の基準で評点をつけた。10人の被験者の評点の平均値(小数点第一位を四捨五入)を下記表に示す。
【0106】
(泡のボリューム感)
シャンプーを泡立てたときの感触を次のように評価した。
3点:泡に十分ボリュームがあると感じられる(厚み感のある泡)。
2点:泡にややボリュームがあると感じられる(中程度の厚み感の泡)。
1点:泡にボリュームが感じられない(水っぽく薄い泡)。
【0107】
(泡もち)
シャンプーを泡立てたときの泡の持続性を次のように評価した。
3点:十分に泡が持続すると感じられる。
2点:やや泡が持続すると感じられる。
1点:泡が持続すると感じられない。
【0108】
(泡のヌメリ感)
シャンプーを泡立てたときの感触を次のように評価した。
3点:泡にヌメリ感があると感じられる。
2点:泡にややヌメリ感があると感じられる。
1点:泡にヌメリ感が感じられない。
【0109】
(洗髪時指通り)
シャンプーを使用して洗髪を行なったときの、泡立てた状態での指通りの良さを次のように評価した。
3点:ひっかかりなく、スムーズに指が通る。
2点:若干ひっかかり感じるが、さほど気にならない程度。
1点:不快なきしみ感やひっかかりを感じる。
【0110】
(すすぎ時指通り)
シャンプーを使用して洗髪を行なったときの、すすいでる状態での指通りの良さを次のように評価した。
3点:ひっかかりなく、スムーズに指が通る。
2点:若干ひっかかり感じるが、さほど気にならない程度。
1点:不快なきしみ感やひっかかりを感じる。
【0111】
(乾燥後風合い)
シャンプーを使用して洗髪を行なったときの、洗い上がり(乾燥後)の毛髪の風合いを次のように評価した。
4点:サラサラした滑らかな感触。
3点:やや滑らかな感触。
2点:ザラザラした感触。(何もついていないような感触)
1点:ゴワゴワした不快な残り感が感じられる。
【0112】
[ハンドソープの調製及び評価]
(調製)
実施例1〜6及び比較例1〜3の各々で得られた樹脂溶液1.25部、カリ石ケン地10質量部、及び精製水88.75部を配合することで、ハンドソープを得た。
【0113】
10人の被験者がこのハンドソープを使用してから、下記評価項目について下記の基準で評点をつけた。10人の被験者の評点の平均値(小数点第一位を四捨五入)を下記表に示す。
【0114】
(泡のボリューム感)
ハンドソープを泡立てたときに感じられる泡のボリューム感を、10人の被験者が下記の基準で官能評価した。
3:泡に十分ボリュームがあると感じられる(厚み感のある泡)。
2:泡にややボリュームがあると感じられる(中程度の厚み感の泡)。
1:泡にボリュームが感じられない(水っぽく薄い泡)。
【0115】
(すすぎ時残り感)
ハンドソープを使って皮膚を洗った際の、すすぎ時の感触を、10人の被験者が下記の基準で官能評価した。
3:良い。
2:どちらともいえない。
1:悪い。
【0116】
(仕上がり)
ハンドソープを使って皮膚を洗った際の、洗い上がりの感触を、10人の被験者が下記の基準で官能評価した。
4:しっとりした感触。
3:ややしっとりした感触。
2:ややさっぱりした感触。
1:カサカサした感触。
【0117】
【表1】
【0118】
表1に示す結果によると、実施例1〜9では、泡のボリューム感、泡もち、泡のヌメリ感、洗髪時指通り、すすぎ時指通り、及び乾燥後風合いがバランス良く向上している洗浄剤組成物が得られた。