(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
軽量複合材は、コイルで縦に巻かれることができるシートの形状であり、軽量複合材は一般に均一の厚みを有し、1以上の金属挿入物は、第1の金属板と第2の金属板に直接的にまたは間接的に取り付けられ、ポリマー層は第1の金属板と第2の金属板に直接的にまたは間接的に取り付けられる、ことを特徴とする請求項2に記載の軽量複合材。
ポリマーは、ASTM D3418−08によって測定されるような80°Cよりも高いピーク融解温度を有する熱可塑性ポリマーを含み、熱可塑性ポリマーはポリオレフィンを含む、ことを特徴とする請求項3に記載の軽量複合材。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本明細書の教示による軽量複合材(すなわち、不均質な軽量複合材)は、様々な厚みを有するテーラードブランク溶接を使用して達成されたように、異なる性能特性を有する領域を必要とする部品の必要性を満たすことができる。不均質な、機械的な、および/または物理的な特性を有する新規な複合材を用いることで、例えば、テーラードブランク溶接を使用して作られた部品と比較して、驚いたことに、部分の重量をさらに減らす、および/または、製造を容易にすることが可能である。必要とされる不均質な特性を得るために様々な手法が駆使されてもよい。例えば、複合材は1つ以上の補強または強化部品を使用してもよく、複合材は厚みの異なる1つ以上の部品を使用してもよく、複合材は異なる材料を使用してもよく、あるいは、これらの任意の組み合わせを使用してもよい。
【0017】
本明細書の教示による軽量複合材は、
図1で示された複合材(10)などの、一般に均一な厚みと一般に均一な特性を有する他の複合材とは異なる。例えば、一般に均質な特性を有する複合材が記載されており、例えば、(2011年2月15日に出願された)国際特許出願公開WO2010/021899、および、WO2011/100734、ならびに、国際特許出願PCT/US11/45778(2011年8月15日に出願)を参照のこと。これらはすべてそのまま引用することによって本明細書に組み込まれる。
図1によって例証された複合材シートの断面に関して、複合材(10)は、一対の金属層(12)、および金属層(12)の間に置かれたコア層(14)を含むサンドイッチ複合材でもかまわない。
図1で示された複合材(10)は一般に、複合材の長さと幅に沿って均一な厚みを有している。
図1で示された複合材(10)は、複合材の長さと幅に沿って、一般に均一な特性(例えば、一般に一定の引張特性、一般に一定の剛性、またはその両方)を有している。コア層(14)および金属層(12)はそれぞれ一般に一定の厚みを有してもかまわない。コア層(14)はポリマー(16)および金属繊維(18)を含んでもよい。
図1の金属繊維は、コア層の厚みと比較して比較的小さな幅と厚み(例えば、その長さに垂直な方向に)を有している。複合材(10)の任意の位置にある金属層(12)の間の空間における金属の量は、一般に約60体積%未満、50体積%未満、または40体積%未満である。それ自体としては、複合材(10)は、制限された、または一般に均一な金属補強材を含む。
【0018】
本明細書の教示による軽量複合材は、断面の異なる、機械的特性の異なる、またはその両方を有する、2つ以上の領域を有するという点で、一般に不均質である。
図2に関して、不均質な軽量複合材(20)は、第2の領域(26)として断面の異なる第1の領域(24)を有しても構わない。第1の領域(24)は、一対の金属層(12)の間に置かれた挿入物(22)を含んでもよい。第2の領域(26)は、1つ以上のポリマー(16)を含むコア層(14)を含んでも構わない。挿入物(22)は好ましくは、コア層(14)の引張強さよりも高い引張強さを有する材料から作られる。コア層は随意に十分な量の1以上の金属繊維(18)を含んでもよく、その結果、抵抗溶接方法を用いて第2の領域を溶接することができる。
図2で示されるように、挿入物(22)は、金属層(12)の一方または両方と接触してもよく、および/または、コア層(14)は金属層(12)の一方または両方と接触してもかまわない。例えば、コア層(14)、挿入物(22)、またはその両方は、それぞれの領域で2つの金属層(12)の間の空間に及んでもよい。
図2で示されるように、挿入物(22)はコア層(14)と接触してもよい。例えば、挿入物(22)は、挿入物(22)の端面(23)上でコア層(14)と接触してもかまわない。挿入物(22)とコア層(14)の間の唯一の接触は、挿入物(22)の1つの端面(23)に沿ったものでもかまわない。
【0019】
不均質な軽量複合材は、比較的高い引張強さ(24)を有する少なくとも2つの領域と、比較的低い引張強さ(26)を有する領域を含む、
図3で示された複合材(20)の断面などの、2つ以上の領域を含んでもよい。比較的低い引張強さ領域(26)は、2つの隣接する比較的高い引張強さ領域(24)を分離させることもある。複合材(20)は2つの挿入物(22)を含んでもよい。挿入物(22)の一方または両方は、2つの金属層(12)の間の距離に及ぶこともある。コア層(14)は、2つの金属層(12)の間の距離に及ぶこともある。挿入物(22)の一方または両方は、挿入物(22)の端に沿ってコア層(14)と接触してもよく、またはその任意の組み合わせで接触してもかまわない。
図2、3、4、5、6、7、および8で示された断面に関して、複合材(20)は一般に均一な厚みを有してもかまわない。それ自体としては、複合材(20)の不均質な特性は主として、複合材の異なる領域の材料の差に(またはそれだけに)よるものであってもかまわない。不均質な軽量複合材(20)は、
図3で示されたように、複合材料の1つ以上の端面(25)に伸長する挿入物(22)を有してもよい。それ自体としては、複合材料は、周囲領域に沿った比較的高い引張強さと、中央領域に沿った比較的低い引張強さを特徴とする幅を有することもある。複合材料は、
図4で示されたように、2つ以上の比較的低い引張強さ領域(26)を含んでもかまわない。例えば、2つの隣接する比較的低い引張強さ領域(26)は、1つ以上の挿入物(22)によって離されてもよい。複合材は、
図4で示されるように、2つの挿入物(22)、異なる幅を有する2つのコア層(14)、またはその両方を含んでもよい。挿入物(22)は、
図4で示されるように、挿入物の2つの縁上でコア層材料と接触しても構わない。
【0020】
2つ以上の挿入物を有する複合材料は、同じ材料または異なる材料で作られる挿入物を含んでもよい。例えば、複合材料は、同じまたは異なる特性(例えば、引張強さ、密度、厚み、またはその任意の組み合わせ)を有する第1の挿入物および第2の挿入物を含んでもよい。特定の挿入物の材料は、複合材料の機能要件によって決定されてもよく、それは複合材料の領域ごとに変わってもよい。例示目的のために、複合材の第1の領域は、異なる領域よりも高い強度を必要とすることもあり、それは、異なる領域中の挿入物と比べて、第1の領域中の高い引張強さのおよび/または厚みのある挿入物を用いて、達成されることもある。
【0021】
挿入物(24)の領域で金属層(12)の分離距離未満の厚みを有する挿入物(22)が、
図5および6で例証されるように企図される。例えば、挿入物(22)は、(
図5で示されるように)1つの金属層(12)としか接触しないこともあり、あるいは、挿入物(22)は、(
図6で示されるように)金属層(12)と接触しないこともある。挿入物(22)と金属層(12)の間の空間は、ポリマー材料(30)を含んでもかまわない。ポリマー材料(30)は、コア層(14)の材料と同じであるか、異なることもある。挿入物は、
図6で示されるように、ポリマー材料(30)またはコア層(14)のいずれかと接触する4つの表面を有してもかまわない。
【0022】
図7および8に関して、コア層(14)は、厚み(例えば、平均厚み)(34)を有してもよく、第1の金属層は厚み(32)を有してもよく、第2の金属層は厚み(36)を有してもよい。コア層の厚みが十分に高くてもよく、その結果、複合材の重量が一般に低い(例えば、同じ寸法をしており、第1の金属層および/または第2の金属層と同じ金属で作られた、一枚板の金属材料の重量よりも少なくとも約5%、少なくとも約10%、あるいは少なくとも約15%低い)。例えば、コア層(34)の厚みは、第1の金属層(32)の厚み、第2の金属層(36)の厚み、またはその両方よりも大きくてもよい。好ましくは、コア層(34)の厚みは、第1と第2の金属層(32)(36)を合わせた厚みの厚みよりも大きいこともある。
図8に関して、挿入物は、t
iによって与えられる厚み(例えば、平均厚み)(40)を有してもよく、挿入物(22)と第1の金属層(12)の間の分離(42)は、距離t
s1であってもよく、挿入物(22)と第2の金属層(12)の間の分離(38)は、距離t
s2であってもよい。挿入物の厚み(t
i)は、t
s1よりも大きく、t
s2よりも大きく、あるいは、その両方よりも大きくてもよい。t
s1+t
s2に対するt
iの比率は、好ましくは約1以上、より好ましくは約1.5以上、さらにより好ましくは約2以上、および、もっとも好ましくは3以上である。これより前に議論されたように、t
s1およびt
s2はそれぞれ、独立して約0であってもよい。挿入物が、1つ以上の表面にわたって接触している挿入物の1つ以上の部分に置き換えられてもよい(例えば、挿入物の2つの部分が複合材の厚みに沿うなどして積み重ねられてもよく、挿入物の2つの部分が複合材の幅で縁に沿って接触してもよく、あるいはその両方であってもよい)ことが理解されよう。それ自体としては、直接接触している挿入物は、単一の挿入物として扱われてもよく、挿入物について本明細書に記載された特徴の1つまたは任意の組み合わせを有しても構わない。
【0023】
図8に関して、比較的高い引張強さ(24)を有する領域の幅(46)(46’)、挿入物(22)の幅、またはその両方の幅は、W
iで与えられてもよい。比較的低い引張強さ(26)を有する領域の幅(44)、コア層(14)の幅、または2つの挿入物(22)間の間隔は、Wcで与えられてもよい。複合材中の挿入物(22)の全幅はΣW
iであってもよく、コア層の全幅はΣW
cであってもよい。ΣW
cは十分に高いことが好ましく、その結果、部品の重量が(例えば、同じ寸法を有する一枚板の金属と比較して)大幅に減らされる。ΣW
iに対するΣW
cの比率は、約0.15以上であってもよく、好ましくは約0.4以上、より好ましくは約0.7以上、さらにより好ましくは約1.0以上、さらにより好ましくは約1.5以上、そして、もっとも好ましくは約2.0以上であってもかまわない。
【0024】
不均質な軽量複合材は、
図9、10、11、12、13、14A、14B、および14Cにおいて示される断面で例証されるように、異なる厚みを有している2つ以上の領域を有することもある。例えば、複合材は、
図9で示されるように、2つの金属層(12)の間に置かれたコア層(14)を含み、該コア層(14)から基本的になり、または、コア層(14)からなりさえする。
図9に関して、コア層(14)の厚みは変わってもよい。例えば、第1の領域(24)が比較的厚いコア層(14)を含んでもよく、第2の領域(26)が比較的薄いコア層を含んでもかまわない。比較的厚いコア層を有する領域中の複合材の剛性は、比較的薄いコア層を有する領域中の複合材の剛性よりも大きくてもよいことが理解されよう。第2の領域(26)中のコア層の厚みに対する第1の領域(24)中のコア層の厚みの比率、第2の領域中の複合材の厚みに対する第1の領域中の複合材の厚みの比率、またはその両方が、約1以上、約1.1以上、約1.4以上、約1.6以上、または約2以上であってもよいことが理解されよう。
【0025】
異なる厚みを備えた領域を有する複合材(20)が、
図10、11、12、13、14A、14B、および14Cにおいて示される断面で例証されるように、1つ以上の挿入物(22)を含むこともある。
図10、11、および12に関して、比較的高い厚みを有する第1の領域は、(例えば、厚みが低い領域および/または挿入物を含まない領域と比較して)比較的高い剛性、比較的高い引張強さ、またはその両方を有してもかまわない。コア層は
図9、10、および11に例証されたように、複合材の幅全体にわたって存在することもある。コア層が複合材の幅全体に存在する場合、コア層の厚みは一般に均一であってもよく(例えば、
図11に例証されるように)、コア層の厚みは複合材の幅にわたって変わってもよく(例えば、
図9および10で示されるように)、複合材層は、1つ以上の領域中で複数の層に分けられてもよく(例えば
図10で示されるように)、あるいは、これらの任意の組み合わせであってもよい。
【0026】
厚みの異なる領域を有する複合材が、一般に均一な厚みをした複合材に関して、本明細書に記載の特徴の1つまたは任意の組み合わせを有してもよいことが理解されよう。
【0027】
厚みの異なる2つ以上の領域を有する複合材が、連続的に異なる厚みをした移行領域(例えば、
図9−14に例証されるような)などの1つ以上の移行領域を有することもある。
【0028】
比較的厚い領域を有し、比較的厚いコア層(例えば、ポリマーコア層)を含む複合材が、1つ以上の挿入物を使用してもよく、その結果、比較的厚い領域中のコア層の比較的高い厚みは、
図14Bで例証されるように(例えば、複合材が生産される際に)維持される。ここで、挿入物は好ましくは2つの金属層の間の空間に及ぶ。挿入物の幅は一般に低いこともある(例えば、コア層の増加した厚みにより、複合材の1つ以上の機械的特性が十分に改善されるとき)。
【0029】
複合材が
図14Cに例証されるように、比較的薄い領域中に挿入物を含むこともある。例えば、一般に厚い領域がコア層と金属層を含み、コア層と金属層から基本的になり、あるいは、コア層と金属層からすべてなるものであってもよく、一般に薄い層が、挿入物および2つの金属層、またはその任意の組み合わせを含み、基本的にこれらからなり、あるいは、すべてこれらからなるものでもかまわない。第1の領域および第2の領域を有する複合材を準備するためにそのような手法が使用されてもよく、第1の領域は第2の領域の引張強さよりも大きな引張強さを有し、第2の領域は第1の領域の剛性よりも大きな剛性を有することが理解されよう。
【0030】
本明細書の教示によれば、第1の金属層と第2の金属層の間の空間の一部またはすべてが、1つ以上の挿入物および1つ以上のポリマー層を含んでいる。好ましくは、2つの金属層の間の空間の十分な部分が、1つ以上の挿入物および1つ以上のポリマー層で満たされ、その結果、第1の金属層を引き裂くことなく、および/または、しわを作ることなく、あるいは、その両方を起こすことなく、複合材を変形させることができる。例えば、1つ以上の挿入物および/または1つ以上のポリマー層を含む2つの金属層の間の空間の一部(第1と第2の金属層の間の重複部分への挿入物およびポリマー層の突出によって測定される、または、挿入物およびポリマー層によって占められる2つの金属層の間の空間の体積分率によって測定される)は、好ましくは約50%以上であり、より好ましくは約75%以上であり、さらにより好ましくは約90%以上であり、さらにより好ましくは約95%以上であり、そしてもっとも好ましくは約98%以上である。
【0031】
議論されたように、本明細書に記載の複合材はサンドイッチ構造を使用してもよく、そのサンドイッチ構造を介して、ポリマーコアの塊が間隔を開けた層によって対向する側に位置付けられることが想定されよう。例えば、本明細書の構造が、その間に配された、好ましくは接触して配されたポリマーコアを有する2枚のシート(例えば、金属板)を含んでもよい。ポリマーコアは、1つ以上のポリマーを含み、かつ、1つ以上の充填材(例えば、1つ以上の金属繊維および/または1つ以上の粒状充填材などの1つ以上の強化充填材)、1つ以上の添加剤などを含むこともある材料から作られる。ポリマーコアは、金属層の密度未満の密度を有し、複合材料の重量を減少させる。サンドイッチ構造の金属層(例えば、第1の金属層および第2の金属層)は、ホイルまたはシート、あるいは、層にわたって均一なまたは不均一な厚み(例えば、平均厚み)を有する他の層の形状の適切な材料(例えば、金属)で作られることもある。金属の層(例えば、金属層)はそれぞれ、一般に一定の厚みを有してもよく、または、異なる厚みを有してもかまわない。各側の表面金属は、同じまたは異なる特性を有する材料で作られてもよく、同じまたは異なる金属で作られてもよい。金属層が不均一な厚みの金属板、異なる特性を有する材料、または異なる金属を有する材料で作られている場合。複合材料は、印(marking)、または、異なる金属層を特定および区別する他の手段を有してもよい。金属層は、他のそれぞれの層と比べて、組成、大きさ(例えば、厚み、幅、体積、または、それ以外のもの)、形状、または他の特徴が同じでも異なってもかまわない。
【0032】
使用されてもよい金属層の例が、国際特許出願公報WO2010/021899(2010年2月25日にMizrahiにより公開)の段落番号082−091と、国際特許出願PCT/US2011/24829(2011年2月15日にMizrahiらにより出願)の段落番号81−86、および国際特許出願PCT/US11/45778(2011年8月15日に出願)に記載されており、これらはすべて引用により本明細書に組み込まれる。好ましい金属層は、鉄(例えば、約50重量%以上の鉄原子を含む)、チタン、マグネシウム、アルミニウム(例えば、約50重量%以上のアルミニウム原子を含む)、または、その任意の組み合わせを含む、金属または合金を含み、基本的にこれらからなり、あるいは、完全にこれらからなる。特に好ましい金属層は、1つ以上の鋼を含み、該鋼から基本的になり、該鋼から完全になる。
【0033】
特に好ましい鋼金属層が、1つ以上の熱間圧延工程、1つ以上の冷間圧延工程、1つ以上のアニール処理工程、1つ以上の清浄工程、1つ以上の焼き戻し工程(例えば、単一圧延、二重圧延、あるいはそれ以外のもの)またはその任意の組み合わせを含む方法を使用して、準備されてもよい。特に好ましい鋼金属層は、明るい(例えば、滑らかな仕上がりまたは光沢のある滑らかな仕上がりをした)、石(例えば、砥石パターンを有する)の、光沢がない(例えば、サテン仕上げまたはブラスト仕上げを有する)、または、この任意の組み合わせの、一方または両方の表面を有することもある。鋼は、当該技術で知られているように、または、本明細書に記載されるように、露出した鋼、さもなければ、コーティングした鋼、めっきした鋼、あるいは処理をした鋼であってもかまわない。制限なく、鋼金属層が、引き伸ばした黒板を含み、または、基本的に該黒板からなり、または完全に該黒板からなるものでもよい。
【0034】
金属層は、めっきしたまたはコーティングした(例えば、薄膜で)、あるいは、1つ以上の他の表面処理(例えば、表面を洗浄し、エッチング処理し、粗面処理し、または化学的に修正する)を施した1以上の表面を有してもよい。一方または両方の金属層は、充填ポリマー材料の金属層への付着を改善する1つ以上のコーティング、めっき、または表面処理を有することもある。金属層(例えば、1つまたは両方の金属層)は、めっきした、コーティングした、さもなければ、耐食性をもたらし、ペンキまたはプライマーへの付着を改善し、剛性を改善し、あるいはその任意の組み合わせをもたらす処理を施した、1つ以上の表面を有してもよい。典型的なコーティングおよびめっきは、亜鉛めっき、電気亜鉛めっき、クロムめっき、ニッケルめっき、耐食性処理、電着、亜鉛コーティング、Granocoat(登録商標)、Bonazinc(登録商標)などの1つまたは任意の組み合わせを含んでもよい。1つ以上のコーティング、めっき、または表面処理は、複合材料上で(例えば、複合材料が準備された後で)行われることが理解されよう。それ自体としては、充填ポリマー層に面する金属層の表面には、コーティング、めっき、または表面処理がなくてもよく、金属層の露出した表面はコーティング、めっき、または表面処理が施されてもよい。1つまたは両方の金属層には、コーティング、めっき、または表面処理が施されなくてもよい(例えば、充填ポリマー材料は、コーティング、めっき、または表面処理の必要なく、金属層との優れた接着をもたらすように、処理または選択されてもよい)。
【0035】
金属層の1つまたは両方は、好ましくは十分に厚く、その結果、複合材料を準備および/または処理する場合に、金属層にしわが寄ったり、裂けたり、他の欠陥を形成したり、またはその任意の組み合わせが起こらない。好ましくは、金属層の1つまたは両方の厚みは、約0.05mm以上、より好ましくは約0.10mm以上、さらにより好ましくは約0.15mm以上、および、もっとも好ましくは約0.18mm以上である。好ましくは、1または両方の金属層の厚みは、約30mm以下であり、より好ましくは約10mm以下であり、さらにより好ましくは約3mm以下であり、さらにより好ましくは約1.5mm以下であり、さらにより好ましくは約1mm以下であり、および、もっとも好ましくは約0.5mm以下である。例えば、複合材料は、少なくとも1つのクラスAまたはクラスBの表面、好ましくは少なくとも1つのクラスAの表面(例えば、スタンピング工程、溶接工程、電着工程、塗装工程、またはその任意の組み合わせの後の)を必要とする自動車パネルで使用されることもある。そのような複合材料は、クラスAの表面である第1の表面と、クラスAの表面ではない第2の表面を有してもよい。クラスAの表面は、比較的高い厚みを有する第1の金属層の表面であってもよく、随意にクラスAの表面ではない表面は、比較的薄い厚み(例えば、第1の金属層の厚みの少なくとも約20%、または、少なくとも約40%以下)の第2の金属層の表面であってもよい。好ましくは、第2の金属層の厚みに対する第1の金属層の厚み(例えば、平均厚み)の比率は、約0.2〜約5であり、好ましくは約0.5〜約2.0までであり、より好ましくは約0.75〜約1.33までであり、および、もっとも好ましくは約0.91〜約1.1までである。応用例の中には、厚みが大きく異なる金属層(第2の金属層の厚みに対する第1の金属層の厚みの比率は、約0.2以下、または約5以上であってもよい)を要求するものあることが企図されよう。
【0036】
驚いたことに、充填ポリマー層は、複合材料の曲げ弾性率に対する十分な剛性をもたらすこともあり、その結果、2010年8月27日に出願された米国仮特許出願61/377,599号の段落120と121、および国際特許出願PCT/US11/45778(2011年8月15日に出願)に記載されるように、例えば、軽量複合材料の1つ以上の金属層に高強度鋼を使用することによってダウンゲージングが可能である(両文献は引用によって本明細書に組み込まれる)。第1の金属層、第2の金属層、またはその両方は、十分な量の高強度鋼を含んでもよく、その結果、複合材料の曲げ弾性率は、ASTM D790によって測定されるように少なくとも約200GPaであり、充填ポリマー層の濃度は十分に高く、その結果、複合材料の密度は約0.8dm以下(dmは第1の金属層および第2の金属層の加重平均密度である)である。驚いたことに、このような複合材料は、以下の特徴、約100MPa以上、約120MPa以上、約140MPa以上、約170MPa以上、約200MPa以上、または約240MPa以上の高降伏強度、または、約160MPa以上、約200MPa以上、約220MPa以上、約250MPa以上、約270MPa以上、約290MPa以上、または約310MPa以上の高い引張強さの1つまたは両方を有してもよい。
【0037】
本明細書の教示によると、軽量複合材は1つ以上の挿入物を含んでもよい。挿入物は、(例えば、本明細書に記載のポリマーコア層と比較して)比較的高い引張強さ、比較的高い剛性、またはその両方を有する1つ以上の材料を含む、基本的に該材料からなる、または、完全に該材料からなる挿入物であってもよい。挿入物は、コア層の引張強さよりも大きな引張強さ、好ましくは約20%以上、より好ましくは約50%以上、さらにより好ましくは約100%以上、そしてもっとも好ましくは約150%以上の引張強さを有する1つ以上の材料を含み、基本的に該材料からなり、または、完全に該材料からなることもある。
【0038】
挿入物は、1つ以上の金属、1つ以上の高充填ポリマー、またはその両方を含んでもよい。金属層で使用される本明細書に記載の金属または材料のいずれかが挿入物中で使用されてもよい。好ましい挿入物は、金属層に関して本明細書で前に記載された鋼のような1つ以上の鋼を含み、基本的に鋼からなり、完全に鋼からなる。挿入物中で使用される好ましい高充填ポリマーは、40体積%以上のガラス充填などの約40体積%以上の充填材を包含するポリマーを含む。
【0039】
本明細書で議論されたように、1つ以上の接着剤および/または1つ以上のプライマーを用いて挿入物と金属層を連結することが望ましいこともある。それ自体としては、金属層、挿入物、またはその両方が、挿入物と金属層の間の接着の強度および/または耐久性を改善するために、1つ以上のコーティングまたは処置を施されてもよい。
【0040】
挿入物の領域における複合材料の引張強さが増加するように、挿入物の厚みは十分に厚いことが好ましい。例えば、挿入物は、約0.1mmよりも大きな、約0.2mmよりも大きな、約0.3mmよりも大きな、約0.4mmよりも大きな、約0.5mmよりも大きな、約0.7mmよりも大きな、または、約1.0mmよりも大きな厚みを有しても構わない。挿入物の厚みは、約20mm以下、約15mm以下、約10mm以下、約8mm以下、約6mm以下、または、約4mm以下であってもよい。例えば、挿入物の厚みは、約0.5mmから約2.0mmまででもかまわない。20mmよりも大きな厚みを有する挿入物も用いられてもよいことが企図されよう。
【0041】
挿入物の幅は好ましくは十分に広く、その結果、比較的高い引張強さ領域の十分な幅を有する複合材から部品を作ることができ、そうすることで、その部品の1つ以上の工学的な必要性も満たされる。例えば、複合材が挿入物の領域中で(1つ、2つ、3つ以上の接合部を用いて)別の材料に溶接可能となるように、挿入物の幅は十分に広い。挿入物の幅は、約20mm以上、約50mm以上、約80mm以上、約100mm以上、約150mm以上、または、約200mm以上であってもよい。挿入物は、1つ以上の工学的な必要性を満たすために必要な幅だけを有しているのが好ましく、その結果、複合材の平均密度が(例えば、金属層および/または挿入物の密度と比較して)比較的低い。複合材の全幅に対する1つ以上の挿入物の全幅の比率は、約0.9以下、約0.8以下、約0.7以下、約0.6以下、約0.5以下、約0.4以下、または、約0.35以下でもよい。
【0042】
挿入物は任意の長さを有してもよい。好ましくは、挿入物は、複合材の長さほどの長さを有している。
【0043】
複合材料は複数の挿入物を含んでもよい。2つの挿入物(例えば、2つの隣接する挿入物)は、同じ形状(例えば、幅、厚み、またはその両方)を有してもよく、あるいは、異なる形状(例えば、幅、厚み、またはその両方)を有してもかまわない。例えば、一般に同じ引張要件を有する2つの領域が、一般に同じ厚みを有する挿入物を使用してもよい。挿入物の必要条件によっては、複合材料は、同じ特性(例えば、同じ材料から作られる)を有する挿入物、または1以上の特性が異なる(例えば、異なる種類の材料から作られる)挿入物を有することもある。一例として、2つの挿入物は、その引張強さ、比透磁率、密度、融解温度、またはその任意の組み合わせによって異なることもある。
【0044】
好ましい挿入物が、十分に高い比透磁率を有する材料を含み、または、該材料からなり、その結果、誘導加熱を使用して挿入物を加熱することができる。挿入物の少なくとも一部の比透磁率は好ましくは、約50以上、より好ましくは約100以上、さらにより好ましくは約300以上、さらにより好ましくは約500以上、さらにより好ましくは約600以上、そして、もっとも好ましくは約1000以上であってもかまわない。
【0045】
コア層(すなわち、ポリマー層)は一般に1つ以上のポリマーを含んでいる。コア層は比較的低い密度を有するのが好ましい。例えば、コア層の密度は、金属層の密度未満であり、挿入物(もし使用されれば)の密度未満であり、またはその両方であってもよい。金属層(例えば、第1の金属層、第2の金属層、またはその両方)の密度に対するコア層の密度の比率は好ましくは約0.9以下、より好ましくは約0.7以下、さらにより好ましくは約0.6以下、さらにより好ましくは約0.5以下、および、もっとも好ましくは約0.4以下である。好ましいコア層が、約4.0g/cm
3以下、約3.5g/cm
3以下、約3.0g/cm
3以下、約2.5g/cm
3、約2.0g/cm
3以下、約1.5g/cm
3以下、約1.2g/cm
3以下、あるいは約1.0g/cm
3以下の密度を有している。
【0046】
様々な用途では、コア層は、抵抗溶接されていない複合材の領域にのみ用いられる。それ自体としては、コア層は、電気絶縁特性を有してもよく、その結果、コア層を含む1つ以上の領域を溶接することができない。他の用途では、コア層は、優れた溶接性を要求する複合材の領域で使用されてもよい。ここで、コア層が、好ましくは比較的優れた導電性(例えば、充填ポリマー材料中で使用されたポリマーと比較して)を有する充填ポリマー材料であることが望ましいこともある。使用されてもよい典型的な充填ポリマー材料は国際特許出願PCT/US2011/24829(Mizrahiらによって2011年2月15日に出願)の段落27−80と、国際特許出願PCT/US11/45778(2011年8月15日に出願)に記載されたものを含み、両文献とも引用によって本明細書に組み込まれる。
【0047】
複合材料は、一般に均一なポリマー層(例えば、一般に均一な組成を有する)を含み、または基本的に該ポリマー層からなることもあり、その結果、複合材料は形成するのが容易である。しかしながら、複合材料の異なる領域で異なる特性を達成するために、複数の異なるポリマー層を使用することが有利なこともある。例えば、複合材料は、金属繊維の濃度に関して異なるポリマー層(金属繊維を含まない1つのポリマー層など)、そのポリマーに対して異なるポリマー層、またはその両方を備えた領域を含んでもよい。
【0048】
コア層は、一般に均一な厚みを有してもよく、またはその厚みにばらつきがあってもよい。例えば、コア層が、1つ以上の溝、1つ以上のチャンネル、1つ以上の棚板(shelves)、またはその任意の組み合わせを含むこともある。溝、チャンネル、または棚板が、挿入物を収容および/または確実に位置決めするのに十分な寸法を有してもよい。例えば、複合材を形成する方法は、溝、チャンネル、棚板、またはその任意の組み合わせを使用して、挿入物を位置決めする(例えば、確実に位置決めする)工程を含んでもよい。制限なく、該方法は、溝またはチャンネルに、または棚板の上に挿入物を挿入する工程を含んでもかまわない。
【0049】
ここで、本明細書で使用されるポリマーの特定の例にさらに着目すると、(例えば、充填ポリマー材料中の)コア層に用いられるポリマーは、約50°Cよりも大きな(好ましくは約80°Cよりも大きな、さらにより好ましくは約100°Cよりも大きな、さらにより好ましくは約120°Cよりも大きな、より好ましくは約160°Cよりも大きな、さらにより好ましくは約180°Cよりも大きな、そしてもっとも好ましくは約205°Cよりも大きな)ピーク融解温度(ASTM D3418−08によって測定されるような)、またはガラス転移温度(ASTM D3418−08によって測定されるような)のいずれかを有する熱可塑性ポリマーを含むのが好ましい。熱可塑性ポリマーは、約300°C未満、約250°C未満、約150°C未満、または、約100°C未満でさえある、ピーク融解温度、ガラス転移温度、またはその両方を有することもある。それらは、室温で少なくとも部分的に結晶であってもよく、または、室温でほぼ完全にガラス質であってもよい。適切なポリマー(例えば、適切な熱可塑性ポリマー)が、(0.1s
−1の公称歪み速度でASTM D638−08によって測定された)以下の引張特性の1つまたは任意の組み合わせを特徴としてもかまわない:約30MPaよりも大きな(例えば、約750MPaよりも大きな、あるいは約950MPaより大きな)縦弾性係数(例えば、ヤング率);約8MPaよりも大きな(例えば、約25MPaより大きな、約60MPaよりも大きな、約80MPaよりもさらに大きな)、工学上の引張強さ(すなわち、σ
e)、真の引張強さ(すなわち、σ
t、ここで、σ
t=(1+ε
e)σ
eであり、ε
eは工学的な歪みである)、または、その両方;あるいは、少なくとも約20%(例えば、少なくとも約50%、少なくとも約90%、または少なくとも約300%)の、破断時の可塑的伸長、または破損時の伸長。別段の定めがない限り、引張強さとの用語は工学上の引張強さを指す。
【0050】
ポリマーは、国際特許出願公報WO2010/021899(2010年2月25日にMizrahiによって公開された。例えば、段落052−063を参照。引用によって本明細書に組み込まれる)に記載されたような、歪み硬化特性(例えば、比較的高い歪み硬化係数、比較的低い挿入された降伏応力、またはその両方)を有するのが好ましい。それ自体としては、歪み硬化特性は、Haward R.N.,Strain Hardening of Thermoplastics, Macromolecules 1993, 26, 5860−5869の方法を使用して、測定されてもよく、この文献はそのまま引用することにより本明細書に組み込まれる。
【0051】
ポリマー層に使用されてもよい熱可塑性ポリマーの例には、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、またはその両方)、アセタールコポリマー、ポリアミド、ポリアミドコポリマー、ポリイミド、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート、およびポリブチレンテレフタラート)、ポリカーボネート、熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性ポリエーテルエステルコポリマー(引用によって本明細書に組み込まれるASTM D6835−08で記載される熱可塑性エラストマーエーテルエステル材料のような)、アクリロニトリルブタジエンスチレンコポリマー、ポリスチレン、α−オレフィンの少なくとも60重量%と少なくとも1つの追加モノマーを含むコポリマー(少なくとも80重量%エチレンを含むエチレンコポリマー)、および、これらのポリマーのいずれかを含むコポリマー、これらのポリマーのいずれかを含むアイオノマー、これらのポリマーのいずれかのブレンド、あるいは、その任意の組み合わせが挙げられる。
【0052】
熱可塑性ポリマーは、2010年8月6日に出願された米国仮特許出願61/371,360の段落065と、国際特許出願PCT/US11/45778(2011年8月15日に出願)に記載されたポリオレフィンなどのポリオレフィンを含んでもよく、両文献は引用によって本明細書に組み込まれる。ポリオレフィンはホモポリマーまたはコポリマーでもよい。ポリオレフィンは、約2から約10の炭素原子を有するα−オレフィンなどの1つ以上のα−オレフィンを含み、基本的に該α−オレフィンからなり、あるいは、完全に該α−オレフィンからなるものであってもよい。
【0053】
好ましいポリオレフィンには、ポリプロピレンホモポリマー(例えば、アイソタクチックポリプロピレンホモポリマー)、ポリプロピレンコポリマー(例えば、ランダムポリプロピレンコポリマー、耐衝撃性ポリプロピレンコポリマー、または、アイソタクチックポリプロピレンを包含する他のポリプロピレンコポリマー)、ポリエチレンホモポリマー(例えば、高密度ポリエチレン、または、約0.94g/cm
3よりも大きな密度を有する他のポリエチレン)、ポリエチレンコポリマー(例えば、少なくとも約60重量%のエチレン、より好ましくは少なくとも80重量%エチレンを含む)、低密度ポリエチレン、これらのポリマーのいずれかのブレンド、あるいは、これらの任意の組み合わせが挙げられる。ポリプロピレンホモポリマーおよびポリプロピレンコポリマーは、アタクチックポリプロピレンをほとんど含まない。もし存在するとしても、ポリプロピレン中のアタクチックポリプロピレンの濃度は好ましくは約10重量%未満である。制限なく、使用されてもよいコポリマーには、1つ以上のオレフィンから基本的になる(例えば、少なくとも98重量%)、または、完全に1つ以上のオレフィンからなるコポリマー(例えば、ポリプロピレンコポリマー、またはポリエチレンコポリマー)が挙げられる。より好ましいポリオレフィンには、高密度ポリエチレン(例えば、約0.945g/cm
3から約0.990g/cm
3、または、約0.945g/cm
3から約0.960g/cm
3などの、約0.945g/cm
3よりも大きな密度を有する)、低密度ポリエチレン(例えば、通常約15の炭素原子長よりも大きく、その結果、密度が約0.945g/cm
3以下である、十分な濃度の長鎖分岐を有するポリエチレン)、直鎖状低密度ポリエチレン(例えば、約0.915g/cm
3から約0.930g/cm
3までの密度を有するコポリマー)、中密度ポリエチレン(例えば、約0.930g/cm
3から約0.945g/cm
3までの密度を有するコポリマー)、超低密度ポリエチレン(例えば、約0.900g/cm
3から約0.915g/cm
3までの密度を有する)、ポリエチレン・プラストマー(例えば、約0.860g/cm
3から約0.900g/cm
3までの密度を有するコポリマー)、アイソタクチックポリプロピレンホモポリマー、アイソタクチックポリプロピレンコポリマー(例えば、約5重量%以上の結晶度を有する)、耐衝撃性ポリプロピレン、アイソタクチックポリプロピレンの1つ以上のブロックを含むポリプロピレンブロックコポリマー、その混合物、またはその任意の組み合わせが挙げられる。さらにより多くの好ましいポリオレフィンには、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、または任意の組み合わせが挙げられる。使用されてもよい他のポリオレフィンには、少なくとも1つのオレフィンと、オレフィンではない1つ以上のモノマーのコポリマーを含んでいる。例えば、使用されてもよい他のポリオレフィンには、i)1つ以上のオレフィン(例えば、オレフィンの少なくとも60重量%)と、および、ii)アクリレート(例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、またはその両方)、酢酸ビニル、アクリル酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、またはその両方)、メチルメタクリレート、またはその任意の組み合わせからなる群から選ばれた極性コモノマーのような1つ以上の極性コモノマーとを含み、から基本的になり、から完全になるコポリマーが挙げられる。コモノマーの濃度は、コポリマーの総重量に基づいて、約40重量%未満、好ましくは約25重量%未満、より好ましくは約20重量%未満、および、もっとも好ましくは約15重量%未満であってもよい。使用されてもよい典型的なポリエチレンコポリマーには、エチレン酢酸ビニル共重合体(ethylene−co−vinyl acetate)(すなわち、例えば、約20重量%未満の酢酸ビニルを包含する「EVA」)、エチレンアクリル酸メチル共重合体(ethylene−co−methyl acrylate)(すなわち、EMA)、エチレンメタクリル酸共重合体(ethylene−co−methacrylic acid)、または、その任意の組み合わせが挙げられる。コポリマー中で使用されてもよい典型的なα−オレフィンには、エチレン、プロピレン、ブテン、ヘキセン、オクテン、またはその任意の組み合わせが挙げられる。
【0054】
本教示で有用なポリアミドが、ポリマー鎖の骨格に沿ってアミノ基を有する1以上の反復単位を備えるポリマーを含んでもよい。例えば、ポリアミドは、ジアミンと二酸の反応生成物でもかまわない。ポリアミドの他の例は一価元素の(monadic)ポリアミドを含んでいる。一般に、一価元素のポリアミドは開環反応によって形成される。ジアミンと二酸から形成される典型的なポリアミドには、アジピン酸またはテレフタル酸のいずれかと、ジアミンの反応生成物を包含するポリアミド(例えば、ナイロン)が挙げられてもよい。典型的な一価元素のポリアミドは、ナイロン6、およびポリ(p−ベンズアミド)を含んでいる。ナイロンは、ホモポリマー、コポリマー、またはその混合物であってもよい。本発明で使用されてもよい好ましいポリアミドホモポリマーには、ナイロン3、ナイロン4、ナイロン5、ナイロン6、ナイロン6T、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン69、ナイロン7、ナイロン77、ナイロン8、ナイロン9、ナイロン10、ナイロン11、ナイロン12、および、ナイロン91が挙げられる。上記の言及されたポリアミドのいずれかを包含するコポリマーも使用されることがある。ポリアミドコポリマーは、ランダムコポリマー、ブロックコポリマー、その組み合わせであってもよい。ポリアミドコポリマーの例には、複数の異なるアミド(すなわち、ポリアミド−ポリアミドコポリマー)、ポリエステルアミドコポリマー、ポリエーテルエステルアミドコポリマー、ポリカーボネートエステルアミド、またはその任意の組み合わせを有するポリマーが挙げられる。
【0055】
ポリアミドポリアミドコポリマーが、ポリアミドホモポリマーに関して本明細書に記載のポリアミドの2つ以上を含んでもよい。好ましいポリアミドポリアミドコポリマーは、ポリアミド6およびポリアミド66、ポリアミド610、または、その任意の組み合わせを含んでもよい。例えば、ポリアミドポリアミドコポリマーが、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド69、ポリアミド610、ポリアミド612、およびポリアミド12からなる群から選ばれた2つ以上のポリアミドから基本的にはなることもある。より好ましくは、ポリアミドポリアミドコポリマーは、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド69、およびポリアミド610からなる群から選ばれた2つ以上のポリアミドから基本的になる。そのようなコポリマーの例としては、ポリアミド6/66、ポリアミド6/69、およびポリアミド6/66/610が挙げられる。特に好ましいポリアミドポリアミドコポリマーは、ポリアミド6/66コポリマーである。ポリアミド6/66コポリマー中のポリアミド66の濃度は、コポリマーの総重量に基づいて、約90重量パーセント以下、好ましくは約70重量パーセント以下、より好ましくは約60重量パーセント以下、およびもっとも好ましくは約50重量パーセント以下であってもよい。ポリアミド6/66コポリマー中のポリアミド6の濃度は、コポリマーの総重量に基づいて、約10重量%以上、好ましくは約30重量パーセント以上、より好ましくは約40重量パーセント以上、およびもっとも好ましくは約50重量パーセント以上であってもよい。別の特に好ましいポリアミドポリアミドコポリマーは、ポリアミド6およびポリアミド69のランダムまたはブロックコポリマーである。ポリアミドコポリマー(すなわち、1つ以上のアミドモノマーを含むコポリマー)は、脂肪族エーテルまたは芳香族エーテルなどのポリエーテルを含んでもかまわない。
【0056】
複合材を使用する用途は、コア層中に分散する1つ以上の充填材を包含することによって利益を得てもよいことが企図される。ポリマー化合物の当該技術で知られている任意のフィルタが用いられてもよい。コア層は、充填ポリマー材料(例えば、1つ以上の熱可塑性物質および1つ以上の充填材を包含している)から作られてもよい。充填材は、繊維とりわけ金属繊維などの1つ以上の強化充填材を含む、該強化材から基本的になる、または、該強化材からなる。用いられてもよい金属充填材(例えば、金属繊維)、および他の充填材が、国際特許出願公報WO2010/021899(2010年2月25日にMizrahiによって公開された)(例えば、引用によって本明細書に組み込まれる段落番号064ー081を参照)、米国特許出願12/978,974号(2010年12月27日にMizrahiによって出願された)の段落番号52−70、
図2A、2B、2C、2D、2E、2F、2G、2H、2I、2J、3、および、4と、国際特許出願PCT/US2011/24829(2011年2月15日にMizrahiらによって出願された)の段落番号58−80に記載されている。これらはすべて引用によって本明細書に組み込まれる。例えば、本発明で使用されてもよい金属繊維には、鋼(例えば、低炭素鋼、ステンレス鋼など)、アルミニウム、マグネシウム、チタン、銅、少なくとも40重量%の銅を包含している合金、少なくとも40重量%の鉄を包含している他の合金、少なくとも40重量%のアルミニウムを包含している他の合金、少なくとも40重量%のチタンを包含している他の合金、またはその任意の組み合わせなどの金属から作られる繊維が挙げられる。好ましい繊維は、鋼を含む、基本的に鋼からなる、完全に鋼からなる。採用されれば、繊維の鋼は普通炭素鋼(例えば、約0.2、0.15、または0.08重量%未満の炭素濃度を有している)であってもかまわないが、1つ以上の合金要素(例えば、Ni、Cr、またはステンレス鋼を定義するための他の要素)を含んでもかまわない。繊維は、以下に記載されたような、犠牲陽極材または要素を運ぶこともある。繊維は、2つ以上の異なる組成物(例えば、繊維の1つは犠牲陽極に選ばれてもよい)の繊維の混合物、異なる断面形状、異なる大きさ、またはそれ以外のものの2つ以上の混合物などの、2種類以上の繊維の混合物を組み合わせてもよい。
【0057】
充填ポリマー材料は、国際特許出願公開公報WO2010/021899(2010年2月25日にMizrahiによって公開された)に記載されるような他の非金属導電性の繊維を包含してもよい。
【0058】
金属繊維は、複合材料が一般に優れた溶接特徴を有するように選択されるのが好ましい。例えば、金属繊維の濃度、金属繊維の大きさ、金属繊維間の接触の量、金属繊維の形状、金属繊維と金属層の間の接触の量、または任意の組み合わせは、複合材料(例えば、コアが金属繊維を含んでいる複合材料の領域)が一般に優れた溶接処理窓(weld processing window)、一般に高い導電率、一般に低い静接触抵抗、またはその任意の組み合わせを有するように、選択されてもよい。一般に優れた溶接処理窓が、例えば、高い溶接電流範囲、高い溶接時間範囲、またはその両方によって特徴付けられてもよい。複合材料の溶接電流範囲と静接触抵抗は、2010年8月27日に出願された米国仮特許出願61/377,599の段落番号111−117と、2010年12月27日に出願された米国特許出願12/978,974の段落番号013、016、023、034−039、076−080、121−126、および
図5−8と、国際特許出願PCT/US11/45778(2011年8月15日に出願された)に記載された方法に従って、特性を有してもよく、測定されてもよい。これらの文献はすべて引用によって本明細書に組み込まれる。
【0059】
金属繊維は好ましくは、国際特許出願公報WO2010/021899(2010年2月25日にMizrahiによって公開される)に記載されるような寸法および寸法分布を有してもよい。制限なく、金属繊維は、約1mmよりも大きな、好ましくは約2mmよりも大きな、およびもっとも好ましくは約4mmよりも大きな重量平均長さL
avgを有してもかまわない。適切な繊維は、約200mm未満、好ましくは約55mm未満、より好ましくは約30mm未満、および、もっとも好ましくは約25mm未満のL
avgを有してもよい。繊維の重量平均直径は、約0.1μmよりも大きく、より好ましくは約1.0μmよりも大きく、そしてもっとも好ましくは、約4μmよりも大きくてもかまわない。繊維の重量平均直径は、約300μm未満、好ましくは約50μm未満、さらにより好ましくは約40μm未満、そして、もっとも好ましくは約30μm未満であってもよい。
【0060】
金属繊維は任意の形状を有してもよい。金属繊維が曲線部分を含んでもよい。一般に直線的な金属繊維が使用されてもよい。金属繊維が直線の繊維ではないことがより好ましい。一例として、直線ではない金属繊維は、1つ以上の屈曲を有してもよく、一般に弓形の外形を有してもよく、一般に螺旋形の形状を有してもよく、または任意の組み合わせを有してもよい。当初直線である金属繊維は、ポリマーと結合する際には直線ではない(上記のとおり)繊維になることが好ましい。
【0061】
金属繊維は、2010年8月6日に出願された米国仮特許出願61/371,360の段落番号099−102、157、および
図5に記載された1つ以上の特徴を有してもよい。この文献は引用によって本明細書に組み込まれる。例えば、金属繊維の断面(すなわち、繊維の長さに対して直角な方向に)は1つ以上の平らな側面を有してもよい。そのため、複合材中の金属繊維の一部が、金属層、別の繊維、またはその両方との平面接触を有してもよい。金属繊維は、一般に長方形、平行四辺形、または、一般に正方形の断面などの4つ以上の側面を有する多角形である断面を有してもよい。そのような繊維はこのように、長方形の平らなリボンストリップ(ribbon strip)のように構成されてもよい。リボンストリップの幅(例えば、加重平均幅)に対する長さ(例えば、平均長)の比率は、約2以上、約4以上、約8以上、または約15以上であってもよい。リボンストリップの幅(例えば、加重平均幅)に対する長さ(例えば、平均長)の比率は、約5000以下、約1000以下、約400以下、約100以下、または約30以下であってもよい。繊維の厚み(例えば、加重平均厚み)に対する幅(例えば、加重平均幅)の比率は、1以上、約1.4以上、約2以上、約3以上、約5以上、または約7以上であってもよい。繊維の厚みに対する幅の比率は、約300以下、約100以下、約50以下、または約15以下であってもよい。そのような繊維は、金属箔(例えば、繊維の厚みとほぼ同じ厚みを有する)を切断して狭いリボンストリップ(例えば、切断部間の間隔が繊維の幅を定義してもよい)にする工程のような、1つ以上の繊維形成工程によって準備されてもよい。
【0062】
繊維の長さに垂直な金属繊維の断面は、任意の形状を有してもかまわない。例えば、断面は、多角形(長方形または正方形など)、または一般に直線の側面を有する他の形状であってもよく、あるいは、断面は、一般に弓形(例えば、金属繊維は、ほぼ円形またはほぼ卵形の断面である断面を有してもよい)である少なくとも1つの側面を含むこともある。縦軸に直交する面における金属繊維の断面積は、好ましくは約1x10
−5mm
2以上、より好ましくは1×10
−5mm
2以上、さらに好ましくは約8x10
−5mm
2以上、さらにより好ましくは1x10
−4mm
2以上、そしてもっとも好ましくは4x10
−4mm
2以上である。縦軸に直交する面における金属繊維の断面積は、好ましくは約2.5x10
−2mm
2以下、より好ましくは1×10
−2mm
2以下、さらに好ましくは約2.5x10
−3mm
2以下、そしてもっとも好ましくは1x10
−3mm
2以下である。例えば、約8×10
−5mm
2よりも大きな、縦軸に直交する面における断面を有する鋼繊維を用いる複合材料が、それよりも断面積の小さな繊維を有する材料と比較して溶接処理窓を改善したことは驚くべきことである。約8×10
−5mm
2よりも大きな断面積を有する繊維を含むそのような複合材料は、もっと薄い繊維を備えた複合材料で見られる高い深絞り性および成形性を維持する。
【0063】
金属繊維は、繊維の長さにわたって、繊維の幅にわたって、またはその両方で、ほとんど一定の厚みを有してもよい。繊維の平面は滑らかであってもよく(すなわち、一般に粗い質感がない)、または粗い質感があってもよい。例えば、リボン状の繊維は、滑らかな両方の主な表面、粗さのある両方の主な表面、または粗さのある1つの主な表面と滑らかな1つの主な表面を有してもかまわない。
【0064】
随意に1つ以上の他の繊維とともに使用されてもよいとりわけ好ましい金属繊維は、長さに直角な方向に一般に長方形の断面(例えば、一般に平らなリボンストリップの外形を定義するために)を有する鋼繊維(例えば、炭素鋼繊維)である。金属繊維は、約10−約70μmの加重平均厚み、約40−約200μmの加重平均幅、約0.8−約5mmの加重平均長さ、またはその任意の組み合わせを有してもよい。
【0065】
2つの金属層の間のポリマー層(例えば、コア層)中で使用される場合、金属繊維は繊維の塊として存在することが好ましい。金属繊維の塊は、好ましくは多くの個別の繊維を含んでいる。金属繊維の塊は相互に連結してもよい。好ましくは、金属繊維の塊の一部またはすべてが、一般に永久的に相互連結されていない。金属繊維の塊は絡み合ってもよい。繊維の塊は、機械的な連結(すなわち、2つ以上の繊維は機械的に連結してもよい)を形成することもある。金属繊維の塊は好ましくはポリマー層の厚みに及び、その結果、繊維の塊(例えば、金属繊維網)が2つの金属層と電気的に接続する。単一の金属繊維はポリマー層の厚みに及ぶこともあるが、金属繊維のいずれもポリマー層の厚みには及ばないことが好ましい。金属繊維がポリマー層の厚みに及ぶ場合、その厚みに及ぶ繊維の一部は、好ましくは約0.4以下、より好ましくは約0.20以下、さらにより好ましくは約0.10以下、さらにより好ましくは約0.04以下、およびもっとも好ましくは約0.01以下である。繊維の塊の中の繊維は、順序づけられていない配置で配されるのが好ましい。例えば、一般に一直線の配置で準備された隣接する金属繊維の最大数は、約100未満、好ましくは約50未満、より好ましくは約20未満、さらにより好ましくは約10未満、およびもっとも好ましくは約5未満であってもよい。より好ましくは、繊維の塊は一般にランダムな配置で配される。金属層の1つの表面と接触するそれぞれの金属繊維は、(例えば、繊維の長さにわたって)平面接触していない。そのため、複合材料は、金属繊維と金属層の間では平面接触が基本的にない、または完全にないと特徴付けられてもよい。金属表面と接触する繊維は、好ましくは線接触、点接触、またはその組み合わせを有する。しかしながら、金属繊維のいずれかが金属繊維の長さの大部分にわたって金属層と接触する場合、金属繊維のいくつかは金属層の1つと接触してもよい。そういうものとして、金属繊維の大部分は、金属層とは接触せず、または、金属層に接触していないかなりの部分を少なくとも有している。繊維の長さの少なくとも半分に沿って金属層と接触する金属繊維の一部は、好ましくは約0.3以下、より好ましくは約0.2以下、さらにより好ましくは約0.1以下、さらにより好ましくは約0.04以下、およびもっとも好ましくは約0.01以下である。
【0066】
金属の繊維は好ましくは十分に薄く、かつ、十分な濃度で存在しており、その結果、多くの繊維が層の表面の間に配される。例えば、ポリマー層の厚み方向に並行な線と交差し、ポリマー層を通過する繊維の平均数は、好ましくは約3以上、より好ましくは約5以上、より好ましくは約10以上、およびもっとも好ましくは約20以上である。理論によって縛られることなく、多くの金属繊維は、スタンピングプロセス中などで材料のより均一な変形を有利にもたらすことができると信じられている。
【0067】
金属繊維の濃度は、充填ポリマー材料の総体積に基づいて、好ましくは約1体積%よりも大きく、より好ましくは約3体積%よりも大きく、さらに好ましくは約5体積%よりも大きく、さらにより好ましくは約7体積%よりも大きく、さらにより好ましくは約10体積%よりも大きく、そしてもっとも好ましくは約12体積%よりも大きい。金属繊維は、約60体積%未満、好ましくは約50体積%未満、より好ましくは約35体積%未満、さらにより好ましくは約33体積%未満、およびもっとも好ましくは約30体積%未満(例えば、約25体積%未満、または約20体積%未満、約10体積%未満、約5体積%未満でもよい)の濃度で充填ポリマー材料中に存在してもかまわない。例えば、繊維の量は、充填ポリマー材料の全体積に基づいて、約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、または10%であってもよく、あるいは、それらの値によって縛られた範囲内(約1%から約6%までのような)であってもよい。本明細書に記載の複合材は、同様の溶接特徴を達成するのに必要な粒子充填材の量よりも驚くほど著しく少ない金属繊維の濃度を使用してもよいことが可能である。さらに、より高濃度の金属繊維を有する同一の複合材料と比較して、より優れた溶接性能が比較的低い金属繊維濃度で驚くほど実現され得るように、繊維と材料は選択されることも可能である。例えば、驚くべきことに、より高濃度の金属繊維を有する充填ポリマー材料で作られたものと比較すると、約10体積%の金属繊維を有する充填ポリマー材料を用いることによって、上質な溶接特徴を有する複合材料をもたらすことが分かる。
【0068】
熱可塑性ポリマー材料は、約40体積%よりも大きな、好ましくは約65体積%よりも大きな、より好ましくは約67体積%よりも大きな、さらにより好ましくは約70体積%よりも大きな、および、もっとも好ましくは約75体積%よりも大きな(例えば、少なくとも約80体積%。少なくとも約90体積%、あるいは少なくとも約95体積%)濃度で充填ポリマー材料中に存在してもよい。
【0069】
繊維(例えば、金属繊維)に対するポリマー(例えば、熱可塑性ポリマー)の体積比は、好ましくは約2.2:1よりも大きく、より好ましくは約2.5:1よりも大きく、そしてもっとも好ましくは約3:1よりも大きい。繊維(例えば、金属繊維)に対するポリマー(例えば、熱可塑性ポリマー)の体積比は、好ましくは約99:1未満で、より好ましくは約33:1未満で、さらにより好ましくは約19:1未満で、そしてもっとも好ましくは約9:1未満(例えば、7:1未満)である。
【0070】
第1の領域および第2の領域は、異なる1つ以上の特性を有してもよい。好ましくは、第1の領域および第2の領域は、密度、最大引張強さ、剛性、降伏応力、最大伸長、またはその任意の組み合わせによって異なる。第2の領域に対する第1の領域の最大引張強さの比率(例えば、ASTM E−8によって測定されるような)は、好ましくは約1.1以上、さらに好ましくは約1.2以上、さらにより好ましくは約1.5以上、さらにより好ましくは約2.0以上、およびもっとも好ましくは約3.0以上である。第2の領域の降伏強度に対する第1の領域の降伏強度の比率(例えば、ASTM E−8によって測定されるような)は、好ましくは約1.1以上、より好ましくは約1.2以上、さらにより好ましくは約1.5以上、さらにより好ましくは約1.8以上、およびもっとも好ましくは約2.0以上である。第2の領域の密度に対する第1の領域の密度の比率は、好ましくは約1.2以上、より好ましくは約1.4以上、さらにより好ましくは約1.8以上、さらにより好ましくは約2.0以上、およびもっとも好ましくは約2.5以上である。
【0071】
軽量複合材シート/コイル
軽量複合材はシートの形状であってもよい。例えば、軽量複合材は、縦に巻かれたコイルなどのコイルであることができてもよい。シート(例えば、コイル)は、その長さに対して(例えば、異なる直線的な位置で)垂直な断面を有してもよく、それは一般的に同じである。好ましくは、シートまたはコイルは、その長さに対して垂直な一般に均一な断面を有する。例えば、巻かれた複合材料は、巻かれた材料の長さを伸張する一対の金属板(一対の金属の外部シートのような)、巻かれた材料の長さを伸張する1つ以上の挿入物、巻かれた材料の長さを伸張する1つ以上のポリマーコア層を含んでもよい。1つ以上のポリマーコア層は、好ましくは一対の金属板の間に置かれ、および、直接的または間接的に一対の金属板に取り付けられる。1つ以上の挿入物は、好ましくは一対の金属板の間に置かれ、および、直接的または間接的に一対の金属板に取り付けられる。断面は、挿入物を含む第1の領域と、挿入物を含まない第2の領域を含んでいることが好ましい。そのため、挿入物の幅、挿入物の全幅、またはその両方は、シート(例えば、コイルの)の全幅に基づいて、約90%以下、約80%以下、約70%以下、約60%以下、約50%以下、約40%以下、または、約30%以下であってもかまわない。挿入物の幅、挿入物の全幅、またはその両方は、シートの幅の合計に基づいて、好ましくは約1%以上、より好ましくは約4%以上である。シートの長さに垂直な平面で測定された挿入物の断面積、挿入物の総断面積、またはその両方は、シートの総断面積に基づいて、約80%以下、約70%以下、約60%以下、約50%以下、約40%以下、約30%以下、または約20%以下であってもよい。したがって、測定された挿入物の断面積、挿入物のすべての総断面積、または、その両方は、シートの総断面積に基づいて、好ましくは約2%以上、より好ましくは約5%以上である。
【0072】
本明細書の教示による複合材料は、バッチ処理(成形処理など)または連続的な処理によって作られることもある。一例として、成形方法は、2つの外部の金属層の間にポリマーを注入する工程(例えば、溶融ポリマーを注入する工程)を含んでもよく、あるいは、2つの外部の金属層の間に固体のポリマー層を配し、その後、ポリマーを(例えば、圧縮成形操作で)溶かすために熱を加える工程を含んでもよい。好ましい方法は、金属板の1つ以上のコイル、ポリマーシートの1つ以上のコイル、またはその任意の組み合わせを使用する方法などの連続的な方法である。例えば、連続的な方法は、第1の金属板、第2の金属板、およびポリマーシートをほどく工程を含んでもよく、その結果、ポリマーシートが第1と第2の金属板の間に置かれる。該方法は、第1の金属板と第2の金属板の幅未満の幅を有する第3の金属コイルをほどく工程を含んでもよく、その結果、第1の金属板と第2の金属板の間に第3の金属板が置かれる。該方法は、(例えば、ポリマーを溶かすために、金属板の1つ以上にポリマーを付着させるために、あるいはその任意の組み合わせのために)シートの1つ以上を加熱する1つ以上の工程を含むこともある。ポリマーシートのコイルを使用する代わりに、該方法は、ポリマーシートを押し出すために、ポリマーシートをカレンダー加工するために、あるいはそうでなければポリマーシートを形成するために、ポリマー材料を加熱する(例えば、融解させる)工程、(例えば、ポリマーが溶融状態またはそれ以外の状態にある間に)2つの外部の金属板の間にポリマーシートを置く工程、および、外部の金属板の1つまたは両方にポリマーシートを付着させる工程を含んでもよいことが理解されよう。
【0073】
該方法は、複合材の少なくとも一部に(またはすべてにも)圧縮圧力を与える1つ以上の工程を使用してもよいことが理解されよう。一例として、圧縮力は、一対の反回転ロールなどの一対のロールを使用して、および、該ロール間に複合材の少なくとも一部(またはすべて)を通過させて、加えられてもよい。ロール間の間隔は、ロールによって圧縮される複合材の一部の厚みと同じ距離であってもよく、好ましくはその厚みよりも小さくてもよい。複合材の少なくとも一部(またはすべて)を一対のロール間に通す工程の間、以下の工程の1つまたは任意の組み合わせが生じてもよい:複合材料の密度を高める工程、1つ以上の金属層にポリマー層を付着させる工程、挿入物に複合材層を付着させる工程、またはポリマー層の少なくとも一部を流す工程。(例えば、ポリマーを溶解するおよび/または柔らかくするために、ポリマーを架橋するために、またはその両方のために)複合材に熱を提供するために、加熱されたロール(温度が約80以上°C、約110以上°C、または約125以上°Cあるロールなどの)が使用されてもよい。(例えば、ポリマーを結晶化するために、そのガラス転移温度以下でポリマーを冷やすためなど)複合材を冷やすために、冷却したロール(温度が約75°C以下、約30°C以下、または約20°C以下のロールなど)が用いられてもよい。該方法は複数のロール対を使用してもかまわない。例えば、該方法は、複合材の比較的厚い領域を圧縮するための一対のロール、および複合材の比較的薄い領域を圧縮するための別の一対のロールを使用してもよく、該二対のロールは異なる間隔を有している。該方法は、(例えば、材料を加熱するまたは冷やすことによって)材料の温度を制御するために、1つのロールまたは一対のロール(材料の少なくとも一部を圧縮するために使用されるロールと同じでも異なってもよい)を含んでもかまわない。様々な厚みを有する複合材を圧縮するための他の手法は、ロール間に様々な間隔を有する一対のロールを用いる工程、あるいは、平行ではない軸角を有する一対のロールを用いる工程を含む。該方法は、(例えば、複合材の1つの領域を圧縮するために)第1の対のロールの間に複合材を通す工程、および(例えば、複合材の異なる領域を圧縮するために)第2の対のロール(ロール間の軸角において、ロール間の間隔に対して第1の対のロールとは異なる第2の対のロールなど)の間に複合材を通す工程、あるいはその両方の工程を含んでもよいことが理解されよう。
【0074】
該方法は、挿入物に一つまたは両方の外部の金属板を取り付ける(例えば、接合する)工程を含んでもよい。挿入物は、挿入物の一部またはすべて(例えば、挿入物の1つ以上の表面)、および/または(誘導加熱、抵抗溶接、ろう付け、またはレーザー溶接の工程などを使用することによって)挿入物が取り付けられるシート、またはその組み合わせを溶解させることによって、ポリマー材料を使用するプライマーまたは接着剤を用いて、外部の層に取り付けられてもよい。挿入物がレーザー溶接によって外部の層に取り付けられてもよく、挿入物の少なくとも一部および金属層の一部がレーザーの光からのエネルギーを用いて溶融される。挿入物と金属層の間のインターフェースを加熱するために(例えば、挿入物と金属層が一緒に融合されるように)シートの厚みにわたって電流を流すことによって、挿入物が金属層に取り付けられてもよい。挿入物、第1の金属層、第2の金属層、またはその任意の組み合わせが、金属または金属(例えば、亜鉛コーティング)でコーティングされた1つ以上の表面を有してもよく、その結果、ろう付け工程によって金属層と挿入物を取り付けることができてもよい。挿入物と金属層(または両方の金属層)を接合するためのとりわけ好ましい方法が、誘導加熱を用いて1つ以上の部品(例えば、挿入物、金属層、またはその両方)を加熱する工程を含む。前述の工程に加えて、接合するための方法は、一対のローラーに複合材を通す工程、ローラーを使って圧縮圧力を複合材に加える工程、ローラーを用いて複合材を加熱する工程、伝熱流体を用いてローラーに熱を移す工程、ローラーを用いて複合材を通して電流を加える工程(例えば、ローラーは、ろう付けおよび/または溶接のための電極であってもよい)、誘導加熱のために高周波磁場を加える工程、またはこれらの任意の組み合わせを含んでもよい。好ましくは、挿入物および/または挿入物の領域にある別の部品は、挿入物が高周波磁場を用いて容易に加熱され得るように十分に高い比透磁率(例えば、約50以上、約100以上、約300以上、約500以上、約600以上、または約1000以上の比透磁率)を有する材料を含む(例えば、コア層として、外部の金属板に面する1つ以上の表面で、またはその表面の近くで、あるいはその両方で)、あるいは、基本的に該材料からなる。
【0075】
導電性のポリマー接着剤を使用して、挿入物は1つまたは両方の金属層に取り付けられてもよい。導電性のポリマー接着剤は、挿入物、金属層、または好ましくはその両方に組成物が付着するという条件で、ポリマー層で使用されたポリマー組成物であってもよい。導電性のポリマー接着剤は、ポリマー層に関して本明細書で上に記載された1つまたは任意の充填材を含んでもよい。例えば、導電性のポリマー接着剤は、金属粒子、金属繊維、カーボンブラック、黒鉛、またはその任意の組み合わせを含んでもよい。用いられる場合、導電性のポリマー接着剤は、一般に薄層として使用されることが好ましい。導電性のポリマー接着剤の層は、好ましくは約0.2mm以下、より好ましくは約0.1mm以下、さらにより好ましくは約0.04mm以下、そしてもっとも好ましくは約0.02mm以下の厚みを有する。
【0076】
本発明の複合材料は、比較的低密度の、比較的低い熱伝導度の、密度比に対して比較的高い剛性の、比較的低い音響伝達の、または不均質な機械的および/または物理的な特性を含む本明細書に記載される特性の1つまたは任意の組み合わせを必要とするあらゆる用途で使用されてもよい。本発明の複合材料を使用してもよい典型的な用途には、自動車と他の輸送に関連する用途、建築構造に関連する用途、および、電化製品に関連する用途が挙げられてもよい。複合材料は、自動車のパネル、トラックのパネル、バスのパネル、容器(例えば、輸送に使用された容器)、列車のパネル、ジェット機のパネル、チューブ(例えば、自転車のチューブ)、オートバイのパネル(例えば、カウリングまたはフェアリング)、トレーラーのパネル、ドアインナー(例えば、車両のドアインナー)、ルーフパネル、車両のフードインナー、車両のフロアーパン、車両のリアシェルフパネル、車両のリアコンパートメントパネル、車両のバックシートパネル、車両のデッキリッドインナー、レクリエーション用車両のパネル、スノーモービルのパネル、自動車のバンパーフェイシア、スポイラー、ホイールウェルライナー(a wheel well liner)、空気力学的大地効果、エアダム、容器、ベッドライナー、障壁(divider wall)、電化製品のハウジング、車両の燃料給油ドア、車両のバンパー、装飾用の挿入物、ダクト、グラブバー、収納庫扉(a storage compartment door)、電子デバイス(携帯電話、コンピューター、カメラ、タブレットコンピューター、音楽またはビデオ記憶装置、あるいは、音楽またはビデオプレーヤーなど)用のハウジング、コンソール、空気入口部、電池収納ケース(battery housing)、グリル、ホイールウェル、またはシートパンなどの用途で使用されてもよい。複合材料は、外部のトリム要素、フラッシング、ガター、屋根板、壁、床、カウンタートップ、キャビネットの外装(cabinet facing)、窓枠、ドアフレーム、パネル、ベント、ダクト、敷板、フレーム研究(framing studies)、棚上げ(shelving)、衛生器具、シンク、シャワーパン、タブ、またはカバーなどの建築構造材料として使用されてもよい。典型的な用途は、車両の車体パネル(例えば、自動車のような車両の車体の外板)である。本明細書に記載の複合材料を使用してもよい自動車パネルは、フロントクォーターパネル、リアクォーターパネル、ドアパネル、フードパネル、ルーフパネルなどを含む。自動車のパネルは、クラスA、クラスB、またはクラスCの表面を有してもよく、好ましくはクラスAまたはクラスBの表面を、そしてより好ましくは、クラスAの表面を有してもかまわない。
【実施例】
【0077】
(比較例1)
テーラードブランク溶接は、約1.0mmの均一な厚みを有する一枚板の鋼の第1のシートの縁を、約0.8mmの均一な厚みを有する一枚板の鋼の第2のシートの縁にレーザー溶接することによって準備される。2枚のシートはそれぞれ一般に立方形状である。第1の鋼板および第2の鋼板はほぼ同じ長さを有しており、同じ金属から形成される。該鋼板は、シートの長さと各シートの厚みによって定義される縁に沿って取り付けられる。テーラードブランク溶接の重量が、第1の鋼板から形成される(すなわち、1mm厚のシートを形成する)テーラードブランク溶接の幅の割合に応じて測定される。
【0078】
(実施例2)
実施例2は、約1mmの均一な厚みを有する第1の領域と、約0.8mmの均一な厚みを有する第2の領域からなるサンドイッチ複合材である。第1の領域および第2の領域は同じ2つの外部の層を有するが、外部の層間のコア材料において異なる。外部の層はそれぞれ約0.2mmの均一な厚みを有する。第1の領域では、コア材料は、約0.6mmの均一な厚みを有する一枚板の金属板である。第2の領域では、コア材料は、一般に約0.4mmの均一な厚みを有するポリマー材料である。第1の領域は、比較例1の第1の金属板の長さおよび幅と同じ長さおよび幅を有している。第2の領域は、比較例1の第2の金属板の長さおよび幅と同じ長さおよび幅を有している。外部のシートおよび挿入物はすべて、比較例1の金属板と同じ金属から作られる。実施例2の重量は、第1の領域から形成される(すなわち、厚みが約1mmの領域から形成され、挿入物を含んでいる)実施例2の幅の割合に応じて測定される。軽量化(重量%の単位で)は、比較例1の重量で、実施例2と比較例1の重量の差を割ることによって測定される。軽量化は、厚みが1mmであるサンプルの幅の割合に応じて
図15に示されている。
【0079】
(比較例3)
第2の鋼板が、約0.7mmの厚みで比較例1の第2の鋼板とほぼ同じ幅および長さの一般に立体的なシートと置き換えられていることを除けば、比較例3は比較例1と同じ方法を使用して準備されている。テーラードブランク溶接の重量は、第1のシート(すなわち、1mm厚のシートを形成する)から形成されるテーラードブランク溶接の幅の割合に応じて測定される。
【0080】
(実施例4)
実施例4は、約1mmの均一な厚みを有する第1の領域と、約0.7mmの均一な厚みを有する第2の領域からなるサンドイッチ複合材である。第2の領域中のコア材料が一般に約0.3mmの均一な厚みを有することを除けば、実施例4は実施例2と同じ材料を用いて準備されている。実施例4の重量は、第1の領域から(すなわち、挿入物を含む厚みが約1mmの領域から)形成される実施例4の幅の割合に応じて測定される。軽量化(重量%の単位で)は、比較例3の重量で、実施例4と比較例3の重量の差を割ることによって測定される。軽量化は、厚みが1mmであるサンプルの幅の割合に応じて
図15に示される。
【0081】
(比較例5)
第2の鋼板が、約0.6mmの厚みを有して比較例1の第2の鋼板とほぼ同じ幅および長さの一般に立体的なシートと置き換えられていることを除けば、比較例5は比較例1と同じ方法を使用して準備されている。テーラードブランク溶接の重量は、第1のシート(すなわち、1mm厚のシートを形成する)から形成されるテーラードブランク溶接の幅の割合に応じて測定される。
【0082】
(実施例6)
実施例6は、約1mmの均一な厚みを有する第1の領域と、約0.6mmの均一な厚みを有する第2の領域からなるサンドイッチ複合材である。第2の領域中のコア材料が一般に約0.2mmの均一な厚みを有することを除けば、実施例6は実施例2と同じ材料を使用して準備されている。実施例6の重量は、第1の領域から(すなわち、挿入物を含む厚みが約1mmの領域から)形成される実施例6の幅の割合に応じて測定される。軽量化(重量%の単位で)は、比較例5の重量で、実施例6と比較例5の重量の差を割ることによって測定される。
【0083】
比較例1、3、および5に対する実施例2、4、および6の軽量化は、厚みが1mmであるサンプルの幅の割合に応じて
図15に示されている。(厚みが1mmの幅の固定された割合に関して)
図15で示されているように、実施例2の重量は比較例1の重量未満であり、実施例4の重量は比較例3の重量未満であり、および、実施例6の重量は比較例5の重量未満である。そのため、複合材料は、同じ厚みを有するテーラードブランク溶接よりも重量が少ない。