【実施例】
【0059】
以下、本発明の実施例について説明するが、かかる実施例によって本発明が限定されるものではない。
【0060】
(フィルム試料の作成)
(1)本発明フィルム1(実施例1)
<光反射放射層の配合>
直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)(MI:1.0、密度0.920)に、鉄化合物の微粉末として酸化第2鉄(Fe
2O
3)微粉末(ベンガラ;戸田工業社製「トダカラー160CR」)と、酸化チタン微粉末を配合した。
酸化チタン微粉末の配合量及び鉄化合物の微粉末の含有量は、マルチフィルム単位面積当たり表1に示す量とした。
【0061】
<光吸収層の配合>
光吸収層は光反射層と同じ直鎖状低密度ポリエチレンに、カーボンブラックを8wt%配合した。
【0062】
<フィルム成形>
上記の配合条件のもと、ダイラミ成形法で、光反射放射層を15μm、光吸収層を10μmの厚さに成形し、厚さ25μmの本発明フィルム1を得た。
【0063】
(2)本発明フィルム2(実施例2)
<光放射層の配合>
直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)(MI:1.0、密度0.920)に、鉄化合物の微粉末として酸化第2鉄(Fe
2O
3)微粉末(ベンガラ;戸田工業社製「トダカラー160CR」)を配合した。鉄化合物の微粉末の配合量は、マルチフィルム単位面積当たり表1に示す量とした。
【0064】
<光反射層の配合>
直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)(MI:1.0、密度0.920)に、酸化チタン粉末を配合した。酸化チタン微粉末の配合量は、マルチフィルム単位面積当たり表1に示す量とした。
【0065】
<光吸収層の配合>
直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)(MI:1.0、密度0.920)に、カーボンブラックを8wt%配合した。
【0066】
<フィルム成形>
上記の配合条件のもと、ダイラミ成形法で、光放射層を15μm、光反射層を15μm、光吸収層を10μmの厚さに成形し、厚さ40μmの本発明フィルム2を得た。
【0067】
(3)本発明フィルム3(実施例3)
<光放射層の配合>
鉄化合物の微粉末として黒酸化鉄(Fe
3O
4)微粉末(市販品)を、シリカゾルを主成分とする塗布液に配合した。鉄化合物の微粉末の配合量は、マルチフィルム単位面積当たり表1に示す量とした。
【0068】
<光反射層の配合>
直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)(MI:1.0、密度0.920)に、酸化チタン粉末を配合した。酸化チタン微粉末の配合量は、マルチフィルム単位面積当たり表1に示す量とした。
【0069】
<光吸収層の配合>
直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)(MI:1.0、密度0.920)に、カーボンブラックを8wt%配合した。
【0070】
<フィルム成形>
上記の配合条件のもと、ダイラミ成形法で、光放射層を15μm、光反射層を15μm、光吸収層を10μmの厚さに成形し、厚さ40μmの本発明フィルム3を得た。
【0071】
(4)本発明フィルム4(実施例4)
<光放射層の配合>
鉄化合物の微粉末として黒色の酸化第1鉄(FeO)微粉末(市販品)をシリカゲルを主成分とする塗布液に配合した。鉄化合物の微粉末の配合量は、マルチフィルム単位面積当たり表1に示す量とした。
【0072】
<光反射層の配合>
直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)(MI:1.0、密度0.920)に、酸化チタン粉末を配合した。酸化チタン微粉末の配合量は、マルチフィルム単位面積当たり表1に示す量とした。
【0073】
<光吸収層の配合>
直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)(MI:1.0、密度0.920)に、カーボンブラックを8wt%配合した。
【0074】
<フィルム成形>
光吸収層と光反射層をダイラミ成形し、2層フィルムを成形した。
次いで、上記の光放射層における鉄化合物として酸化第一鉄微粉末を、シリカゾルを主成分とする塗布液に分散させ、その塗布液を光反射層の上に塗布乾燥して、3層構成の本発明フィルム4を作成した。
本発明フィルム4は、光放射層を1μm、光反射層を15μm、光吸収層10μmの厚さであり、全体の厚さは26μmであった。
【0075】
(5)本発明フィルム5(実施例5)
<光放射層の配合>
鉄化合物として黄色の酸化水酸化鉄(FeO(OH))微粉末(尾関社製黄鉄)を、シリカゾルを主成分とする塗布液に配合した。酸化水酸化鉄微粉末の配合量は、マルチフィルム単位面積当たり表1に示す量とした。
【0076】
<光反射層の配合>
直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)(MI:1.0、密度0.920)に、酸化チタン粉末を配合した。酸化チタン微粉末の配合量は、マルチフィルム単位面積当たり表1に示す量とした。
【0077】
<光吸収層の配合>
直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)(MI:1.0、密度0.920)に、カーボンブラックを8wt%配合した。
【0078】
<フィルム成形>
光吸収層と光反射層をダイラミ成形し、2層フィルムを成形した。
次いで、上記の光放射層における鉄化合物として酸化水酸化鉄微粉末(尾関社製黄鉄)を、シリカゾルを主成分とする塗布液に分散させ、その塗布液を光反射層の上に塗布乾燥して、3層構成の本発明フィルム5を作成した。
本発明フィルム5は、光放射層を1μm、光反射層を15μm、光吸収層10μmの厚さであり、全体の厚さは26μmであった。
【0079】
(6)本発明フィルム6(実施例6)
<光反射放射層の配合>
直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)(MI:1.0、密度0.920)に、鉄化合物の微粉末としてチタン酸鉄(FeTiO
3)微粉末(市販品)と、酸化チタン微粉末を配合した。
酸化チタン微粉末の配合量及び鉄化合物の微粉末の含有量は、マルチフィルム単位面積当たり表1に示す量とした。
【0080】
<光吸収層の配合>
光吸収層は光反射層と同じ直鎖状低密度ポリエチレンに、カーボンブラックを8wt%配合した。
【0081】
<フィルム成形>
上記の配合条件のもと、ダイラミ成形法で、光反射放射層を15μm、光吸収層を10μmの厚さに成形し、厚さ25μmの本発明フィルム6を得た。
【0082】
(7)比較フィルム1(従来白黒フィルム:比較例1)
市販の白黒フィルムを用いた。
白色層は、低密度ポリエチレンに、酸化チタン微粉末が配合され、黒色層は、低密度ポリエチレンに、カーボンブラックが配合されていた。
白色層は15μm、黒色層は10μm、全層の厚さは25μmであった。
【0083】
(8)比較フィルム2(従来銀黒フィルム:比較例2)
市販の銀黒マルチを用いた。
銀色層は、低密度ポリエチレンに、アルミニウム微粉末が配合され、アルミニウム微粉末の配合量は、マルチフィルム単位面積当たり300mgであった。
黒色層は、低密度ポリエチレンに、カーボンブラックが配合されていた。
銀色層は15μm、黒色層は10μm、全層の厚さは25μmであった。
【0084】
(9)比較フィルム3(透明マルチ:比較例3)
厚さ20μmの市販の透明ポリエチレンフィルムを用いた。
【0085】
(10)比較フィルム4(黒マルチ:比較例4)
低密度ポリエチレンにカーボンブラックを配合し、これを単層成形法で成形して、厚さ25μmの比較フィルム4を得た。
【0086】
(実験)
それぞれのフィルム(実施例1〜6、比較例1〜4)を、巾lm長さ2mの畝にそれぞれ展張して、地温測定をした。地温は、測定期間中の畝頂部10cm地点の地温をTandD社製「おんどとり」を用いて測定した。測定開始から5日間測定した測定値の平均値を表1に示した。尚、フィルムなしの場合を比較例5とした。
【0087】
また各フィルムについて、波長360nm、450nm、700nmで反射率を測定した。その結果を表1に示す。反射率は、日立分光光度計を用いて測定した。
【0088】
さらにまた、農業作業者の目を眩惑させるか否かについて、以下の方法で測定した。
【0089】
マルチフィルムの展張場所の周囲に、作業者となるモニター10人を配置して、そのモニターが眩惑するか否かを調べ、その人数によって以下の評価を行った。
無:モニター全員が、目を眩惑させることがなかった。
有:モニターの中で、目を眩惑させると感じたものが一人以上いた。
【0090】
【表1】