(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
内筒と、前記内筒を同心状に取り囲む外筒と、前記内筒および前記外筒を連結すると共にゴム状弾性体から構成される防振基体と、前記防振基体により前記内筒を挟んで相対する位置に区画されると共にオリフィス流路により互いに連通される2つの液室と、前記液室内にそれぞれ配置されると共に前記内筒および前記外筒の径方向における相対変位を規制するストッパとを備える液封入式防振装置において、
前記内筒または前記防振基体の少なくとも一方の外面に、組付け方向を識別するために形成される本体識別部と、
前記内筒を挟んで相対する位置に配置され前記オリフィス流路を形成する一対のオリフィス形成部材と、
前記一対のオリフィス形成部材の向きを一意的に定める、前記本体識別部と関連付けて前記防振基体に形成される部品識別部とを備え、
前記ストッパは、前記オリフィス形成部材によって前記外筒側に形成される外側ストッパ部と、
前記外側ストッパ部に相対して前記内筒側に形成される内側ストッパ部と、
前記外側ストッパ部の内周面または前記内側ストッパ部の外周面の少なくとも一方に形成されると共にゴム状弾性体から構成されるストッパゴム部とを備え、
前記外側ストッパ部の内周面と前記内側ストッパ部の外周面とが干渉して径方向における相対変位が規制されるものであり、
前記内側ストッパ部の外周面および前記外側ストッパ部の内周面は、前記内筒の軸心を含む面において、前記軸心に対して斜交し荷重の入力方向と平行な直線を対称軸として対称となるように設定され、
前記防振基体は、前記内筒と前記外筒との間に前記液室を形成する円環状の一対の径方向隔壁と、前記一対の径方向隔壁の間を軸方向に連結し前記液室を区画する軸方向隔壁とを備え、
前記一対のオリフィス形成部材は、同一の大きさ及び形状に形成され、前記軸方向隔壁を挟んで互いに軸方向反対向きに配置され、
前記部品識別部は、前記径方向隔壁の軸方向厚さを前記軸方向隔壁に対して非対称とすることを特徴とする液封入式防振装置。
内筒と、前記内筒を同心状に取り囲む外筒と、前記内筒および前記外筒を連結すると共にゴム状弾性体から構成される防振基体と、前記防振基体により前記内筒を挟んで相対する位置に区画されると共にオリフィス流路により互いに連通される2つの液室と、前記液室内にそれぞれ配置されると共に前記内筒および前記外筒の径方向における相対変位を規制するストッパとを備える液封入式防振装置において、
前記内筒または前記防振基体の少なくとも一方の外面に、組付け方向を識別するために形成される本体識別部と、
前記内筒を挟んで相対する位置に配設され前記オリフィス流路を形成する一対のオリフィス形成部材と、
前記一対のオリフィス形成部材の向きを一意的に定める、前記本体識別部と関連付けて前記防振基体に形成される部品識別部とを備え、
前記ストッパは、前記オリフィス形成部材によって前記外筒側に形成される外側ストッパ部と、
前記外側ストッパ部に相対して前記内筒側に形成される内側ストッパ部と、
前記外側ストッパ部の内周面または前記内側ストッパ部の外周面の少なくとも一方に形成されると共にゴム状弾性体から構成されるストッパゴム部とを備え、
前記外側ストッパ部の内周面と前記内側ストッパ部の外周面とが干渉して径方向における相対変位が規制されるものであり、
前記内側ストッパ部の外周面および前記外側ストッパ部の内周面は、前記内筒の軸心を含む面において、前記軸心に対して斜交し荷重の入力方向と平行な直線を対称軸として対称となるように設定され、
前記防振基体は、前記内筒と前記外筒との間に前記液室を形成する円環状の一対の径方向隔壁と、前記一対の径方向隔壁の間を軸方向に連結し前記液室を区画する軸方向隔壁と、前記径方向隔壁から軸方向内側へ向けて突出する軸方向突部とを備え、
前記一対のオリフィス形成部材は、同一の大きさ及び形状に形成され、前記軸方向隔壁を挟んで互いに軸方向反対向きに配置され、
前記部品識別部は、前記軸方向突部の軸方向長さを前記軸方向隔壁に対して非対称とすることを特徴とする液封入式防振装置。
内筒と、前記内筒を同心状に取り囲む外筒と、前記内筒および前記外筒を連結すると共にゴム状弾性体から構成される防振基体と、前記防振基体により前記内筒を挟んで相対する位置に区画されると共にオリフィス流路により互いに連通される2つの液室と、前記液室内にそれぞれ配置されると共に前記内筒および前記外筒の径方向における相対変位を規制するストッパとを備える液封入式防振装置において、
前記内筒または前記防振基体の少なくとも一方の外面に、組付け方向を識別するために形成される本体識別部と、
前記内筒を挟んで相対する位置に配設され前記オリフィス流路を形成する一対のオリフィス形成部材と、
前記一対のオリフィス形成部材の向きを一意的に定める、前記本体識別部と関連付けて前記防振基体に形成される部品識別部とを備え、
前記ストッパは、前記オリフィス形成部材によって前記外筒側に形成される外側ストッパ部と、
前記外側ストッパ部に相対して前記内筒側に形成される内側ストッパ部と、
前記外側ストッパ部の内周面または前記内側ストッパ部の外周面の少なくとも一方に形成されると共にゴム状弾性体から構成されるストッパゴム部とを備え、
前記外側ストッパ部の内周面と前記内側ストッパ部の外周面とが干渉して径方向における相対変位が規制されるものであり、
前記内側ストッパ部の外周面および前記外側ストッパ部の内周面は、前記内筒の軸心を含む面において、前記軸心に対して斜交し荷重の入力方向と平行な直線を対称軸として対称となるように設定され、
前記防振基体は、前記内筒と前記外筒との間に前記液室を形成する円環状の一対の径方向隔壁と、前記一対の径方向隔壁の間を軸方向に連結し前記液室を区画する軸方向隔壁とを備え、
前記一対のオリフィス形成部材は、同一の大きさ及び形状に形成され、前記軸方向隔壁を挟んで互いに軸方向反対向きに配置され、
前記部品識別部は、前記液室の軸方向位置を前記軸方向隔壁に対して非対称とすることを特徴とする液封入式防振装置。
【背景技術】
【0002】
従来より、自動車等の車体に差動装置や車輪等を懸架するために、各種の懸架部材が車体に取り付けられている。その懸架部材を車体に支持固定しつつ有害振動を低減する防振装置として、液封入式防振装置が知られている(例えば特許文献1)。
【0003】
以下、
図11を参照して、液封入式防振装置を用いた懸架部材400の支持構造の一例を説明する。
図11は防振装置401,402に支持される懸架部材400の平面図である。懸架部材は、差動装置(図示せず)が搭載される横長の平板状に形成されたサブフレームであり、車体フレームF(車体)に対して4個の防振装置401,402で四隅が支持されている。防振装置401,402は、懸架部材400の短手方向(
図11矢印L方向)に入力される荷重を受ける。防振装置402に液封入式防振装置が使われている。
【0004】
液封入式防振装置(防振装置402)は、内筒403及び外筒404と、それら内筒403及び外筒404の間を連結するゴム状弾性体から構成される防振基体(図示せず)とを備えている。その防振基体により内筒403と外筒404との間に内筒403を挟んで相対向する一対の液室(図示せず)が形成され、その液室に、内筒403及び外筒404の径方向における相対変位を規制するストッパ(図示せず)が配置されている。
【0005】
防振装置402は、外筒404が懸架部材400側に固定されると共に、荷重の入力方向(
図11矢印L方向)に対して軸心Oを斜めに傾けて内筒403が車体フレームFに固定されている。その結果、内筒403と外筒404との間に振動(荷重)が入力されると、内筒403及び外筒404は軸心Oに対して斜交する方向に相対変位する。軸心Oに対して斜交する方向に内筒403及び外筒404が相対的に過大変位した場合には、ストッパ(図示せず)が干渉して相対変位が規制される。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、添付図面を参照して説明する。まず、
図1から
図7を参照して第1実施の形態について説明する。
図1は液封入式防振装置1の正面図であり、
図2(a)は
図1のII−II線における液封入式防振装置1の断面図であり、
図2(b)は内側ストッパ部および外側ストッパ部62の受圧面Pを示す
図2(a)の要部拡大図である。
図3は
図1のIII−III線における液封入式防振装置1の断面図であり、
図4は
図3のIV−IV線における液封入式防振装置1の断面図である。
【0018】
図1及び
図2(a)に示すように液封入式防振装置1は、車体フレームF(
図11参照)に固定される内筒10と、その内筒10を同心状に取り囲む外筒20と、内筒10と外筒20との間に加硫成形により介設されて内筒10及び外筒20を連結するゴム状弾性体から構成される防振基体50とを備えている。詳細には、外筒20の内周側に中間筒40が設けられると共に、内筒10の外周に径方向内側に向かって陥没する凹陥部11が形成されている。中間筒40と内筒10(凹陥部11)とが加硫接着手段により防振基体50に固着される。一方、外筒20の内周にゴム状弾性体から構成される内周ゴム部30が加硫成形されている。中間筒40の外周に、内周ゴム部30を介して外筒20が嵌着されることで、内筒10と外筒20とが弾性的に結合されている。
【0019】
図2(a)に示すように外筒20は、軸方向に延設されると共に径方向外側に向けて湾曲しつつフランジ状に張り出す張出部21を備えている。内周ゴム部30は、張出部21の内周および湾曲面21bに加硫接着されると共に、軸方向端面が張出部21の軸方向に突出して円環状に形成されている。内周ゴム部30は、軸方向端面が、張出部21の軸方向に突出して内筒10を取り囲むように円環状に形成されているので、内筒10及び外筒20がこじり方向(
図2矢印N方向)に大きく相対変位した場合に、内筒10と内周ゴム部30とを衝突させることができ衝突音を抑制できる。また、湾曲面21bにより内周ゴム部30と外筒20との接着面積を大きくすることができ、内周ゴム部30の接着強度を向上できる。
【0020】
ここで、液封入式防振装置1は、荷重の入力方向(
図11矢印L方向)に対して軸心Oを斜めに傾けて車体フレームFに取着される。そのため、軸心Oと斜交する方向に車体フレームFから荷重が入力されるときには、その軸方向の分力が内筒10及び外筒20に作用する。その軸方向の分力による内筒10及び外筒20の相対変位を防ぐため、張出部21の軸方向外側に突出する内周ゴム部30の軸方向端面を車体フレームFに押し当て、車体フレームFと張出部21との間で内周ゴム部30を挟み付けるようにして、液封入式防振装置1を車体フレームFに固定する。内筒10及び外筒20の軸方向の相対変位を抑制し、防振基体50の軸方向の変位量を小さくできるので、防振基体50の耐久性を向上できる。
【0021】
張出部21は、中間筒40の軸方向外側端部から径方向内側に湾曲面21bが湾入して形成されており、中間筒40の外径より湾曲面21bの内径が小さく設定されている。径方向内側に張り出した湾曲面21bにより、内筒10及び中間筒40に加硫接着された防振基体50が軸方向に変位することを防ぎ、軸方向に変位した防振基体50が外筒20から抜けてしまうことを防止できる。
【0022】
防振基体50は、内筒10及び外筒20の軸方向両側に円環状に形成される一対の径方向隔壁51により液室54,55を形成する。
図3及び
図4に示すように液室54,55は、径方向隔壁51の間を軸方向に連結する軸方向隔壁53により、内筒10を挟んで相対する略対称な2つの液室54,55に区画されている。液室54,55にはエチレングリコール等の不凍液(液体)が封入されており、液室54,55は外筒20と中間筒40との間に形成されたオリフィス流路65(
図3参照)により互いに連通されている。加振振動時において、液室54,55の一方に充填された液体がオリフィス流路65を通って液室54,55の他方に流通するときの粘性抵抗により、良好な減衰作用が発揮される。
【0023】
図2(a)に示すように液室54,55には、内筒10及び外筒20の径方向の過大な相対変形を規制するストッパが配設されている。ストッパは、外筒20側から径方向内側に向かって突出する外側ストッパ部62と、外側ストッパ部62に相対して内筒10側から径方向外側に向かって突出する内側ストッパ部(凸起部12及びストッパゴム部52)とを備えている。
【0024】
内側ストッパ部は、内筒10の軸方向の中央部から径方向外側に向かって突出する凸起部12と、その凸起部12の外周面12aに防振基体50と一体に加硫成形により固着されるストッパゴム部52とを備えて構成されている。凸起部12は、内筒10の軸方向の中央部が軸直角方向外側に膨出し外周面12aが球面状に形成される部位であり、内筒の10の周方向に亘って円環状に形成されている。ストッパゴム部52は、径方向に過大な相対変位があったときに外側ストッパ部62と凸起部12との間に挟まれて衝撃を緩衝するための部材であり、ストッパゴム部52により内側ストッパ部の球面状の外周面52aが形成される。ストッパゴム部52は、内筒10に突設された凸起部12(内側ストッパ部)に設けられているので、防振基体50と一体に加硫形成することができる。
【0025】
なお、凸起部12の軸方向端部12bは、径方向内側に向かう凹状の湾曲面として形成されている。これにより、凸起部12の軸方向端部12bにおけるゴム表面の自由長を長くできるので、こじり入力時に圧縮歪み率が大きくなり易い軸方向端部12bのゴム表面の圧縮歪み率を小さくできる。これにより、こじり入力に対する耐久性を向上できる。また、凸起部12の軸方向端部12bにおいて、凸起部12の外周面12aと凹陥部11の外表面との外径差(外径変化)を大きくできるので、こじり入力時に、ストッパゴム部52と径方向隔壁51との間のゴム表面に外側ストッパ部62が干渉することを防止できる。
【0026】
図4に示すようにストッパゴム部52は、軸方向(
図4紙面垂直方向)に沿う突条状に形成された突起が複数並設されている。これにより、内筒10及び外筒20が軸直角方向に相対変位したときのストッパゴム部52の軸直角方向におけるばね定数を低減できる。
【0027】
図2(a)に戻って説明する。外側ストッパ部62は、金属製や合成樹脂製の剛体で形成されたオリフィス形成部材60に一体に形成されている。外側ストッパ部62は、外筒20の内周側に配置される部材本体61から径方向内側に向かって突設され、径方向内側に向かうにつれ軸方向長が小さくなるように軸方向端面が凹状に湾入形成されている。また、外側ストッパ部62の内周面62aは、軸方向の中央部が内側ストッパ部の外周面52aに相対して軸直角方向に陥没しつつ連続する球面状に形成されている。
【0028】
内筒10を挟んで対峙する一対の外側ストッパ部62は、同一の形状および大きさに形成されている。一方(
図2上側)の外側ストッパ部62は、張出部21近くに配置された部材本体61からストッパゴム部52(内側ストッパ部)を向いて突設され、内周面62aが軸方向の張出部21寄りに偏って位置している。また、他方(
図2下側)の外側ストッパ部62は、張出部21から離れて配置された部材本体61からストッパゴム部52(内側ストッパ部)を向いて突設され、内周面62aが張出部21から遠い位置に偏って位置している。
【0029】
ここで、一対の外側ストッパ部62の内周面62aは、内筒10の軸心Oに対して斜交(90°以外の角度で交差)する直線Sを対称軸として線対称状となるように設定され、内筒10の軸心Oを対称軸として非線対称となるように設定されている。一方、内側ストッパ部の外周面52aは、内筒10の軸心Oを対称軸として線対称状となるように設定され、直線Sを対称軸として非線対称となるように設定されている。換言すると、
図2(b)に示すように、外側ストッパ部62の内周面62a(受圧面P)と直線Sとの交点における内周面62aの接線と直線Sとが直交するように設定されている。
【0030】
これにより、直線Sに沿って加振振動が入力されると、その直線Sを対称軸として線対称状となる内周面62aが、外周面52aに対する荷重の受圧面P(
図2(b)参照)となるので、受圧面Pの面積を十分に確保できる。従って、直線Sに沿って振動が入力されるように液封入式防振装置1を組付け対象物に組付けることで、軸心Oに対して斜交する方向(
図2(a)直線S方向)の相対変位によって干渉する受圧面Pの面積を十分に確保できる。これにより、ストッパ(外周面52a及び内周面62a)の単位面積あたりの荷重が過大になることを抑制できるので、耐久性を向上できる。
【0031】
また、内側ストッパ部(ストッパゴム部52)は、軸方向の中央部が軸直角方向外側に膨出し外周面52aが球面状に形成され、外側ストッパ部62は、軸方向の中央部が内側ストッパ部(ストッパゴム部52)の外周面52aに相対して軸直角方向に陥没しつつ内周面が連続した球面状に形成されている。内筒10及び外筒20がこじり方向に相対変位したときには、球面状に形成された外周面52a及び内周面62aでこじり方向の相対変位を受けるので、ストッパゴム部52を主に剪断変形させることができ、ストッパゴム部52が圧縮変形することを抑制できる。これにより、ストッパゴム部52のこじり方向におけるばね定数を低減できるので、こじり方向における相対変位を効果的に遮断できる。
【0032】
次に
図4から
図6を参照してオリフィス形成部材60について説明する。
図4に示すように、オリフィス形成部材60は、液室54,55を連通するオリフィス流路65を形成するための部材であり、同一の大きさ及び形状に形成された一対のオリフィス形成部材60が内筒10を挟んで外筒20の内側に配置される。
【0033】
図5及び
図6を参照して、外側ストッパ部62が一体に形成されたオリフィス形成部材60について詳細に説明する。
図5はオリフィス形成部材60の斜視図であり、
図6(a)はオリフィス形成部材60の平面図であり、
図6(b)はオリフィス形成部材60の正面図であり、
図6(c)は
図6(b)のVIc−VIc線におけるオリフィス形成部材60の断面図である。
【0034】
図5及び
図6に示すようにオリフィス形成部材60は、湾曲した外周面を有し平面視(
図6(a)参照)して略矩形状に形成される部材本体61と、部材本体61に突設され正面視(
図6(b)参照)して部材本体61から離れるにつれ周方向長が漸次小さくなるように形成された外側ストッパ部62と、部材本体61の周方向両側に連設され正面視(
図6(b)参照)して円弧状に形成される腕部63と、その腕部63の外周面に沿って溝状に開口形成される溝部64とを主に備え、それらが一体に形成されている。
【0035】
部材本体61は、腕部63と共に外筒20の内側に外周面を沿わせて配設される部材であり、部材本体61及び腕部63は、正面視して略半円状に形成されている。腕部63は、部材本体61に対して部材本体61の軸方向(
図6(a)上下方向)の一方側(
図6(a)下側)に位置する軸方向端部61a寄りのずれた位置から軸直角方向(
図6(a)左右方向)の両側に延設されている。溝部64は、外筒20との間でオリフィス流路65(
図3参照)を形成するための部位であり、溝部64の一端64aは部材本体61の外周の軸方向端部61aに開口し、他端64bは腕部63の先端に開口している。外側ストッパ部62は、部材本体61から腕部63の間に延設され、軸方向(
図6(c)左右方向)の他端側(
図6(c)左側)から斜め一方側(
図6(c)右側)に向かって突出している。以上説明したようにオリフィス形成部材60は、軸直角方向に沿う平面に対して非線対称状に形成されており、方向性を有している。
【0036】
図1に戻って、液封入式防振装置1の方向性について説明する。
図1に示すように、外筒20の軸方向端部に位置する張出部21には、対向位置の2箇所に、外周から軸心Oに向かう凹み21aが形成されている。凹み21aは、内筒10を挟んで相対する位置に形成される液室54,55(
図2(a)参照)及びストッパの位置を液封入式防振装置1の外部から識別すると共に、組付け対象物に対して液封入式防振装置1が軸心O回りに回転することを防止するための部位である。
【0037】
径方向隔壁51(防振基体50)の軸方向端面(
図1手前側面)には、凹み21aと軸心Oとを結ぶ直線上(液室54側)に本体識別部51aが形成されている。本体識別部51aは、液封入式防振装置1の方向性、即ち、ストッパの周方向位置と、ストッパの軸方向における位置ずれの方向とを識別するためのマークである。本実施の形態では、本体識別部51aは、ゴム状弾性体から構成される径方向隔壁51(防振基体50)と一体に加硫成形される突起として形成されている。防振基体50を加硫成形するときに液室54,55が形成されるので、防振基体50と一体に本体識別部51aを加硫成形することで、液室54の周方向位置と本体識別部51aの周方向位置とを確実に合致させることができる。
【0038】
次に
図7を参照して、オリフィス形成部材60の配設方法について説明する。
図7は、内筒10を挟んで配設される一対のオリフィス形成部材60の模式側面図である。なお、
図7では、理解を容易にするため。軸方向隔壁53及び防振基体50に加硫接着される中間筒40の図示を省略している。
【0039】
防振基体50に本体識別部51a(
図1参照)を形成した後、内筒10を挟んで径方向隔壁51の間に一対のオリフィス形成部材60を対向配置する。このときは、本体識別部51aを識別しつつ液室54,55にオリフィス形成部材60を定められた向きで、軸方向反対向きに配置する。具体的には、本体識別部51aによって識別される液室54では、本体識別部51aが形成された径方向隔壁51(
図7左側)に本体部材61を近づけてオリフィス形成部材60を配置する。液室55では、本体識別部51aが形成されていない径方向隔壁51(
図7右側)に本体部材61を近づけてオリフィス形成部材60を配置する。
【0040】
次いで、液室54,55に封入する液体の中で、凹み21aと本体識別部51aとの位置を合わせつつ外筒20を被せ、一対のオリフィス形成部材60の腕部63の先端(溝部64の他端64b)が突き合わされるまで外筒20を縮径し、外筒20を嵌着する。これにより、本体識別部51aとストッパ(外側ストッパ部62)の向きとを関連付けた液封入式防振装置1を製造できる。
【0041】
前述のようにオリフィス形成部材60は、腕部63に対し部材本体61が軸方向の一方に偏っており、軸直角方向に沿う平面に対して非線対称状に形成されている。液封入式防振装置1を製造する作業者は、部材本体61の偏りによってオリフィス形成部材60の方向性を識別できる。従って、作業者が、内筒10及び防振基体50に対してオリフィス形成部材60を誤った向きで配置することを防止できる。よって、本体識別部51aとオリフィス形成部材60の向きとを誤りなく関連付けることができる。その結果、作業者は部品識別部(部材本体61)によってオリフィス形成部材60の配設方向を把握することができ、オリフィス形成部材60を内筒10に対して正しく配設できる。
【0042】
また、防振基体50(径方向隔壁51)の外面に、組付け方向を識別するために本体識別部51aが形成されるので、車体フレームF(
図11参照)等の組付け対象物に液封入式防振装置1を組付ける組付け作業者は、本体識別部51aによって組付け方向を把握することができ、正しい組付け方向で液封入式防振装置1を組付け対象物に組付けることができる。組付け作業者が、本体識別部51aを識別して定められた向きで組付け作業を行うことにより、軸心Oに斜交する方向の荷重入力において、ストッパの受圧面Pの面積を確保でき、液封入式防振装置1の耐久性を確保できる。
【0043】
これに対し、組付け作業者が、定められた向きとは異なる向きで液封入式防振装置1を組付け対象物に組付けた場合には、軸心Oに斜交する方向の荷重入力時の受圧面Pの面積が、設定された面積より小さくなるので、ストッパ(外周面52a及び内周面62a)の単位面積あたりの荷重が過大になり、耐久性が低下する。
【0044】
以上のように構成される液封入式防振装置1によれば、液封入式防振装置1の外面に組付け作業者が視認可能な本体識別部51aが形成されているので、組付け対象物への組付け間違いを防止することができ、液封入式防振装置1の耐久性を確保できる。
【0045】
また、一対のオリフィス形成部材60は、同一の大きさ及び形状に形成されており、内筒10を挟んで相対する位置に配設されると共に、互いに軸方向反対向きに配設される。これにより外筒20との間でオリフィス流路65が形成されると共に、外側ストッパ部62が内筒10側を向いて突設される。よって、異なる形状や大きさのオリフィス形成部材を製造する場合と比較して、部品点数を削減できる。
【0046】
次に
図8を参照して第2実施の形態について説明する。第1実施の形態では、防振基体50の径方向隔壁51間の径方向外側端部の軸方向における間隔が、オリフィス形成部材60の部材本体61の軸方向長に対して大きく形成されている場合について説明した。これに対し第2実施の形態では、防振基体150の径方向隔壁151,152間の径方向外側端部の軸方向における間隔と、オリフィス形成部材60の部材本体61の軸方向長とが略同一に形成されている場合について説明する。なお、第1実施の形態で説明した部分と同一の部分については、同一の符号を付して以下の説明を省略する。
図8は第2実施の形態における液封入式防振装置101の軸方向断面図である。
【0047】
図8に示すように液封入式防振装置101において、内筒10及び外筒20を連結すると共に液室54,55を形成する防振基体150は、径方向隔壁151,152の軸方向厚さを異ならせて形成されている。これにより、内筒10を挟んで対向配置される液室54,55の軸方向位置を、2つの液室54,55の間で異ならせている。なお、防振基体150の径方向隔壁151,152間の径方向外側端部の軸方向における間隔と、オリフィス形成部材60の部材本体61の軸方向長とは略同一に設定される。
【0048】
以上のように構成される液封入式防振装置101によれば、液封入式防振装置101を製造する際、内筒10を挟んで径方向隔壁151,152の間に一対のオリフィス形成部材60を対向配置する工程において、液室54,55内に配置するオリフィス形成部材60の向きを一意的に定めることができる。オリフィス形成部材60を液室54,55内に誤った向きで配置した場合には、ストッパゴム部52と外側ストッパ部62とが突き当たるため、防振基体150の外周面からオリフィス形成部材60の部材本体61が径方向外側に突出する。これにより誤配置を発見できる。従って、オリフィス形成部材60の部材本体61及び径方向隔壁151,152を、オリフィス形成部材60の誤配置を防止する部品識別部として機能させることができ、作業者が、内筒10及び防振基体150に対してオリフィス形成部材60を誤った向きで配置することを防止できる。
【0049】
次に
図9を参照して第3実施の形態について説明する。第2実施の形態では、防振基体150の径方向隔壁151,152間の径方向外側端部の軸方向における間隔と、オリフィス形成部材60の部材本体61の軸方向長とが略同一に形成されることで、オリフィス形成部材60誤配置を防止する場合について説明した。これに対し第3実施の形態では、防振基体250の軸方向突部252,253と、オリフィス形成部材260の識別突部262とを干渉させることにより、オリフィス形成部材260の誤配置を防止する場合について説明する。なお、第1実施の形態で説明した部分と同一の部分については、同一の符号を付して以下の説明を省略する。
図9は第3実施の形態における液封入式防振装置201の内筒10を挟んで配設される一対のオリフィス形成部材260の模式側面図である。なお、
図9では、理解を容易にするため。軸方向隔壁53及び防振基体150に加硫接着される中間筒40の図示を省略している。
【0050】
図9に示すように液封入式防振装置201において、内筒10及び外筒20を連結する防振基体250の径方向隔壁251は、軸方向長の異なる軸方向突部252,253が軸方向内側に向けてそれぞれ突設されている。径方向隔壁251間で互いに対向する軸方向突部252,253の軸方向における間隔は、オリフィス形成部材260の腕部63と、その腕部63の軸方向に拡幅形成されると共に部材本体261から延設される識別突部262とをあわせた軸方向長よりわずかに大きめに形成されている。
【0051】
以上のように構成される液封入式防振装置201によれば、液封入式防振装置201を製造する際、内筒10を挟んで径方向隔壁251の間に一対のオリフィス形成部材260を対向配置する工程において、オリフィス形成部材260の向きを一意的に定めることができる。オリフィス形成部材260を誤った向きで配置した場合には、ストッパゴム部52と外側ストッパ部62(図示せず)とが突き当たるため、防振基体250の外周面とオリフィス形成部材260の部材本体261の外周面とを同一面に位置させることができないからである。これにより誤配置を発見できる。従って、オリフィス形成部材260の部材本体261、識別突部262及び軸方向突部252,253を、オリフィス形成部材260の誤配置を防止する部品識別部として機能させることができ、作業者が、内筒10及び防振基体250に対してオリフィス形成部材260を誤った向きで配置することを防止できる。
【0052】
次に
図10を参照して第4実施の形態について説明する。第2実施の形態では、防振基体150の径方向隔壁151,152の軸方向長(厚さ)を異ならせて、径方向隔壁151,152間の径方向外側端部の軸方向における間隔と、オリフィス形成部材60の部材本体61の軸方向長とを略同一に形成する場合について説明した。これに対し第4実施の形態では、防振基体350の径方向隔壁351の軸方向長(厚さ)は同じにして、径方向隔壁351間の径方向外側端部の軸方向における間隔と、オリフィス形成部材60の部材本体61の軸方向長とが略同一に形成される場合について説明する。なお、第1実施の形態で説明した部分と同一の部分については、同一の符号を付して以下の説明を省略する。
図10は第4実施の形態における液封入式防振装置301の軸方向断面図である。
【0053】
図10に示すように液封入式防振装置301において、内筒10及び外筒20を連結すると共に液室54,55を形成する防振基体350は、径方向隔壁351の軸方向厚さは同一であるが、軸方向の間隔を小さくする位置で、内筒10及び外筒20に連結されている。これにより、内筒10を挟んで対向配置される液室54,55の軸方向位置を、2つの液室54,55の間で異ならせている。なお、防振基体350の径方向隔壁351間の径方向外側端部の軸方向における間隔と、オリフィス形成部材60の部材本体61の軸方向長とは略同一に設定される。
【0054】
以上のように構成される液封入式防振装置301によれば、液封入式防振装置301を製造する際、内筒10を挟んで径方向隔壁351の間に一対のオリフィス形成部材60を対向配置する工程において、液室54,55内に配置するオリフィス形成部材60の向きを一意的に定めることができる。オリフィス形成部材60を液室54,55内に誤った向きで配置した場合には、ストッパゴム部52と外側ストッパ部62とが突き当たるため、防振基体350の外周面とオリフィス形成部材60の部材本体61の外周面とを同一面に位置させることができず、誤配置を発見できるからである。従って、オリフィス形成部材60の部材本体61及び径方向隔壁351を、オリフィス形成部材60の誤配置を防止する部品識別部として機能させることができ、作業者が、内筒10及び防振基体350に対してオリフィス形成部材60を誤った向きで配置することを防止できる。
【0055】
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
【0056】
例えば、上記実施の形態で挙げた形状や数値は一例であり、他の形状や数値を採用することは当然可能である。
【0057】
上記各実施の形態では、ストッパゴム部52が、内筒10側に設けられる内側ストッパ部に形成される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、内側ストッパ部のストッパゴム部52を省略して、外筒20側に設けられる外側ストッパ部62にストッパゴム部52を形成することは当然可能である。この場合も、ストッパゴム部52を設けることにより大振動が入力されたときの衝撃を緩衝できるからである。
【0058】
上記各実施の形態では、外側ストッパ部62の内周面62aが軸心Oと斜交する直線Sを対称軸として線対称状となるように設定され、軸心Oを対称軸として非線対称となるように設定される場合について説明した。しかし、これに限られるものではなく、内側ストッパ部の外周面52aを、軸心Oと斜交する直線Sを対称軸として線対称状となるように設定し、軸心Oを対称軸として非線対称となるように設定することは当然可能である。この場合も、直線Sに沿って入力される加振振動における受圧面積を確保できる。
【0059】
なお、軸心Oと斜交する直線Sは、液封入式防振装置1,101,201,301の組付け対象物における荷重の入力方向(軸心Oに対する角度)に応じて適宜設定される。組付け対象物ごとに軸心Oと斜交する直線Sを定め、その直線Sを対称軸として線対称状となるように外側ストッパ部62の内周面62aや内側ストッパ部の外周面52aの形状を設定する。これにより、軸方向に斜交する方向の荷重入力に対する液封入式防振装置1,101,201,301の耐久性を向上できる。
<その他>
<手段>
技術的思想1の液封入式防振装置は、内筒と、前記内筒を同心状に取り囲む外筒と、前記内筒および前記外筒を連結すると共にゴム状弾性体から構成される防振基体と、前記防振基体により前記内筒を挟んで相対する位置に区画されると共にオリフィス流路により互いに連通される2つの液室と、前記液室内にそれぞれ配置されると共に前記内筒および前記外筒の径方向における相対変位を規制するストッパとを備える液封入式防振装置において、前記ストッパは、前記外筒側に形成される外側ストッパ部と、前記外側ストッパ部に相対して前記内筒側に形成される内側ストッパ部と、前記外側ストッパ部の内周面または前記内側ストッパ部の外周面の少なくとも一方に形成されると共にゴム状弾性体から構成されるストッパゴム部とを備え、前記外側ストッパ部の内周面と前記内側ストッパ部の外周面とが干渉して径方向における相対変位が規制されるものであり、前記内側ストッパ部の外周面または前記外側ストッパ部の内周面は、前記内筒の軸心に対して斜交する直線を対称軸として線対称状となるように設定されている。
技術的思想2の液封入式防振装置は、技術的思想1において、前記内側ストッパ部は、軸方向の中央部が軸直角方向外側に膨出し外周面が球面状に形成され、前記外側ストッパ部は、軸方向の中央部が前記内側ストッパ部の外周面に相対して軸直角方向に陥没しつつ内周面が連続した球面状に形成されている。
技術的思想3の液封入式防振装置は、技術的思想1又は2において。前記内筒または前記防振基体の少なくとも一方の外面に、組付け方向を識別するために形成される本体識別部と、前記内筒を挟んで相対する位置に配設され前記オリフィス流路を形成すると共に前記内筒側を向いて前記外側ストッパ部が突設される一対のオリフィス形成部材とを備え、前記一対のオリフィス形成部材は、同一の大きさ及び形状に形成されると共に、前記内筒に対する配設方向を識別するために前記本体識別部と関連付けて形成される部品識別部を備え、互いに軸方向反対向きに配設される。
<効果>
技術的思想1記載の液封入式防振装置によれば、内筒および外筒を連結すると共にゴム状弾性体から構成される防振基体により内筒を挟んで相対する位置に2つの液室が区画され、それら液室がオリフィス流路により互いに連通される。それぞれの液室内に配置されたストッパにより内筒および外筒の径方向における相対変位が規制される。ストッパは外筒側に形成される外側ストッパ部と、外側ストッパ部に相対して内筒側に形成される内側ストッパ部とを備え、外側ストッパ部の内周面または内側ストッパ部の外周面の少なくとも一方にゴム状弾性体から構成されるストッパゴム部が形成される。外側ストッパ部の内周面と内側ストッパ部の外周面とが干渉することで、内筒および外筒の径方向における相対変位が規制される。
内側ストッパ部の外周面または外側ストッパ部の内周面は、内筒の軸心に対して斜交する直線を対称軸として線対称状となるように設定されている。よって、内筒の軸心に対して斜交する直線に沿って振動が入力されるように液封入式防振装置を組付けることで、その直線に対して線対称状となる外周面または内周面を荷重の受圧面にできる。その結果、軸心に対して斜交する方向の相対変位によって干渉する受圧面の面積を十分に確保できる。これにより、ストッパの単位面積あたりの荷重が過大になることを抑制できるので、耐久性を向上できる効果がある。
技術的思想2記載の液封入式防振装置によれば、内側ストッパ部は、軸方向の中央部が軸直角方向外側に膨出し外周面が球面状に形成され、外側ストッパ部は、軸方向の中央部が内側ストッパ部の外周面に相対して軸直角方向に陥没しつつ内周面が連続した球面状に形成される。内筒および外筒がこじり方向に相対変位したときには、球面状に形成された外周面および内周面でこじり方向の相対変位を受けるので、外周面または内周面の少なくとも一方に形成されたストッパゴム部を主に剪断変形させ、ストッパゴム部が圧縮変形することを抑制できる。これにより、ストッパゴム部のこじり方向におけるばね定数を低減できるので、技術的思想1の効果に加え、こじり方向における相対変位を効果的に遮断できる効果がある。
技術的思想3記載の液封入式防振装置によれば、一対のオリフィス形成部材によりオリフィス流路が形成されると共に、外側ストッパ部が内筒側を向いて突設される。その一対のオリフィス形成部材は、同一の大きさ及び形状に形成され、内筒を挟んで相対する位置に配設されると共に、互いに軸方向反対向きに配設されるので、技術的思想1又は2の効果に加え、異なる形状や大きさのオリフィス形成部材を製造する場合と比較して、部品点数を削減できる効果がある。
また、内筒または防振基体の少なくとも一方の外面に、組付け方向を識別するために本体識別部が形成されるので、組付け対象物に液封入式防振装置を組付ける組付け作業者は、本体識別部によって液封入式防振装置の組付け方向を把握することができる。よって、正しい組付け方向で液封入式防振装置を組付け対象物に組付けることができる効果がある。
また、一対のオリフィス形成部材は、部品識別部が、内筒に対する配設方向を識別するために本体識別部と関連付けて形成されている。従って、液封入式防振装置の製造工程において、オリフィス形成部材を内筒に配設する作業を行う作業者は、部品識別部によってオリフィス形成部材の配設方向を把握することができるので、オリフィス形成部材を内筒に対して正しく配設できる効果がある。
従って、組付け対象物に液封入式防振装置を組付ける組付け作業者が、本体識別部を識別して定められた向きで組付け作業を行うことができるので、軸心に斜交する方向の荷重入力において、ストッパの受圧面の面積を確保でき、液封入式防振装置の耐久性を確保できる効果がある。