特許第5890884号(P5890884)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5890884
(24)【登録日】2016年2月26日
(45)【発行日】2016年3月22日
(54)【発明の名称】LED駆動回路
(51)【国際特許分類】
   H05B 37/02 20060101AFI20160308BHJP
【FI】
   H05B37/02 L
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-212694(P2014-212694)
(22)【出願日】2014年10月17日
(62)【分割の表示】特願2012-525486(P2012-525486)の分割
【原出願日】2010年8月18日
(65)【公開番号】特開2015-57780(P2015-57780A)
(43)【公開日】2015年3月26日
【審査請求日】2014年11月13日
(31)【優先権主張番号】10-2009-0076050
(32)【優先日】2009年8月18日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】513276101
【氏名又は名称】エルジー イノテック カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】キム、 スン グン
【審査官】 宮崎 光治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−004156(JP,A)
【文献】 特開2002−008409(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B37/00−39/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2本のLEDストリングと、
前記少なくとも2本のLEDストリングの電流経路をそれぞれ調節する少なくとも2個の定電流制御ブロックと、
前記少なくとも2個の定電流制御ブロックの電圧を検出する検出部と、
前記検出された電圧によって前記少なくとも2本のLEDストリングに駆動電源を供給する電源供給部と、
を含み、
前記電源供給部は、
SMPS(switched−mode power supply)と、
電荷ポンプを備えており、前記SMPSの出力直流電源をLED駆動のための直流電源に変換して、前記少なくとも2本のLEDストリングに供給するDC−DCコンバータと、
前記検出された電圧によって、前記DC−DCコンバータのスイッチング動作を制御するPWM制御部と、
を含み、
前記検出部によって検出される定電流制御ブロックの電圧は、前記SMPSとDC−DCコンバータとの接続ノードの電圧を検出することによって検出され
前記定電流制御ブロックは、
前記LEDストリングの電流経路に定電流を流す定電流源と、
前記LEDストリングの電流経路に可変抵抗成分を提供する線形素子と、
前記LEDストリングの電流経路の電気的特性に応じて前記線形素子の抵抗値を調節するフィードバック制御素子と、
を含むことを特徴とする、LED駆動回路。
【請求項2】
前記PWM制御部は、前記各LEDストリングと定電流制御ブロックとの接続ノードの電圧を受ける、請求項1に記載のLED駆動回路。
【請求項3】
前記電源供給部は、外部の交流電源から印加された電源を直流電源に変換して前記SMPSに供給するPFC(Power Factor Correction)コンバータを含む、請求項1に記載のLED駆動回路。
【請求項4】
前記検出部は、検出された電圧値を光信号に変換して伝達するフォトカプラーを含む、請求項1に記載のLED駆動回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、定電流制御手段を有するLED駆動回路に関するものである。
【背景技術】
【0002】
多数個のLED(Light Emitting Diode)ストリングからなるLED光源装置は、照明応用機器やLCDパネルのバックライトなどの広い用途に用いられてきている。
【0003】
全体的に高光度を持つLEDは、モニター及びテレビ(以下では総称してモニターという。)に用いられる液晶ディスプレイ(LCD)のバックライトを含む多くの応用機器で使用可能である。大型LCDモニターにおいてLEDは、一般に、直列に接続しているLEDからなる1以上のストリングで構成される。
【0004】
LCDモニターにおいて用いられるバックライトには、下記の2通りの基本技術のいずれかが主に用いられる。その一つは、白色LEDで構成された1以上のストリングを使用する技術で、ここで、白色LEDは、一般に蛍光体(物質)を持つ青色LEDを含む。この蛍光体は、LEDから発生した青色光を吸収し、白色光を放出する。もう一つは、有色LEDで構成された1以上の個別のストリングを隣接して配置することで、互いに組み合わされた光が白色光のように見えるようにする技術である。
【0005】
然るに、LEDストリングをなす各LED素子間の特性(例:順方向電圧降下)のバラツキにより、同種のLEDからなるLEDストリングもそれぞれ異なる電気的特性(例:電圧降下)を示す。そのため、LEDストリングのそれぞれを通して同一電流を流すために、互いに異なる電圧降下を補償する、それぞれのLEDストリングに直列に接続されている定電流制御ブロックをさらに必要とする。これは、LEDストリングのそれぞれ異なる電圧降下を補償するように動作する損失能動素子(dissipative active element)を適用したものである。しかし、この損失能動素子は顕著な熱源であり、全体LEDドライバーにおいて放熱費用の増加を招き、電力伝達効率が低くなるため電源供給装置の容量を大きく要するという不具合がある。
【0006】
例えば、図1に示すように、従来技術に係るLED駆動回路は、電源供給部10、LEDストリング20、及び定電流制御モジュール40を含む。
【0007】
定電流制御モジュール40は、LEDストリング20が均一な輝度を発するように、LEDストリング20及び自身を通過して流れる電流をフィードバックされて、出力振幅を可変させながら定電流に維持する役割を担う。
【0008】
また、定電流制御モジュール40は、LEDストリング20のディミングを線形的に制御するためのPWM(Pulse Width Modulation)制御信号を生成して、デューティ比(duty ratio)を制御することができる。
【0009】
また、定電流制御モジュール40は、線形的にスイッチング動作して、LEDストリング20の電圧増減による電圧差を吸収する負荷として機能する。
【0010】
同図で、LEDストリング20を構成する直列接続LED素子の数量が多いため高い電源を印加する場合は、定電流制御モジュール40をなす素子には、高電圧及び高電力といった高い素子定格が要求される。なお、駆動電源が増加すると、特に、線形動作するスイッチ素子の高電力による発熱問題が深化する。
【0011】
その結果、定電流制御モジュール40を構成するための素子の選択の幅が狭まり、製作コストが増加する問題につながることがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、発熱量を低減できるLED保護手段を含むLED駆動回路を提供する。
【0013】
また、本発明は、低製作コストのLED保護手段を含むLED駆動回路を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一実施例に係るLED駆動回路は、少なくとも2本のLEDストリングと、該少なくとも2本のLEDストリングの電流経路をそれぞれ調節するための少なくとも2個の定電流制御ブロックと、該少なくとも2個の定電流制御ブロックの電圧を検出する検出部と、検出された電圧に基づいて少なくとも2本のLEDストリングに駆動電源を供給する電源供給部と、を含む。
【発明の効果】
【0015】
上記構成に係る本発明のLED駆動回路によれば、效率的にLED素子を駆動することで、発熱量を低減することが可能になる。
【0016】
また、本発明のLED駆動回路は、安価な素子で構成することで、製作コストを節減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】従来技術に係るLED駆動回路を示す回路図である。
図2】本発明の一実施例に係るLED駆動回路を示す回路図である。
図3】本発明の他の実施例に係るLED駆動回路を示す回路図である。
図4】本発明のさらに他の実施例に係るLED駆動回路を示す回路図である。
図5】本発明のLED駆動回路に適用できるDC−DCコンバータの一実施例を示す回路図である。
図6】本発明のLED駆動回路に適用できるSMPSの一実施例を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図2は、本発明の一実施例に係るLED駆動回路を示す図である。
【0019】
同図のLED駆動回路は、少なくとも2本のLEDストリング120と、これらLEDストリングの電流経路をそれぞれ調節する少なくとも2個の定電流制御ブロック140と、少なくとも2個の定電流制御ブロックの電圧を検出する検出部160と、検出された電圧に基づいて少なくとも2本のLEDストリング120に駆動電源を供給する電源供給部200と、を含むことができる。
【0020】
定電流制御ブロック140は、LEDストリング120の電流経路に定電流を流す定電流源144と、LEDストリング120の電流経路に可変抵抗成分を提供する線形素子142と、LEDストリング120の電流経路の電気的特性に応じて線形素子の抵抗値を調節するフィードバック制御素子150と、を含むことができる。
【0021】
ここで、線形素子142には、ベース端子電流によってチャンネル幅を線形的に調節するバイポーラトランジスタを適用することができる。
【0022】
フィードバック制御素子150は、−入力端に、線形素子142と定電流源144との接続ノードの電圧を受け、+入力端にPWM信号を受信するとともに、出力端がバイポーラトランジスタのベース端子に接続している演算増幅器152と、PWM信号を生成するPWM信号生成器154と、を含むことができる。
【0023】
図3には、図2の電源生成部200をより具体的に示す一実施例に係るLED駆動回路を示している。
【0024】
同図のLED駆動回路は、少なくとも2本のLEDストリング120−1,120−2と、少なくとも2本のLEDストリング120−1,120−2の電流経路をそれぞれ調節する少なくとも2個の定電流制御ブロック140−1,140−2と、少なくとも2個の定電流制御ブロック140−1,140−2の電圧を検出する検出部162と、外部の交流電源ACから印加された電源を直流電源に変換するPFC(Power Factor Correction)コンバータ220と、PFCコンバータ220で変換した直流電源を、検出部162で検出された電圧によって、他の電圧の直流電源に変換するSMPS(switched−mode power supply)240と、SMPS 240から出力された直流電源をLED駆動に適する直流電源に変換して、少なくとも2本のLEDストリングに供給するDC−DCコンバータ260と、を含む。
【0025】
同図のLED駆動回路では、検出部162が少なくとも2個の定電流制御ブロック140−1,140−2の電圧を直接検出せず、少なくとも2個の定電流制御ブロック140−1,140−2の電圧によって決定される、SMPS 240とDC−DCコンバータ260との接続ノードの電圧を検出する。
【0026】
同図で、SMPSの1次側と2次側の電気的影響を遮断するために、検出部162はフォトカプラー構造を含むことができる。
SMPSは、直流を交流に変換するためのスイッチング素子と、スイッチング素子を駆動する駆動信号がスイッチング素子に伝達されることを断続する断続スイッチ素子と、をさらに備え、断続スイッチ素子が検出部162の出力信号によってオン/オフになるように構成することができる。
【0027】
一方、電源供給部に対するフィードバック制御の効率を高めるために、検出部162及びSMPS 240を用いたフィードバック制御に加えて、少なくとも2個の定電流制御ブロック140−1,140−2で直接検出された電圧をDC−DCコンバータ260に適用したフィードバック制御を用いることができる。
【0028】
そのために、同図のLED駆動回路は、定電流制御ブロック140−1,140−2とLEDストリング120−1,120−2との接続ノードの電圧によって、SMPS 240のスイッチング動作を制御するPWM制御部190をさらに含むことができる。
PWM制御部190は、定電流制御ブロック140−1,140−2とLEDストリング120−1,120−2との接続ノードの電圧を受け、所定の演算処理を行った結果に基づき、DC−DCコンバータ260のスイッチング素子を駆動するためのPWM信号を生成する。例えば、DC−DCコンバータ260が電荷ポンプを備えており、スイッチング素子が電荷ポンプのポンピング動作のための素子であると仮定する。この場合、PWM制御部190は、定電流制御ブロック140−1,140−2とLEDストリング120−1,120−2との接続ノードの電圧(少なくとも2個の接続ノードの電圧のうちいずれか一電圧)が高すぎになると、電荷ポンプのポンピング頻度が低くなるように、スイッチング素子へのPWM制御信号を調整して印加することができる。
【0029】
図4には、図2の電源生成部200をより具体的に示す他の実施例に係るLED駆動回路を示している。
【0030】
同図のLED駆動回路は、少なくとも2本のLEDストリング120−1,120−2と、少なくとも2本のLEDストリング120−1,120−2の電流経路をそれぞれ調節する少なくとも2個の定電流制御ブロック140−1,140−2と、少なくとも2個の定電流制御ブロック140−1,140−2の電圧を検出する検出部162と、外部の交流電源ACから印加された電源を直流電源に変換するPFCコンバータ220と、PFCコンバータ220で変換した直流電源を、検出部162で検出された電圧によって他の電圧の直流電源に変換して、少なくとも2本のLEDストリング120−1,120−2に供給するSMPS 240と、を含む。
【0031】
同図のLED駆動回路の検出部162は、定電流制御ブロック140−1,140−2とLEDストリング120−1,120−2との接続ノードの電圧(2個以上)を混合した値を入力される。この2個以上の検出電圧の混合器Mは、2個のアナログ値に対する積算器や、平均値を求める演算器とすることができる。
【0032】
また、SMPS 240の1次側と2次側の電気的影響を遮断するために、検出部162はフォトカプラー構造を含むことができる。
【0033】
SMPS 240は、直流を交流に変換するためのスイッチング素子と、これらスイッチング素子を駆動する駆動信号がスイッチング素子に伝達されることを断続する断続スイッチ素子と、をさらに備え、断続スイッチ素子が検出部162の出力信号によってオン/オフになるように構成することができる。
【0034】
図5には、図3のLED駆動回路に適用できるDC−DCコンバータ260の一実施例を示している。同図のDC−DCコンバータ260は、電荷ポンプ構造を備えており、FET(Field Effect Transistor)Qのオン/オフによって電荷ポンピングがなされる。図3のPWM制御信号は、FET QをPWM(Pulse Width Modulation)制御することができる。
【0035】
図6は、図3または図4のLED駆動回路に適用できるSMPS 240の一実施例を示している。
【0036】
同図のSMPS 240は、直流を交流に変換するためのスイッチング素子として4個のFET S1〜S4と、スイッチング素子を駆動する駆動信号がスイッチング素子に伝達されることを断続する断続スイッチ素子SW1と、トランスTと、を含む。ここで、断続スイッチ素子SW1は、図3または図4の検出部162からの出力信号Cによってオン/オフになるように構成することができる。
【0037】
以上では本発明の技術思想を具体的な実施例に挙げて説明してきたが、それらの実施例は、説明のためのもので、本発明の技術思想を制限するためのものではない。また、本発明の技術分野における通常の知識を有する当業者には、本発明の技術思想の範囲で種々の変形実施が可能であるということが理解できるであろう。
【0038】
例えば、説明の便宜のために以上では2本のLEDストリングを駆動するLED駆動回路が取り上げられたが、3本以上のLEDストリングを駆動するLED駆動回路にも本発明の思想を容易に適用でき、それも本発明の権利範囲に属することは言うまでもない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6