【実施例】
【0059】
実験
実施例1:
ペンタベンジル化ケルセチンの合成
【0060】
【化19】
【0061】
ジメチルホルムアミド(30ml)中のケルセチン[9](5g)の溶液に炭酸カリウム(34.3gm)を加えた後、ベンジルブロミド(23.7ml)を室温で滴加した。反応混合物を70℃で15時間加熱してから室温に冷まし、これに水(60ml)を加えて撹拌をさらにl時間続けた。沈殿固体をろ過し、水で5回及び酢酸エチルで2回洗浄して10g(80%)の所望生成物[11]を得た。
分析データ:
ESIMS: 753 (M
++1)
【0062】
実施例2:
ペンタベンジル化シアニジンの合成
【0063】
【化20】
【0064】
窒素雰囲気下で乾燥テトラヒドロフラン中の[11](25g,0.0332mol)の撹拌溶液にビトリド(Vitride)溶液(56ml,0.166mmol)を0〜5℃で5分間かけて添加した。反応をこの温度で4時間撹拌した。反応の完了後、冷却しながら反応混合物をNaCl飽和溶液でクエンチした。反応混合物をさらに酢酸エチルで希釈し、有機層を分け、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、減圧下でエバポレートして粗製淡黄色ゴム状塊を得た(30.0g)。上記粗製塊をシリカ上カラムクロマトグラフィーで溶出液として酢酸エチル/ヘキサンを用いて精製して黄色ガム状塊(15.0gm)を得、さらにメタノール性HClで0〜5℃にて2時間、次に25〜30℃で24時間処理した。得られた湿潤ケークを真空下で乾燥させて[14]をピンク色がかった固体として得た。
分析データ:
ESIMS: 738[M
++1]
【0065】
実施例3:
シアニジンからの(±)-エピカテキンの合成
【0066】
【化21】
【0067】
粗製ペンタベンジル化シアニジン[14](2g)を酢酸エチル(30ml)に取り、それにメタノール(10ml)中の10%Pd/C乾燥(0.2g)のスラリーを窒素雰囲気下で加えた。結果として生じた溶液を水素圧下でバルーンを用いて50℃で5時間撹拌した。セライト(Celite)を通して吸引ろ過し、ろ液を濃縮して粗製固体物を得た(0.7g)。この固体物をアセトン(30ml)に取って、ろ紙でろ過した。ろ液を濃縮して0.2gの粗製(+/-)エピカテキン[13]を得た。
分析データ:
ESIMS: 291 (M
++1)
【0068】
実施例4:ケルセチンからの4H-クロメン[15]及び/又は2H-クロメン[16]の合成
【0069】
【化22】
【0070】
メチル三級ブチルエーテル(75.0ml)中の[11](2.5g)の撹拌溶液に重水素化アルミニウムリチウム(0.251mg,3.6当量)を窒素雰囲気下で室温にて少しずつ加えた。この温度で10分間撹拌した後、反応温度を65〜70℃に上げた。同温度で1時間撹拌した後、反応塊を0〜5℃で1N HCl(10ml)溶液を用いてクエンチしてから反応塊の温度を室温に戻した。酢酸エチル(10ml)を反応塊に加えて30分間撹拌してから有機層をデカントし、水層を酢酸エチルで希釈し、セライトベッドでろ過し、水層と有機層を分けた。混ぜ合わせた有機層を減圧下で濃縮してオフホワイトの固体(2.5g)を得た。上記粗製化合物を酢酸エチル(10ml)と室温で4時間摩砕してからろ過し、酢酸エチルで洗浄し、真空下で乾燥させて1.0g(40%)のオフホワイトの固体[4]を得た。[4]の単離後、母液を減圧下で濃縮して淡黄色残渣を得た。得られた半固体を50%酢酸エチル:ヘキサン(250ml)と30分間室温で摩砕して固体を得た。この固体をさらにろ過し、50%酢酸エチル:ヘキサン(200ml)で洗浄した。固体を減圧下で乾燥させて生成物をオフホワイトの固体として得た(0.250g,10%)[16]。
分析データ:
ESIMS: 739[M
++1]
【0071】
実施例5:4H-クロメン[15]からのラセミエピカテキン[13]の合成
【0072】
【化23】
【0073】
一般手順
メタノールと酢酸エチルの1:1混合物(30ml)中の[15](5.00g,6.7mmol)の撹拌溶液に窒素雰囲気下でメタノール(5ml)中の10%Pd/C乾燥(0.5g)のスラリーを加えた。結果として生じた溶液を水素圧下60〜70℃で48時間撹拌した。反応の完了後、反応混合物セライトベッドで吸引ろ過し、ろ液を濃縮して粗製固体物(2.2g,110%)を得た。この固体物をカラムクロマトグラフィーで溶出液としてメタノール/ジクロロメタンを用いて精製して純粋な[13](1.65g,66%)を得た。得られた固体をさらに水(10ml)から再結晶させて薄いピンク色の固体を得た。
分析データ:
ESIMS: 291 [M
++1]
【0074】
実施例6:2H-クロメン[16]からのラセミエピカテキン及びラセミカテキンの合成
【0075】
【化24】
【0076】
一般手順:
メタノールと酢酸エチルの1:1混合物(30ml)中の[16](5.00g,6.77mmol)の撹拌溶液に窒素雰囲気下でメタノール(5ml)中の10%Pd/C乾燥(0.5g)のスラリーを加えた。結果として生じた溶液を水素圧下60〜70℃で48時間撹拌した。反応の完了後、反応混合物をセライトベッドで吸引ろ過し、ろ液を減圧下で濃縮して粗製固体物(2.23gm)を得た。この固体物をカラムクロマトグラフィーで溶出液としてメタノール/ジクロロメタンを用いて精製して[2]及び[4](1.4gm,66%)を得た。上記で得られた固体を分取HPLCで分離した。
生成物:1)ラセミエピカテキン[17]:0.960g(49%)。
2)ラセミカテキン[18]:0.150g(8%)。
分析データ:
ESIMS: 291 [M
++1]
【0077】
実施例7:シアニジンからの4H-クロメン[16]及び/又は2H-クロメン[14]の合成:
【0078】
【化25】
【0079】
ジクロロメタン(5ml)中の[14](0.200g,0.27mmol)の撹拌溶液に、室温で酢酸(7ml)を加えた。結果として生じた暗赤溶液にシアノ水素化ホウ素ナトリウム(0.034g,0.54mmol)を一度に加えた。反応混合物を室温で10分間撹拌した。水(10ml)を添加して反応混合物をクエンチし、酢酸エチル(50ml×2)で抽出した。有機層を減圧下で濃縮して薄黄色固体を得た。固体をエーテル及びペンタンから再結晶させてオフホワイトの固体を得た[15及び16](0.150g,75%)。
分析データ:
ESIMS: 739 [M
++1]
【0080】
実施例8:
(±)-5,7,3',4'-テトラ-O-ベンジル-エピカテキン[19]の合成
【0081】
【化26】
【0082】
ジメチルホルムアミド(5.0ml)中の(±)-エピカテキン[17](0.500g,1.724mmol)の溶液に炭酸カリウム(1.43g,10.345mmol)を添加後、ベンジルブロミド(0.88ml,7.241mmol)を室温で滴加した。反応混合物をRTで20時間撹拌し、水(6ml)でクエンチした。酢酸エチルを用いて生成物を抽出した。有機層を水で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させた。ロータリーエバポレーター(Rotavapor)で真空下にて過剰溶媒を除去して1.1g(収率98%)の所望生成物を得た。粗製固体をカラムクロマトグラフィーでシクロヘキサン中5〜15%の酢酸エチルを用いて精製して所望生成物[19]を固体(0.7g,78%,>85%純度)として得た。
分析データ:
ESIMS: 651 (M
++1)
1H-NMR (CDCl
3, 300 MHz):δ (ppm) 7.47-7.311 (m, 20H), 7.14-7.15 (d, 1H, J = 1.5 Hz), 7.00-6.99 (d, 1H, J = 1.5 Hz), 6.98 (s, 1H), 6.28 (s, 1H), 6.27 (s, 1H), 5.21 (s, 2H), 5.19 (s, 2H), 5.02 (s, 2H), 5.01 (s, 2H), 4.94-4.92 (d, 1H, J = 6.0), 4.22 (m, 1H), 4.06 (s, 1H), 3.08-2.98 (dd, 1H, J = 2.4, 17.1) 2.96-2.89 (dd, 1H, J = 4.5,17.7)。
【0083】
実施例9:
(S)-(2R,3R)-5,7-ビス(ベンジルオキシ)-2-(3',4'-ビス(ベンジルオキシ)フェニル)クロマン-3-イル2-メトキシ-2-フェニルアセタート[21]の合成
【0084】
【化27】
【0085】
(±)-5,7,3',4'-テトラ-O-ベンジル-エピカテキン[19](0.500g,0.768mmol)、トリエチルアミン(0.64ml,4.61mmol)及びジメチルアミノピリジン(5mlの乾燥ジクロロメタン中0.025g)の撹拌溶液に、ジクロロメタン中(S)-2-メトキシ-2-フェニルアセチルクロリド[20](0.426g,2.31mmol)の調製したての溶液を窒素下で室温にてゆっくり滴加した。[(S)-2-メトキシ-2-フェニルアセチルクロリド[20]は別に(S)-2-メトキシ-2-フェニル酢酸と塩化チオニルを乾燥ジクロロメタン中で触媒量のジメチルホルムアミドと30分間撹拌し、過剰の塩化チオニルとジクロロメタンを真空下で除去することによって調製した]。添加後、反応混合物を40℃で5〜6時間撹拌し、TLCでモニターした。出発物質が完全に消費されたら、反応混合物を周囲温度に冷まし、有機層を水、次にブライン溶液で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空下で濃縮して0.500gの濃厚な粘性半固体を得た。この粘性固体をメタノール(5ml)で処理して固体沈殿物を得た。沈殿物をろ過して[21]を固体(0.235g)として得た。これは、HPLC及び
1H NMR分析に基づいて約85%のジアステレオマー過剰で所望のジアステレ異性体に富んでいた。
【0086】
ジアステレオマーの分別結晶化
50mgのこの富化された固体を最小量のジクロロメタンに溶かして清澄溶液を作った。メタノールを滴加して溶液を混濁させて周囲温度(27℃)で一晩放置して沈殿物を得、これをろ別し、乾燥させて、分析HPLC及び
1H NMR分析により判定したところ>95%のジアステレオマー過剰で25mgの生成物を得た。主ジアステレオ異性体の絶対配座は、市販の(2R,3R)-エピカテキンから調製した(S)-(2R,3R)-5,7-ビス(ベンジルオキシ)-2-(3',4'-ビス(ベンジルオキシ)フェニル)クロマン-3-イル-2-メトキシ-2-フェニルアセタートの基準試料とのHPLC比較により決定した。
分析データ:-
ESIMS: 799.8(M
++1)
1H-NMR (CDCl
3, 300 MHz): δ (ppm) 7.48 - 6.92 (m, 28 H), 6.27 - 6.26 (d, 1H, J = 2.1 Hz), 6.20 - 6.19 (d, 1H, J = 2.1 Hz), 5.45 (m, 1H), 5.17 (s, 4H), 5.01 - 5.04 (d ,s, 3H), 4.93 - 4.82 (dd, 2H, J = 11.7, 21.6), 4.57 (s, 1H) 3.17 (s, 3H), 2.87 - 2.79 (dd, 1H, J = 4.2, 16.2) 2.72 - 2.65 (dd, 1H, J = 3.3,15.6)。
【0087】
実施例10:
(2R,3R)-5,7,3',4'-テトラ-O-ベンジル-エピカテキン[23]の合成
【0088】
【化28】
【0089】
メタノール(1ml)とジクロロメタン(2ml)中の(S)-(2R,3R)-5,7-ビス(ベンジルオキシ)-2-(3',4'-ビス(ベンジルオキシ)フェニル)クロマン-3-イル-2-メトキシ-2-フェニルアセタート[22](0.100g,0.125mmol)の撹拌溶液に炭酸カリウム(0.052g,0.376mmol)を周囲温度で加え、結果として生じた混合物を周囲温度で25〜30時間撹拌した。TLC分析による反応の完了後、蒸留して過剰の溶媒を除去し、粗製固体をジクロロメタンに溶かして水、次にブライン飽和溶液で洗浄した。有機層を分離し、硫酸ナトリウム上で乾燥させた後に溶媒を真空下で除去して粗製(2R,3R)-5,7,3',4'-テトラ-O-ベンジル-エピカテキン[23]を得た(0.070g)。
分析データ:
ESIMS: 651 (M
++1)
1H-NMR (CDCl
3, 300 MHz): δ (ppm) 7.47 - 7.311 (m, 20H), 7.14 - 7.15 (d, 1H, J = 1.5 Hz), 7.00 - 6.99 (d, 1H, J = 1.5 Hz), 6.98 (s, 1H), 6.28 (s, 1H), 6.27 (s, 1H), 5.21 (s, 2H), 5.19 (s, 2H), 5.02 (s, 2H), 5.01 (s, 2H), 4.94 - 4.92 (d, 1H, J = 6.0), 4.22 (m, 1H), 4.06 (s, 1H), 3.08 - 2.98 (dd, 1H, J = 2.4, 17.1), 2.96 - 2.89 (dd, 1H, J = 4.5,17.7)。
【0090】
実施例11:
(-)-エピカテキン[24]の合成
【0091】
【化29】
【0092】
酢酸エチル(5ml)中の(2R,3R)-5,7,3',4'-テトラ-O-ベンジル-エピカテキン[23](0.07g,0.108mmol)の撹拌溶液に、酢酸エチル中のPd(OH)
2(0.011g)のスラリーを周囲温度で加えた。混合物を水素雰囲気下で圧力バルーンを用いて周囲温度で40時間撹拌した。反応塊をセライト上でろ過し、ろ液から高真空下で溶媒を除去して0.010mgの(-)-エピカテキン[24]を得た。
分析データ:
ESIMS: 291 (M
+)
1H-NMR (D6-DMSO, 300 MHz): δ (ppm) 9.11 (s, 1H), 8.90 (s, 1H), 8.81 (s, 1H), 8.72 (s, 1H), 6.88 (s, 1H), 6.65 (s, 2H), 5.89 (d, 1H, J = 2.1 Hz), 5.70 (d, 1H, J = 2.4 Hz), 4.72 (s, 1H), 4.66 (d, 1H, J = 4.5 Hz), 3.98 (m, 1H), 2.63 - 2.71 (dd, 1H, J = 4.2, 16.2) 2.44-2.49 (dd, 1H, J = 3.3,15.6)。
【0093】
実施例12:
(R)-(2S,3S)-5,7-ビス(ベンジルオキシ)-2-(3',4'-ビス(ベンジルオキシ)フェニル)クロマン-3-イル 2-メトキシ-2-フェニルアセタート[27]の合成
【0094】
【化30】
【0095】
(±)-5,7,3',4'-テトラ-O-ベンジル-エピカテキン[25](0.700g,1.077mmol)、トリエチルアミン(1.5ml,4.61mmol)及びジメチルアミノピリジン(7mlの乾燥ジクロロメタン中0.035g)の撹拌溶液に、ジクロロメタン中(R)-2-メトキシ-2-フェニルアセチルクロリド[26](0.59g,3.231mmol)の調製したての溶液を窒素下で室温にてゆっくり滴加した。[(R)-2-メトキシ-2-フェニルアセチルクロリド[S15]は別に(R)-2-メトキシ-2-フェニル酢酸と塩化チオニルを乾燥ジクロロメタン中で触媒量のジメチルホルムアミドと30分間撹拌し、過剰の塩化チオニルとジクロロメタンを高真空下で除去することによって調製した]。添加後、反応塊を40℃で5〜6時間撹拌し、TLCでモニターした。出発物質の消費が完了したら、反応混合物を周囲温度に冷まし、有機層を水、次にブライン溶液で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空下で濃縮して濃厚粘性半固体を得た(900mg)。この粘性固体を10mLのメタノールで処理して固体沈殿物を生じさせた。この沈殿物をろ過して固体(750mg)を得た。これは、
1H NMR及びHPLC分析に基づいて40%のジアステレオマー過剰で所望のジアステレオ異性体[27]に富んでいた。
【0096】
実施例13:2H-クロメン[16]からの4H-クロメン[15]の合成
【0097】
【化31】
【0098】
トルエン(10ml)中の[16](0.200g,0.27mmol)の撹拌溶液にパラ-トルエンスルホン酸(0.013mmol)を室温で加えた。反応混合物を室温で15分間撹拌してから反応温度を85〜90℃に上げ、この温度で一晩撹拌した。水を添加して反応混合物をクエンチし、酢酸エチルで希釈した。混ぜ合わせた有機層を炭酸水素ナトリウム飽和溶液で洗浄し、減圧下でエバポレートして暗赤色の粘着性物質[15]を得、何ら精製せずにエピカテキンへの変換のためにさらに使用した。
【0099】
実施例13:ジアステレオ異性体の分別結晶化
この0.750gの固体を次に最小量のジクロロメタンに溶かした後、数滴のメタノールの添加により混濁させて一晩放置した。このようにして得られた固体沈殿物をろ別し、乾燥させ、HPLC及び
1H NMRを用いてジアステレオマー過剰について評価した。上記沈殿プロセスを4回繰り返して>92%のジアステレオマー過剰で50mgの生成物[27]を得た。(ラセミエピカテキンから12%の収率)。
分析データ:
ESIMS: 799.8(M
++1)
1H-NMR (CDCl
3, 300 MHz): δ (ppm) 7.48 - 6.92 (m, 28H), 6.27 - 6.26 (d, 1H, J = 2.1 Hz), 6.20 - 6.19 (d, 1H, J = 2.1 Hz), 5.45 (m, 1H), 5.17 (s, 4H), 5.01 - 5.04 (d, s, 3H), 4.93 - 4.82 (dd, 2H, J = 11.7, 21.6), 4.57 (s, 1H) 3.17 (s, 3H), 2.87 - 2.79 (dd, 1H, J = 4.2, 16.2) 2.72 - 2.65 (dd, 1H, J = 3.3,15.6)。
【0100】
実施例14:
(2S,3S)-5,7,3',4'-テトラ-O-ベンジル-エピカテキン[28]の合成
【0101】
【化32】
【0102】
メタノール(0.25ml)とジクロロメタン(0.5ml)中の(R)-(2S,3S)-5,7-ビス(ベンジルオキシ)-2-(3',4'-ビス(ベンジルオキシ)フェニル)クロマン-3-イル 2-メトキシ-2-フェニルアセタート[27](0.050g,0.063mmol)の撹拌溶液に炭酸カリウム(0.026g,0.188mmol)をRTで加え、結果として生じた混合物を周囲温度で25〜30時間撹拌した。TLC分析による反応の完了後、蒸留して過剰の溶媒を除去し、粗製固体をジクロロメタンに溶かし、水、次にブライン飽和溶液で洗浄した。有機層を分離し、硫酸ナトリウム上で乾燥させた後、高真空下で溶媒を除去して0.040g(TLCで80%の純度)の粗製(98%)(2S,3S)-5,7,3',4'-テトラ-O-ベンジル-エピカテキン[28]を得た。
分析データ:
ESIMS: 651 (M
++1)
1H-NMR (CDCl
3, 300 MHz): δ (ppm) 7.47 - 7.31 (m, 20H), 7.14 - 7.15 (d, 1H, J = 1.5 Hz), 7.00 - 6.99 (d, 1H, J = 1.5 Hz), 6.98 (s, 1H), 6.28 (s, 1H), 6.27 (s, 1H), 5.21 (s, 2H), 5.19 (s, 2H), 5.02 (s, 2H), 5.01 (s, 2H), 4.94 - 4.92 (d, 1H, J = 6.0), 4.22 (m, 1H), 4.06 (s, 1H), 3.08 - 2.98 (dd, 1H, J = 2.4, 17.1) 2.96 - 2.89 (dd, 1H, J = 4.5, 17.7)。
【0103】
実施例15:
(S,S)-エピカテキン[29]の合成
【0104】
【化33】
【0105】
酢酸エチル(5ml)中の(2S,3S)-5,7,3',4'-テトラベンジル化エピカテキン[28](0.04g,0.062mmol)の撹拌溶液に、酢酸エチル中のPd(OH)
2(0.006g)のスラリーを周囲温度で加えた。混合物を水素雰囲気下で圧力バルーンを用いて周囲温度で40時間撹拌した。反応塊をセライト上でろ過し、ろ液から高真空を利用して溶媒を除去して0.006g(収率33%)の(S,S)-エピカテキン[29]を得、分取TLC(溶媒系:ジクロロメタン中15%のメタノール)で精製して0.004g(22%,98.43%純度)の所望化合物[29]を得た。
分析データ:
ESIMS: 291 (M
+)
1H-NMR (D6-DMSO, 300 MHz): δ (ppm) 9.11 (s, 1H), 8.90 (s, 1H), 8.81 (s, 1H), 8.72 (s, 1H), 6.88 (s, 1H), 6.65 (s, 2H), 5.89 (d, 1H, J = 2.1 Hz), 5.70 (d, 1H, J = 2.4 Hz), 4.72 (s, 1H), 4.66 (d, 1H, J = 4.5 Hz), 3.98 (m, 1H), 2.63 - 2.71 (dd, 1H, J = 4.2, 16.2) 2.44-2.49 (dd, 1H, J = 3.3,15.6).
【0106】
実施例16:ラセミエピカテキン/カテキンのキラル分取HPLC分割:
分離の分析HPLC法:
エピカテキンのラセミ混合物をメタノールに溶かし、そのキラル純度を25℃の温度で逆相CHIRAL PAK(登録商標)IC(250×4.6)mm、5μカラムでチェックした。使用した移動相はヘキサン/エタノール/トリフルオロ酢酸//60/40/0.05(v/v/v)であり、1.0ml/分の流速及び10μlのサンプル注入体積であった。UV 280nmにてPDAでシグナルをモニターした。両異性体は、約1.6分の保持時間の差で分離した。15分のランでは、HPLCでより速い動きの異性体は4.7分で溶出し、より遅い動きの異性体は6.3分で溶出した。
【0107】
分離の分取HPLC法:
ラセミ混合物(0.200g)をメタノールに溶かし、分取HPLCでCHIRAL PAK(登録商標)IC(250×20)mmカラムで25℃の温度にて分離した。サンプル注入体積は2.0mlであり、供給濃度は5mg/mlであった。使用した移動相はヘキサン/EtOH//60/40v/vであり、18ml/分の流速であった。検出はUV 280nmにてPDAで行なった。より速い動きのエピカテキン異性体I(0.085g)は4.7分で溶出し、より遅い動きのエピカテキン異性体II(0.084g)は6.3分で溶出し、それぞれ99.6%及び99.8%の定性的純度であった。
分割された異性体のどちらかへの絶対配座の割当は、同様のHPLC条件下で市販の天然エピカテキン(2R,3R)の保持時間と比較した、合成されたラセミエピカテキンの2種のエナンチオマーの保持時間に基づいて行なった。保持時間に基づき、6.3分で溶出した動きの遅い異性体を(-)-エピカテキン((2R,3R)-2-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-3,4-ジヒドロ-1(2H)-ベンゾピラン-3,5,7-トリオール)異性体であると割り当て、4.7分で溶出した動きの速い異性体を(+)-エピカテキン(((2S,3S)-2-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-3,4-ジヒドロ-1(2H)-ベンゾピラン-3,5,7-トリオール)異性体であると割り当てた。