(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
脊椎ロッドが、開口を含み前記脊椎ロッドと前記骨ネジが、患者の脊椎内にインプラントされる時、送達管と排出導管とが、それを通って骨ネジから患者の皮膚表面に経路をとることができる、請求項5の装置。
前記送達管が、前記ペルチエ装置に電流を供給するための導線を備え、また前記排出管が、前記室から、該ペルチエ装置により発生される熱を除去するように構成されている、請求項15の装置。
更に、生理学的状態および前記骨ネジの温度の少なくとも一つを表すアウトプットを形成するように構成されている少なくとも1基のセンサーと、並びに、冷媒が、前記送達管に提供される流量および、センサーのアウトプットに基づく冷媒の温度、の少なくとも一つを調整するように構成された制御装置と、を備えた、請求項1の装置。
更に、少なくとも、バルーンがその中で骨ネジに前記送達管と前記排出管を連結するための締まりばめを形成する膨張形態、および、前記送達管と前記排出管がその中で骨ネジから分離可能である収縮形態、をもつ連結(coupling)バルーンを備えた、請求項1の装置。
前記送達管への冷媒の適用が、バルーンを膨張形態に維持するために有効であり、また前記送達管からの冷媒の除去が、バルーンを膨張形態から収縮形態に移行させるために有効である、請求項19の装置。
前記送達管が、前記ペルチエ装置に電流を供給するための導線を備え、また前記排出管が、該ペルチエ装置により発生される熱を前記室から除去するように構成されている、請求項29の装置。
更に、生理学的状態およびインプラントの温度の少なくとも一つを示すアウトプットを発生するように構成されている少なくとも1基のセンサーを備え、冷媒がセンサーのアウトプットに基づいて送達管に提供される速度を調整するように前記制御装置が構成されている、請求項32の装置。
更に、少なくとも、バルーンが、そこで前記送達管と前記排出管とをインプラントに連結するための締まりばめを形成する膨張形態および、前記送達管と前記排出管がそこでインプラントから分離可能な収縮形態、をもつ連結バルーンを備えた、請求項21の装置。
前記送達管への冷媒の適用が、バルーンを膨張形態に維持するために有効であり、また、前記送達管からの冷媒の除去が、バルーンを膨張形態から収縮形態へ移行させるために有効である、請求項34の装置。
【図面の簡単な説明】
【0040】
本発明は添付の図面と関連した、以下の詳細な説明から更に完全に理解されるであろう。
【
図1A】
図1Aは、冷却器具を受け入れるためのトランスペディキュラ(transpedicular)穴を含む椎骨の横断面図である。
【
図1B】
図1Bは、その一つが冷却器具を受け入れるための穴を含む2個の椎骨の側面図である。
【
図2】
図2は、
図1の椎骨内に配置され、また冷却材源と制御装置に連結された冷却器具の概略図である。
【
図3A】
図3Aは、脊椎ネジ冷却器具の一つの実施形態の縦断面図である。
【
図3C】
図3Cは、脊椎ネジ冷却器具のその他の実施形態の縦断面図である。
【
図3D】
図3Dは、脊椎ネジ冷却器具のその他の実施形態の縦断面図である。
【
図3E】
図3Eは、脊椎ネジ冷却器具のその他の実施形態の縦断面図である。
【
図3F】
図3Fは、ロッド受け入れ部材に連結された脊椎ネジ冷却器具の側面図である。
【
図3G】
図3Gは、分裂した脊椎ロッドをそれに固定させた、ロッド受け入れ部材に連結された、脊椎ネジ冷却器具の断面図である。
【
図4A】
図4Aは、その中に挿入体を配置された骨ネジの形態の冷却器具のその他の実施形態の縦断面図である。
【
図4B】
図4Bは、片寄った頭部配向を有する脊椎ネジ冷却器具の縦断面図である。
【
図5】
図5は、冷却器具を使用して組織を冷却する工程のフロー図である。
【
図6】
図6は、冷却器具をインプラントするためのトランスラミナ(translaminar)穴を含む椎骨の横断面図である。
【
図7】
図7は、冷却器具をインプラントするための側部に配置された穴を含む椎骨の横断面図である。
【
図8】
図8は、それらの棘突起の間に配置された棘突起スペーサの冷却器具をもつ2個の椎骨の側面図である。
【
図9】
図9は、2個の骨ネジ冷却器具に連結された脊椎ロッド冷却器具の概略図である。
【
図10】
図10は、2個の椎骨および、それらの間に形成された椎間の椎間腔の側面図である。
【
図11】
図11は、2個の椎骨および、椎間腔内に設置された椎間冷却器具の斜視図である。
【
図12A】
図12Aは、椎骨および、椎骨に隣接する椎間腔内に配置された椎間冷却器具の一実施形態の平面図である。
【
図12B】
図12Bは、椎骨および、椎骨に隣接する椎間腔内に配置された椎間冷却器具のその他の実施形態の平面図である。
【
図12C】
図12Cは、椎骨および、椎骨に隣接する椎間腔内に配置された椎間冷却器具のその他の実施形態の平面図である。
【
図12D】
図12Dは、椎骨および、椎骨に隣接する椎間腔内に配置された椎間冷却器具のその他の実施形態の平面図である。
【
図12E】
図12Eは、椎骨および、椎骨に隣接する椎間腔内に配置された椎間冷却器具のその他の実施形態の平面図である。
【
図12F】
図12Fは、椎骨および、椎骨に隣接する椎間腔内に配置された椎間冷却器具のその他の実施形態の平面図である。
【
図13】
図13は、2個の椎骨間の椎間腔内にインプラントされた椎間冷却器具および接続された冷却材源および制御装置の概略図である。
【
図14A】
図14Aは、椎骨および、椎骨に隣接する椎間腔内に配置された椎間冷却器具の一実施形態の平面図である。
【
図14B】
図14Bは、椎骨および、椎骨に隣接する椎間腔内に配置された椎間冷却器具のその他の実施形態の平面図である。
【
図15A】
図15Aは、椎骨および、椎骨に隣接する椎間腔内に配置された椎間冷却器具のその他の実施形態の平面図である。
【
図15B】
図15Bは、椎骨および、椎骨に隣接する椎間腔内に配置された椎間冷却器具のその他の実施形態の平面図である。
【
図15C】
図15Cは、椎骨および、椎骨に隣接する椎間腔内に配置された椎間冷却器具のその他の実施形態の平面図である。
【
図16】
図16は、椎骨および、椎骨に隣接する椎間腔内に配置された椎間冷却器具のその他の実施形態の平面図である。
【
図17】
図17は、椎間冷却器具のその他の実施形態の斜視図である。
【
図18】
図18は、冷却器具を使用して組織を冷却する工程のフロー図である。
【0041】
詳細な説明
本明細書に開示される方法、システムおよび装置の構造、機能、製法および使用法の原理の全体的理解を提供するために、特定の例の実施形態を説明する。これらの実施形態の一つ以上の例が、添付図面に具体的に示される。当業者は、本明細書に特に記載され、添付図に具体的に示される方法、システムおよび装置が、限定されない、代表的実施形態であり、また本発明の範囲が、請求項によってのみ規定されることを理解するであろう。一つの代表的実施形態と関連して例示され、または説明される特徴物は、その他の実施形態
の特徴物と組み合わせることができる。このような修飾および変更は、本発明の範囲内に含まれることが意図される。
【0042】
以下の説明においては、主として、脊髄を含む脊柱管中およびその周辺組織を冷却する方法が言及されるが、本明細書に開示される方法、システムおよび装置はまた、器官、関節(例えば、腰、膝、肘、肩)、脳、心臓、等を含む、ヒトまたは動物の身体の、実質的にあらゆる部分の組織を冷却するために使用されることができることは認められるであろう。更に、本明細書で使用される用語「脊椎組織」(spinal tissue)は、「脳脊髄幹」(spinal neuraxis)と一緒に、脊髄自体、並びに、脊椎管中の空隙を通ってそれから延伸する神経および神経根、並びに中枢神経系のその他の部分を含むことができるも認められるであろう。
【0043】
低体温の送達−温度&時間
本明細書に記載される方法、システムおよび装置は一般に、局所化された治療的低体温法を適用する方法および、場合により、脊髄中およびその周辺組織を冷却する方法を伴う。脊柱管および脊髄自体に冷却効果を送達するための様々な低体温化装置が記載されている。本明細書で使用される「治療的低体温」は、患者の平熱、典型的には約37度Cより下への組織温度の低下を表す。治療的低体温はまた、患者の平熱ではないかも知れない、処置が開始される時の(例えば、患者が発熱を示す、または、例えば、以前の、もしくは継続中の全身低体温処置により、すでに低体温状態にある時)、患者の体温より下への組織温度の低下を含むことができる。
【0044】
適用される低体温の程度は、多数の要因に応じてばらつく可能性がある。標的の治療的温度は、0度C直下から正常体温までにわたることができる。0度Cより未満の温度への組織の曝露は、細胞損傷をもたらす可能性があるが、脊柱管の骨はこのような低温に対して比較的抵抗性があり、従って幾つかの実施形態においては、標的の治療温度は0度C未満であることができる。
【0045】
代表的な実施形態において、標的組織は約0度C〜約37度Cの範囲内に冷却される。標的組織はまた、約5度C〜約36度C、より好適には約15度C〜約36度C、より好適には約25度C〜約36度C、より好適には約25度C〜約35度C、そしてより好適には約30度C〜約34度Cの範囲内に冷却することができる。特定の実施形態において、標的組織は、約36度C、約35度C、約34度C、約33度C、約32度C、約31度Cまたは約30度Cに冷却することができる。その他の実施形態において、標的組織は平熱より約1度C下、平熱より約2度C下、平熱より約5度C下、平熱より約10度C下、または平熱より約20度C下まで冷却することができる。
【0046】
低体温の程度は時々、「軽度(mild)」の低体温(例えば、平熱より0〜5度C低い)、「中程度(moderate)」の低体温(例えば、平熱より5〜9度C低い)、「高度(severe)」の低体温(例えば、平熱より9〜17度C低い)、そして「極度(profound)」の低体温(例えば、平熱より17度C超低い)で表される。本明細書に開示される方法は、これらのいずれかの範囲内への組織の冷却を含むことができ、また本明細書に開示されるシステムおよび装置は、このような冷却を達成するようにさせることができる。これらの、またはその他の範囲を通って、組織温度が循環され(cycled)、拍動され(pulsed)、掃引され(swept)、傾斜され(ramped)、そして/または段階を付けられる(stepped)、様々な処置計画もまた、使用することができる。例えば、一つの処置法において、組織温度は標的温度に急速に低下され、次に、処置を終結することが所望される時には、緩徐に平熱に傾斜して戻されることができる。更なる例によると、組織温度は、最初の標的温度まで緩徐に段階的に低下され、第1の標的温度と第2の標的温度間を往復し、そして次に最終的に平熱に段階的に
戻すことができる。
【0047】
冷却効果への標的組織の曝露期間は、患者の状態、患者のその他の傷害の処置、患者に対する将来の処置計画および、冷却に対する、モニターされた、または検出可能な生理学的応答、またはそれらの欠如、を含む様々な要因に応じて、数分〜数日にわたる可能性がある。治療的低体温法は、1回法で、または複数回適用することができる。いずれの場合でも、多数の異なる温度を適用することができる。標的温度を考察する時に、好適には、標的組織の所望される治療温度を意味することが意図される。あるいはまた、標的温度は時々、冷却器具、または冷却室、または冷却器具の素子の温度を表すこともできる。幾つかの場合において、標的組織が標的組織温度に到達するために、冷却器具を標的組織温度より下に冷却することが必要である可能性があることは認められるであろう。
【0048】
本明細書に記載の方法は、様々な長さの時間、そして/または異なる温度で脊柱管組織および脊髄を冷却する工程を含むことができる。更に、冷却は、各処置が曝露時間および/または温度において他の場合と異なる可能性がある、複数の処置で起ることができる。1種または複数の曝露時間および温度の決定は、既知の有効な時間および温度に基づいて前以て決めることができるか、または、患者、および/または傷害が起った時に対する処置が適用される時の状態に基づいて、決定することができる。通常体温より下への標的組織(例えば、脊柱管の組織および脊髄)の冷却から、局所および全身双方の、広範な生理学的効果が起り得る。曝露時間、処置および標的温度は、冷却装置またシステムのパラメーターのみならずまた、モニターされた生理学的パラメーターまたは特徴に基づいて、処置中に変えることができる。
【0049】
これらのパラ−ターは、それらに限定はされないが、神経学的所見、血圧、標的組織の温度、特定の組織の温度(標的組織の近位)、コア(直腸)体温、標的組織の近位のまたは出口(exiting)の静脈血温度、肺動脈の状態、心臓の状態、感覚誘発ポテンシャル(SEP、体性感覚誘発ポテンシャルを含む)、運動誘発ポテンシャル(MEP)、鞘内圧、潅流圧、血中酸素&血糖レベル、ATP濃度、興奮毒性のマーカー、血管原性浮腫、アポトーシス、炎症および酵素反応を含む。標的温度、処置、および曝露時間は、これらの生理学的パラ−ターの最初の測定値により選択することができ、また次にこれらのパラメーターの実時間測定値に基づいて修正することができる。温度、曝露時間および処置に関する冷却計画は有効には、患者の測定された生理学的特徴および冷却装置およびシステムにより制御することができる。
【0050】
例えば、冷却効果は最初、例えば傷害の椎骨レベルを含む、被災した傷害のタイプおよび重篤度に基づいて、前以て決められた標的温度で適用することができる。冷却効果は増加することができ、また従って、前以て決められた期間後に、患者の運動誘発ポテンシャル反応が著明でなく見える場合は、標的温度を低下させることができる。一つの実施形態において、動脈血圧と脳脊髄液圧間の差が前以て決められた閾値より低下する場合は、治療的低体温法の適用は停止することができる。臨床、実験室およびモニターのマーカーに基づく治療的低体温法の適用において、その後に実施することができる多数の治療計画が存在することは理解しなければならない。
【0051】
一つの実施形態において、治療的低体温法は、脊髄傷害後できるだけ早急に、例えば傷害後8時間未満に開始される。治療的低体温法は72時間まで、120時間まで、またはそれ以上維持することができる。1時間の一部分(例えば、5分、15分、30分または45分)のような短時間を含む、ずっと短期間でも同様に、治療的低体温を送達することが望ましい可能性がある。
【0052】
脊髄および脊柱管に対する治療的低体温法の使用は、様々な有益な効果を与えることが
できる。このような効果は、神経組織の代謝需要、興奮毒性マーカー、アポトーシス、フリーラジカルおよび炎症の低下を含むことができる。治療的低体温法に伴う作用機序の幾つかは完全に理解されておらず、様々な臨床状態におけるその適用を伴う経験が、外傷、血管損傷または外科的損傷からの脊髄損傷において、緩和効果を示唆することに注目すべきである。
【0053】
経骨髄冷却
本明細書に記載の幾つかの方法および装置において、冷却効果は経骨髄的に、または文字通り骨を介して適用される。とりわけ、組織は、隣接する骨、または直近の骨中に冷却器具をインプラントすることにより冷却することができる。骨は、それ自体を好都合な冷却台にする特性をもつ。骨状構造物は、いわゆる軟組織より大きいそれらの密度および硬度のために、容易に位置決定可能である。更に、その幾何学構造が放射線撮影により容易に描かれ、患者間で比較的一定であり、そして容易に位置決定可能な特徴物または境界標をもつ。従って、これらの骨構造物および境界標に対して知られた近位には、特定の周辺組織または軟組織が比較的一定に位置決定される。とりわけ、椎骨の根および板は、脊髄および神経根を含む脊柱管の内容物に対し近接して存在する。
【0054】
これらの属性は、特定の軟組織の近位に器具を配置するためのプラットホームおよび脇道(avenue)として、隣接して位置決定された骨構造物および、骨構造物の境界標(landmark)を使用することにより、特定の、周囲の軟組織を確実性に標的にさせる。近位の、または隣接する組織を標的とするための手段として、骨状構造物およびそれらの境界標を使用する方法は、処置されることが望まれる組織を直接に標的とする必要を回避する補助をして、その組織を損傷させないままにする。
【0055】
近位の軟組織に冷却効果を提供するための経骨髄アプローチの有利な態様は、骨が硬く、機器を骨中に堅く固定させることができ、そこで骨は、身体の動きのため、または器具の存在のための変形を受けない。骨の硬い性状はまた、骨状の縁内への器具の配置を許し、従ってインプラントされた器具自体が骨の外側の組織を損傷することを防止する。実際、骨の壁は、より良い構造的特性をもつ皮質骨と器具とを嵌合させる努力の結果として、僅かに破損されるかも知れない。
【0056】
近位の軟組織に冷却効果を提供するための経骨髄アプローチは、軟組織自体を損傷することなく、冷却器具のインプラントを許す。すなわち、骨のアプローチおよび、近位組織への骨の壁を介する冷却を使用することにより、標的の近位組織が、冷却器具自体により、または冷却器具をインプラントするために要する外科的工程により、物理的に接触、置き換え、または切開されない。脊髄組織のような特定の組織は、障害に対してデリケートで敏感であり、またこのような障害が組織に永久的な傷害を引き起こす可能性がある。そのため、組織に傷害を引き起こす危険のために、これらの組織、または近位の軟組織に冷却器具をインプラントすることは望ましくない可能性がある。骨は、このような障害に対して非常に回復力があり、また典型的には、機能または強度の大きなロスを自覚せず、また典型的にはこのような障害からの長期間の傷害の影響を受け易くない。従って、骨構造物中に冷却器具を挿入、またはインプラントし、そして、経骨髄的に、または骨の壁を通して近位の軟組織を冷却し、それにより軟組織自体を物理的に障害することなく、軟組織に信頼できる冷却アクセスを許すことが望ましい。
【0057】
代表的な実施形態において、冷却される標的である軟組織は、脊髄、その他の脊柱管組織および/または神経根組織であり、また冷却プラットホームとして働く骨状構造物は、椎骨の根、板および棘突起のような後弓の要素を含む椎骨の部分である。隣接する脊柱管の内容物に対する、椎骨の根および/または板の骨を介して冷却を提供するための経骨髄アプローチは、その実際の接触、置き換えまたは貫通を伴わずに脊髄を標的にする。このような侵入に対する脊髄の耐性が最小に見えるため、これは決定的な事柄である可能性がある。
【0058】
経骨髄アプローチ
一つの実施形態において、患者の椎骨要素にアクセスするために、組織の開口が形成される、後部経皮アプローチが使用される。組織の開口はまた、開腹手術アプローチと関連して形成することもできることは認められるであろう。組織の開口を通して、椎骨の骨状構造物(例えば、椎骨の少なくとも1つの根)に穴を形成する。多数の場合、この穴はドリルを使用して形成される。他の場合には、穴は自己穴開けネジを使用して形成される。更に他の場合には、穴は千枚通し(awl)または根プローブ(pedicle probe)を使用して形成される。穴を形成するあらゆる方法が可能であることは認められるであろう。冷却器具は、冷却器具が椎骨の根の壁を冷却し、また従って椎骨の根の壁の反対側の組織を冷却することができる場所に配置されるように、組織の開口を通され、また穴中に挿入されることができる。椎骨の根中に形成された穴は、本方法のために特別に形成されても、または脊椎安定化のような別の方法の一部としても形成されることができる。更に、椎骨の根中に形成される穴は、冷却器具の挿入の一部として冷却器具を挿入する直前に形成しても、または冷却器具挿入のずっと以前に形成してもよい。穴はまた、冷却器具自体により形成することができる。その他の実施形態において、穴は例えば、より外側部分(外側塊ネジの使用の場合におけるような)における椎骨の他の部分に、または板または棘突起のような椎骨の後弓の、他の部分に形成することができる。
【0059】
一つの実施形態において、冷却器具は、生物学的適合性骨ネジであるか、またはネジ付き外面のような、それに類似した特徴物をもつことができる。このような表面は、引き抜きに抵抗するために、ネジを骨中に挿入させる。冷却器具のネジ付き形態はまた、冷却器具を、耐荷重性で、従って、根ネジを使用するものを含むあらゆるその後の脊椎固定構造物の、許容され得る構成部分にさせることができる。安定化構造物または方法は、それらに限定はされないが、運動限定性の、運動保存性のおよび/または固定された構造物または固定術を含むことができる。
【0060】
図1Aおよび1Bは、冷却器具をその中にインプラントされることができる穴22を表す。
図1Aにおいて、椎体10、根12、板13、棘突起11、脊柱管14を含む代表的椎骨23並びに脊髄16を含む脊椎管内容物15、の断面が示される。脊椎管内容物15は例えば、硬膜上腔、硬膜、硬膜外腔、クモ膜腔、クモ膜下腔、鞘内腔、脳脊髄液、軟膜、脊髄動脈および静脈、血管冠状体、脊髄静脈叢、神経根、靭帯および脂肪組織を含む。靭帯、脂肪、器官および筋肉を含む、椎骨を囲む組織は、
図1Aと1Bに示されていない。椎骨には反復性要素のみならずまた、対称性が存在し、また椎骨の要素に対する言及は、対称的または複数の要素のいずれか一つを意味すると理解することができることは認められるであろう。例えば、根に言及する時は、それは椎骨の二つの根のいずれか一方または両方を意味することが意図され得る。
【0061】
穴22は、椎骨の根12中に形成することができ、またそれは、根12中に軸方向のような(例えば、実質的に後方−前方方向に延伸する根の縦軸に沿った)様々な配向に延伸することができる。穴22は、根12の軸外に、軸に対してもう一方の角度の軌道中に、軸からずれて、または根12のもう一方の軸上に、形成することができることは認められるであろう。更に、穴22の深度は、根12の全長を通り、その長さの一部、または根12の長さを越えて椎体10中に延伸することができることも認められるであろう。一つの態様において、根の骨の薄い壁が、脊柱管14に隣接した根12の外壁と穴22の内壁との間に残されるように、穴22が形成される。ここで、骨の薄い壁をもつことは、脊柱管の内容物15と脊髄16から熱を伝達して取り除き、そして脊柱管の内容物15と脊髄16に冷却効果を与える方法における効率を高めることができる。
【0062】
図1Bは、
図1Aの椎骨、およびヒトの患者でそのようであると考えられるように配置された、隣接する下部椎骨の側面図を示す。更に、一般に線維輪19および髄核20並びに、椎間板の上側と下側を覆う椎骨の終板21、を含む椎間板が示される。
図1Bはまた、穴22の軌道の側面の透視図を提供する。図示された実施形態において、穴22は、それが根の後部表面から前方に延伸する時に僅かに下方に曲がる。
【0063】
図2において、根12の穴中に挿入された冷却器具30(本明細書では「インプラント」とも呼ばれる)が示される。冷却器具30は、前記の組織の開口を貫通し、また穴22内に配置されるか、またはそれは、穴22を形成するために使用することができる。例えば、穴22は、冷却器具30が自己穴開け骨ネジの形態にある場合におけるように、冷却器具30の挿入により形成されることができる。冷却器具30は、穴22の内径と同一の外径を共有することができ、または穴22は、堅い嵌合を確保するために、冷却器具30の直径より僅かに小さいことができる。穴22はまた、冷却器具30より大きい口径をもつことができ、その場合、穴22と冷却器具30間の空隙は、熱伝導性物質またはその他の材料で充填することができる。その他の実施において、穴22中に挿管ネジを挿入することができ、また冷却器具30はネジのカニューレ中に挿入され、それにより挿管されたネジが透き間を埋める働きをする。
【0064】
穴22中に冷却器具30を配置する方法は、脊柱管14と、脊髄16を含むその内容物15に近接に、冷却器具30を配置するのに有効である。更に、このようなアプローチは、冷却器具30が、骨の硬い境界により脊柱管内容物15と近位に、しかし接触せずに保持される事実により、冷却器具30が脊柱管の内容物15を障害することを防止する。
【0065】
冷媒および冷却材源
冷却器具30は、あらゆる多数の異なる冷媒、またはそれらの組み合わせ物を使用して冷却効果を与えることができる。冷媒は例えば、冷却器具30内のガスの膨張、または冷却器具30内の冷却流体の循環を含むことができる。本明細書で使用される用語「流体」は、液体、気体およびそれらの組み合わせ物を含む、あらゆる流動性材料または材料の集合物を表す。一つの実施形態において、冷却器具30は、膨張により冷却器具30内で冷却材として働く圧縮ガスを受ける。ガスの膨張は、ガスとその周囲の冷却器具30に、温度の急速な低下を経験させる。このような適用に典型的なガスは、亜酸化窒素および二酸化炭素を含むが、圧縮形態で液体であると考えられるガスを含む、使用することができる広範な種類のガスが存在することは認められるであろう。その他の実施形態において、冷却器具30は、冷却器具の空洞またはチャンネルを流通し、それにより冷却器具の温度を効率的に低下する、冷媒として冷却された液体を受ける。典型的な冷却された液体は、生理食塩水、水、液体窒素およびエチルアルコールを含む。多数の流体を、冷媒として使用することができ、また生物学的に安全な流体の使用には利点があることは認められるであろう。更にその他の実施形態において、冷却器具30は、電圧または電流が適用される時に、装置の少なくとも一部が温度低下を経験する、ペルチエ装置のような熱電装置を含むことができる。冷却器具30はまた、冷却器具30の内容物および冷却器具30自体の温度の低下をもたらす吸熱性化学反応を内蔵することができる。その他の実施形態において、冷却器具30は、穴22中への挿入の前に、前以て冷却される。冷却器具30をそれにより冷却することができる様々な手段が存在することは当業者により認められるであろう。
【0066】
冷媒は、外部の(例えば、体外の)冷却材源31から提供することができる。冷媒が膨張ガスである実施において、冷却材源31は、冷却材送達管32を通って冷却器具30内に放出される圧縮ガスのタンクであることができる。一旦圧縮ガスが冷却器具30内に入ると、それは冷却器具30内の膨張室42中に膨張ノズル41を通って膨張して、温度の急速な低下を引き起こすことができる。あるいはまた、もしくは更に、冷却材源31は、
ガスを圧縮するコンプレッサーを含むことができる。幾つかの実施において、圧縮ガスのタンクからの冷媒の送達は、ガスの量および、それが冷却材送達管32を介して冷却器具30に流入する圧力、を限定するために、制御ユニット33により制御される。制御ユニット33は、手動で制御され得る、機械的に制御され得る、またはコンピューター装置により自動的に制御され得る、タンク上の調整可能弁であることができる。冷却材源31がコンプレッサーを含む実施において、制御ユニット33は、コンプレッサーがガスを圧縮する程度、または管32に提供されるガスの圧力、を制御することができる。ガスの放出の制御は、確立された計画、患者の状態および/または患者の検出可能な生理学的特徴、または冷却器具の特徴に基づいて、手動で、または自動的に、のいずれの場合にも管理することができる。冷却器具30の膨張室42から膨張したガスを排出するために、更なる管36をも提供することができる。排出管36は、大気中、回収タンクまたは、順次、再利用のためにガスを再圧縮するコンプレッサーに、ガスを排出することができる。送達管32および排出管36は一般に、円形の断面をもち、また当該技術分野で知られた、あらゆる様々な医療等級の、インプラント可能なチューブ材料から形成することができる。管32、36は、柔軟でも硬くてもよく、または硬い部分と柔軟な部分を含むことができる。
【0067】
冷媒が冷却された流体である実施において、冷却材源31は冷却装置または、流体を冷却し、押し出すためのその他の装置であるか、またはそれを含むことができ、また冷却材送達管32は、冷却器具30に冷却した流体を送達するためのチューブであることができる。この場合、排出管は、冷却器具30からの冷却された流体を、冷却材源31、回収タンク、または排水溝に戻す、または排出するために使用することができる。このような実施において、制御ユニット33は、冷却された流体流の容量流量、冷却された流体の送達ラインの圧力、および/または冷却された流体の温度、を制御することができる。流体送達および循環システムの構成部分(component)は、冷却材源の側よりむしろシステムの排出側に配置することができることは認められるであろう(例えば、それを押し出すよりむしろ、器具30、送達管32および排出管36を通して、冷却された流体を引き込むポンプ機構)。
【0068】
冷媒が冷却器具30内に埋伏されたペルチエ装置である実施において、冷却材源31は、ペルチエ装置に電力を供給する電力供給体を含み、また冷却材送達管32は、電力供給体からペルチエ装置に電流を供給する電気ラインを含むことができる。送達および排出管32、36はまた、冷却器具30から、ペルチエ装置により発生される熱を除去するために使用することができる。
【0069】
冷媒の送達は、特定の位置における特定の温度のような、前以て決められた冷却効果を達成するように制御することができる。冷媒の送達はまた、例えば、冷媒が冷却された液体または膨張性ガスを含む場合に、冷媒の冷却材の特定の容量が送達されるように制御することができる。冷媒の送達はまた、生理学的特徴の変化、または変化の欠如に基づいて、制御することができる。例えば、冷媒の制御および従って冷却の強度は、定量的および定性的な、感覚または運動誘発ポテンシャル(SEP、MEP)の観察により決定することができる。この例において、冷媒は、その時点で冷媒の制御が、冷媒の送達を低下、または増加し始めることができる、患者のSEP/MEPの結果が低下、改善、あるいは変化し始めるまで、特定のレベルで提供される。限定はされないが、血圧、標的組織の温度、特定の組織の温度(標的組織に近位の)、直腸体温、標的組織の近位のまたは排出する(exiting)静脈血の温度、肺動脈の状態、心臓の状態、感覚誘発ポテンシャル(SEP、体性感覚誘発ポテンシャルを含む)、運動誘発ポテンシャル(MEP)、鞘内圧力、潅流圧力、血中酸素&ブドウ糖レベル、ATP濃度、および興奮毒性の作動体、血管性浮腫、アポトーシス、炎症並びに酵素反応を含む、多数の生理学的特徴を使用して、冷媒の強度を制御することができることは認められるであろう。現在時の定性的または定量
的決定は、冷媒がいかに制御されるべきかについて、いずれかの前記の生理学的特徴に基づいて実施することができる。
【0070】
センサー34はまた、冷却器具30内、または患者の体内またはその周囲にインプラントすることができる。センサー34は、機器が示す温度を感知するために冷却器具30内またはその上に埋伏された温度センサーであることができ、そこで、この感知された温度が次に、冷却器具30に対する冷媒の送達を制御するために使用することができる。センサー34は、1本以上のセンサーワイア35を介して制御ユニット33に接続されて、どの位の冷媒および/または何度の温度の冷媒を冷却器具30に送達するべきかを決定する補助にするための情報のフィードバックループを提供することができる。あるいはまた、もしくは更に、センサー34は、センサーワイア35により、冷媒の送達を手動で制御させることができるセンサー34から、ある形態の出力データを提供する、表示、メーター、ダイアルまたはその他のインジケーターに接続することができる。センサー34はまた、ワイアレスで接続することができ、またワイアレス接続を、センサーワイア35の代わりに使用することができる。一つの実施において、センサー34は、冷却器具30内に埋伏され、また冷媒の送達を手動で、または自動的に、のいずれかで制御するために使用される冷却器具30の温度データを供給するサーミスタまたは熱電対のような温度測定センサーである。あるいはまた、センサー34は、脳脊髄液の温度を測定するために脊柱管内容物15の鞘内腔に埋伏された温度センサーであることができる。
【0071】
1基を超えるセンサー34、1種を超えるセンサーのタイプ、および1カ所を超えるセンサー配置部位を同時に使用することができ、また複数のセンサー34から収集されたデータを、独立に、または組み合わせて、冷媒の送達をいかに制御するかを決定するために使用することができることが認められるであろう。使用することができるその他のタイプの関連センサーは、圧力センサー、化学的センサー、電気的センサー、磁気センサーおよび光学的センサーを含む。センサー自体を患者の体内に配置する必要のない、遠隔感知のようなその他のタイプの感知を使用することができる−ドップラー測定値を含む超音波、および機能的MRIはすべて、冷媒の送達を制御または調整するために使用することができる生理学的特徴を感知するために使用することができる。一つの態様において、1基以上のセンサーにより測定される情報は、現在時、またはほとんど現在時に、冷媒の送達の制御を連続的に調整するために使用することができる。あるいはまた、もしくは更に、感知された情報は、安全性のモニターのために使用することができる。それらの使用は必須ではないかも知れないが、センサーワイアまたはその他の通信手段と一緒に、1基以上のセンサーを使用する利点が認められるであろう。
【0072】
冷却器具
図3Aは、冷却器具30の一実施の断面を表す。
図3Aにおいて、冷却器具30は、本体部分40、首部分42および頭部44をもつ、円筒形のロッドまたは骨ネジのような細長い部材である。本体部分40および、場合により首部分42は、ねじ付き外面をもつことができる。従って、冷却器具30は、穴22中にねじ止めする、またはねじ込むことができ、従って穴22内および椎骨23に堅く固定することができる。このような固定は、外科要員により特別に意図されない限り、冷却器具30が、あらゆる冷却またはその他の手順の前、その間、またはその後に、穴22内で、または穴22からずれたり、または移動したりすることを防止する。その外部において、冷却器具30は、市場に一般的なあらゆる様々な典型的な外科用ネジに類似することができる。冷却器具30は、穴22内への冷却器具30の、より容易な配置および挿入を許すために、円錐形、または傾斜した遠位先端をもつことができる。冷却器具30はまた、セルフタッピングまたはセルフドリリングであることができる。冷却器具30がセルフドリリングである場合は、それは骨中に穴22を形成するために使用することができる。あるいはまた、冷却器具30は、ネジをもたない滑らかな細長い部材またはロッドであるか、あるいはうね付きであることができる
。冷却器具30は一旦挿入された後に、ネジ穴、うね、引き込み可能な要素、返し、等のような、穴22内に自体を固定するためのその他の手段を使用することができる。冷却器具30が穴22内に固定されることは好都合ではあるが、必須ではない。
【0073】
図示された実施形態において、冷却器具30は、近位末端48および遠位末端50を含み、その中に室52を区画することができる。室52は、冷媒を支えるために必要な要素、体積、ノズルおよび流体管腔、チャンネルまたは経路、等の少なくとも一部を収容することができる。冷媒が膨張ガスを含む実施において、冷却器具30は膨張ノズル54を含むことができ、それを通って、冷却材送達管32を経て冷却器具30中に流入したガスが膨張する。ガスは室52中に膨張し、そこからそれは排出管36を経て冷却器具30から排出されることができる。膨張したガスは環境中、室中またはタンク中、あるいはそれを再圧縮するコンプレッサー中に排出されることができる。ガスの流れは図の要素内に含まれる矢印により、
図3Aに示されている。その矢印は、とりわけ、ガスが、この実施において、挿管チャンネル46を同心的に取り囲む膨張室52内に膨張することを示す。膨張室52は、挿管チャンネル46により分離されているように見えるかも知れないが、膨張室52の二つの図示された側面は、挿管チャンネル46を囲む単一の膨張室52として連結されていることを理解しなければならない。更に、図示された挿管チャンネル46は室52に対して流体隔離されていることを認めなければならない。
【0074】
膨張ノズル54は、送達管32の遠位末端に、そして/または冷却器具30に沿ったいずれかの様々な位置、例えばその近位末端48、その遠位末端50、またはその間のあらゆる地点に配置することができる。一つの実施形態において、膨張ノズル54は、その近位末端と遠位末端48、50の間の、約半分離れた、冷却器具30の中央部分に隣接して配置される。膨張ノズル54はまた、冷却器具30が患者の椎骨(例えば、患者の根)中にインプラントされる時は、患者の脊柱管に隣接して配置されるようになっている冷却器具30の一部分中に配置することができる。
【0075】
冷媒が冷却された流体である実施において、流体は冷却器具30の室52を通過して、冷却効果をそれに、また周辺組織に送達することができる。一つの実施形態において、室52は、送達管32に連結された第一の末端、および排出管36に連結された第二の末端をもつ、流体管腔の形状にあることができる。室/流体管腔52は場合により、室52を通って誘導される流体への/流体からの熱交換を最適化することができるように、コイル状、蛇状または、何かその他の曲がりくねった、表面積を最大にする形状であることができる。流体はまた、単に送達管32を通って逆方向に室52に流入し、また排出管36を通って冷却器具30を排出することができる。
【0076】
冷媒がペルチエ装置である実施において、ペルチエ装置を冷却器具30内に埋伏することができ、また電気ラインは冷却器具30に内在するペルチエ装置に接続することができる。これらの電気ラインは、冷却器具30から、電源および、場合により電気ライン上の電圧または電流を制御することができる冷却効果の調節装置に延伸することができる。一つの実施形態において、電源および/または調節装置は、冷却器具30上、または冷却器具30中、またはその他のインプラント可能なユニット中に配置することができる。
【0077】
冷却器具30の中央の縦軸に沿って延伸し、また冷却器具30の全長にわたりずっと延伸する挿管チャンネル46をもつ冷却器具30は、挿管することができる。挿管チャンネル46は、場合により最少の侵襲性の方法で、冷却器具30を、誘導ワイアのような挿入補助物に沿って挿入させることができる。誘導ワイアは、冷却器具30が挿入された後に取り出すことができる。挿管チャンネル40は軸方向にあり、冷却器具30の長さに沿って中央にあることが有利であるが、必須ではない。その他の実施において、冷却器具30は、冷媒を受け入れるために部分的に挿管することができるか、または挿管する必要がな
い。あるいはまた、もしくは更に、冷却器具30は、冷却器具30を穴22中に誘導する挿入補助物と一緒に使用されるその外面上の、縦方向の溝をもつことができる。
【0078】
図3Bに示すように、冷却器具30は、場合により、室52内に形成された、複数の熱伝導フィン56を含むことができる。図示された実施形態において、熱伝導フィン56は、室52の外壁から挿管チャンネル46の方向に放射状に内側に延伸する。使用中、膨張したガスまたは冷却された流体が熱伝導フィン56の周囲を、またそれを横切って循環することができ、それは冷媒から冷却器具30への、また従って標的組織への熱伝導を改善することができる。熱伝導フィン56はまた、冷却器具30の機械的強度を改善することができる。熱伝導フィン56は、様々な方向に配置することができ、渦をまくことができ、また様々な形状とサイズをもつことができることは認められるであろう。
【0079】
幾つかの場合に、患者にインプラントされた冷却器具30を、冷却工程が実施されるより長い期間残すことが望ましく、また更に、冷却効果の送達が完了した後に、患者の手術創を完全に閉じることは望ましい可能性がある。このような使用を許すために、送達管32、排出管36および/または1本以上のセンサーワイア35は、それぞれ個別に、またはすべて一緒に、冷却器具30から取り外し可能であることができる。一つの実施形態において、これらの管および/または1本以上のワイアは、ネジ結合により冷却器具30に連結することができ、また従ってこれらの管および/または1本以上のワイアはそれらのネジを緩めて外すことができる。その他の実施において、これらの管および/または1本以上のワイアは、機械的ラッチ、ネジ、ボルト、ピンまたは、締め付けハードウェアのその他の部品により冷却器具30に連結することができ、またこれらの管および/またはワイアを取り外す工程は、ハードウェアを除く工程および/または緩める工程を要求する可能性がある。その他の実施において、連結は、締まりばめ、中間ばめ、またはすきまばめ(限定はされないが、プレスばめおよびボールプランジャーばめを含む)のタイプによることができ、また十分な力で、管および/または1本以上のワイアを引っ張り上げる方法が、取り外しを引き起こすことができる。送達管32および排出管36に対して、管が、冷却効果の送達が連結の部位で漏洩を被らないように冷却器具30に連結されることは好都合である。このような漏洩を防止するために、管32、36が冷却器具30および1以上のその管腔または室に連結する場所に、ガスケットまたはその他の形態のシールを使用することができる。
【0080】
図3Cは、送達管132および排出管136がその中で、冷却器具130に連結され、また膨張可能なカフまたは連結バルーン162によりシールされる冷却器具130の、代わりの実施形態を表す。この膨張可能なカフは、膨張すると、冷却器具130で(例えば、室152の側壁または挿管チャンネルの側壁に形成される対応する環状の凹み164で)シールを形成することができる。膨張可能なカフ162は膨張されて、シールを解放し、並びに、取り外しのために冷却器具130とのそれらの連結から管132、136のロックを外すことができる。冷媒が加圧ガスまたは液体のいずれかである実施において、膨張可能なカフ162は、冷媒自体(および冷却器具130並びに管132、136の内部でそれにより生成される圧力)を使用して膨張させられることができる。このような場合には、膨張可能なカフ162の膨張可能な部分は、冷却器具130または管132、136のいずれかの内部と流体連絡して、冷媒を膨張可能なカフ162中に送達させることができる。冷却効果の送達が完了した後に、冷却器具130および管132、136内部の圧力を解放し、またその結果として、膨張可能なカフ162は、収縮することができる。
【0081】
膨張可能なカフ162はまた、それを膨張させ、また膨張させたまま維持するためにカフ162に流体を送達する別の専門の管166をもつこともできる。前記のすべての実施において、膨張可能なカフ162は、管132、136に取り付けることができ、冷却器具130の要素であることができ、またはそれ自体の分離可能な部品であることができる
。
【0082】
図3Cに更に示すように、送達管132は室152中に十分延伸して、冷却器具130の遠位末端150に隣接する部位で終結することができる。他方、排出管136は、冷却器具130の近位末端148に隣接して、室152中に僅かな距離だけ入って終結することができる。管の排出口の、この相対的配置により、送達管132を通って導入される流体は、排出管136を通って除去される前に、室152の実質的に全長にわたり流動しなければならない。この方法で、流体と冷却器具130間の熱の移動が最大化され、また冷却器具130の長さに沿ってより均一に分配されることができる。
【0083】
図3Dは、送達管232が挿管トンネル246の周囲に螺旋状に巻かれた、冷却器具230の他の実施形態を示す。これは、送達管232と冷却器具230間の熱の移動を好都合に改善することができる。更に、送達管232は、図示された矢印により示されるように、送達管232の遠位末端から放出される流体を、排出管236の方向に螺旋状経路に沿って逆に移動させる内部バッフルとして働くことができる。従って、送達管232から放出される流体と冷却器具230間の、熱の移動もまた改善されることができる。
【0084】
図3Eは、送達管および排出管332、336が冷却器具330の首部分342に連結される冷却器具330の他の実施形態を表す。この形態において、冷却器具330の頭部344は、管332、336からの妨害なしに、様々な安定化ハードウェアおよび/または推進工具に連結されることができる。
【0085】
図3Fに示されるように、冷却器具(例えば、冷却器具30、130、230)の頭部44は、脊椎安定化におけるその他のインプラントとともに使用することができる。典型的な脊椎安定化ハードウェアは、椎骨中にインプラントされ、ロッドまたはその他の結合体により相互結合されるアンカー(例えば、骨ネジ)でできている。一つの実施において、頭部44は、脊椎ロッドがそれに固定され、また安定化のために複数の椎骨を連結するために使用することができるロッドの座58と連結されることが意味される、脊椎安定化ハードウェアに典型的な、多軸頭部である。あるいはまた、頭部44は、ロッド受け入れ部分と一体式に形成することができる。ロッドの座58はまた、「チューリップ」とも呼ばれることができる。安定化構造物に冷却器具30、およびとりわけ頭部44を連結するために様々な方法を使用することができることは認められるであろう。頭部44は、冷却器具30の、場合により使用される特徴物であり、また冷却効果を適用するためには、必要でないかも知れない。
【0086】
幾つかの実施において、頭部44は、冷却器具30が穴22中に挿入された後に、取り外し可能であることができる。あるいはまた、冷却器具30は、それが穴22中に挿入される時には頭部44を含まないかも知れず、また頭部44は、それが穴22中に挿入された時に、その後の時点で冷却器具30に付加することができる。頭部44が取り外し可能である実施において、それは、二つの間のネジ連結のような多数の固定手段により、または締め付けボルトを使用する方法によりそれを固定しまたはそれを冷却器具30から取り外すことにより、冷却器具30に付加しまたはそれから取り外すことができる。
【0087】
冷却器具30は、冷却器具30を穴22中に推進するための工具を受け入れる推進インターフェース60(例えば、頭部44の近位末端中またはその上に形成されたソケットまたは突起)を含むことができる。例えば、推進インターフェース60は、次に穴22中に冷却器具30を回転するために使用することができるアレン・レンチの先端を受け入れるようにすることができる。推進インターフェース60はまた、スクリュードライバーまたはトルクレンチを受け入れるようにさせられることができる。あるいはまた、冷却器具30は、ソケットレンチの使用により穴22中に推進されることができ、その場合、推進イ
ンターフェース60は、ソケットレンチと嵌合する六角形の凸型頭部を含むことができる。一つの実施形態において、送達管32および/または排出管36は、推進インターフェース60を通って延伸し、また選択的にそれに連結されることができる。例えば、管32、36は、摩擦を形成するか、または推進インターフェースの凹みとスナップ嵌合するようになっているカラー部分に連結することができる。このような実施において、冷却器具30は、推進インターフェース60に嵌合された工具を使用して取り外された管32、36とともに、穴22中に推進されることができる。一旦冷却器具30が穴中に配置されると、工具は推進インターフェース60から取り外され、また管32、36および/またはそれらに連結されたカラー部分は、推進インターフェース60中に押し込まれ、それにより、管32、36を室52と流体連絡に配置することができる。管32、36はまた、前記のような膨張可能なカフを使用して、推進インターフェース60に連結することができる。
【0088】
図3Gに示されるように、冷却器具30は、ロッド68と冷却管32、36が相互に妨害せずに、同時の安定化/固定および冷却を可能にするために分裂ロッド68に連結することができる。例えば、冷却器具30の頭部44は、特別に、安定化のために分裂ロッド68を保持するようになっているチューリップ70に連結するか、またはそれと一体に形成されることができる。図示の実施形態において、チューリップ70は、分裂ロッド68の縦のレール(longitudinal rails)を受け、また乗せるようになっている、その外部の側壁から延伸する第1および第2の棚72を含む。一つの実施形態において、棚72はチューリップ70の外周の周りに連続的に延伸する単一の環状のうね(annular ridge)であることができる。分裂ロッド68は、分裂ロッド68の長さに沿ってチューリップ70の位置を調整することができるように、棚72上を滑ることができる。
【0089】
分裂ロッド68が所望の通りに配置されると、それらのいずれかまたは双方がチューリップ70上にねじ込まれるか、またはそれに固定されることができる締め付けキャップ74およびナット78により、それをチューリップ70に締め付けることができる。図示されるように、締め付けキャップ74および棚72は、構築物が一緒に締め付けられる時に、分裂ロッド68を捕まえ、固定する役目をもつそれらの外部先端の突起物76を含むことができる。分裂ロッドの形態は、ロッド68およびチューリップ70が、管32、36および、装置の冷却態様に関連したワイアを妨害しないような、多数の異なる方法で達成することができることが認められるであろう。
【0090】
図4Aは、その中に、取り外し可能な挿入体430を配置され、また冷媒を受け入れるようになっている、骨ネジ482の形状の冷却器具400の、代わりの実施形態の断面を表す。骨ネジ482は、ネジ付き外面により穴22内に固定可能であることができる。骨ネジ482は、摩擦、吸引、返し、硬い要素の膨張、接着、等を含む、ネジ以外の他の方法で固定されることができることは認められるであろう。骨ネジ482はまた、滑らかな表面、筋入り表面、窪んだ表面または、あらゆるその他のタイプの表面をもつことができる。骨ネジ482が一旦、穴22中に挿入されると、挿入体430が骨ネジ482の空洞480中に送達されることができる。空洞480は好適には、挿入体430のネジ付き外面を受け入れて、挿入体430を堅く保持するためにネジ付きである。摩擦、掛け金、バネ担持留め金、等のようなその他の技術およびデザインを、空洞480中に挿入体430を堅く保持するために使用することができることは認められるであろう。挿入体430はまた、膨張により骨ネジ482内に固定されることができるバルーンまたはその他の膨張可能な物体の形状にあることができる。挿入体430が一旦、空洞480内に挿入されると、挿入体430は冷却効果を提供することができる。挿入体430は、穴22内への骨ネジ482の挿入の前に、空洞480内に既に存在することができることは認められるであろう。
【0091】
骨ネジ482は、骨ネジ482に、穴22中に挿入される細いワイアまたはロッドに従って誘導させることにより、穴22中への骨ネジ482の挿入を助けることができる、挿管チャンネル484を含むことができる。次に、挿管チャンネル484を通って患者から引き出すことにより、ワイアを取り外すことができる。空洞480および挿管チャンネル484は、骨ネジ482上に軸方向に配置することができ、その場合は、挿管チャンネル484は、空洞480の空隙の延長であることができる。挿管チャンネル484はまた、空洞480と共同配置される、そして/または同一であることができる。
【0092】
前記の冷却器具30の挿入と同様に、骨ネジ482は様々な手段により穴22中に挿入することができる。骨ネジ482は好適には、穴22中に骨ネジ482を推進するための工具を受け入れる、それに連結された、またはその中もしくはその上に形成された、推進インターフェース460を有する。骨ネジ482がネジ付き円筒形表面をもつ実施において、推進インターフェース460は、穴22中に骨ネジ482を回転するために使用することができるアレン・レンチの先端を受け入れるための小さい空洞を含むことができる。あるいはまた、推進インターフェース460は、スクリュードライバーまたはトルク・レンチを受け入れるようにすることができ、または骨ネジ482は、ソケット・レンチの使用により穴22中に推進することができ、その場合は、骨ネジ482は、ソケット・レンチと嵌合する六角形の凸型頭部をもつことができる。
【0093】
使用時に、骨ネジ482の穴480中に存在する挿入体430から分離可能な、穴22中に設置される骨ネジ482をもつことは、骨ネジ482を代わりの目的に使用させる。とりわけ、骨ネジ482は、複数の椎骨にわたってインプラントされた複数部分の安定化構造物の一部として使用することができる。そのため、骨ネジ482は、前記の冷却器具30の頭部44に類似した安定化頭部444を含むことができる。骨ネジ482の安定化頭部444は、脊椎安定化法に典型的な、更なる安定化ハードウェアに連結することができる。挿入体430が一旦、その冷却効果を送達する必要がなくなった場合、それは骨ネジ482から取り外すことができ、また必要な場合は、ロッドの座および1本以上の脊椎ロッドのような更なる安定化ハードウェアを、安定化頭部444に連結することができる。あるいはまた、幾つかのこの更なるハードウェアは、骨ネジ482が穴22中に挿入される前に、骨ネジ482と安定化頭部444に既に連結されることができる。安定化頭部444は、骨ネジ482の、場合により使用される特徴物であることが認められるであろう。それと丁度同様に、様々な安定化ハードウェアが、挿入体430と一緒に使用時に、骨ネジ482に連結されて来ることができる。
【0094】
幾つかの実施形態において、安定化頭部444は、骨ネジ482の一部ではないかも知れず、挿入体430が取り外された時に、空洞480中に挿入される安定化挿入体の一部であるかも知れない。安定化挿入体は、既知の脊椎安定化および固定法に典型的なその他の椎骨に対して、それを安定化するためのロッドに装置を取り付けるために使用することができる。安定化挿入体は、空洞480のネジ付き内面と嵌合するためのネジ付き面をもつことができる。
【0095】
図4Bは、骨ネジ482’の中心軸から外れた安定化頭部444’をもつ、骨ネジ482’を表す。脊椎を安定化し、並びに同時に脊髄を冷却する、両方が意図される時に、このような形態は好都合であることができる。軸からずれた安定化頭部444’をもつ方法は、安定化ハードウェアおよび冷却材送達管および排出管のような冷却ハードウェアに妨害させない。
図4Bのこの同様な安定化頭部の形態は、それが骨ネジ482’に適用される時に、本明細書に記載のあらゆる冷却器具に同様に適用することができる。
【0096】
穴22が、根12中にある実施において、穴22は、椎体10中に延伸することができ
ることは認められるであろう。従って、骨ネジ、挿入体および/または安定化頭部挿入体はそれぞれ、椎体10中に延伸することができる。
【0097】
説明された器具およびハードウェアは、ハードウェアの製造および特に外科装置の製造業者に知られた一般的方法を使用して製造することができることは認められるであろう。
【0098】
本明細書に開示された冷却器具、挿入体および関連ハードウェアは、金属、プラスチック、セラミック、等のような、様々な、熱伝導性の、医療等級の、および/またはインプラント可能な材料のいずれかから形成することができる。金属は典型的には、それが冷却効果の急速な伝導を提供するので、冷却器具の実施のために好都合である、高い熱伝導性をもつ。第二に、金属は典型的に、それが骨折または変形の危険を減少し、また更に、冷却器具を脊柱管安定化構造物の一部として使用させるために好都合な高い物理的強度(例えば、引っ張り強さ、剪断、圧縮)をもつ。金属はまた、ヒトのインプラントの、決定的な属性の、容易に滅菌可能である。一つの実施形態において、冷却器具は、生物学的適合性のチタンまたはステンレス鋼から形成することができる。
【0099】
冷却器具のサイズ(例えば、長さ、口径、ネジのピッチ、ネジの深さ、等)は、冷却効果がそれに適用される骨構造物のディメンション、患者の年齢、性別または人種、および/または必要な冷却の度合いを含む様々な因子に基づいて選択することができる。
【0100】
経骨髄法および操作
図5は、組織を冷却する一つの代表的な方法のフロー図である。本明細書に開示された様々な方法は、一つまたは複数のフロー図に関連して示されるが、このようなフロー図またはそれらの説明により意味される方法の工程のあらゆる順序付けは、その順序でその工程を実施することに、その方法を限定するものと解釈するべきではないことに注意しなければならない。むしろ、本明細書で開示された各方法の様々な工程は、あらゆる様々な順序で実施することができる。更に、図示されたフロー図は単に代表的な実施形態であるので、更なる工程を含む、または図示されたものより少ない工程を含む、様々なその他の方法もまた、本発明の範囲内にある。更に、2種以上の図示された工程を同時に実施することができる。
図5の方法を実施する前に、例えば、それを通って椎骨にアクセスすることができる組織の開口を形成するための、開腹手術または最少に侵襲性の手術法を使用して、椎骨へのアクセスを得る。工程100において、椎骨の骨状構造物に穴を形成する。一つの態様において、ドリルおよびドリルビットを使用して穴を形成するが、この穴は、自己ドリルネジまたは冷却器具による、あるいは鋭いワイアの挿入によるものを含む様々な方法で形成することができることを認めなければならない。
【0101】
その長さにおいて、穴が脊柱管に接線方向に、また近接に収まるように骨状構造物中に工程100の穴を形成することが望ましい可能性がある。脊柱管に対するこのような近位性が、後の工程における脊柱管の内容物への冷却効果の伝導を許す。工程100で形成される穴は好適には、それが形成される骨の、骨の壁の境界内に留まる。幾つかの実施において、穴が脊柱管に隣接する骨状構造物中に形成される場合、脊柱管に隣接する骨の壁の境界を破損することは潜在的に、脊柱管の内容物を破壊し、傷害を引き起こす可能性がある。しかし、挿入された冷却器具(工程105により)は、脊柱管の内容物に非常に近位であるために、そのようにすることが隣接する軟組織を損傷しない限り、脊柱管に隣接する骨状の壁の表面を辛うじて破損しないこと、並びにその構造的特性を利用するように骨状構造物の皮質と接触させること、が望ましい場合がある可能性があることが認められるであろう。更に、その遠位末端上の骨構造物の壁の境界を越えて延伸する穴を形成する工程に、特別の興味をもたれる可能性がある。
【0102】
一つの態様において、工程100の骨状構造物は脊椎の後弓根を表す。代わりの実施に
おいて、椎骨板および棘突起を含む、椎骨の後弓を囲む、代わりの骨状構造物は、その中に工程100の穴を形成されることができる。以下に説明されるように、更に代わりの実施において、外側塊ネジ配置術において実施されるアプローチにおけるように、穴は、根より外側に形成させることができる。
【0103】
骨状構造物中に穴を形成する工程100は、骨状構造物が硬く、それにより穴を容易に、一定して形成させる事実を利用する。骨が硬くなければ、それは、穴空け工程により示される圧力のために変形する可能性があるので、穴空けにより骨に穴を形成することは困難であると考えられる。骨が硬くなければ、硬度の欠如はそれを変形させ、圧縮すると考えられるので、それに特定の深度の穴を正確に形成することは困難であろう。従って、骨の硬度は、穴を正確に、詳細に形成させ、それにより工程105において恒常的に、また正確に標的の組織の近位に、冷却器具を配置させる。
【0104】
工程105において、冷却器具は、組織の開口を通って前進され、工程100において形成された穴中に挿入される。前記のように、冷却器具は、ハードウェアの単一の一部品であるか、または、骨ネジ内に選択的に配置可能な、取り外し可能な挿入体を含むことができ、それにより、挿入体が、骨ネジおよび、骨ネジが入っている穴から分離され、取り出される間に、骨ネジを後に穴中に留まらせる。穴中への冷却器具の挿入は、穴中に挿入される骨ネジの空洞中への、挿入体の挿入を含むことができる。
【0105】
冷却器具はその穴中にねじ込むことができる。このような場合、器具は、アレン・レンチ、スクリュードライバーまたはトルク・レンチのような推進工具により、挿入を容易にさせるための推進インターフェースをもつことができる。あるいはまた、器具は、直接の連続的圧力により、または器具を叩くことにより穴中に推進することができる。
【0106】
冷却器具は、好適には、脊柱管への冷却器具の冷却の送達が最大化されるような距離で穴中に挿入される。とりわけ、挿入の距離は、冷却器具の空洞またはその一部が、脊柱管の、最も近位の穴の部分に隣接して、または近接に配置されるように選択することができる。このような配置は、骨の壁を通り脊柱管の内容物への冷却効果の送達の効率を最大にすることができる。
【0107】
工程110において、冷却効果は、例えば、冷却器具を通るガスを膨張させて、それ自体およびそれに隣接する組織を急速に冷却させることにより、冷却器具から送達される。あるいはまた、ガス膨張の外に、冷却器具中のペルチエ装置に電力をかけるのみならずまた、冷却器具中に冷却された流体を循環する工程を含むその他の冷却手段を使用することができる。幾つかの実施において、冷却効果の送達は、圧縮ガスのタンクのような冷却材源から冷媒を送達する方法を含む。この工程において、圧縮ガスが、冷却器具にチューブ(例えば、冷却材送達管)を流動するように、圧縮ガスのタンクを開放することができる。タンクは好適には、冷却器具にどの程度の量の、またどの程度に早く圧縮ガスが送達されるかを制御する、調整または制御ユニットを含む。制御ユニットは単に、手動で操作される弁であることができ、その場合、冷却効果の送達は弁を手動で開放することにより開始される。制御ユニットはまた、どの程度の冷却効果を送達するべきかを決定するために、前以てプログラムされたデータまたは手術に際して測定されたデータのいずれかを使用する、コンピューター制御弁を含むことができる。
【0108】
例えば、制御ユニットは、鞘内に配置された温度センサーからのデータを読むことができ、また鞘内温度が閾値未満に低下すると、制御ユニットが冷却効果の送達を制限または停止し始めることができる。鞘内温度が温度閾値を超えて上昇する時は、制御ユニットは再度、冷却効果を送達し始めることができる。定量的および定性的両方の多数の生理学的特徴(前記の通りの)を、冷却効果の送達を調整する目的のために、制御ユニットへのイ
ンプットとして使用することができることは認められるであろう。。
【0109】
冷却器具は、冷却効果の送達期間のみ患者内にインプラントされたままであることができるか、または手術創を閉鎖した後に患者内にインプラントしたままであることができ、そして患者の全生涯にわたり、患者内に残留することすらできる。冷却器具がまた脊椎安定化構造物の一部として使用される実施においては、患者内にインプラントされた冷却器具を少なくとも1年間残すことは好都合であることができる。
【0110】
前記の工程が、それぞれが患者の椎骨内の異なる部位に配置されることができる複数の冷却器具に対して、繰り返すことができることが認められるであろう。一つの代表的な実施形態において、第1の冷却器具は第1の椎骨の第1の根にインプラントされ、また第2の冷却器具は第1の椎骨の第2の、反対側の根にインプラントされる。冷却器具はまた、患者の脊椎の複数の椎骨レベルにインプラントされることができ、また単一の椎骨に多数の冷却器具をインプラントすることができる。一つの実施形態において、脊椎傷害の部位が決定され、冷却器具は脊椎傷害の部位の上方の、1、2また3個の椎骨中にインプラントされる。その他の実施形態において、冷却器具は脊椎傷害の部位の直上、直下の椎骨中にインプラントされる。
【0111】
前記のように、
図5の方法の完了後に、患者の脊椎を安定化するために、更なる安定化ハードウェアを冷却器具に連結することができる。例えば、冷却器具に、脊椎ロッドまたはその他の固定装置を連結することができる。
【0112】
代わりのアプローチ
図6に表した代わりのアプローチにおいて、穴22は、穴22が、椎骨の板13を通って形成される経板アプローチにより形成することができる。板13に言及することにより椎骨のいずれかの板を使用することができることが認められるべきである。穴22のこのような形態は、冷却器具を穴22中に挿入させ、脊柱管14に隣接して配置させることができる。棘突起11および板13の骨状構造物は、脊柱管14とその内容物15の近位に冷却器具を配置するための境界標として使用することができる。このような部位に穴22を形成し、また
図6に示したものに類似した軌跡をもつ方法は、軟組織自体を障害せずに、信頼性に、軟組織の近位に冷却器具を配置するための手段を提供する。この実施形態において、軟組織は、脊髄16を含む脊柱管の内容物15である。
【0113】
図7に示すように、椎骨23に穴22を形成する際、外側塊ネジをインプラントする際に典型的に使用されるアプローチのような、椎板アプローチより外側のアプローチを使用することができる。このようなアプローチは、特定の患者の傷害および/または解剖学的幾何構造に有益であることができ、更に本明細書に記載のような椎板アプローチの多数の利点を提供する。とりわけ、このアプローチは、脊椎の頸椎レベルで、そしてそれが横突孔(foramen transversarium)を通過するので、脊椎動脈を破壊する心配がある場合に好都合であることができる。
【0114】
あるいはまた、冷却効果は、フック表面およびフック本体が、脊髄を含む脊柱管の組織を冷却するための伝導性のプラットホームとして働く、ラミナーフック(laminar
hook)のアプローチにより送達することができる。このような実施において、冷媒は、管を介してラミナーフック中に導入することができる。冷媒が冷却された液体である場合は、冷却された液体が管により送達され、フックの内側上の1本または複数の管腔を通して循環されることができる。あるいはまた、冷媒が膨張ガスである場合は、膨張ガスが管により送達され、またラミナーフック内の膨張室内にノズルを通して膨張されることができる。
【0115】
同様に、
図8に示すように、冷却効果は、2個の隣接する棘突起11に取り付けられ、それらの間に嵌合されることができる器具530を通して送達されることができる。器具530は、棘間突起スペーサまたは棘間突起固定装置として働くことができる。このような冷却器具の配置は、器具を、脊髄を含む脊柱管の組織に近接に配置させる。器具530は、送達管532と排出管536を含むことができ、また冷却器具のその他の実施形態に関して本明細書に記載されたあらゆる特徴物または特徴を含むことができる。
【0116】
冷却効果はまた、椎間関節ネジのアプローチにより送達することができる。
【0117】
本明細書に記載の多数の実施は、ロッドまたはその他の類似の構造物のような、安定化および固定構造物と、好都合に連結されることができる。これらのロッドもまた、脊柱管および脊髄の組織を含むそれらの周辺組織に冷却効果を送達するために使用することができる。ロッドを配置することができる様々な部位のために、それらはまた、脊椎から、より側部または後部にある筋肉組織を冷却するために使用することができる。
【0118】
図9は、冷却効果を送達するようになっているロッド668の一つの代表的な実施形態を表す。ロッド668は、冷却された流体または圧縮ガスがそれを通って、ロッド668内に形成された室に供給されることができる送達管632を含むことができる。ロッド668はまた、膨張したガス、または循環した流体がそれを通って室から排出されることができる排出管636を含むことができる。図示された実施形態において、ロッド668は、それぞれ、ロッド668がそこで位置決めネジ678A、678Bにより受け入れられ、締め付けられるチューリップ670A、670B内に収められる多軸頭部部分644A、644Bを含む、第1および第2冷却器具630A、630Bを使用して脊椎に固定される。冷却器具630A、630Bそれぞれもまた、それら自体の送達管632A、632Bおよび排出管636A、636Bをもつ。送達管632、632A、632Bは、共通の供給源を使用することができるように、一緒に架橋し、バス結合し、または連結されることができる。排出管636、636A、636Bにも同様のことが言える。冷却ロッド668はまた、その場合ロッド668が冷却の単独源であることができる、それら自体の冷却能はもたない、伝統的な骨ネジまたはアンカーとともに使用することができることは認められるであろう。
【0119】
本明細書で記載されるような1基を超える冷却器具は、一度に使用されることができ、また更に、複数の異なるタイプの冷却器具を同時に使用することができることは認められるであろう。例えば、冷却ロッドと一緒に、根の冷却器具を、椎間冷却器具と同時に使用することができる。幾つかの場合に、また、とりわけ、ロッドが使用されている場合は、複数の器具が管およびセンサーワイアを共有することができ、また、冷媒の潜在的に1回の送達が、複数の機器に対処するように、相互連絡する室または管腔をもつことができる。更に、あらゆる様々な既存のインプラント、骨ネジ、等を、冷却装置を含むように改良することができる。例えば、既存の骨ネジの挿管内に嵌合することができる冷却器具が、本明細書に開示の原理に従って提供されることができる。更なる例により、それに送達管および排出管を連結されたキャップが、既存の挿管骨ネジに固定され、シールされることができ、その場合、骨ネジの既存の挿管は冷却室として使用されることができる。
【0120】
代表的な経骨髄実施
経骨髄実施の図示の例として、組織の開口を通って経皮的に椎骨の根がアクセスされる。椎体に向う、そして恐らくその中への軸方向の軌道で、その根中にドリルで穴が開けられる。理想的には穴は、根の軸の平行軌道に、しかし穴を囲む壁が脊柱管の側部で非常に薄いように、軸からずらすか、または中心から外して開けられる。その穴中に、骨ネジがねじ込まれる。骨ネジは、穴中への骨ネジの推進を容易にするために、円錐形の先端、ネジ付き円筒形の表面、およびソケットを有する。骨ネジはまた、ガイドワイアに従って骨
ネジの挿入を容易にするために軸穴で挿管される。電動または手動の、スクリュードライバーまたはアレン・レンチのようなドライバーが、骨ネジのソケットに連結され、また骨ネジを推進し、また穴中にそれをねじ込むために、組み合わせて使用される。
【0121】
骨ネジが穴中にインプラントされると、次に、挿入体が骨ネジの空洞中に挿入される。この空洞は挿管のように軸方向で、また従って挿管と接続されるか、または挿管の一部である。挿入体は、圧縮嵌合の摩擦により、骨ネジの空洞中に固定される。
【0122】
挿入体は、挿入体に圧縮ガスを送達する管により、圧縮ガスの制御されたタンクに連結される。第2の管は、挿入体からのガスを、回収システムまたは大気に排出する。挿入体はその内部に膨張室を有し、そこでそれが受け取る圧縮ガスが、膨張ノズルを通して膨張される。それが膨張する時に、それは冷却し、また周囲の挿入体を冷却する。一旦膨張すると、それは排出管から排出される。
【0123】
挿入体は、膨張室の少なくとも一部が、脊柱管と脊髄に最も近位の空洞中に深部に配置されるような深度まで、骨ネジ中に挿入される。
【0124】
挿入体はまた、膨張室に近位の挿入体の金属の温度を測定する温度センサーをその中に埋伏されている。この埋伏された温度センサーは、ワイアにより、挿入体への圧縮ガスの送達を制御するために使用され、また従って、挿入体の冷却効果の送達を制御するために使用されることができる温度のデータを提供する。
【0125】
更に、脊髄に近位の組織温度を測定するために、脊髄の近位に温度プローブが挿入される。この温度情報は、ワイアにより制御ユニットにリレイされ、またガスの送達の手動制御および調節のために表示するか、またはガスの送達を自動的に制御するために使用される。これらの2種の温度測定値は、この制御のために相互と一緒に使用することができる。
【0126】
冷却手順の開始時に、前以て決められた速度でガスを挿入体に送達し、またその温度がモニターされる。ガスの送達は制御され、また挿入体に送達されるガスの速度は、挿入体の温度は、前以て決められた温度に低下されるまで、上昇または低下される。ガスの送達は、挿入体におけるその前以て決められた温度を維持するために連続的に制御される。
【0127】
挿入体が、骨ネジおよび、脊髄を含む周辺組織を冷却開始する時に、脊髄に近位の組織温度がモニターされる。脊髄に近位の組織温度が、前以て決定されたレベルに低下されると、脊髄に近位の組織において前以て決められた温度を維持するために、挿入体へのガスの送達を減少(または増加)するために、冷却の調整が連続的に制御される。
【0128】
前以て決められた時間後、挿入体へのガスの送達は緩徐に減少され、また脊髄に近位の組織の温度はその平熱レベルに緩徐に復帰を許される。
【0129】
冷却手順が完了し、挿入体へのガスの送達が、完全に減少されてガスを送達しなくなると、挿入体は骨ネジから取りはずされる。
【0130】
挿入体を収容することができることに加えて、骨ネジはまた、脊椎の安定化の目的のための多軸頭部をもつことができる。必要な、特定の安定化に望ましい配向で、ロッドの座が多軸頭部上に固定される。この多軸頭部上に、ロッドがその中に配置され、固定される、ロッドの座、または「チューリップ」が取り付けられる。このロッドは、骨ネジを、安定化構造物中に使用されるその他の骨ネジ、または非関連の根のネジに連結し、また、従って、それが根中に固定される時に、骨ネジ上に荷重をかける。
【0131】
代わりの代表的な経骨髄実施
組織を冷却する方法の、代わりの、図示的例として、椎骨の根に経皮的にアクセスされる。ドリル、千枚通しまたその他の方法により、椎体の方向に、そして恐らくその中への軸方向の軌道で根中に穴が形成される。理想的には、穴は、根の軸の平行な軌道中で、しかし穴を囲む壁が脊柱管の側部で非常に薄いように、軸からずれるか、または中心からずれて形成される。その穴中に冷却器具がねじ込まれる。ネジに類似する冷却器具は、穴中への器具の推進を容易にするために、円錐形の先端、ネジ付き円筒形の表面およびソケットを有する。器具はまた、ガイドワイアに沿って器具の挿入を容易にするために、軸穴で挿管される。電動または手動いずれかのスクリュードライバーまたはアレン・レンチのようなドライバーを、器具のソケットに連結し、機器を推進し、それを穴中にねじ込むために、組み合わせて使用する。冷却器具は、より効率的に冷却される冷却器具の少なくとも一部が、脊柱管に最も近い根の部分に近位である距離だけ、穴中に推進される(例えば、循環管腔が配置されているネジの部分が、それが、脊柱管がある場所に近位であるように、穴中に配置される)。
【0132】
冷却器具は、冷却器具に、冷却された生理食塩水を送達する管を介して、変動する流速のポンプに連結される。ポンプは、制御可能な温度をもつ冷蔵された深皿から、冷却された生理食塩水を押し出す。幾つかの場合には、深皿中の生理食塩水を0度Cの近位に維持することが望ましく、他方、他の場合には、深皿中の冷却生理食塩水を、より冷たく、またはより暖かく維持することが望ましい。冷却器具はその内部に循環管腔をもち、そこでそれが受け取る冷却生理食塩水は管腔中を循環されて、冷却器具を有効に冷却する。冷却器具への冷却された生理食塩水の送達においてポンプにより形成される圧力が、冷却器具中に冷却された生理食塩水を押し出す。幾つかの場合に、冷却器具は、冷却生理食塩水の循環のために複数の管腔をもつであろう。幾つかの場合には、1本または複数の管腔は、冷却器具と冷却された生理食塩水の間の熱伝導を改善するように、内部表面積が最大化されるように配列されるであろう−例えば管腔は、管腔の有効な長さを伸長するように、螺線の性状をもつことができる。一旦循環されると、冷却生理食塩水は第2の管により深皿に排出されて戻される。
【0133】
冷却器具はまた、その中に、冷却器具の金属の温度を測定する温度センサーを埋伏され、また、とりわけこの温度センサーは脊柱管に近位の(または、少なくとも、冷却器具の軸に沿った近位の高度にある)冷却器具の一部に配置される。この埋伏された温度センサーは、ワイアにより、深皿中の冷却生理食塩水のポンプ速度および温度を調整するためにそれを使用することにより、冷却器具への冷却生理食塩水の送達を制御するために使用され、また、従って、器具の冷却効果の送達を制御するために使用されることができる温度データを提供する。
【0134】
更に、脊髄に近位の組織の温度を測定するために、温度プローブを脊髄の近位に挿入する。この温度情報は、ワイアにより制御ユニットにリレイされ、また冷却生理食塩水の送達の、手動制御および調整のためにディスプレイするために使用されるか、または冷却生理食塩水の送達を自動的に制御するために使用される。これらの2種の温度測定値は、この制御のために相互と併せて使用することができる。
【0135】
冷却器具はまた、脊椎安定化の目的のために多軸頭部をもつ。ロッドの座は、必要とされる特定の安定化に望ましい配向に、多軸頭部上に固定される。この多軸頭部上に、ロッドがその中に配置され、固定されるロッドの座または「チューリップ」が取り付けられる。このロッドはその他の冷却器具、または安定化構造物中に使用される無関係な根のネジ(またはその他の固定機器)に冷却器具を連結し、また、従って、それが根中に固定される時に、冷却器具上に荷重を課する。安定化構造物が固定された後に、外科的創傷を一部
閉鎖して、冷却法に関連した管およびワイアが創傷開口の通過を維持するのに十分なだけそれを開放して残しておく。
【0136】
冷却法の開始時に、冷却器具に前以て決められた速度で、冷却した生理食塩水を送達し、またその温度をモニターする。冷却した生理食塩水の送達は調整され、また、冷却器具に送達された、冷却した生理食塩水の速度および/または温度は、冷却器具の温度が前以て決められた温度に低下されるまで、上昇または低下される。冷却した生理食塩水の送達は、冷却器具において、その前以て決められた温度を維持するために連続的に調整される。
【0137】
冷却器具が、脊髄を含む周辺組織を冷却し始める時に、脊髄に近位の組織温度がモニターされる。脊髄に近位の組織温度が前以て決められたレベルに低下される時に、冷却の調整が、脊髄に近位の組織において前以て決められた温度を維持するために、冷却器具に対する冷却した生理食塩水の送達を減少(または増加)するように連続的に調整される。
【0138】
前以て決定された期間後に、冷却器具への冷却した生理食塩水の送達は緩徐に減少され、また、脊髄に近位の組織温度は、その平熱レベルへの緩徐な復帰を許される。
【0139】
一旦冷却法が完了し、また冷却器具への冷却した生理食塩水の送達が、冷却した生理食塩水を全く送達しないように完全に低下された後に、それらの残留生理食塩水が管から除去され、そして管およびセンサーワイアが冷却器具から外され、また患者から外される。次に、手術創の残りは閉鎖され、患者の脊椎領域に、それらに連結されたあらゆる安定化構造物と一緒に冷却器具を残すことができる。
【0140】
椎間アプローチ
脊柱管、脊髄、神経根およびその他の組織の冷却はまた、椎間冷却装置により達成することができる。このような装置は、脊椎安定化および椎間体の固定術において、また脊椎の神経組織に冷却効果を提供するために使用することができる。このような装置は、体内装置、体内ケージ、椎間板交換部材または椎間板交換インプラントとしても知られる椎間スペーサを含むことができる。本明細書に記載の装置は、脊椎の領域を冷却するのみならずまた、冷却期間中および椎体の固定術期間中の脊髄に、構造的安定を提供する能力をもつ。
【0141】
椎間スペーサの使用は、椎間板除去後の隣接する椎体の構造的支持、並びに隣接する椎体の固定を促進する分野で一般的である。本明細書に記載の主題は、それを好都合に設置させ、また冷却プラットホームとして働かせ、または冷却効果を提供させる椎間スペーサの態様を含む、冷却効果を送達するためのプラットホームとして椎間スペーサを使用する、脊髄を含む、脊椎中および脊椎の周辺組織を冷却するアプローチを説明する。
【0142】
脊髄傷害をもつ患者における椎間スペーサの外科的配置は、不安定な脊椎を再構築する補助をするための一般的な方法である。本明細書に記載の装置および方法を使用することは、脊髄を含む周辺組織に対する治療的冷却効果の送達を可能としながら、椎間スペーサの機能および恩典を未だ提供する利点をもつ。ここでの利点は、椎間スペーサが患者内に既に設置されており、また装置の治療的冷却の態様の使用が、手術チームの自由裁量にある点である。言い換えると、脊髄に治療的冷却効果を送達するための装置の使用は、椎間スペーサの設置法に関して、何らかの方法で手術チームが実行しようとしていたことを超える、どんな更なる主要な外科的方法をも実施することを、手術チームに要求しない。事実、本明細書に記載の装置と方法は、更なる/別の計測器の必要なしに、脊椎安定化を要する外傷患者において、脊髄の冷却の選択肢を可能にさせる。どんな事象においても、前記の方法を使用し、そして次に固定術(fusion)を実施しないことはあり得ないと
考えられるが、本明細書に記載の方法を実施するために、固定術が明白には必要でない。前記の利点はまた、根のアプローチを含む、本明細書に記載の代わりのアプローチおよび装置の実施形態にも適用されることが認められるであろう。
【0143】
本明細書に記載の装置および方法は、多数の理由のために、脊椎の組織、および、とりわけ、脊髄に冷却効果を送達するための好都合なアプローチを提供することができる。最も重要なことには、椎間腔から冷却効果を提供する方法は、その縁が容易に位置決定可能な、硬い骨状構造物(隣接する椎体)により縦方向に囲まれる領域中への、冷却装置の設置を許す。この椎間腔は解剖学的に容易に識別可能であり、またインプラントされた装置の理想的な室である。前記の室の頭蓋および尾部の境界は、このような装置の硬い埋伏を許す椎体の骨である。更に、この区画された間腔は、脊髄およびそれから延伸する神経根を含む脊柱管の組織に隣接して配置される。これらの属性は、本明細書に記載のような冷却装置を、冷却されることを所望される組織に隣接する部位に、安全にかつ信頼性に設置させる。冷却装置の設置のための間腔が、剛体または半剛体の椎体により囲まれる事実は、該装置に、一旦設置された後は、椎体に対する摩擦により、またはその他のより意図的な固定手段により、その位置に固定されて留まらせ、それが冷却効果の投与前もしくはその間に移動することを防止し−これは、冷却効果が、信頼性にかつ制御可能に投与できるために重要である可能性がある。椎間腔が容易に位置確認可能であり、また外科的方法でしばしばアクセスされる間腔である事実は、その間腔中への冷却装置の標準化された確実な配置を安全かつ信頼性に許す。
【0144】
本明細書に記載の装置は、脊椎中にインプラントされる時に、脊椎中の支持要素として働くそれらの能力のために、固定術に使用することができる。脊髄を含む脊柱管の組織の局所的に冷却する方法の外に、限定はされないが、圧縮荷重、軸方向のねじりおよび脊椎の剪断力を含む荷重を担持する、本明細書に記載の装置の能力は、単一の装置による複数の仕事の達成を許し、それは複数の異なる装置をインプラント(または取り外す)しなければならない事実から救済し、従って患者の処置における危険性と複雑性を縮小させる。本明細書に記載の装置により回避される、この同様な危険性と複雑性は、他の場合には、それらの患者に対する治療的低体温処置を提供し、また従って、改善された結果の機会を患者から奪うことを、潜在的に予防することができる。すなわち、一つの態様において、本明細書に記載の装置のこの二重の目的は、椎間腔へのアクセスの破壊性と危険性のために、他の場合には、単独の冷却装置によりこのような処置を提供しないと考えられる状況において、治療的低体温処置を提供する機会を与える。
【0145】
冷却効果は、椎間腔内または、典型的には終板と椎間板により占有される2個の椎体間の間腔内から、脊髄および脊柱管に適用することができる。とりわけ、組織は、椎間腔中に冷却器具をインプラントすることにより冷却することができる。椎間腔は、多数の異なる方法で外科的に接近することができる、容易に位置決めできる解剖学的特徴物である。更に、椎間腔の幾何学構造は、放射線学的に、または直接の測定のいずれかにより、容易に描かれ、また患者間で比較的一定である。従って、特定の周囲の軟組織は、椎間腔に対する知られた近位においては比較的一定に位置決定される。とりわけ、椎間腔は、脊髄を含む脊柱管の前方側に隣接する。これらの属性は、軟組織の近位に器具をインプラントするためのプラットホームおよび通路として、隣接して位置決定された椎間腔を使用することにより、特定の軟組織を、確実に標的にさせる。冷却のために、近位の、または隣接する組織を標的にするための通路として椎間隙を使用する方法は、処置を望まれる組織を障害する必要を妨げることを補助する。本説明の目的のための障害は、切開、貫通、否定的方法の置き換え、圧縮または、脊柱管の組織に悪影響を与える可能性がある、あらゆるその他の物理的損傷を意味することと捕らえねばならない。器具による組織の接触は、必ずしも前記組織を損傷しないかも知れず、また前記組織の温度を変えることは、本明細書に使用されるように、組織を障害するとは考えるべきではないことを認められるであろう。
【0146】
近位の軟組織および、とりわけ脊髄を含む脊柱管に、冷却効果を与えるための椎間アプローチの好都合な態様は、椎間腔が、剛性または半剛性の椎体により囲まれ、それが冷却器具の確実な設置および固定を可能とする事実である。冷却器具は、椎間腔に架かり、間腔中に摩擦嵌合を形成することにより、椎間腔内に機械的に固定されることができる。冷却器具は、前方平板固定術のようなその他の手段によっても同様に固定されることができる。冷却器具は、それがずれたり、または移動しないように、またそれが提供する冷却効果が、指示された制御可能な方法で、目指した部位に提供され得るように、インプラントされる時に、固定されることができることが重要である可能性がある。冷却器具のあらゆる動きが、その冷却の特徴を変えるのみならずまた、脊髄を含む近位の軟組織に影響を与える可能性がある。
【0147】
脊柱管の組織を冷却するために冷却器具をインプラントするための椎間アプローチの更なる態様は、該機器がまた荷重担持性であり、また従って脊椎の安定化(例えば、脊椎固定術)における統合的役割をもつことができる点である。患者が脊髄損傷を有する、および、患者が治療的低体温の適用から恩典を得ると考えられる多数の症例において、患者はまた、損傷脊椎の安定化およびその後の椎体の一緒の固定術を必要とする可能性がある。このような状況において、本明細書に記載の冷却器具は、椎体間の自然の距離を回復し、その距離を維持し、そしてやがで椎体間の骨の増殖を許す椎間スペーサとして働くことができる。これが、臨床的環境において、そうすることの追加される危険性と複雑性により、冷却器具からの一緒の冷却効果を提供または推奨することを妨げ、または阻む可能性があるので、この二重の機能は、最初に冷却機能を設置し、それを外し、そして次に、隣接する椎体間に適当な高さを維持するための器具を設置する−多工程法の必要を妨げる。
【0148】
脊柱管中およびその周囲の軟組織に冷却効果を提供するための椎間腔アプローチは、軟組織自体およびとりわけ脊髄を損傷せずに、冷却器具のインプラントを許す。すなわち、椎間腔から脊柱管の組織を冷却することにより、標的組織が、冷却器具自体により、また冷却器具をインプラントするために必要な外科的工程により、物理的に損傷されず、移動されず、または切り込まれない。脊髄組織のような特定の組織は、損傷に対して繊細で、敏感であり、またこのような障害は組織に損傷を引き起こす可能性がある。従って、組織に傷害を引き起こす危険性のために、これらの組織、または近位の軟組織中に冷却器具をインプラントすることは危険である可能性がある。従って、硬い骨状構造物により囲まれた(上部および下部)椎間腔内に冷却器具をインプラントし、また近位の軟組織を冷却し、それにより軟組織自体を物理的に損傷せずに軟組織に信頼性の冷却アクセスを許すことが望ましい。
【0149】
特定の態様において、冷却されることが標的とされる軟組織は、脊髄、その他の脊柱管組織および/または神経根組織である。冷却プラットホームとして働く椎間腔は、上部および下部椎体により縦方向に囲まれた間腔(それらの完全な天然の形態でも、または外科的方法または損傷により掘削され、サイズを縮小された形態でも)および、椎体の外周により規定される架空の管により横断面上に緩く囲まれた間腔を含む。言い換えると、椎間腔は、典型的には椎間板(終板を含む、または含まない)により占拠される間腔により区画されるが、その間腔が隣接の椎体の、現在の軸面と隣接するように、隣接する椎体により一旦占拠された間腔内に延伸することができる。隣接する脊柱管の内容物に冷却を提供する椎間腔アプローチは、脊髄を障害し、動かし、または貫通せずに、脊髄を標的にする。これは、このような侵入に対する脊髄の耐性が典型的に最少であるために、重要な考慮点である可能性がある。
【0150】
椎間腔に対する冷却効果の送達は、脊髄、脊柱管および周辺組織の領域の局所的冷却をもたらすことができる。幾つかの症例において、冷却効果は、その他の組織の結果的冷却
をも同様にもたらすように進行することができる。体組織の固有の伝導性並びに、身体のその他の部分に冷却効果を移すことができる血液潅流により、本明細書に記載の冷却器具および、脊柱管の組織双方に対して冷却効果は、局所的でない身体の部分において感知できるが、有意に、より強い冷却効果が局所的に感じられることは認められるであろう。これは、身体の多数の器官に破壊的な結果をもたらす可能性がある、全身冷却としても知られる、全身を冷却するために知られた方法と対照的である。
【0151】
椎間装置およびアプローチ
図10は、その周囲の椎骨に対する椎間腔17を表す。椎間腔17は、隣接する椎骨23、23’の上部および下部椎体10、10’により縦方向に囲まれる。椎間腔17は、通常、輪19および髄20を含んでなる椎間板により占有される空隙である。椎体10、10’の相対する面は、本明細書では、軸面21、21’(それぞれ、椎間腔17に対して上部および下部)と呼ばれ、また終板を含むことができるか、または椎体10、10’の露出された骨状表面であることができる。椎間腔17は典型的には、横断面において、椎体10、10’の周囲または椎間板輪の外側境界により形成される架空の管により囲まれるが、幾つかの場合には、本明細書で記載の装置は、これらの境界を越えて僅かな距離だけ延伸することができる。椎間腔17はまた、脊柱管14と、脊髄16を含むその組織15により囲まれる。
【0152】
図10にみられるように、椎間腔17は、脊柱管14、その組織15および脊髄16に隣接し、物理的にそれらを障害せずに、この間腔を、これらの組織に冷却効果を提供するための好都合なプラットホームにさせる。組織15と脊髄16は、この図に示されたものを越えて、上方および下方に延伸し、またこの図は脊椎のあらゆる2個の隣接する椎骨と、それらの対応する椎間腔を表すことは認められるであろう。
【0153】
図11は、椎体10、10’間の椎間腔17内にインプラントされた、本明細書に記載の主題の代表的な冷却器具730を表す。冷却器具730は、椎体10、10’の軸面21、21’間に配置され−明白には、軸面21は椎体10の下面であり、また軸面21’は椎体10’の上面であり、そこで椎体10は、椎間腔17に対して上方であり、また椎体10’は椎間腔17に対して下方である。軸面21、21’は椎体10、10’の終板であることができるか、または椎体10、10’に対する外科的方法もしくは損傷のいずれかにより露出された、椎体10、10’の骨状物質であることができる。椎間板と椎体10、10’間に天然に存在する終板は、冷却器具730の設置およびインプラントの前またはその期間中に、、部分的にまたは完全に除去される、あるいは何らかの方法で増強されることができる。軸面21、21’が本明細書で言及される時には、外科的に、または傷害のいずれかにより、終板のあらゆる部分の取り除きにより、または椎体10、10’中への掘削により、示される椎体10、10’のあらゆる表面を含むことが意図されることを認めなければならない。従って、軸面21、21’の言及は、終板、椎間腔17に隣接する椎体10、10’の表面、またはあらゆるその他の関連表面を意味すると理解することとする。冷却器具730は、椎間腔17内の様々な配置のみならずまた、様々な形状を採ることができ、また本図面に示された形状および配置は、代表するのみであることに注意しなければならない。
【0154】
多数の場合、冷却器具730がインプラントされる時に、椎間板物質は取り除かれるので、本図面では椎間板は示されていない。幾つかの場合、すべての椎間板が取り除かれ、また、その他の場合には、椎間板のごく一部が取り除かれる。更にその他の場合には、あまり起りそうではないが、椎間板が全く取り除かれず、また冷却器具730は、まだ椎間腔17内の円板中、その上、またはその下に配置されることができる。更に、この図から、脊柱管14および、脊髄16を含む脊柱管の組織15に対する、冷却器具730の近接性が明白であるにちがいない。冷却器具730は、椎間腔17内部への様々な配置のみな
らずまた、様々な形状を採ることができるので、冷却器具730と、脊髄16を含む脊柱管14の組織15との間に、媒介物質があるかも知れず、ないかも知れない。このような物質は椎間板の部分、骨移植片、体液またはその他の体組織であることができる。更に、本図はそれを表していないが、冷却器具730は、それが脊柱管14の組織15に直接接触しているように配置することができる。
【0155】
図12A〜12Fに示したように、冷却器具は、様々な形状とサイズを採ることができ、また椎間腔内のあらゆる場所に配置されることができる。これは間腔の丁度中央部、後方側、前方側、または側部の一方または両方上にそれを配置する方法を含む。冷却器具の形状は単純でも複雑でもよい。
図12Aは部分的輪の形状の断面をもつ冷却器具730Aの実施形態を表す。
図12Bは、楕円形の断面をもつ冷却器具730Bの実施形態を表す。
図12Cは、長方形の断面をもつ冷却器具730Cの実施形態を表す。
図12Dは、六角形の断面をもつ冷却器具730Dの一実施形態を表す。
図12Eは、円形の断面をもつ冷却器具730Eの実施形態を表す。
図12Fは、実質的にT−型の断面をもつ冷却器具730Fの実施形態を表す。
【0156】
図12Bに示したように、各側部上に1基ずつ、2基の器具を配置するように、複数の冷却器具730Bを単一の椎間腔内に配置することができる。冷却器具はどこにでも配置することができるが、脊柱管14の組織15に、そしてとりわけ脊髄16に冷却効果を、より直接的に提供するように、椎間腔の後方側に1基以上の器具を配置することは好都合である可能性があることが認められるであろう。更に、それが、患者の上半身部分の変動する重力および力を支えることができる、平衡された、安定な、そして硬く配置されたスペーサとして働くように、1基以上の冷却器具を配置することが望ましい可能性があることが認められるであろう。すなわち、患者の上半身を直接保持し、支持する特定の配置の能力、特定の配置に、よりよく配置される冷却器具の能力、等のような、様々な因子に基づいて、他の配置に比較した一つの配置に冷却器具を配置することが好都合であることができる。更に、冷却器具の配置はまた、その後の固定法における椎間腔内の骨の増殖の条件および需要により決定されることができる。
【0157】
本明細書に記載の装置のインプラント、調整、操作および部分的または完全な取り外しのために、椎間腔にアプローチおよびアクセスする方法は、多数の異なる方法で進行することができる。これらの方法は、脊椎すべり症を外科的に対処する、弛んだ椎骨片を取り除く、椎間板ヘルニアを処置し、取り除く、椎間腔を除圧術する、および典型的な椎間スペーサをインプラントする時に、一般に使用されるアプローチおよびアクセス法を含む。これらのアプローチは、限定はされないが、前方腰椎(ALIF法に使用されるような)、外側腰椎、後方腰椎(PLIF法に使用されるような)、外側胸椎および前方頸椎アプローチを含む。これらのアプローチは、単独で起ることができるか、または複数のアプローチが同時に、ほとんど同時に、または両外側後方腰椎アプローチ法におけるように連続して起ることができる。幾つかのアプローチは、特定のアプローチを困難にさせることができるレベルの組織および/または器官のために、異なるレベルにおいて他より好都合であるが、外側、前方および後方アプローチは、脊椎のすべてのレベルで使用することができることが認められるであろう(例えば、心臓の存在および位置は、頸椎レベルにおける前方アプローチを困難にさせる)。
【0158】
本明細書に記載のように、装置をインプラントするために、以下の代表的なアプローチを使用することができる:
最初に、脊椎の一つまたは複数のレベルを触診、境界標付けおよび/または蛍光透視により位置確認することができる。次に切開および後退(retraction)法を使用して、椎体を露出させることができる。次に、例えば、メスを使用して輪中に窓を切開し、また下垂体骨鉗子またはリングキューレットを使用して幾らかまたはすべての髄核を切
除することにより、椎間板を完全にまたは一部分切除することができる。次に、石目ヤスリ、櫂形シェーバーおよび/またはキューレットを使用して、すべてまたは幾らかの軟骨性終板を切除することにより、インプラント床を準備することができる。次に、装置を配置することができる。このような配置は、椎間腔の延展を含むことができる(装置が所定の位置に配置されることが意図されるか、または自己延展挿入装置を使用するかどうかに基づき、場合による)。装置のサイズは、試験的スペーサをインプラントすることにより選択することができる。一旦サイズが選択されると、装置の開窓を移植片(装置がまた固定術にも使用されるか否かに応じて、場合による)で充填され、また装置は椎間腔内に配置されることができる。適当な装置の配置は、AP & Lateral放射線写真で確認することができる。装置の管は、皮膚切開部を通して皮膚を出るようにトンネルを通すことができ、次に手術創を閉鎖することができる。
【0159】
本明細書に記載の装置を設置し、インプラントするために、前記に加えて、また医学的慣習に一般的なものに加えて、多数の方法を使用することができることは認められるであろう。
【0160】
椎間冷媒および冷却材源
冷却器具730は、多数の異なる冷媒により冷却効果を提供することができる。例えば、冷媒は、ガスの膨張または、冷却器具730を通る冷却流体の循環であることができる。一つの実施形態において、冷却器具730は、膨張により、冷却器具730中で冷却材として働く圧縮ガスを受け入れることができる。ガスの膨張は、ガスおよびその周囲の冷却器具730に、温度の急速な低下を経験させる。このような適用に典型的なガスは、亜酸化窒素および二酸化炭素を含むが、この適用に使用することができる広範なガスが存在することは認められるであろう。圧縮形態で、幾らかのこれらのガスは、液体であることは認められるであろう。
【0161】
他の実施形態において、冷却器具730は、冷却器具の空洞またはチャンネルを流動して、冷却器具の温度を有効に低下させる冷媒として、冷却された冷却材または冷却された流体を受け入れることができる。典型的な冷却材は生理食塩水、液体窒素およびエチルアルコールを含む。多数の流体をこの適用に使用することができるが、生物学的に安全な流体を使用することに利点があることは認められるであろう。
【0162】
更に他の実施形態において、冷却器具730は、電圧または電流が適用される時、装置の少なくとも一部が温度の低下を経験する、ペルチエ装置のような熱電装置を含むことができる。更に他の態様において、冷却器具730は、冷却器具730の内容物および冷却器具730自体の温度の低下をもたらす、吸熱化学反応を内蔵することができる。冷却器具730をそれにより冷却することができる、様々な手段が存在することは、当業者により認められるであろう。
【0163】
図13は、椎間腔17内に設置され、冷却器具730からの冷却効果の送達を補助する更なる装置に接続された、冷却器具730の代表的な配列を表す。冷媒は、外部の(例えば、体外の)冷却材源731から提供されることができる。冷媒が膨張ガスである実施において、冷却材源731は、冷却材送達管732を通して冷却器具730中に放出される圧縮ガスのタンクであることができる。圧縮ガスが冷却器具730中に入ると、それは冷却器具730内に形成される膨張室(図示されていない)中に、膨張ノズルを通して膨張し、それにより、温度の急速な低下を誘発することができる。あるいはまた、もしくは更に、冷却材源はガスを圧縮するコンプレッサーを含むことができる。幾つかの実施において、圧縮ガスのタンクからの冷媒のこの送達は、冷却材送達管732を経て冷却器具730に流入するガスの量およびガスの圧力を制限するために、制御ユニット733により調整される。制御ユニット733は、手動で制御され、機械的に制御され、またはコンピュ
ーター装置により自動制御されることができる、タンク上の調整弁であることができる。冷却材源731がコンプレッサーである実施において、制御ユニット733は、コンプレッサーがガスを圧縮する程度、またはガスが管732に提供される圧力、を制御することができる。ガスの放出の調整は、確立された治療計画、患者の状態および/または患者の検出可能な生理学的特徴に基づき、手動で、または自動的いずれの場合でも管理することができる。膨張したガスを排出するために膨張室から冷却器具730を出る、更なる管、排出管736が存在することができる。この管は、大気中に、回収タンクにそして/または、順次、再利用のためにガスを再圧縮するコンプレッサーのいずれかに、ガスを排出することができる。
【0164】
制御ユニット733は様々な形態を採ることができ、また冷却材源731から冷却器具730への冷媒の送達の様々な態様、例えば、送達される冷媒の量または、実現される冷却効果に影響を与えるであろう冷媒の温度、圧力、流量、電圧(熱電装置の場合)、またはその他の属性、を制御することができる。その最も簡単な形態において、制御ユニット733は単に、冷媒の送達をオンまたはオフに変えるための機序を提供する。冷却材源731から冷却器具730に流体冷媒の流れを許すための、このような機能の例は、限定はされないが、栓、弁、チューブクランプ(またはその流れを妨げるための配管を摘まむその他の工具)、その他の取り外し可能な物理的妨害構造物、および逆圧を含む。より複雑な形態において、制御ユニット733は、1本以上のセンサーワイア735により送達される1基以上の温度センサー734および/またはその他のセンサーにより測定される温度のようなインプットデータを採り、また流体冷媒の容量流量を決定して押し出す、流体ポンプと接続したPID制御装置であることができる。冷媒の流れを制御する外に、制御ユニット733はまた、冷媒が流体である場合に冷媒の温度および圧力を制御することができる。
【0165】
冷媒が冷却された流体である実施において、冷却材源731は、冷却装置および/または流体を冷却し、押し出すためのポンプまたはその他の装置を伴う冷却された流体の深皿を含むことができ、また冷却材送達管732は、冷却器具730に冷却された流体を送達するためのチューブであることができる。この場合、冷却した流体を冷却器具730から冷却材源731、または回収タンク、または廃棄物排水管に戻す、または排出するための排出管736が存在することができる。
【0166】
送達管および排出管732、736は、プラスチック、シリコーンまたは金属でできた典型的な配管であることができ、または流体連絡するためのあらゆる手段であることができる。管732、736は柔軟な、または硬い性状をもつことができる。
【0167】
冷媒が冷却器具730内に埋伏されたペルチエ装置である実施において、冷却材源731は、ペルチエ装置に電力を供給する電力供給体を含むことができ、制御ユニット733は、電力供給体から送達される電力量を制御することができ、そして冷却材送達管732は、電力供給体からペルチエ装置に電流を送達する1本以上の電気ラインであることができる。このような実施において、ペルチエ装置から体外への排出熱/分離された熱を除去するために、冷却器具730への、また冷却器具からの管を提供することができる。
【0168】
冷却器具730は、本明細書に記述されない他の方法を含む、様々な方法で、冷却効果を形成することができることは認められるであろう。更に、すべての冷媒が必ずしも
図13に示されるような送達管および排出管の双方を利用する、または有するとは限らないであろうことは認められるであろう。更に、2本以上の冷却材送達管732と排出管736を、周辺組織に対する冷却効果の冷却器具の送達に使用することができることは認められるであろう。
【0169】
冷却材源731、制御ユニット733および管732、736は、個別でも一緒にでも、1基を超える冷却器具730に供給することができる。
【0170】
冷却材源731および制御ユニット733は、単一の部品の態様であるか、または単一のハウジング内に共同配置されることができる。冷却材源731および制御ユニット733はまた、別の、識別可能な部品として存在することができる。
【0171】
冷却材源731と制御ユニット733は好都合には、患者の体外に存在することができ、その場合、冷却材送達管732、排出管736、およびあらゆる他の管、並びに冷却器具730への、そして冷却器具からの、冷却材源731および/または制御ユニット733間の、物質または信号を連絡するためのあらゆるワイアまたはその他の手段は、患者の皮膚における組織の開口を通して誘導することができる。あるいはまた、冷却材源731および制御ユニット733のいずれかまたは双方が、患者の体内に設置される症例がある可能性がある。更に、制御ユニット733が十分に小さい場合は、冷却器具730内に配置されることができる。
【0172】
冷媒は、特定の部位における特定の温度のような、前以て決められた冷却効果を送達するために、制御ユニット733により制御されることができる。冷却材が、冷却された液体または膨張性ガスである場合は、冷媒はまた、特定の容量の冷媒の冷却材が送達されるように制御されることができる。冷媒はまた、生理学的特徴の変化、または変化の欠如に基づき調整されることができる。例えば、冷媒の調整、および従って冷却の強度は、定量的および定性的な、感覚または運動誘発ポテンシャル(SEP、MEP)の観察により決定することができる。この例において、その時点で、冷媒の調整が、例えば冷媒の送達速度または温度を調整することにより、冷却効果を増加または減少することができる、患者のSEP/MEPの結果が、低下、改善、または変化し始めるまで、冷媒が特定のレベルで提供される。限定はされないが、血圧、標的組織の温度、特定の組織温度(標的組織に近位)、直腸体温、標的組織の近位または出口の静脈血温度、神経学的所見、肺動脈の状態、心臓の状態、髄膜圧力、潅流圧力、血中酸素&グルコースレベル、ATP濃度、および興奮毒性のマーカー、血管性浮腫、アポトーシス、炎症および酵素反応:を含む多数の生理学的特徴が、冷媒の強度を調整するために使用することができることは認められるであろう。冷媒がいかに調整されるべきかに関する、あらゆるリストに挙げた生理学的特徴に基づいて、定量的または定性的決定を実施することができる。
【0173】
センサー734は、患者の体内またはその周囲にインプラントすることができる。センサー734は、特定の組織の温度、生体構造または器具を感知するための温度センサーであることができ、ここで、この感知温度は、冷却器具730への冷媒の送達を制御するために使用されることができる。センサー734は、センサーワイア735を経て制御ユニット733に接続され、それにより、冷却器具730に冷媒を送達するために、どのくらいの冷媒を送達するべきか、または何度の温度で送達するべきかを決める補助にするための情報のフィードバックループを提供することができる。センサー734はまた、センサーワイア735を経て、ディスプレイ、メーター、ダイアルまたは、冷媒の送達を手動で調整または制御させることができるセンサー734から、何かの形態の出力データを提供するその他のインジケーターに接続されることができる。センサー734はまた、ワイアレスで接続可能であり、またワイアレス接続は、センサーワイア735の代わりに、または、センサーワイア735が光ファイバーである場合には光学的に使用することができる。
【0174】
一つの実施において、センサー734は、冷媒の送達を手動で、または自動的に調整するために使用される、組織の温度データを提供する、脊髄の近位の組織中に埋伏された、サーミスタまたは熱電対のような温度測定センサーである。センサー734はまた、脳脊
髄液の温度を測定するために、脊柱管内容物15の鞘内腔内に埋伏された温度センサーであることができる。センサー734はまた、脳脊髄液の圧力を測定する圧力センサーであることができる。1基を超えるセンサー734、1種を超えるセンサータイプ、および一カ所を超えるセンサー配置場所を同時に使用することができ、また、1本以上の複数のセンサーワイア735により接続された、複数のセンサー734から収集されたデータを、独立して、または組み合わせて使用して、冷媒の送達をいかに調整または制御するかを決定することができることが認められるであろう。使用することができる他のタイプの関連センサーは、限定はされないが、圧力センサー、化学的センサー、電気的センサー、磁気センサーおよび光学的センサーを含む。患者の体内にセンサー自体を配置することを要求しない、遠隔感知のような他のタイプの感知−すべてが冷媒の送達を制御または調整するために使用することができる生理学的特徴を感知するために使用されることができる、ドップラー測定値および機能的MRIを含む、超音波、を使用することができる。一つの態様において、1基以上のセンサーにより測定される情報は、実時間またはほとんど実時間で、冷媒の送達の制御を連続的に調整するために使用することができる。あるいはまた、もしくは更に、感知された情報は、安全性のモニターに使用することができる。それらの使用は必須ではないかも知れないが、センサーワイアまたはその他の通信手段と一緒に、1基以上のセンサーを使用する利点は認められるであろう。
【0175】
冷却器具730は、様々なタイプの、1基以上のセンサーを、その中に、またはその上に埋伏させることができる。一つの実施において、1基以上のセンサーは、冷却器具730の内部または表面温度を測定することができる。1基以上のセンサーはまた、冷却器具730上の内圧または歪のような、冷却器具730のその他の属性を測定することができる。1基以上のセンサーは、センサーワイア737により制御ユニット733に接続することができ、それにより、冷却器具730にどのくらいの冷媒を送達するべきかを決める助けをするための情報のフィードバックループを提供することができる。1基以上のセンサーはまた、センサーワイア737により、ディスプレイ、メーター、ダイアルまたは、冷媒の送達を手動で調整させることができる、1基以上のセンサーから何らかの形態の出力データを提供するその他のインジケーター、に接続されることができる。1基以上のセンサーはまた、ワイアレスで接続することができ、また、ワイアレス接続は、センサーワイア737の代わりに、または、センサーワイア737が光ファイバーであることができる場合には、光学的に使用することができる。使用することができる他のタイプの関連センサーは、限定されずに、圧力センサー、化学的センサー、電気的センサー、磁気センサーおよび光学的センサーを含む。一つの態様において、1基または複数のセンサーにより測定される情報は、実時間またはほとんど実時間で、冷媒の送達の制御を連続的に調整するために使用することができる。あるいはまた、もしくは更に、感知された情報は、安全性のモニターに使用することができる。それらの使用は必須ではないかも知れないが、センサーワイアまたはその他の通信手段と一緒に、1基以上のセンサーを使用する利点は、認められるであろう。
【0176】
図14Aは、冷媒として冷却された流体を使用して冷却されるようになっている、代表的な冷却器具830を表す。図示されるように、冷却器具830は、冷却材送達管832と排出管836間を連結し、それにより冷却器具830を通して冷却された流体をチャンネル輸送し、また従って冷却器具830の少なくとも一つの熱伝導性の壁を冷却する、冷却材チャンネルの形態の内室852をもつことができる。このチャンネルは、コイル状、螺旋状、蛇形であるか、または、チャンネルの内面積を増加し、従って冷却器具830と、循環する冷却液の間の熱移動を増加するための、あらゆるその他の複雑な形状をもつことができる。冷却材チャンネル852の経路は、それが、脊髄16を含む脊柱管14の組織15に冷却効果を、より有効に送達するように、冷却器具830内に好都合に配置されることができる。例えば、冷却材チャンネル852の経路は、冷却器具830の後方部分を通って延伸することができる。
【0177】
図14Aに示されるように、チャンネル852は、冷却材送達管832を排出管836に連結する曲がりくねっった経路であることができる。あるいはまた、チャンネル852は、曲がりくねった経路をもたないかも知れないが、その代わり、より大型の「U」形のような、より直線的、またはより直接的経路を形成することができる。更に、チャンネル852の形状または経路は、冷却材送達管832と排出管836が、どこで冷却器具830の本体に侵入し、排出するかに左右される可能性がある。2本の管が両側に相対する場合は、チャンネル852はそれらの間に直線的経路を形成することができる。更に、冷却材チャンネル852は、拡散し、次に後に1本に収束する複数チャンネル、または複数経路よりなることができる。
【0178】
図14Bは、冷却液がその中を循環することができる、一つの大型冷却室952がその中に提供された冷却器具930の、代わりの態様を示す。冷却室952は、場合により、室952に、管932、936を連結するために、ある距離の、より規制された冷却材チャンネルを利用して、冷却材送達管932を排出管936に連結する。例えば、管932、936の口径と実質的に同一の口径をもつ、別々の冷却材チャンネルを提供することができる。これらのチャンネルは前記の管から後方に延伸して、最終的に冷却器具930の後方部分に形成された、比較的大きい室952中に到ることができる。
【0179】
冷却室952の内面は、順次関連組織を冷却する、冷却室952と冷却器具930間の熱の伝導を改善するための、様々な表面積増加特徴物をもつことができる。例えば、内面は、スカラップ状(scalloped)である、熱伝導フィンをもつ、または冷却材が流通するためのふるいとして働く伝導性素子の網目をもつことができる。あるいはまた、冷却材室952の内面は滑らかであることができる。
【0180】
冷却材室952は、冷却材送達管932からの冷却材の流入と、排出管936中への冷却材の排出を分離して、それにより更に二者間に冷却液を移動させるために、その中に隔壁951を形成されることができる。
【0181】
冷却器具内に形成される冷却材チャンネル、室、等は、様々な形状、サイズ、配向および位置をもつことができ、また、本明細書に記載のものに限定されないことは当業者により認められるであろう。このような特徴物は、冷却器具が、脊髄およびそれから延伸する神経根を含む脊柱管の組織に冷却効果を送達するための手段を提供することができる。更に、冷却材送達管932と排出管936は、様々な方向から、様々な方法でこのようなチャンネルおよび室と連携することができ、また本明細書に記載のものに限定されない。
【0182】
幾つかの場合に、冷却器具、冷却器具内、またはその近位に配置されたチャンネルまたは室、並びに、冷却器具に、または冷却器具の近位に埋伏された、または取り付けられたあらゆるセンサーまたはセンサーワイア、に接続する管は、取り外し可能であることができる。これは、冷却器具が、荷重担持構造支持体として働いて、固定術を容易にするために手術後に患者内部に留まる時に、好都合であることができる。このような場合には、患者内部に流体が残留しないように、あらゆる部品を取り外す前に、冷却された流体を、管、チャンネルおよび/または室、等から除去することができる。この除去は、管、チャンネルおよび/または室に真空をかけることにより、あるいはまた、正圧を適用することにより、実施することができる。
【0183】
図15Aは、膨張可能な素子1086(例えば、バルーン)を含む冷却器具1030の実施形態を表す。図示されるように、膨張可能なバルーン1086は、冷却器具1030内に配置され、また、場合により、室1052(例えば、実質的に円形の断面をもつ冷却材チャンネル)を通って、冷却材送達管1032および排出管1036に連結することが
できる。冷却された流体が冷却器具1030中に循環されると、膨張可能なバルーン1086が冷却流体で膨張され、また冷却流体がバルーン内を循環することができる。一つの実施形態において、バルーン1086は、脊柱管14に最も近位の冷却器具1030の側面に配置される。バルーン1086は、膨張すると、例えば冷却器具1030の後方表面に形成された出口を通り、また脊柱管14に近接に、または直接接触するように延伸し、それにより、脊柱管14に、より近位に冷却効果の源を配置することができる。バルーン1086はまた、冷却器具1030の他の部分より薄く、また、より熱伝導性の壁をもち、従って冷却効果の送達の効率を改善することができる。代わりの実施形態において、室1052は省略され、管1032、1036は、バルーン1086に直接連結することができる。バルーン1086はPET、シリコーン、ラテックスおよびそれらの組み合わせ物を含む、あらゆる様々な異なる材料から形成することができる。バルーン1086が膨らんでいない時は、それは冷却器具1030内に一部または全体が含まれ、またそれは、室1052および/または管1032、1036の残りに対し、サイズ/口径が類似の形状を形成することができる。膨らんだ時は、バルーン1086は、その膨らんでいないサイズの数倍のサイズに膨張することができる。
【0184】
図15Bは、冷却器具1130の内部を通って延伸するよりむしろ、冷却器具1130の外部周囲面に沿って包まれた、送達管および排出管1032、1036に直接連結された膨張可能な素子1186(例えば、バルーン)を含む、冷却器具1130の実施形態を表す。バルーン部分1186は、その領域に最も効率的な冷却を提供するために、脊柱管14に最も近位の冷却器具1130の側上(例えば、冷却器具1130の後方側上)に配置することができる。冷却器具1130の残りからバルーン1186および管1132および1136を取り外すことが望まれる時は、それらを接続しているバルーン1186とともに管1132と1136を片側から引き出し、それにより他方の側に、冷却器具1130の本体を回ってそれに続かせ、そして他方の側から引き出させることができる。言い換えると、バルーン1186を収縮させ、また冷却液の管1132、1136を空にした後、バルーン1186と管1132、1136のアセンブリを患者から引き出すために、張力を他方にかけながら、管の一方を解放することができる。
【0185】
図15Cは、送達管および排出管1232、1236に直接連結された膨張可能な素子1286(例えば、バルーン)を含み、また、膨張可能な素子1286と管1232、1236がその中で冷却器具1230から取り外し可能な、冷却器具1230の実施形態を表す。図示されるように、管1232、1236は冷却器具1230中に形成されたトンネル1288中に通される。トンネル1288と、それを通って延伸する管は、バルーン1286がその後方表面上で冷却器具1230の外側に配置されることができるように、冷却器具1230中をずっと走行する。使用時に、バルーン1286は、圧力下で、それに冷却流体を供給することにより膨らませることができる。バルーン1286は膨張させると、トンネル1288の対応するディメンションより大きいディメンションをもち、それによりバルーン1286がトンネル1288中を前方に通過することを防止する。冷却法が完了する時、またはあらゆるその他の所望の時間に、バルーン1286は、例えば、それから冷却液を除去することにより、または冷却液がそれに供給される圧力を低下させることにより、一部または完全に収縮させることができる。バルーン1286は、収縮されると、前方方向への管1232、1236に対する引っ張り力の適用が、管1232、1236とそれらに連結されたバルーン1286に、トンネル1288を通って完全に引き出させ、また冷却器具1230から分離させることができるように、トンネル1288の対応するディメンションより小さいディメンションをもつ。
【0186】
図16は、冷媒が膨張性ガスまたは、ガスに膨張する液体冷媒である、冷却器具1330の実施形態を表す。図示されたように、冷却器具1330は、ガスまたは圧縮液体冷媒を膨張室内1352中に膨張させる、冷却材送達管1332から下流に連結された膨張ノ
ズル1354を含む。膨張されたガスは、排出管1336を通って膨張室1352から排出されることができる。以前に説明されたように、管1332、1336並びにあらゆるセンサーワイアは、取り外し可能であることができる。更に、膨張室1352は場合により、
図15A〜15Cに関する前記の実施形態と同様な方法で、バルーンのような膨張可能な部材内に形成されることができる。
【0187】
冷媒はまた、冷却器具中に一体にされたペルチエ装置のような、熱電装置であるか、またはそれを含むことができる。このような実施における管は、電気ワイアであるか、またはそれで置き換えることができ、また場合により、熱電装置からのあらゆる熱を取出すための流体循環ループを含むことができる。
【0188】
本明細書に記載のあらゆる実施形態において、あらゆる関連した膨張性部材、室、管、等を含む冷却器具は、その中に、またはその上に1基以上のセンサーを配置させることができる。センサーは、センサーが測定しているものに左右される可能性がある、様々な部位に配置されることができる。一つの実施形態において、センサーは温度を測定することができ、また、それは、脊柱管またはその他の標的組織に最も近位の冷却器具、またはバルーンの縁上、縁中またはその近位にあるような方法で配置されることができる。このようなセンサーの配置は、データを収集させ、また、例えば、制御ユニットに対するインプットとして、冷却効果の送達を制御するために使用させることができる。1基以上のセンサーが、温度、歪、等を含む様々な異なる条件を測定することができることは認められるであろう。
【0189】
1基以上のセンサーは、センサーから取り外し可能であり、そして/または冷却器具から取り外し可能である1本以上のセンサーワイアにより、限定はされないが、制御ユニットを含む、患者の体外の器具に接続されることができる。センサーはまた、センサーワイアとともに取り外し可能であることができる。センサーワイアは全くワイアを構成しないかも知れず、また、その代わりに、光学的チャンネル、ワイアレス接続、またはセンサーのデータを通信するための、当該技術分野で知られたあらゆるその他の手段であることができる。
【0190】
幾つかの実施において、冷却器具は、構造的キャリア部品および、キャリア内に取り外し可能に/選択的に配置可能な冷却部品を含むことができる。冷却部品は、組織に冷却効果を提供する方法に関して、前記の一つ以上の多数の詳細を利用することができる。冷却部品は、構造的キャリア部品中に配置することができ、また、それから取り外し可能(並びにその中に挿入可能)であることができる。一旦、冷却部品が構造的キャリア部品から取り外されると、構造的キャリア部品は、椎間腔内に留まって、荷重担持支持および、隣接する椎体間の間隙を維持することができる。
【0191】
図17は、椎間腔を囲む2個の隣接する椎体間に、所望の距離に等しい高さをもつ直方体を含む、冷却器具1430の代表的な実施形態を表す(終板の洗浄を含む、隣接する軸面の表面準備のような、該領域の適当な準備が実施された後に)。従って、冷却器具1430は、脊椎の異なるレベルで認められる、また、患者間で異なる、ばらつく椎間腔の高さを収容するための、異なる高さで製造されることができる。明らかに、この高さは、終板を含むことにより、または終板が一部または完全に取り去られることができることを認識することにより、椎間腔を囲む椎体間の距離により規定されることができる。椎体または終板の末端の間の所望の距離の高さに冷却器具1430の高さを合わせることにより、冷却器具1430は、矢状バランスおよび適当な生体力学が維持される方法で、椎体間の所望の高さを、より効率的に確立し、また維持することができる。大部分の場合、この高さは、それがあらゆる局所の傷害またはその領域の慢性の変形の前に存在していたであろう椎体間の天然の距離を確立し、維持するようなものであることが望ましい。その他の場
合には、天然の距離より短いか、または長い、隣接する椎体間の距離を確立し、維持するように、その高さがより短いか、またはより長いことを所望することができる。1個以上の椎体の一部が除去された症例があるかも知れず、その場合は、冷却器具の高さは、椎体の残りの軸面の間の距離を測り、維持するのに十分であることができる。
【0192】
冷却器具1430の上面および下面はそれぞれ、椎体および/または固定された終板(適用可能な場合)の軸面の、しばしば天然のくぼみと、より良く適合するように、凸形をもつことができる。他の場合には、冷却器具1430の上面と下面は、椎体および/または、掘削された終板(適用可能な場合)の軸面と適合するためのように、平坦であることができる。更にその他の場合には、冷却器具1430の上面と下面は、脊柱前湾または脊柱後湾曲線を調整または維持するためのような、隣接する椎体間の具体的に指示された角度を確立し、維持するために、相互中に、または相互から離れて(前後方向に)曲げられることができる。冷却器具1430に適用することができるその他の代わりの上面および下面の形状が存在することは認められるであろう。
【0193】
冷却器具1430は、一旦設置された後、椎体の軸面に対してより良く噛み合い、またその位置を維持するように、その上面と下面上に歯1490を含むことができる。他の場合には、冷却器具1430は、椎体の軸面中に斜めに打ち込んだネジのようなその他の手段を使用して、椎体に対して固定されることができる。冷却器具1430の一つ以上の面はまた、骨の増殖および付着を促進する方法で、ざらつきを与えることができる。
【0194】
冷却器具1430の縦の末端は、設置期間に椎間腔内へ「打ち込む」あるいは、より容易な挿入のための形状をもつことができる。このような打ち込まれた先端は、挿入工程中に、隣接する椎体の軸面の間に、冷却器具1430自体を、より容易に配置させる。他の場合には、冷却器具1430は、より鈍い先端をもつことができる。
【0195】
冷却器具1430はまた、骨の移植材料をその中に充填させ、従って隣接する椎体により骨の増殖を促進する、その面における窓または開窓1492をもつことができる。開窓1492はすべての場合に必要なわけではなく、また冷却器具1430はまた、固定術の目的に使用される症例に使用することができる。
【0196】
冷却器具1430はまた、熱伝導性表面1494(例えば、冷却器具1430の他の面または部品の伝導性より有意に高い熱伝導性をもつ面)をもつことができる。冷却器具1430が椎間腔内に設置される時、熱伝導性表面1494の少なくとも一部は、それが脊柱管の組織にその冷却効果を、より効率的に送達することができるように、後方に配向させることができる。熱伝導性表面1494は、比較的高い熱伝導性(組織の伝導性に比較して)をもつ材料でできていることができ、また、それが脊柱管の組織と、膨張室、冷却材チャンネルまたは冷却室のような冷却器具1430の冷却特徴物との間に伝導経路を形成することを助けるように配置することができる。
【0197】
冷却器具1430は、様々な異なる材料を使用して、その形状に成型、粉砕、形成そして/または育てることができる。これらの材料は、金属(例えばチタンおよびステンレス鋼)、プラスチック(例えばPEEK)、セラミックおよび骨の同種移植体を含むことができる。冷却器具1430は、このような材料の単一部品から製造される、同一材料の複数部品から構成される、または異なる材料の複数部品から構成されることができる。冷却器具1430はまた、運動する、またはそれに調整可能な部品をもつことができる。運動する、または調整可能な部品は、隣接する椎体間の運動を保存することが望まれる場合、または所望の高さ(例えば、天然の椎間板の高さ)を回復するために、冷却器具1430またはその部品に、隣接する椎体間に膨張可能にさせることが望まれる場合に、望ましい可能性がある。
【0198】
あらゆる様々な既存の椎間インプラントは、冷却装置を含むために、後から取り付けられることができることは認められるであろう。例えば、既存の椎間インプラントの空洞または開口内に嵌合する、またはそのようなインプラントに連結されることができる冷却器具を、本明細書に開示された原理に従って提供することができる。
【0199】
椎間法および操作
図18は、椎間アプローチを使用して組織を冷却する、代表的な方法のフロー図である。
図18の工程を開始する前に、椎間腔へのアクセスを形成する。このようなアクセスを形成する方法は、様々な異なるアプローチおよび方法を伴うことができる。代表的な方法において、組織の開口を形成することにより問題の脊椎片を露出した後に、繊維輪を切開し、椎間板を、相対する終板とともにそのほとんど全体を取出すことができる。次に、冷却器具の配置が可能であるように開創器を配置することができる。一つの実施形態において、脊柱管の硬膜に直接接して近位に冷却器具の配置を許すために、後縦靭帯を移動または除去することができる。
【0200】
工程200において、冷却器具は組織の開口を通り、椎間腔内に挿入される。冷却器具は、構造的キャリア部品および取り外し可能な冷却部品を含む、複数部品よりなることができる。椎間腔内への冷却器具の挿入は、以前に椎間腔内に設置されたキャリア部品の空洞中への冷却部品の挿入を含むことができる。
【0201】
冷却器具の挿入はまた、ハンマー/木づちおよびタンプによるような工具で、椎間腔内に冷却器具を軽く叩き込む方法を含むことができる。あるいはまた、冷却器具は、空間スプレダーを使用して椎間腔内に配置するか、または所定場所に梃子で配置する(leveraging)ことができる。あるいはまた、冷却器具は牽引を適用中に、椎間腔内に単に滑り込ませることができる。挿入法は、患者および椎間板および隣接する椎体の状態に基づいてばらつく可能性がある。幾つかの場合には、隣接する椎体による圧縮力が、軽く叩く方法、または梃子の使用による冷却器具の強制的挿入を必要とする可能性がある。その他の状態は、冷却器具に椎間腔内の所定場所に単に滑り込ませることができる。
【0202】
冷却器具は、椎間腔内の様々な部位に挿入することができる。冷却器具は好適には、冷却器具の冷却部分が、椎間腔の後側の近位にある、また脊柱管に近位にある、またはそれに隣接するように、椎間腔内に配置される。冷却器具は、椎間腔内の他の場所に配置することができ、また、それでも脊柱管に有効な冷却効果を与えることができることは認められるであろう。冷却器具は、脊椎の一つ以上の多数の椎間腔のいずれかの内に挿入することができることは認められるであろう。
【0203】
冷却器具は、一旦椎間腔内に挿入された後に、隣接する椎体の軸面と冷却器具の表面との間の摩擦により、椎間腔内の所定場所に固定されたまま留まることができる。あるいはまた、冷却器具は、ねじ込み、締め付けまたはその他の手段により、隣接する椎体に固定することができる。
【0204】
工程205において、冷却器具に荷重がかけられる。この荷重は、限定はされないが、すべて隣接する椎体から送達される圧縮力、軸方向の歪および剪断力を含むことができる。この荷重の適用は、すでに圧縮により荷重負荷された椎体間の所定位置中に押し込まれている冷却器具により受動的に存在するか、あるいは、患者の脊椎から牽引を取り除くことにより、または椎骨から延伸器具を取り外すことにより、能動的に適用することができる。これらの荷重は、椎間腔内に配置され、また、それが2つの隣接する椎体間にかかる距離を回復し、維持する冷却器具の性状により、冷却器具上に単に実現され得ることが認められるであろう。冷却器具が担持することができる荷重は、それに限定はされないが、
靭帯組織により形成される、患者の体重により形成される、患者の運動により形成される椎体間の力、および、その他の外科装置により形成される力を含む。冷却器具が担持することができる様々な力または荷重は、冷却器具が冷却効果を送達する前、その間またはその後に適用することができる(工程210)。これらの力の幾らかは、患者が手術室を出て、直立に配置されるまで、冷却器具に適用または実現されることはできないことは認められるであろう。
【0205】
工程210において、冷却効果が冷却器具から送達される。記載される主題の一つの態様において、冷却効果のこの送達は、冷却器具を通して冷却された流体を循環させ、それにより冷却器具自体およびそれに隣接する組織を急速に冷却させる工程を含む。あるいはまた、冷却器具内のペルチエ装置に動力を与えるのみならずまた、冷却器具中に膨張ガスを含む冷却された流体を循環させる工程以外の、他の冷媒を使用することができる。幾つかの実施において、冷却効果の送達は、圧縮ガスのタンクのような冷却材源から冷媒を送達する工程を含む。この工程において、圧縮ガスが冷却器具の方向にチューブ(例えば、冷却材送達管)を通って流動するように、圧縮ガスのタンクを開放することができる。タンクは好適には、どのくらいの量で、どのくらいの速さで、圧縮ガスが冷却器具に送達されるかを制御する調整または制御ユニットをもつことができる。制御ユニットは、単に手動操作弁であることができ、また、冷却効果の送達は、弁を手動開放することにより開始することができる。あるいはまた、制御ユニットは、どのくらいの冷却効果を送達すべきかを決定するために、前以てプログラムされたデータ、または手術時に測定されるデータのいずれかを使用する、コンピューター制御弁を含むことができる。例えば、制御ユニットは、髄腔内に配置された温度センサーからのデータを読み取ることができ、また、髄腔内温度が閾値より下がる時に、制御ユニットは、冷却効果の送達の制限または停止を開始することができる。髄腔内温度が温度閾値を超えて上昇すると、制御ユニットは再度冷却効果を送達開始することができる。定量的および定性的双方の、多数の生理学的特徴(前記の)を、冷却効果の送達を制御する目的のために、制御ユニットへのインプットとして使用することができることは認められるであろう。冷媒が冷却された液体である場合は、制御ユニットは変速ポンプを含むことができる。
【0206】
幾つかの場合には、冷却器具が椎間腔内に設置され、また、すべての管およびワイアが取り付けられた(それらが前に取り付けられなかった場合)後に、冷却効果を送達する前に手術創をほとんど閉鎖して、あらゆる管とワイアが、冷却器具と体外の冷却材源および/または制御ユニットの間で連絡するのに、十分なだけの開口を残す。このような場合、冷却効果が送達され、その後終結した後に、管とワイアを、冷却器具から遠隔的に取り外し、また創傷を再開放する必要なしに、大部分閉鎖された創傷を通して引き出すことができる。代りの場合において、冷却効果が送達され、また管とワイアが取り外され、また患者の身体から取り外された後まで、創傷は開放したままであることができる。
【0207】
代表的な椎間実施
椎間実施の具体的な例として、C5〜C6椎間板を露出するために、前頸椎アプローチにより2個の椎体間の椎間腔にアクセスする。自己保持牽引を配置し、繊維輪を切開し、切除する。相対する終板と一緒に、その近位全体の椎間板を切除する。椎間腔の高さ、幅および深度を測定する。その掘削腔内に、冷却器具が脊柱管の組織に近位の、またはそれに隣接した熱伝導性領域を有するように、また、更に、椎間板が典型的にはバランスした、安定化された方法で担持するであろうと考えられる荷重および圧力を担持することができるように、冷却器具を所定場所に軽くたたき込む。冷却器具が生理学的脊柱前湾症の回復をもたらし、また、前方板を伴い、または伴わずに、骨の移植片のための安定な枠組みをもたらすように冷却器具を測定し、配置するように注意が払われる。隣接する椎体間の圧縮力は、椎体と冷却器具間に、それがその場に維持される十分な摩擦を形成する。
【0208】
冷却器具は、冷却された流体を冷却器具に送達する1本、および流体を、そこで再冷却される深皿に運ぶ1本、の2本の管により、流体ポンプおよび冷却液の深皿に接続される。冷却器具は、その内部に、そこでそれが受け取る冷却流体が通過し、冷却器具および従って周辺組織から熱を伝導して奪う、流体チャンネルをもつ。
【0209】
冷却器具はまた、その中に、脊柱管に最も近い縁の近位の、冷却器具の金属の温度を測定する温度センサーを埋伏されていた。この埋伏温度センサーは、ワイアにより、冷却器具に対する、冷却された流体の送達を制御するために使用することができ、また従って器具の冷却効果の送達を制御するために使用することができる、温度のデータを与える。とりわけ、この温度データは、ポンプの容量−流量、並びに冷却液の深皿の温度の双方を調整するために使用することができる。
【0210】
更に、脊髄の直近の組織の温度を測定するために、脊髄の近位に温度プローブを挿入する。この温度情報は、ワイアにより制御ユニットにリレイされ、またガスの送達の手動制御および調整のためにディスプレイするために使用されるか、または冷却流体の送達を自動的に制御するために使用される。これらの2種の温度測定値は、この制御のために、相互と連携して使用することができる。
【0211】
冷却法の開示時に、冷却された流体は、冷却器具に、前以て決められた容量流量で送達され、またその温度はモニターされる。流体の送達は調整され、また冷却器具に送達される流体の容量流量は、冷却器具の温度が前以て決められた温度に低下するまで、上昇または低下される。更に、冷却された流体の深皿中の冷却された流体の温度も同様に調整することができる。流体の送達は、冷却器具のその前以て決められた温度を維持するために連続的に調整される。
【0212】
冷却器具が、脊髄を含む周辺組織を冷却し始める時、脊髄に直近の組織温度がモニターされる。脊髄に直近の組織の温度が、前以て決められたレベルに低下すると、脊髄に直近の組織に、前以て決められた温度を維持するために、冷却器具への冷却流体の送達を減少(または増加)するように冷却の制御が連続的に調整される。
【0213】
前以て決められた時間後に、冷却器具への冷却された流体の送達は緩徐に低減され、また、脊髄に直近の組織温度は緩徐に平熱に戻される。
【0214】
冷却法が完了し、また冷却器具への冷却された流体の送達が、流体を全く送達しなくなるまで完全に減少された後に、管に真空を適用して、管および冷却器具中に残された、あらゆる残留流体を除去する。一旦完全に除去されると、管並びにあらゆるセンサーワイアが冷却器具から外され、患者の身体から取り外される。冷却器具は椎間腔内の所定場所に留まり、また将来の骨増殖を容易にする補助をするために、その中およびその周囲に骨の移植材料を充填される。手術の切開を閉鎖する。
【0215】
結論の陳述
本明細書に開示されたあらゆる方法、システムおよび装置は、同時に複数の冷却器具を使用することにより、即座に複数の椎骨上および/または即座に各椎骨の複数の骨状構造物上に使用することができることは理解されるであろう。更に、本明細書に開示された方法および装置は、同時に複数の冷却器具を使用することにより、即座に複数の椎間腔上に使用することができることは理解されるであろう。
【0216】
上記の説明は、椎間腔を2つの隣接する椎体間であると推定する。椎体全体が除去される症例があるかも知れず(例えば、完全切除術(full corpectomy))、また、このような症例においては、本明細書に記載の主題の冷却器具は、2個の椎間板と
1個の椎体全体(例えば、C6)により、一旦占居された間腔を占居している、2個の隣接しない椎体(例えばC5〜C7)の軸面の間にわたることができる。
【0217】
本明細書に開示された方法、システムおよび装置は、その他の組織を冷却するためを含む、外傷性脊髄傷害以外の状態のために使用することができることは理解されるであろう。その方法、システムおよび装置は、神経根損傷を処置するためのみならずまた、他のタイプの脊髄傷害のために使用することができる。その方法、システムおよび装置は、予防的に使用することができる。その方法、システムおよび装置は、傷害が起る前、その間および/またはその後に使用することができ、また、実施することができるあらゆる特定の方法に対して、手術前に、手術時に、そして/または手術後に、使用することができる。更に、その方法、システムおよび装置は、傷害関連以外の目的のために使用することができる。
【0218】
とりわけ、本明細書に記載の方法、システムおよび装置は、胸腹部大動脈瘤の修復または腹部大動脈瘤の修復のような動脈瘤修復手術に対する付属法として使用することができる。これらの方法において、脊髄への血流が危うくされて、従って虚血性脊髄傷害の危険を誘導することが一般的である。本明細書に記載の方法、システムおよび装置は、このような虚血期間の防護治療を提供することができる。
【0219】
更に本明細書に記載の方法、システムおよび装置はまた、当初は冷却が意図されない脊椎固定法のために使用することができる。本明細書に記載の方法、システムおよび装置は、冷却効果を送達する能力をもつことが望まれる可能性がある、手術中の合併症が起る可能性がある(例えば、脊柱側湾症是正手術中に誘発される医原性損傷)ことを理解して、固定術のために使用することができる。
【0220】
本明細書に記載の方法、システムおよび装置は、神経根に冷却効果を送達するために予防的に使用することができる。冷却効果のこのような送達は、一つの冷却器具で達成することができるが、標的にされている特定の根の上下に、2基以上の冷却器具を配置されることにより、より良い結果をもたらすかも知れない。神経根への冷却効果の送達はまた、手術時、または手術後に起ることができる。
【0221】
本明細書に開示された方法、システムおよび装置は、哺乳動物の身体の他の部分に使用することができ、また、とりわけ周辺組織に冷却効果を送達するために整形外科的方法とともに使用することができることは認められるであろう。
【0222】
上記に記載の態様は、説明された主題の範囲内に入るものの図示的実施例として与えられるが、その範囲を限定する意図はない。記載の装置と方法は、本明細書に記載の治療の時点で脊椎に使用され、実施される単独の装置および方法であることができるか、または脊椎の減圧術、整復、安定化および固定術に関連したもののような、その他の装置および方法を伴うことができる。
【0223】
本明細書に開示された装置は、1回の使用後に廃棄されるようにすることができるか、またはそれらは数回使用されるようにすることができる。しかし、いずれの場合も、装置は少なくとも1回の使用後に、再利用のために再調整することができる。再調整は、装置の分解の工程、その後の特定の部品の洗浄または交換、およびその後の再組み立て、のあらゆる組み合わせを含むことができる。とりわけ、装置は分解され、また装置の多数の特定の品また部品を、あらゆる組み合わせで、選択的に交換する、または取り外すことができる。特定の部品の洗浄および/または交換時に、装置は、再調整施設で、または手術法の直前に手術チームにより、その後の使用のために再組み立てすることができる。当業者は、装置の再調整は分解、洗浄/交換および再組み立てのための、様々な方法を利用する
ことができることを認めるであろう。このような方法の使用およびその結果の再調整された装置は、すべて本出願の範囲内に入る。
【0224】
本明細書に記載の装置は、好適には、手術前に処理されるであろう。第1に、新規のまたは使用された機器を得て、必要な場合は洗浄する。次に機器を滅菌することができる。一つの滅菌法において、機器をプラスチックまたはTYVEKバッグのような閉鎖および、シールされた容器内に入れる。次に、容器とその内容物を、ガンマ線、x−線または高エネルギー電子のような、容器を貫通することができる放射線の場に配置する。放射線は、器具上および容器中の細菌を殺す。次に、滅菌された器具を滅菌容器内に保存する。シールされた容器は、それが医学施設で開けられるまで、器具を滅菌保存する。
【0225】
以上の説明は具体化および説明の目的で提示されてきた。説明された主題の多数の修飾および変更が当業者に明白であろう。本発明は、特定の実施形態に関して説明されたが、記載された本発明の概念の精神および範囲内で、多数の変更を実施することができることは理解されなければならない。従って、本発明は説明された実施形態に限定されず、以下の請求項の言語により規定される完全な範囲をもつことが意図される。