特許第5890899号(P5890899)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5890899オブジェクトの有効原子番号を測定するデバイス及びその方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5890899
(24)【登録日】2016年2月26日
(45)【発行日】2016年3月22日
(54)【発明の名称】オブジェクトの有効原子番号を測定するデバイス及びその方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 23/02 20060101AFI20160308BHJP
   G01T 1/22 20060101ALI20160308BHJP
【FI】
   G01N23/02
   G01T1/22
【請求項の数】6
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-516186(P2014-516186)
(86)(22)【出願日】2012年12月28日
(65)【公表番号】特表2014-523528(P2014-523528A)
(43)【公表日】2014年9月11日
(86)【国際出願番号】CN2012087849
(87)【国際公開番号】WO2013097768
(87)【国際公開日】20130704
【審査請求日】2013年12月18日
(31)【優先権主張番号】201110457151.6
(32)【優先日】2011年12月30日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】503414751
【氏名又は名称】同方威視技術股▲分▼有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】502192546
【氏名又は名称】清華大学
【氏名又は名称原語表記】Tsinghua University
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(72)【発明者】
【氏名】李 樹偉
(72)【発明者】
【氏名】陳 志強
(72)【発明者】
【氏名】李 元景
(72)【発明者】
【氏名】趙 自然
(72)【発明者】
【氏名】劉 以農
(72)【発明者】
【氏名】張 清軍
(72)【発明者】
【氏名】朱 維斌
(72)【発明者】
【氏名】王 義
(72)【発明者】
【氏名】趙 書清
(72)【発明者】
【氏名】張 文劍
【審査官】 南 宏輔
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第07453987(US,B1)
【文献】 特開2007−178329(JP,A)
【文献】 特開平10−221457(JP,A)
【文献】 特開平06−294871(JP,A)
【文献】 特開2007−309929(JP,A)
【文献】 米国特許第06828575(US,B2)
【文献】 Li Shu-Wei et al.,Monitoring the energy variation of an electron linac using a Cerenkov detector,Chinese Physics C,2010年 1月,Vol.34, No.1,126-130
【文献】 BONAZZOLA,G.C. 他,“A PRECISION FAST DOSIMETER FOR PULSED HIGH ENERGY X-RAY BEAMS”,Nuclear Instruments and Methods,1980年,Volume 176,Pages 513-519
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 23/00−23/227
G01T 1/00−1/40
JSTPlus(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オブジェクトの有効原子番号を測定するデバイスであって、
第1のエネルギーの第1のX線ビーム及び第2のエネルギーの第2のX線ビームを発生する放射線源と、
被検体を透過した第1のX線ビーム及び第2のX線ビームを受光して第1の検出値及び第2の検出値を生成するチェレンコフー検出器と、
第1の検出値及び第2の検出値に基づいて、被検体の有効原子番号を得るデータ処理装置と、
を備え、
前記チェレンコフー検出器は、放射体と、光電変換部と、補助回路と、を備え、
前記放射体は、シールド層で覆われており、カップリング接続した第1の部分及び前記第1の部分に垂直な第2の部分を有するL字形を有し、入射したX線ビームを受光してチェレンコフー光を発生し、
前記光電変換部は、L字形の前記放射体の一方の支路である前記第1の部分の一端に設けられ、前記チェレンコフー光を検出して電気信号を生成し、
前記補助回路は、前記電気信号に基づいて、前記第1の検出値及び前記第2の検出値を生成し、
X線ビームは、L字形の前記放射体の他方の支路である前記第2の部分に略平行して前記第2の部分に入射し、
前記チェレンコフー光を受光する前記光電変換部の表面は、X線ビームの入射方向と略平行であることを特徴とするデバイス。
【請求項2】
前記放射線源は、電子加速器と、ターゲットと、を備え、
前記電子加速器は、エネルギーが異なる電子ビームを発生し、前記ターゲットにボンバードすることによって、前記第1のX線ビーム及び前記第2のX線ビームを発生することを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記光電変換部は、光電ダイオードであることを特徴とする請求項1又は2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記シールド層は、アルミニウムを含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項5】
前記光電変換部の前記チェレンコフー光を受光する面は、前記放射体を囲むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項6】
オブジェクトの有効原子番号を測定する方法であって、
第1のエネルギーの第1のX線ビーム及び第2のエネルギーの第2のX線ビームを発生するステップと、
チェレンコフー検出器で被検体を透過した第1のX線ビーム及び第2のX線ビームを受光して第1の検出値及び第2の検出値を生成するステップと、
第1の検出値及び第2の検出値に基づいて、被検体の有効原子番号を得るステップと、
を含み、
前記チェレンコフー検出器は、放射体と、光電変換部と、補助回路と、を備え、
前記放射体は、シールド層で覆われており、カップリング接続した第1の部分及び前記第1の部分に垂直な第2の部分を有するL字形を有し、入射したX線ビームを受光してチェレンコフー光を発生し、
前記光電変換部は、L字形の前記放射体の一方の支路である前記第1の部分の一端に設けられ、前記チェレンコフー光を検出して電気信号を生成し、
前記補助回路は、前記電気信号に基づいて、前記第1の検出値及び前記第2の検出値を生成し、
X線ビームは、L字形の前記放射体の他方の支路である前記第2の部分に略平行して前記第2の部分に入射し、
前記チェレンコフー光を受光する前記光電変換部の表面は、X線ビームの入射方向と略平行であることを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施例は、安全検査に関するものであり、特に物質の有効原子番号を測定するデバイス及びその方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
X線検査システムにおいては、X線源及び対応した検出器が含まれ、被検体が両者の間に介在している。視準されたX線ビームは、被検体を通して検出器に到達する。検出器の出力信号の大きさは、検出器に到達したX線の強度を反映している。この信号を解析することによって、被検体の情報が得られる。
【0003】
X線が物質との相互作用の形態は、主に、光電効果、コンプトン効果及び電子対効果の三種がある。光電効果は、その断面が物質原子番号の3乗〜5乗に略正比例する。コンプトン効果は、その作用断面が物質有効原子番号に略正比例する。電子対効果は、その作用断面が物質有効原子番号の2乗に略正比例する。
【0004】
光電効果は、X線エネルギーが0.5MeVより低い場合には支配的であり、又は比較的に大きい作用断面を有する。異なる物質の質量減衰係数がその有効原子番号との相関性が強い。X線エネルギーの上昇につれ、1MeVの付近には、コンプトン効果が支配的であり、異なる物質の質量減衰係数がその有効原子番号との相関性が弱い。X線エネルギーが1.02MeVより大きい場合、電子対効果が出始まる。また、X線エネルギーが大きいほど、電子対効果の断面が次第に大きくなる。異なる物質の質量減衰係数がその有効原子番号との相関性も次第に増して行く。
【0005】
こうして、エネルギーが異なる二組のX線ビームを用いて、オブジェクトに対して検出を行うことができる。この両組のX線信号を解析したことで、オブジェクトの有効原子番号情報が得られる。質量または厚みが大きいオブジェクトを検出しようとする場合、MeVオーダーのX線ビームが必要とされる。高エネルギーのダブルパワーX線ビームを用いた物質識別において、一組のエネルギーの低い(例えば、1MeVの付近)質量減衰係数が被検体物質の有効原子番号との相関性が小さいが、エネルギーの高いX線ビーム(例えば、6MeV付近)の質量減衰係数が被検物質の有効原子番号との相関性が大きい。この両種類のエネルギーのX線ビームが検出器内で発生した信号を解析することによって、被検体の有効原子番号情報を得ることができる。例えば、コンプトン効果及び電子対効果の断面の大きさが原子番号との相関性が異なっていることを利用して、物質有効原子番号の識別を実現することができる。
【0006】
現在、MeVオーダーのX線検査分野において、主に電子加速器がX線源とされる。MeVオーダーまで加速した電子ビームを用いて重金属ターゲットにボンバードし、制動放射によるX線が生じる。典型的なX線ビームのエネルギー分布の一つであるエネルギースペクトルの特徴は、0から電子ビームのエネルギーまで分布し、エネルギースペクトルのピーク値が0.4MeVの付近にあることである。低エネルギー部分のX線ビームは、光電効果が物質識別效果と干渉してしまうため、「フィルタ」の追加等の方法でこの部分のX線フォトンの数量を低下させることも可能なものの、特定エネルギー閾値以下のX線ビームによる物質識別への干渉を完全に排除し難いこともあり、X線ビーム全体の強度等を低下させるようなマイナス影響も発生してしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、従来技術の一つの課題又は複数の課題を鑑みてなされたものであり、オブジェクトの有効原子番号を測定するデバイス及びその方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施例によれば、オブジェクトの有効原子番号を測定するデバイスを提供した。このデバイスは、第1のエネルギーの第1のX線ビーム及び第2のエネルギーの第2のX線ビームを発生する放射線源と、被検体を透過した第1のX線ビーム及び第2のX線ビームを受光して第1の検出値及び第2の検出値を生成するチェレンコフー検出器と、第1の検出値及び第2の検出値に基づいて、被検体の有効原子番号を得るデータ処理装置と、を備える。
【0009】
その他の実施例によれば、オブジェクトの有効原子番号を測定する方法を提供した。この方法は、第1のエネルギーの第1のX線ビーム及び第2のエネルギーの第2のX線ビームを発生するステップと、チェレンコフー検出器で被検体を透過した第1のX線ビーム及び第2のX線ビームを受光して第1の検出値及び第2の検出値を生成するステップと、第1の検出値及び第2の検出値に基づいて、被検体の有効原子番号を得るステップと、を含む。
【発明の効果】
【0010】
上述した技術案によれば、チェレンコフー検出器が、エネルギーが特定の閾値以下のX線ビームによる影響を排除することができるので、物質識別の正確度を向上することができた。
【0011】
以下、図面に基づいて本発明の実施例を詳細に説明することによって、本発明の上述及びその他の目的、特徴と優れた点は、より明確になるであろう。なお、同じ符号は、同じ構造ユニットを指している。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施例に係る、チェレンコフー検出器を用いてオブジェクトの有効原子番号を測定するデバイスの模式的な構造図であり、図2のA−A方向の断面図である。
図2図1のB−B方向の断面図である。
図3】本発明の一実施例に係るチェレンコフー検出器を示す模式図である。
図4】本発明の他の実施例に係るチェレンコフー検出器を示す模式図である。
図5】本発明のさらに他の実施例に係るチェレンコフー検出器を示す模式図である。
図6図5に示したチェレンコフー検出器のもう一種の応用形態を示す模式図である。
図7】本発明のさらに他の実施例のチェレンコフー検出器を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の具体的な実施例について詳細に説明する。ここで、説明した実施例は、例として説明したものに過ぎず、本発明を限定するものではないと理解すべきである。以下の説明において、本発明に対する透徹した理解をさせるため、大量の特定の細部を描写した。しかしながら、当業者にとって明らかなことは、これらの特定の細部を必ず採用して本発明を実現することではない。その他の実例においては、本発明を混同させることを避けるために、周知の回路、材料または方法に対する具体的な説明を省略した。
【0014】
明細書全体において、言及した「一実施例」、「実施例」、「一例示」または「例示」は、該実施例または例示に結合して描写した特定の特徴、構造または特性が、本発明の少なくとも一実施例に含まれていることを意味する。従って、明細書全体の各箇所に現れた短文「一実施例において」、「実施例において」、「一例示」または「例示」は、必ず同一の実施例または例示を指したものではない。また、何らかの適宜な組み合わせ及び/またはサブ組み合わせによって、特定の特徴、構造または特性を一つまたは複数の実施例または例示に組み合わせることができる。また、当業者は、ここで提供した図面が全て説明に用いられるもので、スケールに従って描いたものではないと理解すべきである。
【0015】
本発明の一つ実施例によれば、チェレンコフー検出器を用いて高エネルギーのダブルパワーX線の検出を行うことによって、オブジェクトの有効原子番号の測定が実現でき、被検体の識別が実現できる。チェレンコフー検出器は、一種の閾値検出器である。帯電イオンの透明媒体での速度は、光のこの媒体での速度を超える場合、チェレンコフー放射が生じる。すなわち、チェレンコフー光を発生する。光電変換部でチェレンコフー光を電気信号に変換することによって、被検体に投射したX線の強度を示す検出値が得られる。
【0016】
総括すると、X線のエネルギーが高いほど、コンプトン効果によって発生した二次電子の電子エネルギーが高くなる。二次電子の速度が必要な閾値より高くなった場合、チェレンコフー放射が発生する。このように、入射したX線に対して閾値が要求される。適切な屈折率の材料(例えば、石英)を放射体として選択し、比較的に低いエネルギー(例えば、0.5MeV)のX線は、基本的に、放射体内でチェレンコフー放射を発生することができない。こうして、このようなチェレンコフー検出器とダブルパワーX線源の組み合わせを採用することによって、X線源のエネルギーの分布構成に対して限定する必要がなく、物質有効原子番号の識別が実現できる。
【0017】
図1は、本発明の一実施例に係る、チェレンコフー検出器を用いてオブジェクトの有効原子番号を測定するデバイスの模式的な構造図であり、図2のA−A方向の断面図である。
【0018】
図1及び図2に示すように、本発明の実施例に係るデバイスは、チェレンコフー検出器の高エネルギーのダブルパワーX線を用いて物質有効原子番号を識別するデバイスであって、ダブルパワー電子加速器1と、チェレンコフー検出器2と、チェレンコフー検出器2に接続した補助回路と、を備え、補助回路は、例えば、データ変換回路及びデータ処理装置(図示せず)である。チェレンコフー検出器2は、ダブルパワーの電子加速器1と対向して設置され、ダブルパワーの電子加速器1は、高エネルギー、低エネルギーのX線ビームを交互に発生する。X線ビームがコリメータ3を経た後、被検体4を照射する。チェレンコフー検出器2は、被検体4を透過したX線ビームを受光する。高エネルギーのX線ビームがチェレンコフー検出器2に入射したことで、チェレンコフー検出器2において第1の電気信号、例えば、第1の検出値が生成される。低エネルギーのX線ビームがチェレンコフー検出器2に入射したことで、チェレンコフー検出器2において第2の電気信号、例えば、第2の検出値が生成される。データ処理装置は、前記第1の電気信号及び第2の電気信号から、前記被検体の有効原子番号を算出し得る。
【0019】
本発明の一実施例によれば、電子加速器1は、エネルギーが異なる電子ビームを発生してターゲットにボンバードする。これによって、前記低エネルギー及び高エネルギーのX線ビームを発生した。
【0020】
図3は、本発明の一実施例に係るチェレンコフー検出器を示す模式図である。図3に示したチェレンコフー検出器2は、放射体22及び光電検出素子21を備える。放射体22の表面上には発射膜23及びシールド層24が覆われている。光電検出素子21は、放射体22の一端に設けられ、X線ビームが、放射体22の他方の一端から入射し、放射体22を経てチェレンコフー光を発生し、光電検出素子21は、そのチェレンコフー光を受光する表面が、入射したX線ビームと垂直しており、受光したチェレンコフー光を電気信号に変換させる。
【0021】
図3に示したチェレンコフー検出器において、光電検出ユニットは、核カウンタ効果の影響を受け易い。核カウンタ効果とは、検出器の感度体積内からのフリッカー光またはチェレンコフー光を発生したことではなく、放射線が直接に感光デバイスに当たって感光デバイスにおいて信号を発生し、その信号の発生形態が、放射検出用の半導体検出器と略同様である。例えば、電子−ホール対が、光電ダイオード感度区域においてフリッカー光及びチェレンコフー光によって発生するものではなく、X線またはX線による二次電子によって発生したものとなる。このような事件の性質は、「低確率、大事件」で描写することができる。これは、シリコン半導体において、一つの電子−ホール対を発生するために3.6eVのエネルギーの蓄積しか必要ないからである。この信号は、チェレンコフー放射によって発生した信号に重なってしまうので、干渉信号に属する。
【0022】
本発明のもう一実施例によれば、核カウンタ効果を取り除くのに、図4に示したチェレンコフー検出器を提案した。図4に示すように、チェレンコフー検出器は、一つの直方体形状の検出器であり、放射体42と、反射膜43と、シールド層44と、を備える。コリメータ3を経た後のX線は、検出器の長手方向に沿って入射される。例えば、光電ダイオードなどの光電検出ユニット41が、放射線の入射する箇所に離れて設けられる。光電変換素子41のチェレンコフー光を受光する表面は、X線の入射方向に略平行する。本発明のもう一実施例によれば、このチェレンコフー検出器は、長板形状であり、その長手方向がX線の入射方向である。例えば、長さは、およそ250mm、幅は、およそ50mm、高さは、およそ10mmとなっている。このような構造で、核カウンタ効果を大きく減衰させることができる。本発明のもう一実施例によれば、放射体は、直方体であり、一つの端面に入射したX線ビームを受光し、この端面に垂直な少なくとも一つの側面上に、チェレンコフー光を受光する光電変換部が設置される。本発明のさらにもう一つの実施例によれば、光電変換部の前記チェレンコフー光を受光する面が放射体を囲むことによって、光の収集效率を向上することができる。
【0023】
本発明のさらにもう一つの実施例によれば、放射体は、カップリング接続した第1の部分及び前記第1の部分に垂直な第2の部分を備え、前記光電変換部は、第1の部分の一端に設けられ、X線ビームが前記第2の部分に略平行して該第2の部分に入射する。
本発明のさらにもう一実施例によれば、放射体42は、柱体であり、柱体の一つの端面で入射したX線ビームを受光し、チェレンコフー光を受光する光電変換部41が柱体の側面上に設置される。又は、光電変換部41の前記チェレンコフー光を受光する面は、放射体を囲むことが好ましい。これによって光収集效率を向上することができる。
【0024】
本発明のさらにもう一実施例によれば、放射体42は、柱体であり、柱体の一つの端面で入射したX線ビームを受光し、チェレンコフー光を受光する光電変換部41が柱体の側面上に設置される。又は、光電変換部41の前記チェレンコフー光を受光する面は、放射体を囲むことが好ましい。これによって光収集效率を向上することができる。
【0025】
図5は、本発明のさらに他の実施例に係るチェレンコフー検出器を示す模式図である。図5に示すように、該チェレンコフー検出器の形状はL字形となっている。光電変換部51は、L字形放射体52の一方の支路の一端に設けられ、X線ビームは、L字形放射体52の他方の支路に略平行して入射する。
【0026】
図5に示すように、X線ビームは、L字形放射体の一つの端面から入射し、光電検出素子は、L字形放射体の他方の端面に設けられている。光電変換部のチェレンコフー光を受光する表面は、X線ビームの入射方向に略平行している。
【0027】
図6は、図5に示したチェレンコフー検出器のもう一種の応用形態を示す模式図である。図6に示すように、X線ビームは、L字形放射体の一つの端面と反対の方向から入射し、光電検出素子は、L字形放射体の他方の端面に設けられている。光電変換部のチェレンコフー光を受光する表面は、X線ビームの入射方向に略平行している。
【0028】
図7は、本発明のさらにもう一つ実施例に係るチェレンコフー検出器を示す模式図である。図7に示すように、放射体72はU字形であり、第1の光電変換部711及び第2の光電変換部712は、それぞれ、U字形放射体72の両端に設けられ、X線ビームは、U字形放射体の二つの支路に垂直してU字形放射体の底部に入射することとなっている。該実施例によれば、光収集效率を向上することができる。上述した実施例のチェレンコフー検出器は、核カウンタ効果をシールドすることができるので、入射したX線が検出器感度体積内のどこかで作用を発生したとしても、発生したチェレンコフー光の収集状況は、基本的に同じになる。
【0029】
また、散乱による光電変換部への影響を更に取り除くために、アルミ板を用いてチェレンコフー放射体を囲んで、放射体の幅を超えたX線ビーム及び放射体から散乱されたX線を吸収させることによって、光電ダイオードの付近の散乱場強度を低下させることができる。同時に、光電ダイオードをアルミ板で囲む。アルミ材料の原子番号は、光電ダイオードの材料であるシリコンに近く、かつシリコンより小さいので、シリコン材料にとって敏感であるX線をより良くカットすることができる。本発明の実施例によれば、チェレンコフー検出器と平行するように、通常のX線を検出するためのエネルギー蓄積型検出器が設置されてもよい。
【0030】
当業者には理解されるように、上述技術案は、X線を直接に透過し検出する検査システム及びCT検出及びダブルパワーCT検出等の技術を含む。
【0031】
以上、本発明の幾つかの典型的な実施例に基づいて本発明を説明した。当業者は、使用の用語が、説明するための例であって、本発明を限定する用語ではないと理解すべきである。また、本発明は、精神又は実質を逸脱しない限りに、種々の形態で具体的に実施できるので、上記の実施例は、前述の詳細に限らなく、特許請求の範囲によって限定されるものとして、広く解釈できると理解すべきである。特許請求の範囲または等価の範囲内での全ての変化や改良は、特許請求の範囲内に含まれていることを理解すべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7