(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5890759
(24)【登録日】2016年2月26日
(45)【発行日】2016年3月22日
(54)【発明の名称】防煙垂壁の防煙シートコーナー部支持構造および防煙垂壁
(51)【国際特許分類】
A62C 2/06 20060101AFI20160308BHJP
【FI】
A62C2/06 506
【請求項の数】13
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2012-154677(P2012-154677)
(22)【出願日】2012年7月10日
(65)【公開番号】特開2014-14545(P2014-14545A)
(43)【公開日】2014年1月30日
【審査請求日】2015年3月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000148689
【氏名又は名称】株式会社村上開明堂
(73)【特許権者】
【識別番号】511257333
【氏名又は名称】株式会社村上開明堂コンフォーム
(74)【代理人】
【識別番号】100090228
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】深澤 彰彦
(72)【発明者】
【氏名】高嶋 明
(72)【発明者】
【氏名】青山 芳博
【審査官】
飯島 尚郎
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−220508(JP,A)
【文献】
特開平08−044307(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62C 2/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに直交する方向に延在する2辺を有するコーナー部を具える防煙シートの該コーナー部に装着されているコーナー部装着部材と、
互いに直交する方向に延在する2辺を有し、前記防煙シートのコーナー部の周囲に配置されているフレームのコーナー部と、
前記フレームのコーナー部から前記コーナー部装着部材に向けてまたは前記コーナー部装着部材から前記フレームのコーナー部に向けて前記各2辺に対し斜めに配置されている雄ねじ部材、および前記コーナー部装着部材側または前記フレームのコーナー部側に配置されて前記雄ねじ部材がねじ込まれている雌ねじ部材を有し、前記コーナー部装着部材と前記フレームのコーナー部とは前記雄ねじ部材および前記雌ねじ部材を介して相互に連結されており、もって前記雄ねじ部材および前記雌ねじ部材をねじ軸周り方向に相対回転させることにより前記コーナー部装着部材を該ねじ軸に沿った方向に移動させて前記防煙シートのコーナー部の2辺方向のテンションを同時に調整するように構成されている2辺方向テンション同時調整機構と、
前記防煙シートのコーナー部の2辺方向のテンションの差による前記コーナー部装着部材をテンションが強い方向へ引っ張る力により、前記雄雌ねじ部材と前記フレームとの間もしくは前記雄雌ねじ部材と前記コーナー部装着部材との間または前記雄雌ねじ部材と前記フレームとの間および前記雄雌ねじ部材と前記コーナー部装着部材との間で相対移動を生じさせて該コーナー部装着部材を前記フレームに対し該テンションが強い方向へ移動させることにより、前記雄雌ねじ部材の相対回転による前記コーナー部装着部材の前記ねじ軸に沿った方向の移動のうち前記テンションが強い方向の反対方向への移動成分を打ち消すことにより前記防煙シートのコーナー部の2辺方向のテンションを調和させるように構成されている2辺方向テンション調和機構と
を具備し、
前記2辺方向テンション調和機構は、前記雄雌ねじ部材と前記フレームとの間もしくは前記雄雌ねじ部材と前記コーナー部装着部材との間または前記雄雌ねじ部材と前記フレームとの間および前記雄雌ねじ部材と前記コーナー部装着部材との間の平行移動により前記相対移動を生じさせるように構成されている防煙垂壁の防煙シートコーナー部支持構造。
【請求項2】
前記2辺方向テンション同時調整機構は、
前記雌ねじ部材が前記コーナー部装着部材にねじ軸周り方向に回転不能に支持されており、
前記雄ねじ部材が前記フレームにねじ軸周り方向に回転可能に支持された機構を有する
請求項1に記載の防煙垂壁の防煙シートコーナー部支持構造。
【請求項3】
互いに直交する方向に延在する2辺を有するコーナー部を具える防煙シートの該コーナー部に装着されているコーナー部装着部材と、
互いに直交する方向に延在する2辺を有し、前記防煙シートのコーナー部の周囲に配置されているフレームのコーナー部と、
前記フレームのコーナー部から前記コーナー部装着部材に向けてまたは前記コーナー部装着部材から前記フレームのコーナー部に向けて前記各2辺に対し斜めに配置されている雄ねじ部材、および前記コーナー部装着部材側または前記フレームのコーナー部側に配置されて前記雄ねじ部材がねじ込まれている雌ねじ部材を有し、前記コーナー部装着部材と前記フレームのコーナー部とは前記雄ねじ部材および前記雌ねじ部材を介して相互に連結されており、もって前記雄ねじ部材および前記雌ねじ部材をねじ軸周り方向に相対回転させることにより前記コーナー部装着部材を該ねじ軸に沿った方向に移動させて前記防煙シートのコーナー部の2辺方向のテンションを同時に調整するように構成されている2辺方向テンション同時調整機構と、
前記防煙シートのコーナー部の2辺方向のテンションの差による前記コーナー部装着部材をテンションが強い方向へ引っ張る力により、前記雄雌ねじ部材と前記フレームとの間もしくは前記雄雌ねじ部材と前記コーナー部装着部材との間または前記雄雌ねじ部材と前記フレームとの間および前記雄雌ねじ部材と前記コーナー部装着部材との間で相対移動を生じさせて該コーナー部装着部材を前記フレームに対し該テンションが強い方向へ移動させることにより、前記雄雌ねじ部材の相対回転による前記コーナー部装着部材の前記ねじ軸に沿った方向の移動のうち前記テンションが強い方向の反対方向への移動成分を打ち消すことにより前記防煙シートのコーナー部の2辺方向のテンションを調和させるように構成されている2辺方向テンション調和機構と
を具備し、
前記2辺方向テンション同時調整機構は、
前記雌ねじ部材が前記コーナー部装着部材にねじ軸周り方向に回転不能に支持されており、
前記雄ねじ部材が前記フレームにねじ軸周り方向に回転可能に支持された機構を有する
防煙垂壁の防煙シートコーナー部支持構造。
【請求項4】
前記2辺方向テンション調和機構は、前記フレームのコーナー部の頂点箇所に該コーナー部の2辺を斜めに繋ぐ方向に延在して構成された傾斜部と、該傾斜部に該傾斜部の延在方向に延在して構成された長穴とを有し、
前記雄ねじ部材は、軸部が前記長穴に通された状態で前記雌ねじ部材にねじ込まれており、頭部が前記防煙シートのテンションに抗して該長穴の周囲の前記傾斜部に係止された状態で該傾斜部の延在方向に沿ってスライド可能に配置されている
請求項2または3に記載の防煙垂壁の防煙シートコーナー部支持構造。
【請求項5】
前記コーナー部装着部材は、前記防煙シートのコーナー部に沿って装着されているL字型に屈曲した正面形状を有するL字型部材を具え、
前記雌ねじ部材は該L字型部材と一体に構成されており、
該L字型部材は該L字型の頂点箇所に前記フレームの傾斜部と平行に配置されている傾斜部を有し、
該L字型部材の傾斜部は、前記雌ねじ部材として、前記雄ねじ部材の軸部がねじ込まれているねじ穴を有する
請求項4に記載の防煙垂壁の防煙シートコーナー部支持構造。
【請求項6】
前記2辺方向テンション調和機構は、前記防煙シートのコーナー部の頂点箇所に相当する前記コーナー部装着部材の箇所に該コーナー部の2辺を斜めに繋ぐ方向に延在して構成された傾斜部と、該傾斜部に該傾斜部の延在方向に延在して構成された長穴とを有し、
前記雄ねじ部材は軸部が前記長穴に通された状態で前記雌ねじ部材にねじ込まれており、
前記雌ねじ部材は前記防煙シートのテンションに抗して該長穴の周囲の前記傾斜部に係止された状態で該傾斜部の延在方向に沿ってスライド可能に配置されている
請求項2または3に記載の防煙垂壁の防煙シートコーナー部支持構造。
【請求項7】
互いに直交する方向に延在する2辺を有するコーナー部を具える防煙シートの該コーナー部に装着されているコーナー部装着部材と、
互いに直交する方向に延在する2辺を有し、前記防煙シートのコーナー部の周囲に配置されているフレームのコーナー部と、
前記フレームのコーナー部から前記コーナー部装着部材に向けてまたは前記コーナー部装着部材から前記フレームのコーナー部に向けて前記各2辺に対し斜めに配置されている雄ねじ部材、および前記コーナー部装着部材側または前記フレームのコーナー部側に配置されて前記雄ねじ部材がねじ込まれている雌ねじ部材を有し、前記コーナー部装着部材と前記フレームのコーナー部とは前記雄ねじ部材および前記雌ねじ部材を介して相互に連結されており、もって前記雄ねじ部材および前記雌ねじ部材をねじ軸周り方向に相対回転させることにより前記コーナー部装着部材を該ねじ軸に沿った方向に移動させて前記防煙シートのコーナー部の2辺方向のテンションを同時に調整するように構成されている2辺方向テンション同時調整機構と、
前記防煙シートのコーナー部の2辺方向のテンションの差による前記コーナー部装着部材をテンションが強い方向へ引っ張る力により、前記雄雌ねじ部材と前記フレームとの間もしくは前記雄雌ねじ部材と前記コーナー部装着部材との間または前記雄雌ねじ部材と前記フレームとの間および前記雄雌ねじ部材と前記コーナー部装着部材との間で相対移動を生じさせて該コーナー部装着部材を前記フレームに対し該テンションが強い方向へ移動させることにより、前記雄雌ねじ部材の相対回転による前記コーナー部装着部材の前記ねじ軸に沿った方向の移動のうち前記テンションが強い方向の反対方向への移動成分を打ち消すことにより前記防煙シートのコーナー部の2辺方向のテンションを調和させるように構成されている2辺方向テンション調和機構と
を具備し、
前記2辺方向テンション同時調整機構は、
前記雌ねじ部材が前記フレームにねじ軸周り方向に回転不能に支持されており、
前記雄ねじ部材が前記コーナー部装着部材にねじ軸周り方向に回転可能に支持された機構を有する
防煙垂壁の防煙シートコーナー部支持構造。
【請求項8】
前記2辺方向テンション調和機構は、前記防煙シートのコーナー部の頂点箇所に相当する前記コーナー部装着部材の箇所に該コーナー部の2辺を斜めに繋ぐ方向に延在して構成された傾斜部と、該傾斜部に該傾斜部の延在方向に延在して構成された長穴とを有し、
前記雄ねじ部材は軸部が前記長穴に通されており、
該雄ねじ部材の軸部には前記長穴に通された側でストッパが設けられ、
前記ストッパは前記防煙シートのテンションに抗して前記長穴の周囲の前記傾斜部に係止された状態で、該傾斜部の延在方向に沿ってスライド可能に配置されている
請求項7に記載の防煙垂壁の防煙シートコーナー部支持構造。
【請求項9】
互いに直交する方向に延在する2辺を有するコーナー部を具える防煙シートの該コーナー部に装着されているコーナー部装着部材と、
互いに直交する方向に延在する2辺を有し、前記防煙シートのコーナー部の周囲に配置されているフレームのコーナー部と、
前記フレームのコーナー部から前記コーナー部装着部材に向けてまたは前記コーナー部装着部材から前記フレームのコーナー部に向けて前記各2辺に対し斜めに配置されている雄ねじ部材、および前記コーナー部装着部材側または前記フレームのコーナー部側に配置されて前記雄ねじ部材がねじ込まれている雌ねじ部材を有し、前記コーナー部装着部材と前記フレームのコーナー部とは前記雄ねじ部材および前記雌ねじ部材を介して相互に連結されており、もって前記雄ねじ部材および前記雌ねじ部材をねじ軸周り方向に相対回転させることにより前記コーナー部装着部材を該ねじ軸に沿った方向に移動させて前記防煙シートのコーナー部の2辺方向のテンションを同時に調整するように構成されている2辺方向テンション同時調整機構と、
前記防煙シートのコーナー部の2辺方向のテンションの差による前記コーナー部装着部材をテンションが強い方向へ引っ張る力により、前記雄雌ねじ部材と前記フレームとの間もしくは前記雄雌ねじ部材と前記コーナー部装着部材との間または前記雄雌ねじ部材と前記フレームとの間および前記雄雌ねじ部材と前記コーナー部装着部材との間で相対移動を生じさせて該コーナー部装着部材を前記フレームに対し該テンションが強い方向へ移動させることにより、前記雄雌ねじ部材の相対回転による前記コーナー部装着部材の前記ねじ軸に沿った方向の移動のうち前記テンションが強い方向の反対方向への移動成分を打ち消すことにより前記防煙シートのコーナー部の2辺方向のテンションを調和させるように構成されている2辺方向テンション調和機構と
を具備し、
前記2辺方向テンション同時調整機構は、
前記雄ねじ部材が前記コーナー部装着部材にねじ軸周り方向に回転不能に支持されており、
該雄ねじ部材の軸部が前記フレームに形成されたねじ通し穴に通されており、
前記雌ねじ部材が前記ねじ通し穴を通して前記フレームの外側に突出する前記雄ねじ部材の軸部にねじ込まれており、かつ前記防煙シートのテンションに抗して前記ねじ通し穴の周囲の前記フレームに係止されている
防煙垂壁の防煙シートコーナー部支持構造。
【請求項10】
前記2辺方向テンション調和機構は、前記フレームのコーナー部の頂点箇所に該コーナー部の2辺を斜めに繋ぐ方向に延在して構成された傾斜部を有し、
前記ねじ通し穴は該傾斜部に該傾斜部の延在方向に延在して構成された長穴として構成されており、
前記雄ねじ部材は軸部が前記長穴に通されており、
該雄ねじ部材の軸部には前記長穴外側で前記雌ねじ部材がねじ込まれており、
前記雌ねじ部材は前記防煙シートのテンションに抗して前記長穴の周囲の前記傾斜部に係止されており、かつ該傾斜部の延在方向に沿ってスライド可能に配置されている
請求項9に記載の防煙垂壁の防煙シートコーナー部支持構造。
【請求項11】
前記2辺方向テンション調和機構は、前記雄雌ねじ部材と前記フレームとの間もしくは前記雄雌ねじ部材と前記コーナー部装着部材との間または前記雄雌ねじ部材と前記フレームとの間および前記雄雌ねじ部材と前記コーナー部装着部材との間の平行移動により前記相対移動を生じさせるように構成されている請求項7,8,9,10のいずれか1つに記載の防煙垂壁の防煙シートコーナー部支持構造。
【請求項12】
互いに直交する方向に延在する2辺を有するコーナー部を具える防煙シートの該コーナー部に装着されているコーナー部装着部材と、
互いに直交する方向に延在する2辺を有し、前記防煙シートのコーナー部の周囲に配置されているフレームのコーナー部と、
前記フレームのコーナー部から前記コーナー部装着部材に向けてまたは前記コーナー部装着部材から前記フレームのコーナー部に向けて前記各2辺に対し斜めに配置されている雄ねじ部材、および前記コーナー部装着部材側または前記フレームのコーナー部側に配置されて前記雄ねじ部材がねじ込まれている雌ねじ部材を有し、前記コーナー部装着部材と前記フレームのコーナー部とは前記雄ねじ部材および前記雌ねじ部材を介して相互に連結されており、もって前記雄ねじ部材および前記雌ねじ部材をねじ軸周り方向に相対回転させることにより前記コーナー部装着部材を該ねじ軸に沿った方向に移動させて前記防煙シートのコーナー部の2辺方向のテンションを同時に調整するように構成されている2辺方向テンション同時調整機構と、
前記防煙シートのコーナー部の2辺方向のテンションの差による前記コーナー部装着部材をテンションが強い方向へ引っ張る力により、前記雄雌ねじ部材と前記フレームとの間もしくは前記雄雌ねじ部材と前記コーナー部装着部材との間または前記雄雌ねじ部材と前記フレームとの間および前記雄雌ねじ部材と前記コーナー部装着部材との間で相対移動を生じさせて該コーナー部装着部材を前記フレームに対し該テンションが強い方向へ移動させることにより、前記雄雌ねじ部材の相対回転による前記コーナー部装着部材の前記ねじ軸に沿った方向の移動のうち前記テンションが強い方向の反対方向への移動成分を打ち消すことにより前記防煙シートのコーナー部の2辺方向のテンションを調和させるように構成されている2辺方向テンション調和機構と
を具備し、
前記2辺方向テンション調和機構は、前記雄雌ねじ部材と前記フレームとの間および前記雄雌ねじ部材と前記コーナー部装着部材との間の揺動により前記相対移動を生じさせるように構成されている防煙垂壁の防煙シートコーナー部支持構造。
【請求項13】
正面形状が矩形の防煙シートと、
正面形状が矩形の枠を有し該枠に前記防煙シートを配置しているフレームと、
前記防煙シートの四隅のコーナー部にそれぞれ装着されているコーナー部装着部材と、
前記フレームのコーナー部から前記コーナー部装着部材に向けてまたは前記コーナー部装着部材から前記フレームのコーナー部に向けて前記各2辺に対し斜めに配置されている雄ねじ部材、および前記コーナー部装着部材側または前記フレームのコーナー部側に配置されて前記雄ねじ部材がねじ込まれている雌ねじ部材を有し、前記コーナー部装着部材と前記フレームのコーナー部とは前記雄ねじ部材および前記雌ねじ部材を介して相互に連結されており、もって前記雄ねじ部材および前記雌ねじ部材をねじ軸周り方向に相対回転させることにより前記コーナー部装着部材を該ねじ軸に沿った方向に移動させて前記防煙シートのコーナー部の2辺方向のテンションを同時に調整するように構成されている、前記矩形のコーナー部ごとに設けられた2辺方向テンション同時調整機構と、
前記防煙シートのコーナー部の2辺方向のテンションの差による前記コーナー部装着部材をテンションが強い方向へ引っ張る力により、前記雄雌ねじ部材と前記フレームとの間もしくは前記雄雌ねじ部材と前記コーナー部装着部材との間または前記雄雌ねじ部材と前記フレームとの間および前記雄雌ねじ部材と前記コーナー部装着部材との間で相対移動を生じさせて該コーナー部装着部材を前記フレームに対し該テンションが強い方向へ移動させることにより、前記雄雌ねじ部材の相対回転による前記コーナー部装着部材の前記ねじ軸に沿った方向の移動のうち前記テンションが強い方向の反対方向への移動成分を打ち消すことにより前記防煙シートのコーナー部の2辺方向のテンションを調和させるように構成されている、前記矩形のコーナー部ごとに設けられた2辺方向テンション調和機構と
を具備し、
前記フレームに固定装着されたカバーをさらに具え、該カバーの各コーナー部には該コーナー部から工具を差し込んで前記雄ねじ部材または前記雌ねじ部材を操作するための切欠がそれぞれ形成されている防煙垂壁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は可撓性の防煙シートを使用した防煙垂壁において防煙シートのコーナー部を支持する構造および該支持構造を利用した防煙垂壁に関し、防煙シートの1つのコーナー部について1本のねじ部材を配置して該コーナー部の2辺方向のテンションを同時に調整しつつ、該2辺方向のテンションが自動的に調和されるようにして、防煙シートのしわを解消するためのテンションの調整を容易にしたものである。
【背景技術】
【0002】
可撓性の防煙シートを使用した防煙垂壁は、ガラス板を使用した防煙垂壁に比べて、地震等で落下したときの安全性が高い反面、しわが生じて見栄えを悪くする問題がある。下記特許文献1には防煙シートにテンションをかけてしわを解消する技術が開示されている。これは防煙シートの長手方向(水平方向)の両端部を端部保持具にそれぞれ保持し、該両方の端部保持具で防煙シートを長手方向に引っ張ってテンションをかけるとともに、該防煙シートの短手方向(垂直方向)の両端部をレールにそれぞれ保持し、該両レール間に板ばねの両端部を固定し、該板ばねで上下両レール間に拡開する力を作用させて、防煙シートに短手方向のテンションをかけることにより、防煙シートをしわの無い状態に張るようにしたものである。端部保持具で防煙シートを長手方向に引っ張る構造は、防煙シートの左右両辺部にシート取付用筒体を装着し、該シート取付用筒体にボルトを外向きに装着し、該ボルトの軸部を壁面に支持された保持具本体のねじ穴にねじ込んで、防煙シートをシート取付用筒体およびボルトを介して保持具本体に支持する構造で構成される。保持具本体に対するボルトのねじ込み量を調整することにより、防煙シートの長手方向のテンションを調整することができる。ボルトはカバーで覆い隠されており、テンションの調整を行うときはカバーを外してボルトを操作する。
【0003】
下記特許文献2にはシート状物で構成された看板やテント、カーテン、間仕切り等をしわのない状態に張る技術が開示されている。これはシート状物の辺部に沿って適宜の間隔で保持具を装着し、各保持部にボルトを外向きに装着し、ボルトの軸部を架台に支持されたフレームの穴に差し込み、該軸部にナットを装着することにより、シート状物の辺部を保持具およびボルト・ナットを介してフレームに支持したものである。ボルトに対するナットのねじ込み量を調整することにより、シート状物のテンションを調整することができる。ボルト・ナットはカバーで覆い隠されており、テンションの調整を行うときはカバーを外してナットを操作する。
【0004】
下記特許文献3にはポスター用のテンションパネルが開示されている。これはポスターの各コーナー部にL字型のコーナー金具をそれぞれ装着し、ポスターを張る枠を構成するフレームの四隅と各コーナー金具の角とをコイルばねでそれぞれ連結してポスターのコーナー部相互間にテンションをかけることにより、ポスターをしわの無い状態に張るようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−220508号公報(
図1、
図2、
図4)
【特許文献2】特開2003−206651号公報(
図1)
【特許文献3】特開平07−295491号公報(
図1、
図2)
【特許文献4】特願2012−139124号の明細書および図面
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1,2に記載のテンション付与構造によれば、シートのテンションを一方向にしか調整できないので、しわを解消するのが難しかった。特許文献3に記載のテンション付与構造によれば、シートのコーナー部に配置した1本のコイルばねで2辺方向に同時にテンションを付与することができるが、2辺方向のテンションを調和させるのが容易でなく、特に長尺のシートの場合、しわを完全に解消するのは難しかった。
【0007】
本出願人らは先に、防煙シートのしわを解消しやすくした防煙シートのコーナー部の支持構造を特許文献4で提案した。これは防煙シートのコーナー部を2本のねじ部材で防煙シートの2辺方向に個別に引っ張るようにしたものである。これによれば防煙シートのコーナー部を2辺方向に独立に引っ張ることができるので、2辺方向のテンションを調整して防煙シートのしわを解消することができる。しかし特許文献4に記載の構造によれば、防煙シートのテンションを調整するために、1つのコーナー部に2本のねじ部材が必要となるため、しわを解消するためのテンションの調整が面倒であった。
【0008】
この発明は防煙シートの1つのコーナー部について1本のねじ部材を配置して該コーナー部の2辺方向のテンションを同時に調整しつつ、該2辺方向のテンションが自動的に調和されるようにして、防煙シートのしわを解消するためのテンションの調整を容易にした防煙垂壁の防煙シートコーナー部支持構造および防煙垂壁を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明の防煙シートのコーナー部の支持構造は、互いに直交する方向に延在する2辺を有するコーナー部を具える防煙シートの該コーナー部に装着されるコーナー部装着部材と、互いに直交する方向に延在する2辺を有し、前記防煙シートのコーナー部の周囲に配置されるフレームのコーナー部と、前記フレームのコーナー部から前記コーナー部装着部材に向けてまたは前記コーナー部装着部材から前記フレームのコーナー部に向けて前記各2辺に対し斜めに配置される雄ねじ部材、および前記コーナー部装着部材側または前記フレームのコーナー部側に配置されて前記雄ねじ部材がねじ込まれる雌ねじ部材を有し、前記コーナー部装着部材と前記フレームのコーナー部とを前記雄ねじ部材および前記雌ねじ部材を介して相互に連結し、前記雄ねじ部材および前記雌ねじ部材をねじ軸周り方向に相対回転させることにより前記コーナー部装着部材を該ねじ軸に沿った方向に移動させて前記防煙シートのコーナー部の2辺方向のテンションを同時に調整する2辺方向テンション同時調整機構と、前記防煙シートのコーナー部の2辺方向のテンションの差による前記コーナー部装着部材をテンションが強い方向へ引っ張る力により、前記雄雌ねじ部材と前記フレームとの間もしくは前記雄雌ねじ部材と前記コーナー部装着部材との間または前記雄雌ねじ部材と前記フレームとの間および前記雄雌ねじ部材と前記コーナー部装着部材との間で相対移動を生じさせて該コーナー部装着部材を前記フレームに対し該テンションが強い方向へ移動させることにより、前記雄雌ねじ部材の相対回転による前記コーナー部装着部材の前記ねじ軸に沿った方向の移動のうち前記テンションが強い方向の反対方向への移動成分を打ち消すことにより前記防煙シートのコーナー部の2辺方向のテンションを調和させる2辺方向テンション調和機構とを具備してなるものである。これによれば、防煙シートの1つのコーナー部について1本の雄ねじ部材を配置して、該雄ねじ部材と雌ねじ部材とをねじ軸周り方向に相対回転させることにより、2辺方向テンション同時調整機構で該コーナー部の2辺方向のテンションが同時に調整され、2辺方向テンション調和機構で該2辺方向のテンションが自動的に調和されるので、防煙シートのしわを解消するためのテンションの調整を容易に行うことができる。
【0010】
この発明の支持構造において前記2辺方向テンション調和機構は、例えば、前記雄雌ねじ部材と前記フレームとの間もしくは前記雄雌ねじ部材と前記コーナー部装着部材との間または前記雄雌ねじ部材と前記フレームとの間および前記雄雌ねじ部材と前記コーナー部装着部材との間の平行移動により前記相対移動を生じさせるものとすることができる。
【0011】
この発明の支持構造において前記2辺方向テンション同時調整機構は、例えば、前記雌ねじ部材が前記コーナー部装着部材にねじ軸周り方向に回転不能に支持され、前記雄ねじ部材が前記フレームにねじ軸周り方向に回転可能に支持された機構を有するものとすることができる。これによれば雄ねじ部材を雌ねじ部材に対し回転することにより、テンションの調整を行うことができる。この場合前記2辺方向テンション調和機構は、例えば、前記フレームのコーナー部の頂点箇所に該コーナー部の2辺を斜めに繋ぐ方向に延在して構成された傾斜部と、該傾斜部に該傾斜部の延在方向に延在して構成された長穴とを有し、前記雄ねじ部材は、軸部が前記長穴に通されて前記雌ねじ部材にねじ込まれ、頭部が前記防煙シートのテンションに抗して該長穴の周囲の前記傾斜部に係止されて該傾斜部の延在方向に沿ってスライド可能に配置されているものとすることができる。この場合前記コーナー部装着部材は、例えば、前記防煙シートのコーナー部に沿って装着されるL字型に屈曲した正面形状を有するL字型部材を具え、前記雌ねじ部材は該L字型部材と一体に構成され、該L字型部材は該L字型の頂点箇所に前記フレームの傾斜部と平行に配置される傾斜部を有し、該L字型部材の傾斜部は、前記雌ねじ部材として、前記雄ねじ部材の軸部がねじ込まれるねじ穴を有するものとすることができる。また前記2辺方向テンション調和機構は、例えば、前記防煙シートのコーナー部の頂点箇所に相当する前記コーナー部装着部材の箇所に該コーナー部の2辺を斜めに繋ぐ方向に延在して構成された傾斜部と、該傾斜部に該傾斜部の延在方向に延在して構成された長穴とを有し、前記雄ねじ部材は軸部が前記長穴に通されて前記雌ねじ部材にねじ込まれ、前記雌ねじ部材は前記防煙シートのテンションに抗して該長穴の周囲の前記傾斜部に係止されて該傾斜部の延在方向に沿ってスライド可能に配置されているものとすることができる。
【0012】
この発明の支持構造において前記2辺方向テンション同時調整機構は、例えば、前記雌ねじ部材が前記フレームにねじ軸周り方向に回転不能に支持され、前記雄ねじ部材が前記コーナー部装着部材にねじ軸周り方向に回転可能に支持された機構を有するものとすることができる。これによれば雄ねじ部材を雌ねじ部材に対し回転することにより、テンションの調整を行うことができる。この場合前記2辺方向テンション調和機構は、例えば、前記防煙シートのコーナー部の頂点箇所に相当する前記コーナー部装着部材の箇所に該コーナー部の2辺を斜めに繋ぐ方向に延在して構成された傾斜部と、該傾斜部に該傾斜部の延在方向に延在して構成された長穴とを有し、前記雄ねじ部材は軸部が前記長穴に通され、該雄ねじ部材の軸部には前記長穴に通された側でストッパが設けられ、前記ストッパは前記防煙シートのテンションに抗して前記長穴の周囲の前記傾斜部に係止されて、該傾斜部の延在方向に沿ってスライド可能に配置されているものとすることができる。
【0013】
この発明の支持構造において前記2辺方向テンション同時調整機構は、例えば、前記雄ねじ部材が前記コーナー部装着部材にねじ軸周り方向に回転不能に支持され、該雄ねじ部材の軸部が前記フレームに形成されたねじ通し穴に通され、前記雌ねじ部材が前記ねじ通し穴を通して前記フレームの外側に突出する前記雄ねじ部材の軸部にねじ込まれて、前記防煙シートのテンションに抗して前記ねじ通し穴の周囲の前記フレームに係止されるものとすることができる。これによれば雌ねじ部材を雄ねじ部材に対し回転することにより、テンションの調整を行うことができる。この場合前記2辺方向テンション調和機構は、例えば、前記フレームのコーナー部の頂点箇所に該コーナー部の2辺を斜めに繋ぐ方向に延在して構成された傾斜部を有し、前記ねじ通し穴は該傾斜部に該傾斜部の延在方向に延在して構成された長穴として構成され、前記雄ねじ部材は軸部が前記長穴に通され、該雄ねじ部材の軸部には前記長穴外側で前記雌ねじ部材がねじ込まれ、前記雌ねじ部材は前記防煙シートのテンションに抗して前記長穴の周囲の前記傾斜部に係止されて、該傾斜部の延在方向に沿ってスライド可能に配置されているものとすることができる。
【0014】
この発明の支持構造において前記2辺方向テンション調和機構は、例えば、前記雄ねじを前記コーナー部装着部材および前記フレームの両方に対し前記防煙シートに沿った面内で揺動可能に連結する機構を有するものとすることができる。
【0015】
この発明の防煙垂壁は、正面形状が矩形の防煙シートと、正面形状が矩形の枠を有し該枠に前記防煙シートを配置するフレームと、前記防煙シートの四隅のコーナー部にそれぞれ装着されるコーナー部装着部材と、前記フレームのコーナー部から前記コーナー部装着部材に向けてまたは前記コーナー部装着部材から前記フレームのコーナー部に向けて前記各2辺に対し斜めに配置される雄ねじ部材、および前記コーナー部装着部材側または前記フレームのコーナー部側に配置されて前記雄ねじ部材がねじ込まれる雌ねじ部材を有し、前記コーナー部装着部材と前記フレームのコーナー部とを前記雄ねじ部材および前記雌ねじ部材を介して相互に連結し、前記雄ねじ部材および前記雌ねじ部材をねじ軸周り方向に相対回転させることにより前記コーナー部装着部材を該ねじ軸に沿った方向に移動させて前記防煙シートのコーナー部の2辺方向のテンションを同時に調整する、前記矩形のコーナー部ごとに設けられた2辺方向テンション同時調整機構と、前記防煙シートのコーナー部の2辺方向のテンションの差による前記コーナー部装着部材をテンションが強い方向へ引っ張る力により、前記雄雌ねじ部材と前記フレームとの間もしくは前記雄雌ねじ部材と前記コーナー部装着部材との間または前記雄雌ねじ部材と前記フレームとの間および前記雄雌ねじ部材と前記コーナー部装着部材との間で相対移動を生じさせて該コーナー部装着部材を前記フレームに対し該テンションが強い方向へ移動させることにより、前記雄雌ねじ部材の相対回転による前記コーナー部装着部材の前記ねじ軸に沿った方向の移動のうち前記テンションが強い方向の反対方向への移動成分を打ち消すことにより前記防煙シートのコーナー部の2辺方向のテンションを調和させる、前記矩形のコーナー部ごとに設けられた2辺方向テンション調和機構とを具備してなるものである。これによれば、矩形の防煙シートの各コーナー部についてそれぞれ1本の雄ねじ部材を配置して、該雄ねじ部材と雌ねじ部材とをねじ軸周り方向に相対回転させることにより、2辺方向テンション同時調整機構で該コーナー部の2辺方向のテンションが同時に調整され、2辺方向テンション調和機構で該2辺方向のテンションが自動的に調和されるので、防煙シートが長尺であっても比較的容易にしわを解消することができる。
【0016】
この発明の防煙垂壁は、例えば、前記フレームに固定装着されたカバーをさらに具え、該カバーの各コーナー部には該コーナー部から工具を差し込んで前記雄ねじ部材または前記雌ねじ部材を操作する切欠がそれぞれ形成されているものとすることができる。これによればカバーにより意匠性を向上させることができる。またカバーを装着した状態でテンションを調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】4つのコーナー部の全てにこの発明による防煙シートコーナー部支持構造を具えたこの発明による防煙垂壁の実施の形態1を示す正面図(
図2の上側から見た図。ただし
図2に符号32a,32cで示す面を除去した状態で示す)である。
【
図2】
図1の防煙垂壁のI−I矢視模式端面図およびII−II矢視模式端面図である。
【
図3】
図1の防煙垂壁10のコーナー部の構造を示す分解斜視図である。
【
図4】
図3のコーナー部の構造を組み立てた状態を示す斜視図である(カバーを外した状態で示す)。
【
図5】
図3のコーナー部の構造を組み立てた状態を示す正面図である(カバーを外した状態で示す)。
【
図6】
図5のIII−III矢視位置の断面図である(カバーを装着した状態で示す)。
【
図7】
図5のIV−IV矢視位置の断面図である(カバーを装着した状態で示す)。
【
図8】
図1の防煙垂壁においてテンション調整ねじを締め込んでいったときのコーナー部装着部材の移動動作およびテンション調整ねじのスライド動作を示す正面図である。
【
図9】
図8の各工程における防煙シートのしわの状態を示す正面図である。
【
図10】4つのコーナー部のうち第2コーナー部C2にのみこの発明による防煙シートコーナー部支持構造を設置したこの発明による防煙垂壁の実施の形態2を示す正面図である。
【
図11】テンション調整ねじをフレームに対してスライド可能に配置した
図5の構造に代えて、テンション調整ねじをコーナー部装着部材に対してスライド可能に配置した実施の形態を示す正面図である(カバーを外した状態で示す)。
【
図12】
図11のV−V矢視位置の断面図である(カバーを装着した状態で示す)。
【
図13】雌ねじ部材をフレーム側のテンション調整ねじ受け金具に一体に構成した実施の形態を示す正面図である(カバーを外した状態で示す)。
【
図14】
図13のVI−VI矢視位置の断面図である(カバーを装着した状態で示す)。
【
図15】テンション調整ねじをコーナー部装着部材に固定し、テンション調整ねじ受け金具の外側でテンション調整ねじに雌ねじ部材をねじ込むようにした実施の形態を示す正面図である(カバーを外した状態で示す)。
【
図16】
図15のVII−VII矢視位置の断面図である(カバーを装着した状態で示す)。
【
図17】テンション調整ねじをフレームおよびコーナー部装着部材に対して揺動可能に配置した実施の形態を示す正面図である(カバーを外した状態で示す)。
【
図18】
図17のVIII−VIII矢視位置の断面図である(カバーを装着した状態で示す)。
【発明を実施するための形態】
【0018】
《実施の形態1》
この発明の実施の形態1を以下説明する。
図1はこの発明による防煙シートコーナー部支持構造を具えた防煙垂壁10を示す。なお
図1は防煙垂壁10をカバー32(
図2)に対面する面側(
図2の上側)から見たものである。
図1ではカバー32の構造のうち、
図2に符号32a,32cで示す面を除去した状態で示している。防煙垂壁10は正面形状が矩形の防煙シート12と、正面形状が矩形の枠を有し該枠内に防煙シート12を配置したフレーム14を具えている。防煙シート12は4つの辺部24と4つのコーナー部16を具えている。各コーナー部16は互いに直交する方向に延在する2辺24,24の端部どうしの組み合わせで構成される。フレーム14は4つの辺部28と4つのコーナー部20を具えている。各コーナー部20は互いに直交する方向に延在する2辺28,28の端部どうしの組み合わせで構成される。防煙垂壁10の第1乃至第4コーナー部C1〜C4には防煙シート12の四隅のコーナー部16をフレーム14の対面するコーナー部20に連結する構造が構成されている。すなわち防煙シート12の四隅のコーナー部16にはコーナー部装着部材18がそれぞれ装着されている。各コーナー部装着部材18の頂点箇所(防煙シート12のコーナー部16の頂点箇所)はフレーム14の対面するコーナー部20の頂点箇所に、正面から見て防煙垂壁10の縦・横方向に対し45度の角度で渡された1本のテンション調整ねじ22(雄ねじ部材)でそれぞれ連結支持されている。テンション調整ねじ22によるコーナー部装着部材18とフレーム14のコーナー部20との連結構造は4箇所のコーナー部C1〜C4とも同一である。テンション調整ねじ22は軸部がコーナー部装着部材18のねじ穴にねじ込まれ、頭部がフレーム14のコーナー部20に45度の傾斜角度を保ったままスライド(平行移動)可能に支持されている。
【0019】
この実施の形態では防煙垂壁10の第1乃至第4コーナー部C1〜C4の間の辺部S1〜S4には防煙シート12の辺部24をフレーム14の対面する辺部28の対面する位置に連結する構造を配置していないが、そのような連結構造を追加配置することもできる。
【0020】
フレーム14の外周面にはカバー32がビス34によって固定装着されている。防煙垂壁10は前面側から見た寸法が例えば長手方向(
図1の横方向)の長さが1500mm、短手方向(
図1の縦方向)の長さが500mmであり、横方向に長尺である。ここでは第4辺部S4を上側、第2辺部S2を下側に配置して使用するものとする。防煙垂壁10は例えば、従来の防煙垂壁と同様に、屋内の天井に設置されたレールに上辺部S4が吊り下げ支持される。複数の防煙垂壁10を横方向に連結する場合は、隣接する防煙垂壁10,10どうしの突き合わせ面を構成する側辺部S1,S3間に天井から吊り金具を垂直に吊り下げ、該吊り金具の下端部に受け金具を取り付け、隣接する防煙垂壁10,10の下辺部S2,S2の突き合わされる端部どうしを受け金具の凹所で受けて相互に連結する。
【0021】
防煙垂壁10の各部の詳細について説明する。防煙シート12は例えばガラス繊維織物を樹脂フィルムで挟み込んで一体化した可撓性の複合シートで構成される。フレーム14は例えば
図2に示すように、断面コ字型の4本のアルミ型材を該断面コ字の開口をフレーム14の枠が構成する面の一面側(
図2では上面側)に開口させた向きにそれぞれ配置して、正面形状を長四辺形に組んで相互に連結して全体が剛性に構成される。防煙シート12の外周縁部12aはフレーム14の内壁面部14aと外壁面部14bとの間に配置される。つまり防煙シート12の縦方向、横方向の長さaは、フレーム14の外壁面部14bで囲まれた開口部33の長さbよりも短い。これにより防煙シート12を、外壁面部14bに支持して、開口部33内で張った状態に展張することができる。また防煙シート12の縦方向、横方向の長さaは、フレーム14の内壁面部14aで囲まれた開口部35の長さcよりも長い。これにより防煙シート12の外周縁部12aおよびコーナー部装着部材18(
図1)の一面側をフレーム14の内壁面部14aおよび側面部14c(防煙垂壁10の面に平行な面)で覆い隠して、防煙垂壁10の外観を良くすることができる。また防煙シート12の外周縁部12aとフレーム14とが重なり合うので、防煙シート12の周縁部から煙が漏れるのを抑制することができる。
【0022】
カバー32は例えば
図2に示すように、断面L字型に近い断面コ字型の4本のアルミ型材を、該断面コ字の開口をフレーム14の断面コ字の開口に対面させて、フレーム14の外側を取り囲むように配置して、正面形状を長四辺形に組んで相互に連結して全体が剛性に構成される。フレーム14とカバー32とは、相互に重なる外壁面部14b,32bに、両型材の長手方向に適宜の間隔で、外側からビス34(
図1)をねじ込むことにより相互に連結される。カバー32の内壁面部32aで囲まれた開口部37の長さdはフレーム14の内壁面部14aで囲まれた開口部35の長さcと等しい。また相互に対面するフレーム14の内壁面部14aの先端部とカバー32の内壁面部32aの先端部との間には短いギャップg(例えば1〜2mm)が形成され、該ギャップgから防煙シート12が排出されている。これにより防煙シート12の外周縁部12aおよびコーナー部装着部材18(
図1)の他面側をカバー32の内壁面部32aおよび側面部32cで覆い隠して、防煙垂壁10の外観を良くすることができる。また防煙シート12の外周縁部12aとカバー32とが重なり合うので、防煙シート12の周縁部から煙が漏れるのを抑制することができる。防煙垂壁10の厚さeはフレーム14とカバー32を組み合わせた厚さであり、例えば8mmである。
【0023】
防煙垂壁10のコーナー部C1〜C4の構造を
図3に分解して示す。コーナー部装着部材18は断面L字型でかつ正面形状がL字型の引っ張り金具36(L字型部材)と、正面形状がL字型で平板状の押さえ金具38(L字型部材)を具える。引っ張り金具36は上面部36aと立面部36bを有する。上面部36aの上に防煙シート12のコーナー部16を載せて、その上に押さえ金具38を載せて、ビス40を押さえ金具38の穴(ねじ通し穴)42から防煙シート12の穴44に通して引っ張り金具36のねじ穴(雌ねじ)46にねじ込むことにより、防煙シート12のコーナー部16にコーナー部装着部材18が装着される。引っ張り金具36の上面部36aと防煙シート12のコーナー部16の対向面どうし、押さえ金具38と防煙シート12のコーナー部16の対向面どうしのいずれか一方または両方を両面接着テープで接合したうえでビス40で締め付けて装着することもできる。
【0024】
フレーム14のコーナー部20の外壁面部14bには、コーナーの頂点箇所に切欠47が形成されている。外壁面部14bの内周面側には、切欠47を挟んで外壁面部14bの両辺に跨ってテンション調整ねじ受け金具49がビス51によって固定される。テンション調整ねじ受け金具49は、
図5に示すように、1本の平板を長手方向の2箇所で折り曲げて、外壁面部14bに固定される両側の固定部49a,49bと、固定部49a,49b間をフレーム14の縦・横方向に対し45度の傾斜角度で繋ぐ傾斜部49cを形成して構成される。固定部49a,49bにはねじ穴(雌ねじ)53が形成され、傾斜部49cにはその長手方向に沿って長穴(ねじ通し穴)48が形成されている。
図3において、4本のビス51を外壁面部14bの4箇所のねじ通し穴55に通してテンション調整ねじ受け金具49の4箇所のねじ穴53にそれぞれねじ込むことにより、テンション調整ねじ受け金具49は外壁面部14bの内周面側に固定される。このとき傾斜部49cは切欠47に露出した状態となる。
【0025】
引っ張り金具36の立面部36bには
図5に示すようにL字の頂点箇所にL字の縦・横方向に対し45度の傾斜角度で傾斜した傾斜部36cが形成され、傾斜部36cの中央部にはねじ穴(雌ねじ)52が形成されている。すなわち引っ張り金具36には雌ねじ部材が一体化されている。フレーム14の矩形に対し防煙シート12の矩形が傾きなく配置されていれば傾斜部49c,36cは互いに平行に配置される。フレーム14の傾斜部49cの長穴48には切欠47を通して外部からテンション調整ねじ22の軸部22aが自在に差し込まれ、軸部22aはコーナー部装着部材18の引っ張り金具36の立面部36bの傾斜部36cに形成されたねじ穴52にねじ込まれる。これにより、防煙シート12のコーナー部16はコーナー部装着部材18およびテンション調整ねじ22を介してフレーム14のコーナー部20に連結支持される。
【0026】
テンション調整ねじ受け金具49の長穴48の幅(短手方向の長さ)はテンション調整ねじ22の軸部22aの直径よりも広くかつ頭部22bよりも狭い。したがってテンション調整ねじ22は、頭部22bが長穴48の短手方向の両側の傾斜部49cで係止される。これによりコーナー部装着部材18はテンション調整ねじ22のねじ込み量に応じてフレーム14のコーナー部20の頂点箇所に対し接近、離隔可能にテンション調整ねじ受け金具49に支持される。またテンション調整ねじ22は長穴48に沿ってスライド可能にテンション調整ねじ受け金具49に支持される。テンション調整ねじ22を引っ張り金具36のねじ穴52にねじ込んでいくと、コーナー部装着部材18は防煙シート12のテンションに抗してテンション調整ねじ受け金具49に接近する方向に移動し、その結果防煙シート12のテンションは強められる。逆にテンション調整ねじ22を緩めると、コーナー部装着部材18は防煙シート12のテンションによりテンション調整ねじ受け金具49から離れる方向に移動し、その結果防煙シート12のテンションは弱められる。このようにして防煙シート12のテンションが調整される。4箇所のコーナー部20でこの調整を適宜行うことにより、防煙シート12のしわを解消することができる。
【0027】
フレーム14には外側からカバー32が被せられ、カバー32の外側からビス34をカバー32の外壁面部32b(防煙垂壁10の面に直角な面)の穴(ねじ通し穴)56を通してフレーム14の外壁面部14bのねじ穴(雌ねじ)58にねじ込むことにより、フレーム14とカバー32が相互に連結される。カバー32の外壁面部32bには、カバー32の外からテンション調整ねじ22を操作できるように、フレーム14の切欠47と重なる位置に切欠60が形成されている。
【0028】
図3のコーナー部の構造を組み立てた状態を
図4、
図5に示す。また
図5のIII−III矢視位置、IV−IV矢視位置の断面図を
図6、
図7にそれぞれ示す。テンション調整ねじ22を回すとコーナー部装着部材18はフレーム14およびカバー32に対し、
図5に矢印Aで示す方向すなわちテンション調整ねじ22の軸に沿った方向(防煙垂壁10の縦・横方向に対し45度の角度方向)に移動する。またテンション調整ねじ22は長穴48に沿って
図5に矢印Bで示す方向すなわちテンション調整ねじ22の軸に直交する方向(つまりテンション調整ねじ22のねじ軸に沿わない方向)にスライド可能である。
【0029】
以上説明した防煙垂壁10における防煙シート12の展張操作を
図8、
図9を参照して説明する。
図8はテンション調整ねじ22を締め込んでいったときのコーナー部装着部材18の移動動作およびテンション調整ねじ22のスライド動作を示し(
図1の第2コーナー部C2について示すものとする)、
図9は
図8の各工程における防煙シートのしわの状態を示す。なお
図8、
図9はカバー32の図示を省略しているが、テンション調整はカバー32を装着した状態で、フレーム14およびカバー32の切欠47,60からねじ回しを差し込んでテンション調整ねじ22を回転操作して行う。
【0030】
<<工程(i):テンションがかかる前>>
図8(i)はテンション調整ねじ22を長穴48に通してコーナー部装着部材18に連結して防煙垂壁10を組み立てた状態を示す。これは防煙シート12にテンションがかかる前の状態で、防煙シート12には
図9(i)に示すように全体にしわ57が生じている。
【0031】
<<工程(ii):テンションかかり始め>>
この状態からテンション調整ねじ22を締め込んでいくと(4つのコーナー部で均等に締め込んでいく)、
図8(ii)に示すようにテンション調整ねじ22のスライド動作を伴うことなくコーナー部装着部材18は矢印Aで示す方向(テンション調整ねじ22の軸に沿った方向)に移動し、防煙シート12にテンションがかかり始める。その結果防煙シート12には
図9(ii)に示すように長手方向両端部でしわが消え長手方向中央部にしわ57が残った状態となる。このとき防煙シート12の長手方向(左右方向)の両端部で短手方向(上下方向)のテンションが十分に大きく、短手方向(上下方向)の両端部で長手方向(左右方向)のテンションが不十分な状態となっている。すなわちテンション調整ねじ22の締め込みによるコーナー部装着部材18の変位量は長手方向と短手方向で等量となるが、防煙シート12の伸び量に対するテンションの増大の割合は短手方向が長手方向よりも大きいので、短手方向のテンションの方が長手方向のテンションよりも先に大きくなる。
【0032】
<<工程(iii):しわ消失、展張終了>>
この状態から防煙垂壁10の長手方向の一側部で上下2箇所のテンション調整ねじ22をさらに締め込んでいくと、該一端部で防煙シート12は短手方向のテンションがすでに十分に大きくなっているため、短手方向には伸びることができない。その結果テンション調整ねじ22は
図8(iii)に矢印Bで示す方向(テンション調整ねじ22の軸に直交する方向)にスライドし、コーナー部装着部材18は矢印Cに示す方向(防煙垂壁10の長手方向)に移動する。すなわちテンション調整ねじ22を締め込むことによるコーナー部装着部材18の下方への変位は、テンション調整ねじ22が傾斜部49cに沿って左上方にスライドすることにより打ち消されて減少するに対し、テンション調整ねじ22を締め込むことによるコーナー部装着部材18の左方への移動は、テンション調整ねじ22が傾斜部49cに沿って左上方にスライドすることにより増加する。その結果防煙シート12の短手方向のテンションはほぼ一定値に維持されたまま長手方向のテンションが増加して(つまり短手方向と長手方向のテンションが調和されて)、
図9(iii)に示すように防煙シート12の全面からしわが消失する。これで展張操作が終了する。
【0033】
《実施の形態2》
前記実施の形態1では四隅のコーナー部の全てにこの発明による支持構造を適用したが、この発明の防煙垂壁はこれに限らない。
図10の防煙垂壁86は4つのコーナー部C1〜C4のうち第2コーナー部C2にのみこの発明による支持構造を適用したものである。
図10において前記実施の形態1と対応する部分には同一の符号を用いる。各コーナー部C1〜C4のコーナー部装着部材18−1乃至18−4が移動できる方向を
図10に矢印X,Y,X+Yでそれぞれ示す。第4コーナー部C4のコーナー部装着部材18−4は2方向のねじ88,90によってフレーム14に固定され、X,Yいずれの方向にも移動しない。第1コーナー部C1のコーナー部装着部材18−1の上辺はねじ94をフレーム14の上辺に形成された長穴(図示せず)を通してねじ込むことによりフレーム14にX方向に移動可能に支持されている。コーナー部装着部材18−1は、第1コーナー部C1のフレーム14の左辺に支持されたテンション調整ねじ22−1がねじ込まれ、テンション調整ねじ22−1がカバー32に形成された切欠85を通して操作されたときにX方向に移動する。第3コーナー部C3のコーナー部装着部材18−3の右辺はねじ98をフレーム14の右辺に形成された長穴(図示せず)を通してねじ込むことによりフレーム14にY方向に移動可能に支持されている。コーナー部装着部材18−3は、第3コーナー部C3のフレーム14の下辺に支持されたテンション調整ねじ22−3がねじ込まれ、テンション調整ねじ22−3がカバー32に形成された切欠87を通して操作されたときにY方向に移動する。第2コーナー部C2の支持構造は
図1の第2コーナー部C2の支持構造と同じである。展張操作は、はじめにテンション調整ねじ22−1,22−2,22−3を締め込んで前記
図9(ii)に示すように防煙シート12の長手方向両端部でしわが消えた状態にし、さらにテンション調整ねじ22−1,22−2を締め込んで前記
図9(iii)に示すように防煙シート12の全面からしわが消失した状態にする。これで展張操作が終了する。このようにして、
図10の防煙垂壁86によれば、3本のテンション調整ねじ22−1,22−2,22−3により防煙シート12のテンションを調整して、しわを解消することができる。
【0034】
《実施の形態3》
前記実施の形態1ではフレーム14側に長穴48を形成してテンション調整ねじ22をフレーム14に対してスライド可能に配置したが、これに代えて、コーナー部装着部材18側に長穴を形成して、テンション調整ねじ22をコーナー部装着部材18に対しスライド可能に配置することもできる。そのように構成したコーナー部の一例を
図11、
図12に示す。
図12は
図11のV−V矢視位置の断面図である。
図11、
図12において前記各実施の形態と共通する部分には同一の符号を用いる。テンション調整ねじ受け金具49には
図5の長穴48(ねじ通し穴)に代えて丸穴48’(ねじ通し穴)が形成されている。コーナー部装着部材18の引っ張り金具36の傾斜部36cには
図5のねじ穴52に代えて、テンション調整ねじ22が自在に差し込まれる長穴(ねじ通し穴)52’が形成されている。テンション調整ねじ22は丸穴48’から長穴52’に通されて、別途用意された金属プレート84(雌ねじ部材)のねじ穴(雌ねじ)82にねじ込まれる。金属プレート84はテンション調整ねじ22とともに引っ張り金具36の長穴52’に沿ってスライド可能であるが、引っ張り金具36に対し回転不能である。したがって金属プレート84のねじ穴82に対するテンション調整ねじ22のねじ込み量に応じてコーナー部装着部材18は
図11に矢印Aで示す方向に移動し、これにより防煙シート12のテンションを調整することができる。またテンション調整ねじ22はコーナー部装着部材18の長穴52’に差し込まれているため、コーナー部装着部材18はテンション調整ねじ22に対し
図11に矢印Bで示す方向にスライドすることができる。したがって実施の形態1と同様に
図9(ii)から
図9(iii)に至る過程において、コーナー部装着部材18はテンション調整ねじ22の締め込みに伴いテンション調整ねじ22に対しスライドして、防煙シート12の短手方向のテンションをほぼ一定値に維持したまま長手方向のテンションを増加させて防煙シート12の全面からしわを消失させることができる。
【0035】
《実施の形態4》
雌ねじ部材をフレーム側のテンション調整ねじ受け金具49に一体に構成した実施の形態を
図13、
図14に示す。
図14は
図13のVI−VI矢視位置の断面図である。
図13、
図14において前記各実施の形態と共通する部分には同一の符号を用いる。テンション調整ねじ受け金具49には
図11の丸穴48’に代えてねじ穴(雌ねじ)62が構成されている。テンション調整ねじ22の軸部22aはねじ穴62にねじ込まれている。引っ張り金具36の傾斜部36cにはテンション調整ねじ22が自在に差し込まれる長穴(ねじ通し穴)52’が形成されている。テンション調整ねじ22の先端部は長穴52’に通されて、別途用意されたストッパ64が装着される。テンション調整ねじ22を回すとテンション調整ねじ22はテンション調整ねじ受け金具49に対して矢印A方向に移動して防煙シート12の短手、長手両方向のテンションを同時に調整することができる。防煙シート12の短手、長手両方向のテンション差が大きくなると、テンション調整ねじ22は長穴52’に沿ってスライドして防煙シート12の短手方向と長手方向のテンションを調和し、これにより防煙シート12の全面についてしわを解消することができる。
【0036】
《実施の形態5》
テンション調整ねじ22をコーナー部装着部材18に固定し、テンション調整ねじ受け金具49の外側でテンション調整ねじ22に雌ねじ部材をねじ込むようにした実施の形態を
図15、
図16に示す。
図16は
図15のVII−VII矢視位置の断面図である。
図15、
図16において前記各実施の形態と共通する部分には同一の符号を用いる。引っ張り金具36の傾斜部36cにはテンション調整ねじ22’(雄ねじ部材)の一端部が固定されている。テンション調整ねじ22’の他端部はテンション調整ねじ受け金具49の傾斜部49cに形成された長穴48に通されている。長穴48を通ってテンション調整ねじ受け金具49の外側に突出するテンション調整ねじ22にはナット66(雌ねじ66aを有する雌ねじ部材)がねじ込まれている。ナット66を回すと、テンション調整ねじ22’はテンション調整ねじ受け金具49に対して矢印A方向に移動して防煙シート12の短手、長手両方向のテンションを同時に調整することができる。防煙シート12の短手、長手両方向のテンション差が大きくなると、テンション調整ねじ22’は長穴48に沿ってスライドして防煙シート12の短手方向と長手方向のテンションを調和し、これにより防煙シート12の全面についてしわを解消することができる。
【0037】
《実施の形態6》
前記各実施の形態ではテンション調整ねじ22をフレーム14またはコーナー部装着部材18に対し相対的にスライド(平行移動)させてテンション調整を行うようにしたが、スライドに代えてテンション調整ねじ22をフレーム14およびコーナー部装着部材18に対し相対的に揺動(傾動、回動)させてテンション調整を行うこともできる。そのように構成したコーナー部の一例を
図17、
図18に示す。
図18は
図17のVIII−VIII矢視位置の断面図である。
図17、
図18において前記各実施の形態と共通する部分には同一の符号を用いる。テンション調整ねじ受け金具49’の頂点箇所の外周面には半球状の凹所89が形成されている。凹所89内の壁面には長手方向が防煙シート12の面に平行な方向に延在する長穴91が形成されている。凹所89には半球状の摺動体100が凹所89内で摺動自在に収容されている。摺動体100の中心軸上には丸穴(ねじ通し穴)101が形成されている。テンション調整ねじ22は軸部22aが摺動体100の丸穴101および凹所89の長穴91に差し込まれ、頭部22bが摺動体100の頂面100aで係止される。したがってテンション調整ねじ22は、凹所89に対する摺動体100の摺動により、テンション調整ねじ受け金具49’に対して長穴91に沿った方向(
図17に矢印Dで示す方向)に揺動可能にテンション調整ねじ受け金具49’に支持される。コーナー部装着部材18の引っ張り金具36には円柱部材93(雌ねじ部材)が、防煙シート12の面に垂直な軸95の周り方向に回転自在に支持されている。円柱部材93には軸95に直交する方向にねじ穴(雌ねじ)97が形成されている。テンション調整ねじ22の軸部22aは引っ張り金具36の側面に形成された切欠99を通して円柱部材93のねじ穴97にねじ込まれる。円柱部材93はコーナー部装着部材18に対して軸95の周り方向に回転自在なので、コーナー部装着部材18はテンション調整ねじ22に対し
図17に矢印Eで示す方向に揺動可能である。以上の構成により、テンション調整ねじ22を締め付けていくと、
図9(i)から
図9(ii)に至る過程では、テンション調整ねじ22が揺動することなく防煙シート12が張っていき、
図9(ii)から
図9(iii)に至る過程では、テンション調整ねじ22は
図17の矢印Dの左回り方向に揺動して防煙シート12の短手方向と長手方向のテンションを調和し、これにより防煙シート12の全面についてしわを解消することができる。
【0038】
前記実施の形態ではテンション調整ねじ22をコーナー部装着部材18に直接連結したが、ばね構造、リンク構造等を介して連結することもできる。ばね構造を介して連結する場合は、該ばね構造の弾性力により防煙シート12にテンションをかけることもできる。また前記実施の形態では防煙シート12のコーナー部16およびフレーム14のコーナー部20の頂点を角張らせたが、丸みを持たせてもよい。また前記実施の形態1〜5ではテンション調整ねじ22,22’をフレーム14とコーナー部装着部材18のいずれか一方に対してスライド可能に配置したが、フレーム14とコーナー部装着部材18の両方に対してスライド可能に配置することもできる。
【符号の説明】
【0039】
10,86…防煙垂壁、12…防煙シート、14…フレーム、16…防煙シートのコーナー部、18,18−1乃至18−4…コーナー部装着部材(L字型部材)、20…フレームのコーナー部、22,22’…テンション調整ねじ(雄ねじ部材)、22a…雄ねじ部材の軸部、22b…雄ねじ部材の頭部、32…カバー、36,49,66,84,93…雌ねじ部材、36c…コーナー部装着部材の傾斜部、48…フレームの傾斜部に構成された長穴、49c…フレームの傾斜部、52,62,66a,82,97…雌ねじ部材の雌ねじ、52’…コーナー部装着部材の傾斜部の長穴、60…カバーの切欠、64…ストッパ